講演資料(2011年頃)
2011年ころに講演したときのパワポである。テーマは本の読み方なんだけど、前段の自己紹介が長い。さらに後段では本に全く関係がない運鈍根だのについて語っている。きっと聴衆はわけが分からなかったであろう。知ったことではない。いつでもオレ流なのだ。 講演内容をまとめてみよう。 聡明そうに見える子供だった(はずだ)が、小学校ではまともに座っていることができないので授
HONZ代表
(2024年当時)
583記事
2011年ころに講演したときのパワポである。テーマは本の読み方なんだけど、前段の自己紹介が長い。さらに後段では本に全く関係がない運鈍根だのについて語っている。きっと聴衆はわけが分からなかったであろう。知ったことではない。いつでもオレ流なのだ。 講演内容をまとめてみよう。 聡明そうに見える子供だった(はずだ)が、小学校ではまともに座っていることができないので授

ウィルスの大きさでヒトを見てみたら? こうきたか。これが、養老孟司の視点だ。新型コロナウィルスの顕微鏡写真がテレビ画面に映し出されるのを何度見たことだろう。だが、あの倍率でアナウンサーの顔を映したらどうなるか。ウィルスの倍率でヒトを見ることのズレに着目するのである。 養老孟司という人物への説明は不要であろう。当たり前だと思っている事象に物申す。ミクロとマクロ

2011年7月15日、東日本大震災の混乱がおさまらぬなか、ノンフィクションに特化したインターネット書評サイト「HONZ」が船出しました。代表の成毛眞自らが選抜したレビュアー10名が半年間準備して創立したHONZは、ひたすら面白いノンフィクションを紹介しつづけ10年が経ちました。この間レビュアーは増え、紹介した本は延べ3000冊に及びます。今回、10周年を記念

すでに5万部に届く勢いだというドキュメント・ノベル『邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき』は、 そのあまりのリアルさが話題になっているとか。 そこでも垣間見える特殊部隊員の日常は、破天荒で、 やることなすこと同じ世界の住人なのかと驚くことばかり。 成毛眞代表も興味津々だ。こういった小説がなぜ売れるのか、 必要とされるのか。HONZならではのベストセラー検証!(

北朝鮮でクーデター勃発! ミサイル発射を企む北の軍部に対し、米国がピンポイント爆撃へ。しかしその標的そばには、日本人拉致被害者がいるとの情報。自衛隊特殊部隊は、彼らを救出することはできるのか――? そんなシミュレーションをし、あまりのリアルさが話題になっているドキュメント・ノベル『邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき』の著者に聞く!(HONZ編集部) 成毛 現

発売日は先月5月8日。ひっそりと世に現れていた奇書だ。著者のジェフリー・ルイスは核不拡散と地政学の専門家だという。原題は「米国に対する北朝鮮の核攻撃に関する2020年委員会報告書」つまり2020年に勃発した北朝鮮の核攻撃を3年後に公式報告書にまとめたという体裁をとっているシミュレーション小説だ。 金正恩の核ミサイルで攻撃されたのはソウル、釜山、東京、ニューヨ

著者太田牛一は長寿の人であった。名古屋市北区に生まれ、大阪市中央区で亡くなった。享年86。死因はインフルエンザをこじらせたためだといわれる。 と、今日の人のように書いたのは、その筆致がじつに現代的だからだ。もちろん原文はいわゆる古文なのだが、現代語訳すると論理的な構成になっていることに驚かされる。中川太古氏の現代語訳が素晴らしいということはいうまでもない。

知る人ぞ知るサイエンス系ノンフィクションの名手、サイモン・ウィンチェスターの新作ということで、すぐ手にとった。 2004年に邦訳が出た『クラカトアの大噴火』は450ページを超える大部だったが、貪るように読んだ記憶がある。19世紀末スマトラ島近くのクラカトア火山が大爆発を起こし吹き飛んだ事件だ。巨大な津波が3万人を超える人々を飲み込んだ。衝撃波は地球を4周する

ものすごい本だ。まずはページ数。索引と原注だけで141ページ。本文582ページ。重い。 次は帯。「核戦争なき平等化はありえるか?」という文章が美しい縦書きで書かれている。不意をつかれてギョッとする。横書きには第二次世界大戦、毛沢東の「大躍進」、欧州のペストという千万人単位が死亡した事件の結果として起こった平等化、生活向上、賃金上昇などの例を上げている。さらに

