
『ベスト珍書』新刊超速レビュー
珍書プロデューサー、ハマザキカク人生初の書き下ろしだ。彼の公式役職名は珍書編集者ではなく、珍書プロデューサーだ。なにしろ、たったひとりで著者を発掘し、原稿を整理し、校閲し、DTPで組版し、表紙をデザインし、書店営業し、イベントを企画しているのだ。普通の編集者は自分では校閲などしない。そもそも、それを校閲とは言わない。などというツッコミは野暮である。普通の編集
HONZ代表
(2024年当時)
583記事

珍書プロデューサー、ハマザキカク人生初の書き下ろしだ。彼の公式役職名は珍書編集者ではなく、珍書プロデューサーだ。なにしろ、たったひとりで著者を発掘し、原稿を整理し、校閲し、DTPで組版し、表紙をデザインし、書店営業し、イベントを企画しているのだ。普通の編集者は自分では校閲などしない。そもそも、それを校閲とは言わない。などというツッコミは野暮である。普通の編集

8月20日未明、広島市を襲った豪雨は死者・行方不明者80名を超える大惨事を引き起こした。被害が大きかった安佐北区周辺で観測された1時間あたりの最大降水量は120ミリを超えており、さらに水分を含みやすいこの地方特有の「まさ土」が被害を拡大させたといわれている。 この特殊な地質や地形などから、広島県には3万個所を超える土砂災害危険個所があるという。そのため被害に

著者のダグ・メネズは1957年テキサス州生まれ。 1981年にはサンフランシスコ州立大学でフォトジャーナリズムの学位を取得した。 IBM-PCが発売された年である。パソコンがマニアの遊び道具から本格的なマシンへと変貌した年だ。 メネズはいまでもTIME、Newsweek、LIFEなどにフリーランスの写真家として報道写真を提供しつづけているという。これまでにも


著者のオリヴァー・サックスは1933年生まれのニューヨーク大学医学部教授。現役の脳神経科医であり、世界的な人気作家でもある。ロバート・デ・ニーロの好演でアカデミー賞にノミネートされた映画「レナードの朝」は、著者の同名ノンフィクション作品が原作だ。「レナードの朝」では治療不能な難病「嗜眠性脳炎」の患者とその主治医が主人公だった。嗜眠性脳炎とは30年以上も眠り続

「この工場が死んだら、日本の出版は終わる・・・」 こんな帯が巻かれた本を書店で見て、手に取らずに店頭を通り過ぎることができる本好きは少ないであろう。その工場とは一体どこにあるのか。なぜ日本の出版は終わってしまうのか。そしていまだに日本の出版は終わっていない理由とは。表紙には巨大なマシンと誇らしげな人々と千羽鶴。 ひさしぶりに読みはじめる前から身が引き締まる思

今回のブラジル・ワールドカップで、日本のテレビ局に提示された放送権料は400億円。NHKはその7割を負担しているといわれている。現在、受信料を支払っている世帯数は3500万弱だから、1世帯あたりの負担は800円となる。この負担額が高いか安いかについては、これから議論になるかもしれない。 ともかく、この巨額の放送権料の支払いを正当化するため、NHKを含む在京キ

夕方の5時に市立図書館に本を借りに行った市長に対して 「市長、もう、閉館です。市長であっても特別扱いはできません。」 「それと明日は休館日です。平日でも休館日なんです。昔からそういう決まりですから」 閉架に所蔵されている資料を頼むと10−20分待たされる。そこで市長が市立図書館の内部を見せてくれいうと 「市長といえども、部外者ですから、お見せできません」 こ

【本書は世界24カ国同時発売である。日本では本日朝から書店店頭に並べられている。ということはこのレビューが世界最速になるかもしれない】 このレビューを書くため、「スノーデン」や「NSA」などのキーワードを20回以上Googleで検索し、何件かの事実確認をするためにMicrosoft Office 365を経由してメールを送受した。すでにこれらの通信は北米大陸

この本はいまごろ、書店のどのあたりに置かれているのだろう。コア・コンピタンス、バランススコアカード、プロセス・リエンジニアリングなどという、カタカナ用語に埋め尽くされたビジネス戦略書コーナーの一角であろうか。それとも立派なビジネス書の売上に悪影響があるからと、占いのコーナーにでも追いやられているのだろうか。 ビジネス戦略書コーナーにあって、本書の日本語だけの

