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995記事

『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』日本社会の持つ偏見のるつぼ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人』日本社会の持つ偏見のるつぼ

水谷竹秀はフィリピンを拠点にするノンフィクション作家。 『日本を捨てた男たちフィリピンに生きる「困窮邦人」』 (集英社)で現地の人々の情けを受けて生きている日本人を描き、第9回開高健ノンフィクション賞を受賞した。 この作品は、私の価値観をひっくり返した。生活する姿だけをみれば惨め以外の何ものでもない日本人が、なんの柵(しがらみ)もないことで、とてもいきいきし

『家族をテロリストにしないために イスラム系セクト感化防止センターの証言』「取り込み」はいかにして行われているのか 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『家族をテロリストにしないために イスラム系セクト感化防止センターの証言』「取り込み」はいかにして行われているのか

実際にテロ組織に加入しようとする若者を引きとめたり、社会への復帰を支援したりといった活動を行う「イスラム系セクト感化防止センター(CPDSI)」の創設者によって書かれた1冊だ。 著者はセンターを創設した2014年4月から2015年末までに、1134人の若者を支援してきた。活動の現場で目の当たりにした事例と、得られた知見がまとめられたのが本書である。 著者らは

『彼女たちの売春』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『彼女たちの売春』

10年ほどまえ、京都の某ホテルのロビーで、わりといいスーツを着た人品いやしからぬ感じのおじさまと、真夏でもないのに下着みたいなワンピースを着た20代前半のきれいな女の子を見かけた。 おじさまは女の子をロビーのソファに座らせ、自分はフロントでチェックインの手つづきをしている。私がなぜ、その2人の動向に注目していたかというと、女の子の顔から表情がごっそり抜け落ち

『ウォークス 歩くことの精神史』めくれば、歩きたくなる本 書影

教養・雑学 / 社会

『ウォークス 歩くことの精神史』めくれば、歩きたくなる本

原書のタイトルは「Wanderlust」、旅への渇望という意味を持つ。著者レベッカ・ソルニットの代表作であり、著者自身が旅への渇望を持つ一人である。著者の名前が日本で知られるようになったのは、著作『災害ユートピア』が、2010年という運命的なタイミングで出版されたためである。 人生をかたちづくるのは、公式の出来事の隙間で起こる予期できない事件の数々だし、人生

『海賊の世界史 古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで』海賊は社会を映す鏡である。 書影

社会 / 世界史

『海賊の世界史 古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで』海賊は社会を映す鏡である。

海賊ははるか古代より存在する。様々な文化、様々な海域、様々な政治状態、そして様々な民族によって海上での略奪行為は行われてきた。海賊と一言でいっても、その背景には多くの違いがある。だが、古代から現代、洋の東西を問わず、海賊には相反する二つの見かたがある。それは本書帯にも書かれているように「自由を求めるヒーロー」としての姿と「人類共通の敵」としての姿だ。 例えば

きっと本屋を開きたくなる 本ブームの謎に迫った『本の未来を探す旅 ソウル』 書影

教養・雑学 / 人物

きっと本屋を開きたくなる 本ブームの謎に迫った『本の未来を探す旅 ソウル』

韓国の首都ソウルでは、いま空前の本ブームが起きている。「独立書店」と呼ばれる個人開業の書店が週に1軒は生まれ、「独立出版物」と呼ばれる個人出版の本も、1日1冊のペースで出版されている。 一体なぜこんなムーブメントが起きているのか。学歴社会、就職難と非正規雇用、晩婚化と高齢化など、様々な共通した社会問題を抱える日本と韓国だからこそ、学べることがあるのではないか

