
真打ち登場!テレビを見るならこれを読め『新型コロナウイルスを制圧する』
「待ってましたっ!」思わず声を掛けたくなる1冊だ。ウイルス学の泰斗中の泰斗、東京大学医科学研究所教授の河岡義裕教授による新型コロナウイルスの解説書である。ただし、最初に書いておく。この本は、新型コロナウイルス感染症がどう制圧されていくかを示す預言の書などではないということを。 新型コロナウイルスとはどういうウイルスなのか、現状で何がわかっていて何がわかってい
(2024年当時)
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「待ってましたっ!」思わず声を掛けたくなる1冊だ。ウイルス学の泰斗中の泰斗、東京大学医科学研究所教授の河岡義裕教授による新型コロナウイルスの解説書である。ただし、最初に書いておく。この本は、新型コロナウイルス感染症がどう制圧されていくかを示す預言の書などではないということを。 新型コロナウイルスとはどういうウイルスなのか、現状で何がわかっていて何がわかってい

『つむじまがりの神経科学講義』、どこかで聞いたようなタイトルである。ベストセラーになった拙著『こわいもの知らずの病理学講義』のパクリとちゃうの、と思った人、正解です。出版社は同じく晶文社で担当の編集者さんも同じ。それに、もう定年になられたが、著者の小倉明彦先生はかつての同僚教授である。 あとがきで、魚の縞模様を専門とするストライプ・近藤こと近藤滋教授と私を科

偉い人がいたものである。江戸時代、文政年間から大正元年まで生きた医師・ 関寛斎 。あまり有名とはいえないが、その人生はすごいの一言だ。 上総の農家に生まれ、儒家に養子として入り、世の中の役にたちたいと、蘭方医学の塾兼診療所であった 佐倉順天堂 に学ぶ。とりわけ貧しい塾生であったが極めて優秀で、塾の創始者・ 佐藤泰然 の弟子として、手術などの記録を「 順天堂外

新型コロナウイルス、誰一人として影響がなかった人はいないだろう。しかし、その影響の受け方は、それぞれの人によって違う。いまさらながら、そのことがよくわかった。 緊急事態宣言が出された4月7日あたりから、ゴールデンウィークの頃まで。 総勢77名 の人たちによる日記である。どのように依頼されたのか、どのように編集されたのかは定かでない。ひとりあたりのページ数は似
これまで大きな病気をしたことがない。もちろん入院経験はゼロ。それどころか、風邪と下痢をたまにするくらいで、インフルエンザに罹った記憶もない。63歳にもなってこれではちょっとあかんのと違うか。 友人に聞いたら、なんやかやと薬を飲んでいるのが多い。そうか、薬を飲んだらひょっとして一人前になれるかもと、中性脂肪の値がボーダーくらいなので、高脂血症治療薬を処方しても

高度に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない。英国のSF作家アーサー・C・クラークの言葉である。身の回り、本当に魔法だらけだ。 魔法中の魔法といえば人工知能だろう。色々なタイプの人工知能の基本的な原理と、それらがどのように開発されてきたかについての本が、『スマートマシンはこうして思考する』である。 トップは、米国の国防高等研究計画局が主催した自動運転のコン

本屋さんに行っても絶対に手に取りそうもない本が送られてきた。それも、人生論やのに、タイトルが『あなたは酢ダコが好きか嫌いか』とは、どういうこっちゃねん。と、訝りながらパラパラッとめくり始めたが最後、あまりに面白くて、文字通り一気に読み切ってしまった。 佐藤愛子さんと小島慶子さんの往復書簡だ。佐藤愛子さんのご本は読んだことがある。しかし、小島慶子さんは名前も存

マル経=マルクス経済学が復活の兆しらしい。そんな話を、半年ほど前、内田樹先生から聞いた。なんでも、石川康宏氏との共著『若者よマルクスを読もう(略称:若マル)』シリーズがけっこう売れているというのだ。それだけだと、ふ~ん、という感じなのだが(ウチダ先生、ごめんなさい)、経済学がご専門の先生も同じことをおっしゃっていた。 マルクス主義に基づいた社会主義国家がこと

大阪大学医学部で病理学を教えている。使っている教科書は Robbins Basic Pathology(ロビンス基礎病理学)の原書、世界一の定番教科書である。そのうち一章がEnvironmental and Nutritional Diseases(環境と栄養による疾患)に割り当てられていて、トップが Health Effect of Climate Cha

