
『アルビノを生きる』白皮症。つながり。そしてその先へ
彼らの姿を私はじかに見たことはない。大理石のような白い肌と白髪に近い金髪、眉毛や体毛も金色か白だ。透き通るような瞳はブルーやグレー。色素が無い瞳は、個人差が大きいが大抵は弱視だ。そしてその白い肌は紫外線に弱い。「 アルビノ 」と呼ばれる遺伝性の疾患は様々な動物にも見られる。メラニンの生合成に関わる遺伝情報の欠損により先天的にメラニンが欠乏する病気だ。日本語で
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彼らの姿を私はじかに見たことはない。大理石のような白い肌と白髪に近い金髪、眉毛や体毛も金色か白だ。透き通るような瞳はブルーやグレー。色素が無い瞳は、個人差が大きいが大抵は弱視だ。そしてその白い肌は紫外線に弱い。「 アルビノ 」と呼ばれる遺伝性の疾患は様々な動物にも見られる。メラニンの生合成に関わる遺伝情報の欠損により先天的にメラニンが欠乏する病気だ。日本語で

『実に美しい』と、ガリレオの福山雅治のようにつぶやきたくなる写真集だ。人体のいろいろな細胞や組織の写真が300点以上。どのページを開いても、見事に美しいのだからたまらない。 電子顕微鏡は、可視光のかわりに電子線を使い、光学顕微鏡では見ることができないような小さなものまで見ることができる顕微鏡である。それには透過型と走査型があって、透過型は薄い標本を見るための

我が国における生後一ヶ月以内の赤ちゃん1000人あたりの死亡数(新生児死亡率)をご存じだろうか?わずか“1”である。お産における赤ちゃんの死亡(周産期死亡率)は、これより多いが、それでも1000人あたりおおよそ4人。もちろん 世界の最高水準 。先天性の異常など防ぎえない場合もあるので、すでに医療の限界とされている。 フィリピンでの新生児死亡率はどれくらいかと

サイコパスと呼ばれる特異な人格を形成した人々が存在する。これらの特異な人格を持つ人々が、いつ私たち人類のジーン・プールに紛れ込んだのかはよくわからない。しかし、その存在は古くから知られていた。たとえば、北欧の歴史や神話に登場するベルセルクたち。彼らは軍神オーディーンの神通力で恐怖を克服し、猛り狂いながら敵を殺す。彼らを擁する共同体にとって、それは守護天使であ

1970年代後半、遺伝子工学という1つの巨大産業が生まれた。 本書はその誕生の場面を切り取った、良質なサイエンスドキュメント。そして、1つの産業をリードするベンチャーの誕生から成功を駆け抜けるストーリーでもある。 サイエンスとビジネス、叡智と欲望が交差する間で、2つの大学と資本金たった1,000ドルのベンチャーが、インスリンという1つの物質の生産を賭け、競い

プライドが邪魔をすることもあれば、プライドがなくて動き出せないこともある。 プライドが逆境を支えるときもあれば、人を狂わせることもある。 自分がつくったプライドの檻の中から、いつの間にか抜け出せなくなることもある。 それでも、人間はプライドを持たざるを得ない存在である。 それが本書の出発点である。 人間は理想の自分を思い描く。それと同時に、理想の自己で現実の

タイトルにあるとおり、お酒の話である。西原理恵子と吾妻ひでおの本であるし、表紙も楽しそうだから、エンターテインメント系かと思って買ったのであるが、ちがった。もちろん両氏のことであるから、サービス精神満点にすごい経験談がどんどんと繰り出される。しかし、この本の目的はそこにはない。西原がいうように、アルコール依存を正しく理解してもらい、少しでも減らそうという崇高

直感に反するタイトル、「先送り」という言葉に、よい印象はない。 TVでは、「いつやるか?今でしょ!」と連呼され、受験生でもないのに、その瞬間だけ、心が掻き立てられる。だけども、3秒後にはまるで、聞いていなかったかのように、コタツを出ることなく、TVの前に居座り続け、時間を貪り、ふと時計を見ると、罪悪感に襲われる。今年の流行語大賞で、アベノミクスとの一騎打ちと

大変失礼なことだが、デビュー当時、林真理子はキワモノだと思っていた。『ルンルンを買っておうちに帰ろう』は面白かったけれど、地方の大学を出て、東京で働き始めたばかりのねーちゃんである私には、なんだか空恐ろしい世界であった。本書を読むと「等身大の20代を赤裸々に語った」エッセイは、野心と気合の結果であったことを知る。 本書の太い帯には30年前の著者が読者を睨みつ

