ノンフィクションはこれを読め!

土屋 敦の記事

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学生メンバー応募レビュー『市場対国家』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

学生メンバー応募レビュー『市場対国家』

HONZ学生メンバー合格者が応募の際に書いたレビュー。最後は刀根明日香さんのレビューです。 政治家ってどんな人? 日本の政治家みたいにどうせ国家議員の息子が国家議員になるのでしょ? その中から首相が生まれるのでしょ? だから日本なんて変わりっこないのね。私が高校まで持っていた政治のイメージは、ニュースを観るようになった今でも変わらない。いくらCHANGEを叫

『ピュリツァー賞 受賞写真 全記録』 新刊ちょい読み 書影

社会 / 新刊超速レビュー

『ピュリツァー賞 受賞写真 全記録』 新刊ちょい読み

有名な報道写真がまとめて見られ、文章で時代背景も解説されている。20〜21世紀を概観するのに手頃な一冊と思い、気軽にページを眺めるつもりで読み始めたが、思わずじっくりと読み込んでしまった。 写真自体があまりに力強いのだ。写真の持つ物語が深く、ずっしりと重い。添えられた解説も適度に詳しく、写真を見ながら、いちいちもの思いに耽ってしまう。人の憎しみと苦しみ、たく

学生メンバー応募レビュー 『時計の社会史』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

学生メンバー応募レビュー 『時計の社会史』

今週末も、HONZ学生メンバー合格者が応募の際に書いたレビューを掲載します。 一色麻衣さんのレビューです。 たった五分でも遅刻したら、待ち合わせの相手はあまりよい顔をしない。ビジネスの場面ではありえない醜態だし、友人相手でも失礼に当たる行為だ。現代の私たちにとって、時間を区切って行動することは自明の理だが、それはいつ頃からの習慣なのだろうか。この本では、あま

これは罪である。『見て見ぬふりをする社会』 書影

おすすめ本レビュー

これは罪である。『見て見ぬふりをする社会』

正月早々、2日酔いと体調不良でこの原稿を書いている。ただし、いくら辛くても読書はやめない(しかし代表は「本絶ち」を実行しているらしい)。飲む前に読み、飲んでいても読む。飲んだあとも読むのだ。 しかし、酔っ払った後、苦しみながらもなぜ深夜から明け方にかけてこの原稿を書いているのか、今日までに書かねばならぬことも、あれだけ飲めば苦しくなることも、全部わかっていた

2011年 HONZ 今年の1冊 書影

HONZ今年の1冊

2011年 HONZ 今年の1冊

本に限らず、年末になると「今年のベスト」を選ぶ企画が登場する。HONZもこれにならって、ベスト本を選定しよう、ということになった。なにしろ(かなりダブりはあるものの)メンバー全員で年3000冊以上は目を通している。相当に良い選本ができるはずだ。 ところが、いずれも本へのコダワリがあまりに強すぎる変わり者であるがゆえ、1冊どころが10冊に収めることさえ難しい、

学生メンバー応募レビュー『なぜ意志の力はあてにならないのか』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

学生メンバー応募レビュー『なぜ意志の力はあてにならないのか』

昨日に続いて、HONZ学生メンバー合格者が応募の際に書いたレビュー。今日は、塚越啓樹さんです。 著者は米国のジャーナリストであり、エッセイスト。読みやすさ抜群、且つ贅沢な内容、この一冊で脳科学、神経科学、生物学、文学、宗教、政治、社会、心理などひと通りの学問の世界を旅することができる。 私たちは誰しもが皆、(悪いと頭でわかっていても)自身の内部にある欲望に忠

学生メンバー応募レビュー『おれは伊平次』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

学生メンバー応募レビュー『おれは伊平次』

今週と来週の週末、HONZ学生メンバー合格者が応募の際に書いたレビューを掲載します。 まず最初は、井上卓磨さんのレビューです。 本書の著者、神坂次郎氏は、徹底した資料収集と丹念な現地取材によって歴史の中に埋もれた無名の人間に光を当て、その自由闊達な生き様を紹介してくれる、さながら歴史のキュレーターのような存在である。氏の著作によってキュレーションされた人物と