著者の加藤崇さんにはじめてお目にかかったのは、昨年10月23日 スルガ銀行d-labo でのイベントだった。二人ともビジネスモデルコンテストの審査員として参加していたのだが、イベントが終了してから一冊の本を手渡された。大手出版社から再版したいのだという。 手作りにしては装丁やレイアウトなどが良くできているその本のタイトルは『THINK BIG』。Amazon

有次。「ありつぐ」と読む。京都市中京区のど真ん中、1200年以上の歴史を誇る錦市場にある庖丁と料理道具を販売する店だ。創業は永禄3年、西暦1560年。桶狭間の戦いがあった年である。8年後に織田信長が上洛し、戦国時代は終焉を迎えた。その時すでに有次は「日本鍛冶宗匠三品家門人藤原有次」として鍛冶を営んでいた。 本書はその有次と、有次の庖丁と、その庖丁を使う料理人

本書は子を持つすべての親と、教育者にこそ読んでほしい物語である。主人公はジャイコブ・バーネット、この5月に16歳になるアメリカ人の少年だ。ジェイコブ君はただの少年ではない。9歳で大学に入学し、専門は数学と宇宙論。IQは170を超えるという。いわゆる天才少年なのだ。 しかし、このジェイコブ君は何万人に1人の割合で生まれるといわれる、いわゆる知的早熟児ではない。


昨夜、 Facebook上でお騒がせいたしました 注目の新刊はこれでございます。間違いなくHONZメンバーが先制攻撃をしてくると思われるため、決死の「新刊超速レビュー」で紹介することにいたしました。 なにしろ本書は全編にわたった広島弁・やくざ弁で構成されるという奇跡のキリスト教史。東映のヤクザ映画を見ていた年代の人々にも、そうでない人々にも驚愕の一冊でありま

本書は業種や職種によっては、いますぐ役に立つビジネス書である。最終章のタイトルは「これからの消費の主役に何を売るべきか」。その最終章にはたった780円でこんなに教えてもらっていいのかというほどたっぷりと、具体的なビジネスのアイディアが満載なのだ。 たとえば、これからのビジネスとして、ネットでの有名ブランドの中古品販売は流行るはずだ。その場合はPCサイトではな

ニューヨークは世界で唯一無二の街である。パリやロンドンにはそれぞれに個性があるもののヨーロッパの都市特有の佇まいがある。東南アジアには東南アジアの匂いが、南米には南米の色がある。しかし、ニューヨーカー(ニューヨーク人)とマンハッタンの摩天楼が醸し出す徹底的な上空への指向は他の街では見られない唯一無二の存在のように見えるのだ。人々は走るように歩き、倍速で話す。

ヨーロッパ19カ国で現在も行われている冬から春にかけての祭りに登場する「ワイルドマン」たちを撮影した写真集である。それにしてもじつに不思議だ。「なまはげ」も含め、なぜ北国の冬はこのような存在を必要とするのだろうか。 160点の写真に収められている衣装をそれぞれじつに個性的だが、全体を見渡すとどこか同じ匂いがする。毛皮、つの、仮面、ベル、麦わら、袋。使われてい

華道草月流をご存知だろうか。華道といえば、15世紀京都六角堂の僧侶池坊専慶を祖とする池坊(いけのぼう)が一般に有名だが、草月流は20世紀に入って勅使河原蒼風によって創設された新しい華道である。勅使河原蒼風は「花のピカソ」とも呼ばれ、サルバドール・ダリなどとも親交があった。本拠地は赤坂の草月会館だが、設計は丹下健三、石庭はイサム・ノグチの作品だ。草月流は自由に

著者はこの11月で34歳になったばかりの前途有望だったはずの若者である。少年時代をアメリカやスイスで過ごし、アメリカン・スクールやハワイの大学を経て、広告代理店でプランニングディレクターとして活躍していた。しかし、彼は31歳の誕生日のたった4日前、医師からALSと宣告されたのだ。 ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、感覚や知能ははっきりしたまま、次第に体じゅう

