ノンフィクションはこれを読め!

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380記事

最近海外の人が増えたなあ。そんな人は『ふたつの日本』を。 書影

社会 / おすすめ本レビュー

最近海外の人が増えたなあ。そんな人は『ふたつの日本』を。

コンビニのレジの人、どこの国の人だろう? 技能実習生が失踪って、なぜそんなことに? 移民に関する政策ってどうなっている? 日本に「暮らす」在留外国人はすでに263万人、日本の人口の約2%だ。ただ、その内訳は思った以上に複雑だ。周りに外国人は増えていくのに、自分は対応できていないような。この、大きすぎてわからない問題をクリアに「見える」化してくれる、しなやかな

今週のいただきもの:2019年4月7日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年4月7日週

春はひたすら春野菜を食べたくなり、今日は筍を茹でました。筍のアク抜き方法はいくつかありますが、私は先端を5cmほど切り落とし、根元と垂直に皮へ切れ目を入れ、米のとぎ汁に唐辛子を1つ入れたもので茹でています。 筍を食用とするのは日本や中国、韓国など東アジアの限られた地域だけです。現在、一般的に流通している孟宗竹は中国江南地方が原産地で、日本へは江戸時代中期の1

『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』現実と幻想とが混在してきた歴史 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ファンタジーランド 狂気と幻想のアメリカ500年史』現実と幻想とが混在してきた歴史

世界ナンバーワンの超大国の米国で、なぜトランプ大統領が誕生したのか。 本書は、新世界を信じた夢想家たちとその末裔が創り上げた米国という「ファンタジーランド(おとぎの国)」の今日に至る500年の長い道のりを、他に類を見ない説得力をもって論じた、全米話題のベストセラーである。 本書で示されている米国の実態は衝撃的である。 例えば、米国人の3分の2が「天使や悪魔が

『団地と移民』団地をみればこの国の未来がわかる 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『団地と移民』団地をみればこの国の未来がわかる

戦後日本における画期的な発明といえば? 人によって答えはさまざまだろうが、個人的には「51C」を挙げたい。 「51C」とは、1951年度に計画された公営住宅標準設計C型の通称である。焼け野原からの復興の過程で、不足していた住宅供給をどうするかが国の喫緊の課題だった。そんな中、35平米というコンパクトな空間で、食べる場所と寝る場所を分ける「食寝分離」を実現させ

『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』つらく、悲しく、身近に迫る死 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』つらく、悲しく、身近に迫る死

読み進めるのが苦しい一冊だった。登場する人々が長く抱えてきた生きづらさが、とても他人事に思えなかったからだ。壮絶な「現場」の描写も相まって、一読するだけでも相当な根気がいる本であることは、あらかじめ断っておきたい。 本書は日本の社会問題の一つである孤独死の現状と特殊清掃の現場、そして亡くなった人々と特殊清掃人たちの人生を綿密な取材によって浮き彫りにした迫真の

語りえぬ言葉たち 『あわいゆくころ』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

語りえぬ言葉たち 『あわいゆくころ』

幼い頃、母は私に、しばしば長崎原爆の話をした。恐ろしい光、ヒイラギの葉の痛みに耐えながら姉が覆いかぶさって、爆風から身を守ってくれたこと。ガラスの割れる音。その後で道を歩いていたときに、石だと思い座って休もうとしたら、焼けた牛の死体だったこと。 それは、伝承というほど強い意志を含んだものではなく、もちろん石と牛を間違えたという笑い話でもない。母は、それを誰か

今週のいただきもの:2019年3月31日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年3月31日週

今年の桜もそろそろ終わりですね。終わりといえば、ふきのとうもだんだんと見かけなくなりました。ふきは日本最古の野菜であり、延長6年(928年)にはすでに栽培されていたそうです。ふきのとうは、つぼみのような状態で葉が開いていないほうが味がよいとされます。黒ずみや変色がなく、みずみずしいものを選びましょう。 ふきのとうは、天ぷらもいいですが、パスタにするのもおいし

『企業ファースト化する日本 虚妄の「働き方改革」を問う』働き方「改革」は「改悪」になるのか 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『企業ファースト化する日本 虚妄の「働き方改革」を問う』働き方「改革」は「改悪」になるのか

よくわからない事象でも、響きの良い名前が付くと、人は考えるのをやめ、特定のイメージを信じこむことがある。説明が要らないような錯覚に陥ることもある。 労働や経済に関わる政策は理解するのが難しいだけに、なおさらだ。4月に関連法が施行される「働き方改革」はその一例ではないだろうか。 政府は「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」を訴える。「働く人が自由に働ける」も

『人喰い ロックフェラー失踪事件』マイケルはなぜ喰われたのか? 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『人喰い ロックフェラー失踪事件』マイケルはなぜ喰われたのか?