『牡蠣と紐育』ー美食と欲望と汚染の「ビッグ・オイスター」史 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『牡蠣と紐育』ー美食と欲望と汚染の「ビッグ・オイスター」史

先日「新刊ちょい読み」で 成毛眞が紹介 し、在オーストラリアの久保洋介も 「今月読む本」 で紹介していた一冊。決してメジャーとは言えないテーマの本だがどこか本好きを惹きつけるものがある。 牡蠣がニューヨークの湾内に生息するようになったのは 紀元前1万年であり、1609年にイギリスの探検家・ヘンリー・ハドソンがニューヨークにたどり着くずっとずっとず〜っと以前の

人間は極めてスペックが低い装置である 『わたしを宇宙に連れてって』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

人間は極めてスペックが低い装置である 『わたしを宇宙に連れてって』

著者は、アメリカではベストセラー連発のサイエンス・ライター。サイエンスといっても真面目で骨太な作品をものすのではなく、センス溢れる文章に笑えるコネタを挟み込み、実にアメリカっぽいレトリックで軽快に語る楽しい作品を生み出してきた。取り上げてきたテーマも変わっていて、まずは 死体 をめぐるルポを書き、続いて 霊魂 そして セックス ときて、今度は「宇宙開発」であ

『アラン・デュカスのナチュールレシピ』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『アラン・デュカスのナチュールレシピ』

商売柄、書店で料理書コーナーは必ずのぞくが、平台に一際高く積み上げられていたので(当たり前だ。厚さが41mmもある)、思わず手に取った一冊。 まず、いかにもフランスっぽいイラストを使った、日本の料理書にはないデザインにぐっとくる(amazon.frで確認すると原書に忠実な模様)。いまどき珍しく函入りだが、日本の高額な料理書のように高級感を醸したいがため、とい

『サッカー非公式世界王者の歴史』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『サッカー非公式世界王者の歴史』

先日、学校でサッカーをして帰ってきた小学校1年生の息子に、「今日本が世界で一番強いんでしょ」と聞かれた。「もちろん」と力強く答える私。 そう、2010年10月8日、サッカー日本代表A代表は、世界の頂点に立った。 1998年、アルゼンチンを相手に日本サッカー史上初めてのタイトルマッチに挑み、0-1で退けられて以来、フランス、スペイン、オランダと三度の世界戦に敗

『種子のデザイン』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

『種子のデザイン』

季節はずれの話題で申し訳ないが、畑で完熟させたスイカはめちゃくちゃうまい。皮に近い白い部分が薄くなり、あとはすべて赤く熟し、濃厚な味わいで甘い。すなわち、皮に近い部分がかじっても、瓜っぽい、青臭い味はせず、中心部と同様に甘いので、皮ギリギリまで幸福な気持ちで食べることができる。 店には出回らない。畑をやっている人間だけが味わえる贅沢、ということで、我が家でも

著者インタビュー 『ダチョウ力』 塚本康浩氏(その2) 書影

生物・自然 / 著者インタビュー

著者インタビュー 『ダチョウ力』 塚本康浩氏(その2)

<「インタビュー(その1)」はこちら 先週末にお届けした『ダチョウ力』の塚本先生のインタビューの続きです。何しろ三連休の最終日の夜です。誰も読んでくれないかも知れませんし、読むと明日仕事に行きたくなくなるかも知れません。でもアップします。『ダチョウ力』はその後amazonでの新刊は在庫切れとなってしまいましたが、他のネット書店やリアル書店では購入可能なはずで

『日本の分水嶺』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

『日本の分水嶺』

著者の名前に見覚えのある人はいるかも知れない。日本のファシリテーションの第一人者であり、 『ファシリテーション入門』 をはじめとし、その分野の本をいくつも出している。 その彼のもう一つの肩書き(?)は「分水嶺ハンター」である。 雨となって落ちてきた水が、異なる水系に分かれていく境界のことを分水界といい、それが山の稜線に沿っていることが多いため、分水嶺と呼ばれ

