
『漂流』平成の漂流事件、海で2度行方不明になった男
本書は、平成に起きたある漂流事件の詳細をつづったノンフィクションである。また、未解決行方不明事件を追うルポルタージュであり、沖縄における海洋民の成立と広がりを歴史的に考察する一書でもある。 1994年2月、一隻の漁船が連絡を絶った。沖縄のマグロ延縄船、第一保栄丸は、同年1月にグアムを出港、2月2日の無線を最後に連絡が途絶え、その後3月17日フィリピン沖、救命
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本書は、平成に起きたある漂流事件の詳細をつづったノンフィクションである。また、未解決行方不明事件を追うルポルタージュであり、沖縄における海洋民の成立と広がりを歴史的に考察する一書でもある。 1994年2月、一隻の漁船が連絡を絶った。沖縄のマグロ延縄船、第一保栄丸は、同年1月にグアムを出港、2月2日の無線を最後に連絡が途絶え、その後3月17日フィリピン沖、救命

ロビンソン・クルーソーのモデル、スコットランドの船乗りアレクサンダー・セルカーク。南太平洋の無人島に漂着した彼は、4年4か月を1人きりで生き延びた。彼が漂着した島はチリにあり、現在ではロビンソン・クルーソー島と名付けられている。著者・高橋大輔氏は、広告代理店の職を辞してセルカーク住居跡の発掘プロジェクトを推し進め、13年かけて遂にそれを発見した。そんな高橋氏

本書は、西日本新聞の女性投稿欄「紅皿」に寄せられた投稿のうち、42編を収録したものだ。西日本新聞は、福岡県を中心に九州で発売されている地方紙で、「紅皿」は敗戦から9年がたった昭和29年、「婦人の日日の明るい経験や意見、主張や(略)真実の声をほしい」という呼びかけのもと開設された。欄誕生から10年間に寄せられた約3千もの投稿のうち、戦争に関連する300余話から

本書は進学塾で講師として活躍した著者が、辞書、地図、図鑑を使って子どもの知的好奇心を刺激する、また知識を吸収し思考する力を育てる方法を指南した1冊である。リビングに辞書、地図、図鑑を置くことによって、すぐにその場で調べられる環境を整え、子どものアンテナが立った瞬間を逃さない。子どもの気が移ろわないうちに、世界との接点を強化し、またそこから話を広げることで知識

問題です。縦3ブロック、横4ブロックの板チョコがあります。このチョコレートを何回割れば12個の小さいブロックに分けることが出来るでしょうか。ただし、重ねて割ってはいけません。 ゲームです。 ① 1から9の数の中から1つの数を選んでください。 ② 選んだ数を2倍にしてください。 ③ その2倍した数に6を足してください。 ④ ③で出た数を2で割ってください。 ⑤

福岡県福岡市、介護施設の発行する雑誌がある。タイトルは 『ヨレヨレ』 。発行以来、九州は元より、各媒体で紹介され、ひそかに名を広めてきた雑誌だ。編集方針は「読んで面白い雑誌」。介護に縁のない人たちが読んで、「腹を抱えてげらげら笑ってもらえたら最高」、その内容は介護施設で起こったエピソードが中心だ。 発行元は社会福祉法人福岡ひかり福祉会が運営する 「宅老所より

この人を見よ。 縮みゆく出版市場、実家の倒産、東日本大震災…かずかずの苦難をへて、なお前進しつづけるそのバイタリティの秘密とは?地方で生きていくということ、そして本と人が出会うことの意味を問う、生ける伝説の書店員、初の著作! この本が入荷した日、東京、八重洲ブックセンター本店にはこんな文言のパネルが掲げられた。 この人を見よ。東京駅の前に位置する日本有数の有

虫とミステリ。なんと素晴らしい組み合わせであろうか。今回ご紹介するのは東化研株式会社会長、兵藤有生氏(監修・林晃史氏)による害虫事件簿だ。東化研は、環境衛生管理を施工、コンサルタントする企業で、特に害虫防除に実績のある企業だ。本書は、長年食品製造などの害虫防除に携わった著者の、害虫混入事件体験記である。 事件は決まって、事務所の電話のベルが鳴るところから始ま

先日、友人とカレーを食べに行った。和風の店構えに「インドカレー」の看板、だけどメニューにはパキスタンカレーと書かれている、たぶん、パキスタンカレーのお店だ。寿司屋を居抜きでそのまま使っているらしい。店内には小上がりもある。でもそんなことはどうでもいい。鮮烈なスパイス、油がたっぷり使ってあるはずなのに、後味は爽やかだ。うまい。35年生きてきたが、ジャパニーズ・

