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医学・心理学

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353記事

『壊血病』もつれた糸 書影

医学・心理学 / 世界史

『壊血病』もつれた糸

18世紀、船の大型化と航海技術の進歩により、頻繁に寄港することなく航海が可能なになった。こうしたことにより猖獗を極めた病がある。「 壊血病 」だ。壊血病とはビタミンC(アスコルビン酸)の欠乏により起こる病だ。壊血病になると身体の結合組織の細胞が変性を起こし、歯茎の腫れと出血、歯がぐらつく、口臭、無気力、倦怠感、古い傷口が開く、接骨した骨が外れる、などの症状が

『ホット・ゾーン』エボラ克服には、地球規模の強大な努力が不可欠だ 書影

医学・心理学 / HONZブックマーク

『ホット・ゾーン』エボラ克服には、地球規模の強大な努力が不可欠だ

西アフリカで猛威を奮うエボラ出血熱はアメリカ本土での感染者も現れ、一層の拡大が憂慮されている。本書『ホット・ゾーン』は1994年に刊行。いつか迫り来るであろう遠方の脅威としてではなく、まるで肉声が聞こえてくるかのようなナラティブな手法でエボラの獰猛さを最前線から伝えた。 そして2014年、過去最大のアウトブレークを迎え、新装版の刊行が急遽決定する。著者・リチ

緊急復刊『ホット・ゾーン』でエボラを知る 書影

サイエンス / 医学・心理学

緊急復刊『ホット・ゾーン』でエボラを知る

西アフリカでエボラが猛威を振るっている。WHOの発表によると、今回のアウトブレイクは、ギニア、リベリア、シエラレオネ3カ国での感染者が6553名、死者は3083名という史上最大の規模に発展している(2014年9月26日時点)。そしてついに、アメリカ本土での感染者も現れてしまった。アメリカ疾病対策センター(CDC)の想定では、このままの状況が続くと2015年1

『跳びはねる思考』あたらしい「自由」を手に入れるために 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『跳びはねる思考』あたらしい「自由」を手に入れるために

僕は二十二歳の自閉症者です。人と会話することができません。 ぼくの口から出る言葉は、奇声や雄叫び、意味のないひとりごとです。普段している「こだわり行動」や跳びはねる姿からは、僕がこんな文章を書くとは、誰にも想像できないでしょう。―僕と自閉症― 本書の最初のエッセイにはこんなことが書かれている。 ドナ・ウィリアムズ『自閉症だったわたしへ』(新潮文庫) を読んだ

『音楽嗜好症』文庫解説 by 成毛 眞 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『音楽嗜好症』文庫解説 by 成毛 眞

著者のオリヴァー・サックスは1933年生まれのニューヨーク大学医学部教授。現役の脳神経科医であり、世界的な人気作家でもある。ロバート・デ・ニーロの好演でアカデミー賞にノミネートされた映画「レナードの朝」は、著者の同名ノンフィクション作品が原作だ。「レナードの朝」では治療不能な難病「嗜眠性脳炎」の患者とその主治医が主人公だった。嗜眠性脳炎とは30年以上も眠り続

そこまできてる『1000ドルゲノム』の時代に備えよ! 新刊超速レビュー 書影

サイエンス / 医学・心理学

そこまできてる『1000ドルゲノム』の時代に備えよ! 新刊超速レビュー

分厚い本である。内容もやさしくはない。しかし、10年後には、自分の健康が気になるすべての人が理解しなければならない本だ。千ドルゲノム、我々の細胞がもっているゲノム情報。すなわち、DNAの四つの文字ACGT、その60億塩基対にもおよぶ並び方をわずか千ドルで調べることができる時代がそこまできているのだ。 内容は大きく三つに分かれている。一つは、千ドルゲノムを可能

『カウンセラーは何を見ているか』 - 常套句の罠、共感という欺瞞 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『カウンセラーは何を見ているか』 - 常套句の罠、共感という欺瞞