最初に言っておく。この本は 「閲覧注意」 である。タイトルそのまま、本当にそのままなのだ。 1961年11月20日、マイケル・ロックフェラーはニューギニア南部で消息を絶った。 この地を訪れていた23歳の若者の父親は、ニューヨーク知事で後に副大統領となるの ネルソン・ロックフェラー 。地球で一番の金持ちで、スタンダード・オイルの創設者 ジョン・D・ロックフェラ

『日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義』日本経済再生のための提言書 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義』日本経済再生のための提言書

本書は、オックスフォード大学で日本学を専攻し、ゴールドマンサックス時代に日本の不良債権問題をいち早く指摘して「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏が、長年の日本研究の結果たどり着いた、日本経済再生のための提言書である。 文化財の修理・施工を行う小西美術工藝社の現役社長でありながら、ベストセラーとなった『新・観光立国論』『新・生産性立国

『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 』こんなスケールの大きい日本人が本当にいた 書影

ビジネス / 「解説」から読む本

『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 』こんなスケールの大きい日本人が本当にいた

ドクター佐々木は、私とソフトバンクにとって大恩人中の大恩人です。ドクター佐々木と出会っていなかったら、ソフトバンクという会社はスタートできていなかったかもしれない。 最初に出会ったのは私が19歳のとき。私はカリフォルニア大学バークレー校の学生でした。電子翻訳機の試作機を作って、いろんなところに持って行ったのですが、どこにも相手にされなかった。その中でただ一人

今週のいただきもの:2019年3月24日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年3月24日週

暖かくなると、葉物の野菜が増えて嬉しいですね。先日、ルッコラが1束100円で売っていたので、3束も買ってしまいました。日本ではイタリア料理の普及とともに知られるようになったため、英語の「ロケット」ではなく、イタリア語の「ルーコラ」や「ルッコラ」と呼ばれます。媚薬の効果があると信じられ、ローマ帝国の時代から、栽培されてきました。 生ハムとルッコラのピザとして食

『持たざる経営の虚実』経営文学に支配された、平成30年間の企業経営 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『持たざる経営の虚実』経営文学に支配された、平成30年間の企業経営

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」。このダーウィンの名言を、若いビジネスパーソンへのメッセージとして援用する経営者は多い。 感じ方は人それぞれだと思うが、個人的にはサイエンスの理論を曲解し、都合よくビジネスに利用しようとする姿勢に違和感を覚えてしまう。 人間が自らの意志だけに

『森瑤子の帽子』「女であること」と向き合い続けた作家の生涯 書影

人物 / 社会

『森瑤子の帽子』「女であること」と向き合い続けた作家の生涯

確かあれは夏木マリさんの舞台を番組スタッフと観に行った帰り道だった。 「カッコいい女の人、というと誰を思い浮かべます?」 若いスタッフに訊かれた。たぶん彼女は夏木さんのパフォーマンスに圧倒されていたのだろう。質問のかたちをとってはいるけれど、言外に「夏木さんほどカッコいい女性はいないですよね」というニュアンスが込められていた。 もちろん夏木マリは文句なしにカ

身近なれど未知なる障害『吃音 伝えられないもどかしさ』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

身近なれど未知なる障害『吃音 伝えられないもどかしさ』

魂の一冊である。『吃音 伝えられないもどかしさ』は、自らも吃音に悩んだ近藤雄生が80人以上の吃音者と対話し、その現実に迫る渾身(こんしん)のノンフィクションだ。 吃音について何も知らなかった。8割は自然に治るとはいえ、幼少期に悩む子どもは約5%にも及ぶ。だから、吃音のある人は約1%、日本だけで約100万人もいる計算になる。 近藤によると、吃音には「曖昧さ」と

生産性をあげるための必殺技 ”どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門” 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

生産性をあげるための必殺技 ”どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門”

ポモドーロ・テクニックをご存じだろうか。生産性をあげるための必殺技である。なんら難しいものではない。25分を一単位にして仕事を区切る。ただし、その25分の間は、これをやると決めたテーマに集中する。電話に出たり、メールをチェックしたり、ネットで遊んだり、といったことは絶対にしない。そして5分休憩。それだけだ。( 詳しくはここを ) そんな方法で生産性があがるの

