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おすすめ本レビュー

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3,647記事

『シェール革命』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『シェール革命』

書評の冒頭からいきなり本書『シェール革命』の結句を引用する暴挙をお許しいただきたい。金融機関での勤務経験もあるジャーナリスト財部誠一はこう結んだのだ。 「石油と軍事、その背景にあった金融資本主義を後退させ、シェール革命が新たな産業基盤を創出する『資本主義』の創造につながることが期待される」と。 それでは、なぜ金融資本主義は後退するのか。新たな産業基盤とはなに

よく生きるために学べ『フィンランド理科教科書 生物編』 書影

サイエンス / 教養・雑学

よく生きるために学べ『フィンランド理科教科書 生物編』

インフォームドコンセントの世の中になって、お医者さんはたいへんだ。相当時間をかけて説明しても、頭のなかに『?』しか残らない患者さんや患者さんの家族がかなりの割合でおられるにちがいない。 医業を営んでいないといっても、医学部を出ているので、近所のおばばとかに病気の相談をされることがある。どのあたりの基本的なことから、どの程度の詳しさで話をしたらいいかが難しい。

ナニコレほしい!『侍達ノ居ル処。』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

ナニコレほしい!『侍達ノ居ル処。』

斜練家は、その開祖である斜練常陸介隆昌、旧姓桐野隆昌が、円保5年の文燕之役での戦功を認められ、主君からシャネル・ブランドのハンドバッグとともに、斜練姓と紋を許されたことに始まったそうである。 残念ながら、実在の武将ではなく(当たり前か)、現代美術作家・野口哲哉の立体作品である。 細部の質感まで見事に表現された甲冑、絶妙かつビミューな表情、「シャネル」ロゴ配置

『原発敗戦 危機のリーダーシップとは』 リーダーには何が必要か 書影

社会 / 事件・事故

『原発敗戦 危機のリーダーシップとは』 リーダーには何が必要か

福島原発事故は「第二の敗戦」だった。 著者は、深い敗北感のただなかにいる。わたしたちは何も学んでいないのではないか、日本は70年前の敗戦から何も変わっていないのではないか。 民間事故調 のプログラム・ディレクターとして、ジャーナリストとして、つぶさに事故の経過を調査・検証してきた著者は、敗北感にとらわれながらも、日本再出発への道を模索する。 本書では事故を時

『記者たちは海に向かった』 - 半径10kmのジャーナリズム 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『記者たちは海に向かった』 - 半径10kmのジャーナリズム

記録を残すとは、時に残酷なものである。 本書の表紙をめくると、そこには一枚の写真が掲載されている。カメラに向かって微笑む、福島民友新聞の6人の記者たち。撮影されたのは、2011年3月9日。後方には激震と津波によって後に消失してしまう「ろうそく岩」もそびえ立つ。そして6人の運命が、やがてジグソーパズルのようにバラバラに引き裂かれていくことを、彼らはまだ知らない

この写真から目を背けてはいけない『フォト・ドキュメンタリー人間の尊厳』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

この写真から目を背けてはいけない『フォト・ドキュメンタリー人間の尊厳』

最初はちょっとした好奇心からだった。アメリカ・ペンシルバニア州の大学に通う林典子が、大学の掲示板に貼りだされていた「西アフリカ・ガンビア、研修参加者を募集」の掲示に興味を持ち、参加を申し込んだのは2006年1月。大学3年の春学期になったばかりのことだ。 ガンビア共和国は大西洋とセネガルに囲まれた細長い国土で人口は180万人ほど。その年の5月に教授の引率で入国

山に行きたい!『定本 黒部の山賊』 書影

アート・スポーツ / 社会

山に行きたい!『定本 黒部の山賊』

富山、岐阜、長野各県の県境付近に位置する黒部渓谷。登山愛好者には北アルプスの心臓部として知られている。著者によれば、黒部の源流は天候が崩れれば水位が一気に10m以上も上がり、また至るところで鉄砲水が出る。鉄砲水の勢いは凄まじく、突風を引き起こし、大木が40cmほどの木片に、ザクザクと粉砕される。もしこの増水や鉄砲水に飲み込まれれば、遺留品も遺体そのものも完全

