
フェティシズムで日本を元気にするための3冊+α
最近つくづく思うのは、世の中には色々なフェチの人がいるものだなということだ。それは、今や巨大百貨店の様相を呈しているAmazonのレビューからも窺い知ることができる。 例えば このレビュー 。百歩引き下がって「いい肌触り」とコメントするところまでは良しとしよう。それに対して「参考になった」と投票した人の数が1991人(※2/11現在)というのはどうしたことか
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最近つくづく思うのは、世の中には色々なフェチの人がいるものだなということだ。それは、今や巨大百貨店の様相を呈しているAmazonのレビューからも窺い知ることができる。 例えば このレビュー 。百歩引き下がって「いい肌触り」とコメントするところまでは良しとしよう。それに対して「参考になった」と投票した人の数が1991人(※2/11現在)というのはどうしたことか

「デザイン」と聞くと、 IDEO や フロッグデザイン を思い出す。いつからだろう?「ビジネスではデザインが重要」という話を聞くようになったのは。「デザイン」と聞くと以前は服や文房具やコカコーラのビンをイメージしたが、「ビジネスにおいてデザイン思考が重要です」と言う時の「デザイン」は、ちょっと違う印象になる。本書が扱う「デザイン」も広い意味をもっていそうだ。

一流アスリートのパフォーマンスかと見紛うばかりの ピアノ超絶技巧 。あるピアニストは、最速度の演奏でリズムの正確さを保ちながら1秒間に平均で10.5回打鍵するという。またピアノを毎日4時間弾いたとすると、その手は1年間で490キロメートルほどの距離を移動する。東京と大阪を「手で」移動し、年間10回以上フルマラソンに出場しているようなものだ。 本書は、ピアニス

本書は2009年7月に単行本として出版された傑作ノンフィクションである。それから2年半がたち、文庫化するにあたって、巻末の解説をあらたに書き起こすことを引き受けた。以下のレビューは2009年9月に週刊朝日で掲載されたものだ。自分でいうのも変だが、本書を読み終えたときの熱気が伝わってくるようだ。ノンフィクションファン、アフリカ・資源関係ビジネスパーソン、冒険好

日本文化における「かたち」を読み解く事典だ。「かたち」は直接的に目に飛び込んでくるものありながら、独自の文化や思想を含んでいる。つまり「かたち」とは、かた【型】+ち【魂】であり、本書は独特な日本文化の「かたち」を解説している。 発刊元である「形の文化会」の活動は、文化領域に括られる「かたち」を、科学・文化・歴史の視点で総合的に新しく研究し、人類思想上における

しまった、と臍をかんだ。頻繁にメディアに登場しているとは思っていたが、先週のテレビ番組で「今年大ブレーク必至!」と謳われ特集まで組まれてしまった作家・岩下尚史。先にあのキャラクターが刷り込まれてしまうと、素直に本の世界に入り込めなくなってしまうかもしれない。『ヒタメン 三島由紀夫が女に逢う時…』は、数ある三島由紀夫の評伝の中でも、今後、研究者が必ず読まなけれ

アール・ラヴレイスの小説『 ドラゴンは踊れない 』の訳者として、この本の著者のことを知った。 私もかつて滞在したトリニダード・トバゴの熱気と匂い、粘りながら躍動するその言葉と生活のリズムが行間から生々しく立ち上ってくるのは、ラブレイズの才能のみならず、その訳によるところも大きいことは、すぐに解った。 皿の上で湯気を立てた「小さな雲」のようなイディリから本書は

先ずは1分少々のこちらの動画であなたの「注意力」をチェックして欲しい。やるべきことはひとつだけ。“白いシャツ”を着ている学生が何回バスケットボールをパスしているか数えるのだ。 わが身を振り返ると、「もっと注意力があればこんなことには・・・」、と思ったことが何度もある。センター試験ではとんでもないケアレスミスをしてしまったし、上司に誤字脱字を指摘さたれこと、名

今、世のビジネスマンが一番多く見聞きするキーワードは「ビッグデータ」というものではないだろうか。巨大なデータを収集・分析してパターンやルールを見つけ出す。その上で、今を描き出したり、異変を察知したり、近未来を予測するために活用されるものだ。世界中で生成されるデータの増加とともに、ビッグデータへの注目度は一気に上がってきた。 本書で描かれている内容も、ある意味
出版社/メーカー: NHK出版 10年ほど前は、コンビニの店員が外国人だったりすると「おっ」と思うこともあった。ただ、最近は都心部などでは全員が日本人であるケースが逆に珍しかったりする。それもそのはずだ。現在、日本には約210万人(不法残留者含む)の外国人が暮らしているといわれる。私やあなたが、仕事以外の生活世界で外国人と関係するのも日常の風景になっているの

