ノンフィクションはこれを読め!

おすすめ本レビュー

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サバイバル現代『図解!! 生き残るためのやりかた大百科』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

サバイバル現代『図解!! 生き残るためのやりかた大百科』

真面目な本の紹介ばかりをしていると、たまにシュールな図版ものを挟みたくなってしまう。前書は2011年に発売された『図解!! やりかた大百科』。この本はさまざまな「やりかた」をイラスト付きで紹介している。たとえばテーブルの下で足でいちゃつくには、やぎの乳の搾り方など私にとってシュールな内容たっぷりの本であった。今回紹介するスピンオフ版は、生き残る事に特化した『

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世界史 / おすすめ本レビュー

『ネアンデルタール人 奇跡の再発見』 発見の歴史はさらに続く!

ネアンデルタール人 奇跡の再発見 (朝日選書) 19世紀半ば、イギリスから始まった産業革命はヨーロッパ全体に広まっていた。ドイツも工業化の波が押し寄せ、資源の獲得と製品までの工程が洗練され改良されていった。 1856年、デュッセルドルフから東へ約13キロにあるネアンデル渓谷(タール)は、石灰岩の採掘が盛んに成されていた。その一角、小フェルトホッファー洞窟で、

「九州国」の列車で行こう! 『幸福な食堂車』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

「九州国」の列車で行こう! 『幸福な食堂車』

「食堂車」――この言葉に私はそそられた。 動く乗り物でなにかしら食べるのが好きなのだ。乗車が2時間以上となれば、必ずなにか食べねばと思う程である。なにしろ列車で駅弁を食べたりビールを飲んだりすると、なぜなのか得をした気持ちになる。 九州新幹線のデザイナー水戸岡鋭治の「気」と「志」——サブタイトルはこの通り。水戸岡さんってNHKの「プロフェッショナル」に出てた

コミュニティで創る子供たちの遊び場『KaBOOM!』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

コミュニティで創る子供たちの遊び場『KaBOOM!』

アメリカ最高のNPOがとうとうベールを脱いだ。 創業者ダレル・ハモンドは8人兄弟の下から2番目に生まれた。父親は生後1年9ヶ月でトラックの積荷を降ろしてくると出かけたきり失踪、帰ってくることはなかった。母親はいくつもの職を掛け持ちをして子どもたちを養おうとしたが、8人もの子供は負荷が大きすぎ、役所のソーシャルワーカーによって8人の子どもたちはムースハートとい

『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』および夢中で本を読むことの危険について 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』および夢中で本を読むことの危険について

昨日、 ビジネスHONZの合格者 、すなわち新しく迎える仲間へのオリエンテーションがあった。鰐部祥平さんは残念ながら都合がつかなかったが、深津晋一郎さんと田中大輔さんが参加。オリエンテーションといっても、要するに飲み会で、結局本の話題を中心に、昔からの知り合いと話しているような、実に心地よい時間が流れた。というか、成毛眞がわれわれを新しいメンバーに紹介した言

『文明と戦争』 宿命としての戦争 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『文明と戦争』 宿命としての戦争

人類200万年の「戦争の謎」のほとんどに答えを出そうとする野心的な本書は、上下巻合わせて996ページ、総重量1.2kg、翻訳者13名、そして7,560円という規格外のボリュームである。全17章から成る本書は3部構成となっており、それぞれが「戦争は人の本能か、それとも文明による発明か?」、「戦争と文明の発展はどのように相互作用したのか?」、そして「近代化は戦争

『父と息子のフィルム・クラブ』 - 大人と子供の境界線 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『父と息子のフィルム・クラブ』 - 大人と子供の境界線

たいして映画の分野に明るいわけでもない僕が、なぜこの本を手にすることになったのか?まず、その話から始めさせていただきたい。 8月8日、 記念すべき初めてのHONZ公開朝会 。あの日、何もかもが順調だった。いつも通りオーストラリアへのSkypeはつながりづらかったし、麻木 久仁子の本は大量の付箋でふっさふさだったし、鈴木 葉月も大きな袋に風呂敷と万全の重装備で

