『演歌よ今夜も有難う』
(2011/06/25) 都築 響一 商品詳細を見る スナックのカラオケは演歌に限る。 舌が回りきらないような歌詞や「ヘイ!ヨー!」とラップでカッコつけても水割りには似合わない。ロックンローラーを気取っていても、日本人なら演歌の一曲や二曲は歌えるはずだ。セクハラと言われようが会社の部長と「銀恋」を歌えればOLとして一人前なのだ。 「日本人の心」にも例えられる
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(2011/06/25) 都築 響一 商品詳細を見る スナックのカラオケは演歌に限る。 舌が回りきらないような歌詞や「ヘイ!ヨー!」とラップでカッコつけても水割りには似合わない。ロックンローラーを気取っていても、日本人なら演歌の一曲や二曲は歌えるはずだ。セクハラと言われようが会社の部長と「銀恋」を歌えればOLとして一人前なのだ。 「日本人の心」にも例えられる

どんな逆境でも、しなやかにしたたかに、私は私の花を咲かせてみせる―それが雑草魂。 耳タコの常套句「逆境の時代、だからこそ雑草魂で乗り切っていきます!」とは言うものの、雑草の生態を改めて顧みることなど、日常ではめったにない。しかし、ひとたび「名もなき草」の暮らしぶりを覗いてみると、そこではエゲツナイまでの適者生存競争が繰り広げられている。 例えば春の風物詩でも


舞台はマイアミビーチに向かって走る防弾ガラス付きのロールスロイスから始まる。時速150kmで走るロールスロイスが向かった先は、金貨を片手にシャンパンを楽しむコロンビア人ディーラーや、ビキニ姿で二十代後半の締まったボディーをさらす美女達が乗る豪華クルーザー。船上で繰り広げられるのはドガやダリ等の盗難された美術品の売買。 いかにも犯罪者たちのパーティーという感じ

今年これまでで、もっとも面白かった本である。書評を書くと決めた本を読むときには、引用したいページに付箋を張りつけるのだが、あまりに数が増えたため、さらに厳選して別の付箋を張りつけたほどだ。おそらくボクにとって今年の科学読み物ナンバーワンだろう。 著者はオックスフォード大学の認知・進化人類学研究所所長だ。「気のおけないつながりは150人まで」という「ダンバー数

1961年4月12日が何の日かご存知だろうか。この日はソビエトのヴォストーク1号によって人類が初めて宇宙に飛んだ日であり、「世界宇宙飛行の日」として記念日にもなっている。 「その日」に生まれた著者は、自分が宇宙に行くことを当然と信じて子供の頃から宇宙飛行士を目指すも、敢え無く宇宙飛行士選抜試験に落選してしまう。宇宙飛行士選抜試験の独特の内容は 『ドキュメント
世界一大きな問題のシンプルな解き方――私が貧困解決の現場で学んだこと 1日の稼ぎが1ドル未満の人たちのうち8億人は、その稼ぎのほとんどを1エーカー(1辺約64メートルの正方形)の農場から得ている。その農場も4つか5つの小さな区画に分散している。その小さな農場から家族(約10人)を養わなければいけない。比較までに、農地面積が少ないといわれている日本の農家ですら
出版社/メーカー: メディアファクトリー 「人妻」と聞くと少し変な想像をしてしまうのは私だけだろうか。人妻、人妻とつぶやいていたら、もやもやしてきたので、広辞苑を開いてみたが、我が家にある昭和43(1968)年発行の広辞苑には「ひとづま」という言葉は見あたらない。 仕方がないので、新明解国語辞典(1993年発行)をめくってみると、「すでに他人の妻になっている
百年の孤独を歩く --- ガルシア=マルケスとわたしの四半世紀 河出書房新社 2011/4/9 かなりさみしい題名だが、 ヒロシ の新作ではない。孤独じゃないし歩いてもない、伝説の小説の舞台を巡り、コロンビアを疾走するエッセイである。 それでもって本書は、その『百年の孤独』をベースにしたコロンビア紀行の本だ。ものすごくテイストが違うけれど、敢えて喩えれば「伊
新書の刊行点数が毎月凄い。 正直、すべての書名をチェックできないので、記憶に残るような過激なタイトルに目がいってしまう。 そうだとしても、これはかなり挑戦的なタイトルだ。 (2011/05) 岩崎 純一 「排卵が見える男」なんて少なくとも女性は気持ち悪くて近づきたくないと思うだろう。 しかし著者の名前に見覚えあった。 (2009/09/16) 岩崎 純一 共