NHKスペシャル 『ヒューマン』 が始まった。本書は、このシリーズと連動して発売された書籍だ。番組を担当した4人のプロデューサー・ディレクターが、それぞれの回の内容を書きおろしている。テレビのほうは、先週の日曜に第1回が放映された。本書における第一章の内容にあたるが、見事に互いに補完し合っている。テレビでは、本では表現しきれないインタビューやシミュレーション

本書は雑誌『暮しの手帖』に連載の人気コーナー「考えの整とん」6年間分が編纂され、書籍化されたものだ。著者はNHK教育番組『ピタゴラスイッチ』の企画・監修を務める佐藤雅彦。東京藝大大学院で映像の教鞭をとる表現の研究者である。 著者は電通勤務時代、CMプランナーとして湖池屋「ポリンキー」、「ドンタコス」、NEC「バザールでござーる」など、様々なヒットCMを手がけ

人生80年として、半分を過ぎた不惑の頃、漠然とした老後の不安にとらわれていた。自分の老い先が幸せであるためにはどんな準備が必要なのか、親や年上の友人たちの姿を見て参考にしようとしていた。 しかし、それから10年。そんなことより自分の親をどう大過なく晩年を過ごさせて送り出すことができるか、それが現在、最優先に考えなければならないことになっている。 奇しくもちょ

1848年、イギリス東インド会社は、とある男を当時外国人の出入りが禁止されていた中国内陸部へ送り込んだ。会社が彼に与えたミッションは、世界一経済的価値ある植物を中国から盗み出し、枯らしたり腐らせたりせずに元気な状態で別の大陸に無事移植できるよう手配すること。彼が狙った植物こそが、イギリスで大量に消費されていた「茶」である。本書の主人公、ロバート・フォーチュン

心からイギリスに行きたいと思わせてくれたのは、なんともつまらないが電波少年だった。猿岩石のゴールの瞬間を見て、感動した。旅のゴールとしてのイギリスになんだか魅力を感じた。旅のおとも『 深夜特急 』もそうだった。そして、実際、旅をするようになって、イギリスを訪れた仲間に聞くイギリス評は「飯がまずい」「物価が高い」「天気が悪い」の悪口ばかり。たまに聞く良い話はお

『動物感覚』はとても面白かった。彼女自身の経験から発せられる言葉の数々に引きつけられたのと同時に、私にとって常識をくつがえすような興味深い動物行動学や心理学の研究が多数引用され、また文章が非常にわかりやすかったからだ。私がもしオールタイムベスト10を挙げるならおそらくこの本は必ず入れるだろう。 そして本書。タイトルを見たとき、前著ほどの面白さはないような気も

毎年、成人式の頃をピークに「最近の若者は・・・」といった議論が、どこからともなく湧いてくる。ステレオタイプに若者を批判する者が現れたかと思うと、どこをどう間違えたか「最近の若者」という落書きは古代エジプトの壁画にも書かれていたらしいなど蘊蓄まで披露されたりする。さぞや、おいしい肴なのだろう。 孫正義という人物が語られる議論というのも、この「最近の若者」論に近

最近、街を歩いていても「子ども」に目がいってしまう。下は赤ん坊から上は小学生くらいまでか。我ながら怪しいと思うが、別にロリコンではない。近々、育児に対応する可能性が高く、大量にいろいろと本を読んだからか、子どもで頭が膨らみ、つい観察してしまうのだ。私は養老孟司氏が主張するように「昆虫採集してたら子供は育つ」派なのだが、残念ながら、休日の公園などでは、携帯電話

美術館の作品にはそれぞれ物語があって、それを個々に全体に表現するというのがキュレーターの本来だろう。その場に行けば作品と空間を共有することはできる、しかし、時間は容易に共有できない。作品の生い立ちを紹介する方法によって、つまり、物語の表現によって、作品の見え方が変わる。私という個人を誰かが紹介するようなものだ。美術に限った話ではない。これからは、背景となる情

この本に収められているのは、日仏の文豪12名のラヴレターを巡る物語である。 「私はこれまでほかの女性に一度たりともこんな言葉を書いたことがありません」 たとえそれが真っ赤な嘘だとしても。 本書が『恋愛書簡術』を謳っているのは、「ラヴレターとは純粋な愛の告白などではなく、相手に向かって自分の愛が本物だと説得する技術的な作文」との見地による。それは誘いであり、駆