とにかくページを開くごとに、すげー!昆虫すげー!と叫んでしまう。私が昆虫好きということを差し引いたとしても、叫ばずにいられないような写真が続くのである。 本書は、自然写真家・海野和男氏による擬態昆虫の写真集だ。海野氏は東京農工大で日高敏隆研究室に在籍中、擬態に出会い魅了されたという。1970年から45年かけて撮りためられた写真の集大成が本書である。そうと聞く

チベットから富士山、北極までもっと行けるんじゃないか 極地における死の不安、水虫疑惑、性欲の不思議…極限の青春ノンフィクション この帯文だけで買ってしまった。やめてほしい。心惹かれる帯文で読者を釣るのは。だがしかし、本書に関しては、もっと煽っても文句はない。ノンフィクションの裏側を覗くことのできるこのエッセイ、とんでもなく面白い。もっと早く読めばよかった。い

私はきっと孤独死する。 書店に行って、経済や社会問題の棚へ向かう途中に、ふと目についた本があった。『遺品整理士という仕事』、と題された新書だ。その題名を見て、あ、そうだ、私はきっと孤独死する、そのことについて考えておかなくてはいけないではないか、と思った。 子どもたちが大学に行き、就職し、結婚するとしたら、子どもが生まれるとしたら、ないかもしれないけど、ある

歴史を知ることは面白い。自分たちが生きている世界、社会が持っているルーツを知る作業は、人に安心を与える。安心を得る作業であると同時に、驚きや教訓、閃きを得る手段でもある。そのことによって、現代の問題に対処しうることもある。歴史を知ることにはそんな有用性があるけれども、歴史を知れば知るほど、語られるそれらに対して、疑わしい何か眉唾めいたものを感じる。それは、歴

面白い。面白い。本当に心から面白い。 著者、北大路公子氏は過去フェミナ賞を受賞したこともあり、現在はエッセイストとして人気の文筆家。ウェブ日記「なにがなにやら」が評判となって2005年に寿郎社から出版された『 枕元に靴 ああ無情の泥酔日記 』(新潮文庫に 増補版 )、「全然売れてねー」にも関わらず、「だって俺の机のひきだしに、あの売れてねー本の残りの原稿が入

マイ茶室を持っているという方は挙手願います。 手、上がりませんよね?普通は持ってないですよね?例えお茶を習っていても茶室を持とうと思うことはまれではないかと思う。それが普通だ。スタンダードだ。多数派だ。招かれることはあるかもしれない、しかし所有するものではない、そうでしょう皆さん。しかし、ここにその希少な例がある。茶室作っちゃった人いたー!!しかもその茶室へ

とある夜、晩御飯の後、焼酎の湯割りを片手にいそいそとこたつに潜り込む。つまみは『証明の探究』、前回ご紹介した(HONZ活動記は こちら )『コミック 証明の探究 高校編!』の元となった本である。いや、本を読むのにお酒なんて、と思わないでほしい。いつもなら背筋を伸ばして読むのだが、「はじめに」で著者がこう書いてあるのである。 慌ただしい日常生活の余暇に、バラ色

11月11日、肌寒い中、JR大阪駅に着いた。休みを取っての日帰り旅行は、 Osaka Book One Project に選出された文楽小説の傑作 『仏果を得ず』 の著者、三浦しをんさんのトークイベントを拝聴するためである。 大阪に行くついでに、知り合いと会う約束をしていた。 『ドーナツを穴だけ残して食べる方法 越境する学問―穴からのぞく大学講義』 の出版元

小学生の息子と家に遊びに来ていたその友人たちに、青色LEDを知っているか、と聞いてみた。口々に知ってる!ノーベル賞!信号機!などと声が上がる。青色LEDに関する研究がノーベル物理学賞を受賞したことは、子どもたちの間でも周知なのだ。彼らはそれがどのような研究者によって、どのような経緯で開発されたのかは知らなくても、ライトや信号に使われている技術であることは知っ

この本は、一見すると科学書の読書案内である。「ドミトリーともきんす」という下宿屋に寄宿しているという設定で、著名な科学者たちが寮母のとも子、娘のきん子と語りあう。彼らの言葉をたどるストーリーの中で、彼らがどのように考えて研究していたのか、何が彼らを魅了していたのかが描かれる。登場する科学者は、朝永振一郎(物理学)、牧野富太郎(植物学)、中谷宇吉郎(物理学)、

