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『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』

21世紀の戦争は、戦車や大砲による物理的な戦闘よりも、主にソーシャルネットワーク(SNS)を使った情報戦が重要になった。SNSによって劇的に様変わりした新しい戦争の姿を描いたのが本書である。 ここでいう情報戦とは、相手の情報を奪い取る戦いではなく、いかに自分たちに有利な印象を信じ込ませることができるかといういわゆるプロパガンダ合戦のことだが、従来は国家権力や

読めば気分が…、医学譚全61話 『爆発する歯、鼻から尿―奇妙でぞっとする医療の実話集』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

読めば気分が…、医学譚全61話 『爆発する歯、鼻から尿―奇妙でぞっとする医療の実話集』

珍書というべきか奇書というべきか、何しろ驚愕の一冊である。『鼻から尿』??「♫チャラリー鼻から牛乳」の嘉門タツオもびっくりだ。それに『爆発する歯』??そんなことあるはずないやろ!という気がするのだが、いずれもがれっきとした医学雑誌に載っている症例報告なのである。17世紀から19世紀の医学雑誌に紹介されたさまざまな信じがたい論文を集めたのがこの本だ。さて、読め

『宇宙と宇宙をつなぐ数学』未来からやってきた数学理論 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『宇宙と宇宙をつなぐ数学』未来からやってきた数学理論

数学に関する本を読んで感動したのは初めてかも知れない。以前、NHKスペシャルで、ロシアの天才数学者グリゴリ・ペレリマンが数学の超難問「ポアンカレ予想」を証明した過程を追ったドキュメンタリー番組『 100年の難問はなぜ解けたのか ~天才数学者失踪の謎~ 』を見て、数学の世界のすさまじさに感心したものだが、それをはるかに上回る衝撃である。 2012年8月30日、

『さあ、バリアフリー温泉旅行に出かけよう!』経験豊富な温泉ライターが教える安心で安全な“楽しみ方” 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『さあ、バリアフリー温泉旅行に出かけよう!』経験豊富な温泉ライターが教える安心で安全な“楽しみ方”

ここ10年あまり、一人暮らしの老母を誘い、年に一度は温泉旅行に出かけている。毎年楽しみにしているが80歳を超えたころから足腰が弱くなり、バリアフリーの旅館を選んでも不満が残ることが多くなった。 そんなときに見つけたのが本書である。世界32か国もの温泉を巡って取材し、温泉専門のライターとして活躍する山崎まゆみが、高齢者や障がい者の旅行に同行して実地を検分、自ら

今週のいただきもの:2019年5月19日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年5月19日週

先日、スーパーに「よくねたいも」という、じゃがいもがあったので買ってみました。このじゃがいもは、CA(Controlled Atmosphere)貯蔵で長期保存されていたものです。CA貯蔵とは、庫内の空気中の成分をコントロールし、野菜をねむらせること。デンプン質が糖に変化するため、甘みが増します。 おいしいじゃがいもの食べ方はたくさんありますが、今回は、フラ

『執念深い貧乏性』無意識の隷属状態からいかに抜け出すか 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『執念深い貧乏性』無意識の隷属状態からいかに抜け出すか

読者を選ぶ本だろう。タイトルからは内容を想像できず、目次を眺めたら困惑してしまうはずだ。第1章「どすこい貧乏、どすこいセックス─女力士はエイリアン」から始まり、この調子で第12章「ババア一擲─なにがわたしをこうさせたか」まで続く。あえて書評らしく紹介すれば、「アナキズム(無政府主義)を専門とする著者が現代の課題を先人の生き様と結びつけ、型にはまらない文体でそ

大人が買わざるを得ない図鑑 『キン肉マン「超人」初回限定ケース版 (学研の図鑑)』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

