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995記事

『移民が導く日本の未来 ポストコロナと人口激減時代の処方箋』 書影

社会 / HONZ客員レビュー

『移民が導く日本の未来 ポストコロナと人口激減時代の処方箋』

日本は移民がつくった国である。約3.8万年前の対馬ルートを皮切りに、3.7万年前の沖縄ルート、2.5万年前の北海道ルートなどいろんな人々が渡ってきて日本列島に住み着いた。それが我々の祖先である。移民がつくった国なのに、なぜ、現在の日本の人々は移民という言葉に過剰反応するのだろう。本書は、少子高齢化に伴う人口減少を日本の最大の危機と捉え、既に外国人なしでは日本

『アメリカン・プリズン──潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』「更生より収益性」の原理が支配する民営刑務所の実態 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『アメリカン・プリズン──潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』「更生より収益性」の原理が支配する民営刑務所の実態

カリフォルニア州矯正局は先日、8月末までに約8,000人の服役囚を釈放すると 発表した 。理由は言うまでもない。世界の囚人数のうち約4分の1を収容するアメリカでは、刑務所内での感染拡大が深刻な問題になっている。考えてみれば「密」を避けるうえでこれほどハードルが高い場所もないかもしれない。同州では2月以降すでに約10,000人が解放されている。 いくら手に負え

『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』テロと暗殺が交錯する、紛争地帯の現実と倫理 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『イスラエル諜報機関 暗殺作戦全史』テロと暗殺が交錯する、紛争地帯の現実と倫理

アリー・ハッサン・サラメ。テログループ「黒い九月」のメンバーで、1972年にイスラエル選手団が殺害されたミュンヘンオリンピック事件の中心人物とされる。黒い九月の解散後はパレスチナ解放機構(PLO)の幹部として活動。米中央情報局(CIA)とPLO議長アラファートの情報交換ルートとして機能した人物だ。 79年、サラメがベイルートにある自宅から20メートルほどの地

『わかりやすさの罪』「すぐにわかる!」はそんなにいいことか 書影

教養・雑学 / 社会

『わかりやすさの罪』「すぐにわかる!」はそんなにいいことか

渋谷の書店で著者を見かけたことがある。 出版社の人と一緒に新刊の宣伝にでも訪れていたのだろう。棚の前でお店の人になにやら熱心に説明しているのは担当編集者のようだった。 その時の著者の様子が強く印象に残っている。 通路を通るお客さんの邪魔にならないように、プレゼンに熱が入り、動きが大きくなっていた編集者の背中を、さりげなく押さえたりしていた。本のPRそっちのけ

大人でも知らない、子どもでも分かる『捨てられる食べものたち』のこと 書影

社会 / おすすめ本レビュー

大人でも知らない、子どもでも分かる『捨てられる食べものたち』のこと

まもなく梅雨もあけ、夏本番。気温が上がると、食品の足もはやくなります。「あ〜これもうだめだわ」ポイっ。「うーん、これも危ないからやめておこうかな」ポイっ。そうやって食品とサヨナラする機会も増えるかもしれません。 世界では毎年、 生産される食料の3分の1にあたる、約13億トンの食料が捨てられている と言います。これは、東京都民1300万人が1年間で食べている量

『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』大志を抱かない生き方は許容されるか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち』大志を抱かない生き方は許容されるか?

本書は、大人たちの「夢を持て」「大志を抱け」という温かなアドバイスが数多の若者たちを苦しめている事実を剔出する一冊である。なんだそりゃ、軟弱すぎる、大袈裟だ、そんなわけない……などと憤る方は多いだろう。だが、大学の事務職員として学生のキャリア支援と講演活動を精力的に行ってきた著者は、一万人以上の若者の生の声を聞き、もはや看過できない域に達していると痛感する。

『SDGs投資 資産運用しながら社会貢献』「資本主義の父」渋沢栄一、SDGsとの深い関係 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『SDGs投資 資産運用しながら社会貢献』「資本主義の父」渋沢栄一、SDGsとの深い関係

