
『ネゴシエイター』 -誘拐現場のリアル
本書によれば、誘拐事件は世界で毎年2万件以上報告されている。発生件数は過去12ヵ月で倍増した。今この時間にも、監禁されている人質が世界中に何百人もいる。そのうち当局に通報があるものは10分の1に満たない。70%は身代金の支払いによって解決する。力ずくで救出される割合は、わずか10%だ。身代金の要求額は5000ドルから1億ドルまで(1ドル80円換算で、40万円
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本書によれば、誘拐事件は世界で毎年2万件以上報告されている。発生件数は過去12ヵ月で倍増した。今この時間にも、監禁されている人質が世界中に何百人もいる。そのうち当局に通報があるものは10分の1に満たない。70%は身代金の支払いによって解決する。力ずくで救出される割合は、わずか10%だ。身代金の要求額は5000ドルから1億ドルまで(1ドル80円換算で、40万円

そもそもファシズムとは何か、というのは結構むずかしい。手法が強引な政治家あらばやたらファシスト呼ばわりもされたりするが、安易な使われ方は矮小化につながりかねないという気もする。どのような条件下でどういう状況が完成すれば「ファシズム」なんだろう。 本書においてファシズムとは「資本主義体制における一元的な全体主義のひとつの形態」だとして、「強力政治や総力戦・総動

ヤンキーをWikipediaで引くとこうなる。 確かに私も、なんとなくチンピラっぽい人のことをヤンキーと呼んでいる。今までの人生で、自分がなったことも付き合ったこともなく遠巻きで見ているにすぎなかった。しかし『世界が土曜の夜の夢ならーヤンキーと精神分析―』を夢中になって読むうちに、自分の中に眠っている「ヤンキー的日本人」(これも相当変な日本語だ)に否応なく気
コモディティ戦争 〔ニクソン・ショックから40年〕 私たちの生活基盤となる食料やエネルギーなどのコモディティ価格はどこで決められているか? 答えは米国のニューヨークやシカゴ。 大豆などの穀物は、世界最大の取引が米国を通じて行われるので、シカゴで価格が決められるのは当然だ。しかし、金の世界最大の現物取引場は英国であるし、原油の世界最大の現物取引は中東であるにも

「はじめに」で「ぼくがこの本でやりたかったのは、歴史の魅力を少しでもとらえて伝えることだ」そして「もっと多くの(そしてもっと良質の)歴史の本を読んでみたいという(読者の)好奇心に火をつけることだ」と著者は言う。その目論見通り、本書を読みながらネットや蔵書の間とウロウロしてしまい、読み終わるまでにやたら時間がかかってしまった。好奇心の対象が増えてしまったようだ

探検昆虫学者ーーなんと心惹かれる響きだろう。もう今すぐにでも仕事を辞し、自分もなりたいぐらいだ。 このかっこよすぎる肩書きは、別に著者が勝手に自分でつけたわけではない。英語で、Exploratory Entomologistといい、「生物的防除」(生き物を使って増えすぎた他の生き物を制御する)のために天敵となる昆虫を探す昆虫学者を、そう呼ぶのだそうだ。 著者

この数字は、100人の女子に対してどれだけの男子が生まれるかを表した出生性比と呼ばれる数値である。この数字が何を意味するかは、自然な状態での出生性比105と比べる必要がある。上記の中国の出生性比113と自然な出生性比の差はたった8であり、大きな問題ではないと思えるかもしれない。しかし、この比の差を具体的な人数に置き換えると問題の大きさが見えてくる。 本書で紹

2012年7月1日、じつに3年半ぶりに”うるう秒”が挿入された。朝8時59分59秒と9時00分00秒、この間に「8時59分60秒」という1秒が差し込まれたのである。 これは海流や季節風の影響で、世界の標準時として使われている原子時計の時間と、地球の自転に基づいて決められる天文時との間に生じるズレを調整するために行われているそうだ。 ズレると言っても、この53

よくぞここまでたどりついたものだ。 これは、本書の「あとがき」の最初の一文だ。読者はここで叫ぶ。「その通り!」。 もちろん読むのが大変なのではない。簡単に本の説明をしてしまえば、「コラムとは何か」から、書き出しや会話の入れ方、落ちや推敲、文体と主語にまつわることまで、コラムについてのもろもろがまとまっている。 版元であるミシマ社のホームページなどでオダジマさ