『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』

著者の山口揚平氏は、軽井沢と東京に居を構えながら一日3時間だけ働くというおだやかな暮らしを実践しているコンサルタントであり、またこれからのあるべき社会の未来を提示する思想家でもある。 HONZの紹介としては若干遅ればせながらという感じだが、各方面で余りに評判が良いのでとにかく読んでみたところ、期待をはるかに上回る内容だった。 本書の結論は、冒頭に出てくるアル

本のない原初の図書館から空想上の図書館まで──『図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

本のない原初の図書館から空想上の図書館まで──『図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待』

図書館巡礼という名の通り、本書は世界各地の図書館について、本のない時代からボルヘスによって想像されたバベルの図書館のような空想上の図書館まで、幅広く取り扱っていく一冊である。原題は『THE LIBRARY A CATALOGUE OF WONDERS』。 『何にもまして私たちが痛感したことは、図書館は物語にあふれているという事実だ。生と死の、渇望と喪失の、信

今週のいただきもの:2019年3月17日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年3月17日週

スーパーでそら豆が並ぶようになり、すっかり春ですね。そら豆は4000年以上も前から、チグリス・ユーフラテス川流域やエジプトで食用に栽培されていたようです。日本に入ってきたのは奈良時代で、さやが空に向けて実ることから名付けられました。 そら豆は茹でて食べるのが一般的ですが、焼くのもおいしいですよ。さやを剥き、薄皮に包丁で軽く切れ目を入れます(食べる時に薄皮を取

『もっと言ってはいけない』社会でタブー視される残酷な真実を問い直す 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『もっと言ってはいけない』社会でタブー視される残酷な真実を問い直す

知能は遺伝する、精神疾患は遺伝する。このような話を聞くと多くの人は拒否感を抱く。こうした感情的な拒否反応とナチスが支持した優生学の歴史的な過ちが重なり、遺伝決定論は社会的タブーとされてきた。このタブーに異を唱えようものなら差別主義者のレッテルを貼られ、社会的に葬り去られることさえある。 しかし遺伝決定論を否定し、環境決定論に偏った思考をとれば、問題児扱いされ

『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

社会 / 併せて読まれたこの一冊

『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』を買ったのは、どういう人たちなのか?

最近、ビジネス書売場が元気です。『メモの魔力』と『FACTFULNESS』が連日のベストセラー1位争いを繰り広げている一方で、『嫌われる勇気』や『入社1年目の教科書』『人を動かす』といった新入社員、新人管理職向けの本もよく売れています。 ビジネス書という概念も変わりつつあります。今はビジネスパーソン向けのライフスタイル本に注目が集まっています。『トロント最高

『生命科学クライシス─新薬開発の危ない現場』着実に進むために、急がば回れ 書影

医学・心理学 / 社会

『生命科学クライシス─新薬開発の危ない現場』着実に進むために、急がば回れ

「科学が正道を踏み外すさまざまなパターン」について迫る1冊だ。生命科学の歩みは決して止まってはいないが、無駄な努力のせいで進展は遅れている。単に時間や税金を無駄にしているだけでなく、人を欺く基礎研究の研究結果が、病気の治療法の探索を実際に遅らせているのだ。「人を欺く」と聞いてまず思い浮かぶのは研究不正の問題だが、ないものを「ある」ように見せるため故意に手を加

では、あの犠牲とは何だったのか?『生かされなかった八甲田山の悲劇』 書影

事件・事故 / 日本史

では、あの犠牲とは何だったのか?『生かされなかった八甲田山の悲劇』

八甲田山雪中行軍遭難事故――日露戦争を前にした訓練で、厳冬期の青森県八甲田山麓に入った陸軍歩兵第五連隊が遭難。199人もの死者を出した、世界最大級の山岳遭難事故である。この事故が100年以上経つ現在も広く知られているのは、新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』によるところが大きい。 だが、それはあくまで「小説」であって、史実ばかりではない。実際の雪中行軍は、どの

『幻想の経済成長』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『幻想の経済成長』

本書は、昨年英語圏で出版されるや、アメリカのトランプ現象やイギリスの欧州連合(EU)離脱などの根底に潜む様々な要因を「幻想の経済成長」というプリズムを通して分析し、直ちに「時代精神を見事に捉えた」という高い評価を得た。著者のデイヴィッド・ピリングは、2002年から08年まで英フィナンシャル・タイムズ紙の東京支局長を務めたベテラン報道記者で、その後、アジア編集

『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』学ぶことの遠い将来を見定める 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』学ぶことの遠い将来を見定める

