
アルツハイマー病のすべてがわかる!『記憶が消えるとき-老いとアルツハイマー病の過去、現在、未来』
いまや、アルツハイマー病という疾患名はあまねく知られている。しかし、何がアルツハイマー病の原因なのか、どんな人がなりやすいのか、そして治療は可能なのか、となると、ほとんどの人は知らないだろう。恥ずかしながら、医学部で病理学を教えている私もよく知らなかった。研究が日進月歩であり、その原因や治療法についてはまだ確定的なことがわかっていないからだ、と、とりあえずの
3,647記事

いまや、アルツハイマー病という疾患名はあまねく知られている。しかし、何がアルツハイマー病の原因なのか、どんな人がなりやすいのか、そして治療は可能なのか、となると、ほとんどの人は知らないだろう。恥ずかしながら、医学部で病理学を教えている私もよく知らなかった。研究が日進月歩であり、その原因や治療法についてはまだ確定的なことがわかっていないからだ、と、とりあえずの

と、いきなりですが、まえがきから。 いま、あなたが手にしているこの本は2種類の読者を想定している。数学について知識が少しある読者とまったくない読者だ! これは実際の事件に基づいたフィクションで、登場するヒーローたちは数学の歴史に足跡を残した実在の人物たちだ。舞台は1900年、パリ。容疑者が史上最高の数学者たちという、殺人事件ミステリーだ。容疑者たちの警察への

真に創造的な成果は、天才のひらめきによってもたらせられる。過去の偉大なアイデア誕生にまつわる多くのエピソードが、天才の思考法に基づく創造力が凡人のそれとはいかに異なるかを雄弁に語っている。 1815年にある雑誌に掲載されたモーツァルトの手紙は、彼の交響曲や協奏曲は完成された状態で、あるとき突然に彼の脳内に降りてきたことを伝えている。アルキメデスは湯船に浸かっ

バージニア州にダレス国際空港 という名の大空港がある。この空港が ジョン・フォスター・ダレス元国務長官 の名前に由来していることを、知らない人もいるかもしれない。著者は本書冒頭でこの空港を訪れる。この空港のシンボルである、ダレス国務長官の胸像を見るために。しかし、どこを探しても見つからない。幾度も改築を重ねるうちに胸像はどこかへ運びさられたようだ。空港関係者

初詣くらいはスーツでビシッと決めようかと思ったものの、仕事で着るものしか持っていない。若い頃は、小遣いの何倍もするブランドもののシャツを買うためにバーゲンに並んだものだが、いつしか私は、高い服を買うのに罪悪感を抱くようになってしまっていた。 ところが、本書で紹介されている男たちときたら、50歳を過ぎても、月収の何倍もするスーツを着て良い気になっている。日本で
![見えない場所で起こり続ける壮絶な攻防──『スパム[spam]:インターネットのダークサイド』 書影](/assets/recovered-covers/a48eb1be4adb4cd20eb08ee8bf768dc547ee1729f6c2da31a43768586aab4634.jpg)
LINEがあるのでキャリアメールを開くことはなくなってしまったが、たまに開くと山のようにスパムメールがたまっている。普段使いのGmailにもたまにスパムメールはきているようだが、自動判定され目に触れる前にほとんどの振り分けを行っていてくれる。 時にミスって重要なメールを迷惑メールフォルダに入れているのはご愛嬌だが、もちろん普段は助かっている。その振り分けを見

毎年元旦になると、それなりに新たな決意を胸に秘めており、ここ数年のテーマは料理と経済学である。おそらく来年の今頃も同テーマで決意を新たにしている姿が早くも脳裏に浮かぶが、本書を読むことで少しでも膠着状態を打開したいと思い、手に取った。 現在、食の分野では多くの専門家たちのミスリードにより、以下の3つの通説がまかり通っている。 ・最良の食べ物には、より多くのお

2015年は色々な意味で「節目」だったと思う。後々振り返られるであろう出来事がたくさん起き、多くの歴史的瞬間から「何十周年」という区切りの年でもあった。 防災に関して大きな分岐点となった阪神・淡路大震災から20年。それからの神戸、そしてそこで暮らす人々の気持ちはどう変わってきたのか。本書は神戸で震災を経験した3人のライター(青山ゆみこ氏、西岡研介氏、松本創氏

本書はイラクで暗躍する民間軍事会社を扱ったルポタージュである。2009年に出版された同タイトルの文庫版であるため、扱われている事件やイラクの政治状況は少し古いものとなる。しかし今のイラク情勢に繋がるヒントの一端は読み解くことが出来る。 著者はワシントンポストの特派員としてイラク戦争を取材する。その活動により2006年にはピュリッツァー賞を受賞している。著者自

