
『はたらかないで、たらふく食べたい』年収80万円で生きていく
著者は35歳、独身。職業は大学の非常勤講師。借金は635万円。日本学生支援機構から借りた奨学金だ。年収は80万円だが、これでも収入は上がってきた。大学院を出た09年から13年までは10万円だった。もちろん、現在も自力では暮らせない。埼玉県の実家で、親の年金に寄生して生きている。 「ろくでなし」、「ひとでなし」、「いいかげん働け」 と批判が飛んできそうだが、著
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著者は35歳、独身。職業は大学の非常勤講師。借金は635万円。日本学生支援機構から借りた奨学金だ。年収は80万円だが、これでも収入は上がってきた。大学院を出た09年から13年までは10万円だった。もちろん、現在も自力では暮らせない。埼玉県の実家で、親の年金に寄生して生きている。 「ろくでなし」、「ひとでなし」、「いいかげん働け」 と批判が飛んできそうだが、著

あつい、あつい。あつい。暑すぎる。総務省消防庁によると7月20ー26日の1週間で熱中症で搬送された人は全国で7392人。これは前週の約1.2倍。8月に入ったらどうなるのか。「近頃の若い者は軟弱だ!」とご老人たちに説教を喰らいそうだが、暑さで若者が搬送されるのは今に始まった話ではない。 昔の新聞記事を読むと当時の人びとが、実にバッタバッタと暑さで倒れていること

イスラーム関連の話題はいたるところで出てくるが、「日本における」と切り口を限ればその数はぐっと絞られるように思う。国際情勢的に仕方がないということもあるが、メディアでも伝えられるのはほとんどが「異国の存在」としての話で、隣人としての姿に目が向けられることは稀だと感じる。 それがさらに「日本人の」イスラーム事情となれば、ますます目にする機会は少なくなる。推定1

1939年に発生したノモンハン事件は多くの人間と国の運命を変える事になる。当事国である日本もソ連も、そして第二次世界大戦の引き金を引くことになる独裁者ヒトラーもこの国境紛争がそれほど重大な意味を持つようになるとは当時は気づいていなかっただろう。だが、まずこの紛争で一人の男の運命が大きく変わる。 その男とはソ連労農赤軍の将官 ゲオルギー・ジューコフ だ。スター

HONZが送り出す期待の新メンバー第5弾! 秋元 由紀は米国弁護士の資格を保持しており、長らくミャンマー(ビルマ)における開発問題や環境問題などに従事した経験を持つ一方で、極度のヒマラヤ登山史マニアでもある人物。先日HONZに訳者解説を掲載した『 沈黙の山嶺 第一次大戦とマロリーのエヴェレスト 』や『 ビルマの独裁者タンシュエ 』、『 ビルマ・ハイウェイ 』

教師は聖職。サービス業と書籍名で断言されて、気持ちのいい教師はいない。一方、苦情に関する調査で、教師の半数が「苦情が増加している」と答えた。特に50代以上が高い割合を占めており、ベテラン教師ほど苦情に悩まされているのが実態だ。多くは地域の住民や保護者から寄せられ、彼らと適切にコミュニケーションすることは円滑な学校運営に欠かせないため、誠心誠意の対応が求められ

「サイボーグ」といえばまず真っ先に、義体が当たり前になった近未来世界を描く攻殻機動隊シリーズや、そのままずばりタイトルに入っている石ノ森章太郎原作の『サイボーグ009』シリーズに代表されるイメージを思い浮かべる人が多いかもしれない。その特徴を一つ上げるならば、生身の人間ではなく一部だったり全体だったりが機械の身体に置き換わっていることだろう。 ところが本書が

ブラジルへ飛ぶ。逃げ得は許さないと、日本で事件をおこして出国逃亡した三人のブラジル人の犯人を追って。警察関係者ではない、一人のジャーナリストだ。居所の手がかりは多くなかったが、現地テレビ局の協力を得て、見事に犯人 を見つけ出す。彼らは何ごともなかったかのように暮らしていた。うち二人は交通事故による死亡事故容疑者。残る一人は強盗殺人犯。最後の男と対峙した時、命