学びや教育を題材にした書籍に多いパターンは、起こっている問題を分析した後に、あるべき姿や改革案を提案する本である。しかし、本書はそのような種類の書籍とは一線を画し、理論的な背景とそれを具体化したアイデアとその実践で敷き詰められている。 クリエイティブ・ラーニングの前提は、時代の変化である。消費社会(Consumption)、情報社会(Communicatio

『両利きの経営』二兎を追いながら、双方を高いレベルで実現していく 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『両利きの経営』二兎を追いながら、双方を高いレベルで実現していく

本書で言う「両利き(ambidexterity)」とは、あたかも右手と左手の両方が利き手であるかのように使えることであり、特に、会社経営における両利きとは、「探索(exploration)」と「深化(exploitation)」という活動が、高い次元でバランスが取れている状態を指す。 両利きという概念は、認知心理学の研究に由来するものである。人間の認知には一

二度と帰らない 昭和ノスタルジー『夜間飛行』 書影

人物 / 民俗・風俗

二度と帰らない 昭和ノスタルジー『夜間飛行』

「夜間飛行」という言葉を目にした時、ある人はサン=テグジュペリの『夜間飛行』を、ある人はちあきなおみの「夜間飛行」を、そしてある人は街の一角に佇むバー「夜間飛行」を思い浮かべるかもしれない。本書のタイトルは、主人公がずっと身につけていたゲランの香水の名前からヒントを得たものだ。「女性らしさを失うことなく、男性中心の社会でも自分の立場を貫き、冒険的で志のある女

今週のいただきもの:2019年3月10日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年3月10日週

先日から気になっていた、いちょう団地へ行ってきました!いちょう団地は、横浜市と大和市にまたがる神奈川県最大の公営住宅です。10カ国以上の国の人々が住んでいて、敷地内の掲示は6カ国語(日、英、中、韓、西、葡)で書かれています。 これだけたくさんの国の人々が住むようになったきっかけは、難民受け入れのため、大和市に定住センターがあったからだそうです。定住センターで

『政治に口出しする女はお嫌いですか?』独裁者が恐れた「女の武器」とは? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『政治に口出しする女はお嫌いですか?』独裁者が恐れた「女の武器」とは?

性差別や憲法改正などについて積極的に発言している女性の議員や弁護士に対して、注文した覚えのない代引き商品が送りつけられるという嫌がらせが相次いでいる。 彼女たちは記者会見を開き、「女性の声を封じようという意図を感じる。嫌がらせには屈しない」と声を上げた。 こうしたことをする卑劣な人物は、どうやら政治に口を出す女性が嫌いらしい。残念ながら似たような考えの者が少

『山口晃 親鸞 全挿画集』五木寛之「親鸞」連載で全開になった山口晃ワールド 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『山口晃 親鸞 全挿画集』五木寛之「親鸞」連載で全開になった山口晃ワールド

厚さは約4.5cm、総ぺージ数696の大型本だ。重さは1kg以上。我が家のキッチンスケールの針が振り切れたので計測不能だった。 2008年9月から2014年7月まで1052回にわたって地方紙に連載された五木寛之の長編小説『親鸞』に添えられていた挿画の総集である。もちろん1052点の挿画は原画通りフルカラーで収録されている。 若い世代には、五木寛之の小説を読ん

『地磁気の逆転』地球に刻まれた歴史を読み解く 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『地磁気の逆転』地球に刻まれた歴史を読み解く

NHKの紀行番組「ブラタモリ」が絶好調だという。2月第3週の関東視聴率は13.3%。これを全国に敷衍すると600万世帯以上が視聴していたことになる。スタート当初は歴史の痕跡をメインテーマにしていたが、いまでは岩石や地形の成り立ちなどにもタッチする世界でも稀な地学紀行番組になってしまった。日本は火山と地震の国だ。それだけ視聴者の関心が強いということなのだろう。

ご近所助け合いをする『樹木たちの知られざる生活』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

ご近所助け合いをする『樹木たちの知られざる生活』

仲間内で互いに助け合うこともあれば、コミュニケーションもとっている――ドイツの森林管理のプロが長年見てきた樹木の驚愕の生態がここに! 最新のサイエンスの知見で、樹木の持つ驚くべきコミュニケーション能力や社会性を解き明かす。知らないことだらけの森の世界へ、ようこそ。 ドイツで2015年に出版されて以来ベストセラーとなっている本書の著者、ペーター・ヴォールレーベ

『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』アマゾン創業者とテスラ創業者。宇宙ビジネスの覇者になるのは? 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』アマゾン創業者とテスラ創業者。宇宙ビジネスの覇者になるのは?

