
『ルポ 子どもの貧困連鎖』 見えない苦しみ
定時制高校2年の久美は自らの体に起こる異変に気づいていないわけではなかった。深夜アルバイトの最中に倒れたことは1度や2度ではなかったし、ぜんそくと腹痛がやむこともなかった。それでも、病院へ行くことをためらったのには理由がある。父親の洋平が営む廃品回収行が赤字続きで、国民健康保険料を滞納していたため、無保険状態だったのだ。家計を支えるために働く久美は、病院へ行
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定時制高校2年の久美は自らの体に起こる異変に気づいていないわけではなかった。深夜アルバイトの最中に倒れたことは1度や2度ではなかったし、ぜんそくと腹痛がやむこともなかった。それでも、病院へ行くことをためらったのには理由がある。父親の洋平が営む廃品回収行が赤字続きで、国民健康保険料を滞納していたため、無保険状態だったのだ。家計を支えるために働く久美は、病院へ行

バレリー・グライフェルは国営テレビから流れてくるニュースに目を奪われた。ミハイル・ゴルバチョフが超大国ソ連の消滅を宣言したのだ。45万人の部下を率い、西シベリア油田の生産量をサウジアラビア全体に匹敵するまでに拡大させたグライフェルが呆然としていた時間はどれ程の長さだったろう。途方も無い数の部下とこれまでの苦労、どれ程の思いがグライフェルの脳裏をよぎったかは分

先日、家でテレビを付けていたら、東大童貞男とAV女優が一日限定でルームシェアをするという番組がOAされており、思わず見入ってしまった。偏差値の世界では天下無敵の東大生が、AV女優に手玉に取られていくプロセスは、なかなか見応えがあり、放送後もずいぶんと話題になっていた。 番組名が「ミズトアブラハイム」という名前であることを後から知ったのだが、水と油のように対極

検索エンジンを普及させ、Webの世界を便利に快適にし、よりつながる生活を提供してきたグーグル、その会長のエリック・シュミットはかく語りき。 続いてこちらにも目を通してほしい、サイバーエージェント社長の 藤田氏のブログ より携帯中毒だった堀江氏(ホリエモン)入所前の一言。 情報化社会の曲がり角、通信スピードの向上とエリアの拡大を要求し続けてきたユーザーは便利さ

著者のポール・ミドラーはペンシルベニア大学のウォートンスクール出身のMBA保有者で中国広州在住のコンサルタントである。世界の工場と呼ばれるまでになった中国のものづくり現場の実態を赤裸々にあぶりだした本書は出版されるや否や大きな反響を呼び、英国 Economist誌の 2009年度Book of the Year に『 リーマン・ショック・コンフィデンシャル

約1年ぶりとなる佐々木 俊尚さんの新刊。事前に御本人から本書の執筆についてお話を聞かせていただく機会などもあり、非常に楽しみにしていた。新書で468ページはさすがに肩が凝ったのだが、歯を食いしばって一気読み。ただし歯を食いしばったのは、頁数の問題だけではなかったのだが・・・ これまでの佐々木さんの著書というのは、「今」もしくは「時代の先端」を的確に切り取りな

本を読んでいて気持ちが悪くなったのは、久しぶりだ。東日本震災では直後に強盗や暴動を起こさない日本人の行儀の良さが世界のメディアに取り上げられ、評価された。しかし、その裏側では隙を狙ったブローカーたちが獲物を狙っていたのだ。3月中旬、とあるリフォーム会社が求人広告を出していた、それは東北で震災被害を受けた住宅へのリフォーム営業の求人であった。家はリフォームする

都内及び首都圏で引っ越しを検討しているなら、住宅情報紙を読むよりも、まずは本書を読むといいんじゃないか!? 20代か30代の女性に聞いたところ、今郊外に住んでいる人が10年後にもあんまり郊外に住みたいと考えていないようだ。傾向として、地方に住みたいという割合が多い。郊外では若者の定住意識が弱い。多額のローンを組んで、念願のマイホームを建てたお父さんとしては、

本書の物語はサブプライムローンの裏で大儲けした人々に迫った傑作『 世紀の空売り 』のために行ったインタビューを振り返るところから始まる。「物語」とは言っても、本書は当然ノンフィクションだ。統計だらけのスカウト戦略だろうが、CDS、CDO等の金融用語が飛び交うサブプライムローンだろうが、ヨーロッパの国家財政危機だろうが、この男の手に掛かれば目の離せない一級の物

一見、ビジネス書っぽいタイトルが付いているのだが、いわゆるマイクロビジネスをテーマとした本ではなく、これからの時代を生き抜くための思考の原理原則が描かれている一冊。問われているのは、わたしたちの生活、社会がこれまでの延長線上でやっていけるのか、否かということだ。 著者はいわゆる小商いの事例として、昭和30年に商店街によく見られた帽子屋の例を取り上げる。当時、

