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466記事

賢人か俗物か『セネカ 哲学する政治家 ネロ帝宮廷の日々』二つの顔を持つ男 書影

人物 / 世界史

賢人か俗物か『セネカ 哲学する政治家 ネロ帝宮廷の日々』二つの顔を持つ男

『怒りについて』や『生の短さについて』などを著した古代ローマの哲学者 セネカ は二つの顔を持っていたという。 ストア派 に属し簡素な生き方と節度、理性を求める哲学者の顔。もうひとつは皇帝 ネロ に仕えた政治家としての顔。著作の中で簡素な生き方を推奨しながら、一方で現実のセネカはローマでも一、二を争う資産家であり、植民地に高利で金を貸し、暴利を貪る金貸しでもあ

『昭和芸人 七人の最期』舞台が終わっても、人生は続く 書影

人物 / 新刊超速レビュー

『昭和芸人 七人の最期』舞台が終わっても、人生は続く

登った山が高ければ高いほど、下るのは大変だ。一世を風靡した芸人たちにとっても、栄光が去った後の人生は長い。 喜劇王として歴史に名を残したエノケンこと榎本健一。人気に陰りが出た頃、病気で片足を失い、芸風であった軽やかな動きが舞台では見られなくなる。「同情されたらおしまい」とぼやき続けた彼だが、晩年のエノケンに向けられたのは笑いでなく憐憫だった。 エノケンをライ

『チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力』あの有名人が書いたチャーチル論! 書影

人物 / 世界史

『チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力』あの有名人が書いたチャーチル論!

毎年数冊はチャーチル関連の本が発売されている。私自身、以前にもHONZでチャーチルを題材にした本を レビュー している。チャーチルという政治家には、やはりそれほど魅力があるのだろう。個人的なことを言えば、劣等生であった少年が大学教育も受けずに、政治家として大成し、第二次世界大戦で世界の趨勢を決定するほどの大きな仕事を成しとげたという点に、とてつもない魅力を感

やりたいからやる『これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得』 書影

教養・雑学 / 人物

やりたいからやる『これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得』

本書は16人の在野研究者の生き様 を紹介するというシンプルな構成だ。謎の同人ウェブメディア「En-Soph(エン–ソフ)」での連載シリーズ「在野研究のススメ」を、再構成しまとめたもので、すべての章は読み切りだ。 論文の数や掲載誌のインパクトを追求する一般的な研究者とは異なり、我が道、我が学問を行く在野研究者たち。制度や固定観念に囚われることのない、彼らの研究

科学すること、あるいは科学者であること──『右脳と左脳を見つけた男 - 認知神経科学の父、脳と人生を語る』 書影

サイエンス / 人物

科学すること、あるいは科学者であること──『右脳と左脳を見つけた男 - 認知神経科学の父、脳と人生を語る』

著者であるマイケル・S・ガザニガは書名にも入っているように認知神経科学を創りあげた(名付けた)人間である。てんかん発作を抑えるため当時まれに行われていた右半球と左半球をつなぐ脳梁を切断した患者を対象にした実験で、右脳と左脳がそれぞれ役割を分担しながら別個に働く現象を観察し、以後分離脳研究を中心として驚くべき実験成果を次々と生み出してきた。 本書はそんな輝かし

『古代東アジアの女帝』 書影

人物 / 世界史

『古代東アジアの女帝』

本書の冒頭で、80歳を超えた著者は、高らかにかつこの上なく明晰に述べる。「これまで女帝は中継ぎの存在にすぎない、あるいは巫女的な役割であったなどその存在を矮小化されてきた。しかし、それは古代社会を男性中心に考える歴史観の偏見にすぎないのではないだろうか。時系列に従って箇条書き的に事柄を並べる正史の底流を繋いでいくと、逆に、伝統に依存した男性支配の政治の停滞と

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』恋も仕事も、わがまま上等 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』恋も仕事も、わがまま上等

アナキスト大杉栄のパートナーで、関東大震災後に大杉とともに虐殺された伊藤野枝の評伝だ。 過激なタイトルだが、ページをめくって腰を抜かす。いきなり「あの淫乱女!淫乱女!」と太字で書いてある。岩波書店が心配になるほど、冒頭から衝撃的だ。 野枝は福岡県の地元ではいまだに逆賊扱いで、十数年前にテレビ局の取材を案内した人によると、同年代の存命のおばあさんが「地元の恥を

『帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略』 ペンタゴンのヨーダと呼ばれた男 書影

人物 / 世界史

『帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦略』 ペンタゴンのヨーダと呼ばれた男

常に裏舞台で働くことを好み、自己宣伝や世間からの注目を極端に嫌ったアンドリュー・マーシャルの名を知る者は少ない。しかし、「ペンタゴンのヨーダ」と呼ばれ40年以上にわたって政府高官としてアメリカの安全保障に貢献してきたこの男の明晰な頭脳から生み出せされた戦略からは、誰もが無縁ではいられない。マーシャルは、冷戦中のソ連がCIAの推計よりもずっと多くの軍事負担に苦

新入社員に贈りたい一冊『無敵の仕事術』 書影

人物 / ビジネス

新入社員に贈りたい一冊『無敵の仕事術』

「少なからず世の中にインパクトを与えたい」「真のエリートやリーダーになりたい」そう熱い思いをもってビジネスの門を叩く若者は多い。ただ、 思い描いていたような仕事をするためには どのボタンを押せばいいのかは 分かりづらく、苦労しがちである。 大きな組織に入ればなおさらだ。国や企業はまるで走行する巨大機関車のようで、歯車にはなれども自分で思いどおりに動かすことは

人間らしさあふれる伝記 『ムハンマド─世界を変えた預言者の生涯』 書影

人物 / 世界史

人間らしさあふれる伝記 『ムハンマド─世界を変えた預言者の生涯』

ムハンマド、あまりに人間らしさにあふれているではないか。といえば、不謹慎になるのだろうか。抜群に面白い伝記であった。イスラームの開祖、より正しくは、アラブにおける唯一神アッラーの言葉をつたえた預言者ムハンマドの伝記である。その啓示は、クルアーン(コーラン)としてムハンマドの死後20年たって公式に編纂され、聖典となった。いかにたくさんの人が、クルアーンの朗読に

『天皇陛下の私生活 1945年の昭和天皇』知られざる天皇皇后の姿 書影

人物 / 日本史

『天皇陛下の私生活 1945年の昭和天皇』知られざる天皇皇后の姿

昭和20年1月1日早朝、昭和天皇は皇居の御文庫内の寝室で目を覚ました。起床を知らせるベルを鳴らすと女官や侍従がにわかに動き出す。ここは昭和17年、吹上御所に建てられた鉄筋コンクリートの防空建築で、戦争が始まってからは事実上の住まいとして使用されていた。 太平洋戦争の終結、その後進駐軍を迎えたこの年、天皇と皇后はどのように暮らしていたのか。本書はそれを側近や家

『アメリカの真の支配者 コーク一族』 石油から思想までを操る華麗過ぎる一族 書影

人物 / 社会

『アメリカの真の支配者 コーク一族』 石油から思想までを操る華麗過ぎる一族

世界最強国家アメリカで、最も影響力を持つのはどの一族だろう。20数年間で2人の大統領を輩出し、さらに3人目の大統領候補を送り出そうとしているブッシュ家だろうか。世界最大の石油企業スタンダード・オイルに始まり、金融や軍事関連企業を次々と傘下におさめ、政界にも強いコネクションを持つ ロックフェラー家 だろうか。 夫婦で大統領となる可能性の出てきたクリントン家や世

『道程 オリヴァー・サックス自伝』 書影

サイエンス / 人物

『道程 オリヴァー・サックス自伝』

「オリヴァー・サックスの自伝をやらないか」というお話をいただいたとき、もちろん「ぜひぜひ」 と二つ返事でお受けした。 サックスの著書をこれまで三作翻訳してきたこともあるが、ネット上で見ていた原書のカバー表紙に興味津々だったからでもある。 短髪のイケメンが革ジャンを着てさっそうとバイクにまたがっている。えっ、これがサックス先生?

『わが記憶、わが記録 堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』 書影

人物 / HONZ客員レビュー

『わが記憶、わが記録 堤清二×辻井喬オーラルヒストリー』

20年近く前、『 インタヴューズ 』(文藝春秋)という本を読んだことがある。マルクスからジョン・レノンまで84人のインタビューを集めたものだが、巨星の肉声がこれほどまでに面白いとは、と瞠目した記憶がある。本書は、堤清二×辻井喬という先見性に溢れた稀有な人物の29時間に及ぶロングインタビューを纏めたものである。しかもインタビュアーが3人の気鋭の学者であって、絶

『ザ・カジノ・シティ』ラスベガスの風雲児 書影

人物 / 民俗・風俗

『ザ・カジノ・シティ』ラスベガスの風雲児

世界有数のエンターテイメントの街、ラスベガス。100年前にはたった数十人しか住民のいない小さな町だったが、今では毎年4,000万人以上もの観光客数が訪れ、沖縄の約6倍もの集客力を誇る世界有数の観光リゾートだ。しかも温暖な気候・海・歴史など豊富な観光資源に恵まれた沖縄とは違い、あたり一面砂漠しかない枯れ地に位置するラスベガスは、カジノとエンターテイメントだけで

『生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』サイショー先生が東工大にやってきた! 書影

サイエンス / 医学・心理学

『生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』サイショー先生が東工大にやってきた!

