
『真面目にマリファナの話をしよう』空前のブームの最前線で、いま何が起きているのか
「ネットが生まれた時代に居合わせていたら、今ごろIT長者になっていたかもよ」。ある日酒場でそんな会話を耳にした。酔客の戯言ではあるが、草創期が可能性に満ちあふれているのは確かだ。そこには誰にでも成功できるチャンスがある。 あいにくインターネット革命はとうの昔に終わっているが、もしあのときの客に、いま米国を震源とした革命の波が世界に広がりつつあると教えてあげた
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「ネットが生まれた時代に居合わせていたら、今ごろIT長者になっていたかもよ」。ある日酒場でそんな会話を耳にした。酔客の戯言ではあるが、草創期が可能性に満ちあふれているのは確かだ。そこには誰にでも成功できるチャンスがある。 あいにくインターネット革命はとうの昔に終わっているが、もしあのときの客に、いま米国を震源とした革命の波が世界に広がりつつあると教えてあげた

家族の形とはどうあるべきか。なかなか難しい。もちろん個人としてならば、自由に好きにすればいいのだ。その家族が納得しているのなら端がどうこういう問題ではない。私自身は、それが例えば娘であっても、口を出すつもりもない。成人して一人前になった娘が、この先どんな形の家庭を築こうと、あるいは築くまいと、一度きりの人生なのだからまあなんなりとやってみるべしと思う。 が、

香港の中心街に立地するチョンキンマンション。安宿が密集するこの建物は、沢木耕太郎の『深夜特急』に登場したこともあり、今でも日本からの旅行客を引きつけている。 2016年に香港の大学に客員教授として所属した著者は、ひとりのタンザニア人、カラマと知り合う。彼は「チョンキンマンションのボス」と名乗った。 「ボス」の日常は怪しさに満ちあふれていた。毎日、昼ぐらいに起

車を運転する人なら誰でも、行く先に赤い光が見えると工事を覚悟して「あまり待たないといいな」と思うだろう。でもその誘導灯を持つ誘導員に注意を払うことはなく、ほとんど風景のようになっている。 しかし本書を読んで「交通誘導員」を気にするようになると、確かに男女問わず老人と言ってもいい人が、夏の真っ盛り、炎天下のアスファルトの上で真っ黒に日焼けして働いている姿がよく

いったんでき上がった社会の仕組みは、社会のコンセンサスがなければ決して変わらない。 そして、その前提となるのは透明性と公開性であり、これがない改革は必ずつまずく。 こうした仮説のもと、雇用、教育、社会保障、地域社会、政治、さらには日本人の「生き方」までを規定している「慣習の束」がどのようにでき上がってきたのかを、歴史的事実と豊富な参考文献に基づいて丹念に解き

「韓国の現代政治史」をコンパクトにまとめた本だと理解した。立場は中立にして冷静。これを読まずに韓国政治について語ってはいけないと思う。 連続する大統領の悲劇や反日など、この本の中では小事に過ぎない。それほど韓国内の政治対立は歴史的にも地域的にも根が深く、制度的にも心理的にも激烈で、とてつもなく複雑かつ深刻なのだ。これほどまでとは思わなかった。 朝鮮戦争は朝鮮

本書はHONZでも複数の記事があがっている人気の本だ(※)。それでも私が「追いレビュー」をすることにしたのは、それだけ強く心を揺さぶられたからだ。英国での著者親子の日常に触れ、熱い思いが体中の毛穴から噴き出しつづけた。めくるめく読書体験だった。 ※HONZ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』記事一覧 ・ 首藤淳哉のレビュー ・ 東えりかの著者インタ

スティーブ・ジョブズは自分の子供たちにiPadを使わせていなかった――彼はその影響力をもって世界中に自社のテクノロジーを広める一方で、プライベートでは極端なほどテクノロジーを避ける生活をしていた。デジタルデバイスの危険性を知っていたから。彼だけでなく、IT業界の大物の多くが似たようなルールを守っている。まるで自分の商売道具でハイにならぬよう立ち回る薬物売人み

歴史が未来を映し出す鏡であるなら、20世紀は私たちに何を見せてくれるだろう? 本書はとくに人類の意識・精神が、この激動の世紀にどのように変容したのかを描き出す。 かつてない破壊と解放をもたらした20世紀ーー科学・アート・文化などを横断しつつ、知られざる歴史の分岐や小径も見逃さない旅。ロックミュージックやビデオゲーム、SFや魔術思想などが、経済や政治の大きな転

発売前のゲラを読んだ読み手がこぞって絶賛し、話題になった『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(長いタイトルなので、『ぼくイエ』なんて愛称で呼ばれています)。この『ぼくイエ』は6月の発売以降、毎週毎週「1週間の売上記録過去最高!」を塗り替え続けており、勢いの衰える気配がありません。 ノンフィクションが、それもエッセイに近い内容のノンフィクションが、こ

重慶大厦=チョンキンマンションをご存じだろうか?知る人ぞ知る香港の九龍・尖沙咀地区にある個人住宅がメインの複合ビルで、香港の魔窟と呼ばれることもある。 ウィキペディア によると、そこには、南アジア・中東・アフリカなど、さまざまな国の出身者によるコミュニティーがあるらしい。そして、香港在住のタンザニア人たちも、夜な夜な何をするともなく集まってくる。 チョンキン