世間様のあれこれについて、なんとなくこうなってるんやろうなぁと思っていることは多い。ただ、それは、身の回りで見聞きしたことに、ニュースなどから得た知識を加味した漠然たるイメージでしかない。いったいそれって正しいんやろうか。 厳密に調べ上げるのは不可能だろうが、およその傾向ならわかるかもしれない。しかし、そのための調査があるとは知らなんだ。2007年からおこな

おおよそ世の中の中高年男性というのは、衣服を買いに行くのが苦手とちゃうんか。自分がそうだから、そう思うだけかもしれない。しかし、いつも買いに行くお店、たいがいが奥さん、あるいは、奥さんとおぼしき人と買いに来てるおっちゃんが多い。もちろん、わたしも妻についてきてもらう。 スーツやブレザー、パンツ、シャツ、思えば、ほとんどがその店である。特に似合うからとかいうよ

大学入試改革についての議論がにぎやかだ。現行の制度に多くの問題があることは間違いない。それ以前に、そもそも大学入試が目的化している教育の現状こそが問題ではないのか。 『だれもが<科学者>になれる』という書名を見た時には驚いた。科学者という生業はそんなに甘くないぞ。しかし、内容は、職業としての科学者ではなく、米国の小学校でおこなわれている「探究理科」教育につい

生活習慣病だけじゃなくて、がんや認知症の予防にまで適度な運動が望ましいとされてるらしいけど、適度な運動っていったいどれくらいやのん?よく受ける質問だが、どう答えたらいいかわからない。 ウォーキングがいいという噂なので、個人的には、3~4年前から1日1万歩を心がけている。雨の日や家に引きこもりの日もあるが、年間平均で1日あたり1万歩を超えていて、まぁ、ええ感じ

この本、HONZの、そして新潮社の編集者でもある足立真穂から送られてきた。ドミニク・チェン、最近、ときどき目にする名前だが予備知識はまったくない。「ドミニク・チェンって何者なん?」とメッセージを送ったら、「それを聞かれるので書いてもらった一冊です」と返事が来た。さすが敏腕編集者、あざといことを言う。 そして読んだ。ドミニク・チェンが何者かがわかったかと尋ねら

立花隆 といえば、誰がなんと言おうと言おうまいと『宇宙からの帰還』である。立花隆の最高傑作というだけでなく、日本のノンフィクションとして、他を全く寄せ付けない、世界に通用する空前絶後の作品だと断言できる。 1983年に出版されたその本以来、立花隆の本を何冊読んできたかわからない。それに、露出の多い人なので、ある程度のことは知っていると思っていた。しかし、この

大阪にいると、ほとんどちくわぶなるものを目にすることもなければ、耳にすることもない。もちろん、口にすることもない。基本的にチャレンジャーなので、一度は食べてみるべきだ。と思ったわたしがアホでした。 名前から、竹輪と麩の中間的なものかと塑像していた。普通、そう思いますわな。竹輪は全国的におでん種として使われているし、麩は地域限定的かもしれないが、金沢おでんの車

日本の伝統芸能である歌舞伎、文楽、能・狂言、演芸、それぞれから3人ずつ、計12人の「若手」が語り尽くしたインタビュー集である。 若手といっても年齢はかなりばらついている。平均年齢は38歳だが、歌舞伎の八代目市川染五郎の14歳から、文楽人形遣いの吉田玉助の53歳まで。 歌舞伎界からは染五郎と共に、尾上松也、中村壱太郎で、それぞれ34歳と29歳である。他に比べて

『エイズの起源』(みすず書房)や『完治』(岩波書店)など、エイズ関連の優れた図書はたくさんある。その多くは、現代医学がエイズという病気に一丸となって取り組み、克服してきたかの成功物語である。 抗HIV薬が開発され、感染してもエイズの発症を抑えることができるようになった。1981年に最初の症例がNEJM(ニューイングランド医学雑誌)に発表されてわずか40年たら

この本が送られてきた時、腰が抜けるほど驚いた。あの栗下直也が徳を説くというのだ。すでに レビュー を書いているアーヤ藍ならずとも、栗下を知っている人なら全員が驚愕反応を示すはずだ。もちろん、日本中で栗下を知っている人はそう多くないだろうが、知らない人も同じくらい驚いていただきたい。 なにしろ、栗下といえば酒である。それしかない。HONZで飲み会があると、その
徳田虎雄。その名を聞いたとき、どのようなイメージが思い浮かぶだろう。医療に風穴をあけた風雲児、潤沢な資金をバックにした金権政治家、あるいは、難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)と闘う患者だろうか。それは世代や立場によって大きく異なってくるに違いない。いや、そもそも若い人には、その名さえ知られていないかもしれない。 まったくの徒手空拳から、昭和48年、大阪の松原