パラダイムとは、「一定の期間、科学上の問い方と答え方のお手本を与えるような古典的な業績」という意味だ。例えば「天動説」や「ニュートン力学」などが該当する。満月はいつですか?という問いに、天動説に基づいた計算で答えていた時代があったのだ。通常の研究活動はその時のパラダイムをベースに行われるが、ある時、どうしても解けない問題が発生する。そうすると、そのパラダイム

著者のアンドリュー・キンブレルはアメリカの市民運動家にして弁護士である。どこかの国の総理大臣と官房長官のイメージが重なり、胡散臭さを感じてしまう。企業や官僚は悪ときめつけ、大衆の漠とした不安を煽り、ことが成就すると権力の亡者となる、という印象が強い。 実際、本書『すばらしい人間部品産業』では最先端科学であるバイオテクノロジーなどに対し、無責任な科学界や強欲な

もちろん、東京HONZの読者が子どもでないことはわかっている。やってみなきゃわかんない。そう思いながらも、なかなか手や体を動かせない人にお勧め。子どもがいる人には、子どものために買ったふりをして自分で楽しむことを推奨。 単純明快なタイトル、子どもに危険なことを体験してほしいのだ。「本当の危険を見きわめる力」と「それに対処する力」を身につけるために、読むだけで

哺乳類必読のミルク本。著者は、目から牛乳を出せるイラストレーター安藤文平と謎な牛乳集団チーム・ミルクジャパン。要は牛乳を飲め!という本だが、内容が面白く、笑いながらよめる。北海道に旅行して、草原で丸太ベンチに座り、冷たいミルクを飲みながら読みたい本だ。 日本人の年間牛乳消費量は11,314,000tであり、米の8,883,000tより多い。牛乳・乳製品は、代
荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書) 荒木飛呂彦の奇妙なホラー映...の他のレビューをみる» 荒木 飛呂彦 集英社 (2011-06-17) 岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛蔵版コミックス) 岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛...の他のレビューをみる» 荒木 飛呂彦 集英社 (2011-05-27) ホラーの魅力を伝達 荒木飛呂彦といえば『ジョジョの奇
映画になりそうな本だ。 私だったら、オープニングは、ミドリさんが病院に入ってきて「女の水戸黄門だ」と言われているシーンにする。その後、時代を遡り、女子高生が自転車でカラクリ屋敷の前を通る場面に切りかえる。 高校生の頃、作者の鈴木さんは、電信柱が屋根から突き出している不思議な家を見つけた。そして大学進学と引越しが決まった時、思いきってその家を訪問した。出てきた

冷戦が終わり共産主義・社会主義のイデオロギーが廃れる中、なぜ中国は現体制を維持できているのかとても不思議だったが、本書を読んで合点がいった。とても古典的ではあるが人事権の掌握が鍵だったのだ。 本書はこれまで秘密にされてきた中国の統治形態を暴く本であり、おそらく今後の中国研究論は本書をネタ本として議論がされていくだろう。中国に関心ある人や、今流行りの国家資本主

書店の平台でひと際目を引いていた。しかし手に取るのは躊躇われる。女ならばなおさらだ。しかし、どうしても気になって取り上げ中をパラパラ見て「これは買いだ」と直感した。で、値段を見て仰天、3800円!一度は戻して家に帰ってきたものの、どうしても欲しくて手に入れた本が『エロティック・ジャポン』である。 著者のアニエス・ジアールは新進気鋭のフランス人女性ジャーナリス