本書は、2001年から2007年にかけて『コンティニュー』誌に掲載された、ゲームクリエイターたちへのインタビュー集だ。全16回、1回のインタビューにつき2万文字を費やし、2段組み432ページで2200円、非常に読み応えがある内容となっている「永久保存版」だ。 ゲームへの熱い想いが語られる本、であり、インタビューする人も、される人も、根っからのゲーム好きだ。ゲ

先日何気なくつけたテレビで目にしたNHK番組「 仕事ハッケン伝 」には心底参った。職場体験者である芸人ザブングル加藤のミッションは、女子中学生向けのファッション誌「ニコラ」の編集を担当するというものだった。 加藤はいつにも増してカッチカチの険しい表情で、不慣れな仕事に懸命に取り組む。企画のネタだし、少女モデルへ流行の話題の聞き込み、写真撮影に誌面の割り付け検

マイブームではないが、いつも本を探す時に気になるワードがある。それを一度意識しだすと、不思議なことにその言葉を何度も目にするようになるのは私だけだろうか。 最近は「至福」という言葉だった。意味を調べると、単純に「幸せ」という言葉にも段階があり、中でも至福は最上位における愛で満たされている状態らしい。偶然にも本書を購入した後にそのキーワードは各所に入っていた。
最近ではちょっと下火になったが、一時期「自分探し」という言葉が流行った。「いまここにある私はあるべき姿ではなく、もっと素敵で知的で世の中に認められる自分がいるはずだ」という身勝手な主張を読むたび、いつも「ふふん」と鼻で笑ってきた。 しかし本当に自分が何者かわからない、ということはどんなに心細いものか想像がつかない。それも国家レベルの政策によって身分を剥奪され

「これは、私の書いた『東電OL殺人事件』を超える事件だ」と帯に書く佐野眞一、怒りに燃えた渾身の一冊である。その怒りが読む側にもひしひしと伝わってくる、死刑判決も記憶に新しい「首都圏連続不審死事件」、毒婦・木嶋佳苗についての本である。ワイドショー的事件はけっして嫌いではない。しかし、この事件だけは、何故か見聞きするのが忌まわしいような気がして避けていた。しかし

多くの人を惹きつける謎、答には辿り着けなかったものの手がかりを残した先人たちの苦闘、新たな発見から導かれる刺激的な仮説、目を見張る美しい図版(しかもカラー!!)、自然の神秘に近づくための大航海、共に謎を追い求める仲間、そして、数え切れない失敗の先に待ち受けるクライマックス。本書にはその全てが揃っている。これでワクワクしなけりゃ、これで燃えなけりゃ、どんな本で

イエティ、ついにロシアで捕獲! - そんな ニュース が飛びこんできたのは、年明け早々のことだった。しかも地元の動物園に運ばれており、公開予定もありと報道されていたように思う。さすがにこのニュースには胸が高鳴ったことを、昨日のことのように憶えている。 あくる日の動物園には、隣国のチェチェン共和国からも大量の人々が押し寄せたという。そこで観客たちが目にしたのは

栗下が言った。 「テクいですよね…」 「読み易ければ、いいんだけどね、」 と、カフェラテ片手に東が言う。 ミッドタウンのオープンカフェは、初夏のいい天気だ。 「六本木にもスズメがいるんだねぇ」 「僕、今日はそろそろ失礼します。帰ったら、ちょっと高村さんにメールしてみますね」 「テク」とはもちろん「テクニック」のことであるが、著者の宮沢さんによれば「テク」と「

内村鑑三の著作に「デンマルク国の話」という短いエッセイがある。ドイツ・オーストリアとの戦いに敗れ、肥沃な土地の割譲を強いられた小国デンマークは、植林によって荒野を沃野に変え、自国を平和的な国家として再建することに成功する。善き宗教、善き道徳、善き精神により、国が戦争に負けてもいかに衰えなかったか、という趣旨で語り継がれている感動的な話である。 デンマークの国

夏だ! 海だー! 海へ行こう! 最近、夏のにおいがむんむんする。こういう日は、海でバシャバシャしたい。共感する人も多いのではないか。そこで、今日はとっておきの一冊。海といったらあの人、宮田珠己。違いますね。海の変な生き物といったら、宮田珠己。まだ、彼の最強脱力系お笑いエッセイを読んだことない人、海! 海! と気持ちが先走っている人、旅に思いを馳せる人、必見で

ウイルスといえば、インフルエンザや口蹄疫ウイルスのように人や動物に関連する病原体というイメージが強い。しかし、細菌に善玉があるように、実はウイルスにも、哺乳動物・昆虫・植物などの生存を助けるものや、地球環境を維持する海洋ウイルスなど、いい奴がたくさんいるのである。そんなあまり人に知られていないウイルスの役割について、アカデミックかつトリビア的に紹介するのが本