いやはや正月早々大変な目にあってしまった。お屠蘇気分でほいほいやっつけてみようと本書を読み始めたのだが、意外にも内容がこってりと濃く、たっぷり時間をかけて楽しむことになった。つまり、しばらくかかりっきりになったのである。それどころかあまりの面白さに、本書が取り上げている書籍を14冊も買ってしまったのだ。大散財である。そのほとんどが絶版なので、とりあえず買うこ

原題は『 THE MURDER ROOM The Heirs of Sherlock Holmes Gather to Solve the World’s Most Perplexing Cold Cases』(殺人の部屋 世界で最も難解な未解決事件を解くために集まる、シャーロック・ホームズの後継者たち)。 『未解決事件(コールドケース)』は、フィラデルフィ

昔、『腸は考える」という本を読んで以来の「腸マニア」である。その本の最初の章「腸は小さな脳である」という題にやられた。自分の体のなかに、自分(脳?)以外に考えている存在があり、それが体や脳にも影響を与えている、そう想像すると、何だか自分と別人格の「体の声」に耳を澄ましたくなる。セロトニン、セクレチン、ガストリンなんていうホルモンの名を呪文のように意味もなく覚

この本に書かれているのはファクトである。人間の主観を逃れた完全に客観的なファクトなど存在しないが、著者は可能な限り、様々な利害から離れて中立的、客観的であろうとしている。客観的といっても「 東大話法 」のように自分を神の視座に置いて他者批判に終始するのではなく、自らの手で広く認められているファクトから“真実”を紡ぎだそうとしている。広島、長崎、そしてチェルノ

入社後2、3年の若手社員が会社を辞める時に、「電通を辞めました」だとか「博報堂を辞めました」などとブログに書いて話題になることがある。そういうものを目にするたびに感じるのが、この時代の節目に30代を迎えているという自分自身の宙ぶらりんさ加減である。別に会社の管理職でもないので「会社に対して失礼だ」などとは思わないのだが、その論調を素直に応援しようという気にも
出版社/集英社インターナショナル 我那覇和樹。サッカーに興味がある人ならば聞いたことがある名前だろう。5年ほど前、彼はサッカーサークルの中心部にいたはずだ。2006年、我那覇は輝いていた。サッカーJ1リーグの川崎フロンターレに所属していた彼は、その年、リーグ戦32試合で52本のシュートを放ち、18得点を挙げた。ゴール数は日本人最多、シュート決定率は35%で外

中国でお尻を手術。マル。 “ 中国でお尻を手術♪ ” ではない。そこまではんなり楽しい感じではない。 “ 中国でお尻を手術www ” は、一部に受けそうだがビミョーだ。 “ 中国でお尻を手術しましたが、何か? ” でもないだろう。やっぱりマルだ。思うに、マルには情熱が含まれている。今の日本(というか俺)に足りない情熱が。ポリープ切除の時に中国人看護師から挙が

HONZ学生メンバー合格者が応募の際に書いたレビュー。最後は刀根明日香さんのレビューです。 政治家ってどんな人? 日本の政治家みたいにどうせ国家議員の息子が国家議員になるのでしょ? その中から首相が生まれるのでしょ? だから日本なんて変わりっこないのね。私が高校まで持っていた政治のイメージは、ニュースを観るようになった今でも変わらない。いくらCHANGEを叫

今週末も、HONZ学生メンバー合格者が応募の際に書いたレビューを掲載します。 一色麻衣さんのレビューです。 たった五分でも遅刻したら、待ち合わせの相手はあまりよい顔をしない。ビジネスの場面ではありえない醜態だし、友人相手でも失礼に当たる行為だ。現代の私たちにとって、時間を区切って行動することは自明の理だが、それはいつ頃からの習慣なのだろうか。この本では、あま

新年早々、目出度がってばかりいられない方も多いのではないだろうか。旧年末の忘年会に正月休み、重ねに重ねた暴飲暴食・不摂生。このまま新年会シーズンへとなだれ込まんとする今この瞬間、頭をよぎる一抹の不安……。 風呂場の姿見と向き合って、腹に手を当てて一思案、「今年こそ健やかな一年を」と思い立った方におススメしたいのが本書だ。栄養士の観点から、食事が身体や仕事のパ