近年の医学の進歩は、人類に多くの幸福をもたらした。1850年のアメリカでは4人に1人の赤ん坊が1歳の誕生日を迎えることができなかったが、今日のアメリカでは1歳前に死亡する赤ん坊は1000人のうち6人に過ぎないという。出産で死亡する女性も激減し、寝たきりにならざるを得なかった老人は人工関節でスポーツを楽しむことすらできるようになった。先進国で伸び続けた寿命だけ

国民国家システムは終焉を迎えつつあり、国家権力は衰退していると多くの書籍は言う。その一方で新聞やネットには、強行採決、右傾化というキーワードが飛び交う。 資本主義システムでは経済の格差が広がる一方であることが示される傍らで、政治権力における格差の縮小傾向を示す様々な出来事も起こっている。 これらは一体何を意味するのだろうか? スマホやソーシャルメディアといっ

「数学なんて勉強する人たちは、いったい何者なのだろう。」ノンフィクションの中でも、私が挫折した本数ナンバーワンは数学本である。目に見えない概念にめっぽう弱いため、数式に拒否反応が出てしまう。しかし、私のこの意見に「同感!」と思った人にこそ、是非とも読んでもらいたい一冊だ。 著者であるエドワード・フレンケル氏が数学者として自分を見出したのは、石油ガス研究所(日

そんな中、明治から現在までの日本の油田開発と資源外交に焦点をあてる本書は希有な一冊といえよう。これまで歴史に埋もれてきた数多くの物語を紡ぎだす良書である。しかも、歴史の表舞台に登場するプレイヤーの動向を紹介するだけでなく、そんな彼らを支えた人、場合によっては彼らにすら認知されていない現場の人たちにまでスポットライトをあて、日本のこれまでの資源外交と油田開発の

本書は、自由律句のふたりの巨人の足跡をたどり、人生の真実を読み解いた評論である。だが、評論というには余りに美しく、写実性に富み、まるで読者を旅に誘うようだ。旅行記を読んでいるように、現代人の緊張を優しくほぐしてくれる快著である。本書には、尾崎放哉と種田山頭火の代表的な句が、多数紹介されている。長く手元に置いて、折に触れてページをめくりたくなる本だ。自由律句そ

この本、一度は書店でやりすごした。タイトルも装丁も地味。目次を見たら、脈絡のないトピックスが、年代順に並べてある。ぱらぱらっとめくったが、なんとなく読みにくそうな気がしたので、パス。 しかし、次に書店に行ったとき、また、この本が呼ぶのである。一度捨てた本に呼びかけられることはめったにない。そこまで迫ってくるのならと、ちょと目を通したら、むちゃくちゃおもろい。

虫好きで知られる養老孟司さんはきょうも命がけで昆虫採集中(これ、ほんとうにそうなのです)。まだ見ぬゾウムシを追いかけて、はるかラオスの山奥へ! 軍用トラックに乗り込み、蝶採り達人でもある現地ガイドのナビでやたらと走り回る、虫のことしか考えていない変な人たちの道中記。爆笑必至「貴重映像74分のDVD付き」というのだから、さあ大変。 いやはや、ほんとうに大変なの

役に立たない本をこよなく愛しているのだが、役に立ちすぎて困惑させられるほどの一冊である。必要に迫られて読むビジネス書というのは吸収力が凄まじく、自分がスポンジにでもなったのかと錯覚したほどであった。 本書『アライアンス』は、ペイパルマフィアの一人、そしてLinkedin創業者としても知られるリード・ホフマンを始めとする面々によって手掛けられた一冊。端的に言う

誰の目も気にせず、飲みたい酒と食べたいものの組み合わせを心ゆくまで味わいたい。至福の時を過ごしたい。それが「外飲み」では得られない、「ひとり家飲み」の醍醐味だ。本書は「ひとり家飲み」の素晴らしさに触れながら、著者が多様な酒と飯の組みあわせを楽しむ。酒飲みをうらなせる。

皆様、大変お待たせしました。クマムシ博士のデビュー書評@HONZです。これまでにもHONZでは自称・虫マニアたちが、変わった本を見つけてはしゃぎ回っておりましたが、ついに真打ち登場です。あのクマムシ博士も嫉妬した、甲虫版グラビア写真の奥深き世界をどうぞご堪能ください。(HONZ編集部) 「これまでの昆虫図鑑の概念を覆した」。本書のことを、こう紹介しても過言で

