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おすすめ本レビュー

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”こんな面白いもんがあったんか” 『文楽へようこそ』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

”こんな面白いもんがあったんか” 『文楽へようこそ』

文楽、である。人形浄瑠璃ともいう。300年もの歴史を誇る日本の伝統芸能であり、世界文化遺産にも登録されている。しかし、はたしてどれくらいの人が鑑賞したことがあるのだろう。えらそうなことはいえない、私だって4~5年前から見始めたところである。 しかし最近はかなりはまっていて、義太夫教室に通い出したりしている。その関係で、この4月には、大阪にある落語の定席・ 天

『暴露 スノーデンが私に託したファイル』世界24カ国同時発売−世界最速レビュー 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『暴露 スノーデンが私に託したファイル』世界24カ国同時発売−世界最速レビュー

【本書は世界24カ国同時発売である。日本では本日朝から書店店頭に並べられている。ということはこのレビューが世界最速になるかもしれない】 このレビューを書くため、「スノーデン」や「NSA」などのキーワードを20回以上Googleで検索し、何件かの事実確認をするためにMicrosoft Office 365を経由してメールを送受した。すでにこれらの通信は北米大陸

『年収は「住むところ」で決まる』 プログラマーが多い街にはヨガ教室が多い 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『年収は「住むところ」で決まる』 プログラマーが多い街にはヨガ教室が多い

中国から“ものづくり”を取り戻せ。こんなスローガンが聞かれるのは、かつてのものづくり大国・日本だけではない。リーバイスのようなアメリカン・スピリッツを象徴する企業までもが製造拠点の全てを海外に移し、失業率が高止まりするアメリカでも“製造業保護活動家”たちが製造業の復権を強く訴えているようだ。しかし、カリフォルニア大学バークレー校教授で経済学者の著者エンリコ・

『カウンセラーは何を見ているか』 - 常套句の罠、共感という欺瞞 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『カウンセラーは何を見ているか』 - 常套句の罠、共感という欺瞞

いわゆる業界ものというジャンルは古くから存在するわけだが、まさに玉石混交の世界である。業界内の人間から見ると、どこか通り一辺倒な言及に留まっていたり、業界外の人間から見るとチンプンカンプンだったり。また、あるあるネタとして笑い飛ばして終わりなものもあれば、業界との決別を覚悟して”立つ鳥後を濁しまくり”なものまでと幅広い。 ところが昨今、その業界に蔓延する問題

『海洋堂創世記』 きらめくモノ作り生活 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『海洋堂創世記』 きらめくモノ作り生活

あなたは、 ジャミラ を知っていますか? 人間の心を失いかけた可哀想なウルトラ怪獣。 あの頃、どれほど多くの少年がTシャツをかぶり「じゃーみーらーだーぞー。じゃーみーらー」と言ったことか。みんなやったさ僕もやった。そして樫原さんは、ジャミラの模型をつくった。 僕は二十歳になるかならないかという年頃で、大学生だった。 時は1980年代、「ガレージキット」が世の

『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」前代未聞のビジネス書! 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」前代未聞のビジネス書!

この本はいまごろ、書店のどのあたりに置かれているのだろう。コア・コンピタンス、バランススコアカード、プロセス・リエンジニアリングなどという、カタカナ用語に埋め尽くされたビジネス戦略書コーナーの一角であろうか。それとも立派なビジネス書の売上に悪影響があるからと、占いのコーナーにでも追いやられているのだろうか。 ビジネス戦略書コーナーにあって、本書の日本語だけの

わからないけど、わかりたい 『ブラ男の気持ちがわかるかい?』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

わからないけど、わかりたい 『ブラ男の気持ちがわかるかい?』

完全なタイトル買いである。書店で震えてしまったのは私だけではあるまい。 「ブラ男」。表紙からもわかるようにブラジャーをつけた男のことである。男にとってブラジャーほど謎な存在で、生まれもった身体の違いから不可侵な領域はないはずだ。男にも固有のものが付いている。ただ、男性もののボクサーパンツを女性が穿いても絵になるが、男がブラジャーを付ける姿は間抜けである。絶対

天才数学者の青春 『定理が生まれる 天才数学者の思索と生活』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