本書の著者・渋澤健は、日本の「資本主義の父」渋沢栄一の玄孫(やしゃご)だ。彼は、外資系金融会社や投資ファンドを経て、現在は長期の積立型投資信託を主軸とするコモンズ投信のファウンダー兼会長を務めている。 栄一が、その代表的著作『論語と算盤(そろばん)』で説き、実践した経営哲学は、倫理と利潤の両立を目指す「道徳経済合一説」である。著者は、こうした栄一の経営思想を

これは民主主義崩壊への序曲なのか 『公文書危機』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

これは民主主義崩壊への序曲なのか 『公文書危機』

昨年、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞した、毎日新聞の好評連載「公文書クライシス」。本書はその取材班が、取材の手の内を明かしながら、ふたたび公文書の闇を照らし出したレポートである。記者たちは今なお取材を続けており、その追及は凄みを増している。記事を読んだ方にも、間違いなく一読の価値がある本といえる。 またもう一つ、本書の大きな読みどころとなっている

『武器としての「資本論」』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

社会 / 併せて読まれたこの一冊

『武器としての「資本論」』を買ったのは、どういう人たちなのか?

ポストコロナ、アフターコロナというタイトルや惹句がつく本が増えてきました。そんな中、コロナ時代を考える本として話題になっているのがこの『武器としての「資本論」』です。コロナ禍がここまでなっていなかった時期に書かれた本ながら、今の世の中を理解するために「資本論」がどう活躍するか、を易しく書いており、経済に詳しくない層にも高く評価されています。 この本の発売日は

『いつも、日本酒のことばかり。』日本酒専門ライター、渾身の一冊! 書影

教養・雑学 / 社会

『いつも、日本酒のことばかり。』日本酒専門ライター、渾身の一冊!

政府の緊急事態宣言でSTAY HOMEを強いられた日々、楽しみは専ら食事だった。家で晩酌をする機会が多くなると美味しいお酒が欲しくなる。私は日本酒の魅力に嵌った。 著者も日本酒の魅力に取りつかれたひとり。17年前、アルバイト先の居酒屋で飲んだ一口が彼女の人生を一転させた。タイトル通り、いつも日本酒のことばかり、考えるようになってしまったのだ。 病膏肓に入り、

『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』「正しさ」という思考停止、集団暴走の仕組みを学ぶ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』「正しさ」という思考停止、集団暴走の仕組みを学ぶ

白いシャツにジーパン姿の約250人が室内で足を一斉に踏みならす。「ハイル、タノ」の大声とナチス式敬礼で指導者に忠誠を誓う。屋外に出れば、いちゃつくカップルを集団で取り囲み、「リア充、爆発しろ」と糾弾する。カップルを退散させた「田野帝国」の構成員は、拍手とともに目標達成を宣言する。 漫画のような光景だが、これは著者の田野大輔氏の授業の一コマだ。ファシズムを体験

『ルポ百田尚樹現象』私たちが知りたかった「社会の見取り図」がここにある! 書影

人物 / 社会

『ルポ百田尚樹現象』私たちが知りたかった「社会の見取り図」がここにある!

職場のそばにわりと大きめの書店がある。いつの頃からか売れ筋の棚に「反日」や「愛国」を打ち出した本ばかり並ぶようになった。百田尚樹はその棚の常連である。一昨年出版された『日本国紀』もいまだに棚の一角を占めている。『日本国紀』は関連本をあわせ累計100万部を突破したというし、『永遠の0』や『海賊とよばれた男』のようなメガヒット作品もある。百田はいまもっとも売れる

『まどわされない思考 非論理的な社会を批判的思考で生き抜くために』陰謀論や疑似科学のあやしげな論理を見抜く 書影

サイエンス / 社会

『まどわされない思考 非論理的な社会を批判的思考で生き抜くために』陰謀論や疑似科学のあやしげな論理を見抜く

著者の紹介から始めたい。デヴィッド・ロバート・グライムスは1985年アイルランド生まれの物理学者・ガン研究者で、BBCとアイルランド放送協会でコメンテーターとして活躍する傍ら、ガーディアン紙やアイリッシュ・タイムズ等で記事を執筆する科学ジャーナリストでもある。世論を正しい方向に導いた功績として2014年にジョン・マドックス賞を受賞した経歴も持つ、まさしく気鋭

地を這う新型コロナウイルス禍メモワール、60職種77名による『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

