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995記事

死者と共にあること『私の夢まで、会いに来てくれた――3.11 亡き人とのそれから』 書影

社会 / 事件・事故

死者と共にあること『私の夢まで、会いに来てくれた――3.11 亡き人とのそれから』

人は亡くなれば、会えなくなる。話しかけても応えてはくれないし、手を触れることもできなくなる。喪失が突然であればなおのこと、現実を受け入れるのは難しい。私自身、交通事故や突然の病で親しい友人を亡くしたが、10年以上経った今でも、背格好の似た人を見かければ無意識に目で追ってしまう。きっとこの痛みは私が死ぬまで続くのだろうが、それでいいと思っている。 2011年の

『炎と怒り トランプ政権の内幕』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

社会 / 併せて読まれたこの一冊

『炎と怒り トランプ政権の内幕』を買ったのは、どういう人たちなのか?

年明けに飛び込んできた米国での『Fire and Fury』出版のニュースは、日本の出版業界をも大きく揺さぶりました。本国では大ベストセラー、瞬時に売り切れたというニュースに…「じゃあ日本ではいつ出る?」「どこが出す?」「そもそも売れるのか?」等々、業界関係者の話題は一時期そのテーマで持ちきりでした。 で、結局今ノリに乗っている早川書房が版権を獲得。旬を逃し

『アーカイブズが社会を変える 公文書管理と情報革命』事実の積み重ねが未来をつくる 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『アーカイブズが社会を変える 公文書管理と情報革命』事実の積み重ねが未来をつくる

財務省の文書改竄問題をめぐってSNS上で繰り広げられている議論の応酬を見ていて残念に思うのは、現政権への好き嫌いの感情をベースに語られた言葉が実に多いこと。そしてやり取りがヒートアップすればするほど、問題の本質からはどんどん遠ざかってしまっていることだ。 今回の一件は、内閣が責任をとって総辞職すればそれですむような話ではない。またリベラルや保守といった政治的

『教養としてのテクノロジー』でテクノロジーを駆動する哲学を知る 書影

サイエンス / 教養・雑学

『教養としてのテクノロジー』でテクノロジーを駆動する哲学を知る

ほんの十数年前に登場したばかりのスマートフォンがそうしたように、新たなテクノロジーは私たちの生活を一変させる。AI、仮想通貨、ブロックチェーンのような新たなテクノロジーが誕生する速度は加速度的に増し、1つのテクノロジーが与える影響もより大きなものとなっている。グローバル化の進展によって小さくなった世界では、破壊的テクノロジーの影響は一瞬にして世界中を駆け巡り

『隠れナチを探し出せ 忘却に抗ったナチ・ハンターたちの戦い』悪の凡庸と時間に挑み続ける者たち。 書影

人物 / 社会

『隠れナチを探し出せ 忘却に抗ったナチ・ハンターたちの戦い』悪の凡庸と時間に挑み続ける者たち。

1945年5月5日、アメリカ軍がオーストリアのマウトハウゼン強制収容所を解放したとき一人のユダヤ人男性の命が救われた。男の名はジーモン・ヴィーゼンタール。自信家で野心家。この男は、後に最も有名なナチ・ハンターとして頭角を現す。そして、最も、問題の多いナチ・ハンターとして数々の論争の的となっていく。 大戦中にドイツが占領した地域では、ドイツ軍及び現地の協力者に

『安楽死を遂げるまで』幸せのまま逝きたい 書影

医学・心理学 / 社会

『安楽死を遂げるまで』幸せのまま逝きたい

一昨年、父を亡くした。88歳という年齢に不足はなかったとはいえ、その日まで普通に暮らしていた人が倒れ、救急車で搬送されて一か月でなくなってしまうとは、本人も家族もまったく想像していなかった。ましてその間、苦しみ抜くなんて、なおさらだ。 それから私は安楽死について深く考えるようになった。今の日本では許されない、自分が死ぬ時期を決めるということ。苦痛に苛まれた末