『海の地政学』元NATOの「天才」が戦略提言&回顧録 書影

社会 / 世界史

『海の地政学』元NATOの「天才」が戦略提言&回顧録

著者は「米海軍きっての天才」といわれてきた元NATO欧州連合軍最高司令官だ。トランプ大統領とは正反対にグローバル化を擁護する立場で、TPPを支持し、移民を受け入れ、中国とは軍事的手段を必要としない文化的交流を発展させるべきだと説く。 日本をアメリカにとって最重要な同盟国と位置付け、民主主義国である日本、米国、EUが世界に冷戦なき新しい秩序を創るべきだと訴える

『ブレグジット秘録』 心地よい嘘と不快な現実の争い 書影

社会 / 世界史

『ブレグジット秘録』 心地よい嘘と不快な現実の争い

2016年6月23日、イギリスの国民投票の行く末を世界中が固唾を飲んで見守っていた。英国のEU離脱(ブレグジット)というまさかの結末は、世界中に大きな衝撃と混乱をもたらした。なぜ、英国民は多くの専門家が反対するブレグジットを選択したのか?そもそも、国民投票などする必要があったのか?EU離脱派がアピールし続けた、「EUを離脱すれば、毎週3億5000万ポンドの分

『プーチンの国 ある地方都市に暮らす人々の記録』地方にこそ、国の姿がある 書影

教養・雑学 / 社会

『プーチンの国 ある地方都市に暮らす人々の記録』地方にこそ、国の姿がある

その国の首都のみを見ていては、その国の本当の姿を知ることはできない。これは世界中のどの国にも当てはまる事実であろう。ロシアでもこのように言われている。「モスクワは真のロシアではない」と。実際にこの言葉の意味を体現するような出来事もおきている。 それは、2011年末にロシアの下院議員選挙で不正疑惑が持ち上がった事件だ。これをうけモスクワでは大規模な反政府デモが

『仕事と家庭は両立できない?』男性の平等が達成されなければ、女性の平等も実現しない 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『仕事と家庭は両立できない?』男性の平等が達成されなければ、女性の平等も実現しない

『仕事と家庭は両立できない?-「女性が輝く社会」のウソとホント』(原題:Unfinished Business: Women Men Work Family)の元になった、The Atlantic誌2012年7-8月号の論考『 女性は仕事と家庭を両立できない!? 』(原題:Why Women Still Can't Have It All)の中で、アン=マリ

性欲は関係ない?『男が痴漢になる理由』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

性欲は関係ない?『男が痴漢になる理由』

都市部で電車を使って通勤している男性ならば誰もが思ったことがあるはずだろう。いつか、痴漢に間違われるんじゃないか。両手はつり革が基本ポジションで、なるべく、手を上げた状態を保っていても、一時たりとも安心できない。思わぬ揺れでその手が人混みの中に潜り込んでしまったときに、「キャー」とか言われたらどうしようなどと妄想は絶えない。頼むよ、さっさと車内に監視カメラで

『世界の広場への旅』みんな同じで、みんな違う 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『世界の広場への旅』みんな同じで、みんな違う

読むと旅に出たくなる本がある。想像もつかない場所へ果敢に挑んだ旅行記や、街が美しく描かれた小説を読み始めると、旅の妄想が止まらない。本書『世界の広場への旅』は旅行記でも小説でもないが、読み終わったらきっとあなたは旅支度を始めることだろう。 著者は昭和女子大学教授で、これまでに冷戦時代の東欧や青蔵鉄道開通前のチベットなど、延べ86カ国、1,059カ所の広場を調

社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない 書影

社会 / おすすめ本レビュー

社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない

『チャヴ』、聞き慣れない言葉である。もとはロマ族の「子供」を指す言葉「チャヴィ」から来た、英国において用いられる「粗野な下流階級」を指す蔑称である。いくつかの英語辞典を調べてみると、「生意気で粗野な態度によって類型化される若年下流階級(オクスフォード英語辞典)」、「教養の欠如や下流階級であることを、その衣服や話し方、行動があらわすような人を示す蔑称。通常は若