いわゆる業界ものというジャンルは古くから存在するわけだが、まさに玉石混交の世界である。業界内の人間から見ると、どこか通り一辺倒な言及に留まっていたり、業界外の人間から見るとチンプンカンプンだったり。また、あるあるネタとして笑い飛ばして終わりなものもあれば、業界との決別を覚悟して”立つ鳥後を濁しまくり”なものまでと幅広い。 ところが昨今、その業界に蔓延する問題

『偉人は死ぬのも楽じゃない』 書影

医学・心理学 / 世界史

『偉人は死ぬのも楽じゃない』

本書には、カエサル、コロンブス、マリー・アントワネット、アインシュタインといった、歴史にその名を刻む19人の偉人たちが登場する。しかし本書がスポットを当てているのは、その武勇でも、才能でも、豪勢な暮らしでも、壮絶な運命でもない。書かれているのは、偉人たちが具体的にどのように死んだのか、という死に際の物語だ。それが1人物につき1章で、大体10ページくらいでまと

『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』人を育てるということ 書影

サイエンス / 医学・心理学

『ぼくは数式で宇宙の美しさを伝えたい』人を育てるということ

本書は子を持つすべての親と、教育者にこそ読んでほしい物語である。主人公はジャイコブ・バーネット、この5月に16歳になるアメリカ人の少年だ。ジェイコブ君はただの少年ではない。9歳で大学に入学し、専門は数学と宇宙論。IQは170を超えるという。いわゆる天才少年なのだ。 しかし、このジェイコブ君は何万人に1人の割合で生まれるといわれる、いわゆる知的早熟児ではない。

『寄生虫なき病』 - 黒の過剰か、白の不足か 書影

サイエンス / 医学・心理学

『寄生虫なき病』 - 黒の過剰か、白の不足か

花粉症、喘息、アレルギー、自己免疫疾患、現代に生きる我々を脅かす数々の病。これらを解決する鍵は寄生虫にあった!しかもその原因は、特定の寄生虫の「存在」が引き起こしているのではなく、「不在」によって引き起こされていたのだという。 表紙のアメリカ鉤虫のカバー写真に首根っこをつかまれ、膨大な資料に基づいた「寄生虫視点による世界史」の筆致に目を見開かされ、最後はアメ

究極の私ノンフィクション『セラピスト』 書影

医学・心理学 / 人物

究極の私ノンフィクション『セラピスト』

最相葉月 さん、やっぱりうまい。いまさらながら感じ入った。『 絶対音感 』以来、大ファンなのである。こういうのは言い続けているといいことがある。一年半ほど前、元阪大総長である 鷲田清一 先生が最相さんと対談された時、ファンであることをご存じであった鷲田先生が、その後の食事に誘ってくださった。( 対談録はこちら:pdf ) 対談は『わが心の町 大阪君のこと』と

『家庭の科学』訳者あとがき by 三枝小夜子 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『家庭の科学』訳者あとがき by 三枝小夜子

本書は、イギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)ンピューターサイエンス学科の名誉上級研究員であるピーター・J・ベントリーの一般向けの科学書『The Undercover Scientist』を翻訳したものである。 ベントリーは、遺伝的アルゴリズム、進化的計算、人工免疫系、群知能などの複雑系の技術を、設計、制御、ロボット工学、ナノテクノロジー、

あらすじだけでも知ってほしい本がある 『種痘伝来』 書影

医学・心理学 / 民俗・風俗

あらすじだけでも知ってほしい本がある 『種痘伝来』

地味といえば地味な学術書である。はっきり言って4千円は高いし、ほとんどの人は買おうと思わないだろう。しかし、この本のあらすじは知っておいて損はない。江戸時代の知識階級のレベルがいかに高かったがよくわかる。 天然痘 は感染力が強く、致死率も高いおそるべき伝染病である。いや、その撲滅が人類によって成し遂げられた唯一の疾患なのだから、『であった』が正しいのかもしれ