地を這う新型コロナウイルス禍メモワール、60職種77名による『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』

新型コロナウイルス、誰一人として影響がなかった人はいないだろう。しかし、その影響の受け方は、それぞれの人によって違う。いまさらながら、そのことがよくわかった。 緊急事態宣言が出された4月7日あたりから、ゴールデンウィークの頃まで。 総勢77名 の人たちによる日記である。どのように依頼されたのか、どのように編集されたのかは定かでない。ひとりあたりのページ数は似

『上海フリータクシー』成長と矛盾が生み出した、大きな国の小さな個人の物語 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『上海フリータクシー』成長と矛盾が生み出した、大きな国の小さな個人の物語

スーパーパワーの1つであり、世界でも存在感を増していく中国。しかしこの国の輪郭をつかむことは難しい。中国国家が語る中国と、中国人が語る中国との間には、同じ国とは思えないくらいの大きな差異が存在するはずだ。 しかしその差異をあぶり出すには、さらなる困難が伴う。ほかの国であればインターネット上の声を拾っていけば容易なはずだが、そこにはグレートファイアウォールと呼

『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』日常に潜む小さなファシズム 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ファシズムの教室 なぜ集団は暴走するのか』日常に潜む小さなファシズム

数年前のこと、ツイッターで奇妙な動画を見た。揃って白いシャツにジーンズを身につけた大勢の若者たちが、「リア充爆発しろっ!」と大声で叫んでいる動画だ。声を揃え息を合わせ、大声で唱和している。「なんだこりゃ?」。 どれどれと検索してみると、ある大学で行われている「ファシズムの体験学習」だという。どうやらその動画は、周りで見物していた学生が撮ったものらしいが… 甲

『フューチャー・ネーション 国家をアップデートせよ』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『フューチャー・ネーション 国家をアップデートせよ』

ハッサン・ダムルジは肝が据わっている。 本書(原題The Responsible Globalist)がイギリスで出版されたのは2019年秋。イギリスではEU離脱をめぐる国内対立が深まっており、アメリカのトランプ政権はメキシコからの移民取り締まりを強化し、米中は貿易戦争を繰り広げていた。 自国ファースト、反グローバリズムのうねりが高まるなか、本書の取材を続け

『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』経済学が自分ごとに変わる本 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『絶望を希望に変える経済学 社会の重大問題をどう解決するか』経済学が自分ごとに変わる本

2019年ノーベル経済学賞受賞者が、移民、経済成長、気候変動、経済格差などの大きくて複雑な社会問題について切り込んでいく一冊だ。 経済学って小難しくてとっつきづらい。人の心理を単純化しすぎで、実感が湧かない。そもそも経済学って、どれほど世の中の役に立つのか? そんな疑問を持つ人も、一度手に取ってみてほしい。さわりを読むだけでも、よくある経済学の入門書とは様子

『シリア原子炉を破壊せよ イスラエル極秘作戦の内幕』極秘裏のシリア原子炉空爆、その背後の覚悟と戦略 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『シリア原子炉を破壊せよ イスラエル極秘作戦の内幕』極秘裏のシリア原子炉空爆、その背後の覚悟と戦略

2007年、シリアの砂漠地帯で密かに建設されていたアルキバール原子炉を、イスラエルが空爆した。イスラエル政府がこの攻撃を公式に認めたのは18年になってからだ。本書は、秘密裏に行われ、その後もイスラエルが黙秘してきた原子炉攻撃の全貌と、その意思決定プロセスに迫ったノンフィクションだ。 遠い中東の話だが、私たちにも深く関わる問題だ。なぜなら、シリアの核開発に関与

第三次産業革命の根幹資源『レアメタルの地政学』 書影

社会 / ビジネス

第三次産業革命の根幹資源『レアメタルの地政学』

人類は化石燃料に支えられた世界からの脱却を試みている。石炭や石油といった過去2度の産業革命を支えた燃料から、再生可能エネルギーへと舵を切っているのだ。ただ、この流れには落とし穴があるとフランスの新進気鋭ジャーナリストが警鐘を鳴らす。 地産地消型の再生可能エネルギーの普及は、化石燃料由来の温室効果ガスの抑制と中東など一部地域に偏重する資源から脱却できると信じら