ドキュメンタリ映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』を更に詳しく 書影

社会 / おすすめ本レビュー

ドキュメンタリ映画『おクジラさま~ふたつの正義の物語』を更に詳しく

2017年8月28日、反捕鯨団体のシー・シェパードは今年の捕鯨シーズンは 日本の南極調査捕鯨船の妨害を行わないと発表 した。日本の監視技術に太刀打ちできないのが中止の理由だという。まるで本書の発売と映画の封切りを見計らったような時期の発表だ。だがこの問題は解決したわけではない。 本書は9月9日から全国で順次公開されるドキュメンタリ映画 『おクジラさま~ふたつ

『健康格差 不平等な世界への挑戦』 Fair society, healthy lives. 書影

医学・心理学 / 社会

『健康格差 不平等な世界への挑戦』 Fair society, healthy lives.

スコットランドのグラスゴーの話。その市のなかの、たった数キロしか離れていないふたつの地区は、驚くべき対照を見せている。一方のレンジーは高級住宅街であるのに対して、他方のカルトンは指折りの貧困地区。ただし、両地区の違いはそれだけではない。1998年から2002年の数字で、レンジーの男性の平均寿命は82歳であったのに対して、カルトンのそれは54歳であった。その差

『無銭経済宣言 お金を使わずに生きる方法』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『無銭経済宣言 お金を使わずに生きる方法』

本書は、19か国で刊行され日本でも大きな反響を呼んだ『ぼくはお金を使わずに生きることにした』の著者による第二作 The Moneyless Manifesto の全訳です。 著者のマーク・ボイルは、1979年生まれのアイルランド人。英国のブリストルで働いていた20代の終わりごろ、現代社会の多くの問題の根底に〈お金〉があると気づいた彼は、お金のいらない相互扶助

『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 書影

社会 / HONZ客員レビュー

『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断

先日、新潮ドキュメント賞が発表され、ブレイディみかこさんの『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)の受賞が決定した。この作品を高く評価するのが、文藝春秋で数々の名ノンフィクション作品を送りだしてきた下山 進さん。本作の魅力がどういうところにあるのか、特別に寄稿いただいた。(HONZ編集部) 新潮ドキュメント賞を受賞したブレ

『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』

2016年の米大統領選挙を契機に、日本でも米国の「白人労働者」の存在が注目されるようになった。彼らこそは、当初、異端の泡末候補だった不動産王ドナルド・トランプの大躍進を支えた原動力であり、同氏のコアな支持層と目されたからである。 「白人労働者」は米国では「プア・ホワイト(貧しい白人)」「ホワイト・トラッシュ(白人のゴミ)、「レッドネッ

『金融に未来はあるか』金融危機の必読書 書影

社会 / 世界史

『金融に未来はあるか』金融危機の必読書

今年これまでで、もっとも面白かった本である。書評を書くと決めた本を読むときには、引用したいページに付箋を張りつけるのだが、今回は付箋を張りすぎて、読み終わった後にさらに厳選して別の付箋を張りつけるはめになったほどだ。今年の金融読み物ナンバーワンだろう。 リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機。これまで幾多もの書籍が出版されているが、そんな中でも必読

『戦場を歩いてきた カラー写真で読み解く戦場のリアル』ジャーナリストが見つめた戦地の日常 書影

社会 / 事件・事故

『戦場を歩いてきた カラー写真で読み解く戦場のリアル』ジャーナリストが見つめた戦地の日常

本書は日テレの番組、 NEWS24の「戦場を歩いてきた」 というコーナーを書籍化した物である。戦場ジャーナリストである佐藤和孝が戦場で撮り溜めてきた写真を通して、戦地に生きる人々の日常の姿を伝えるという趣旨の下に作成されたコーナーである。戦争と言う非日常の中にも日常がり、人々はそこでメシを食い、笑い、結婚もし、生きていく。しかし、尺の限られたニュース番組では

壮絶なる人生!『路地の子』を読んでいるのは、どんな人たちなのか? 書影

人物 / 社会

壮絶なる人生!『路地の子』を読んでいるのは、どんな人たちなのか?