『評価の経済学』まわりの評判が気になったときに手に取る本 書影

教養・雑学 / 社会

『評価の経済学』まわりの評判が気になったときに手に取る本

本書の主題は、レピュテーションである。原書のタイトルは「The Reputation Game The art of Changing How People See You」で、評判をゲームとしてモデル化し、そのゲームを勝ち抜くためのお作法をまとめている。流し読みするだけでも、周囲からの評価を得ようと躍起になり、他者からの評価に振り回される日常を冷静に俯瞰す

『反共感論──社会はいかに判断を誤るか』 スポットライトに照らされる人たちとそうでない人たち 書影

医学・心理学 / 社会

『反共感論──社会はいかに判断を誤るか』 スポットライトに照らされる人たちとそうでない人たち

1987年、アメリカのテキサス州でわずか1歳半の女の子が井戸に落ちてしまった。女の子の名前はジェシカ・マクローア。ジェシカの体は井戸の枠に引っかかってしまい、大規模な救出活動が繰り広げられるものの、なかなか抜けない。ああ、可哀想なジェシカ。救出活動はテレビなどでも盛んに報道され、アメリカの多くの人たちがその動向に釘付けとなった。そして58時間後、ようやくジェ

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』大川小学校の悲劇。あまりにも複層的な物語 書影

人物 / 社会

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』大川小学校の悲劇。あまりにも複層的な物語

リチャード・ロイド・パリーの新刊である。そう聞いただけでピンときた人はよほどのノンフィクション好きか、あるいはHONZファンであろうか。英《ザ・タイムズ》誌アジア編集長、東京支局長でもある著者は前作『黒い迷宮』で2000年におきた英国人女性ルーシー・ブラックマンさん殺害事件を追い、日本の歓楽街の闇の一面を見事に描き出した。HONZでも話題騒然となり内藤編集長

『マネーの代理人たち ウォール街から見た日本株』生活者としての金融プロフェッショナルたち 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『マネーの代理人たち ウォール街から見た日本株』生活者としての金融プロフェッショナルたち

「マネーの代理人」という言葉から何を連想するだろうか。恐らく、ウォール街を跋扈するハゲタカファンドのような肉食系の投資家を思い浮かべるのではないだろうか。 ところが、本書に映画の『ハゲタカ』や『ウォール街』に見られるような劇的なストーリーを期待すると、肩透かしをくらうことになる。本書は、巨大機関投資家の中で働くサラリーマンは、何を考え、どのような行動原理に従

なるほど!我が国はこういうふうにできているのか 『日本で1日に起きていることを調べてみた : 数字が明かす現代日本』 書影

教養・雑学 / 社会

なるほど!我が国はこういうふうにできているのか 『日本で1日に起きていることを調べてみた : 数字が明かす現代日本』

数字、ファクト、ロジック。立命館アジアパシフィック大学の学長にしてHONZ客員レビュアーでもある出口治明さんは、この三つで物事を決定するべきだと説かれている。これはサイエンスにおける研究の進め方でも同じである。なかでも最も重要なのは生の数字だ。相対値ではなくて、絶対的な数字。それがなければ話にならない。 日本国についてのそのような数字をこれでもかと惜しげもな

『物流は世界史をどう変えたのか』物流が国家や歴史を変えた? 書影

社会 / 世界史

『物流は世界史をどう変えたのか』物流が国家や歴史を変えた?

2017年3月、英エコノミスト誌は「脅威のアマゾン帝国」という特集を組んだ。その冒頭で、今後10年以内に売上高は50兆円に達するだろうと予測している。事実、17年の売上高は19兆円を超え、米国のEコマース市場の50%に迫る勢いだ。 アマゾンはこの巨大な売り上げを支えるための物流システム構築に余念がない。16年、海運ではNVOCC(船舶を持たない貨物運送事業者

『ルポ 川崎』リバーズエッジから見る日本の未来 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ルポ 川崎』リバーズエッジから見る日本の未来