『エロの「デザインの現場」』 - R18の想像力 書影

アート・スポーツ / 民俗・風俗

『エロの「デザインの現場」』 - R18の想像力

なにもかもが久しぶりの経験であった。 書店でなかなか見つからず、店員さんに「『エロのデザインの現場』って本、ありますか?」と聞いてちょっと恥ずかしかったこと。電車の中で隣の人に覗きこまれないよう、表紙に角度をつけてガードしながら読まなければならなかったこと。家に帰ってきてからも妻に見つからぬよう、大きめの写真集の隙間に背を奥側に向けてしまうなど細心の注意を払

『いつまでも美しく』 書影

人物 / 社会

『いつまでも美しく』

装丁の写真に写る少女は輝く大きな瞳と、笑った口元からのぞく白い歯がとても魅力的だ。その瞳、その笑顔はまだ、自らが何者かになれるという確信と希望に満ちているように感じられる。自らの立ち位置とその存在の小ささを現実という絶望から叩きつけられたことのない、幼き者だけが持つことの許される独特な輝きに満たされている。だが、彼女が顔を出している建物は、さびたトタンと棒切

『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』

素材はチョコレート、無塩バター、卵、グラニュー糖のみ。 これが最高級のガトーショコラ職人であり、またケンズカフェ東京のオーナーである著者が公開しているレシピである。 紆余曲折の末にたどり着いたレシピ、そして斬新な経営戦略を包み隠さず公開している潔さには感服するばかりだ。 デフレが長引く日本で、逆張りの発想で売上をひたすら伸ばすお店が、この「ケンズカフェ東京」

明治27年へタイムスリップ『戦争という見世物』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

明治27年へタイムスリップ『戦争という見世物』

これだけ本好きが集まり、朝会とレビューのため、鵜の目鷹の目で書店を渉猟しているにもかかわらず、HONZのメンバーでも見落とす本はあるものなのだ。ある日、時間つぶしのつもりで入ったある書店で、棚ざしになっている本書を見つけた。何の変哲もない白い装丁で目を引くものではない。しかし著者の名前に見覚えがあった。木下直之……あ、『股間若衆』の先生だ! 奥付を見ると昨年

夢よもう一度!『中級作家入門』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

夢よもう一度!『中級作家入門』

間違えないでほしいのだが、本書は『中級/作家入門』ではない、ということ。作家入門に初級も上級もなく『中級作家/入門』と読むのが正しい。じゃあ、中級作家とは何かといえば、現役作家ランキングで、100位から200位くらいに位置すると思われる作家たちを著者はこう定義したのだ。 果たして作家(小説家)は、今、日本に何人ぐらいいるのだろう?最大の規模だと思われる 日本

『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』上級ミステリー本 書影

教養・雑学 / 人物

『辞書になった男 ケンボー先生と山田先生』上級ミステリー本

本書は、国民的大ベストセラー辞典の「生みの親」に光をあて、これまで注目されてこなかった国語辞典の誕生秘話を解き明かす一冊だ。 合わせて累計4000万部に迫る驚異的な発行部数を記録する『新明解国語辞典』と『三省堂国語辞典』。辞書として最も有名な『広辞苑』の発行部数が1200万部であるから、これら二冊はそれ以上ないしは同等の部数を誇っていることになる。驚くのは、

挑め!世紀の難問『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

挑め!世紀の難問『ドーナツを穴だけ残して食べる方法』

学問においていちばん大事なのは、問題をどう解くかではない。どのような問題を設定するかである【アルキメデス】。 アルキメデスが言ったというのはウソだけど、どういう問いかけをするかが重要というのはホントである。この本が問いかけるのは、ドーナツを穴だけ残して食べることができるか、という哲学的命題だ。この、まったくどうでもいい問題を聞いておもしろがれるかどうか、で、