『路地の子』が話題 です。著者は『日本の路地を旅する』で大宅壮一ノンフィクション賞を獲った上原善弘。今回は自らの父親の一代記を描いています。 非常に重いテーマの作品ですが、重版も続いているほどの人気ぶり。いったい何が人をここに惹きつけるのか、いったい誰がここに惹きつけられているのか、今回はこの作品を見ていきたいと思います。 まずは読者層です。 読者の70%超

巨象をあやつるSNS番長 『モディが変えるインド』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

巨象をあやつるSNS番長 『モディが変えるインド』

2017年8月15日、インドは独立70周年を迎える。本書は、普通に暮らす日本人に「インドの今」を知ってもらうために書かれた本だ。東アジア情勢が風雲急を告げるなか、「そういえば今、南アジアはどうなっているのだろう」と思い、私はこの本を手に取った。皆様も独立70周年の機会に、インドという大国に思いをはせてみてはいかがだろう。新たな視界が開けてくるかもしれない。

ダマされても憎めない『ananの嘘』 書影

教養・雑学 / 社会

ダマされても憎めない『ananの嘘』

雑誌はその時代のトレンド、社会の流れを掴むもの。だから1冊の雑誌の来歴をたどれば、自ずと、時代ごとの社会の変遷を読み取ることができる…。 そんな普段とは異なる「雑誌の楽しみ方」をみせてくれるのが本書『ananの嘘』。創刊から45年を迎えた雑誌『anan』(以下、アンアン)の2000号に及ぶ誌面を、『負け犬の遠吠え』他の著者である酒井順子氏が分析した一冊である

『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』 生きるために殺し続けた男。それは現代版の『罪と罰』なのか? 書影

人物 / 社会

『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』 生きるために殺し続けた男。それは現代版の『罪と罰』なのか?

「マレルバ」とは雑草のことである。雑草こそが本書の主人公のアントニオ・ブラッソことジュゼッペ・グラッソネッリの少年時代のあだ名である。雑草の名から連想できると思うが、彼は生粋の不良少年だった。本書はイタリアのシチリア島出身である「雑草」の数奇な半生を綴った自伝である。 日本では無名といっていいジュゼッペ・グラッソネッリとはどのような男で、いかなる人生を歩んだ

『教養としての社会保障』 書影

社会 / HONZ客員レビュー

『教養としての社会保障』

少子高齢化が進む中で、社会保障の持続可能性について不安を持つ人々が増えているようだ。「年金は破綻する」といった論調などその最たるものであろう。僕は半世紀近く生命保険業界に身を置いてきたので補完関係にある社会保障については昔から興味があったが、この分野では信じられないようなトンデモ本が多くバランスの取れた概説書に出会った記憶があまりなかった。 社会保障は、マク

痛快!『女子プロレスラー 小畑千代』81歳にして現役 書影

教養・雑学 / 人物

痛快!『女子プロレスラー 小畑千代』81歳にして現役

昭和43年11月6日、IWWA(国際女子プロレス協会)世界選手権がおこなわれた。超満員の蔵前国技館で、32歳の 小畑千代 が対戦したのは米国の ファビュラス・ムーラ 。一本目は、いきなり反則攻撃をしかけたムーラがフォール勝ち。二本目は、必ずとると決めた小畑が攻めまくる。ドロップキックからキーロック、空手チョップから、跳び蹴り、ハンマー投げ。最後は、20キロほ

『世界一訪れたい日本のつくりかた』観光の基本は「楽しい」にあるべき 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『世界一訪れたい日本のつくりかた』観光の基本は「楽しい」にあるべき

去る6月19日、東京大学の伊藤国際学術研究センターで行われた、東京大学政策ビジョン研究センター主催の『 文化を基軸とした融合型新産業創出研究ユニット キックオフシンポジウム「日本の文化政策の新たな姿を探る」 』に参加して来た。 その基調講演がデービッド・アトキンソン氏で、日本の観光政策についての中身がある非常に良い講演だった。アトキンソン氏のポイントは幾つ