『絶対音感』、『セラピスト』、『星新一』など多彩なテーマの著作で知られる最相葉月さんが、東工大にて非常勤講師として前期の4ヶ月間行った講義の記録である。この講義は池上彰さんの誘いによって実現したそうだ。東工大生、色々とうらやましすぎる。 「生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか」というタイトルから、最相さんが毎回どのように著作のテーマを選ぶかを話すのかと予想する人

『私のインタヴュー』「女優の私」から「個人の私」へ 書影

教養・雑学 / 人物

『私のインタヴュー』「女優の私」から「個人の私」へ

高峰秀子という大女優が市井の人々に対して抱いた恐れと羨望の気持ちを、本書はとても繊細に表している。 本書が最初に出版されたのは、1958年である。その後、2012年に新潮社より復刊され、今回文庫として再登場した。高峰秀子にとって、『巴里ひとりある記』と『まいまいつぶろ』に続く三冊目となる。今まで自分という人間に焦点を当てることを避けていた彼女が、いきなり堰を

『灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡』 新たな科学が新たな技術を、新たな技術が新たな社会をもたらした 書影

サイエンス / 人物

『灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡』 新たな科学が新たな技術を、新たな技術が新たな社会をもたらした

19世紀初頭の海は、現代のそれとは比べものにならないほど危険だった。当時のヨーロッパ諸国では海難事故の追跡調査が行われておらず、どれほどの人が犠牲になったかを正確に知ることはできないが、事故が日常茶飯事であったことは間違いない。イギリスの保険会社の帳簿によると、1816年だけで362隻が“海難”か“消息不明”と記されているほどなのである。 海難事故の原因の多

苛烈な暴君か、有能な君主か 『人間・始皇帝』 書影

人物 / 世界史

苛烈な暴君か、有能な君主か 『人間・始皇帝』

2015年10月27日(火)から2016年2月21日(日)まで東京国立博物館にて 特別展「始皇帝と大兵馬俑」 が開催される。1974年、3月始皇帝陵の東1.5キロの地点で偶然に兵馬俑坑が発見された。兵馬俑の「俑」とは人間や軍馬の姿をありのままに写し取り、墓に埋めたひとがたをいう。2200年前の兵士と馬の姿が等身大で目の前に現れたのだ。その数は8000体にも上

祝!ノーベル医学生理学賞『大村智 - 2億人を病魔から守った化学者』 書影

サイエンス / 医学・心理学

祝!ノーベル医学生理学賞『大村智 - 2億人を病魔から守った化学者』

大村智先生、ノーベル医学生理学賞ご受賞、まことにおめでとうございます! この本、3年前の出版当時、HONZデビューでとりあげた思い出の本だ。全面改訂にしようかと思って、本をもう一度読んでみたのだけれど、書き加えるとすると、すでに受賞報道で聞いたようなことになりそうだ。それならば、初読の時の驚きを伝えたほうがよかろう。ということで、メインの本文にあまり手を入れ

神の眼をもつ男の半生『わたしの土地から大地へ』 書影

アート・スポーツ / 人物

神の眼をもつ男の半生『わたしの土地から大地へ』

「神の眼」を持つといわれ、今世紀最も偉大な写真家と称される男がいる、セバスチャン・サルガドだ。ブラジル金鉱で働く男たち、爆発しつづけるクウェートの油田を消火する消防士、悲壮感漂うルワンダの難民たち、数百万羽ものペンギンたちの群れなど、その圧倒的なインパクトで人々の魂を揺さぶり、観るものを非日常へとつれ去ってしまう彼の写真。セバスチャン・サルガドの場合、写真と

『ありのままの私』何が息苦しさを生み出すのか? 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『ありのままの私』何が息苦しさを生み出すのか?