『縄文人になる!』こんなことできちゃうよ 書影

教養・雑学 / 民俗・風俗

『縄文人になる!』こんなことできちゃうよ

このタイトルとカバーの写真……縄文人に「なる」といきなり言われても、いったい? 緊張感があるような、まったくないような、私もよくわからない。のだけれど、淡々と縄文人のライフ・スキルを紹介するこの一冊、まったくもって本気なのである。 サブタイトルに「縄文式生活技術教本」とあるが、章ごとに「火」「石」「角」「土」「木」「衣」「食」「住」と分けられており、それぞれ

『FBI秘録』 監視された安全かリスクある自由か 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『FBI秘録』 監視された安全かリスクある自由か

FBIとはFederal Bureau of Investigationの略称であり、日本語では連邦捜査局となる。その名前や映画で伝えられるイメージから、FBIをアメリカの州をまたがる凶悪犯罪を担当する警察、と考えている人もいるだろう。ところが、FBIの主たる目的はその誕生から今日まで、秘密諜報活動にあると著者はいう。 CIAとは異なり 、FBIには犯罪を取

『第五の権力 Googleには見えている未来』 - 拡張現実型の未来予測 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『第五の権力 Googleには見えている未来』 - 拡張現実型の未来予測

この地球上で、国家のリーダーとしての視点から”今”を語れる人というのは195人ーーすなわち世界の国の数と等しいだけの人数が、少なくとも存在する。それでも、その言説の多くは現実空間のものに限定されてしまうであろう。 これを仮想空間に置き換えて考えてみると、どうなるだろうか。国家規模の広い視点から”今”を語れる人というのは、世界に数人しか存在しないのかもしれない

『開成調教師』-進学校から学ぶ「勝てる企業」の極意 書影

おすすめ本レビュー

『開成調教師』-進学校から学ぶ「勝てる企業」の極意

「朝から競馬の話か」と思われそうだが、確かに競馬関連の本である。新書サイズだが、講談社新書でも集英社新書でも光文社新書でもない。もちろん岩波新書でも中公新書でも新潮新書でもない。競馬王新書である。インテリジェンスあふれるHONZ読者に、開かれたブラウザを全力で閉じられそうな展開だが、待って欲しい。巻末の用語集を読むと「厩務員」や「凱旋門賞」がある。競馬王新書

『世界を動かす消費者たち』 10兆ドルの新市場 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『世界を動かす消費者たち』 10兆ドルの新市場

本書は、中国とインドに出現しつつある巨大な消費者層についての本だ。個人的には「消費者」という単語に「働く人」の対極のような印象を持っていたが、今回改めて、夕飯の買出しに来た人は働いていないのか、などと考えていたら怪しくなった。「消費」という響きが私に与える楽しさ、これはいったい何だろう?「消費」を自己表現と考えれば、時には「生産」で発揮できない本人の意思だと

『殺人犯はそこにいる』この国の正義を問う 書影

社会 / 事件・事故

『殺人犯はそこにいる』この国の正義を問う

現在、HONZが怒涛のキャンペーンを張っている作品がある。それが本書、『殺人犯はそこにいる』だ。 野坂美帆 。 内藤順 。 仲野徹 。さらに、マンガHONZの山田義久もそれぞれの立場から本書をレビューしている。また、栗下直也が 著者インタビュー を行っている。 ここまでレビューされているのだから、もういいじゃないか?そんな思いも少しはある。しかし、本書にはそ