一年くらい前からシェアハウスなどの新感覚な動きには注目していたのだが、本書は日本全国31の様々な事例が一望できる一冊だ。住居としてのシェアのみならず、自宅を核としてテーマ特化型のサロンの役割を持たせるもの、協働でソリューションを行うものまであるという。これらが、日常編集家なる著者の手によって「住み開き」と命名されている。 日常/非日常の境界線を意図的に編集す

先日、都内で久々に緊急地震速報が鳴った。その後、大事には至っていない模様であるが、ヒヤリとした瞬間でもあった。この緊急地震速報、NHKから流れてくるチャイム音の方なのだが、ゴジラのテーマを元に作られたのではないかという噂があったそうだ。震災直後の時期には、Twitterなどでも随分と話題にのぼっていたらしい。 本書に、その真相が書かれている。チャイム音を製作

入社後2、3年の若手社員が会社を辞める時に、「電通を辞めました」だとか「博報堂を辞めました」などとブログに書いて話題になることがある。そういうものを目にするたびに感じるのが、この時代の節目に30代を迎えているという自分自身の宙ぶらりんさ加減である。別に会社の管理職でもないので「会社に対して失礼だ」などとは思わないのだが、その論調を素直に応援しようという気にも

このような文章が「東大話法」の典型であると、いきなり切り捨てられている。まず、「世界は」と言うことによって責任関係を曖昧にしていること、そして「我が国は・・・しなければなりません」という一文に見られるような、自分たちが「国」を代表しているいう意識。この話法こそ間違いの元凶であるというのが、著者の主張だ。しかも、切り捨てているのが現役の東大教授であるというから

有名な報道写真がまとめて見られ、文章で時代背景も解説されている。20〜21世紀を概観するのに手頃な一冊と思い、気軽にページを眺めるつもりで読み始めたが、思わずじっくりと読み込んでしまった。 写真自体があまりに力強いのだ。写真の持つ物語が深く、ずっしりと重い。添えられた解説も適度に詳しく、写真を見ながら、いちいちもの思いに耽ってしまう。人の憎しみと苦しみ、たく

昨年のプロ野球日本シリーズのことだったと思う。開幕前の監督会議で中日・落合監督(当時)の審判団に投げかけた質問が、今でも印象に残っている。それは、「第7戦までのすべての試合が引き分けになったら、どうするのか?」というものであった。 日本シリーズは7試合制で、先に4勝したチームが日本一となる。第7戦を終えて7引き分けなら、最低でもあと4試合、最大で7試合を追加

「幸せなら手をたたこう」という歌があった。故坂本九が偶然耳にし、1964年にレコード化したものだ。2011年現在、なかなか自信を持って、手をたたきにくい時代になった。その反動なのか、「幸せ」や「幸福」が頻繁にニュースの話題に取り上げられている。金銭的・物質的豊かさを目指すのではなく、精神的な豊かさ、つまり幸福を目指すべきだとする考えから生まれたGNH(国民総
図書館で借りざるを得なかった本書。今和次郎の考現学を思わせる装丁、600頁超の分厚さ、そして税込6,000円超。サブタイトルにある社会学的想像力という社会学者ミルズの言葉に浪漫を感じ、見つけた本書。社会学的想像力とは一般的に「ミクロな問題とマクロな社会構造との連関を、洞察できる能力」のこと、つまりは世界の大局との関係を意識しながら、目の前の小さな問題に取り組

採点:★★★★☆ 特許、知財に興味がある人はもちろん、「イノベーション」に関心がある人にもおススメ。 しかし、「そもそも特許って必要?」「特許によるインセンティブがイノベーションを促進してるって本当?」という問いはあまりなされていなかったのではないだろうか。本書はその問いに経済学的視点から考える一冊。 「事実に基づいて論理的に考える」トレーニングにもってこい
採点:★★★☆☆ 「表」の中国に興味のある人におススメ。どぎついアングラ話ではないから余計に恐い・・・ 経済でも政治でもとにかく中国の動きが目立ち始めた。日本の2000年の歴史を考えると江戸時代以降の中国との関わりの薄さの方が異常だったのかも。この近くの超大国は無視できない。経済危機以降の中国の「今」を地下から眺める一冊。 ■あらすじ 様々な視点から中国レポ
採点:★★★☆☆ 「イランってアラブの中でも大国だよな」と思っている人におススメ。 同じく新潮新書の イスラエル(拙ブログ) と併せて読めば、中東情勢の概観が理解しやすくなる。ブッシュJrに北朝鮮とひとくくりにaxis of evilと呼ばれた国の現状について解説した一冊。相変わらずAmazonの写真すらない。。。 ■あらすじ 毎日新聞テヘラン支局長として4
採点:★★★☆☆ 「イスラエルとアメリカって何で仲いいの?」という人におススメ。イスラエルを概観するのに適した一冊 イスラエル関連本は山ほどあるが、古代の人々の名前や地名がそもそも覚えにくくて中々頭に入ってこなかった。本書は過去の歴史は概観にとどめ、アメリカ(のロビー)との関係を中心に現在にスポットを当てており、同じく新潮新書の イランはこれからどうなるのか
採点:★★★★☆ 「官僚」の生態に興味がある人におススメ 日垣隆さんがツイッターで薦めていたので購入。著者である寺脇研氏は「ミスター文部省」「ゆとり教育の海の親」等とも呼ばれ、あまり良い評判を聞いたことがなかったが、そのようなレッテル張りには意味が無いとつくづく思った。本書では「官僚」がどのように考え、どのように行動する人たちなのかが丁寧に描かれている。 ■
採点:★★★★★ 国際機関、国際NGOに興味がある人は必読。「ボランティア」に胡散臭さを感じる人にもおススメ。 日テレの24時間テレビに関して、ネット上では様々な議論がされていた。擁護派からは、「やらない善意よりやる偽善」という言葉が出ていたが、「やる偽善」が常にその受け手にとってよい結果をもたらすとは限らない。現場、最前線で「貢献」を背負ってきた著者の言葉
採点:★★★★★ ぶっちぎりで面白い!!著者も言ってるけど、全ての産業人必読の書。皆におススメ あちこちのブログで話題になっていながら、Amazonではしばらく在庫切れだったのでやっと読了。著者の言うSY(数字読めない)、GM(現場を見ない)、KY(空気しか読めない)にならないためには、自らの目で見て、自らの頭で考えるしかない。本書を読んだらきっと、統計局の