「そ・つ・ぎょうぉ~、オメデトウ!」 表紙の写真は、その飛び込みの瞬間を収めたものだ。顔は見えないが、皆透き通るような笑顔だったに違いない。実は彼らの約半数は、数年前まで不登校生活を送っていた。 舞台は沖縄本島南部、南城市の沖合約5キロに浮かぶ離島、久高島。卒業生を含め10数人の子供たちが、この島の集落のはずれにある「久高島留学センター」(通称:センター)で

書店で見かけた本書の帯にはこう書かれている「イスラエル政府公認の初の資料!」と。 建国以来、常に近隣の国々と緊張関係にあり続けたイスラエルは、特異な歴史性から、その国家規模に比して驚異的な能力を持つ諜報機関を持つにいたった。 IDI (イスラエル国防軍諜報機関アマン)、 IDA (イスラエル治安機関シャバック)、そして対外諜報担う モサド 。これらの組織は映

本書は史実を丹念に追いながら、チャップリンとヒトラーのメディア戦争の実相を暴く一冊だ。 同時に、それはネット社会の現代を生きる私たちにとって非常に切実な課題を突き付ける。 はたして、迫り来る全体主義の恐怖の中で「笑い」という武器しか持たないチャップリンはいかにして悪夢の独裁者と闘ったのか。 「喜劇王」と呼ばれるチャールズ・チャップリンは1889年4月16日に

男の人生は、十字路の連続である。 右へ行くか左をとるか、それとも真っ直ぐに進むか。君はいま、十字路に立っているかね。つらいものと楽なものが見えたら、つらい方を選べ。それが、ほんとうはつらくない。長く生きた人間からの、ちょっとした忠告さ。 くーっ、しびれる。久しぶりの北方節だ。漢と書いて“おとこ”と読ませる、男をえがく男の作家・北方謙三。しかし意外にも彼の肉声


ページを夢中でめくっていくうちに、理屈だけでなく体験で理解させてくれる。「読むこと」についてのテーマパークのような本だ。

「地球の起源」と「生命の誕生」ーーそれぞれが存分に語られてきているテーマではあるのだが、両者を関連付けながら解明しようとする集団がいる。 東京工業大学地球生命研究所(ELSI) の研究者たちだ。本書は、ELSIの所長を務める廣瀬敬氏によって、現在までの地球生命科学の研究成果と課題、そして今後の展望がまとめられた一冊である。 カギを握るのは、初期地球の環境がど

国内の山村にして遠野よりさらに物深き所にはまた無数の山神山人の伝説あるべし。願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。 あまりに有名な民俗学の名著に記された、序文。明治43(1910)年に発表された柳田国男の『遠野物語』である。この時代、『遠野物語』にも登場する河童や座敷わらしは人々の身近に「いた」。しかし、深夜まで煌々と電気に照らし出された現代、そんな不思

限られた土地資源に制約され算術級数的にしか増やせない食料では、幾何級数的に増加する人口を支えることはできない。18世紀のイングランドに生まれヨーロッパ諸国の人口を観察した経済学者 トマス・ロバート・マルサス はそう考えて、多くの人々もそれは動かしがたい事実だと受け止めていた。触媒の力を活用した ハーバー‐ボッシュ法 が、窒素をアンモニアに変えるまでは。 20

世界が猛スピードで画一化している昨今だが、多様性を保持する源泉は自然の中に残されていた。チベット、アンデス、エチオピア。標高2000m〜4000mに住む極限高地の人々には、現代社会が忘れてしまった何かがある。地理的、気象学的にも特異な自然環境ゆえの孤立した暮らしの中には、他の地域に見られない独自の文化が粛々と受け継がれているのだ。 本書は、極限高地と呼ばれる

著者のロバート・グリーンはアメリカの作家。現在56歳の熟年イケメンである。大学卒業後は建設労働者や雑誌編集者など80もの仕事を経験した。1998年に“The 48 laws of power”(邦訳『 権力に翻弄されないための48の法則 』)で作家デビュー。この処女作はアメリカ国内だけでも120万部のベストセラーになり、24ヶ国語に翻訳されている。 『マスタ