『人間と動物の病気を一緒にみる』 - 人間の未知、動物の既知 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『人間と動物の病気を一緒にみる』 - 人間の未知、動物の既知

人間の様々な病を、獣医学という観点から眺めると、新たな道が拓かれる。獣医学者だけが知っていた、人間の病の真実。人間の未知は、動物の既知。よく見知った動物たちの知られざる素顔は、背徳感を感じるほどに面白い。 オーストラリアのコアラたちの間では、クラミジア感染症が猛威をふるっており、絶滅の危機に晒されている。タコや雄の種ウマは、人間のリストカットを彷彿させるやり

『99%ありがとう』 書影

医学・心理学 / 人物

『99%ありがとう』

著者はこの11月で34歳になったばかりの前途有望だったはずの若者である。少年時代をアメリカやスイスで過ごし、アメリカン・スクールやハワイの大学を経て、広告代理店でプランニングディレクターとして活躍していた。しかし、彼は31歳の誕生日のたった4日前、医師からALSと宣告されたのだ。 ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、感覚や知能ははっきりしたまま、次第に体じゅう

健忘症患者H・M、アメフラシ、マウス、そしてヒト 『記憶のしくみ』 書影

サイエンス / 医学・心理学

健忘症患者H・M、アメフラシ、マウス、そしてヒト 『記憶のしくみ』

読み応えのある本だ。 新書版で上下 600 ページ近く。それもやさしい本ではない。しかし、『科学を楽しみ、神経系がどのようにして学習し、記憶するかについての驚くべき新発見に興味を持つ一般読者』を想定して書かれたというこの本のもくろみは十分に達成されている。 専門用語がたくさん出てくるので、本屋さんでこの本をぱらぱらっと見たら、それだけで尻込みしてしまうかもし

『その科学があなたを変える』を ”ちゃうんちゃうか精神” で読んでみた 書影

サイエンス / 医学・心理学

『その科学があなたを変える』を ”ちゃうんちゃうか精神” で読んでみた

好むと好まざるとにかかわらず、職業はその人の考え方に大きな影響をおよぼすものだ。私が生業とする科学者とて例外ではない。 まず、科学者は考え方が厳密である。悪いことではないが、一般の人から見ると、融通が利かない感があるに違いない。しかし、この厳密性のイメージがあるからこそ『科学』という名がタイトルにつけば、その本に正しそうな雰囲気をもたらしてくれる。 もうひと

バイオエレクトロニクス――現実化する攻殻機動隊ワールド 書影

サイエンス / 医学・心理学

バイオエレクトロニクス――現実化する攻殻機動隊ワールド

みなさま、正月三が日も終わろうとしておりますけれど、今年もサイエンス通信をどうぞよろしくお願い申し上げます。 できるだけ幅広い分野から話題を選びたいと思っているのですが、あらためてそういう目で眺めてみると、『ニューヨーカー』のサイエンス記事って、バイオ&メディカルな話題が強いですねぇ。数学や物理学の記事は、それに比べるとガクンと少なくなります。まあ、それも当

人生を一変させる新しい古典『嫌われる勇気』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

人生を一変させる新しい古典『嫌われる勇気』

アルフレッド・アドラーという人物を知っているだろうか?私はこの本を読むまでまったく知らなかった。どうやらフロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称されている人物らしい。個人心理学(アドラー心理学)というものを創始した人だという。ただフロイトやユングに比べるとアドラーというのはマイナーな感が否めない。試しにグーグルで検索をしてみたらアドラーが約27万件に対

『お酒が減らせる練習帳』 人に迷惑をかけてしまうあなたに 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『お酒が減らせる練習帳』 人に迷惑をかけてしまうあなたに

先日、ある私的な席でご迷惑をかけた知人にお詫びをしようと酒席を設けた。 もちろん、支払いはこちらが持つ前提だが、待ち合わせの前から日本酒をがばがば呑んでいたら、ぐでんぐでんになってしまい、記憶が無くなり、気づいたら家の寝室の天井を眺めている自分がいた。翌日知ったが、おごるどころかお金を一切払わず仕舞い。「おわびします」と呼び出しておきながら、おごらせる。鶯谷