2014年の流行語に「ありのままで」が選ばれたことは記憶にあたらしい。それは現代社会が「ありのままでは生きづらい」ことの裏返しとも言えるだろう。本書は、東京大学東洋文化研究所の教授が、“男性装”をやめ、“女性装”を始めたことで、50代になってようやく「ありのままの自分」を見つけた、その過程と考察がまとめられている一冊である。 いわゆる“トランスジェンダー”(

『カワサキ・キッド』 東山紀之の「少年」以前と少年以後 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『カワサキ・キッド』 東山紀之の「少年」以前と少年以後

本書は「週刊朝日」2009年1月2・9日号から2010年4月16日号に連載されていた自伝的エッセイである。連載開始当初から「アイドルが赤裸々に思いを語る」と評判だった。当時どれどれと読んでみたら、あまりの面白さに驚いたのを覚えている。 バラエティ番組や情報番組などで何度か東山さんに会ったことはある。その印象はとにかくクール、パーフェクト、さわやか。立ち居振る

『気仙沼ニッティング物語 いいものを編む会社』 書影

人物 / ビジネス

『気仙沼ニッティング物語 いいものを編む会社』

100年続く会社を作ること。100年続く老舗をめざすこと。100年続く事業を育てること。本書には100年という言葉が何回も出てくる。学ぶべき先輩企業は創業180年目を迎えようとしているエルメスや、室町時代からつづく和菓子の虎屋だという。この気宇壮大な目標を持つ会社の名前こそ、本書のタイトルにもなっている「 気仙沼ニッティング 」である。 ニッティングの広義は

『数学の大統一に挑む』こんな私でも数学を好きになれますか? 書影

サイエンス / 人物

『数学の大統一に挑む』こんな私でも数学を好きになれますか?

「数学なんて勉強する人たちは、いったい何者なのだろう。」ノンフィクションの中でも、私が挫折した本数ナンバーワンは数学本である。目に見えない概念にめっぽう弱いため、数式に拒否反応が出てしまう。しかし、私のこの意見に「同感!」と思った人にこそ、是非とも読んでもらいたい一冊だ。 著者であるエドワード・フレンケル氏が数学者として自分を見出したのは、石油ガス研究所(日

『チャップリンとヒトラー』イメージ大戦 書影

アート・スポーツ / 人物

『チャップリンとヒトラー』イメージ大戦

本書は史実を丹念に追いながら、チャップリンとヒトラーのメディア戦争の実相を暴く一冊だ。 同時に、それはネット社会の現代を生きる私たちにとって非常に切実な課題を突き付ける。 はたして、迫り来る全体主義の恐怖の中で「笑い」という武器しか持たないチャップリンはいかにして悪夢の独裁者と闘ったのか。 「喜劇王」と呼ばれるチャールズ・チャップリンは1889年4月16日に

『重力との対話』by 出口 治明 書影

人物 / HONZ客員レビュー

『重力との対話』by 出口 治明

初めて山海塾の舞踏を観たのは、何年前になるだろうか。あれほどいやでも凝視せざるを得なかった濃密な舞台は、67年の人生の中でも数えるほどしか観た覚えがない。その山海塾の主宰者、天児牛大の半生記が初めて出たと聞けば、これはもう読むしかないではないか。そういえば、東京都現代美術館で6月28日まで開かれていた素晴らしい展覧会、「 山口小夜子 未来を着る人 」にも、山

『夢へ翔けて』 踊ることは生きること 書影

アート・スポーツ / 人物

『夢へ翔けて』 踊ることは生きること

1995年、西アフリカのシェラレオネ生まれのミケーラという少女は、優しい両親のもとに生まれたたったひとりの子どもだ。生まれつき白斑病という皮膚がまだらになってしまう病気を持っていたため、家族以外からは愛されず小さいころから孤独であった。 シェラレオネでは、男は親に言われるまま何人も妻を持ち、女や子供は殴って躾けるという風習がある。しかしそれに逆らい、恋愛結婚

勝者の記録+α 『二重螺旋 完全版』 書影

サイエンス / 人物

勝者の記録+α 『二重螺旋 完全版』

言わずもがな、DNAの構造を明らかにした、いや、より正確には、DNAの二重らせんモデルを考えついた二人のうちの一人、 ジェームズ・D・ワトソン の著書『The Double Helix』の新訳である。初版は1968年、DNAの構造発見から15年後のことで、以来、20カ国もの言葉に翻訳されている。 日本でも原著と同じ年に翻訳が出ているので、読んだことがある人も

『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』30年間も友を裏切り続けた男 書影

人物 / 世界史

『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』30年間も友を裏切り続けた男

イギリスの上流階級に生まれた二人の男にはいくつもの共通点があったという。抑圧的で、権威主義的で偏屈、そして変人である父を持ち、確執を抱えていた。幼少期は虐待に近い躾を行う、寄宿舎学校でスパルタ式の教育を受け、権威に反感を抱き、長じてはケンブリッジ大学で学ぶ。イギリス紳士らしく、人を結び付けも、隔てもする礼儀正しさを常に失わない。自信に満ちた立ち振る舞いは、い