前日の書評がドイツ一色、そしてEURO2012でもオランダを破り、連勝中で絶好調のドイツ。験を担いで、僕もドイツからスタートしたい。世界最大の物流会社DHLを傘下に収めるドイツポストが来る2050年に向けて5つのシナリオを考えている。 シナリオ1: 暴走する経済‐迫り来る崩壊(1:37-) シナリオ2: 巨大都市における超効率化(2:10-) シナリオ3:

商売柄、台所に立つことは多いが、こんなに深遠な場所であったとは知らなかった。 まず、台所は人間の「外部器官」である、と著者は言う。人間は他の生物を食べて生きているわけだが、そのまま生食できるものを除けば、基本的に切り刻んだり、火を通したりして食べる。すなわち台所は、この工程を担う、人間の体外にある最初の「消化器官」であるととらえるのだ。これは逆に言えば、台所

2012年5月27日レスリング女子ワールドカップ国別対抗戦決勝、ロシア相手に初戦から4連勝した日本は、絶対王者吉田沙保里の登場を前に6年ぶり6度目の優勝を決めていた。優勝を手中に収めた気の緩みがあったのだろうか、はたまたオリンピックを目前に控えたこの時期コンディションが谷底を迎えていたのだろうか。4年以上ただの一度も負けることなく、連勝を58にまで伸ばした最

2011年5月10日、日本国内に「新政府」が誕生した。とは言っても、民主党の話でもなければ、虚構新聞のネタでもない。どこのニュースにも報道されることのなかった この「新政府」は、ある男が勝手に決意し、勝手に作った思考上のものである。しかし、この国は確かに実在するのだ。 首都は銀座4丁目のとある土地。首相官邸は熊本市内のゼロセンター。国会議事堂は東京ミッドタウ

その記念すべき初プロジェクトである「マジンガーZ」の地下格納庫建設など、本書では歴史記念碑的建造物のクフ王ピラミッドから空想世界にある正義の味方の秘密基地、未来の宇宙エレベーター建設まで、人類が思い描いた「夢プロジェクト」をガチで検証。日本を代表するゼネコン三社の本気の「技術力」と「遊び心」がぎっしり詰まった一冊だ。 「マジンガーZ」は1972年に発表された

今回は「かるた」を紹介しましょう。「かるた? なんのこっちゃ?」と思われた方も多いはず。医学書院の知り合い編集者のツイートで知ったこの一冊(いちおう書籍コードがついているのです)、私もまったく同じ感想でした。昨年末の刊行なので少々時間が経っていますが、「これを紹介していないなんて、HONZじゃない」とのことで、紹介いたします。おもしろいのでご容赦くださいまし

レンズもないのに、小さな穴を通った景色は、あわい色合いでほんのりと確実に像を結ぶ。でも、じっとしているものしか写せない。ピンホールカメラをはじめて知った時、不思議でたまりませんでした。この本は、中華料理、という、京都にとっては小さな針穴、そして、おそらくこれまでは誰も気にしなかった針穴、を上手に使って、優しくそして静謐に京都を描き出した本なのです。 とりあげ

本書は日本の鉄道史を「政治」という切り口から解説する良書である。私自身、鉄ちゃんではなく、どちらかというと飛行機派だったので、これまで鉄道史は全く興味なかったし知らなかったが、本書を読んで少しは詳しくなった気がする。しかも本書は歴史を述べて終わりではなく、最近の新幹線輸出ビジネスや東日本大震災で壊滅的な被害を受けた三陸鉄道についてもカバーしているので更に面白

HONZで紹介される本の登場人物は規定の概念を越え、既得権益を破壊するルールブレイカーが多いが、本書はルールメーカー側の話、グローバルでのルールの創られかた、創りかたのお話だ。タイトルと装丁はどう考えてもビジネス書なのだが、ビジネスがはじまる少し手前の国際的なルール交渉の世界が舞台である。著者はその舞台で活躍する官僚である。趣味はCSR。20代の頃は米国国務

専門家の予測はサルにも劣る 地震の復興問題、エネルギー問題、少子化問題、金融危機などなど今の日本及び世界はたくさんの問題を抱えており、現代は先がまったく読めない時代だとよくいわれる。先が読めないのは不安だしなんとかして未来がどうなるか知りたいと思うのは人として当然の感情だろう、私だって知りたい。 未来がわからないとはいえせめてヒントだけでも得られないものだろ