『この甲斐性なし!といわれるとツライ』日本の罵倒語 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『この甲斐性なし!といわれるとツライ』日本の罵倒語

日本語の語源を解説する書籍は書店でもよく見かけるが、本書は悪態・罵倒語に絞ってとりあげ、使用法の変遷を振り返っている。なぜその言葉が使われるようになり、使いつづけられるのか。新聞や、各種文学作品、古事記や日本書紀などの古典、国会会議録などから用例を地味に拾っている。その地味な作業と対照的に目次は過激な文言が並ぶ。罵倒語の本だから当然といえば当然だが。 目次を

『公衆トイレと人生は後ろを向いたらやり直し ソープの帝王 鈴木正雄伝』 書影

民俗・風俗 / ビジネス

『公衆トイレと人生は後ろを向いたらやり直し ソープの帝王 鈴木正雄伝』

首都圏一円に32店舗のソープランドを展開し、世界チャンピオンを3人輩出した角海老宝石ボクシングジム、角海老宝石などを所有。いまや500人を超すグループ企業となっているのが「角海老グループ」である。 これらを経営者として率いてきたのが、角海老グループの元総帥・鈴木 正雄氏。本書は、これまでに、ほとんどマスコミには登場しなかったことから「闇の帝王」「ソープランド

蛇のように賢明であれ!『蛇のファッション考』 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

蛇のように賢明であれ!『蛇のファッション考』

猫と蛇ほど様々な顔を持つ動物もいないだろう。どちらも賢く、セクシーで、時折邪悪なものの化身とされる。それゆえに不思議な魅力がある。魔性、と言ってもいいかも知れない。 だが、両者の扱いは決定的に異なる。 猫の持つ、死者を操るような魔性や、谷崎潤一郎の小説に代表されるようなエロティックな側面は、今や「可愛らしさ」に覆い隠されてしまっている。動画投稿サイトに氾濫す

『精神を切る手術 ―― 脳に分け入る科学の歴史』   脳への介入は許されるのか? 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『精神を切る手術 ―― 脳に分け入る科学の歴史』  脳への介入は許されるのか?

ヒトのDNAを用いる研究では、匿名化や厳重な保管など、サンプルの扱いに厳しい制限がかけられている。個人のゲノムが遠からず千ドルで読めるようになろうかという時代である。どのようなものを食べているかで、どのような人間であるかをあててみせる、と、『美味礼賛』のブリア=サヴァランは言ったが、それどころではない。ゲノムがわかれば、その人のいろいろなことがわかってしまう

『第三次産業革命』を支える5つの柱 書影

社会 / ビジネス

『第三次産業革命』を支える5つの柱

本書の中身のすべてが肯んじられるものではないが、一読する価値は多いにある。 このまま気候変動の危機が続き、大量破壊兵器が拡散すれば、人類が完全に絶滅する可能性がある,という測り知れない地球と人類への危機感からスタートとしている。描かれている危機感もビジョンも日常生活から想像するには巨大すぎて、圧倒される。 そもそも何度目の革命だ、突っ込みを入れたくなる方もい

歌を口ずさみながら。『たった独りの引き揚げ隊』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

歌を口ずさみながら。『たった独りの引き揚げ隊』

2009年に刊行された、飛びきりに面白いノンフィクションが文庫化された。 1975年4月、ソ連南西部マイコープ。柔道によく似たソ連の格闘技、サンボの日ソ対抗国際試合の会場にビクトル古賀はいた。古賀は、1年以上前に引退し、今回の遠征には監督として参加していたが、68kg級の選手が腰を痛め、急遽、選手として出場することになったのだ。 すでに40歳となっていた古賀

『脳には妙なクセがある』をきっかけにサイエンス本の世界にどっぷり浸かる 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『脳には妙なクセがある』をきっかけにサイエンス本の世界にどっぷり浸かる