青山ゆみこは数多くの本の出版に携わってきた知る人ぞ知るライターだ。著者として出版した第一作、ホスピスでの「リクエスト食」をめぐるエピソードを綴った『人生最後のご馳走』を読めばその人柄がわかる。やさしくて聡明。誰もがそう思うだろう。 わたしが知る青山ゆみこもそうであるし、周りの皆にとってもそのはずだ。確かに今の青山ゆみこはそうである。しかし、どうやら昔の青山ゆ

医学部を卒業して40年近くになります。その間に医学は飛躍的に進歩し、昔だったら治らなかった病気も治せるようになってきました。「人生100年時代」と言われるようになったのも、そのおかげです。 ただ、大きく進歩した分、医療はとても複雑になりました。ある病気に対して、選べる治療法が増え、薬の種類も多くなっています。私は大阪大学医学部で病理学を教えているのですが、今

日本の科学は失速している。一昨年の3月、ネイチャー誌に掲載されたレポートは大きな反響を呼んだ。一般の人たちには驚きを持って迎えられたようだが、多くの研究者にとっては、やはりそうかという感じであった。 『誰が科学を殺すのか』は、企業の「失われた10年」、「選択と集中」でゆがむ大学、「改革病」の源流を探る、海外の潮流、の4章から構成されている。毎日新聞に掲載され

海賊が跋扈するため、ソマリア沖ではマグロ漁ができなくなっていた。そこで漁をすれば一網打尽、一攫千金だ。しかし、そのためにはロジスティクスも安全も確保しなければならない。巨額の資金による、飛行場付き、傭兵が警護する完全武装の漁業基地建設が始まった。 全米で多くの医師や薬剤師がオンライン薬局での処方薬販売にかかわっていた。違法ぎりぎりの取引に気づいた麻薬捜査官に

なるほど、これが教育というものなのか。 Education is what remains after one has forgotten what one has learned in school. 教育とは、学校で学んだことを忘れた後に残るものをいう 大学の医学部で教えているが、講義の最終回に伝える言葉のひとつだ。アルバート・アインシュタインの名言であ

恐竜についてまったく興味がないという人は珍しいだろう。地球上にさまざまな巨大生物が大量に跋扈している時代があったと思うだけでワクワクしてくる。 しかし、現在知られている恐竜たちは、子どものころ図鑑で見たイメージとはかなり違う。羽毛に覆われた恐竜がいたとか、鳥は生きた恐竜であるとか、まるでウソみたいだ。 これは、「恐竜化石の大発見時代」になり、さまざまなことが

円谷幸吉 、ある年齢以上の人にとっては決して忘れることのない名前だ。東京オリンピックのマラソン、二位で国立競技場に戻ってくるが、イギリスの ヒートリー に抜かれ惜しくも三位に。1968年のメキシコオリンピックを目指すが、その年の1月、両刃のカミソリで頸動脈を切って自殺する。 父上様、母上様、三日とろろ美味しゆうございました。 干し柿、餅も美味しゆうございまし

たかのてるこ、『生きる』シリーズ第二作である。たかのてること言われてもピンとくる人は少ないだろう。しかし、『ガンジス河でバタフライ』の原作者といえば、一定以上の年齢の人にはイメージがわくかもしれない。長澤まさみ主演のテレビドラマになったノンフィクション旅行記である。 大阪の超名門・北野高校から日大芸術学部へ進学。「人にどう見られるかばかりを気にしてしまう、『

待ってました!敬愛する出口治明さんがこの本を出されると聞いて、まずそう思った。『全世界史』などで十二分に楽しませてもらった知的興奮をもう一度味わうために、これほどのテーマはあるまい。 しかし、ご恵送いただいて、しばらくは机の上に飾っていた。もったいないから、ではない。こういった本は一気に読むべきだと考えたからである。出口さんのことだから、一本の道筋にそった論

パイオニアはすべからく苦悶するのだろう、「明日にならねば、開かぬ扉がある」と。『 緋の河 』は、ニューハーフの新時代を切り開いたカルーセル麻紀をモデルにした、直木賞作家・桜木紫乃による小説だ。 釧路に生まれた主人公・秀男は、女の子よりもずっと可愛いといわれる色白の子どもだった。だが、小学校でつけられたあだ名は「なりかけ」、女になりかけ、という意味である。 そ