1970年代の日本では、中間層の膨張が誇張され、「一億総中流」という言葉がよく使われた。しかし、90年代初めのバブル崩壊後の長期不況の中で、年収300万円未満の所得階層が大幅に増加し、全体の過半数に達した。その一方で、300万円以上の所得階層が大幅に減少して、日本は「中流社会」から「格差社会」に移行したと言われるようになった。その格差社会への移行の本質は、雇

果たして、英雄に惹きつけられない人がいるだろうか? といえば、もちろんいるにはいるのだろうが、大抵の場合英雄とは憧れ、理想的な対象として存在している。神話におけるヘラクレス、あるいは仏教におけるブッダ、アーサー王にイエス・キリスト。神話クラスの人間でなくとも数十数百といった年数を語り継がれてきた民間伝承やお伽話には数限りなく人間の弱さを克服し前に進む英雄の姿

日中戦争当時、傀儡国家・満州国の最高学府として設立された国策大学が「満州建国大学」である。満州国の将来の指導者たる人材の育成と、満州国の建国理念である「五族協和」の実践の場として、日本人・中国人・朝鮮人・モンゴル人・ロシア人といった様々な民族から選抜された若者たちが6年間寝起きを共にしながら切磋琢磨する。すべて官費で賄われ授業料も免除という条件の良さもあり志

「おべんとう」と聞いて、あなたはどんなおべんとうを思い浮かべるだろう。手作り弁当、コンビニ弁当、駅弁、行楽弁当…。「おべんとう」と一口に言っても、その幅は広く、さらに「おべんとう」の “向こう側”に想いを馳せると、そこには果てしない世界が広がっている。 本書は、お弁当箱に詰め込まれた色とりどりのおかずを1つ1つ食べていくかのように、「おべんとう」に紐づく多種

表紙とタイトルから想像できないが、 文体も内容も驚くほど硬派だ。 エロ本を論じているのに全くエロくない。 確かに小中学校のPTA会長のお母様が白目をむくような内容も含 まれるが、 XVIDEOSで毎日が絢爛豪華のエロのフルコース状態の21世紀 の男女には時代を切り取った、 ひとつの産業ノンフィクションとして楽しめるはずだ。 エロ本が存亡の危機に立たされて久し

世界最強国家アメリカで、最も影響力を持つのはどの一族だろう。20数年間で2人の大統領を輩出し、さらに3人目の大統領候補を送り出そうとしているブッシュ家だろうか。世界最大の石油企業スタンダード・オイルに始まり、金融や軍事関連企業を次々と傘下におさめ、政界にも強いコネクションを持つ ロックフェラー家 だろうか。 夫婦で大統領となる可能性の出てきたクリントン家や世

1923年、近代化へ邁進する日本を直撃した関東大震災。帝都・東京を中心に関東一円へ大きな被害をもたらし、死者・行方不明者は10万人強にも及んだ。このような自然災害の理不尽さは、時や場所を選ばぬことにある。 被害は平穏に暮らしていたはずの一般市民のみならず、囚人たちを収容する刑務所にも襲いかかった。なかでも壊滅的なダメージを受けたのが、震源地にほど近かった横浜

新聞社が社員を派遣しない危険地帯に潜り込むフリーランスの戦場カメラマン、横田徹氏の著書である。今年1月のISISによる邦人人質事件の際には、2週間で36本のテレビ番組に出演し、さらに新聞や雑誌の取材を10本受けていたというので、名前を知る人も少なくないだろう。 アフガニスタン、パキスタン、シリア、パレスチナ、リビア、ソマリア、カンボジア、コソボ……。著者が撮

藤井誠二が書いたのでなければ、私はこの本を手に取らなかっただろう。「少年A」というキーワードはこのところ食傷気味で、もういいかげんうんざりしていたのだ。 2015年の夏、突然出版された『絶歌』という手記も、ノンフィクションを主に書評している私は読まないわけにはいかなかったし、誰かに聞かれれば内容だけでなく、構成力や文章の巧拙についても語らなければならなかった

世界有数のエンターテイメントの街、ラスベガス。100年前にはたった数十人しか住民のいない小さな町だったが、今では毎年4,000万人以上もの観光客数が訪れ、沖縄の約6倍もの集客力を誇る世界有数の観光リゾートだ。しかも温暖な気候・海・歴史など豊富な観光資源に恵まれた沖縄とは違い、あたり一面砂漠しかない枯れ地に位置するラスベガスは、カジノとエンターテイメントだけで