著者インタビュー『ダチョウ力』塚本康浩氏(その1) 書影

生物・自然 / 著者インタビュー

著者インタビュー『ダチョウ力』塚本康浩氏(その1)

HONZの元となった本のキュレーター勉強会が立ち上がる少し前、われわれ「キュレーター見習い」のあずかり知らぬところで、成毛眞と書評家の東えりかが密会(?)した(らしい)。そのときに二人の間でおもしろかった、と意見が一致して大いに盛り上がった一冊の本がある。それがこちら、である。 装丁も最高にいいし、内容は文句なく面白い。 成毛のレビュー には、2009年の「

『チェリスト、青木十良』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『チェリスト、青木十良』

チェリスト、青木十良が88歳のときから録音を始めたバッハの 無伴奏チェロ組曲 を聞いたときの驚きは忘れられない。 艶やかで密度の濃い音楽だけが、ある。そして90歳代に入ると、もはや「音」だけしかない、という境地に至る。まわりのすべてのものが消えて、世界に音しか存在しなくなる、と言ってもよいかも知れない。そして、透き通るようでありながら「存在感そのもの」ともい

「超ニッチなマニュアル本」ベスト3冊 書影

マニアックな3冊

「超ニッチなマニュアル本」ベスト3冊

新刊をチェックしているとき、妙に読者対象が狭いマニュアル本を見つけると、つい「ほしい物リスト」やら「あとで買うリスト」に入れてしまう癖がある。今回は、それを見直しつつ選んだ珠玉(?)の3冊。 まずは、なるべく新刊から、ということで、こちら。 世界や日本の献体の実情や献体の歴史、解剖実習の実際なども紹介していてかなり面白いのだが、献体登録の方法や献体団体の総会

『君は隅田川に消えたのか』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『君は隅田川に消えたのか』

版画家・藤牧義夫。美術史においてさして有名な作家ではないが、本読みの方なら、もしかしたら洲之内徹のエッセー、『気まぐれ図書館』シリーズの「中野坂上のこおろぎ」、「夏も逝く」、そして同シリーズの絶筆となった、「一之江・申孝園藤牧義夫」で取り上げられた版画家として覚えている人もいるかも知れない。 本書は、その洲之内も登場し、夭折の芸術家・藤牧義夫の謎を追ったノン

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教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ご先祖様はどちら様』

実は高橋秀実さんの本は、おそらくほとんど読んでいる。しかしながら、経験的に言えば、その面白さを人に伝えるのは実はなかなか難しい。 面白いよ、と言って直接本を読むことを勧めれば、大抵の人はすごく面白かった、と言ってくれるのだが、どう面白いのかを言葉では説明しづらいのだ。 読みながら何度もふきだしてしまうのだが、爆笑を誘う風ではない。 そこはかとなく面白い。 し

『乾燥標本収蔵1号室』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

『乾燥標本収蔵1号室』

先日、飲んでいる最中に電話が鳴り、某誌編集者から、いきなり翌日締切りで書評原稿を書いてくれ、と言われてしまった。うっかりして、依頼を忘れていたらしい。そのとき読んでいたのがちょうどこの本。 というわけで、この本は、そもそもこのブログ書評のために読んでいたのだが、急遽雑誌にも書くこととなった。同じ本を二度取り上げることになったが、ご容赦を。 著者は、 『 Tr

『ハウス・オブ・ヤマナカ』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『ハウス・オブ・ヤマナカ』

科学ノンフィクションを除いて、日本のノンフィクションは、世界的に見て非常に優れていると思う。 一般書であっても、取材によって得られた事実や史料の扱い方が誠実で、読者が作品の背後にあるそれらの事実まで、リアルに届くことができるからだ。 乱暴な言い方だが、海外ノンフィクションでは、それらの史料そのものが持つ魅力や事実の力を、著者自身の優れた(と著者自身が思ってい

