ノンフィクションはこれを読め!

「解説」から読む本

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393記事

『チェンジング・ブルー』文庫解説 by 成毛 眞 書影

生物・自然 / 「解説」から読む本

『チェンジング・ブルー』文庫解説 by 成毛 眞

ノンフィクション専門の書評サイトHONZを開始する前の2008年、たまたま書店店頭で見つけた本書を手にとった。そして強い衝撃を受けた。日本人にこのような素晴らしい、出版史に残るような科学読み物が書ける日が来るとは思わなかった。このような本こそ世の中に紹介しなければならないという義務感を感じた。それまで個人ブログを利用して簡単な書評を書いていたのだが、組織化し

『私が弁護士になるまで』文庫解説 by 笠井 信輔 書影

人物 / 「解説」から読む本

『私が弁護士になるまで』文庫解説 by 笠井 信輔

「ちょっと待って、俺が書くの?」。文庫本の解説など書いたことがない。ほかに適任者がいるはずである。しかし電話の向こうでは、あっけらかんと「だって、私が書いた2冊の本の両方に出てくるの笠井さんだけなんですよぉ」。電話口なのに、下からいたずらっぽい目でこっちを見上げたような物言いに負けてしまい、返す言葉が見つからない。こうして、局アナから弁護士になった初めての女

『進化とは何か』編・訳者あとがき by 吉成 真由美 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『進化とは何か』編・訳者あとがき by 吉成 真由美

「何かについてすべてを学び、すべてについて何かを学ぼうとせよ」 「きっぱりと決断して行動し、その結果を引き受けよ。優柔不断は何   の良い結果も生まない」 ──トーマス・ヘンリー・ハックスレー 「私たちはスポットライトの中で生きている」とドーキンスは言う。「『現世紀』というのは膨大な時間の流れの中の小さな一スポットライトに過ぎない」のだと。 このフレーズは、

ここまで書いてええんかい 『工学部ヒラノ教授の事件ファイル』 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

ここまで書いてええんかい 『工学部ヒラノ教授の事件ファイル』

「ヒラノ教授、あんたの時代はよかった」。工学部ヒラノ教授シリーズを読んだ現役教授たちは、私とおなじようにつぶやくだろう。ご本人は、どこがよかったのか、とおっしゃるかもしれない。しかし、 20 年ほど前、いろいろと不自由や不条理はあったけれど、国立大学はゆるくてのどかな場所だった。 この本では、その時代にヒラノ教授が(たぶんやむなく)手を染められた不正行為が大

『日本国憲法 大阪おばちゃん語訳』まえがき by 谷口 真由美 書影

社会 / 「解説」から読む本

『日本国憲法 大阪おばちゃん語訳』まえがき by 谷口 真由美

驚くほど憲法がよく分かると評判の『日本国憲法 大阪おばちゃん語訳』。著者の谷口真由美さんはヒョウ柄とアメちゃんをこよなく愛し、「全日本おばちゃん党」代表代行も務めるという由緒正しき大阪のおばちゃん。そんな本書の前書きを、HONZにて特別公開いたします。 大阪弁でしゃべるおばちゃんが憲法について井戸端会議でしゃべったらどないなるか?というコンセプト(いや、編集

『小説フランス革命13巻 サン・キュロットの暴走 』文庫解説 By 東 えりか 書影

世界史 / 「解説」から読む本

『小説フランス革命13巻 サン・キュロットの暴走 』文庫解説 By 東 えりか

ある会社の経営者の講演を聞いていて、思い出したことがあった。歴史好きで大学で講座を持つほど深い知識を有することで知られるその人は「歴史的な出来事はすべて必然である」として、その大きな要因のひとつに気候変動や自然災害がある、と語った。日本民族の歴史の中で江戸時代の人間が一番小さかった理由も、モンゴル帝国の崩壊も自然を起点として考えると分かりやすいのだそうだ。