コレステロール、中性脂肪、高血圧... 毎日を健康的に過ごすための情報は、ネット上や書籍などでも溢れかえっている。そして身の回りの人間に相談すれば、様々なアドバイスを得ることだって出来るだろう。だが、そこで得た膨大な情報の中からどの選択肢を選ぶのがベストなのか、そこに最大の関門が待ち受けている。 かつて医師は権威そのものであった。医師は判断を下し、患者はそ

ストンと身体に入っていき、「腑に落ちる」という表現がしっくりくる…… 私には、そんな感覚がある。 三木さんの言葉の意味はひとそれぞれだろう。 音楽のようなリズムもそこに加わる。 さて、三木さんの処女作である本書は、あなたにどう響くだろうか。 生前の三木成夫を知るひとが、その出会いや人柄を語る場面に何度か遭遇したことがある。 文庫版解説を書かれている養老孟司さ

この話が小説ならよかったのに。小説なら、おぞましいながらも美しい悲劇として描けるものを。 7歳の夏、著者のマーゴ・フラゴソは彼女が育ったニュージャージー州ユニオンシティのプールで51歳のピーター・カランに出会う。精神の病を抱える母と、その母と娘を養うために働く父、ルイ。しかし口を開けば罵倒しかできない父親から逃れるため、母娘は逃避先を探していた。偶然出会った

東条健一は子供のころ、守銭奴の父に苦労させられたが、大学卒業後はマスメディアでの金融情報の営業や大手報道機関の社会部記者を経てPRやブランディングの専門家となり、ビシネスの成功者となった。キャビン・アテンダントの妻との間に娘を授かり、子育てにも一所懸命。将来は順風満帆だと信じていたのだ。 しかし、その娘「リカ」に異変が見えたのは2歳を過ぎたころからだ。生まれ

幽体離脱、金縛り、死者との遭遇。本書には、テレビや雑誌で「奇跡の瞬間」として紹介されるようなスピリチュアル体験が数多く紹介されている。しかし、本書はいわゆるオカルト本の類ではない。本書は、ケンタッキー大学・神経学教授の著者が、これらのスピリチュアル体験を最新の脳科学で解き明かしていくサイエンス本だ。 スピリチュアル体験者はどのような環境で、どのような体験をし

タイトル『言語の社会心理学』だけでは、抽象的で伝わらないし、内容の推測も難しい。しかし、装丁と帯をよく見てみると、本書のことを伝えようとする気迫が伝わってくる。 副題は「伝えたいことは伝わるのか」 帯には、「ことばは「文字どおり」には伝わらない」 背表紙からは、「伝えたいのに伝わらない」 裏返すと、「伝えたいことを伝えるために」 ここまで何度も伝えられれば、

新年早々大当たりの一冊。どれくらい面白いのかを生理学的に述べると、体内のテストステロンの濃度が上がり、ヘモグロビンの量が増え、適度なストレスとともにドーパミンが快楽をもたらしたほどだ。と言われたところで、この時点ではなんのこっちゃという感じかもしれないが... 本書における一つの側面は、金融マンのトレーダー取引がありのまま描写されているということである。プロ

男女の脳はつくりが違うとは聞いたことがあったけれど、これほどまでに違うものだとは思わなかった。そもそも男女では見えている景色が違うらしい。女性には見えて、男性には見えない色というものが存在するそうだ。そんなことは考えてみたこともなかった。とすると異性というのは、似て非なる生き物である。多くの大人たちはそのことを理解せず、異性の脳を自分の脳と同じものとして扱お

ずるをしたことがない、と断言できる人はどれ程いるだろう。私は一度もしていない、と思った人は自分がずるをしていることに気が付いていないだけかもしれない。自分をごまかすことは、想像以上に簡単なのだ。 『 予想どおりに不合理 』で人の不合理性を、『 不合理だからすべてがうまくいく 』でその不合理性がもたらすポジティブな影響を明らかにした行動経済学者ダン・アリエリー

私たちの意思は自分たちの気がつかないところで、周りの環境に大きく影響されている。例えば、本書でも幾度か登場する、選挙の場面ではどうだろうか。 投票所がどこにあるか、そんな些細なことにも大いに影響されている。アリゾナ州での学校補助金の増額への賛成票は、投票所が学校の場合、そうでない場合よりも有意に多かった。これは先行する刺激(この場合は学校)に判断や選択が影響