大人が買わざるを得ない図鑑 『キン肉マン「超人」初回限定ケース版 (学研の図鑑)』

「もしもキン肉マン超人が実在したら・・・?」700体以上の超人を仲間ごとに分類し、美しいイラストで紹介した図鑑が発売になった。しかも、来年50周年を迎える「学研の図鑑」のラインナップとして。なつかしさバクハツ、激アツである。発売前から大反響で、多数の予約注文が入ったそうだ。ただし、購入者層には偏りがあったという。 それは、もしかしたらHONZ閲覧者層と年代・

『性と欲望の中国』爆買いから爆セックスへ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『性と欲望の中国』爆買いから爆セックスへ

「爆買いから爆セックスへ」。手に取るのを敬遠してしまいそうな帯だが、先日、『八九六四』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した書き手の作品と聞けば買いの一手だ。とはいえ、「爆セックス」が受賞後第一作とは幸なのか不幸なのか。 「はじめに」で著者が指摘するように、カネや食のように人間の欲望を反映する営みで社会を読み解くのは非常に有効である。エロも然りである。いや、

『数学者が検証! アルゴリズムはどれほど人を支配しているのか?  ~あなたを分析し、操作するブラックボックスの真実』正しく付き合うために、知っておくべきこと 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『数学者が検証! アルゴリズムはどれほど人を支配しているのか? ~あなたを分析し、操作するブラックボックスの真実』正しく付き合うために、知っておくべきこと

「Facebookがあなたについて知っていること」。そう検索してみると、似たような趣旨のタイトルがいくつもヒットする。「あなたのすべてを知っている」、「隠しているはずのことまで知っている」、「気づかないうちに追跡されている」。確かに気味の悪い話だが、では実際のところ、私たちは「どれほど」アルゴリズムに支配されているのか? 数学者である著者は、さまざまな研究に

今週のいただきもの:2019年5月12日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年5月12日週

夜中に突然思い立って、チャイを作りました。インド人にとって国民的な飲み物であるチャイは、紅茶の茶葉を牛乳で煮出し、大量の砂糖で味付けします。この飲み方は、イギリスの植民地時代に、良質な茶葉は本国へ送られてしまったので、クズ茶葉を飲むために生み出されました。 実は、本場のチャイにスパイスは必須ではありません。ですが、家に残り物があれば、積極的に使っていきましょ

『人喰い ロックフェラー失踪事件』精神世界と現代社会、両者間の深刻な断絶 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『人喰い ロックフェラー失踪事件』精神世界と現代社会、両者間の深刻な断絶

「虚実皮膜」とは、芸術は虚構と事実との、皮と膜とのようなほんのわずかな間にあるという意味で、近松門左衛門が語ったとされる言葉だ。しかし、実際にそうかは時と場合によるだろう。本書で扱われる「ロックフェラー失踪事件」について知れば、「虚実の皮膜」にあるのは悲劇でしかないということを痛感する。 事件は1961年のオランダ領ニューギニアで起きた。ロックフェラー家の一

祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』

本書の単行本が出版されたのは2006年の年末のことだ。出版社は、今は無き新人物往来社。当時、本屋をめぐって新刊を探していた時に、棚から私を誘ってきた本だった。 タイトルを見た瞬間に気持ちが鷲づかみにされた。「ツガルソトサングンシ」と読むこの文書の話を私が初めて聞いたのはずいぶん前のことだ。「青森の旧家から見つかった、大和朝廷に対抗した豪族の記録」で、当時から

狙うは女と口『ユダヤの商法』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

狙うは女と口『ユダヤの商法』

ビジネス書の名著と言われていながら、長らく絶版となっていた藤田田(ふじたでん)の『ユダヤの商法』が、他の著作とともに6冊同時に復刊した。私が書店で働いていたとき、この本を除く5冊はまだ販売されていたのだが、この中で一番評価の高かった『ユダヤの商法』だけは、なぜか絶版になっていて、読むことができなかった。当時、この本を読むには高値で取引されていた古本を買うしか