『紳士協定 私のイギリス物語』文庫解説 by 鴻巣友季子 書影

人物 / 「解説」から読む本

『紳士協定 私のイギリス物語』文庫解説 by 鴻巣友季子

『紳士協定 私のイギリス物語』は、佐藤優の一年あまりにわたるイギリス留学生活を主に綴ったノンフィクションである。その前後のソ連における外交官としての仕事についてもいくらか書かれているが、メインはイギリスでの語学研修生活で、さらにその3分の2は、ライン・エンドという小さな集落にある英語学校に通ったひと月半の記録に費やされている。 対ロシア外交での活躍で知られる

『どうすれば「人」を創れるか アンドロイドになった私』文庫解説 by 平田オリザ 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『どうすれば「人」を創れるか アンドロイドになった私』文庫解説 by 平田オリザ

本文中にあるように、私と石黒浩氏は、この6年間、ロボット演劇プロジェクトを通じて密接に付き合い、すでに5本の作品を創り、国内外をともに旅してきた。とりあえず、その経緯を簡単に記しておく。 2007年、私が阪大に移って2年目の夏、とあるシンポジウムの控え室で、鷲田清一総長(当時)と雑談をしている最中に、「そろそろ大学にも慣れてきたでしょう。何か他にやってみたい

『理系の子 高校生科学オリンピックの青春』巻末特別対談:成毛眞×田中里桜 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『理系の子 高校生科学オリンピックの青春』巻末特別対談:成毛眞×田中里桜

成毛 田中さんがサイエンス・フェアに出られたのは何年前でしたっけ。 田中 2011年に出たので、3年経ったくらいですね。 成毛 有孔虫の研究を始めてから何年になります? 田中 中学1年からですから7年ですね。研究自体は5年で1つ完結した感じになっています。それでISEFに行きました。正確に言うと有孔虫自体を研究しているのではなくて、千葉県の地質を、有孔虫を示

『人類が知っていることすべての短い歴史』文庫解説 by 成毛 眞 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『人類が知っていることすべての短い歴史』文庫解説 by 成毛 眞

2006年に本書の単行本が出版されたとき、厚さは4.5cm、重さは655gだった。横に寝そべって読むにも、すぐに手が疲れたし、本を掲げて仰向けに読むと、命の危険を感じる重さだった。業務用のラーメン丼でも500g程度なのだ。そんなものが顔面に降ってきてはたまらない。通勤通学の電車の中で読むこともままならない。あまりに厚く重いので、首から画板でも吊り下げてみよう

アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極 書影

アート・スポーツ / 「解説」から読む本

アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極

意外に思われるかもしれないが、普段の角幡唯介はキリリとしたイケメンである。探検だの冒険だのしている男は、写真がむさくるしいものばかりなので、本人に直接会うと普通さに拍子抜けしてしまうものだが、角幡の場合はその度合いが大きい。 そのギャップにやられるのか、実は女性ファンが多いのだ。山男というイメージはまじめで素朴、ちょっと変わり者だけど、そこがまたいい。確かに

『無常という力』文庫解説 by 福岡伸一 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『無常という力』文庫解説 by 福岡伸一

近代科学は、生命を時計仕掛けの機械と見なし、それを分解して部品に分け、そのいちいちに名をつけ、機械とのアナロジーで、生命現象を理解してきた。タンパク質や遺伝子は生命の部品であり、あるものはモーターとして、バネとして、滑車として、また別のものは、糊やはさみ、あるいはホッチキスのように働く、と。 昆虫少年出身の私もまた、いつのまにか、機械論的な分子生物学の切れ味

『音楽嗜好症』文庫解説 by 成毛 眞 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『音楽嗜好症』文庫解説 by 成毛 眞

著者のオリヴァー・サックスは1933年生まれのニューヨーク大学医学部教授。現役の脳神経科医であり、世界的な人気作家でもある。ロバート・デ・ニーロの好演でアカデミー賞にノミネートされた映画「レナードの朝」は、著者の同名ノンフィクション作品が原作だ。「レナードの朝」では治療不能な難病「嗜眠性脳炎」の患者とその主治医が主人公だった。嗜眠性脳炎とは30年以上も眠り続