『 記憶力を強くする 』、『 進化しすぎた脳 』などのヒット作で知られる脳研究者の 著者 による、脳科学の最新知見がこれでもかと盛り込まれたエッセイ集である。349Pの本書の巻末に参考文献として挙げられている論文の数は207にも上り、著者自ら“情報の洪水”と言っているのも頷ける。一見バラバラなトピックの寄せ集めだが、その中核にはきっちり、“脳と身体の因果関係

『バースト!』 - パラダイムを超えた、人間行動の法則 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『バースト!』 - パラダイムを超えた、人間行動の法則

一瞬、何かの間違いではないかと思った。著者が『 新ネットワーク思考 』でネットワーク社会の新たな扉を開いたバラバシであるならば、情報科学がテーマとなっていることだろう。そして翻訳者が青木 薫ならば、そこに数学や物理などの自然科学が絡んでいるはずだ。しかし本書の中身は、大半が中世十字軍の話で占められているのである。 もう少し中を見ていくと、さらに奇妙なことに気

『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』締め切りを守れないあなたへ 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』締め切りを守れないあなたへ

「9」日は眠れない。9日、19日、29日の夜、私はビール片手にうなっている。HONZのレビューを翌朝までに仕上げなければいけないからである。HONZの熱心な読者ならばご存じかもしれないが、HONZのレビューは輪番制。10日、20日、30日とゼロの付く日が私の当番日であるため、前日の夜ともなればオリンピックどころではないのである。 だが、考えてみれば、私の当番

『OUT OF AFRICA アフリカの奇跡』 書影

人物 / ビジネス

『OUT OF AFRICA アフリカの奇跡』

アフリカで大草原を見たら、どんな気持ちになるのだろう。 視界一杯に広がるサバンナと、悠然と歩く4頭のキリンの親子。当たり前だが、家財道具を持つでもなく、バッグをぶら下げるでもない。それを車の屋根の上から眺める27歳の佐藤さん。そのまま2時間、目が離せなくなった。 本書は、アフリカで「ケニア・ナッツ・カンパニー」を創業し、マカダミアナッツ業界で世界第5位の企業

『スパコンとは何か』1位か2位か、それが問題か? 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『スパコンとは何か』1位か2位か、それが問題か?

ブラジルのサッカーW杯代表選手、あるいは日本の柔道オリンピック代表に対し、「2番じゃダメなんでしょうか?」と面と向かって問うこと自体、ナンセンスではある。が、ことスーパーコンピューターに関しては、”発言者”の意図はさておき、この質問が一般人のみならず、専門家、国策を担う政治家・官僚にとっても大きな一石を投じることになった。 本書の著者・ 金田康正 氏は、計算

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教養・雑学 / ビジネス

『小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない』 食えて暮らせて、初めて仕事!

小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない 現在、日本に「職業は小説家である」と胸を張って言える人は何人ぐらいいるのだろう。あなたの身内や友だち、知り合いに小説家はいるだろうか?私のような特殊な事情(小説家の秘書だった)とか、文芸編集経験者ならともかく、出版社に勤めていても小説家の知り合いなどほとんどいない場合が多い。 では「小説家にな

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教養・雑学 / おすすめ本レビュー

「あの作家」の秘密とは?  『推理作家の家』

作家はどんな家に住んでいる? 本棚や書斎には何が並んでいる? こんなことを知りたい人に捧げられた本が、世の中には数多くある。 たとえば今回あげるこの一冊。タイトルのままに素直に作られているのだが、取り上げている顔ぶれの豪華さには驚いてしまう。ジェフリー・アーチャー、トム・クランシー、パトリシア・コーンウェル、マイクル・クライトン、ロアルド・ダール、ジェームス