『ココロの盲点』新刊超速レビュー 書影

医学・心理学 / 新刊超速レビュー

『ココロの盲点』新刊超速レビュー

認知心理学や行動経済学といったジャンルの本が好きで、書店でみかけるとつい買ってしまう。『経済は感情で動く』、『世界は感情で動く』、『予想通りに不合理』、『ずる』(村上のレビューは こちら )、『ファスト&スロー』(山本のレビューは こちら )、『ダニエル・カーネマン心理と経済を語る』、『ヤル気の科学』。ぱっと思いつくだけでも、これだけの本を過去に購入している

ミート・パラドックス――肉食の心理学 書影

サイエンス / 医学・心理学

ミート・パラドックス――肉食の心理学

信頼できる筋によれば、現在HONZ内部で、なんと、昆虫食プロジェクトが進行中とのことです! このところ何かと話題の昆虫食に、新機軸を打ち出そうという意欲的なプロジェクトだとか。 昆虫食は、深い問題にわたしたちをいざないます。わたしたちは何を食べ、何を食べないのか--。 食をめぐる状況には、実にたくさんの要素が複雑に絡み合っていて、考えれば考えるほど、問題は果

『病んだ部下とのつきあい方 精神科が教える上司の心得』 書影

医学・心理学 / ビジネス

『病んだ部下とのつきあい方 精神科が教える上司の心得』

先日、古い友人と食事をしていて仕事の話になった。彼女は、ある地方自治体で親子支援の関係部署で働いている。苦労の末に資格も取り、優しい物腰やきちんとした対応で、組織の中からも相談される父兄からも信頼され頼りにされている。 しかし、その日打ち明けられた部下との確執は深刻だった。自分勝手では片づけられない支援者への態度、情報を捻じ曲げて報告し現場を混乱させ、友人を

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医学・心理学 / アート・スポーツ

命の支え『生きていく絵』

今から30年前、都内郊外の精神病院の保護室にマリアの絵を描く患者がいたそうだ。 保護室とは、東京足立病院の閉鎖病棟は最奥に位置し、簡単な台座と布団だけが置かれ、コンクリートの床に穴が空いただけの便器が備え付けられている構造だった。実際に入った患者によると、当時この場所を「牢獄よりもひどい」と伝えていた。保護室という鉄格子の威圧感がもつ物理的かつ象徴的な閉鎖性

『糖尿病とウジ虫治療』 新刊超速レビュー 書影

医学・心理学 / 生物・自然

『糖尿病とウジ虫治療』 新刊超速レビュー

いまや国民の6人に1人がかかるとも、40代以上の3人に1人がかかるとも言われている糖尿病。この病気の恐ろしさは、それ自体というより、血管の内皮機能が障害されて起こるさまざまな合併症にある。足の傷から潰瘍になり、感染を起こして下肢切断を余儀なくされることも多いのだ。 今、それらの潰瘍を全く意外な切り口、かつ単純なやり方で治癒する方法に注目が集まっている。それは

『おっぱいの科学』にクラクラっ… 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『おっぱいの科学』にクラクラっ…

HONZメルマガ が熱い。編集長が月替わりから栗下直也専任になって、面白さが激増である。その栗下に『「今月読む本」に『おっぱいの科学』、直近のレビューが『生理用品の社会史』です。「どこに行くんだ!大先生」って感じです。』と 誉められた 。けど、どっこも行きません。毎日、ちゃんと大学に来て仕事してますから。 『いずれの本も密かに私が狙っていたからです。ディスプ

『アノスミア』 - 失われた”匂い”を求めて 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『アノスミア』 - 失われた”匂い”を求めて

アノスミアとは嗅覚脱失の症状を指し、匂いを感じる能力がないことを意味する。かつてシェフを目指していた著者も、交通事故をきっかけに嗅覚を失ってしまった経験を持つ人物だ。本書は、その喪失から回復までの日々を、当事者としての立場から綴った一冊である。 嗅覚は身体の中で最も直接的な感覚であるという。どんな匂いもはじまりは一個の分子に過ぎず、体内に入り込まなければ始ま

『行ってもイイ精神科、ダメな精神科』ETV特集「トラウマからの解放」も併せておススメ! 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『行ってもイイ精神科、ダメな精神科』ETV特集「トラウマからの解放」も併せておススメ!