「韓国の現代政治史」をコンパクトにまとめた本だと理解した。立場は中立にして冷静。これを読まずに韓国政治について語ってはいけないと思う。 連続する大統領の悲劇や反日など、この本の中では小事に過ぎない。それほど韓国内の政治対立は歴史的にも地域的にも根が深く、制度的にも心理的にも激烈で、とてつもなく複雑かつ深刻なのだ。これほどまでとは思わなかった。 朝鮮戦争は朝鮮

小中学生のころの愛読書は百科事典だった。『世界原色百科事典』(小学館)を「あ」から「わ」まで項目順に読み通した記憶がある。毎日寝床の中で昨晩の続きを読むのだが、今晩何が飛び出してくるのかが楽しみで、まさにこどもにとって知的大冒険だった。 百科事典の素晴らしさは無作為性だ。いまではネット検索で森羅万象を一瞬で調べられる。知りたい物事のキーワードを入力すればいい

本書の3年前に出版された同じ作家の『翻訳できない世界のことば』は本当にステキな大人の絵本でした。世界中の言語から、その言語にしかない言葉を選び、その意味とイメージに合わせた絵が添えられているのです。たとえば 「PORONKUSEMA」 フィンランド語で「トナカイが休憩なしで、疲れずに移動できる距離」 「IKTSUARPOK」 イヌイット語で「だれか来ているの

著者はボクがこれまでにお目にかかった経営者のなかで3本指に入る無茶な人だ。ある意味でビル・ゲイツや孫さんを超える。戦国時代から続く伊勢の超老舗当主が約束されていた人だ。創業は天正3年。この年、伊勢から直線距離で50km北東では織田信長と徳川家康が武田勝頼と戦っていた。長篠の戦いである。 東北大学では血尿がでるまで空手に打込み、社会人になってからは盛大な失敗つ

本書が2019年ベスト新書になると思う。第二次世界大戦は複数の戦争の集合体だった。日米の太平洋戦争はいうまでもなく、おおまかに分けるとドイツのヨーロッパ侵攻戦争、イタリアからはじまる北アフリカ戦争、そして本書のドイツ・ソ連戦争だ。 本書によればこの戦争でのソ連の死亡者(軍人+市民)は2700万人。ドイツは独ソ戦以外の戦争も含めて最大800万人。日本は最大31

あのビル・ゲイツが2018年の年間ベストブックに選出した本だ。読んでみるしかない。テーマは未来の兵器と戦争。未来といってもすぐそこにある未来だ。 爆発的に普及したスマホのおかげで高度な機能を持つ電子部品の価格が劇的に安くなった。その結果、爆弾を運搬するミサイルやドローンなどの飛行体、機関銃をもつ戦闘ロボットなども安価に大量生産することが可能になった。いわば無

1922年(大正11年)11月17日アインシュタインは神戸港に到着した。この日は京都の都ホテルに宿泊。日記には「下の町はまるで光の海。強烈な印象」「日本人は簡素で上品、とても好ましい」と綴っている。 アインシュタインが特殊相対性理論と光量子仮説を発表したのは1905年。26歳のときだった。自身のノーベル物理学賞受賞を知ったのは日本への船上だった。さぞかし楽し

霞ヶ浦のレンコン農家に生まれ、社会学で博士号を取得し、民俗学の研究者となり、二刀流ではじめた超高級レンコンの商品開発に成功したアラフォーの物語だ。いまではニューヨークやパリのレストランでも使われているという。 しかし、けっして頭脳明晰な新世代農業経営者の成功物語ではない。研究者として民族学会に出席していた著者は、先輩研究者から「中国行ってレンコン1本1万円で

府中市美術館の企画展「へそまがり日本美術」(5月12日まで)が予想外の人気だという。禅画からヘタウマまで、傑作とは言い難いが、個性的な絵画を集めた展覧会だ。 なかでも必見は三代将軍徳川家光の「兎図」。切り株の上にちょこんと乗った一匹のウサギがこちらを見つめている。ふわふわでなんとも愛らしいのだ。上様はじつは心優しい人だったのかもしれないと感心しつつ、脱力して

厚さは約4.5cm、総ぺージ数696の大型本だ。重さは1kg以上。我が家のキッチンスケールの針が振り切れたので計測不能だった。 2008年9月から2014年7月まで1052回にわたって地方紙に連載された五木寛之の長編小説『親鸞』に添えられていた挿画の総集である。もちろん1052点の挿画は原画通りフルカラーで収録されている。 若い世代には、五木寛之の小説を読ん

