
『森博嗣の半熟セミナ 博士、質問があります!』 (講談社文庫) 解説
2008年12月に出版された単行本の文庫化にあたって、著者から出版社経由で解説を仰せつかった。大好きな作家なので二つ返事で請け負った。二つ返事だから「はいはい」と、じつに軽やかである。 ----------------------------------------- 森博嗣は理系の頭脳と柔らかな言葉のセンスをあわせ持つ稀有な作家である。もちろん、理系といっ
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2008年12月に出版された単行本の文庫化にあたって、著者から出版社経由で解説を仰せつかった。大好きな作家なので二つ返事で請け負った。二つ返事だから「はいはい」と、じつに軽やかである。 ----------------------------------------- 森博嗣は理系の頭脳と柔らかな言葉のセンスをあわせ持つ稀有な作家である。もちろん、理系といっ


著者の安藤健二氏はノンフィクション作家である。パチンコにアニメとは、一見大衆誌のサブ・カルチャー特集のようなテーマではある。しかし侮ることなかれ、この本ナカナカ良くできている。パチンコ・宝くじ未経験はおろか、ラスベガスですら一度もギャンブルに手をつけなかった私が一気呵成に読破してしまった。 テレビではアニメのものと見紛うパチンコのCMを目にし、街ではアニメ・

短い書評なら気合を入れなくても、気軽に書けそうだ。 東京のことについてあまり詳しくないので、ちょっと勉強してみようと思って買ってみたのが本書。渋谷センター街は40年前まで川底だったという事実にはビックリした。それも江戸時代はホタル鑑賞の名所だったそうだ。全然知らなかった。そう言われてみれば渋谷駅からどの方面へ歩いても坂を登らなくてはならない。渋谷駅周辺は確か

現代は老いも若きも日記が大好きである。市井の人間が、ブログなどで、日記をつづり、頼まれもしないのに家族写真まで公開したりする。「誰がそんなもん、読むんだ」という指摘もあるだろうが、私は嫌いじゃない。どこの誰とも知らぬ人の日記を夜な夜な読んでいた時期もある。暇人を自称する私の密かな楽しみだったのだ。 ただ、密かな楽しみは時として奪われた。ひとたび、過剰なねたみ



近代以前、国家運営のコストは極めて抑えられていた。もちろん警察も例外ではなく、末端警察官は薄給にあえぎ、膨大な仕事に翻弄されていたという。 本書は、和洋を問わず、まずはそんな警察官たちの実態が語られる。江戸時代、薄給の下級官吏たる同心は、膨大な業務をこなすため、時代劇でおなじみの「目明し」や「岡っ引き」を雇う。薄給の同心が払える額はたかが知れているので、「目
ヒラノ教授、本名は今野博。金融工学の専門家である。 ヒラノ教授は「平教授」と書く。平社員ならぬ平教授になった著者は、筒井康隆『文学部唯野教授』(岩波現代文庫)に影響され、工学部の実態を人に知らしめんがために立ち上がった。権力闘争や誹謗中傷、セクハラ、アカハラオンパレードの新設文系大学と工学部は一味も二味も違うと鼻息荒く書き出したのだ。 著者は東大工学部を卒業
警察という言葉を聞くと、ドラマや映画などで活躍する捜査追跡のイメージであったり、実際の生活では派出所のお巡りさん(巡査)であろうか。今でこそ印象は安心や憧れの対象となっているが、ここにたどり着くまでにはドロドロした歴史を歩んでいる。警察組織は王権や教会、都市といった様々な権力機構と密接な関係で誕生しており、本書では国家が繁栄する過程の過酷な中で誕生した警察の
シュノーケリングするように読む人もいれば、深海ダイバーのように読む人もいる。私はシュノーケラーだが、著者は、断然後者である。読むという事は命を懸ける事だ。 思想系の本で感動するとは思わなかった。最後の10ページくらいまでは普通だった。なので、今更ながら、本書である。本書はきっと、市井に暮らす人も勇気づける。 以前、仕事が異様に暇だった頃、図書館で小林秀雄全集
★★★★★ フェイスブックユーザーや起業家だけでなく、ウェブを使う人皆におススメ 「中国、インド、フェイスブック」 日本ではあまり浸透していないが、ユーザー数が5億人を越えた頃からフェイスブックは「国」と比べられる存在にまで成長している。昨年の8月にはYahoo!やGoogle(Youtube等も含む関連サイトの合計)の滞在時間を追い抜き( ソース )、最近