『世界でもっとも強力な9のアルゴリズム』で頭を鍛える 書影

サイエンス / ビジネス

『世界でもっとも強力な9のアルゴリズム』で頭を鍛える

著者の定義によると、アルゴリズムとは「問題を解決するために必要な手順を正確に規定したレシピ」である。コンピュータ・サイエンスを専門とする大学教授の手による本書は、現在当たり前のように使われている偉大なコンピュータ・アルゴリズムがなぜ必要とされたのか、どのように考え出されたか、そして、それが実際にどのような仕組みで動いているのかを教えてくれる。 このように紹介

『Googleがほしがるスマート脳のつくり方』 - 難問・奇問で何を見てるのか? 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『Googleがほしがるスマート脳のつくり方』 - 難問・奇問で何を見てるのか?

ネットを眺めていると、クイズやパズルに出くわすことが頻繁にある。じっくり腰を据えてやるつもりもなかったのに、ついつい考えこんでしまい、しまいには「あれっ、オレ何しようとしてたんだっけ?」 ― 誰しも経験のあることだろう。 ちなみに、僕が最近見かけたものの中で秀逸だなと思ったのが、以下の問題である。 答えは色々あって、まとめると このように なるらしい。上手い

『将棋名人血風録 奇人・変人・超人』ー「ひふみん」は今日も行く 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『将棋名人血風録 奇人・変人・超人』ー「ひふみん」は今日も行く

7月26日にプロ棋士歴代2位タイとなる通算1308勝を記録した加藤一二三九段の著作。「加藤一二三九段」と書いても将棋に一切興味がない人には何段か、わかりにくいかもしれないが九段である。「かとう・ひふみ・くだん」と区切る。本書は、「神武以来の天才」とかつて呼ばれた加藤氏がこれまで対戦してきた名人たちとの対決を振り返りながら、自らの将棋観を語る内容になっている。

『台湾海峡一九四九』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『台湾海峡一九四九』

教科書の記述はこうだ。侵略、対立、反攻、維持……しかし、人々を襲った嵐はそんな言葉では表しきれないものであった。本書は、兵役によりまもなく入営しなくてはならない十九歳の息子・フィリップに「家族の歴史を知りたい」と求められた母・龍應台さんが、それに応えるべく、父母の漂泊の人生をたどり、父祖の地を訪ね、あるいはまた今は年老いたかつての少年たちなど数多くの人々に聞

ジャパンの行方『日本2.0 思想地図β vol.3』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

ジャパンの行方『日本2.0 思想地図β vol.3』

多くの人間が国を語る光景を見ると三国志のマンガ『 蒼天航路 』の場面を思い出す。関羽がモンゴルの少年と出会い、それまで儒の思想一辺倒から脱却し、これからの中華の未来を描くなかで少年は「辺境の地に生まれた俺がこの壮大な中華の政を考えてもいいのか?」と問う。関羽は君もこの中華のひとつだと返す。少年は「あんたの魂は受け取った、俺はこの種を故郷にまく!」と天に向かい

『オペラと歌舞伎』 美の道楽 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『オペラと歌舞伎』 美の道楽

いきなり度胆を抜かれる文章から本書ははじまる。すこし引用してみよう。 さらに続けて もちろん、自嘲的な皮肉を込めたジョークである。しかし、たしかにオペラと歌舞伎をもつ日独伊は、英仏と異なり近代にいたるまで植民地をもたなかった。著者はその理由として という。たしかにその通りかもしれない。とりわけ日本人は江戸時代の長き平和のなかで芝居や色事にうつつをぬかし、黒船

『人口18万人の街がなぜ美食世界一になれたのか』地方都市の成功モデル 書影

民俗・風俗 / ビジネス

『人口18万人の街がなぜ美食世界一になれたのか』地方都市の成功モデル

学生時代にバックパッカーで世界各地を回ったが、西ヨーロッパは手つかずのままだ。西ヨーロッパはもう少し歳とってからでもいいや、と後回しにしてきた。社会人の今でも旅行先候補の中に西ヨーロッパはないが、興味は大有りだ。特に最近興味あるのはスペインのサン・セバスチャンである。英「restaurant」誌による「世界のベストレストラン」トップ10のうちの2軒ものレスト