『特攻の真意』文庫解説 by 大森 洋平 書影

日本史 / 「解説」から読む本

『特攻の真意』文庫解説 by 大森 洋平

本書は「特攻の生みの親」と言われた海軍中将大西瀧治郎が、いかなる真意のもとに特攻作戦を指導し、死に至るまで徹底抗戦を呼号したか、その解明を試みたものである。 著者神立尚紀は、太平洋戦争について海軍航空隊の戦いを中心にして、高い記録性を持つ数々の優れたノンフィクションを世に送ってきたが、これまで特攻作戦を書くのは「意識して」避けてきたと言う。その神立があえて今

『呪いの時代』文庫解説 by 森田真生 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『呪いの時代』文庫解説 by 森田真生

内田樹さんの著書の解説を執筆するという大仕事を前にして、僕はいま、些かの ためらい を感じている。書こうと思うことは確かにあるが、いざ書きだそうとすると、同じことが〝内田樹の文体〟で、もっとはるかに明晰に、理路整然とした言葉で語られるのが、どこからともなく聴こえてきてしまうのだ。それでなかなか、書き出せない。 内田さんの言葉は、いつでも身体を目がけて語られる

『日本の聖域 アンタッチャブル』文庫解説 by 田原総一朗 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『日本の聖域 アンタッチャブル』文庫解説 by 田原総一朗

私は、毎月「選択」が届くのを待ちかねる思いで、袋の封をあけるとまっさきに読むのが「日本のサンクチュアリ」である。新聞や他の雑誌では触れていない〝日本の聖域〟の実態にメスを入れ、いわば闇の構造を暴きつづけている。 その〝サンクチュアリ〟シリーズが、『日本の聖域 アンタッチャブル』というタイトルで文庫本になった。本書に収められた記事の中から特に興味を引かれたもの

『異邦人』文庫解説 by 麻木 久仁子 書影

社会 / 「解説」から読む本

『異邦人』文庫解説 by 麻木 久仁子

上原さんは、いつも旅をしているひとなのだ。日本の路地を。世界の路地を。構えたところもなく、ありのままの心で。 なぜ旅をするのか、第一章にこうある。 〈この世の中で、父と母との喧嘩ほど醜いものはない。まだ幼かった私にとって、それ は修羅場であった。〉 〈両親の修羅場は、まさに幼かった私にとって「小さな戦争」であった。私は何もできずに戸惑う、

『枯れるように死にたい 「老衰死」ができないわけ』解説 by 小鳥輝男 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『枯れるように死にたい 「老衰死」ができないわけ』解説 by 小鳥輝男

私は滋賀県で開業している一医師である。 平成19年より「三方よし研究会」を主宰している。この研究会は看護師、薬剤師、リハビリ技師、歯科医師、医師などの多職種で構成されている。発足当初は「東近江地域医療連携ネットワーク研究会」と呼ばれ、多職種が連携を図り、脳卒中患者が、あらかじめ指定された急性期、回復期、維持期の病院や施設を、納得してもらった上で移ることにより

『マツ☆キヨ 「ヘンな人」で生きる技術』解説 by 澤口俊之 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『マツ☆キヨ 「ヘンな人」で生きる技術』解説 by 澤口俊之

著者お二人のキャラクターを踏まえれば当然だが、非常に面白い(食事しながら読んでいた時は、思わず食べ物を何度も噴き出したほどだ――誇張ではなく)。 私事で恐縮だが、私は本を最近はほとんど読まない(読むのは、科学論文くらいである)。つまらないからである。分かりきった話や意味不明な話、あるいは冗長な話が多くて、読むのが苦痛、というか、それこそ面倒くさい。主要新聞の

『僕は9歳のときから死と向きあってきた』文庫解説 by 徳永進 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『僕は9歳のときから死と向きあってきた』文庫解説 by 徳永進

ぼくが医学部を卒業したのは、1974年(昭和49年)、もう40年前のことになる。40年の間に医療の現場も大きく変った。画像機器の進歩、内視鏡を使った検査や手術、特殊な放射線治療法、いくつかの有効な薬の登場。科学技術の進歩は医療の現場でも、栄光に満ちた姿として登場している。でも医療現場全体が、40年前に比べて、比べものにならないくらい良きもの、良き場になったか