NHKの紀行番組「ブラタモリ」が絶好調だという。2月第3週の関東視聴率は13.3%。これを全国に敷衍すると600万世帯以上が視聴していたことになる。スタート当初は歴史の痕跡をメインテーマにしていたが、いまでは岩石や地形の成り立ちなどにもタッチする世界でも稀な地学紀行番組になってしまった。日本は火山と地震の国だ。それだけ視聴者の関心が強いということなのだろう。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスと電気自動車製造会社テスラ創業者のイーロン・マスク。太陽が昇るどこかの惑星(または衛星)を背景に2人が対峙している表紙は鮮烈だ。どちらかがほかの星に降り立つ日も近いことを暗示しているようだ。 それぞれの個人資産は十数兆円と2兆数千億円。政府機関を凌駕する力をもつといわれる55歳と47歳。二人は人類にとってどんな存在になるのだろう

久しぶりに出会った、上品にして趣深いエッセイとして読んでいる最中だ。読み終えるのがもったいないのだ。 全35章。3章ほどをゆっくりと読むために、わざと場所と時間を変えている。早朝のカフェでクロックムッシュと、午後はおにぎりをほおばりながら公園のベンチ、夜はウイスキー片手にベッドの中という具合だ。 広重の「東海道五十三次」をモチーフにしながら、おもに江戸の諸制

1945年、人類初の核兵器が広島と長崎の一般市民殺戮を目的に使用されてから70年あまり、その後一発も戦場では使われていない。 それは核保有国の倫理観や戦略的自制というよりも、たまたま核保有国間の戦争がなかったからであり、人類にとっては単なる僥倖でしかないのかもしれない。アメリカ、ロシア、中国だけでも合計1万発を超える核兵器を保有していると見られているのだから

ここ数年、リカレント教育や「社会人の学び直し」という言葉を聞くことが増えてきた。文部科学省や厚生労働省が予算を付けはじめたことで、大学の公開講座や社会人向けの大学院も増えている。スキルアップや転職に備えて、最新のビジネス知識やテクノロジーを学び直すのが目的だろう。一方で、総合的な教養を学び直したいというニーズもあるようだ。 フェイスブックの投稿を見て、己の教

人類が発明した50のモノを、洗練された筆致で書き綴った、気軽な読み物だ。取り上げられているのは「コンクリート」や「紙」など手で触れられるものから、「経営コンサルティング」や「不動産登記」など目には見えない社会制度までと幅広い。 それぞれの章は独立していて読み切りだ。たとえば「電池」の章では、19世紀ロンドンで絞首刑にあった罪人の逸話から、電池が発明された18

見開きの右頁全面には、歌川広重の名所江戸百景から選んだ一枚の浮世絵。左頁には広重がその浮世絵を描いた場所の地図と、浮世絵に描かれている文物の絵解き。さらに時代背景や鑑賞のポイントも解説されている。つや消しの上質紙を使って、119枚もの浮世絵を取り上げているのだから、重量感のある小体な美術解説書という趣きだ。 たとえば、ゴッホが模写したことで有名な「大はしあた

辞書によると、「薀蓄」とは深く研究して身につけた知識のことである。しかし、小粋なバーの隣席に下手な薀蓄を傾ける御仁がいると、面倒くさいこと、この上ない。その話題が京都やパリであれば尚更だ。 老舗カバン店のお家騒動だの、ルーブル美術館のスマホアプリだの、煩わしいと思いながらも、つい聞き耳を立ててしまう。薀蓄とは高度な噂話でもある。 本書はまさにその二都の薀蓄だ

これほど丁寧で網羅的に放射線を説明している本をほかに知らない。この本を書棚に入れておけば、なにか事が起こったときにいつでも引き出して正確な知識を得ることができるだろう。健康診断でCT検査やPET検査を受けるときにも参考になる。しかも、科学に興味のある小中学生なら、最後まで読み終えることができるほどのわかり易さだ。 著者はつくば市にある高エネルギー加速器研究機

端正な本だ。内容に不釣合いなカバーと帯を取りはずすと、表紙には原寸大に近い一面の硯が刷られている。装丁だけでなく、紙質や印刷も素晴らしい。ゆっくりと味わうように読んだ。 著者は書道道具店の四代目。浅草の店では定番の筆や墨なども取り扱っているが、高級な硯は代々の店主がみずから原石を内外で買い付け、手作りで調製したものだ。文化財レベルの硯の修理なども手がけており

原書のタイトルを直訳すると「過去を抜栓する」。酒と人類の壮大な物語を描いた本だから、いかにも香り立つようでおしゃれだ。翻訳タイトルは『酒の起源』。もちろん『種の起源』のオマージュだ。こちらも素敵。 版元の白楊社は2016年に『酒の科学』という本を出版していた。こちらの原書タイトルは「プルーフ」。プルーフにはアルコール度数だけでなく、印刷前のゲラという意味もあ