今、『利休の茶を問う』ワケを考えてみる 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

今、『利休の茶を問う』ワケを考えてみる

30年以上前の大阪の料亭、「君」はパナソニック創業者松下幸之助、一喝したのは立花大亀、名経営者に遅れること5年、商人の街である堺に生まれた。大徳寺の住職として1899年から2005年まで3つの世紀にまたがって生きた、数少ない人物である。大徳寺は一休さんのモデル一休宗純が応仁の乱の後、寺の再興のため住職を務めたことでも有名で、利休の自刃する原因となった事件が起

成毛眞、『選択の科学』のアイエンガー教授に相談にゆく 書影

医学・心理学 / ビジネス

成毛眞、『選択の科学』のアイエンガー教授に相談にゆく

コロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授の著書、『選択の科学』は、おそらくHONZの読者にはおなじみに一冊だろう。この 成毛代表のレビュー を参照にしてほしいが、シーク教徒のインド系移民で、盲目の女性であるアイエンガー教授が、「選択」によって困難を乗り越えてきた自身の生立ちを語りつつ、「選択」にまつわる常識をくつがえすような研究事例をさまざま

『寿命1000年』 - 不老不死のエンジニアリング 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『寿命1000年』 - 不老不死のエンジニアリング

たしかに”言ったもの勝ち”の世界ではあると思う。これまでにもHONZの朝会では、 こんな本 や こんな本 だって話題になってきた。しかし、そこで競い合うように示されてきた数字とは、桁が一つ違うのである。 誰だって長生きはしたいと思うのが、世の常であるだろう。そんな我々の寿命を2倍にも3倍にも、あるいは好きなだけ延ばせると確信している男 ― それが本書の主人公

『ぜんぜん酔ってません 酒呑みおじさんは今日も行く』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ぜんぜん酔ってません 酒呑みおじさんは今日も行く』

著者は酒飲みの間では有名なあの大竹聡氏である。「ああ~」という声が聞こえてきそうなのは私だけだろうか。そんなことはない。居酒屋のオヤジたちは今の文部科学大臣を知らなくても大竹氏は知っているはずだ。JR中央線の各駅のホッピーを提供する店をマラソンと称して巡った名著『中央線で行く東京横断ホッピーマラソン』で酒飲み達の注目を集めたあの大竹氏である。酒飲みなら誰もが

『NARA LIFE』 -君と僕はちょっと似ている 書影

アート・スポーツ / 人物

『NARA LIFE』 -君と僕はちょっと似ている

本書は、2009年から2012年5月までの間に、ブログ『奈良美智の日々』に掲載された記事と、奈良さんがtwitterに投稿したコメントを元に加筆・修正した本だ。表紙になっている奈良さんの絵、ちょっとどこかで見覚えがあるのではないだろうか。 先週末から奈良さんの個展が横浜美術館で開催されている。テーマは、“ 君や 僕に ちょっと似ている ” だ。ビートルズの、

『東大のディープな日本史』入試問題に見る、アカデミズムへの誘い。 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『東大のディープな日本史』入試問題に見る、アカデミズムへの誘い。

暗記科目の歴史が苦手というアナタに朗報。とにかく、東京大学の日本史の入試問題がたまらなく面白いのだ。 そこで問われるのは詰め込みで得られた知識でも、通り一遍の模範解答でもなく、ズバリ"考える力"。「選りに選りすぐったこの問題に、真っ向からかかってこい。」 「自分の頭で考え、自分の言葉で見事論破してみろ。」 どの設問からも、そんな出題者の声が聞こえてきそうな良

居心地はセルフプロデュースで『最高に気持ちいい 住まいのリノベーション図鑑』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