重慶大厦=チョンキンマンションをご存じだろうか?知る人ぞ知る香港の九龍・尖沙咀地区にある個人住宅がメインの複合ビルで、香港の魔窟と呼ばれることもある。 ウィキペディア によると、そこには、南アジア・中東・アフリカなど、さまざまな国の出身者によるコミュニティーがあるらしい。そして、香港在住のタンザニア人たちも、夜な夜な何をするともなく集まってくる。 チョンキン

HONZ代表の成毛眞は間違いなくある種の天才である。マイクロソフトジャパン社長時代の数々の伝説は言うにおよばず、このノンフィクションレビューサイトHONZにしたってそうだ。思いつきがやたらとおもしろい。 そのひとつに『表参道パルプンテの会』というのがあった。2017年の9月から1年間の期間限定で開催された秘密のパーティー(?)である。その目的は、「研究者、一

酒の上での失敗。私も含め身に覚えのある人が多いだろう。思い出すたび情けないが、そんな気持ちも栗下直也の『人生で大切なことは泥酔に学んだ』を読めば、自分はまだましなほうだと、間違いなくやわらいでくる。 各界有名人総勢27名のとんでもない泥酔エピソードが紹介されている。どれもすごいが、酒乱スケールの大きさでは、第二代内閣総理大臣・ 黒田清隆 の右に出る者はおるま

単行本「なかのとおるの生命科学者の伝記を読む」を出版してから早くも八年。思いがけず文庫化のお話をいただきました。あちこちに講演や講義でお呼びいただいた時に、けっこう「先生の伝記の本、面白かったです」と声をかけてもらえたり、サインをお願いしますと頼まれることがあって、ほんとうにありがたいことだと思っています。 何を書いたか忘れてしまっていることが多いことには、

まずは質問に答えてほしい。年齢や経歴によって答えられないものもあるかもしれない。それでも、ざっと眺めてほしい。 ・子どものころの夢は? ・駆け出しのころ役だった(または無視して正解だった) アドバイスは? ・仕事場のお気に入りポイントは? ・キャリアや仕事のために払った最大の犠牲は? ・あなたにとって成功とは? ・夜眠れなくなるような不安や悩みはある? ・1

大阪という町、世間ではどんなイメージで見られてるんでしょう?「お笑い」、「こなもん」、「ヒョウ柄のおばちゃん」、「えげつない」、「ガラ悪い」、とかでしょうか。 たしかにテレビでは吉本の芸人さん達が大阪弁で笑いをとりまくってます。それに、どうしてかわかりませんが、と~きょ~もんであっても、アホなことを言うたり、エロいことを言うたり、あるいは、ケチ臭いことを言う

『みんなの学校』をご存じだろうか?「ふつう」の公立小学校、 大阪市立大空小学校 のユニークな取り組みを紹介したドキュメンタリーのタイトルである。最初は2013年に 関西テレビのドキュメンタリー として放送され、2年後には 同名の映画 にもなった。 2006年に設立された大空小学校の初代校長・木村泰子は「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに全力

どうしてもアマゾンで本を買うことが多いが、やはり本屋さんへもでかけねばならない。いきなりこの本が目に飛び込んできた。はぁ?『キリン解剖記』?? なんじゃそら。経験上、この手の本はあたりはずれが大きい。いったい誰が書いているのかと著者紹介を見ると、なんと女性の写真が… 郡司芽久、きっと「ぐんじナントカひさ」という名前だと思ったのに「ぐんじめぐ」らしい。キリンの

『こわいもの知らずの病理学』(略称『こわ病』)で一発あてたので、調子をこいて病理学シリーズの本をだしました!という訳では決してない。だいたい、自分の本とちゃうし。 かといって関係がないかというとそうでもない。『なかのぐら対談』として、わたしと著者の小倉先生との対談が二ヶ所に載っている。念のために言っておくが、対談は印税制ではなくて謝金制である。だから、この本

2017年3月27日に発生した 那須雪崩事故 、といってもわからないかもしれない。しかし、栃木県立大田原高校の生徒7名と指導教員1名が死亡、40名が負傷した雪崩事故、というと記憶しておられる方も多いだろう。その事故の原因に鋭く切り込んだのがこの本だ。 春山での積雪直後、スキー場近くでの雪崩による8名もの死亡。少しだけれど雪山の経験がある。判断や指導は十分だっ