チューリングテストというものをご存じだろうか?「機械には思考が可能か」という問いに答えを出すために、数学者のアラン・チューリングが1950年に提案した試験のことである。 審判がコンピュータ端末を使って、姿の見えない「2人」の相手と5分間づつチャットする。一方は本物の人間(サクラ)、一方はAI(人工知能)。チューリングは、2000年までにコンピュータが5分間の

突然だが、「さかな、さかな、さかなー、さかなーを食べるとー」という歌詞が最近、頭から離れない。ウィキペディアで調べたところ、20年前に作られた曲だった。市販化されたのは10年前で私の記憶はこの時のものだろう。曲名はご存じの方も多いかもしれないが『おさかな天国』であり、オリコンで最高3位に位置したという。 歌詞からわかるように「魚をもっと食べようよ」という水産

こんなふうに言ったほうがいいな。『ご主人は1950年3月に亡くなられました』と。このほうがいくらか侘しくなく響く。春が近づいていて、『雪がほとんどとけていた』とも言えるだろう。 幸運を祈る… 1949年10月29日、4年近くに及ぶ強制労働の後の、3年2カ月に及ぶ脱出行の始まりだ。クレメンス・フォレル(仮名)は第二次大戦中、ソビエト連邦において捕虜となり、シベ

これぞ逆説の魔術。どこかおかしい、でも、どこに間違いがあるのか、答えが出そうで出ないのがパラドクスの魅力だ。バラエティに富んだパラドクスが、12章にわたってこの一冊にギュッと濃縮されている。 まずは、予測のパラドクスの中で有名な「抜き打ち試験のパラドクス」にちなんだ、こちらのエピソードから。 ----------------- とある中学校でのお話。週末の休
50とよばれたトキ (読売新聞から) 『50とよばれたトキー飼育員たちとの日々』は、奇跡のようなタイミングで出版された本である。著者は朝日新聞の記者。2007年に佐渡島駐在となり、トキ保護センターの取材を開始した。ちょうどそのころ、第1回目の放鳥の準備が進められており、放鳥候補生が選ばれたところだった。 所長の言葉に、鳥と飼育員との日々にフォーカスを当てて取

2012年上半期No.1の社会派ノンフィクションだ。一度読み始めると、ストーリーにグイグイ引き込まれ、更に目から鱗の新事実が次々と登場し、しまいにはUFO・エイリアンに関する著者のあっと驚く新仮説も飛び出してくるので、ページをめくる手を止めるのに一苦労である。さすが「NYタイムズ・ベストセラー・リスト」に11週連続でランクインしただけはある。日々忙しく働いて

話は飛んで東日本大震災。多賀城市と石巻市、著者が現地に足を運んだ復興の現場風景。石巻市の取り組みはメディアにも頻繁に取り上げられてきた。しかし、被害状況の差はあれど同じく被災した多賀城市の現状は語れることは多くはない。二つの都市の違いは端的に言ってしまうと、商店街の有無である。多賀城市は仙台市のベッドタウンであり,Wikipediaに「”市の中心部が存在しな

明後日5月25日、Hondaはフルモデルチェンジしたスーパーカブ50を発売する。生産は、中国の新大洲本田摩托有限公司。メイド・イン・ジャパンではないが、値段が48000円程度も安くなり、110km/Lという燃費にも、グッと来る。しかし、個人的に注目すべきはやはり、なんといっても、次の点だ。以下のニュースリリースより引用する(太字は筆者)。 ・低・中回転域を重

定時制高校2年の久美は自らの体に起こる異変に気づいていないわけではなかった。深夜アルバイトの最中に倒れたことは1度や2度ではなかったし、ぜんそくと腹痛がやむこともなかった。それでも、病院へ行くことをためらったのには理由がある。父親の洋平が営む廃品回収行が赤字続きで、国民健康保険料を滞納していたため、無保険状態だったのだ。家計を支えるために働く久美は、病院へ行

じつは2004年から2年間ほどJAXAの宇宙オープンラボ・アドバイザ委員を務めていたことがある。当時JAXAは「見上げる宇宙から使う宇宙へ」をスローガンに、宇宙オープンラボの民間利用を促進していたのだ。ホリエモンにはじめて会ったのも、このアドバイザ会議の場だった。JAXAはアメリカではIT経営者たちが次々と宇宙ビジネスに旅立つのをみて、日本でも宇宙に興味をも