『裁判所の正体 法服を着た役人たち』三権分立でさえ幻なのか 書影

社会 / 事件・事故

『裁判所の正体 法服を着た役人たち』三権分立でさえ幻なのか

これは一人の元裁判官と一人のジャーナリストの対談である。しかし、元裁判官である瀬木比呂志があとがきで語っているように、対談集という枠では収まらない本に仕上がっている。裁判官とジャーナリストというプロフェッショナルな世界でお互いの技量を競いあった男たちが作り上げた共同作品といって差し支えない代物だ。 まず著者たちの経歴を見てみよう。著者の一人、瀬木比呂志は東京

円城塔、田辺青蛙による夫婦読書リレー──『読書で離婚を考えた。』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

円城塔、田辺青蛙による夫婦読書リレー──『読書で離婚を考えた。』

円城塔、田辺青蛙の小説家夫婦が、課題本を出し合い交互にその本についてのエッセイを連載することによって、夫婦の相互理解につとめる。そんなコンセプトではじまったWeb連載が一冊にまとまったのが本書である。かたや理系で、わけのわからない抽象的な小説を書くと評判の円城塔さん、かたやホラー・怪談作家で読む本としては実話に近いものを好む傾向がある田辺青蛙さんと、 書くも

『「東京DEEP案内」が選ぶ 首都圏住みたくない街』だけど、行ってみたくなる街 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『「東京DEEP案内」が選ぶ 首都圏住みたくない街』だけど、行ってみたくなる街

「絶対に○○してはいけない」というニュアンスの言い方には、言外に反対の意味が含まれることも多い。「絶対に笑ってはいけない」「絶対に電車の中で読んではいけない」といった枕詞の後には、大抵笑いが待ち受けているものだ。いわゆるフリという奴である。 しかし本書の「住みたくない」は、どうも本気と書いてマジと読ませるタイプのようである。吉祥寺、自由が丘、下北沢は「甘すぎ

差別、貧困、食肉、利権、金、そして『路地の子』 書影

人物 / 社会

差別、貧困、食肉、利権、金、そして『路地の子』

食肉についての本といえば、なんと言っても講談社ノンフィクション賞を獲ったこの一冊。 日本中の『路地』を巡る、上原善広の大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 上原善広といえば、旧石器捏造事件を追ったこの一冊もオススメです。『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』からの改題。

いざとなったらコレがある?『偽装死で別の人生を生きる』 書影

社会 / 事件・事故

いざとなったらコレがある?『偽装死で別の人生を生きる』

あぁもう何もかもイヤになった、生まれ変わってやりなおしたい。誰だってふとそう考えることはあるだろう。残念ながら、生まれ変わるのは生物学的に不可能だし、よしんばできたとしても、それまでの記憶がなくなってしまうのだから意味がない。しかし、死んだことにして、別の人生を歩み始めることならばできるかもしれない。そんな可能性を探っていく一冊だ。 著者のエリザベス・グリー

『ルポ 絶望の韓国』経済格差、学歴社会…どの側面も韓国は「生きにくい」 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ルポ 絶望の韓国』経済格差、学歴社会…どの側面も韓国は「生きにくい」

はじめにお断りしておくが、評者は嫌韓派でも親韓派でもない。あえて称するならば無韓派だ。たった1カ国の外国に対する好き嫌いで国を二分してはならないと思う。良きにつけあしきにつけ、いまは見て見ぬふりをすることが、両国関係にとっても良いと思うのだ。 しかし、それでは無責任にすぎるかもしれない。ならば分析や議論は専門家に任せよう。ただし、現場を冷静に取材し、中立的な

『裁判所の正体 法服を着た役人たち』司法への信頼がガラガラと…。 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『裁判所の正体 法服を着た役人たち』司法への信頼がガラガラと…。