天才数学者の青春 『定理が生まれる 天才数学者の思索と生活』

数学のノーベル賞と言われる「フィールズ賞」を受賞した天才数学者による、定理を証明するまでの舞台裏と日常――この本の内容を一言でいうと、そうなるだろう。ただ、ほとんどの人が、なんとも不思議で神秘的な瞳を持つ、本の帯の著者写真( こちら でどうぞ)に目を奪われるように思う。 写真では、肩まで下りるワンレングスの漆黒のストレートヘアと、細面の顔に浮かぶ深い黒の瞳が

『ツイッター創業物語』 世界をつないだツイッターは、創業者たちの友情を引き裂いた 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『ツイッター創業物語』 世界をつないだツイッターは、創業者たちの友情を引き裂いた

ビズ・ストーンは、 200万ドル以上の価値をもつグーグルのストックオプションをあっさりと放棄した。貧しい家庭に育ったビズの貯金はゼロだったが、迷いなどなかった。この2005年時点で既に巨大企業となっていたグーグルで、これ以上ビジネスライクな人間と堅苦しいルールに縛られて生きていくことなど、ビズにはとても耐えられなかったのだ。グーグルを去ったビズは、憧れの人で

『社会はなぜ左と右にわかれるのか』 - 断層を乗り越えるための技法 書影

サイエンス / 社会

『社会はなぜ左と右にわかれるのか』 - 断層を乗り越えるための技法

保守とかリベラルとか、その手の話題とは願わくば一線を引きたいと思っていたし、あまり深入りせずに真ん中あたりをうろちょろしていると思われたいのが本音だ。だが、ここまで明確に人間社会における道徳の機能的価値を晒されると、むしろ知らないことの方が怖くなってくる。 道徳心理学という手法を活用した本書の明快すぎる論考には、いささか著者固有のバイアスもかかっていることだ

大人になること、それは合理化とうまくやっていくこと。『大人が作る秘密基地』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

大人になること、それは合理化とうまくやっていくこと。『大人が作る秘密基地』

本書は「秘密基地」をキーワードに18の事例を紹介する1冊。土地を購入してみずからコンクリートまで使って建てるものから、廃墟を再利用するもの、自宅のなかにつくるもの、果ては野外で行なうレイヴパーティまで、紹介される事例は多岐にわたります。 かつてマンガの神様こと手塚治虫は「合理化はゆとりや遊びの空間を消して」しまう、と語りました。成人することが合理化されること

『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』興奮!動物の生態研究最前線 書影

おすすめ本レビュー

『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』興奮!動物の生態研究最前線

マグロは時速100キロでは泳がない。マンボウとペンギンは同種の泳法を採っている。アホウドリは46日で世界一周するし、世界一のろい魚はサメである。 読み進めるうちにオロオロしてきてしまう。マグロといえば超高速で海の中を弾丸のように泳いでいくイメージがあったし、とぼけた顔のマンボウがまさか水族館のアイドル、ペンギンと同じ泳ぎ方をしているなんて想像できないし、地球

『サイレント・ニーズ』新しい見方というシンプルな武器 書影

社会 / ビジネス

『サイレント・ニーズ』新しい見方というシンプルな武器

2008年7月、iPhoneが発売された。その時から凋落の一途を辿っていったのが、Nokiaの携帯電話事業である。2007年に最高益を達成した後は、「第3・4世代(3・4G)移動通信システムvsスマホ」におけるイノベーター・アップルの前にひれ伏すこととなる。そして、2012年には14年間に渡った販売数トップの座をサムスンに明け渡し、 昨日 、携帯電話事業をマ

『悪い奴ほど合理的』 世界を少しずつよくするために。 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『悪い奴ほど合理的』 世界を少しずつよくするために。

時代劇が好きで、よく観るのだが、『 神谷玄次郎捕物控 』(NHK BS時代劇金曜午後8時)を観ていたら「おっ?」と目を引くシーンがあった。 探索中の定廻り同心・神谷が、事件とは何の関わりもなさそうな某藩上屋敷に入っていくので何かなと思いきや。三宝に載った袱紗が出てきて、開けてみれば黄金色。それを神谷は悪びれもせずしれっと受け取って懐に入れる。江戸詰めの藩士が

感電するアート 『オーラ!?  不思議なキルリアン写真の世界』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