『知ってても偉くないUSA語録』まえがき by 町山智浩 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『知ってても偉くないUSA語録』まえがき by 町山智浩

この本は、週刊文春に連載されたコラム「言霊USA」をまとめたものです。一冊目『 教科書に載ってないUSA語録 』に続く二冊目で、2012年8月から2014年3月にかけて、カリフォルニア州バークレーに住んでいる筆者が目にした、耳にした言葉について書いたエッセイです。 で、念のために言っておくと、これ、英語の勉強の本じゃないですから。 前の本でも、そう書いたけど

『サードマン 奇跡の生還へ導く人』解説 by 角幡唯介 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『サードマン 奇跡の生還へ導く人』解説 by 角幡唯介

いい本を読んで感銘を受けた時はつよい読後感でしばらく呆然となったり、新しい世界観を獲得して人間としてひと皮むけたような気になったりするものだが、私はこの本を読んでもそういう前向きな気持ちにはならなかった。 もちろんいい本だとは思った。それに面白さという点でも群を抜いており、一気に読み終えたことも事実だ。この本は冒険を扱ったものではあるが、ほかの冒険本とはちが

『サードマン 奇跡の生還へ導く人』訳者あとがき by 伊豆原 弓 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『サードマン 奇跡の生還へ導く人』訳者あとがき by 伊豆原 弓

昔から、信仰やスポーツ、健康維持のため老若男女を問わず山と親しんできた日本人にとって、遭難事故はめずらしいことではない。これまでも山行記や遭難記録が多数刊行され、そうした何冊かは私も読んでいた。だから本書で、「サードマン現象」(原文はThe third man factor)の記録を読んだときも、驚きはしなかった。人はたまらなく孤独になったとき、とりわけ過酷

『外務省に告ぐ』文庫解説 by 原田マハ 書影

社会 / 「解説」から読む本

『外務省に告ぐ』文庫解説 by 原田マハ

初めに言っておく。超ド級のトップ・インテリジェンスにして「月産原稿量千枚超」を誇る怪物のごとき作家・佐藤優の知性と筆力には、どんなにがんばったところで私は到底かなわない。ゆえに、この解説では少々ふざけたことを書く。けれど、ここまでフルスピードでページをめくってきた読者に読み飛ばされないように、細心の注意は払いたい。 本書の解説にまったくの畑違いである私を指名

『人にはどれだけの物が必要か―ミニマム生活のすすめ』 文庫解説 by 浜 矩子 書影

「解説」から読む本

『人にはどれだけの物が必要か―ミニマム生活のすすめ』 文庫解説 by 浜 矩子

映画になるな。本書を読み終えて、ただちにそう思った。 オープニング・シーン。人品卑しからぬオジサマが、道を行く。正体不明だ。時折り、かがむ。その動作が何回か繰り返される。何をやっているのか。手元にぐっとカメラが迫る。お、なんと。空き缶を拾っている。釘を拾っている。紙切れを束ね集めている。 次第にフェードアウト。そして、森林が、山脈が、大地が、里山が画面一杯に

『1985年のクラッシュ・ギャルズ』 文庫解説 by 一色 隆司 書影

アート・スポーツ / 「解説」から読む本

『1985年のクラッシュ・ギャルズ』 文庫解説 by 一色 隆司

「1985年のクラッシュ・ギャルズ」というタイトルを見た時に懐かしいと感じる方は、きっとこの作品を読み始めたら止まらなくなるでしょう。私もその一人でした。 一方、クラッシュ・ギャルズを知らない世代の方々にとっては、本書は楽しめない物なのでしょうか。いえいえ、きっと読み始めたら止まらなくなるから読んでみてと、私は自信を持ってお薦めします。 女子プロレスと聞いて