美しい。あまりにも美しい。 淡く雪が降り積もった冬枯れのススキのような針ニッケル鉱。紺碧の星空を荒々しく千切りとったかのような銅藍。黄鉄鉱といったら、まるでそれは大小様々な立方体が体現する数学的な宇宙。 神の御業か、と思えるような造形は、しかし、原子配列の織り成す妙なのである。アンビリーバボー。 地球の岩石のほとんどは、わずか数種類の鉱物からできているという

「この花の里親になってください。」 学生服の女の子がそう言っているようだ。鮮やかなオレンジ色の花が印象的な表紙のこの本は、 青森県立三本木農業高等学校 動物科学科が行っている動物殺処分ゼロを目指す「命の花プロジェクト」の誕生を描いたノンフィクションだ。美しい、生き生きと咲く花は、学生たちによる鎮魂の祈りと、決意の込められた花だ。彼女らは、この花を愛犬家の集ま

首筋めがけてナイフを突き立てられそうになる。脱糞したアルコール依存症者を泥だらけになりながら背負って運ぶ。身元不明の遺体が出たと呼び出されることはしょっちゅう、ゴミ屋敷の清掃に6時間従事したりもする。 さて、こんなことをする仕事は何でしょう。答えは公務員です。 本書『実録!熱血ケースワーカー物語』は、関西の福祉事務所に勤務した元・ケースワーカーが記す、衝撃の

今ここに、数冊の文庫本がある。角川グループパブリッシング発行、どれも2011年3月以降に印刷されたものだ。私の目には、他の文庫本とそれほど違いはないように見える。軽く、柔らかい文庫本。しかし、印刷された物語とはまた別の、ある物語を秘めた本。今ここにあるこの本は、もしかしたら未曾有の大震災を奇跡のように生き残った紙で作られたものかもしれないのだ。 2011年3

どうも、書店員として、書店業界に関わる本をレビューするのは気まずい。ゆえにHONZに所属してから何冊も出版されてきたその手の本を読んで深く感じ入ったとしても、決してレビューは書かなかった。しかしながら今回は、読み物としてあまりに面白く、もしもこの本をご存知ないとしたらもったいないという思いを抑えかねてしまった。 『本の雑誌』という月刊誌がある。その名の通り、

マグロは時速100キロでは泳がない。マンボウとペンギンは同種の泳法を採っている。アホウドリは46日で世界一周するし、世界一のろい魚はサメである。 読み進めるうちにオロオロしてきてしまう。マグロといえば超高速で海の中を弾丸のように泳いでいくイメージがあったし、とぼけた顔のマンボウがまさか水族館のアイドル、ペンギンと同じ泳ぎ方をしているなんて想像できないし、地球

BMC、ビルマニアカフェ という団体をご存じだろうか。「月刊ビル」というリトルプレスまで出版している1950~70年代ビルを偏愛する5人グループで、大阪を中心に活動。 参加する設計士の高岡伸一氏は『 大大阪モダン建築 』を上梓するなど近代建築への関心で知られ、岩田雅希氏は東京R不動産と提携する大阪R不動産の運営元、株式会社アートアンドクラフト所属のリノベーシ

こんにちは。皆様いかがお過ごしでしょうか。紀伊國屋書店富山店、理工書担当の野坂美帆です。富山は今年、雪も少なく、ありがたいような寂しいような、矛盾した気持ちでおります。春にはまだ遠いですが、一月に入って理工書棚では動物学関連の新刊が花盛り。全部ご紹介したいところですがその一部をお伝えしたいと思います。 まずは『パンダが来た道』。著者のヘンリー・二コルズは、ケ

「進んでしまった時計の針を戻すことは出来ない。あの日、事件は起こってしまった。」著者、清水氏は思う。「だが、なぜだったのか?」普通のどこにでもいるような女子大生がストーカー被害の末殺害された、「桶川ストーカー殺人事件」。当時、雑誌「FOCUS」編集部に在籍した清水氏は、独自取材の末殺人犯を探し当て、埼玉県警上尾署の不祥事を暴いた。その一連の取材過程を記した前
HONZメンバーの田中大輔から突然、12月末に年間ベストを書け、と言われた。ええ、私、 12月のこれから売る本 の原稿を書いたばっかりだよ、と心中涙目だったのだが、なんとなく逆らえず、了解の旨伝えた。 そもそもある日田中が、ちょっとHONZってサイトに書いてくれない?と言ってきたときに、何も考えず、いいよーと返事をしてしまったのが迂闊だったのだ。その頃私は、

チャイルド・ケモ・ハウスという医療施設をご存じだろうか。小児がんに関する研究事業、啓発事業を行っている NPO法人チャイルド・ケモ・ハウス が設立した日本初の小児がん専門の治療施設である。この施設は「夢の病院」であるという。夢?いったいどういうことだろう。高度な先端治療を受けられる施設なのか。ファンタジー世界を現実化したような施設なのか。誰にとっての、どんな