感電するアート 『オーラ!? 不思議なキルリアン写真の世界』

キルリアン写真というものを、ご存知だろうか?今から約80年ほど前の1930年代に、旧ソビエト連邦で発明された不思議な写真のことである。発明家ニコラ・テスラの影響を受けた旧ソ連のキルリアン夫妻がその発明者。電気治療器の高周波によって生体から放電が起きていることに気付き、それを撮影しようと試みたことが発端であったという。 この鉄のカーテンの中で育まれたキルリアン

『未来を切り拓くための5ステップ』2014年最高のビジネス書 起業のバイブル 書影

おすすめ本レビュー

『未来を切り拓くための5ステップ』2014年最高のビジネス書 起業のバイブル

著者の加藤崇さんにはじめてお目にかかったのは、昨年10月23日 スルガ銀行d-labo でのイベントだった。二人ともビジネスモデルコンテストの審査員として参加していたのだが、イベントが終了してから一冊の本を手渡された。大手出版社から再版したいのだという。 手作りにしては装丁やレイアウトなどが良くできているその本のタイトルは『THINK BIG』。Amazon

『偉人は死ぬのも楽じゃない』 書影

医学・心理学 / 世界史

『偉人は死ぬのも楽じゃない』

本書には、カエサル、コロンブス、マリー・アントワネット、アインシュタインといった、歴史にその名を刻む19人の偉人たちが登場する。しかし本書がスポットを当てているのは、その武勇でも、才能でも、豪勢な暮らしでも、壮絶な運命でもない。書かれているのは、偉人たちが具体的にどのように死んだのか、という死に際の物語だ。それが1人物につき1章で、大体10ページくらいでまと

『レーガンとサッチャー』 書影

人物 / 社会

『レーガンとサッチャー』

その時代にその人物がいなかったら歴史はどのようになっていたのだろうかと思わせる人物たちが存在する。多くの場合、それは混沌とした世の中で強いリーダーシップを発揮した英雄的な政治家や軍人だ。本書の主人公二人がそのような人物であったという評価はこれまでなかったかもしれない。だが、冷戦という特殊な時代状況の中で20世紀中盤に超大国アメリカとその同盟国イギリスを率いた

江戸の科学する心『江戸の理系力』 書影

教養・雑学 / 日本史

江戸の科学する心『江戸の理系力』

「日本を知るには、明治維新前の科学を見るのがおもしろい。」雪の科学者、中谷宇吉郎が自身のエッセイの中で語っていた。日本の科学は、明治以後になって輸入され、模倣されたものが多い。だから中谷宇吉郎は、明治維新前の日本の科学を解釈し、独創性ある隠れた科学を堀り起こした。特に江戸時代は、自然科学に目覚め、数学を生活の中に取り入れ、医療も格段に発展した時期でもある。本

オーパ!オーパ!!『新・世界怪魚釣行記』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

オーパ!オーパ!!『新・世界怪魚釣行記』

“芸は身を助ける”と言う。“好きこそものの上手なれ”の方が正しいか。ともかく、本書を読みながらそんな格言が頭の中をぐるぐる回っていた。 リアル「釣りバカ日誌」である。ハマちゃんならぬタケちゃんがユーラシア・北米・南米・オーストラリア・アフリカをところ狭しと駆け抜け、未だ見ぬ怪魚を狙う。魚類ばかりではない。時には爬虫類を、時には哺乳類を、そして時には美女をも釣

豚をめぐる冒険 『イベリコ豚を買いに』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

豚をめぐる冒険 『イベリコ豚を買いに』

「イベリコ豚はスペインの黒豚だ」。ブッブー。「イベリコ豚はいつもどんぐりを食べている」。またまた、ブッブー。それじゃ、イベリコ豚ってなに? というわけで、実物を見たことのある日本人の紹介で、現地へと取材に……。 向かうはずなのだが、そうは問屋がおろさない。口蹄疫の発生である。そして、スペインへの取材がうまく行くようなら、この本はこれほど面白くはなかったに違い

絶対に真似をしてはいけない35の科学実験 『Mad Science2』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

絶対に真似をしてはいけない35の科学実験 『Mad Science2』

絶対に真似をしてはいけないーーなんと甘美な誘い文句だろうか。 前著『 Mad Science ―炎と煙と轟音の科学実験54 』では、「 シャボン玉爆弾 」、「 オレオクッキーを燃料にしたロケット 」等、数々のエクストリームな実験で話題になったあのシリーズが、さらにパワーアップして帰ってきた! だが、本書の”真似をしてはいけない”度は、針が振り切れるほどのMA