もしこの国の未来を知りたければ、とっておきの方法がある。川崎を訪れてみればいい。それだけ?そう、それだけ。ただしちょっとした条件付きだ。 いちどだけでなく、なんども通ってみること。そこで暮らす人々と言葉を交わし、できたら友だちになること。 そうすればこの街はかならずあなたに未来の姿を見せてくれるはずだ。 川崎市は人口約150万。東京都と横浜市に挟まれた位置に

『「国境なき医師団」を見に行く』最大限の敬意を払って支援を尽くす人びと 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『「国境なき医師団」を見に行く』最大限の敬意を払って支援を尽くす人びと

編集者であり、作家、クリエーターとしてマルチな才能を見せるいとうせいこうが 「国境なき医師団」 を見に行こうと思ったのは、取材を受けたときに、この団体の活動が多岐に渡っていることを初めて知ったからだ。通常発祥の地であるフランス語(Médecins Sans Frontières)の略語「MSF」と呼ばれることが多いこの組織は全世界70数か国に展開している。紛

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 AI研究が明らかにした人間の弱点 書影

サイエンス / 社会

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 AI研究が明らかにした人間の弱点

書店で、テレビで、ツイッターで、AIの二文字が踊っている。創造性あふれる小説の執筆や複雑なビジネスオペレーションの効率化など、これまで人間にしかできないと思われていた知的活動を、最新のAIが軽々と成し遂げたことを伝えるニュースは引きも切らない。 特に、将棋や囲碁のトッププロをAIが打ち破ったニュースは驚きとともに世界に伝えられた。ウサイン・ボルトより早く走る

『老後破産 長寿という悪夢』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『老後破産 長寿という悪夢』

大学の「社会保障論」の講義の中で、NHKスペシャル「老後破産」を教材に用いると、学生は衝撃を受ける。「なぜ高齢期に、こんな悲惨なことが起こるのか」「社会保障制度はどうなっているのだ」と──。丹念な取材で一人暮らし高齢者の生活を浮き彫りにしたルポは、若者の目を社会に向けさせ、社会のあるべき姿を思索させる力をもつ。 本書が取りあげた一人暮らし高齢者の「老後破産」

オリンピックに翻弄されたくなければ読むべし──『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

オリンピックに翻弄されたくなければ読むべし──『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』

東京オリンピック・パラリンピックの大会運営費用や会場整備費用は、当初見込んでいた3013億を遥かに超えて総予算の計上は現時点ですでに2兆円を超えている。東京都民としては「おいおい、話が違うじゃねえか」と呆れるほかないところだが、いったい”オリンピックを運営する”、その裏側ではどのような力学が働いていて、”なぜこうなってしまうのか”。 本書『オリンピック秘史:

月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰 書影

人物 / 社会

月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰

文字通り「ストリップ産業の帝王」となった男の評伝だが、タイトルだけで敬遠すると損をする一冊かもしれない。 冒頭から過激だ。ストリップ劇場に刃物を持って押しかけてきたヤクザを、病院送りにするところから物語は始まる。殺人2件、殺人未遂7件のヤクザを失神させる男とはどんな男かと想像は膨らむ。ストリップという産業からしても主人公はチンピラ崩れかと思われるかもしれない

『時計の科学 人と時間の5000年の歴史』時計と時間のズレた関係 書影

サイエンス / 教養・雑学

『時計の科学 人と時間の5000年の歴史』時計と時間のズレた関係

この原稿を書いている最中に、想定外のニュースが飛び込んできた。Facebookが新しい時間の単位を発表したというものだ。人類(のほとんど)は秒を共通の使用しているが、Facebookが提案した新しい時間の単位「フリック」は、7億560万分の1秒で、映像コンテンツを制作する際に、有用な単位となるらしい。 確かに時計の技術的な進歩により、時間の単位は変わっていな