『トッカイ』バブルの後始末はまだ終わっていない 書影

社会 / 事件・事故

『トッカイ』バブルの後始末はまだ終わっていない

平成が終わった。元号なんて日本でしか通用しない、世界は西暦だ、などと言われてしまえばその通りなのだが、大学入学で上京したのが平成元年だったこともあって、個人的にはやはり平成の終焉は感慨深いものがある。 平成とはどういう時代だったのだろうか。 平成元年、1989年12月29日に日経平均は史上最高値の3万8915円87銭をつけた。ところが翌年1月から株価の下落が

『実験思考 世の中、すべては実験 』本の値段を読者に委ねてみたら… 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『実験思考 世の中、すべては実験 』本の値段を読者に委ねてみたら…

実に面白い。本の中身の前に、まず本を売る仕組みについてだ。 本書は、価格が読者に委ねられた一冊である。紙の本を購入する場合は印刷原価に相当する390円、電子版については0円を支払う。その後、価格設定をいくらにするかを読者自身が決め、特設サイトから支払うという仕組みなのだ。 ちなみに発売から3日経った段階での支払総額は43,569,400円。支払った人の数が6

今週のいただきもの:2019年5月5日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年5月5日週

先日、新しい料理に挑戦しようと思い、バスク料理を作ってみました。スペインとフランスにまたがるバスク地方は、海と山の幸に恵まれ、ミシュラン星付きレストランの数が平方メートルあたり最も多いんです。また、男子限定の美食倶楽部があることでも有名ですね。これは、家庭では女性が強く、息抜きをしたい男性が、友人たちと料理をしたのが始まりだそうです。 初めてバスク料理を作っ

『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』

前作『 流れとかたち 』は私にとって衝撃的だった。おおざっぱに言えば、こうなる。かつて、人間を別格と見なして他の生き物と切り離す世界観を、ダーウィンが進化論で刷新した。前作と本書『流れといのち』の著者エイドリアン・ベジャンはそれをさらに推し進め、生物を別格と見なして無生物と切り離す世界観を、すべてのかたちの進化を支配するという独創的なコンストラクタル法則で崩

『ネオナチの少女』ドイツに根づくナチズムという悪夢 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ネオナチの少女』ドイツに根づくナチズムという悪夢

本書の題名は『ネオナチの少女』となっているが、著者のハイディ・ベネケンシュタインは自らを「ネオナチ」とは定義していない。「ネオナチの人々とは、思想も生い立ちもまったく違う」と言い切る。彼女はかつての自分を「ナチそのもの」だと定義する。 現代の若い女性が「ナチ」を名乗るのは少し奇異に感じるが、本書を読み進めるとすぐに合点がいく。 彼女の祖母はヒトラーユーゲント

『バブル 日本迷走の原点』時代を見事に描き切った総括、形をかえた自伝 書影

社会 / 「解説」から読む本

『バブル 日本迷走の原点』時代を見事に描き切った総括、形をかえた自伝

永野さんに初めてお会いしたのは1982年頃だった。彼は既に名を馳せたバリバリの兜町担当の日本経済新聞記者で、私は人事異動で初めて証券局勤務となった新米の課長補佐。当時の日本は第一次石油ショックの教訓を生かし、先進国の中では比較的うまく第二次石油ショックを乗り切ったころで、世界における日本のプレゼンスが高まりつつある時代であった。行政上の課題として二つの「コク

「社長のおくりびと」が書いた 『0円で会社を買って、死ぬまで年収1000万円』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

「社長のおくりびと」が書いた 『0円で会社を買って、死ぬまで年収1000万円』

本書は、新しい時代のキャリアプランについて書かれた本だ。しかし著者の略歴には、次のように書かれている。「後継者不在などで存続の危機にある中小企業を700社以上支援してきており、「社長のおくりびと」の異名をもつ・・・」この経歴に、興味を持つ方は多いに違いない。ただ一瞬、タイトルとの間に違和感を覚えるかもしれない。しかし、よく考えてみれば事業買収の一方の主役は売

『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』その何気ない行動が、ゾウの生死を分ける 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』その何気ない行動が、ゾウの生死を分ける

アフリカでゾウの密猟が急増していると聞かされても、多くの人にとって自分事として捉えることが難しいだろう。しかしゾウが殺されているのは、決して食糧としての肉を目的としたものなどではない。付属物にすぎないはずの象牙が1kgあたり2000ドルで闇取引され、遠く中国や日本にやってくるのだ。 サバンナのダイヤモンドとも言われる象牙。本書は、元アフリカ特派員の著者がアフ

『メモの魔力』や『FACTFULNESS』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

ビジネス / 併せて読まれたこの一冊

『メモの魔力』や『FACTFULNESS』を買ったのは、どういう人たちなのか?