究極の私ノンフィクション『セラピスト』 書影

医学・心理学 / 人物

究極の私ノンフィクション『セラピスト』

最相葉月 さん、やっぱりうまい。いまさらながら感じ入った。『 絶対音感 』以来、大ファンなのである。こういうのは言い続けているといいことがある。一年半ほど前、元阪大総長である 鷲田清一 先生が最相さんと対談された時、ファンであることをご存じであった鷲田先生が、その後の食事に誘ってくださった。( 対談録はこちら:pdf ) 対談は『わが心の町 大阪君のこと』と

『教誨師』 死刑囚と向き合い続けた男 書影

社会 / 事件・事故

『教誨師』 死刑囚と向き合い続けた男

教誨師とは、拘置された死刑囚と唯一面接できる民間人である。面接を望む死刑囚と対話し、ときに悔悟を促し、教え導く役割を負う。そしてさらに、面接を続けた死刑囚の刑の執行にも立ち会うという、過酷な任務でもある。 無報酬の「仕事」であり、多くの場合、牧師や僧侶など宗教家が、その役割を担う。そんな過酷な仕事をタダで誰がやるのか、と疑問が起こるが、宗教家にとって「教誨師

『飛行機技術の歴史』 技術はどのように飛躍するのか 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『飛行機技術の歴史』 技術はどのように飛躍するのか

飛行の夢に挑んだ人々の、技術開発の物語である。航空工学を専門とする著者が、飛行機技術進化の歴史を、多くの図版と少々の数式、そして科学者・技術者の人生とともに描き出す。技術発展の経緯を丹念に追うと、科学と技術がどのように共鳴するのか、技術がどのように積み上げられていくのか、そして技術がどのように世界を変えるのかが見えてくる。あるときは科学的真理の発見が技術を飛

『ヤンキー経済』六本木からも丸の内からも見えない世界 書影

社会 / ビジネス

『ヤンキー経済』六本木からも丸の内からも見えない世界

本書は業種や職種によっては、いますぐ役に立つビジネス書である。最終章のタイトルは「これからの消費の主役に何を売るべきか」。その最終章にはたった780円でこんなに教えてもらっていいのかというほどたっぷりと、具体的なビジネスのアイディアが満載なのだ。 たとえば、これからのビジネスとして、ネットでの有名ブランドの中古品販売は流行るはずだ。その場合はPCサイトではな

『SEMPE IN NEW YORK』唯一無二の街 ニューヨークを描く 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『SEMPE IN NEW YORK』唯一無二の街 ニューヨークを描く

ニューヨークは世界で唯一無二の街である。パリやロンドンにはそれぞれに個性があるもののヨーロッパの都市特有の佇まいがある。東南アジアには東南アジアの匂いが、南米には南米の色がある。しかし、ニューヨーカー(ニューヨーク人)とマンハッタンの摩天楼が醸し出す徹底的な上空への指向は他の街では見られない唯一無二の存在のように見えるのだ。人々は走るように歩き、倍速で話す。

あらすじだけでも知ってほしい本がある 『種痘伝来』 書影

医学・心理学 / 民俗・風俗

あらすじだけでも知ってほしい本がある 『種痘伝来』

地味といえば地味な学術書である。はっきり言って4千円は高いし、ほとんどの人は買おうと思わないだろう。しかし、この本のあらすじは知っておいて損はない。江戸時代の知識階級のレベルがいかに高かったがよくわかる。 天然痘 は感染力が強く、致死率も高いおそるべき伝染病である。いや、その撲滅が人類によって成し遂げられた唯一の疾患なのだから、『であった』が正しいのかもしれ

『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』 この街には行くところがない 書影

社会 / 事件・事故

『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』 この街には行くところがない

2009年秋、2つの連続不審死事件が明るみに出た。いずれも30代の小柄の肥満体型の女性が幾人もの男性を虜にして多額の金を貢がせていた格好だったが、世間の反応は対照的だった。 首都圏でネットを通じて知り合った中高年の独身男から金をだまし取り「セレブ」な生活を送った木嶋佳苗。法廷での服装や突拍子のない発言まで詳細に報じられ、佳苗の裁判の「追っかけ」まで登場した。