雪のちらつく季節となりました。いかがお過ごしでしょうか。日本全国津々浦々、書店はサンタクロースのプレゼント応援部隊として毎日張り切って営業しております。つまり、一年で一番忙しい超繁忙期でございます。最近ではご自分へのプレゼント、と言って高額の図鑑をお求めいただいたり、うらやまし、じゃない、ありがたいことでございます。今月は科学の魅力をお伝えできる本をご紹介し

虐待。この言葉が、当たり前のようにニュースに流れるようになったのは、いつぐらいからだっただろうか。自分の保護下にある人や物に対して日常的に危害を加えたり、危害の脅威を感じさせたりすることを指している。 子どもに対する虐待は、児童虐待と呼ばれる。児童虐待の防止等に関する法律では、その定義を以下のようにしている。 ( 厚生労働省HP より) 一 児童の身体に外傷
いやしかし、こんなにエッジの効いた開発研究をすすめるJAMSTECの皆様。プライベートもちょっぴり知りたい。そんなわけで、ランチタイムに食堂へお邪魔してきました! なに食べようかなあ。おなかすいたー。オススメはありますか?と伺うと、広報・吉澤さん、僕はあまり利用しないんです、とのこと。こけっ 大学の食堂みたい。栄養のバランスがとれるよう配慮されているようです

HONZ活動記― JAMSTEC見学訪問1 - JAMSTEC見学訪問2 - JAMSTEC見学訪問3 「誰も測れないものを測るというのが僕の研究なんです。何かを探しに行く、というよりも、とってきたものを測る、というほうに僕は興味があるんです。」 HONZメンバーの前に現れた大河内直彦さんは、まず開口一番こうおっしゃった。ナショナルジオグラフィック日本版「

紅葉の季節、いかがお過ごしでしょうか。今月はどーんと趣味に走り、建築棚からオススメしてまいります。どうしよう。土木もいいけど、都市計画も、家具の本も、あ、造園、家づくり、照明、なんて棚の前で唸ってしまったのですが、独断と偏見で無理やり4冊に抑えましてございます。ドヤ顔失礼いたします。 まずは一番高額な『誰も知らない「建築の見方」』。建築図鑑って、本当に色んな

京都。女友達と湯葉を食べに行ったことが1回、書店員仲間と抹茶パフェを食べに行ったことが1回。えーと、修学旅行で京都に行ったかもしれない。そんな近くて遠い古都は今頃紅葉見物の観光客で賑わっているのだろうか。嵐山、大覚寺に照るモミジを思う。キンモクセイの香りが漂う中を、散策できるように道がつけられているのだろう。夜は湖面に鮮やかな月が映り込んでいるのだろう。魚の
興奮と充実感に包まれたまま会議室に戻ると、次はなんと海洋工学センター観測技術担当役・土屋利雄さんが直々にJAMSTEC技術開発の歴史をお話しくださるという。なんなんだ!贅沢すぎるじゃないですか!土屋利雄さんは、主に水中音響工学を研究なさっていて、科学技術長官賞にも輝いた実績を持つ海洋工学のエキスパートだ。JAMSTECでは探査技術開発に広く深く長く関わってこ

吉梅さんは、渋い作業服姿で登場。報道室・長谷部さんが、吉梅は制服でご案内する、と一言。テンションが上がる。別に、制服萌えの趣味はない。けれども臨場感が違う。ほんまに来ちゃってるんだな、JAMSTECに! まずは海洋工学実験場内の高圧実験棟へ。タンクの中で圧力をかけ、物質がどのように変化するのかを実験する。海の中へ潜るということは、つまり水圧を受けるということ

9月5日、夜行バスを降りると、弱い雨が降っていた。新宿中央公園から都庁の脇を抜け、JR新宿駅を目指す。前日、慌てて終わらせてきた本業の仕事の仕上がりが気にかかる。頭の中で修正点をいくつか挙げながら、手はスマートフォンを弄りGoogleマップで現在位置を確認。よし、今日は迷ってない。無事新宿駅から品川を目指す。 品川から京急に乗り換え、JAMSTEC横須賀本部

HONZをご覧の皆様、こんにちは。すっかり秋めいてまいりましたね。いかがお過ごしでしょうか。富山では夜は長袖でないと寒く感じられるほどです。こちらには梨の産地がございまして、おいしいシーズンでございます。 さて今月は、ちょっと生物の棚へ戻って、進化に関連した書籍をご紹介いたします。 まずは『進化する魚型ロボットが僕らに教えてくれること』。最初に申し上げたいの