うつのプロともいえる、現在60代の女性が都内23軒の精神科を尋ねたルポだ。著者は大学の演劇科を卒業した20代から今日までアングラ女優。新宿ゴールデン街でバーを経営している。40代に大学の心理学科を卒業し、精神保健福祉士の資格も取得して、精神科クリニックに長く勤務していた経験もある。2回の離婚で幼児期と思春期に辛い思いをさせた娘さんへの悔恨もあり、若いころには

『職業治験』治験だけで生活をするプロの生態 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『職業治験』治験だけで生活をするプロの生態

この本は治験だけで生活をする男の体験記である。初めての治験から、プロ治験者の第一人者「教授」との出会い、「教授」を介した裏ルートでの治験、海外での治験、プロ治験者の末路など、著者が経験した出来事をまとめた本だ。これがとてもおもしろく最後まで一気に読んでしまった。治験というある種グレーな世界が、こんな風になっているとは……という驚きとともに、きっと治験の世界に

『医師は最善を尽くしているか』何が改善に繋がるのか 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『医師は最善を尽くしているか』何が改善に繋がるのか

アフガニスタン・イラク戦争。治安は未だ改善せず相変わらず散々たる状況であるが、医療の面では歴史的とも言える偉業が成し遂げられている。戦闘で負傷した兵士の死亡率が、これまでの実例と比べて大幅に改善しているのだ。第二次世界大戦が30%、朝鮮戦争は25%、ベトナム戦争は24%、湾岸戦争は24%の兵士が死亡しているなか、今回はたったの10%である。 朝鮮戦争以降、半

『岐路に立つ精神医学』 明日はどうなる? 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『岐路に立つ精神医学』 明日はどうなる?

もう30年以上も前の話。医学生として、精神科の講義をうけていた。テーマは精神分裂病、いまでいう統合失調症である。先生の話す内容が支離滅裂でまったくわからない。いつもは階段教室の中腹に座るのを常にしていたのであるが、その日は最後列・出入り口近くのアホ捨て山(© 久坂部羊)に陣取っていた。 隣の席にいた年かさの同級生に、まったくわからん、と話しかけたら、物知り顔

混迷するライム病論争 書影

サイエンス / 医学・心理学

混迷するライム病論争

近年、日本でもマダニ媒介感染症が急速に認知されるようになってきました。たとえば、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、2011年にウィルスが特定された病気ですが、今年1月に、日本国内で初めて患者が確認された後、これまでに患者三十九人見つかり、そのうち十六人が死亡しています。現在、マダニがこのウイルス(SFTSウイルス)を持っているかどうかが実地調査されてお

『社会心理学講義』by 出口 治明 書影

医学・心理学 / HONZ客員レビュー

『社会心理学講義』by 出口 治明

ど真ん中の直球を投げられた。これはもう振り切るしかないと念じて、必死でバットを振り抜いた。どうにか当たることは当たったのだが、想像を絶するほどの、とてつもなく重いボールだった。例えてみれば、こんな感じだろうか。 冒頭から著者の挑戦状が、読者に叩きつけられる。本書は、社会心理学を俯瞰する教科書ではない、と。人間をどう捉えるか、願いはそれだけだ、と。生物や社会を