『ホハレ峠 ダムに沈んだ徳山村百年の軌跡』最後のひとりが語る消えゆく民族史 書影

社会 / 民俗・風俗

『ホハレ峠 ダムに沈んだ徳山村百年の軌跡』最後のひとりが語る消えゆく民族史

岐阜県揖斐郡徳山村のダム建設は1957年(昭和32年)に計画された。村は水没するため、住民は集団移転地と移転補償金を手にした。ダムが完成し注水が始まったのが2006年9月。計画から50年後だ。 著者が東京から徳山村まで通い始めたのは1993年。廃村のはずが数世帯のお年寄りが暮らしていた。なかでも村の最奥、門入(かどにゅう)に住む廣瀬司さんとゆきえさん夫妻を頻

『ワイルドサイトをほっつき歩け』愛すべきおっさんたちの愚かで優しい日々 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ワイルドサイトをほっつき歩け』愛すべきおっさんたちの愚かで優しい日々

世界が激動・混迷するこの時代、「おっさん」たちは何かと悪役にされていた。 トランプ大統領が誕生したのはおっさんのせいで、EU離脱もおっさんのせい。(中略)セクハラもパワハラもおっさんのせいだし、政治腐敗や既得権益が蔓延るのもおっさんたちのせい。 どこの国でもそうなのか、諸悪の根源のように言われている巷のおっさんは本当にそんなにひどいのか。 中学生の息子の見た

彼女はいったい何者なのかー。『女帝 小池百合子』 書影

人物 / 社会

彼女はいったい何者なのかー。『女帝 小池百合子』

この2ヶ月間、彼女を見かけない日があっただろうか。テレビや新聞、ネットで私たちは毎日のように彼女の姿を目にし、彼女が語る言葉に耳を傾けてきた。誰もが彼女の顔と名前を知っている。そこには見慣れたリーダーの姿があった。 だが本書を読んだ後は、奇妙な感覚にとらわれるに違いない。彼女のことを確かに知っていたはずなのに、急に見知らぬ人間のように思えるからだ。そして次の

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』を買ったのは、どういう人たちなのか? Vol.2 書影

社会 / 併せて読まれたこの一冊

『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』を買ったのは、どういう人たちなのか? Vol.2

先日、毎年恒例となる上半期ベストセラーが発表されました。『鬼滅の刃』の勢いに目が行きがちですが、ビジネス書では『FACTFULNESS』が昨年の年間ランキングに続き1位を獲得し、その人気を見せつけました。『FACTFULNESS』は2019年1月発売の作品ですので、「まだ売れてるのか!」という感想を持った方も多いのではないでしょうか。売れ方を見たところ面白い

『性転師』知られざる性転換ビジネスの裏方 「アテンド業」の実態に迫る 書影

社会 / 民俗・風俗

『性転師』知られざる性転換ビジネスの裏方 「アテンド業」の実態に迫る

「性転師」とは、性別適合手術を受けるために海外に渡航する人を手助けする「アテンド業」に携わる人々を指す。もちろん正式な職業名ではない。本書の造語である。 「師」という字は、詐欺師や地面師といったなにやら怪しげな仕事を連想させるが、著者はこの言葉に、医療従事者でもないのにリスクを伴う手術に一民間人が関わらざるを得ない状況を込めたという。グレーな領域に関わる仕事

『病魔という悪の物語 チフスのメアリー』あなたは本当に“大丈夫” 書影

医学・心理学 / 社会

『病魔という悪の物語 チフスのメアリー』あなたは本当に“大丈夫”

2006年にちくまプリマー新書で出た本が再刊された。Kindleでも読めるし、新刊書店で簡単に手に入るようになったのは喜ばしい。感染症を解説した本はいろいろあるが、本書はちょっと特殊だ。メアリーを我が身に置き換えると震え上がるほど恐ろしい。 約100年前のニューヨークで、腸チフスの無症候性キャリアであった女性が、離島に合計で25年余り隔離された事実を追った物