地図を見るのは楽しい。行ったことがある場所なら、あぁこんなだったと思いだせるし、行ったことがない場所なら、どんなところだろうかと想像力がかきたてられる。いまや、世界中、地図のないような場所はない。しかし、そんな時代になったのは、それほど昔のことではない。 古代バビロニアに始まり現代で終わる、地図についての物語集だ。それぞれの地図が作られた時代が語られ、その意

ついつい出れば買ってしまう、ヤマザキマリさんの新刊。今回は「リスボン日記」とやら。あれ、リスボンにもいたんだっけ? そう、いらしたそうなんです。時代は遡ること、2004年の夏の終わり頃。あの『テルマエ・ロマエ』の着想を得て、描き始めた時期なのでした。 何気なくページを開いたら、いつのまにかの一気読み。解説を書いている女優の本上まなみさんの帯の言葉の通り「爆笑

読んだ本の内容をよく忘れてしまうのが悩みである。驚いたり、ジーンときたり、時を忘れたり、吹き出したりといった体験そのものが読書の醍醐味ではあるけれど、思い出したい時に要点をスッと引き出せるようになりたい。そうすれば、読んだ後も楽しめる。 そのことを特に感じるのが、誰かと話している時だ。話の流れに「この前読んだ本に書いてあったこと」がはまりそうだと思う瞬間はよ

シリアルキラーと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。ヒッチコック監督の映画『 サイコ 』だろうか。それとも『 羊たちの沈黙 』に出てくるハンニバル・レクターを思い浮かべるだろうか。若い人ならアメリカのテレビドラマ『 クリミナル・マインド 』を連想する人もいるだろう。本書は実在のシリアルキラーたちをFBIが使用しているプロファイリングを基に分析、分類した

たまに人を紹介してもらえる時があるのだが、「あいつはいいやつだから」と紹介されるより、「すっげー変わったヤツがいるけど、会ってみる?」という誘い方のほうに魅力を感じてしまう。私の場合は後者のような人ほど興味深く、また彼等は独自のプリンシパルを持ち合わせている場合が多い。 本書の著者はみうらじゅん氏。デビューして今年で35年「ゆるキャラ」や「マイブーム」などの

この12月に労働安全衛生法が改正され、50名以上の事業所について、全従業員へのストレスチェックが義務化される。本屋さんでは、日記・手帳商戦の真只中である。これは、偶然ではあるまい。いや、偶然か。いやいや、そんなことはどちらでも良い。これまでの日記・手帳は、成功や効率を追い求めるものが多かったが、最近はそのトレンドがやや変わりつつある。ここが重要である。 ご存

プロレスに興味が無い、若い世代にとってジャイアント馬場の印象とは「動きが緩慢な巨人レスラー」程度かもしれない。だが、1960年代、馬場は日本人離れした209センチの長身を武器に「東洋の悪魔」として恐れられ、全米のマットを席巻した。ニューヨークの「マジソン・スクエア・ガーデン」でメーンを張り、目の肥えた米国のプロレスファンを熱狂させた。 帰国するまでに、稼ぎ出

白馬に乗った王子様には掃除をすべき城がある 少子化や「女性の活躍」についてはたくさんの本が出ているが、本書は出だしにあるこのフレーズを見て続きを読まずにいられなくなった。 おとぎ話はたいてい、王子と姫が試練の末に結ばれ、その後ずっとお城で幸せに暮らしました、というところで終わる。物語としてはそれでいいのだが、本書はあえて王子と姫のその後を想像するところから始

本書は「なぜネアンデルタール人が絶滅し、初期現世人類は絶滅しなかったのかという人類学の大問題」に、最新の研究結果と巧みな想像力で迫っていく、知的興奮に満ちた一冊である。原書である『 The Invaders 』は2015年3月に出版されたばかりで、著者が引用している論文はここ数年で発表されたものも多く、古人類学の知識を大幅にアップデートできる。本書で描かれる

『絶対音感』、『セラピスト』、『星新一』など多彩なテーマの著作で知られる最相葉月さんが、東工大にて非常勤講師として前期の4ヶ月間行った講義の記録である。この講義は池上彰さんの誘いによって実現したそうだ。東工大生、色々とうらやましすぎる。 「生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか」というタイトルから、最相さんが毎回どのように著作のテーマを選ぶかを話すのかと予想する人

この人を見よ。 縮みゆく出版市場、実家の倒産、東日本大震災…かずかずの苦難をへて、なお前進しつづけるそのバイタリティの秘密とは?地方で生きていくということ、そして本と人が出会うことの意味を問う、生ける伝説の書店員、初の著作! この本が入荷した日、東京、八重洲ブックセンター本店にはこんな文言のパネルが掲げられた。 この人を見よ。東京駅の前に位置する日本有数の有