奇人変人大好き。『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』 書影

医学・心理学 / プレミアム・レビュー

奇人変人大好き。『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』

「やっと、文庫化だよ」 「これは一気読みでした」 「ロンドンにあるハンターの博物館、行ってみたいんだよね」 「原題って、the knife manなんだ。迫力あるなあ」 好き勝手なことを口々にHONZメンバーがつぶやき合ったのは、2013年の8月7日、午前8時25分。早朝7時から9時まで、自分の読みたいお勧め本を持ち寄り、語り合う 「朝会」 でのことだ。 単

『代替医療解剖』文庫版訳者あとがき by 青木薫 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『代替医療解剖』文庫版訳者あとがき by 青木薫

本稿は、2013年8月に文庫化された『代替医療解剖』の訳者あとがきです。2010年1月に刊行された単行本『代替医療のトリック』の翻訳者あとがきは こちらから (※編集部) この文庫版のための訳者あとがきでは、本書の単行本が刊行されてからこれまでに起こった代替医療関係の出来事のうち、とくに興味深いと思われるものを2つほど取り上げてご紹介したい。 まず1つ目は、

『代替医療のトリック』訳者あとがき by 青木薫 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『代替医療のトリック』訳者あとがき by 青木薫

今日、代替医療――すなわち、現代の科学によっては理解できないメカニズムで効果を現すと考えられる治療法で、科学者や多くの医師が受け入れていないもの――は、全世界で数兆円規模の市場に成長しているといわれる。しかし、はたして代替医療には、宣伝されているような効果があるのだろうか? お金を費やし、かけがえのない健康を託すに値するものなのだろうか? 本書は、さまざまな

ピューリッツァー賞受賞作『病の皇帝「がん」に挑む』 本邦サイエンスノンフィクションの興廃この一冊にあり 書影

サイエンス / 医学・心理学

ピューリッツァー賞受賞作『病の皇帝「がん」に挑む』 本邦サイエンスノンフィクションの興廃この一冊にあり

その存在は古代エジプトの世から知られていた。存在が知られる前からも、多くの人の命がそれによって奪われていたはずだ。ずっと名前はなかったが、ギリシア時代になってようやく、あの医聖ヒポクラテスによってつけられた。しかし、人々はその本質を見誤っていた。ありもしない『体液』の異常によるものであると思い込まされていたのだ。その実体が、細胞の異常な増殖による、と正しく理

アルツハイマー先制治療――あなたならどうする。 書影

サイエンス / 医学・心理学

アルツハイマー先制治療――あなたならどうする。

『ニューヨーカー』誌で、メディカル&生物学分野のスタッフライターを務めている、ハーバード大学医学部教授のジェローム・グループマンが、アルツハイマー治療の最前線について読みごたえのあるレポートを書いていましたので、ざっくりかいつまんでご紹介いたします。 アルツハイマー病をめぐる状況を考える上で押さえておくべきは、今後、アルツハイマーの人たちのケアが、大きな社会

『エイズの起源』 注射・売春・ハイチ 書影

医学・心理学 / 生物・自然

『エイズの起源』 注射・売春・ハイチ

「この程度の傷、たいしたことではない。」 男は、心の中でつぶやいた。チンパンジー狩りには困難がつきものだ。引っ掻かれ、噛みつかれるのには慣れている。今回の狩りがこれまでと違っていたのは、狩りの最中に負った傷にチンパンジーの返り血を浴びたことくらい。 「いつものことだ。」 男は再びつぶやき、いつものように家路を急いだ。 男の思いもよらないところで、この狩りは、

『クレイジー・ライク・アメリカ』 - 心の病とグローバリゼーション 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『クレイジー・ライク・アメリカ』 - 心の病とグローバリゼーション

アメリカにルーツを持つ超国籍企業が世界中を席巻しているということは、改めて強調するような話でもないだろう。Apple、マクドナルド、Google、ハリウッド映画… 時代はまさに勝者総取りといった様相を呈している。しかしグローバル化の波が、製品やサービスのみならず、「心の在りよう」という不可視なフィールドにおいても猛威を振るっているとは思いもよらなかった。 ア