世界の石油市場を動かす『ロスネフチ-プーチンの巨大石油会社-』 書影

社会 / ビジネス

世界の石油市場を動かす『ロスネフチ-プーチンの巨大石油会社-』

2020年3月、原油価格は暴落した。年初、原油の代表指標であるBrentは60~70$/bblで推移していたが、3月6日以降に急降下。一時、20$/bblを割り、その価値は60%以上下がった。別の代表指標であるWTI原油は、特殊要因あったとはいえ、史上初のマイナス価格まで値下がったことも大きなニュースとなった。エネルギーアナリスト岩瀬昇の言葉を借りれば『海図

『現代経済学の直観的方法』アフターコロナすら見通せる、現代経済学の最良のテキスト 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『現代経済学の直観的方法』アフターコロナすら見通せる、現代経済学の最良のテキスト

1987年、当時26歳の青年が自費出版した本が大きな評判を呼んだ。著者は大学院を中退したばかりの物理学徒で、「100部も売れれば奇跡」と出した本が、一部の大手書店では一般文芸書を抜いてベストセラーになるほど売れた。この『物理数学の直観的方法』はその後、講談社ブルーバックスに収められ、現在も版を重ねている。 著者の手法は、難解な概念の核心部分を、大胆なイメージ

日本人の人生ってこうなんや『人生の歩みを追跡する』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

日本人の人生ってこうなんや『人生の歩みを追跡する』

世間様のあれこれについて、なんとなくこうなってるんやろうなぁと思っていることは多い。ただ、それは、身の回りで見聞きしたことに、ニュースなどから得た知識を加味した漠然たるイメージでしかない。いったいそれって正しいんやろうか。 厳密に調べ上げるのは不可能だろうが、およその傾向ならわかるかもしれない。しかし、そのための調査があるとは知らなんだ。2007年からおこな

『世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか』哲学界の若き天才が提唱、新実在論と倫理資本主義 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『世界史の針が巻き戻るとき 「新しい実在論」は世界をどう見ているか』哲学界の若き天才が提唱、新実在論と倫理資本主義

現代社会において、ポストモダニズムからポストトゥルース(ポスト真実)が広がり、それがトランプ米大統領誕生やブレグジットに見られるポピュリズムの台頭につながっている。哲学界の若き天才マルクス・ガブリエルの「新実在論」は、こうした閉塞感を打ち破る、新しい哲学である。 新実在論の新しさは、現実は物理的な対象だけではなく、それに関する見方、心情、信念、思想、空想とい

『「間合い」とは何か』日本流ソーシャル・ディスタンスの研究 書影

サイエンス / 社会

『「間合い」とは何か』日本流ソーシャル・ディスタンスの研究

いまや「ソーシャル・ディスタンス」という言葉を聞かない日はない。 「社会的距離」などと直訳されるけれど、ちょっと芸がないなぁと思う。 だって日本語にはもともと「間合い」という言葉があるからだ。 「間合い」とは、単純に考えれば「相手との距離」である。でもよく考えると、この言葉はけっこう深い。実際この言葉には豊かな意味合いが含まれている。 真っ先に思い浮かぶのは

『コロナの時代のぼくら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『コロナの時代のぼくら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか?

日本では4月24日発売予定の、イタリアの小説家パオロ・ジョルダーノ*によるエッセイ『コロナの時代の僕ら』の全文が期間限定で公開されていたので、早速、読んでみた。 このエッセイは、イタリアでコロナウイルスの感染が広がり、死者が急激に増えた2月下旬から3月下旬に綴られたものだという。著者は、この本の印税収入の一部を、医療研究と感染者の治療に従事する人々に寄付する

『下級国民A』格差社会が生み落とすもの、美しい国の不都合な真実 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『下級国民A』格差社会が生み落とすもの、美しい国の不都合な真実

本書は62歳で「住所不定無職」の新人作家として鮮烈なデビューを果たした作家、赤松利市が経験した、東日本大震災の復興事業に関するルポルタージュだ。 著者、赤松は35歳で起業し、一時は年収2000万円を超えていた。しかし、ある事情により会社は倒産。以後、厳しい生活を強いられる。 そんな折、東日本大震災が発生。土建業を営む知人の社長から相談を受ける。震災後の復興バ

『週刊文春 3/26日号』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

社会 / 併せて読まれたこの一冊

『週刊文春 3/26日号』を買ったのは、どういう人たちなのか?