著者の肩書は「燐票家」である。燐票とはマッチラベルのことだ。念のために言っておくが、マッチとは火を付けるためのアレである。19世紀半ばに発明されたマッチの用途は薪やガスコンロ、タバコなどに火を付けるものであったはずだ。もちろん、人々は便利な道具として、雑貨屋などで買い求めたはずだ。 日本では明治8年に生産がはじまり、第一次世界大戦終結のころには、スウェーデン

本書は東京都水道局の現役課長による、江戸時代をテーマとした経済書である。著者は法学部を卒業後、東京都に就職し、45歳を過ぎてから経営学の分野で博士号を取得した。2007年には「M&Aと提携が財務業績に及ぼす影響」という論文で日本管理会計学会論文賞を受賞している。謹厳実直な御役人の趣味は、奔放な経済学だということなのだろうか。 本書の「あとがき」では「“一物多

誰でも両親は2人である。祖父母は4人、曾祖父母は8人と、世代を遡るにつれ、先祖の人数は倍増する。1世代20年とすると、20代前には100万人を超え、30代前には20億人を超えてしまう。それぞれたった4百年前と6百年前のことである。 もちろん、そんな数の日本人が住んでいたわけでない。ぎゃくに一人の祖先から何100万人もの子孫が生まれたと考えるべきである。つまり

世界の産業用ロボットの7割を日本製のロボットが占めている。海外から見れば、日本はロボットの国。政治家よりもロボットの方が認知度は高そうだ。そんな日本がつくるロボットの一つで、人間型ロボットが本書が取り扱うアンドロイド。商業化されれば私たちの生活がどのように変わるのだろうと妄想しながら本書を読むことをおすすめする(個人的にASIMOやEVOLTAも欲しいのだが

不景気も20年続くと、どこか貧乏くさいことが当たり前になってきた。身の回りのものを最小限にして生きるミニマリストや、モノへの執着から離れる「断捨離」が、一過性のものではなく、日本人の特性になる日も遠くないかもしれない。 その結果、少ない持ちものを大事に長く使うという、昔ながらの生き方こそが、未来に繋がるという風潮になりそうだ。『直す現場』百木一朗著はその昔な
図書館で借りざるを得なかった本書。今和次郎の考現学を思わせる装丁、600頁超の分厚さ、そして税込6,000円超。サブタイトルにある社会学的想像力という社会学者ミルズの言葉に浪漫を感じ、見つけた本書。社会学的想像力とは一般的に「ミクロな問題とマクロな社会構造との連関を、洞察できる能力」のこと、つまりは世界の大局との関係を意識しながら、目の前の小さな問題に取り組

この本は将来、自分の名前を世に打って出よう、有名になろうと思っている方は必読である。テレビに出たり、有名になると急に親戚が増えるというではないか。物理的に増えるのではなく、希薄だったつながりを、有名になったと同時に無理やりにでもこじつけて、親戚だ!とでも言いたいのだろう。遠い親せきに有名人がいる輩が、有名人と血のつながりにあることを誇りに思って、公言している
僕が入学した北海道大学農学部は一年時に英語を一単位でも落とせば、留年が決定するという理不尽な制度。もちろん、何人も毎年振り落とされていく。軽やかに「 インディ・ジョーンズのテーマ 」を歌いながら、「不可」を軽快に出すアメリカ人。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』の原文がテキストだった厳しい女史の授業もあった。あまりにも、過酷だった。 「飢餓と飽食」を胸に大学