そんなことを言われなくても、シロクマのことなんて普段から意識したことないし、考えたことなんてないよ。と、読んでいる人の大半が思っているに違いない。それならなおのこと、シロクマのことを考えないで、この先のレビューを読み進めてください。 この本はスタンフォード大学の人気講座である『意志力の科学』をもとに作られた本である。この本が発売以来飛ぶように売れている。そん

買(こ)うてや、買うてやぁ~! 安いで安いでぇ~。なんと、こんだけ大きいて立派な本が5千と7百円っ! 税金入れても、6千円で15円のおつり。え? 6千円もする本は高いて? アホなこというたらあかんがな。ものを買うかどうかは、値段で決めたらあかん。値打ちで決めなあかん。学校で習わへんかったんかいな。うそ言わへん。こんだけの本が6千円でおつりっちゅうのは、びっく

医療ミステリー作家・久坂部羊の本はすべて読んでいる。熱烈なファンなのである。かというと、そいういう訳でもない。久坂部羊こと久家義之クンは、阪大医学部時代の同級生であり、いまでもしょっちゅう飲みに行く友人である。出版のたびに恵送してくれるので、礼儀正しい私としては、ついすべて読んでしまっているだけのことである。 しかし、久坂部羊の本がたくさん売れたところで、私

「科学と宗教」という、既に語り尽くされたと思われるテーマに、無神論的心理学者の著者ジェシー・ベリングを向かわせたのは、母の病気である。ベリングが10代のころ、彼の母はがんと診断された。母の病状を聞いたとき、神の存在を微塵も信じていなかった彼の頭に、意外な言葉が浮かんだ。 反射のように浮かび上がった神を、ベリングは理性の力で即座に振り払った。母の症状が科学的に

座敷牢の調査報告書。 一言でいえばこんなところだろうか。ただし、100年前の話。 著者の呉秀三は、「日本精神医学の父」と呼ばれる、明治から昭和のはじめにかけて活躍した医学者だ。精神病患者の看護法を刷新したことで知られる。つまり、本書は看護や治療のやり方を一新すべく、当時の精神病患者がおかれた状況を実地調査したレポートなのである。 明治43(1910)年から、

「単純ヘルペスⅠ型」 ウイルス。 日本人の8割が既に持っているウイルスと言われており、風邪の時や、夏のレジャーで紫外線を浴びた時など、抵抗力が落ちた時に、唇の隅に小さな発疹ができるのが主な症状である。と、他人事のように書いてみたが、かく言う私も「持っている」一人だ。いやー、かゆいんです、これが。そうなった後には、病院で飲み薬や塗り薬が処方されて、友人から「ペ
弱いロボット (シリーズ ケアをひらく) この夏、東京新宿歌舞伎町に新名所となる ロボットレストラン が誕生した。行ってきた人の話によると、バブルのころに大流行したショーパブのようなものだが、本当にドでかいセクシー女性ロボットが登場し、ダンサーたちと絡むのだそうだ。一日3回ある公演は、ほぼ満席で、女性が見ても嫌悪感なく面白いとか。これはぜひ行ってみたい。 こ
おもかげ復元師 (一般書) 大きな絶望に出会ったとき、人は「せめて」という希望にすがる。“せめて生きていて”が、“せめて見つかって”になるまで、どれほどの心の葛藤があるだろうか。2011.3.11、東日本大震災の直後、津波にさらわれた家族や恋人を探し、多くの人たちはその“せめて”という言葉を口にした。 『おもかげ復元師』の著者であり主人公である笹原留似子は、

ヒトのDNAを用いる研究では、匿名化や厳重な保管など、サンプルの扱いに厳しい制限がかけられている。個人のゲノムが遠からず千ドルで読めるようになろうかという時代である。どのようなものを食べているかで、どのような人間であるかをあててみせる、と、『美味礼賛』のブリア=サヴァランは言ったが、それどころではない。ゲノムがわかれば、その人のいろいろなことがわかってしまう

おもしろいノンフィクションを紹介するという『HONZ精神』にのっとり、手に取るや置くにあたわず一気読みした本をレビューする、というのを原則にしている。が、今回だけは例外である。内容の重さに、何度も何度も天井を仰ぎ見なければならなかった。しかし、それでも皆さんにご一読をお薦めしたい。親子とは何か、という、おそらく多くの人は気にしたこともないが、根源的な問題を真

コロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授の著書、『選択の科学』は、おそらくHONZの読者にはおなじみに一冊だろう。この 成毛代表のレビュー を参照にしてほしいが、シーク教徒のインド系移民で、盲目の女性であるアイエンガー教授が、「選択」によって困難を乗り越えてきた自身の生立ちを語りつつ、「選択」にまつわる常識をくつがえすような研究事例をさまざま

つい先日、話題になったヒッグス粒子発見の報。それを伝える紙面上で紹介されていた、物理学者・中谷宇吉郎のエッセイがずいぶんと印象的であった。 科学研究のやり方には警視庁型とアマゾン型の2種類がある。結果の目星がついていてその結果を得るための研究が警視庁型、研究対象の何たるかも分からぬまま秘境に分け入るのがアマゾン型――というものである。 1964年に存在が予言

ヤンキーをWikipediaで引くとこうなる。 確かに私も、なんとなくチンピラっぽい人のことをヤンキーと呼んでいる。今までの人生で、自分がなったことも付き合ったこともなく遠巻きで見ているにすぎなかった。しかし『世界が土曜の夜の夢ならーヤンキーと精神分析―』を夢中になって読むうちに、自分の中に眠っている「ヤンキー的日本人」(これも相当変な日本語だ)に否応なく気

今回は「かるた」を紹介しましょう。「かるた? なんのこっちゃ?」と思われた方も多いはず。医学書院の知り合い編集者のツイートで知ったこの一冊(いちおう書籍コードがついているのです)、私もまったく同じ感想でした。昨年末の刊行なので少々時間が経っていますが、「これを紹介していないなんて、HONZじゃない」とのことで、紹介いたします。おもしろいのでご容赦くださいまし

最近仕事に忙殺されており、癒しを求めて手に取ったはずの一冊だったのだが、癒されるどころかギンギンに興奮してしまった。 主人公はボツワナの北西部にあるカラハリ砂漠で狩猟採集を営むクンの人々。このクンの成人の1/3以上が、薬物を使うことなしに、日常的に変性意識状態に入ることができるのだという。 変性意識状態とは、通常の日常的な意識状態とは別レイヤーに存在するもの

あなたはどんな街に住んでいるだろう。その街に住むことを決めたのはあなただろうか、それとも、あなたの家族だろうか。立地、間取り、価格、様々な要素を比べて、その街に住むことを決めたことだろう。少なくとも、あなたはその街に住むことを決めた理由を述べることができるはずだ。しかし、その街へ住むことを決めたのはあなたの意識の及ばない何かかもしれない。心理学者ブレット・ペ

ビジネスの世界では、時として組織や専門性の壁が邪魔になる時がある。世の中全体が垂直統合から水平分散へと大きく構造を変えていく中で、既存の受け皿では解決できない課題というものが増えてきているのだ。 医療の世界も、また然りのようである。本書に登場する12人。大学病院の運営に経営的な視点を持ち込み黒字化を果たした男、Aiという死亡時の画像診断で死因究明の仕組みを変

30年ほど前だろうか、「母源病」という言葉が大流行した事があった。母親の愛情過多、あるいは不足によって子供が影響を受け、あとの人生に大きな影響を与えるという、精神科医の一つの推論であったと記憶している。当時はまだ、幼児虐待やアダルトチルドレンなど概念はなく、母親だけが原因になるのはおかしいのではないかということで、かなり反論も強かったらしい。 最近ではその母

はじめまして、『 なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』 で、ごく一部ではおなじみの、浪速大学・仲野です。ここしばらくHONZ被害者同盟の暫定代表を務めておりましたが、このたび訳あって、読み手から書き手へ、すなわち、被害者から加害者へ、あっさり転向することになりました。よろしくお願いいたします。って、よろしくないですね、すみません。ところで、すっかり忘れてい

最初にお断りしておく。このレビューを読んで多くの人が「自分のことか?」と怯えるだろう。まだ見世物的に報じられる日本のゴミ屋敷だが、「強迫性貯蔵症」(ホーディング)の実態は明らかにされていない。自分ひとりで悩んでいる人も多いかもしれない。事実、自分に置き換えると、少々悩ましいことでもある。 仕事柄、身の回りに本を置くことは多い。しかしふと気が付くと、仕事場のパ

「致死性家族性不眠症」という病気をご存知だろうか?眠りたいのに眠れなくなり死に至るという奇病だ。現在のところ治療法は見つかっていないため、想像を絶する苦しみの中で確実に訪れる死を待たなくてはならない。考えるだけで気分が悪くなってくる病である。ダニエル T.マックス著 『眠れない一族』 がこの病気にまつわるイタリア貴族の家系を紹介しているので、知っている人もい