『週刊文春』3月26日号。森友問題で自殺した職員の手記はコロナ渦で揺れる市民の心を大きく揺さぶるものでした。大きな話題を呼んだこの1冊の週刊誌は発売2日目で「完売」となっています。 この『週刊文春』はどんな方に読まれたのでしょう。 そもそも『週刊文春』の読者はどういった層なのでしょうか?2020年1月以降の『週刊文春』読者を合算したものがこちらのグラフになり

『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』鎮痛薬が人々の命を奪う、恐るべき薬物汚染の実態 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』鎮痛薬が人々の命を奪う、恐るべき薬物汚染の実態

2019年4月、プロゴルファーのタイガー・ウッズがマスターズ・トーナメントで5度目の優勝を飾った。この優勝は、オピオイド(鎮痛薬)依存を克服しての勝利だったため「奇跡の復活」と称賛された。長く腰痛に悩まされ、鎮痛薬が手放せなくなっていたウッズは、17年に「薬物影響下での自動車運転」の容疑で逮捕されている。逮捕時の虚(うつ)ろな目をした写真を覚えている人も多い

『野球と暴力』「暴力なし」でも強くなれる! 書影

アート・スポーツ / 社会

『野球と暴力』「暴力なし」でも強くなれる!

新型コロナウイルス禍でスポーツイベントが次々と中止になっている。 春の選抜高校野球も残念ながら中止の憂き目にあった。甲子園でプレーするのを楽しみにしていた子どもたちは気の毒だが、その一方で、当たり前のようにあったものがなくなったことで、これまで放ったらかしにされてきた様々な問題を、あらためてゆっくりと考える時間ができたのではないだろうか。 たとえばそのひとつ

『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』メガテクノロジーがもたらす世界の高速変化とは 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』メガテクノロジーがもたらす世界の高速変化とは

本書にも書かれているように、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は、これからの時代は「何をやっているかわからない人が強い」と言っている。 京都大学、東京大学修士、三菱UFJニューヨーク、米ハーバード大学理学修士、グーグルを経て、現在は日米にまたがるベンチャー投資のかたわら、ハーバード大学客員研究員やテレビコメンテーターなどを務める38歳。この世界では超有

『ふくしま原発作業員日誌』原発作業員が安心して働ける社会を目指して 書影

社会 / 事件・事故

『ふくしま原発作業員日誌』原発作業員が安心して働ける社会を目指して

今年も3月を迎えた。2011年3月11日から9年が経ち、毎年震災本が出版され続けている。私も3月は震災ものを読むことを習慣としてきた。楽しみや興味本位からではない。「何も知らなくてごめんなさい。何もできなくてごめんなさい」といつも申し訳なく手に取る。 9年経った今、世の中は変わったのだろうか。現場の第一線で働く人の命と健康を守り、敬意を払う世の中になっている

『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』「貨幣とは何か?」というシンプルで極めて難解な問い 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』「貨幣とは何か?」というシンプルで極めて難解な問い

「貨幣とは何か?」「その価値の根拠はどこにあるのか?」 これは誰でも一度は考えてみたことがあり、古代ギリシアの哲人アリストテレス以来、多くの哲学者や経済学者によって考察がなされてきた、シンプルでありながら実は極めて難解な問いである。マルクスの言葉を借りれば、貨幣とは「形而上学的な不思議さに満ち満ちた存在」なのである。 本書は、日本を代表する経済学者で、稀代の

『探偵の現場』依頼の77%は不倫調査! 奇々怪々な日本の不倫現場ノンフィクション 書影

教養・雑学 / 社会

『探偵の現場』依頼の77%は不倫調査! 奇々怪々な日本の不倫現場ノンフィクション

探偵と聞くと、即座にユニークな名探偵たちの姿が思い浮かぶ。明晰な頭脳と驚異の観察眼を持ち、ヘビースモーカーで薬物中毒でもある世界一有名なあの顧問探偵。同じく英国発で灰色の脳細胞が自慢の小男。日本発ならボサボサの蓬髪に形の崩れた帽子を被りよれよれの着物を着た清潔感のない中年男、等々。 だが、悲しいことに彼らは架空の人物だ。実際のところ、街角で探偵社のポスターや