居心地はセルフプロデュースで『最高に気持ちいい 住まいのリノベーション図鑑』

住居空間は生きる上でかなりの時間を費やす非常に重要なスペースだ。普段の生活も環境さえ整えば、住んでいる当人はとても豊かになっていく。デザインも日々進化しているのと同様に、住居もそれに伴い住んでいる人の用途に合わせて生き物のように変化していいはずだ。 2012年現在では単純に新しい空間がよいと思える時代は終わったのではないだろうか。これからは、すでにある空間や

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民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

名建築はいかにして蘇ったのか 『惜櫟荘だより』

惜櫟荘だより HONZでは小説の話題はほとんど出ないが、 佐伯泰英 という作家の名前は聞いたことがあるだろう。時代小説文庫書下ろしというスタイルを確立した大人気作家である。1999年から現在まで、著作数180冊あまり、累計部数4000万部という途方もない売り上げを誇っている。 本書は、佐伯が熱海に仕事場を構えたところから話は始まる。東京から車でも新幹線でも1

本当に『「電池」で負ければ日本は終わる』のか? 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

本当に『「電池」で負ければ日本は終わる』のか?

iPhoneにAndroid端末、モバイルwifiルータ、PCにタブレットと、大量の電子機器を持ち歩くことが多い。そのため、カフェや打ち合わせ先でしょっちゅう充電するはめに陥り、なんだか自分自身が充電式のロボットになったような気がしてくる。 そんなわけで、ちったぁ電池について知っておこうと思って手にとったのが本書。しかし、まあざっくり今の電池事情がわかればい

『ブラジルの不毛の大地「セラード」開発の奇跡』 結果を出した国際協力 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

『ブラジルの不毛の大地「セラード」開発の奇跡』 結果を出した国際協力

絶望的な困難にも挫けることのない現場、ぶれることのない決断を下すリーダー、プロジェクトを土壇場で成功に導くこととなる意外なきっかけ。「プロジェクトX」のような奇跡の物語には、こんなテンションの上がるプロセスが欠かせない。確かに、本書で描かれる奇跡にもそんな胸が熱くなる場面は登場する。しかし、本書で最も“奇跡的”なのは、過程ではなく、なによりもその結果である。

愚行か?それとも偉業か? - 『世にも奇妙な人体実験の歴史』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

愚行か?それとも偉業か? - 『世にも奇妙な人体実験の歴史』

つい先日、話題になったヒッグス粒子発見の報。それを伝える紙面上で紹介されていた、物理学者・中谷宇吉郎のエッセイがずいぶんと印象的であった。 科学研究のやり方には警視庁型とアマゾン型の2種類がある。結果の目星がついていてその結果を得るための研究が警視庁型、研究対象の何たるかも分からぬまま秘境に分け入るのがアマゾン型――というものである。 1964年に存在が予言

素晴らしき人体実験野郎たちに乾杯!  『世にも奇妙な人体実験の歴史』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

素晴らしき人体実験野郎たちに乾杯!  『世にも奇妙な人体実験の歴史』

「あれ?同じ本が立て続けにHONZに紹介されてる。なにかのミスか、はたまたHONZメンバーの共食いか。」と、思われた方もおられるやもしれませぬ。しかし、じつはどちらでもないのでございます。不肖、巻末に解説を書かせていただいたご縁から、文藝春秋(平成24年8月号)の『本の話』に、この面白本の紹介をさせていただくこととなりました。せっかくのことでもあり、その紹介

『異貌の人びと』-隠された被差別 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『異貌の人びと』-隠された被差別

HONZサイトが開設してもうすぐ1年。仕事や家庭や髪型が劇的に変わったHONZメンバーは少なくないが、本の購入代金はともかく、本の趣味は各人、大きくは変わっていないのではないだろうか。本日紹介するのは、日本各地の被差別部落を追った『日本の路地を旅する』で一昨年の大宅賞を受賞した上原善広氏の新刊。私がHONZのレビュアー(正確には前身の「本のキュレーター勉強会