6月のHONZ定例会で濱崎さんから紹介された本である。版元の星和出版はおもに精神医学の専門書を取り扱う出版社だ。本書の医学書であり、けっして娯楽のために書かれた本ではない。それゆえに興味本位で読むべき本ではない。患者と医療従事者にたいするリスペクトを持って読むべき本である。 本書はタイトルどおり「稀で特異な精神症候群ないし状態像」を取り扱った33人の医師によ
(2011/05) カール サバー ふとしたきっかけで子どもの頃の思い出が津波のように押し寄せ、自分が幼少期に大きな犯罪の被害者・目撃者であったことを思い出す。 映画やドラマで一度は目にしたことのあるシーンではないだろうか。あまりに大きなストレスから逃れるために、記憶を意識の奥底へ追いやる、という方法は合理的であるようにも思える。 しかし、本当にそれほど強烈

ムバラク大統領が辞任した日は、日本もツイッターが騒がしかった。最初の一報は、New York Timesの記者のつぶやきで知った。もちろんアルジャジーラは数日前からお祭り騒ぎだ。タハリール広場は群衆で埋め尽くされていた。ネット生中継を見ながら、よくわからないけどすごいことになった、と思った。「まるでワールドカップで優勝したかのようだった」と書かれているが、画


HONZ活動を通し、私の読む本も新刊ノンフィクションの割合が高まった。実は自分好みの(=書評を書きたくなる)本に巡り合う確率は1割程度なのだが、私の場合「入門書・実用書」であると打率がグッと高まるようだ。今回は、その中から最近面白く読んだ3冊をご紹介したい。 思い返せば子どもの頃、足が速い同級生はクラスのヒーロー/ヒロインだった。私は足が遅かったが、こんな本
昨年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門を受賞した『ザ・コーヴ』は和歌山の太地で行われているイルカ漁をセンセーショナルに撮影した作品である。先祖代々受けついできた漁業をやめろと声高に叫んだこの映画は、上映問題でもめたので、記憶にある人も多いだろう。 実際、ドキュメンタリーやノンフィクションは撮影者や監督、作者の意図によっていろいろな見方があるから、作品を作るこ

版画家・藤牧義夫。美術史においてさして有名な作家ではないが、本読みの方なら、もしかしたら洲之内徹のエッセー、『気まぐれ図書館』シリーズの「中野坂上のこおろぎ」、「夏も逝く」、そして同シリーズの絶筆となった、「一之江・申孝園藤牧義夫」で取り上げられた版画家として覚えている人もいるかも知れない。 本書は、その洲之内も登場し、夭折の芸術家・藤牧義夫の謎を追ったノン

著者の髙橋秀実(ひでみね)氏はノンフィクション作家である。かつてフリーペーパー『R25』でも巻末コラム「結論はまた来週」を担当しており、私も街頭で何気ないタイトルに気を取られて読み進めるうちに、いつの間にか橋ワールドに引き込まれてしまったこともしばしばあった。 「情報」を使いこなす弥生人に取り残された、行き当たりばったりの縄文人タイプの人間・・・・・・。本
モノを創る人、直す人はもちろん、使う人にもおススメ 1981年~1982年の連載、1999年から2002年の連載をまとめたものであるが、その内容は決して古くない。是非書店で本書を手にとってそのイラストを見て欲しい。きっと買いたくなるはず。 「復旧」でなく「復興」を、という言葉を目にすることが多くなった。復興のためには、これから沢山のものを直さなければならない
※ この書評は時事通信社の依頼で書かれた文章に、現在の状況を加筆してあります。 3月11日の東日本大震災の被害は被災者の数、被害総額ともにかつてない膨大なものとなった。あれから2ヶ月以上経って、ようやく検証がされ始め、対策が練られ始めているが、何もかも失ったところからどうやって回復していけるのか、まだ先が見えない。 その上、未だ先の見えない原発事故は、実はぎ
実は高橋秀実さんの本は、おそらくほとんど読んでいる。しかしながら、経験的に言えば、その面白さを人に伝えるのは実はなかなか難しい。 面白いよ、と言って直接本を読むことを勧めれば、大抵の人はすごく面白かった、と言ってくれるのだが、どう面白いのかを言葉では説明しづらいのだ。 読みながら何度もふきだしてしまうのだが、爆笑を誘う風ではない。 そこはかとなく面白い。 し