電車の中吊り、雑誌や新聞の紙面、テレビCM、Web、一日の生活でサプリメントの広告を目にしないことのほうが難しい。それもそのはず、市場規模は世界で1000億ドル(国内の2014年度コンビニ市場が約10兆円)を越え、2020年には2000億ドルに近づくと予測されている。れっきとした成長産業だ。 いったいサプリ産業はどのような手立てをつかって、現在の地位を築いて

科学者も法律家も仮説からスタートする。しかし、法廷と科学の世界はそれぞれがまったく異なった伝統を代表していて、科学による真実の追求と、正義に仕える法制度のあいだに衝突が起こるのはもはや避けられない、永遠の命題である。法律家と科学者はお互いのことを「誤りはそれが真理を含めば含むほど危険である」とかつて表現されたような、古くからいわれる知の罠の餌食として見ている

多くの人間は一日に6〜8時間ほどの睡眠をとる。そうなると、ごくごく単純に計算して人生の4分の1から3分の1を睡眠に費やしていることになる。それなのに睡眠のことはあまり意識されない。あって当たり前、時にはちょっとぐらいすっとばしても構わないものだと思われている。 しかし、かつて安眠が今ほど保証されていない時代のことを考えれば、6〜8時間も睡眠をとるのはとてつも

1933年1月、ヒトラーがヒンデンブルク大統領の任命により首相になってから、翌1934年8月、ヒンデンブルクの死と同時にあらゆる権能を掌握し、絶対的な権力者・総統となるまでの2年弱。ヒトラーとナチスの「権力掌握の総仕上げ」が成され、日常生活に潜んでいた恐怖政治の実体が一気に表面化して世を覆い尽くすこの時代を、ヒトラー政権下で初めてベルリンに赴任したアメリカ大

本書では北村孝紘、松永太、角田美代子など平成の凶悪殺人事件の主犯10人に迫っている。凶悪という言葉がかすむほど、彼らの犯行は理不尽で壮絶だ。 被告である家族4人全員に死刑判決が下った「大牟田4人殺害事件」。残虐性からマスコミが報道を自主規制した「北九州監禁殺人事件」。「大阪養子縁組連続殺人事件」は養子縁組や結婚、離婚を繰り返した保険詐欺グループの周りで交通事

『その科学が成功を決める』、『その科学があなたを変える』などの著作で知られるリチャード・ワイズマン博士の新作である。幸運、自己啓発、錯覚、説得など心理学に関する研究を続けてきた博士が今回選んだテーマは「睡眠」。なぜ急に睡眠? と思われたかもしれないが、理由は後ほど。 ワイズマン博士の著作は、豊富な実証的研究が盛り込まれているのが特徴だ。本書でも、睡眠メカニズ

天ぷらの語源がポルトガル語の「調理」を意味する「tempero」だとされることは、今日では多くの人の知るところであろう。しかし、この天ぷらという料理の起源をたどると、古代ペルシアの「シクバージ」と呼ばれる肉の甘酢煮料理にたどりつくことを、どれほどの日本人が知っているだろうか。本書はスタンフォード大学で言語学とコンピューターサイエンスを教える教授が言語学の観点

高峰秀子という大女優が市井の人々に対して抱いた恐れと羨望の気持ちを、本書はとても繊細に表している。 本書が最初に出版されたのは、1958年である。その後、2012年に新潮社より復刊され、今回文庫として再登場した。高峰秀子にとって、『巴里ひとりある記』と『まいまいつぶろ』に続く三冊目となる。今まで自分という人間に焦点を当てることを避けていた彼女が、いきなり堰を

本書の舞台は、ミクロネシアである。ただ、そういわれても、茫洋として掴みにくい。だから副題に「南洋パラオ」と入っているのだろう。観光地パラオなら少しはイメージできる。実際に私は、この副題で興味が湧いた。メインタイトルだけだったら、手に取ることさえなかっただろう。そういう類の本は山ほど出ているからだ。私は、この副題に惹かれて本書を手に取り、そして、次の一文を読ん

「ゲームばっかりやってたらダメでしょ!」そう子供の頃に言われた経験を持つ方も多いだろう。多くの人に愛されながらも、長らくゲームというものは日陰者の存在であった。 しかし、VR元年とよばれる2016年を目前に控え、このようなゲームの位置づけが大きく変わってきているという。一つはテクノロジーの進化によって、バーチャル領域の精度が飛躍的に向上してきていること、そし