『脳のワーキングメモリを鍛える! 』 前頭葉のフィットネス 書影

サイエンス / 教養・雑学

『脳のワーキングメモリを鍛える! 』 前頭葉のフィットネス

物覚えが悪くなったのはいつ頃からだっただろうか、今となっては思い出せない。小学校の時から忘れ物は多かった人間だが、明らかに、最近、一皮むけたのだ。特に固有名詞だ。正解の直前までわかるのに「あれ」としか言えないもどかしさ。最近、物忘れがひどいんだよ…と友人に言ったら、「俺、今日、カタカナの“メ”が思い出せなかった。」と言われた。お互い、年である。“メ”がだめだ

『零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争』

日本人の心に強く刻み込まれた戦闘機が存在する。純国産であり、開発された当時において、世界最高の能力を有した大空の王者。しかし、その強さにもかかわらず、大戦末期の劣勢覆うべくもない戦況で、多くの若者を乗せ、帰る事のない死の攻撃に赴かせるという悲しくも皮肉に満ちた運命を背負い込むことになった戦闘機。その華々しい戦果と悲劇性により、開発から70年以上がたった今でも

どうしてこんなに流行っているの?『「おネエことば」論』 書影

教養・雑学 / 社会

どうしてこんなに流行っているの?『「おネエことば」論』

いつのころからだろう、テレビのバラエティ番組に「おネエ」言葉が溢れるようになってきたのは。異形の麗人たちの姿に驚かなくなってしまったのは、なぜなんだろう。世間の御意見番のような立場に、彼(彼女)らはどうして使われているのだろう。 最近は不思議とも思わなくなっていた、そんな現象を外国人の言語学者が論じた一冊、それが『「おネエことば」論』である。 17歳で日本に

『それでも、私は憎まない』 人間は、みな同じだから 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『それでも、私は憎まない』 人間は、みな同じだから

失った。本書の著者、パレスチナ人医師のイゼルディン・アブエライシュは、あまりに多くを失ってしまった。それは彼が、妻を急性白血病で亡くしてしまったものの、8人の子供たちと前向きに生きていこうと決意した矢先の出来事だった。2009年1月、3人の娘と1人の姪は、二度と抱きしめることができないほどに遠くへと旅立ってしまった。奪われた、という表現の方が適切かもしれない

DNAこそが知っている『殺人犯はそこにいる』ことを 書影

サイエンス / 事件・事故

DNAこそが知っている『殺人犯はそこにいる』ことを

出版されるやいなや、タイムラインには読み巧者たちによる絶賛の言葉がならんだ。しかし内容は重そうだ。まずはウォーミングアップにと、前作『 桶川ストーカー殺人事件-遺言 』を読んだ。そこには、桶川事件について抱いていた漠然としたイメージとはまったく違うドキュメントがあった。 そしてこの本。読み出すと文字通り止まらなかった。ここにもおぼろげに知っていると思っていた

ストン、ストン、胸に落ちる音がする。『あわいの力』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

ストン、ストン、胸に落ちる音がする。『あわいの力』

著者は能楽師のワキ方である。「能」と聞いたときにまず多くの人が思い浮かべるのは面(おもて)を付けて舞うシテ方で、ワキ方というのは、ちょっと失礼な言い方をすれば、シテ方が舞っているときに、なんだか舞台の角で、素顔のまま、じっとしている人。面もつけず、笛も吹かず、鼓(つづみ)も打たず、舞台の進行役を務めたり、ときに立ち振舞を見せることがあるものの、全体としてはな