凄い本を読んでしまった。信じていた司法への信頼がガラガラと崩れていく。私はなんという国に暮らしているのだろう。 本書は「文庫X」として大ヒットとなった 『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』 (新潮文庫)の著者、清水潔が、元裁判官で 『絶望の裁判所』 『ニッポンの裁判』 (ともに講談社現代新書)の著者、瀬木比呂志との対談を希望したことで

『平均思考は捨てなさい』 みんなちがって、みんないい 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『平均思考は捨てなさい』 みんなちがって、みんないい

2017年5月に経済産業省が若手・次官レポートとして発表した「不安な個人、立ちすくむ国家」は、「結婚して、出産して、添い遂げる」、「正社員になり定年まで勤めあげる」という「昭和の標準的人生」が21世紀には一般的ではなくなったため、この標準に基づいて設計された日本の制度や価値観が現代社会のあちこちに大きなひずみをもたらしているのだとしている。しかしながら、19

『東大助手物語』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『東大助手物語』

いたいたしい読み物である。 ページをくりながら、私はそこかしこで思う。ああ、もういい。もうわかった。中島さん、自分をさいなむのは、ほどほどにしてくれ、と。 だが、そう思いつつ、私は読みすすむ。中島さんの心が、傷つき、すさんでいく。その荒廃を、どこかで私はおもしろがっている。こんどは、どんなふうに精神の解剖が、しめされるのか。その自虐劇にわくわくしている私も、

『なぜ働くのか 』アイデアにもテクノロジーが必要だ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『なぜ働くのか 』アイデアにもテクノロジーが必要だ

TED(Technology Entertainment Design)はどんなテレビ番組より面白いので(但し、NHK『BS世界のドキュメンタリー』は除く)、iPadでテレビ代わりによく見ている。テレビドラマや映画だと英語が分からないことが多くて字幕がないと辛いが、TEDトークはプレゼンテーターの思考が冴えていて、話もロジカルなので、英語がすごく分かりやすく

『ある日うっかりPTA』誰もが知っているつもりで、じつは分かってなかった別世界 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ある日うっかりPTA』誰もが知っているつもりで、じつは分かってなかった別世界

子どものいない者、あるいは遠い昔に子育てを終えた人からすると、PTAは秘密結社のように見える。子を人質にとられた親が、学校と教育委員会に労働力を捧げるようなものだ、と思っていた。 杉江松恋はフリーランスのライターで主にミステリ小説の評論を書いている。身の丈は180センチを超し、体重は100キロオーバー。トレードマークは金髪に髭にサングラス。それなのに話し方は

『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』 現実的な理想主義者たちが本気で宇宙を目指した 書影

人物 / 社会

『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』 現実的な理想主義者たちが本気で宇宙を目指した

こちらはバッタへの情熱で突き進む男の話。クマムシ博士によるレビューは こちら 。 ビックバンから生命誕生まで、宇宙はどのように変化してきたのか。高価で読み通すのにはかなりの体力を要する大部だが、科学がどのように宇宙の謎を解き明かしてきたかの全体像を知るためのベストな一冊。レビューは こちら 。 アメリカ政府、その中でも特にペンタゴンは科学の力を大いに利用し、

毒のある戦略論!『戦争にチャンスを与えよ』思考が振り子のように揺れる。 書影

教養・雑学 / 社会

毒のある戦略論!『戦争にチャンスを与えよ』思考が振り子のように揺れる。

毒のある本だ。本書を読み始めてすぐにそう感じた。毒のある題名を付けて購読者の気を引き、中身は平凡でつまらない本も多数存在するのだが、この本はそうではない。 本書の著者エドワード・ルトワックはワシントンにある大手シンクタンク、米国戦略国際問題研究所の上級顧問であり、戦略家、歴史家、経済学者などの肩書きを持っている。しかし、日本の読者には『中国4.0』の著者であ