いまでは永遠のライバルと目されているアップルとグーグル。新製品の開発競争や販売の主導権争いだけでなく、世界各国の法廷でもモトローラやサムソン電子などの第三者も巻き込みながら、熾烈な闘争を続けている。もはや伝統的な企業競争から、両陣営の感情的な果たし合いに推移しているように見える。 しかし、この両社はつい5年前まで「世界をマイクロソフトから守る企業連合」だった

高嶋哲夫ファンのみなさん、こんにちは。 わたくしは書評サイトHONZの代表をしている成毛眞(なるけまこと)と申します。HONZはサイエンスや歴史はもちろん、ビジネスからアートまで広い意味でのノンフィクション作品を紹介するサイトです。しかし、たとえ村上春樹であろうが尾田栄一郎であろうが小説やマンガなどの創作物は取り上げることはありません。頑なにノンフィクション

歌舞伎役者の坂東三津五郎さんの膵臓に腫瘍が見つかり、9月の歌舞伎公演を休演することになった。歌舞伎界は昨年12月に中村勘三郎、今年2月に市川團十郎という看板役者を失い、千辛万苦の時期だったから梨園とご贔屓筋の心労は計り知れない。 じつは歌舞伎界は2011年1月に中村富十郎、同年10月に中村芝翫、昨年2月に中村雀右衛門という3人の人間国宝も失っている。「新歌舞

背伸びやジャンプを繰り返すことで、身長を伸ばすことができると信じている人は少なくない。実際バレーボールやバスケットボールのスター選手たちは見上げるほど高いし、ウェイトリフティングやマラソンなどのメダリストは小柄な人が多い。しかし、背伸びやジャンプの身長効果は、医学的にはまだ証明されていないらしい。オリンピックレベルの選手たちの身長の差は、それぞれのスポーツに
2011年7月にスタートした書評サイト「HONZ」は、本格的に活動してから2年余りの月日が立ちました。現在HONZに掲載されているレビュー数は1755本。2冊目の書籍『 ノンフィクションはこれを読め2013 』も発売され、おかげさまで月間約70万PVのサイトに成長いたしました。 HONZ最大の特長は、厳選された読み手が何冊もの本を読み、その中から1冊を選び出

8月18日、世界陸上が閉幕した。TBSが中継した午後9時の平均視聴率は13%。前週同時間に放送された人気ドラマ「半沢直樹」の平均視聴率が29%だったから「半返し」である。それもそのはず日本が獲得したメダルは女子マラソンの福士加代子の銅メダル1個だけ。どのスポーツでも日本選手の活躍と視聴率は相関関係にあるのだ。 ところが国際陸上競技で常に日本が首位を争う分野が

うつのプロともいえる、現在60代の女性が都内23軒の精神科を尋ねたルポだ。著者は大学の演劇科を卒業した20代から今日までアングラ女優。新宿ゴールデン街でバーを経営している。40代に大学の心理学科を卒業し、精神保健福祉士の資格も取得して、精神科クリニックに長く勤務していた経験もある。2回の離婚で幼児期と思春期に辛い思いをさせた娘さんへの悔恨もあり、若いころには

まずはカナダ国民に感謝しなければならない。本書は大型本フルカラー390ページ(索引含め)のいわゆる豪華本なのだが定価は4000円。同種の大型本に比べれば圧倒的に安いのだ。それもそのはず、本書の制作にあたってはカナダ政府から助成金が出ているというのだ。何のためにカナダ政府が助成したのさっぱりわからないし、どの程度の金額だったかもわからないが、ありがたいことであ

1981年から2000年までマイクロソフトで働いていた私にとっては、まさにデジャヴでもみているかのような物語だ。いまをときめくグーグルも、いつかは普通の大企業になり、それにつれて一方的にパンチを浴び続けていたメディア業界や広告業界なども気を取り直して反撃に転じ、創業期のメンバーが次々と退職し、やがて若いパンチ力のある会社と新しいビジネスモデルの出現を目の前に

悩みに悩んだあげく、ついにソニーのデジタルスチルカメラDSC-RX1Rを買ってしまった。なんと20万円超えのコンデジである。しかし、ここ数年間で買ったあらゆるものの中でもっとも満足度が高く、2日間続けて枕元において一緒に寝る始末。生まれて初めてライカを買った時よりも興奮するとは夢にも思わなかった。 簡単に撮った画像がスゴイのだ。肉眼では見えなかったものを写し