『河北新報のいちばん長い日』 文庫解説 by 後藤 正治 書影

社会 / 事件・事故

『河北新報のいちばん長い日』 文庫解説 by 後藤 正治

二〇一一年三月十一日に勃発した東日本大震災にさいして、地元紙・河北新報が、震災にいかに対応し、何をどう伝えたか……を克明に記すドキュメントである。 河北新報は、宮城・仙台を本拠に、東北各県をエリアとするブロック紙である。震災で本社の建物は持ちこたえたが、沿岸部にある支局や販売店は軒並み被災した。販売店でいえば、店主が死亡した店が三店、全壊が十九店舗。配達員な

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』解説 by 板垣 恵介 書影

アート・スポーツ / 社会

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』解説 by 板垣 恵介

強ェえ男が好きだ。強ェえ男を見たい。強ェえ男を聞きたい。強ェえ男を笑いたい。強ェえ男に畏怖えたい。 そんな事を50年以上は考えている。本書はそんな俺の願望を余す所なく、有り余る程満たしてくれている。 50年以上も”強き者”に目を光らせていたハズなのに木村政彦の名はアンテナに掠った程度だった。力道山戦の敗北、柔道界の政治的な意図、理由は様々であろうが、俺はここ

『遺体 震災、津波の果てに』文庫版あとがき by 石井 光太 書影

社会 / 「解説」から読む本

『遺体 震災、津波の果てに』文庫版あとがき by 石井 光太

あの日から、三年が過ぎようとしている。 東日本大震災が起きて間もなく釜石の地に着いたとき、私は3年後の釜石を想像することができなかった。あまりに凄惨な現実に圧倒され、目の前にある光景以外のものを思い浮かべる力が木端微塵に砕け散ってしまっていたのである。異臭と寒さと瓦礫が私にとっての被災地すべてだった。 本書の執筆は、そんな私にとって祈りともいうべき作業だった

『救命 東日本大震災、医師たちの奮闘』文庫版後書き by 海堂 尊 書影

社会 / 「解説」から読む本

『救命 東日本大震災、医師たちの奮闘』文庫版後書き by 海堂 尊

文庫化にあたり、単行本の後書きを読み返してみた。後書きを執筆したのは2011年7月で、世の中が東日本大震災の余波の真っ只中にあった頃だ。 あれから二年半。世の中は変わった。 被災地の頑張りの方向性は一貫しているが、社会のベクトルは大きくぶれ、被災地をネグレクトする方向に動いてしまった。そうした動きをここで詳細にあげつらうと却って論点がぼけてしまうので、一点に

『前へ! 東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録』取材ノート by 麻生 幾 書影

社会 / 「解説」から読む本

『前へ! 東日本大震災と戦った無名戦士たちの記録』取材ノート by 麻生 幾

文庫本として出版するにあたり、広報セクションを通してあらためて関係者の方々よりお話を伺った。 東日本大震災より3年近い月日が経っていたが、皆さんのご記憶は鮮明だった。 それだけ、あの災害は、皆さんにとって忘れえぬ思いが、体に刻みつけられていると、今更ながら深い思いに浸った。 私自身も、幾つかの記憶がある。 その多くが「恐怖」だ。 家々を呑み込む大津波、漆黒の

『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』訳者あとがき by 竹内 薫 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『宇宙の始まりと終わりはなぜ同じなのか』訳者あとがき by 竹内 薫

本書は超天才ロジャー・ペンローズ博士の最新刊だ。 え? ペンローズって誰? うーん、たしかにペンローズは、玄人ウケするものの、さほど一般科学ファンに浸透しているとはいえないかもしれない。でも、この人、マジでスンゴイ科学者なんです。 ペンローズは、誰でも知っているホーキング博士のお師匠さんなんですね。あの「車椅子のニュートン」と呼ばれる天才物理学者の博士論文を

『はやぶさ式思考法』解説 by 向井 万起男 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『はやぶさ式思考法』解説 by 向井 万起男

私が川口淳一郎さんと初めてお会いしたのは2013年9月14日、青森県八戸市で開催された講演会の控え室。 その講演会は「平成25年度 日本学術会議 東北地区会議公開学術講演会 サイエンストーク『宇宙ファミリー』」という格調高いがヤケに長い総合タイトルが付いたもので、川口さんと私は各々45分間の講演を行い、その後のパネルディスカッションにも加わることになっていた