採点:★★★★☆ 相変わらずの大前節。ビジネス書最近読んでないなーと思う人にもおススメ。 いろんな雑誌の連載をまとめた本なので、一つの大きなテーマに基づくストーリーとはなっていないが、どのトピックから飛ばして読んでも面白い。通勤などの空いた時間にぴったり。 しかし、この人は相変わらずネタが豊富だなー。高橋俊介さんや内田和成さんとお話したときも思ったけど、どん
採点:★★★☆☆ 官僚的組織に興味のある人にはおススメ。JALへ就職しようとしている就活生は必読 2010年学卒の就職希望ランキングでJALはなんと未だに16位( ソース )。世界の任天堂(70位)よりも全然上位にランクインしている。エントリーシート出す前に是非この本を読んで欲しいものだ。JALの誕生から悲惨な事故、組織の官僚化による内ゲバ、そして倒産までを
採点:★★★★☆ 分かり易い!!年金って何?もらえるの?得なの?どう改善すればいいの?と思っている人にはおススメ 現在の年金がどのような思想の基で設計・運営されているか、どのような問題点があるか、どのように改善すればよいかにQ&A方式で簡潔にまとめてある良書。このように複雑なシステムになってしまった原因である、作り手=官僚の理論も解説されている。しかし、何故
採点:★★★★☆ 中国を「大ぐくり」で知りたい人におススメ。トリビアも山盛りでつい人に話したくなる 中国を「貝の文化」と「羊の文化」の2つの面から大きく論じている。随所で日本との中国と日本の比較がなされており、日本についての新たな一面も見えてくる。 トリビアもたくさん。有形の財物に関わる漢字(例えば、財、賭、賞、貢)に「貝」が含まれているのは、存在が認められ
採点:★★★☆☆ 「日本人は・・・だから」とつい言っちゃう人にはおススメ。「日本辺境論」が好きな人は楽しめる 著者の本を読むのは、世に名作と言われている作品をばったばったとぶった切る「こころは本当に名作か」以来の2冊目。本書でもその攻撃スタイルは変わらない。「日本は特殊だ」と述べる様々な「日本人論」の矛盾、不整合性をこれでもかと突きまくる。日本の中でどのよう
採点:★★★★☆ 床屋政談好きにはたまらない一冊。パレート最適、乗数効果ってなんだっけという人にもおススメ。 本書のタイトルと表紙はミスリーディングである。サッチャーが表紙でこのタイトルだと、イギリスでのサッチャー政権の政策分析かと思ってしまった。内容は全然違って、経済学でコンセンサスが得られている内容から政策(後半は民主党のものに焦点を当てている)の妥当性
採点:★★★★☆ サラリーマンにはお薦め。床屋政談にも使えるネタがいっぱい。 俺は負けず嫌いだ。小さい頃からそうだ。自分でゲームのルールを創るのが好きだった。もちろん、自分が勝てるルールを。自分が負けるゲームは絶対にやらなかった村上世彰氏の気持ちがちょっとだけ分かる。 本書はどのような「競争」が良い結果をもたらすのか?どのような「競争」であれば、人々は、特に

書評を書くにあたり、この本だけは担当編集者に電話をし、出版意図を確認した。なにしろ著者は二人の人間を殺め、現在も無期懲役刑で服役中なのだ。著者が隠しているかもしれない、なんらかの目的に利用されてはならないと考えたのだ。 編集者がいうには著者は担当者を指名して、刑務所の中から原稿を送りつけてきたという。出版を決意したのは、面会などを通じて著者の更正が見てとれ、