『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』予想を超える厳しい現実に直面した兵士たち 書影

社会 / 世界史

『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』予想を超える厳しい現実に直面した兵士たち

1941年12月8日に始まり、45年8月15日に終結した、アジア・太平洋戦争は日本だけでも軍人・軍属230万人、民間人80万人、計310万人もの犠牲者を出した。当然ながらこの戦争は様々な視点から多くのことが論じられてきた。本書は過去の議論を踏まえた上で、3つの問題意識を重視しながら先の大戦を見直すことを目的としている。では三つの問題とは何か。一番目が、戦後歴

『「国境なき医師団」を見に行く』という旅 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『「国境なき医師団」を見に行く』という旅

世界各地で展開される「国境なき医師団」(MSF)のプロジェクトの現場を、作家のいとうせいこうが、訪ねて、考えて、書いた、という一冊。シンプルに、活動内容や現場を知る面白さもあるのだが、久しぶりに「読んでおいてよかった」と深く思う読書となった。自分の世界が少し変わる。ぜひこれは読んでほしい。 「国境なき医師団」の広報から取材を受けた際に、なぜこんなに活動内容が

『信用の新世紀 』ブロックチェーン後の未来にやってくるのは、物々交換の時代 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『信用の新世紀 』ブロックチェーン後の未来にやってくるのは、物々交換の時代

ブロックチェーンとは何かを正確に理解するのは難しい。 ブロックチェーン と ビットコイン や イーサリアム の関係、ビットコインというのは一般名称なのか固有名詞なのか、電子マネーと仮想通貨の違いは何なのかなど、個々に考えてみるとよく分からないことだらけである。 冷静になってみればそれも当然で、ブロックチェーンは生まれたての技術であり、AI(人工知能)と同じよ

『男の孤独死』 死とは何か、男とは何か。 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『男の孤独死』 死とは何か、男とは何か。

著者はベストセラー『「平穏死」10の条件』などの著書をもつ医師だ。病院で1000人、在宅で1000人以上を看取った経験から、在宅で死ぬ方が「平穏死」できると訴え続けてきた。近年、増加の兆しがでてきた在宅死。実はその約半分を占めるのが、孤独死である。そして本書は、さらにその約7割を占める「男の孤独死」に焦点を絞った本邦初の本である。 それにしても、身につまされ

『最初に父が殺された』南アジアの楽園で起きた凄惨な歴史 書影

人物 / 社会

『最初に父が殺された』南アジアの楽園で起きた凄惨な歴史

ときに歴史は恐ろしいほどに陰惨な物語を生み出す。民主カンプチアでおきた出来事は、ナチスのホロコーストや、毛沢東の大躍進政策、文化大革命にも匹敵する人類史上稀に見る惨禍であろう。民主カンプチアという名前でピンと来なければポル・ポト政権と呼んでもかまわない。 この政権での、極端な共産主義思想に基づいて行われた虐殺と飢餓で、全国民の四分の一にあたる二百万人以上が殺

『これが人間か』人とは、ここまでグロテスクになれるものなのか!? 書影

教養・雑学 / 人物

『これが人間か』人とは、ここまでグロテスクになれるものなのか!?

プリーモ・レーヴィはユダヤ系イタリア人。トリーノ大学を主席で卒業した科学者だ。彼は24才の時にパルチザンとして活動中に逮捕される。1943年の事だ。翌1944年にアウシュヴィッツに移送され、開放されるまで強制収容所で地獄のような日々を送った。彼が送られたのはアウシュヴィッツの中の第三強制収容所モノヴィッツである。この収容所は強制労働を主目的としており、囚人は

『結論は出さなくていい』番組プロデューサーが語る、「脱構築」の指南書 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『結論は出さなくていい』番組プロデューサーが語る、「脱構築」の指南書

本書『結論は出さなくていい』を一言で言い表すなら、現代を支配する浅薄でしかも強固な固定観念を打ち破るための、知的誠実さによって貫かれた、「脱構築」の指南書である。 ここで言う「脱構築」とは、著者曰く、「自らの拠って立つところを自覚し、その足場を相対化し続けること」であり、もう少し分かりやすく言えば、本書は、資本主義社会を前提とする一元的な価値観によって自縄自