『政治の起源 下』 法の支配と政府の説明責任 書影

社会 / 世界史

『政治の起源 下』 法の支配と政府の説明責任

先史時代にまでさかのぼり、多くの国・地域を比較することで、政治制度の起源に迫っていく本書は、2013年出版本でおすすめNo.1だ。著者フランシス・フクヤマによる起源をめぐる探求は広く、深い。上下巻合わせて700ページ超という大著でありながら、複雑に絡み合った歴史の流れが明快な論理に則って展開されるため、最後までまったく飽きさせない。ページをめくるたびに、1行

『人間と動物の病気を一緒にみる』 - 人間の未知、動物の既知 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『人間と動物の病気を一緒にみる』 - 人間の未知、動物の既知

人間の様々な病を、獣医学という観点から眺めると、新たな道が拓かれる。獣医学者だけが知っていた、人間の病の真実。人間の未知は、動物の既知。よく見知った動物たちの知られざる素顔は、背徳感を感じるほどに面白い。 オーストラリアのコアラたちの間では、クラミジア感染症が猛威をふるっており、絶滅の危機に晒されている。タコや雄の種ウマは、人間のリストカットを彷彿させるやり

『99%ありがとう』 書影

医学・心理学 / 人物

『99%ありがとう』

著者はこの11月で34歳になったばかりの前途有望だったはずの若者である。少年時代をアメリカやスイスで過ごし、アメリカン・スクールやハワイの大学を経て、広告代理店でプランニングディレクターとして活躍していた。しかし、彼は31歳の誕生日のたった4日前、医師からALSと宣告されたのだ。 ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、感覚や知能ははっきりしたまま、次第に体じゅう

『司法権力の内幕』-絶望的な、あまりに絶望的な実態 書影

社会 / 事件・事故

『司法権力の内幕』-絶望的な、あまりに絶望的な実態

裁判官たちは何を考えて裁いているのか。我々素人は「法と証拠」と答えるかもしれない。だが、冤罪は後を絶たないし、冤罪の疑いが強まっても耳を傾けない司法の姿が浮かぶ。著者は裁判官の頭には裁判の公正や司法の正義の概念はないと説く。司法権力という見えない組織にがんじがらめにされ、根拠を深く考えずに自動機械的に事案を処理する「司法囚人」の姿こそが裁判官の実像だと本書全

『殺人犯はそこにいる』 - 真犯人への挑戦状 書影

社会 / 事件・事故

『殺人犯はそこにいる』 - 真犯人への挑戦状

ただならぬタイトルの裏側には、ただならぬ闇が潜んでいた。地を這うような調査によって、ドミノ倒しのように明かされていく衝撃の事実。報道という武器を駆使して次々に繰り出される手技。それでも事態は動かない。「真実」への道のりは、ここまで遠いものか。そして「当たり前」のことを当たり前のように行うのは、ここまで難しいものか。 北関東連続幼女殺人事件は、栃木県足利市、群

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人物 / ビジネス

『イーロン・マスクの野望』桁外れの野心家

我々が人類史上類をみない大変革の時に居合わせていることを気付かせてくれ、単調な毎日を過ごしがちな私たちをワクワクさせてくれる、そんな一冊だ。 日本ではまだ認知度が低いかもしれないが、今、世界中から「未来を変える天才経営者」として注目されている起業家がいる。1971年に南アフリカで産まれ、31歳の時アメリカで億万長者の仲間入りし、現在地球規模の壮大な挑戦をする

健忘症患者H・M、アメフラシ、マウス、そしてヒト 『記憶のしくみ』 書影

サイエンス / 医学・心理学

健忘症患者H・M、アメフラシ、マウス、そしてヒト 『記憶のしくみ』

読み応えのある本だ。 新書版で上下 600 ページ近く。それもやさしい本ではない。しかし、『科学を楽しみ、神経系がどのようにして学習し、記憶するかについての驚くべき新発見に興味を持つ一般読者』を想定して書かれたというこの本のもくろみは十分に達成されている。 専門用語がたくさん出てくるので、本屋さんでこの本をぱらぱらっと見たら、それだけで尻込みしてしまうかもし