とにかくページを開くごとに、すげー!昆虫すげー!と叫んでしまう。私が昆虫好きということを差し引いたとしても、叫ばずにいられないような写真が続くのである。 本書は、自然写真家・海野和男氏による擬態昆虫の写真集だ。海野氏は東京農工大で日高敏隆研究室に在籍中、擬態に出会い魅了されたという。1970年から45年かけて撮りためられた写真の集大成が本書である。そうと聞く

平成19年の都知事選に、黒川紀章はなぜ立候補したのだろう。メディアはシボレーのキャンピングカーを改造した選挙カーやクルーザーを駆使した派手なパフォーマンスを話題にしたが、黒川氏が何を訴えようとしたのかは一向に伝えなかった。 功なり名を遂げた有名な建築家の戯れのようにさえ見えた。もちろん結果は惨敗だった。直後の参院選にも立候補、妻で女優の若尾文子さんも街頭に立


“耳鼻削ぎ”とは穏やかではない。というか、野蛮。現代人はそう感じるだろう。日本の歴史上で耳や鼻を削ぐといえば、戦国時代の話かな。敵の首をいくつとったか戦功を証明するのに、首だと持って帰るには重いから耳。いや耳だと左右二つ削いで数をごまかせるので鼻になったんだっけ。いやはや、戦国時代は血腥い…。 著者は日本各地の“耳塚”“鼻塚”を訪ね歩き調査する。無惨に討たれ

「この世は謎に満ちている」という言葉は比喩ではなく、最新の科学的成果に基づく正確な世界描写であるようだ。2009年ヨーロッパ宇宙機関が打ち上げた プランク衛星 によって得られた高精度なデータを基に2013年に発表された研究結果によれば、宇宙の26パーセントをダークマターが、69パーセントをダークエネルギーが占めているという。我々を形作っている原子や空を照らす

ウソのようなホントの話が好物なのだが、本書はその逆。つまりホントのようなウソの話。それゆえ厳密にノンフィクションなのかと問われると苦しいところだが、そこは見逃してほしい。 紹介されているのは、日用品やビジネスツールといった道具の数々。だがこれら全てが「パラレルワールドからの御土産品」という設定なのである。現実世界のものと一見同じに見えるのだが、よくよく見ると

世論調査を目にする機会が増えたように思う。「賛成○割、反対○割」など、大文字で押し出された結果の部分を見ては、とりあえず「ふーん」とか言っている回数が多くなったような気がする。もちろんこれは感覚的な話に過ぎないが、議論の分かれる話がたくさん持ち上がっては報じられている今、あながち間違っているとも言えないのではないだろうか。 だが触れる場面が多い割に、調査の結

『奴隷のしつけ方』と衝撃的なタイトルだ。著者はマルクス・シドニウス・ファルクスというようだ。古典なのだろうか。本書を手に取り、パラパラとページをめくると違和感を覚える。マルクス・シドニウス・ファルクスとは何者なのか。記憶の糸を手繰る。しかし、思い出せない。本書の帯には「何代にもわたって奴隷を使い続けてきたローマ貴族の家に生まれる。」とある。書店でスマートフォ

忘れられない決め台詞がある。何度も何度も読み返す、あの漫画のワンシーン。そのワンシーンの背後にある、物語、演出、技法、テーマ、著者は一体どのようにしてそこにたどり着いたのだろうか。 アップやロング、カットバックやフラッシュバックなど多用し、コマのなかの絵を三次元的な構図にすることで奥行きをだすこと、これを「映画的手法」という。映画的手法を取り入れた先駆者は、

1995年、西アフリカのシェラレオネ生まれのミケーラという少女は、優しい両親のもとに生まれたたったひとりの子どもだ。生まれつき白斑病という皮膚がまだらになってしまう病気を持っていたため、家族以外からは愛されず小さいころから孤独であった。 シェラレオネでは、男は親に言われるまま何人も妻を持ち、女や子供は殴って躾けるという風習がある。しかしそれに逆らい、恋愛結婚

正直、リベラルとか保守とか、その手の話からは距離を置きたいというのが本音である。一言で言えば、ややこしいからだ。左右を問わず角度のついたスタンスからの発言は力強いし、もっともらしく聞こえることも多い。そんな中で、内側のスタンスから中庸なことを物申しても、無力感が伴うだけだろう。その実行力はともかく、立ち位置の格差というものが確実に存在するのだ。だからサイレン