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスと電気自動車製造会社テスラ創業者のイーロン・マスク。太陽が昇るどこかの惑星(または衛星)を背景に2人が対峙している表紙は鮮烈だ。どちらかがほかの星に降り立つ日も近いことを暗示しているようだ。 それぞれの個人資産は十数兆円と2兆数千億円。政府機関を凌駕する力をもつといわれる55歳と47歳。二人は人類にとってどんな存在になるのだろう

『1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法』高邁な理想主義がなぜ失敗するのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法』高邁な理想主義がなぜ失敗するのか?

本書は、今でもなお残されている、古き良き「アメリカの良心」を代弁する、社会変革のための提言書である。 なぜ5億ドルもの資産を持つ大富豪である本書の著者が、上位1%の超富裕層への課税強化を提唱するのか。本書の後書きに出てくる彼の言葉に、その思いが集約されている。 資本主義の潮流は否応なしに不平等へと向かうため、市場を富裕層だけでなく万人のために機能させるには、

今週のいただきもの:2019年3月3日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年3月3日週

今の時期、いちごが旬ですね。人は、石器時代からいちごを食べていました。その頃は、いちごの実だけではなく、葉や茎、根なども薬として利用していたそうです。 いちごは、そのまま食べてもおいしいのですが、一手間加えたサラダをご紹介しましょう。まず、いちごを蜂蜜とバルサミコでマリネします。次に、ベビーリーフをオリーブオイル、蜂蜜、バルサミコ、塩胡椒で和えて皿に盛り、最

『吃音 伝えられないもどかしさ』吃音者の著者が当事者たちの現実に迫る 書影

医学・心理学 / 社会

『吃音 伝えられないもどかしさ』吃音者の著者が当事者たちの現実に迫る

思い起こせば何人も「吃音」の人に出会っている。小学校の同級生、部活の仲間、会社の同僚、仕事先の担当者。だからと言って不快になることはなく、会話の仕方に気を付けるだけだった。彼らがこんなに悩んでいたということを全く知らなかった。 マリリン・モンローが吃音であることは、何かで読んだ記憶がある。セクシーなしゃべり方は吃音が関係していた可能性があるという。 『英国王

『日本の「中国人」社会』在日中国人が映し出す 日本の課題と可能性 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『日本の「中国人」社会』在日中国人が映し出す 日本の課題と可能性

73万人。日本に住む中国人の数だ。鳥取県、島根県の人口よりも多く、高知県とほぼ同数というから驚きだ。横浜市には全校児童の約4割が中国籍の公立小学校もある。 日常的にも中国人と接する機会は増えている。コンビニエンスストアや居酒屋の店員の多くは中国人だ。 日本の大企業が中国籍の大卒社員を積極的に採用し始めて久しい。繁華街でも店員と客の大半が中国人という料理店を目

柔らかな白い部分に触れる 『イベントの教科書』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

柔らかな白い部分に触れる 『イベントの教科書』

モノ消費よりコト消費。呪文のように、そう言われた時期があった。その切札が「イベント」だった。並べているだけではモノが売れなくなり、イベントなどの体験を売ることでお得意さんやコミュニティを作ることの重要性を説く主張である。 当時、私もそれに大いに共鳴し、50件以上のイベントを企画してきた。ただ、私自身そうだが全体的な勢いは、弱くなってきた印象がある。その真っ只

『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ 書影

医学・心理学 / アート・スポーツ

『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ

韓国では著名なイラストレーターである著者が、31歳から40歳まで9年をかけて完成させたのが本書『ソッカの美術解剖学ノート』である。 骨や筋肉や内臓など、人体構造について「なぜ今の形になったのか」に言及されているのがポイントであり、その知識をふまえイラストで絵の描き方を伝えている。本書では人体の仕組みを知れるのと同時に、各部位がどう動きその形状になったのかが楽

『9つの脳の不思議な物語』脳が脳自身を理解できた日はきっと最高にロマンティック 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『9つの脳の不思議な物語』脳が脳自身を理解できた日はきっと最高にロマンティック

変だと思われるかもしれないが、評者は自分の人生より他人の人生に興味がある。自分の中では考えもしなかった生き方や着眼点、思考法を知ることにえもいわれぬスリルを感じるのである。読書が好きなのもそういう理由だ。 本書の著者も、人々の人生にずっと関心を持ってきた。その好奇心が高じて、イギリスのブリストル大学では脳の研究に没頭し、神経学の学位を取得。卒業後は科学雑誌で