『聖❤尼さん 「クリスチャン」と「僧侶女子」が結婚したら』夫婦で綴る笑いと涙の異文化体験 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『聖❤尼さん 「クリスチャン」と「僧侶女子」が結婚したら』夫婦で綴る笑いと涙の異文化体験

露の団姫 は、現役の上方の女性落語家にして天台宗の僧侶。高校時代から宗教の勉強を始め、聖書、コーラン、仏教書などを読み漁るなか、法華経に出会い「お釈迦さまは私の魂の父親だ!」と帰依することを決める。同時に夢であった落語家になるため 露の団四郎 に入門、大師匠の 露の五郎兵衛 宅に住み込みで修業した。 その団姫が運命の出会いをした相手が、 太神楽曲芸 師の 豊

『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 矛盾だらけのアメリカを宗教から読み解く 書影

社会 / 世界史

『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 矛盾だらけのアメリカを宗教から読み解く

その男は酒もタバコもしない。ギャンブルに手を出すこともない。刺激物はコーヒーすら飲まないのだ。キリスト教の教会に通い、積極的思考(ポジティブシンキング)を実践することで世界一の大国アメリカで人もうらやむ成功を手にした。この禁欲的に思える男の名前は、ドナルド・トランプ。そう、現アメリカ大統領のトランプには奇妙な信心深さがある。 テレビから伝わるトランプのイメー

『ハッパノミクス 麻薬カルテルの経済学』麻薬王は、誰もがみな名経営者!? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ハッパノミクス 麻薬カルテルの経済学』麻薬王は、誰もがみな名経営者!?

「一般企業もマフィアもやっていることは同じですよ」 もしあなたが真面目なサラリーマンで、誰かに面と向かってこんなことを言われたとしたら、どんな反応を示すだろうか。おそらく内心ムッとするはずだ。そして「とんでもない! 反社会的集団と企業を一緒にしないでください」とかなんとか反論のひとつも付け加えながら、納得のいかない表情を浮かべるのではないだろうか。 だが本書

『パリのすてきなおじさん』人生が醸し出す大人の「絵本」 書影

教養・雑学 / 人物

『パリのすてきなおじさん』人生が醸し出す大人の「絵本」

老いは避けられない。どうせ老いるなら若い人に「素敵なおじさん」と呼ばれたいものだ。おじさんが何歳からなのか、はっきりした定義はないだろうが、30歳からをおじさんと呼ぶのなら、私はおじさん歴9年になる。そろそろ、おじさんも板についてきた頃だろう。しかし未だに素敵なおじさんが、どんなものなのかトンとわからない。おじさんのサンプル集でもあればと思っていたら、出てき

『アフター・ビットコイン』ブロックチェーンが金融界を変える 書影

社会 / ビジネス

『アフター・ビットコイン』ブロックチェーンが金融界を変える

2017年10月末、ビットコインの時価総額は1000億ドルを突破。スマホなどでビットコインを管理するユーザーは全体として11兆円を超える潜在的な購買力を持っていることになる。 2009年10月にビットコインが法定通貨と交換開始されたときのレートは100ビットコインで9円だった。2011年には英字紙「TIME」がビットコイン特集を組んだ。この時点で1ビットコイ

『ぼくは13歳、任務は自爆テロ』日本人の若者が模索するテロリストからの脱却 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ぼくは13歳、任務は自爆テロ』日本人の若者が模索するテロリストからの脱却

テロが起こるのは違う世界の話だと思っていたのだが、ここ数年、そうとは言えなくなってきている。つい先ごろも、ロンドンで爆発のあった地下鉄に知人が乗り合わせていたと聞いた。日本でもいつか起こる、そんな予感は誰もが持っているだろう。だが長い平和を甘受してきた日本人にとって、テロは怖いばかりで具体的に何も対処できていない。 本書は「アクセプト・インターナショナル」と

『アメリカンドリームの終わり』格差社会は、いかにして助長されてきたのか 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『アメリカンドリームの終わり』格差社会は、いかにして助長されてきたのか