★★★★☆ 豚インフルエンザ、口蹄疫に興味のある人はもちろん、研究職への道を考えている人にもおススメ 鳥の糞を追いかけてインドネシアの山奥まで行くこともあれば、徹夜で電子顕微鏡を見続け目をはらすこともあり、CIAにつきまとわれることもある。ウイルス・バスターズの闘う場所は研究室に限定されない。本書はそんなウイルス・バスターズと政治の関わり、彼らの生態と熱意、
装丁問答 (朝日新書) 装丁問答 (朝日新書)の他のレビューをみる» 長友啓典 朝日新聞出版 先日、成毛眞さん(元マイクロソフト社長)が主催する本の勉強会に参加してきました。 朝7:00の開催で早起きという意味でも貴重な時間になったので、熱い想いがさめないうちに記述。 著者はグラフィックデザイナーであり、本の装丁家だ。また東京造形大学客員教授であり、講談社出


本書の「路地」とは被差別部落の意味である。著者は中上健次の小説に習い、被差別部落に「路地」という言葉をあて、部落が身近に存在することを指摘したかっという。確かに東京の外れに住む私は、関西と違い同和問題とは無縁で、被差別部落と聞いても、白土三平『カムイ伝』の印象しかないが、それは差別されない側の無自覚、無責任さなのだろう。 著者は大阪の被差別部落で生まれ育った

採点:★★★★☆ ジャーナリズムに興味がある人はもちろん、権力に文字通り命懸けで立ち向かう姿を目撃したい人におススメ。 本書は暗殺国家ロシアで「不偏不党」「公正中立」なニュースを発信し続ける独立系新聞「ノーバヤカゼータ(ロシア語で新しい新聞の意)」の設立から現在までの奮闘の記録。なぜ彼らは同僚・部下が次々と暗殺されても、その活動を止めないのか、ジャーナリズム

面白い本を紹介することが本ブログの目的。自分自身ビジネスマンだが、ビジネスマンたちが日ごろあまり手にしない本をここでお勧めする予定(月に2回程度アップデート)。 一人前の「本のキュレーター」になれるよう今年1年間 成毛眞さんの勉強会 で勉強させてもらう。 2010年に読んだ新刊本おすすめトップ10は下記の通り。今年は残念ながら突出した本に出合えなかったので、
採点:★★★★★ 仕事に対する新たな考え方・視点を得たい人、愉快な文章でにやにやしたい人、趣味をみつけたい人におススメ 森博嗣氏のブログがまとめられた本書は新刊ではない(1巻は2006年3月発行)が、とにかくめちゃくちゃ面白く、また、その内容が全く古くなっていないのでご紹介。 昨年末に日垣隆氏の 『こう考えれば、うまくいく。』 で本書の存在を知り1巻を購入し

昨年10月に「いま読んでいる本」をこのブログで紹介した。その中に『アルバニア・インターナショナル』という無茶苦茶にマニアックな国を紹介した本があった。後日、その本の編集者であるハマザキカク氏とツイッターで知り合った。いまだにお会いしたことも会話したこともないのだが、同族であることは確実だ。とりあえずご本人のブログから自己紹介をコピペしてみよう。 「社会評論社

水中考古学の入門書である。著者は神奈川県生まれの35歳。テキサスA&M大学博士課程に在学中だという。これからを期待できそうな書き手だ。語り口によどみがなく、易しく書いているにもかかわらず、内容は濃くて1行の無駄もない。 水中考古学が研究対象とするのは「遺物」であり、おもに沈没船であるようだ。アレキサンドリアなど海に沈んだ古代遺跡もあるのだが数は少ない。本書に
本書は世界のアート界で活躍する筆者が芸術を志す新人アーティストに向けたメッセージだ。 筆者は世界を視野にいれた芸術活動においては、グローバル・ルールを知らないで制作していても無駄であると述べている。同時に芸術の世界で必要なのはバトロンがいて成り立ってきた資本主義社会の背景とルールを知ることと、コンテクストにより自分の作品を武装し付加価値を身につける事だと諭す