ビジネス書コーナーが活況を呈しています。特に、『メモの魔力』と『FACTFULNESS』はここ数ヶ月1位、2位を争い数字を伸ばし続けています。テレビなどのメディアで大きく取り上げられたことで、普段ビジネス書を手に取らない層にも届いたのが売れ続けている事の大きな要因となっています。売場に人が増えたことで、その後発売になった新刊も動きがよくなっています。 今やベ

『ゆるカワ日本美術史』日本独自のアート 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『ゆるカワ日本美術史』日本独自のアート

笑う埴輪の兵士。 相撲をとる蛙とウサギ。 シャボン玉を吹く金魚。 本書に登場する作品は、とにかく可愛く、とにかくユルい。 アートの文脈をひもとくと、西洋では19世紀半ばのルネサンス以降、より実物に肉薄するリアリズムの追求が芸術の目標だった。ミケランジェロの彫刻は肉体をリアルに再現し、遠近法をふまえた絵画は実際の風景があるかのように見せた。そこからセザンヌやゴ

『レオナルド・ダ・ヴィンチ』ダ・ヴィンチ伝の最終決定版 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『レオナルド・ダ・ヴィンチ』ダ・ヴィンチ伝の最終決定版

レオナルド・ダ・ヴィンチについては、これまで数多くの本が出版されてきたが、本書は正に、「ダ・ヴィンチ伝の最終決定版」である。 ダ・ヴィンチの作品に焦点を当てたこれまでの評伝とは一線を画し、世界的な伝記作家であるウォルター・アイザックソンが、現存する7,200頁ものダ・ヴィンチの自筆ノートを全て読破した上で、それをベースに執筆している。 日本でも、2005年に

『ネコ・かわいい殺し屋 生態系への影響を科学する』野良ネコへの愛情はリスクを孕む 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

『ネコ・かわいい殺し屋 生態系への影響を科学する』野良ネコへの愛情はリスクを孕む

本書を読む少し前、環境省による奄美大島のノネコ(野生化したネコ)への対策が議論を呼んでいるとのニュース記事を読んだ。ノネコが国の特別天然記念物であるアマミノクロウサギなどを捕食するため、昨年夏から捕獲が始まり、引き取り手が見つからなければ殺処分される。そのために動物愛護団体との対立が深まっているというものだ。野良とはいえ、あんな気ままでのんびり屋のネコがそこ

『「盛り」の誕生』世界に広がる女の子発のカルチャー 書影

サイエンス / 社会

『「盛り」の誕生』世界に広がる女の子発のカルチャー

まず本の表紙をよーく見ていただきたい。 きれいな女性だが、どこか人工的な印象を抱かないだろうか? 肌の質感はなんだかプラスチックを思わせるし、髪も地毛だけじゃなさそうだ。なによりも「目」が明らかにナチュラルではない。こんなに目の大きい人物がいるだろうか。しかも黒目にも細工が施されているみたいだ…… あなたが抱いた印象は間違いではない。この女性の顔は加工されて

植物プランクトンが地球温暖化を解決する!?『海と陸をつなぐ進化論』 書影

サイエンス / 生物・自然

植物プランクトンが地球温暖化を解決する!?『海と陸をつなぐ進化論』

地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の増加。従来はその排出を抑えることに注目が集まっていたが、最近では排出削減だけでなくCO2の吸収も注目されつつある。CO2の吸収といえば、森林などの陸上植物を想像しがちだが、実は陸上植物と同じくらいCO2を吸収し、大気中にもどしてくれている場所がある。海だ。 森林など陸上で吸収されるCO2は年間22億トンに対し、海