『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』 20世紀最悪のスパイは友情を武器にした 書影

人物 / 社会

『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』 20世紀最悪のスパイは友情を武器にした

キム・フィルビーはすべてを手にしていた。英国上流階級出身、ケンブリッジ大学卒業、愛する妻子と多くの気が置けない友人。仕事においても、上流階級出身の特別なコネクションを持つ者だけが所属できる英国スパイ組織MI6の出世の階段を誰よりも早く駆け上っていたのだから、足りないものを探すほうが難しい。1940年に28歳でMI6入りした彼は、イスタンブール勤務などを経て、

『ナポレオンに背いた「黒い将軍」』革命に咲いた黒い薔薇 書影

人物 / 世界史

『ナポレオンに背いた「黒い将軍」』革命に咲いた黒い薔薇

18世紀、有色人種とりわけ黒人がその肌の色のみで差別され、奴隷として働かされていた時代に、ヨーロッパで一兵卒から将軍にまで上り詰めた有色人の男がいた。180センチを超える体躯(当時としてはかなり大きい)とハンサムな容貌の持ち主であったという。そして、その美しい肉体の中には常人では及ぶことの出来ない勇敢さと情熱を、また公正で高潔な精神を宿していた。男は自らを

『ローラ・ブッシュ自伝 脚光の舞台裏』 アメリカでもっとも愛されたファーストレディ 書影

人物 / 社会

『ローラ・ブッシュ自伝 脚光の舞台裏』 アメリカでもっとも愛されたファーストレディ

500ページ二段組み。ひさびさにガッツリ読み応えのある自伝である。2001年から8年間、第43代アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュと共に歩んだファーストレディ、ローラ・ブッシュ。原題は『 Spoken from the Heart 』。直訳すれば「心の中を正直に吐露する」とでもなろうか。堅実な人柄から「アメリカでもっとも愛されたファーストレディ」と評される

『メディア・モンスター』黒川紀章、この微妙な人物の絶妙な人生 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『メディア・モンスター』黒川紀章、この微妙な人物の絶妙な人生

黒川紀章という建築家には、過小な評価と過剰な評価が共存する。ある特定の世代には、2007年の都知事選へ出馬した際の泡沫ぶりが印象深いことだろう。またある世代においては、日本初の建築運動「メタボリズム」を颯爽と牽引した先進性が記憶に残っているかもしれない。いずれにしても彼には、毀誉褒貶という言葉がよく似合う。 だが彼が打ち出した「共生」という概念を今一度振り返

『後白河天皇』by 出口治明 書影

人物 / 日本史

『後白河天皇』by 出口治明

本書は、定評のある「ミネルヴァ日本評伝選」の1冊である。わが国で武家政権が成立する前夜、源平が相争う激動の時代に君臨した後白河天皇、稀代の暗君か謀略の策士か、評価の分れる「日本第一の大天狗」の生涯を描いた力作だ。 即位の可能性が低かった青少年時代、後白河は今様(流行歌)に狂う。陰謀の中、即位した後白河は、実兄の崇徳上皇と争う保元の乱に見舞われる。「保元の乱の

『天才を生んだ孤独な少年期』つながりの過剰は愚民社会の到来を招くか? 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『天才を生んだ孤独な少年期』つながりの過剰は愚民社会の到来を招くか?

天才とは何たるかがよく分かる一冊。が、それゆえに自分が天才でないことにも気付いてしまうという残酷な一面を持つ。 本書に登場するのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アイザック・ニュートン、トーマス・エジソン、夏目漱石、アルベルト・アインシュタイン、そしてスティーブ・ジョブズ。時代も分野も異なる、これらの天才たちには、ある共通点があった。 それは、いずれも孤独な少年

『たった一人の熱狂』トークライブアプリ「755」から生まれた幻冬舎社長、見城徹「魂の言葉」集 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『たった一人の熱狂』トークライブアプリ「755」から生まれた幻冬舎社長、見城徹「魂の言葉」集

私とサイバーエージェントの藤田社長でスタートした 755 という公開トークライブアプリ・サービス。まさか幻冬舎の社長である見城さんが始めてくれるとは思いもよらなかった。実はそれには伏線があった。 LINE社長の森川さんが見城さんに自ら3時間かけてLINEの使用方法をレクチャーしてくれたおかげで、未だにガラケーユーザーだと思い込んでいた見城さんはLINEのヘビ