『こころの読書教室』解説 by 加藤 典洋 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『こころの読書教室』解説 by 加藤 典洋

私事になるけれども、私はいま、この1年ほど続いた雑誌連載を終えたところである。すこしほっとして、この河合さんの本を手にとり、読み、解説を書こうとしている。 連載の趣旨は地球と同様に、人類もまた、もう有限の存在であると考えてみたほうがよいのではないか、というもの。最後は、人類が永遠に続くのではないとしたら、人間は今後、自分を人類の一員として考えるだけではなくて

『血族の王』解説 by 江上 剛 書影

ビジネス / 「解説」から読む本

『血族の王』解説 by 江上 剛

松下幸之助は、単なる日本の事業成功者ではない。彼は、日本のみならずアジアの人々から尊敬されており、事業家というよりも思想家のような存在にまで達している。 そのことを実感したのは、アジア取材でのことだ。マレーシアの首都クアラルンプールから西に20数キロ離れた港町クランにあるパナショップを見学した。主人は2代目だ。店にはパナソニック(旧松下電器)の製品が並ぶ。

『家庭の科学』訳者あとがき by 三枝小夜子 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『家庭の科学』訳者あとがき by 三枝小夜子

本書は、イギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)ンピューターサイエンス学科の名誉上級研究員であるピーター・J・ベントリーの一般向けの科学書『The Undercover Scientist』を翻訳したものである。 ベントリーは、遺伝的アルゴリズム、進化的計算、人工免疫系、群知能などの複雑系の技術を、設計、制御、ロボット工学、ナノテクノロジー、

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アート・スポーツ / 「解説」から読む本

『百年前の山を旅する』文庫解説 by 角幡 唯介

大学を卒業してから2年ほど、まともに仕事もせずにぶらぶらしていたことがある。学生時代に探検部で活動していたせいで、卒業してからも探検家になるという夢を捨てきれなかった私は、過ぎ去っていく青春にしがみつくように貧相な暮らしを続けていた。半年間ほどのニューギニア島の旅から帰国した後、登山仲間から土方のアルバイト先を紹介してもらい、工事現場に何週間も寝泊まりして、

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教養・雑学 / 「解説」から読む本

『小林秀雄対話集 直観を磨くもの』文庫解説 by 石原千秋

恥ずかしい思い出話からはじめよう。 私にとって小林秀雄の批評は高校生時代の愛読書だった。当時は文庫でかなり出ていたから、文庫にあるものはすべて読んだ。初期の「様々なる意匠」も当然読んだ。それで、文学青年でもあった担任の国語の先生に、「こんど、「ようようなるいしょう」を読みました」と、自慢げに報告した。一瞬間があって、先生は「そうか」とだけ言った。 大学生にな

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サイエンス / 教養・雑学

『魚料理のサイエンス』文庫解説 by 野崎 洋光

成瀬先生との最初の出会いは、武蔵野栄養専門学校時代に私が先生の教え子だったことです。出来の悪い教え子でしたが。そして卒業して10年くらい経ったときに再会しまして、「今は何をしているの」と質問され、料理人ですと答えたところ、「一緒に本を作ってみないか」と仰っていただき『魚調理の「こつ」』という本を共同執筆で柴田書店から出しました。現在、私は80冊ほど著作があり

『ケプラー予想』文庫版訳者あとがき by 青木薫 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『ケプラー予想』文庫版訳者あとがき by 青木薫

本稿は、2013年12月に文庫化された『ケプラー予想』の訳者あとがきです。2005年4月に刊行された単行本『ケプラー予想』の訳者あとがきは こちらから 。 (※編集部) 本書『ケプラー予想 四百年の難問が解けるまで』の単行本のための翻訳に取り組んでいたときのこと、私はおもちゃ屋さんでビー玉を大人買いした。適当に見つくろった容器の中にビー玉を配置してみたり、お