「仲野徹の本棚」フェア開催記念 仲野徹 × 東えりか 対談トークイベント@紀伊國屋書店天王寺ミオ店 書影

イベントレポート

「仲野徹の本棚」フェア開催記念 仲野徹 × 東えりか 対談トークイベント@紀伊國屋書店天王寺ミオ店

現在、紀伊國屋書店大阪天王寺ミオ店で開催されている企画展示 「仲野徹の本棚」 を記念し、4月23日に、仲野徹VS.東えりかのトークイベントがありました。ここに紹介され展示されているのはだいたい100冊くらいですが、なんと私は51冊、読んでいました。それだけ普遍的なラインナップであると言えます。 約1時間半、本の話は当然ですが、HONZの裏話や仲野先生の研究の

今週のいただきもの:2019年4月21日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年4月21日週

先週末、あまりに天気がいいのでピクニックをしたくなり、いなり寿司を作りました。いなり寿司は、稲荷神の使いである狐の好物だとよく知られていますね。でも、狐が豆腐を揚げたものである油揚げを好むのはちょっと変な感じがしませんか?たしかに色はよく似ていますが、加工が必要なものを好むなんて。実は、狐の好物は鼠を油で揚げたものでした。ある時、稲荷神のお供えには鼠の代わり

衝撃! ”生命科学クライシス-新薬開発の危ない現場” 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

衝撃! ”生命科学クライシス-新薬開発の危ない現場”

「なんとかの危機」的な本はけっこう多い。執筆は専門家ではなくてジャーナリストだし、「煽り系」の本がまた出たかと思って読み始めた。しかし、まったく違っていた。生命科学研究におけるさまざまな問題点が、順を追って鋭く冷静に指摘されていく。 資料をまとめただけではない。そういった問題に関係するノーベル賞受賞者も含めた多くの研究者へのインタビューも満載だ。口はばったい

効率より想像を探究する 3冊 書影

アート・スポーツ / ビジネス

効率より想像を探究する 3冊

どんな時代にも想像力は大事な意味を持つが、対局にある「効率」に打ち負かされる。効率はわかりやすく、想像力はわかりにくい。さらに、想像力はつかみどころがなく扱いが難しい。働き方改革で、わかりやすい業務の効率化が主要な施策で、想像力の出番はほぼない。目的がはっきりしない試行錯誤やぼんやり想像する時間は、短期的な効率追求を目指す組織の中では無駄扱いだ。 組織の中で

何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

何でも治ることを売りにした最悪の治療法の歴史──『世にも危険な医療の世界史』

現代でもインチキ医療、危険な医療はいくらでも見つけることができるが、過去の医療の多くは現代の比ではなくに危険で、同時に無理解の上に成り立っていた! 本書 『世にも危険な医療の世界史』 はそんな危険な医療史を、元素(水銀、ヒ素、金など)、植物と土(アヘン、タバコ、コカインなど)、器具(瀉血、ロボトミー、浣腸など)、動物(ヒル、食人、セックスなど)、神秘的な力(

『ビッグ・クエスチョン <人類の難問>に答えよう』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

サイエンス / 併せて読まれたこの一冊

『ビッグ・クエスチョン <人類の難問>に答えよう』を買ったのは、どういう人たちなのか?

4月10日、ブラックホールの撮影に成功したというニュースが流れてきました。SF小説や映画でもおなじみのブラックホール。撮影成功のニュースは、宇宙にそれほど関心がない人にとってもわくわくする話です。 ブラックホールがどうなっているのか、ブラックホールの中に何があるのかというのは多くの人が気になっている疑問であり、多くの研究者が取り組んでいる課題です。こういった

『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』彼らはなぜ偉大なのか? 書影

社会 / 「解説」から読む本

『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』彼らはなぜ偉大なのか?