『かぜの科学』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『かぜの科学』

(副作用を伴いつつ)症状を和らげる薬はあっても、風邪を治す薬は今のところない。昨年出た『代替医療のトリック』という本には、エキナセアというハーブに、ほぼ唯一、少し効果がある、というエビデンスが見いだせるとあったはずだが、本書ではより改良された最新の研究では効果がない、と断じている。 その意味で、現在の風邪薬も、本書でも触れられているような、ギリシア時代のネズ

『妄想かもしれない日本の歴史』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『妄想かもしれない日本の歴史』

きっかけは、『信長革命』。 第一回本のキュレーター勉強会 で、 東えりか さんが「一押し」として紹介して下さって読むが、なるほど面白い。 桶狭間の戦いの奇襲や長篠の戦いでの鉄砲三段撃ちなどのいくさの天才ぶりや、エキセントリックな気性など、個人としての資質や性格が描かれてきたこれまでの信長のイメージとは違い、「まつりごと」の総合的な形を「安土幕府」として提示し

『閃け! 棋士に挑むコンピュータ』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『閃け! 棋士に挑むコンピュータ』

昨年10月、清水市代女流王将(当時)とコンピュータ将棋「あから2010」が対戦した。誰もが指摘せずにはいられない「あからのキャラクターの(別の意味での)すごさ(こちらや こちら をご参考に。本書の表紙のとギャップが……)を含め、対戦当日は、twitterでも#vsComshogiのハッシュタグが大いに盛り上がり、TLに熱を帯びたtweetが次々と流れ込んでき

『純減団体』書評 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『純減団体』書評

年明け早々、極めて印象深い、奇妙な本に出会ってしまった。 本の題名にもなっている「純減団体」とは、死亡数が出生数を上回り、同時に転出数が転入数を上回っている地方自治体のこと。少し大げさな言い方をすれば、住民が続々と死に、子どもは生まれず、人々が次々に出てゆき、また新たに引っ越してくる人が少ない町、という感じ。まさに廃れ寂れ、希望の見えない市町村のことだ。 日

『警察の誕生』 書評 本のキュレータ 勉強会 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『警察の誕生』 書評 本のキュレータ 勉強会

近代以前、国家運営のコストは極めて抑えられていた。もちろん警察も例外ではなく、末端警察官は薄給にあえぎ、膨大な仕事に翻弄されていたという。 本書は、和洋を問わず、まずはそんな警察官たちの実態が語られる。江戸時代、薄給の下級官吏たる同心は、膨大な業務をこなすため、時代劇でおなじみの「目明し」や「岡っ引き」を雇う。薄給の同心が払える額はたかが知れているので、「目

著者インタビュー タイツくん 松岡宏行さん(後編) 書影

著者インタビュー

著者インタビュー タイツくん 松岡宏行さん(後編)

でかすぎるイメージを持たなければ一歩踏み出せる 都心にでかいオフィスを持つ起業って大変だよね。たぶん自分の金じゃ出来ないです。出資者のところを事業計画書を持って回って、人に何百万円も出資してもらうなんて、とてもじゃないけど俺はできない。 だって、自分しか信用できないことにこそ賭けたいから起業するんでしょ? ぱっと説明して、人が賛同してくるようなアイデアっても

著者インタビュー タイツくん 松岡宏行さん(前編) 書影

著者インタビュー

著者インタビュー タイツくん 松岡宏行さん(前編)

タイツくん 哀愁のジャパニーズドリーム 週刊SPA!などの雑誌メディアでおなじみの タイツくん 。名前を知らなくても、一度見たら忘れない全身タイツ姿のイラストに、仕事や恋愛の本質をピンポイントで突くひと言が添えられた励行カードを覚えている人は多いと思います。 本書は、イラストレーター高橋潤と共にタイツくんを生み出した、松岡宏行さんの起業の経験を語ったもの。