著者は御年70歳になる普通の独身女性である。居住地はバンガロール。数年前にこの安住の地を見つけ、美術大学に通い始めたのだが、それでは刺激がないと、本書を書き終えてから、また冒険の旅に出るようだ。彼女は人生の冒険者なのだ。 著者がインドの地を踏んだのは1970年代前半。まさにヒッピー世代のインド詣でだ。その旅の途中に英文学修士を持つインド人男性に出会い結婚した

大型本とはA4サイズより大きな紙を使った本のことである。多くの場合、文章だけでは説明しずらい物事や、写真やイラストが主役の本だ。本棚に置いては見栄えがするので、本マニアとしては内容や表紙もさることながら、背表紙の美しさが気になってしまう。本体はコート紙にグラビア印刷、表紙はハードカバーがほとんどだから重い本が多い。それでも大型にしなければいけない理由があるか

本書は「朝日新聞 土曜版〈be〉」に2009年から2011年にかけて連載されていた歴史エッセイをまとめたものだ。著者はNHK「BS歴史館」でお馴染みの磯田道史。この人の解説から歴史が好きになった人も多いのではないだろうか。『武士の家計簿』や『殿様の通信簿』などの著作も好評で、すべての作品からは丹念に資料を追う著者の姿勢がにじみ出ている。 本書でも慶長時代の小

著者はHONZに「青木薫のサイエンス通信」を寄稿いただいている翻訳家の青木薫さんだ。英文雑誌「THE NEW YORKER」からサイエンスの話題を拾うこのエッセイだけを読みにくるという熱烈なファンもいるようだ。今月は 「アルツハイマー先制治療――あなたならどうする」 だ。一般向けの科学書作家として、現代最高峰のサイモン・シンの日本語訳はすべて青木さんの手のよ

文字通り『ラテン語図解辞典』である。見出し語約500、図版約700点、この一冊で古代ローマの文化と風俗に関するラテン語の根本を知ることができる。 たとえば"abacus"。原義は石・大理石・土器などの矩形の厚板。その厚板を使って作られたのが食器棚やそろばんであり、ともに"abacus"である。図版によれば、古代ローマそろばんはケタが決まっていたらしい。右の2

人体を目、耳、心臓、骨、消化管、血液など15のパーツにわけ、それぞれについてじっくりと語った本である。全320ページにわたって「とても 美しい」のような、装飾的な副詞や形容詞がほとんど使われていない稀有な本でもある。一文一語たりとも無駄はなく、したがって重複もないので、逐語的に理解しながら読み進める必要がある。結果的に収容されている薀蓄は膨大だが、文体は簡明
HONZは毎週メールマガジンを発行しています。今週の記事一覧、これから読むカモ、編集者ワンコイン広告などを一足早く読むことができます。編集長は廻り番。今月は栗下直也が担当です。編集長になればこっちのもの。メルマガの巻頭言は好き放題。今月の第1回の巻頭言を貼り付けます。どうぞお楽しみを。 ====================================

このたぐいの本はあまり読まない。これまでにも何10冊も同じような本を手にとってきたし、もうそれほどの上昇志向も必要なく、つまり読まなくても良い年齢になっているからなのだが、本書は基調色が素晴らしいのでつい買ってしまった。じつはこの1分間シリーズはドラッカーからはじまり、スティーブ・ジョブズ、松下幸之助、バフェット、コトラーとつづいてきた。各巻ともデザインはま

iPhoneやグーグル検索、フェイスブックは果たしてイノベーションと言えるのであろうか。もしそれらが情報時代に不可欠ではあるが、単なる優れたツールでしかなかったとしたら、本物のイノベーションとはなんなのだろうか。そしてイノベーションを意図的に生み出すための条件や方法論とは一体どんなものなのだろう。 本書はこれら問題に真正面から問いかけをしながら、イノベーショ

今年は◯◯学史をテーマとした読み物の当たり年になるかもしれない。三月に量子力学史の『量子革命』が出版されたのに続き、近代経済学史の本書『大いなる探求』が発売になった。この二冊は長く手元に置いておく本になるだろう。自分にとって青年期だった20世紀を理解し、円熟するはずの21世紀を生きるために欠かすことのできない物理学と経済学について、丁寧に解説してくれながらも