『有次と庖丁』そうだ 京都行こう 書影

教養・雑学 / 民俗・風俗

『有次と庖丁』そうだ 京都行こう

有次。「ありつぐ」と読む。京都市中京区のど真ん中、1200年以上の歴史を誇る錦市場にある庖丁と料理道具を販売する店だ。創業は永禄3年、西暦1560年。桶狭間の戦いがあった年である。8年後に織田信長が上洛し、戦国時代は終焉を迎えた。その時すでに有次は「日本鍛冶宗匠三品家門人藤原有次」として鍛冶を営んでいた。 本書はその有次と、有次の庖丁と、その庖丁を使う料理人

『ブラジルの環境都市を創った日本人』 まかせとき、まかせとき 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『ブラジルの環境都市を創った日本人』 まかせとき、まかせとき

世界三大瀑布の1つ、イグアス滝。それをブラジル側から擁するパラナ州の州都、標高900mの高原に位置する人口180万人の都市 クリチバ は、都市計画の成功例として世界的に有名な街だ。先導した市長の レルネル は1971年の就任当時33歳、市のマスタープランのコンペで最優秀賞をとった建築家であった。クリチバは、「醜くて、おどおどして、魅力がなく、そして貧しかった

『一瞬のアジア』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『一瞬のアジア』

写真は被写体のどこまでを表現することができるのであろうか。人間という存在はその体内に無限ともいえるような心の広がりと、どこまでも続く深淵のような精神を宿しながら、それでいてごく些末な日常の中を生きている。誰しもが自身の心の広がりと精神の深さを感じつつも自己の精神の中に深く潜る事を避け、表層の部分に現れる些細な感情の中に生きる。自身の中に深く潜り、心の表層に現

キャバ嬢という矛盾した存在『キャバ嬢の社会学』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

キャバ嬢という矛盾した存在『キャバ嬢の社会学』

23歳の京大大学院生が、自らキャバ嬢となって潜入捜査!と帯に書かれている文言に惹かれて購入したらこれが大当たりだった。著者が自らキャバ嬢となって体験したことを、社会学のフィールドワークとしてまとめた作品なのだが、普通の女の子がキャバ嬢になるプロセスや、男性がなぜキャバ嬢にいれこんでしまうのか?ということが書かれていて非常に興味深い。著者は1年あまりキャバクラ

『東大エグゼクティブ・マネジメント デザインする思考力』 東大・知の最前線 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『東大エグゼクティブ・マネジメント デザインする思考力』 東大・知の最前線

東京大学で知の最前線に挑み続ける6人の研究者へのインタビュー集である。インタビュイーの顔ぶれは、以下の通り。 ・素粒子物理学:村山斉 ・植物病理学:難波成任 ・イスラム政治思想:池内恵 ・情報通信工学:江崎浩 ・西洋経済史:小野塚知二 ・有機合成化学:井上将行 これほど幅広い分野の一流研究者の研究エッセンスを引き出すことは容易ではない。しかし、本書では元マッ

春 満開!『秘宝館という文化装置』 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

春 満開!『秘宝館という文化装置』

イケそうでイケない。 別にイヤらしい意味ではなく、そういう絶妙な距離感にあるのが「秘宝館」という存在であると思う。興味はあるのだが、わざわざそのために足を運ぶほどの気にはなれない。かといって何かのついでに行くというには、あまりにも不自然な場所にある。 だが、本書によると、そう悠長なことを言っている場合でもなさそうである。かつて北海道から九州まで少なくとも20

『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』人を育てるということ 書影

サイエンス / 医学・心理学

『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』人を育てるということ

本書は子を持つすべての親と、教育者にこそ読んでほしい物語である。主人公はジャイコブ・バーネット、この5月に16歳になるアメリカ人の少年だ。ジェイコブ君はただの少年ではない。9歳で大学に入学し、専門は数学と宇宙論。IQは170を超えるという。いわゆる天才少年なのだ。 しかし、このジェイコブ君は何万人に1人の割合で生まれるといわれる、いわゆる知的早熟児ではない。

Ce n’est pas grave!!『世界出張料理人』 書影

教養・雑学 / 人物

Ce n’est pas grave!!『世界出張料理人』

人に料理を振舞うのはいい。どんなに忙しい仕事の最中でも、いったん気持ちをリセットしてくれる。次の手順、食材の量、味の塩梅、盛り付け方、そんなことだけを頭に浮かべ、どうやったら美味しくなるか、食べる人が楽しんでくれるか、それを考えるだけで心が弾む。 しかし、それも仕事となると別だろう。自分のお店や自宅でなく、呼ばれた先で賄わなくてはならない出張料理人ともなれば