本書『アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理(Requiem for the American Dream: The 10 Principles of Concentration of Wealth & Power)』は、ノーム・チョムスキーへのインタビューによるドキュメンタリー映画『 アメリカンドリームへのレクイエム(Requ

『黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い』悪戦苦闘の中に見えてくる、選挙制度の問題点 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い』悪戦苦闘の中に見えてくる、選挙制度の問題点

選挙があると思い出す光景がある。ずいぶん前のことだが、番組でお付き合いのあった関係で、ドクター・中松の街頭演説を見に行った。場所は下北沢駅の北口だった。 ジャンピングシューズをはいたドクターが登場するとたちまち人だかりが出来たが、聴衆はビヨ~ンビヨ~ンと跳ねるドクターの動きにつられて顔を上下させるばかりで、せっかくの演説を誰も聴いていないんじゃないかと思った

『レッド・プラトーン 14時間の死闘』今年一番の戦争ノンフィクション! 書影

教養・雑学 / 人物

『レッド・プラトーン 14時間の死闘』今年一番の戦争ノンフィクション!

戦闘前哨(COP)キーティングはアフガニスタン北東部に位置するヌーリスタン州の山岳地帯に作られた。パキスタンの国境から、わずか22.5キロメートル。9.11以降アフガニスタンに派兵した米軍はアフガニスタン東部での反乱に悩まされていた。アルカイダとタリバンの戦士達はこの急峻な山岳地帯の網の目のような隠れ谷をうまく利用し、戦士や武器をパキスタンから補給していた。

誰か嘘だと言ってくれ、『アベノミクスによろしく』と『異次元緩和の終焉』に 書影

社会 / おすすめ本レビュー

誰か嘘だと言ってくれ、『アベノミクスによろしく』と『異次元緩和の終焉』に

科学者というのは、データを出すことが最も重要である。それに次いで、いや、それと同じくらい重要なのがデータを解釈することである。ライフネット生命創業者の出口治明さんが、物事を決める時に重要、と、おっしゃるところの『数字、ファクト、ロジック』は、科学者にとっての根幹でもある。 経済にはまったく疎い。なので、この二冊の本に書いてあることが真実なのかどうか、正しく判

『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』 本気の遊びが世界を変える 書影

教養・雑学 / 社会

『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』 本気の遊びが世界を変える

現代の世界は数え切れないほどのイノベーションが連鎖することでかたちづくられた。本書の著者スティーブン・ジョンソンが前著『 世界をつくった6つの革命の物語 』で示したように、ある分野のイノベーションは全く別領域でのイノベーションを誘発し、ときに想像すらできない変化をもたらしうる。印刷機の発明はインターネットを、衛生観念の発達はマイクロプロセッサを生み出した。著

白いご飯は味がないから苦手?!『残念和食にもワケがある』 書影

社会 / 民俗・風俗

白いご飯は味がないから苦手?!『残念和食にもワケがある』

まずはこの写真を見てほしい。 幼いころ怒られて教えられた記憶がよみがえる。「お葬式の時にすることだから絶対やっちゃダメ」というのはもはや常識ではなくなってしまったのだろうか? 本書は「食ドライブ調査」に基づいて考察された、現代の日本の食卓にのぼる和食の実態である。たくさんの写真とインタビューから描き出される姿に、あなたは驚くだろうか、それとも何とも思わないだ

現代版「生類憐みの令」『おクジラさま』 書影

生物・自然 / 教養・雑学

現代版「生類憐みの令」『おクジラさま』

(HONZ 東えりかとのクロスレビュー:東えりかの書評は こちら ) イルカとクジラの問題について日本人としてのアカウンタビリティ(説明責任)を問う一冊だ。 捕鯨問題に対して自分なりの意見を表明できるようにすることは、日本人のアカウンタビリティと著者はいう。捕鯨への反感は日本人が想像もつかないほど広く根深く世界に浸透しているからだ。 たしかに筆者も海外で経験