今年の箱根駅伝を少しでも観戦した人にはぜひ読んでもらいたい本だ(大会前に紹介しなくてごめんなさい)。 今年も箱根駅伝は大いに盛り上がった。早稲田大学 大迫傑の快走、出岐雄大による青山学院大学 史上初の区間賞、「山の神」東洋大学 柏原竜二と設楽悠太による区間新記録樹立、東京農業大学 津野浩大の腹痛を堪えながらの完走、駒澤大学の復路追い上げ、倒れながらも襷を渡す

偶然にも、編集長土屋敦の 前回の投稿 と強く関連しているようだ。ついこの間まで、見て見ぬふりされていた東南アジアのビルマ(ミャンマー)に急に注目が集まっているのだ。本読みは、『 困っている人 』の作者大野更沙さんが ビルマ女子 だったことを思い出すかもしれない。 注目が集まる理由はビルマ軍事政権の民政化、約5300万人の安価で優秀な労働力や豊富な天然ガスやレ

正月早々、2日酔いと体調不良でこの原稿を書いている。ただし、いくら辛くても読書はやめない(しかし代表は「本絶ち」を実行しているらしい)。飲む前に読み、飲んでいても読む。飲んだあとも読むのだ。 しかし、酔っ払った後、苦しみながらもなぜ深夜から明け方にかけてこの原稿を書いているのか、今日までに書かねばならぬことも、あれだけ飲めば苦しくなることも、全部わかっていた

「こんなに大量の本を紹介されたら破産してしまう」 昨年HONZによせられた苦情である。しかし、こんな苦情を聞くとメンバーは更に奮い立つ。レビューにはより熱がこもり、紹介する本は日を追うごとに増えていく。HONZ紹介本をいちいちムキになって買い続けていると、きっと色々なものを失ってしまうので、皆さんも新年のお酒とポチリはほどほどに。「新刊ちょい読み」で投稿しま

2012年が静かに幕を開けた。師走の忙しなさが、一晩明けると打って変わって落ち着きを取り戻す。僕は、この正月の静けさが大好きだ。 それにしても、正月を正月たらしめているものとは一体何なのだろうか。街で見かける しめ縄や飾り付けなのか、遠くから聞こえるBGMのお琴の音色か、それともお節料理の香りや味付けか?はたまたカレンダーによる日付の概念なのか? もちろん、

ていねいにていねいに、心をこめて、大切に作られたノンフィクションだ。なにごとかを強く主張するために作られたわけではない。さりとて、第三者である取材者の目で作ったわけではない。この本は思いを共にする人々と土地の記憶をたぐる旅の記録である。 あえて「本を作る」と書いた。本書は二〇〇八年に公開された記録映画『オオカミの護符』をもとに書かれているからだ。そもそもこの

2011年も、あと数日。年末の曲といえば?と訊かれても人それぞれだが、自分はユーミンの“A Happy New Year”が思い浮かぶ、そんな時代の人です。 昨晩お会いしましょう 。「第九」だったら誰しも異論がないだろう。不思議な日本の文化だ。年末恒例の「忠臣蔵」は、赤穂事件の討ち入りが12月14日だったことからテレビに登場するようになったらしい。本書によれ

気のおけない仲間との音楽談義は楽しいものだ。知人の部屋に上がり込んで自慢のコレクションを物色しつつ、あるいは銘々がとっておきの名盤や珍演奏を持ち寄り、聴き比べては悦に入る幸福。 音楽は万人の前に等しく微笑みかける。本書で小澤征爾と村上春樹がくつろいで語らい合う様子からも間違いなく言えるのは、二人もマエストロと小説家である以前に、我らと同じ音楽愛好家だというこ

昨今の美術館は、どこも休日は大人気で鑑賞者で一杯だ。都内の根津美術館などは平日でも込み合っているし、伊藤若冲の展示を観るため東京国立博物館まで足を運んだ事もあったが、最終日という事で館内は満杯で鑑賞どころではなかった。そんな経験から、晴耕雨読ではないが人の少ない雨の日を狙って、美術館に行く事に決めた。入場すれば白い壁に囲まれ、天井の高い部屋に入り、日常と切り

宮田珠己の今度の旅は温泉めぐりである。とは言っても「宮田珠己」が誰か、知らない人のためにちょっとだけ説明する。 彼は常にふらふらとどこかへ出かけていく。しかしそれは冒険とは程遠く、誰でもいつでも行けるような場所ばかりだ。まあ、 世界中にジェットコースターに乗りに行く のが気軽かどうかは意見が分かれるところだろうが、 四国遍路 は、その気になりさえすればなんと