1953年、自由党総裁で首相の吉田茂が社会党議員に「バカヤロー」と言ったために、内閣不信任案が可決され、解散総選挙に追い込まれた。てっきり吉田茂が国会の演説台からバカヤローと叫んだものだと思っていたのだが、じつは呟きのようなものだったらしい。しかし、速記者には聞こえたために議事録に記録され、ついには日本の政局は自由民主党結党までの道のりをたどることになった。

科学読み物だけでは物足りないという方のために人文系で買った本を紹介してみよう。 『ナチ略奪美術品を救え』 この分野では同じく白水社から『ヨーロッパの略奪』が出版されている。これを持って白眉とするべきだと思うのだが、なにしろ5000円を超える高額本である。とはいえ本書も3360円だ。モニュメンツマンとははじめて知った言葉だ。 『日本の刺青と英国王室』 これまた
今年読んだ本の中で、2010年に出版されたもののベスト10。 読んでてワクワク、ドキドキしたものランキング。 文藝春秋の翻訳にはよいものが多かったなぁ。TOP3は誰が読んでも楽しめるので未読の人は是非。 第10位 第9位 第8位 第7位 第6位 第5位 第4位 第3位 第2位 第1位
採点:★★★☆☆ 経済学って科学なの?と思っている人におススメ 経済物理学(エコノフィジックス)の日本における開拓者による一冊。フラクタルに興味を持ち、 禁断の市場 (拙ブログ) のマンデルブロにも師事したこともあるようだ。 ■あらすじ 自然科学の様々な分野で天才性を発揮していたマンデルブロが経済学を専門としていることが ブラック・スワン のタレブには不思議
採点:★★★★★ 2010年のベスト1。2010年どころか、アフリカもの、ルポルタージュものでもNo.1。どんな人にも手放しでおすすめ!! 2010.9.26付けの日経書評で知り直ぐに購入したが、読み終わるのがもったいなく、3ヶ月くらいかけてちまちま読んだ。池澤夏樹氏による世界文学全集の中の一冊だが、本書はフィクションではなく、ポーランド人ジャーナリストのリ
採点:★★★★☆ 金融工学はもちろん、データを見る」ことと「モデルをつくる」ことの関係を考えることに興味がある人にもおススメ 色んな人をこき下ろすタレブが手放しで賞賛するマンデルブロの研究成果・人生をWSJの記者が一般向けにまとめた内容。巻末の注釈にちょこちょこ数式はあるものの、非常に解かり易くフラクタル理論の概要が伝えられている。しっかりしてみようかなー

採点:★★★★☆ 子育てに悩む人だけでなく、イノベーションを生み出す発想法に興味のある人にもおススメ 本書を読んでいると、 大人げない大人になれ! のことを思い出した。赤ちゃんは我々が従来抱いていたイメージ(泣くニンジン)とは大きく異なるものの見方、考えをしている。ある部分では大人と同じであり、ある部分では全く異なる。これまでに聞いたこともないような実験や事
採点:★★★★☆ 人間の進化はもちろん、健康食品や豊かな食生活に興味があるヒトにおススメ 今年は進化学の本が面白い。 BORN TO RUN (拙ブログ) に始まり、 一万年の進化爆発 (拙ブログ) 、 黒人はなぜ足が速いのか(新潮選書) や 脳を鍛えるには運動しかない! (拙ブログ) も面白かった。本書と併せて読めば、学生時代に習った”進化”の概念は随分塗

この書評を書くために確認したいことがあって、著者の代表作である『全国アホバカ分布考』をまた読み始めてしまった。1993年に出版された本である。単行本と文庫本で合わせて3冊も持っている。もっともお気に入りの本の一冊なのだ。この本は難解な柳田國男の「方言周圏論」を、「探偵!ナイトスクープ」というバラエティー番組の中で、視聴者の笑いを誘いながら実査したノンフィクシ