『リーマンショック・コンフィデンシャル』金融危機時の人間ドラマ 書影

人物 / 事件・事故

『リーマンショック・コンフィデンシャル』金融危機時の人間ドラマ

これまでさまざまな学者や評論家がリーマンショックについて解説しており、「住宅ローン基準の緩和に伴うサブプライムローンが、、、」といった抽象論は耳にたこができるほど聞かされている人は少なくないだろう。 私自身そんな大勢の一人で、今更リーマンショックの顛末にあまり興味はなく、本書を手にとったのは、「フィナンシャル・タイムズ」「エコノミスト」両紙の2009年ベスト

『スエロは洞窟で暮らすことにした』 お金がなくても豊かに生きられる!? 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『スエロは洞窟で暮らすことにした』 お金がなくても豊かに生きられる!?

米国ユタ州の砂漠の町モアブに、10年以上まったくお金をつかわずに暮らしている男がいる。スエロと名乗る彼は、50歳をすぎた現在でも、月の半分以上は野草やごみ箱から拾った物を食べ、人里はなれた洞窟に寝るという穴居生活を送っている。本書は、スエロの旧友でもあるノンフィクションライターの著者が、リーマンショックを機に、資本主義の煩わしさとは無縁の世界に生きる彼の元を

『メキシコ麻薬戦争』 ゴッドファーザーよりヤバイ現実 書影

社会 / 事件・事故

『メキシコ麻薬戦争』 ゴッドファーザーよりヤバイ現実

12万人。2006年から6年続いた カルデロン 政権下、メキシコ麻薬戦争によって失われた命の数である。異常なのは犠牲者の数だけではない。用いられる武器、残虐性も想像を超えている。けん銃やマシンガンは当たり前、手榴弾も決して珍しくはないという。メキシコが直面しているのは、マフィアたちの抗争や縄張り争いなどという言葉では片付けられない、“戦争”なのだ。 敵対集団

『寄生虫なき病』 - 黒の過剰か、白の不足か 書影

サイエンス / 医学・心理学

『寄生虫なき病』 - 黒の過剰か、白の不足か

花粉症、喘息、アレルギー、自己免疫疾患、現代に生きる我々を脅かす数々の病。これらを解決する鍵は寄生虫にあった!しかもその原因は、特定の寄生虫の「存在」が引き起こしているのではなく、「不在」によって引き起こされていたのだという。 表紙のアメリカ鉤虫のカバー写真に首根っこをつかまれ、膨大な資料に基づいた「寄生虫視点による世界史」の筆致に目を見開かされ、最後はアメ

『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』

表紙には、マンハッタンのクライスラービルを、窓に手をあてて眺めている少年がいる。しかし、よく見ると彼の右手にはマジックが握られ、窓ガラスには数式がびっしりだ。 野球帽を逆さにかぶった少年の名前はジェイコブ・バーネット。ジェイコブ君は8歳で大学レベルの数学、天文学、物理学のコースを受講し、9歳で大学に入学した、言わば天才少年である。窓ガラスの数式は、大学入学直

『西洋の書物工房』 本という名の作品 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『西洋の書物工房』 本という名の作品

文を書いている人なら、おそらく、自分の書いたものを、花切れのついた本として出版したいと思っている人は多いにちがいない。 花切れって、なに? 以前、HONZで(私が知らない)「花切れ」を語った時のメンバーの目の輝きといったら、そりゃもう、プリキュアもびっくりであった。そして今回本書を読んで、遅ればせながら私も「書物」、モノとしての本の世界に俄然興味がわいてきた

『神秘のクジラ イッカクを追う』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

『神秘のクジラ イッカクを追う』

神話上の生き物で ユニコーン と呼ばれる一角獣がいる。その神秘めいた存在は欧米社会を始め、世界中の多くの人々に今なお愛され続けている。 ユニコーンの存在は比較的最近まで信じられており、昔の科学者も実在の生き物として野生生物図鑑などに収録していた。その角には解毒の作用があるといわれ、王侯貴族の間で大変な高値で取引されていたという。その螺旋状に巻き上げられた、美