本書(The Great Economists, 2018)は、経済学説史上の巨人たちならば、現在私たちが直面している問題についてどう答えるか、想像をめぐらした書だ。経済学の古典を読んだ人なら、誰もが興味の湧くテーマではある。ところがそれを実現した研究者は稀だ。というのも時代は移り、国内外の政治も二転三転して、巨人たちが生きた過去と現代とでは市場環境は激変し

日本医学の大恩人になりかけた男『ウイリアム・ウイリス伝』 書影

医学・心理学 / 日本史

日本医学の大恩人になりかけた男『ウイリアム・ウイリス伝』

朝刊を見る楽しみのひとつはサンヤツ広告である。一面のいちばん下にずらっと並んでいる本の広告のことで、3段分のスペースを8つに分けてあるからサンヤツだ。ある日、そこに『ウイリアム・ウイリス伝』があるのを発見して即刻購入した。ウイリス、どれくらいの知名度なのだろう。 吉村昭が高木兼寛を描いた『白い航跡』を読んだ人なら覚えておられるだろうか。高木は、西洋風の食事が

『へんちくりん江戸挿絵本』日本絵画がもつ へんちくりんな「ゆるさ」 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『へんちくりん江戸挿絵本』日本絵画がもつ へんちくりんな「ゆるさ」

府中市美術館の企画展「へそまがり日本美術」(5月12日まで)が予想外の人気だという。禅画からヘタウマまで、傑作とは言い難いが、個性的な絵画を集めた展覧会だ。 なかでも必見は三代将軍徳川家光の「兎図」。切り株の上にちょこんと乗った一匹のウサギがこちらを見つめている。ふわふわでなんとも愛らしいのだ。上様はじつは心優しい人だったのかもしれないと感心しつつ、脱力して

今週のいただきもの:2019年4月14日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2019年4月14日週

先日、スーパーでホワイトアスパラガスが売っていたので、思わず手に取りました。フランスやドイツでは、春の訪れを告げる野菜として特別な存在です。 アスパラガスには、白い品種があるわけではありません。土寄せし、日光に当てずに栽培すると、葉緑素が作られないため白くなります。軟白栽培のため柔らかく、甘味を感じることでしょう。 シンプルにおいしく食べるには、ボイルがおす

『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題

小学校に通う子どもの通知表を見ていたときのことだ。教科ごとに4つの評価項目が設けられているが、「社会」のところに「おや?」と目が留まった。項目がすべて同じ文章になっている。「もしかして誤記?」と思ったのだ。 よくよく見ると同じ文章ではなかった。だが、勘違いするのも無理はない。「我が国の歴史や伝統、世界の国々に〜」「我が国の歴史や伝統の意味について考え〜」など

『苦しかったときの話をしようか』新刊超速レビュー 書影

ビジネス / 新刊超速レビュー

『苦しかったときの話をしようか』新刊超速レビュー

事業縮小により会社を退職し、4月から求職活動中の自分にとって、『 苦しかったときの話をしようか 』というタイトルにはとても心惹かれるものがあった。どんな内容か確認もせずに買ったところ、これが素晴らしい本だったので紹介したい。 仕事がうまくいかず、自己評価が極端に低くなっている人や、後ろ向きな仕事をさせられて、自分自身の存在価値を疑う状況に追い込まれている人に

『わたしが「軽さ」を取り戻すまで シャルリ・エブドを生き残って』死を免れた女性漫画家の“その後” 書影

医学・心理学 / 事件・事故

『わたしが「軽さ」を取り戻すまで シャルリ・エブドを生き残って』死を免れた女性漫画家の“その後”

2015年1月7日11時30分、フランスのパリ11区にある風刺新聞社「シャルリ・エブド」に武装した覆面男2人が侵入し、編集会議中の社員に発砲した。編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警察官ら合わせて12人が死亡、多数の負傷者を出した。 後に犯人はイスラム過激派のテロリストと判明し、 フランス各地で数百万人に及ぶ犠牲者追悼のデモが行われた。 本書の原題は『LaL