一昨年夏に放送されたNHKスペシャル「大アマゾン 最後のイゾラド」の姉妹作品である。イゾラドとは、文明社会と接触したことのないアマゾン先住民。狩猟と採取だけで太古から生きてきた自給生活者であり、その姿はまさに裸族だ。現在でも少人数のグループに別れて暮らしているという。 数年前のある日、ペルーの奥地で突然イゾラドが出現し、村々が襲われ、弓矢で村人が殺傷された。

ここ数年、腸に関する話題が増えてきている。山中伸弥教授が司会を務めたNHKスペシャル「人体」では、腸は全身の免疫を司り、万病を撃退すると放送された。いささか誇張しすぎだと思うのだが、興味深い番組だった。 じっさい、コンビニの棚にはビフィズス菌や乳酸菌、食物繊維を含む食品がずらりと並んでいるし、サプリメントも次々と発売されている。花粉症などのアレルギーを抑制し

本稿を執筆中の5月9日、日本経済新聞は「三菱重工は逆風下で5兆円の連結売上高目標を掲げた」と報じた。いっぽうで同記事は「達成を不安視する声は少なくない」と警鐘を鳴らすことを忘れない。さらに、成長が停滞する三菱重工の時価総額は1兆3800億円であり、日立の4兆1400億兆円と比べても見劣りし、海外のライバル各社の10分の1でしかないことを付記した。 実際、三菱

本書はそのイタリアの織物のように軽やかで、味わい深く、時には風を通すような美しい本だ。紙質、装丁など、どこを見ても丁寧に作られた一級品だ。文章は清々しくも温かい。上質のツイードそのものなのだ。 それもそのはず、内田洋子はイタリアの時空を縱橫に飛びまわり、掌編小説のようにエッセイ仕立てのノンフィクションを書く名手だ。 あくまでも著者が見たまま、聞いたままを文章

人類は誕生以来宇宙とは何か、物質とは何かを考え続けてきた。その理解が一気に進んだのは、20世紀になってからだった。 1916年 、アインシュタインが相対論を完成することで、宇宙を現代的に理解する基礎が出来上がった。27 年までに、ハイゼンベルグの行列力学とシュレディンガーの波動力学が発表され、 物質を理解するための量子力学の構築が始まった。現代物理学の基礎は

新国立競技場の建設が佳境に入った。2月からは屋根工事もはじまり、20基もの大型クレーンが同時に動き回る様子は壮観だ。敷地面積11万3000平米、総工費1500億円を超える巨大現場である。完成すると6万8000人の観客を飲み込むという。 いっぽう、福島県双葉町・大熊町ではそれをはるかに凌ぐ規模の工事が進んでいる。敷地面積は30倍の350万平米、総工費は50倍の

著者は『最貧困女子』や『老人喰い』などのルポ作品で、犯罪現場の貧困問題をえぐり出してきた気鋭のノンフィクション作家だ。 働き盛りの44歳。作家稼業だけでは食えなくなってきた出版界にあって、社会派マンガの原作もこなしながら、いささか問題のある奥さまと、なんとか暮らしてきた。奥さまの問題とは、重度の発達障害を抱えたまま大人になっただけでなく、リストカットを繰り返

2017年3月、英エコノミスト誌は「脅威のアマゾン帝国」という特集を組んだ。その冒頭で、今後10年以内に売上高は50兆円に達するだろうと予測している。事実、17年の売上高は19兆円を超え、米国のEコマース市場の50%に迫る勢いだ。 アマゾンはこの巨大な売り上げを支えるための物流システム構築に余念がない。16年、海運ではNVOCC(船舶を持たない貨物運送事業者

米国の社会派監督として知られるオリバー・ストーンは2015年から2年間かけてプーチン大統領に密着インタビューし、その模様を連続ドキュメンタリー番組として制作した。本書は放送されなかった素材を含めて書き起こしたものである。 放送された直後のアメリカメディアの反感は強烈だった。ニューヨーク・タイムズは「呆れるほど寛大なインタビュー」と論評。CNNやワシントン・ポ

昨年末、編集部から新年早々に取り上げる本を選べといわれ、おもわず本書を推薦した。最後まで読み通す責務を自分に課したかったのだ。 酒好きにとって酒量がもっとも増えるのは年末年始であろう。そして中高年の酒好きにとって、自分の身体が心配になるのも年末年始だ。このまま酒を飲み続けると、本当に寿命が縮まるのではないかと不安になる。 しかし、盃を持つ手は止まらない。クリ