「なんとかしてこの体験を書かねば、吐き出さなければ、今後自分は文章を書いていくことができなくなってしまう。」 本書『ストーカーとの七〇〇日戦争』あとがきで、著者の内澤旬子氏が綴っている言葉。 本書はすでに発売直後に 東えりか と 栗下直也 がHONZで紹介している。それでも、著者の命を削るような文章に駆り立てられるものがあり、私もここで書かずにはいられなくな

本書は、NHKの『欲望の資本主義』シリーズを書籍化した第3弾である。 本シリーズはこれまで、資本主義とは何なのかという大きな問題に取り組んできた。今回は、国家の枠組みを超えて巨大化する「GAFA」と呼ばれるプラットフォーマーによる人類支配の懸念や、ブロックチェーン、仮想通貨への期待と不安が高まる中、今一度、資本主義の原点に立ち返り、われわれがこの巨大システム

HONZ代表の成毛眞は間違いなくある種の天才である。マイクロソフトジャパン社長時代の数々の伝説は言うにおよばず、このノンフィクションレビューサイトHONZにしたってそうだ。思いつきがやたらとおもしろい。 そのひとつに『表参道パルプンテの会』というのがあった。2017年の9月から1年間の期間限定で開催された秘密のパーティー(?)である。その目的は、「研究者、一

現在日本に在留する外国人の数は約264万人。日本の総人口が約1億2659万人で、在留外国人数はその約2%ということになるそうだ。ちなみに統計の取り方や外国人の定義に若干の違いはあるが、フランスは約12%、イギリスが約13%、ドイツが約9%というから先進国の中では日本はやはりまだまだ外国人が少ない国だろう。 だが一方で入国管理法が改正され新たに外国人労働者の受

大阪という町、世間ではどんなイメージで見られてるんでしょう?「お笑い」、「こなもん」、「ヒョウ柄のおばちゃん」、「えげつない」、「ガラ悪い」、とかでしょうか。 たしかにテレビでは吉本の芸人さん達が大阪弁で笑いをとりまくってます。それに、どうしてかわかりませんが、と~きょ~もんであっても、アホなことを言うたり、エロいことを言うたり、あるいは、ケチ臭いことを言う

インターネット上で起こる国家間の「サイバー紛争」。その引き金を最初に引いたのは米国だ。ジョージ・W・ブッシュ大統領の許可の下、米国家安全保障局(NSA)とイスラエルのサイバー戦部隊により、「オリンピック・ゲームズ作戦」と呼ばれる作戦が実行された。その作戦では、イランの地下核施設に「スタックスネット」と呼ばれるコードを送り、ウラン濃縮に使う遠心分離機を制御不能

数年前まで、都市づくり・まちづくりに関わるThink&Doタンクに勤める友人とルームシェアをして暮らしていた。特定の地域を舞台に、ローカルからどうその地域の課題を解消し、そのまちを面白くするか…を彼女が考えている一方で、当時の私は、ドキュメンタリー映画の配給を通じて、戦争や移民、環境破壊など、国境をこえた世界規模の問題について考える日々だった。 ミクロから見

『みんなの学校』をご存じだろうか?「ふつう」の公立小学校、 大阪市立大空小学校 のユニークな取り組みを紹介したドキュメンタリーのタイトルである。最初は2013年に 関西テレビのドキュメンタリー として放送され、2年後には 同名の映画 にもなった。 2006年に設立された大空小学校の初代校長・木村泰子は「すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる」ことに全力

ミチコ・カクタニをご存じだろうか。本を愛する者にとって彼女はまさに「雲の上の人」だ。1955年生まれの日系米国人2世で、ニューヨーク・タイムズ紙で34年間にわたり書評を担当した。辛口の書評で知られ、98年にはピューリッツァー賞(批評部門)も受賞している。英語圏で最も影響力のある書評家だ。 本書は、彼女が2017年に会社を退職して初めて世に問うた著作である。意

HONZで自画自賛本のコーナーが立ち上がったということで、この場を利用して『資本主義はどこに向かうのか―資本主義と人間の未来』を宣伝させて頂きたい。 今回は、資本主義研究会が公益財団法人生存科学研究所の自主研究事業として、過去約30回にわたって開催してきた「資本主義の教養学 公開講演会」シリーズの中から、人間という存在を自然科学的・社会科学的な見地から総合的

ーもう一冊の新刊『女たちのテロル』も面白く拝読しました。100年前に自ら権利を勝ち取るために命を懸けて戦った女性たちがいたことを知ってなんかやらなくちゃいけない、と焦る気持ちちになりました。実は本を読んですぐ「文子と朴烈」を見に行ったんですよ。本から得た情報と映像が放つリアリティで息が詰まりそうになりました。 ブレイディ: それは作品にとって本望ですよ。主役

ー私はブライトンという町について全く知らなかったので、地図から探してみたのですがロンドンの南なんですね。 ブレイディ :そう、繁華街は海の近くにありますが、うちは海からバスで2・30分くらい離れたところの高台です。海辺はもともとリゾートで、ゲイカルチャーがさかん。ヒップで、おしゃれな店がたくさんある場所です。芸能人が別荘を持っていたり、芸術家たちなどが移住し

―発売3日で大増刷だそうですね。おめでとうございます。編集部から見せていただいた、書店員さんからの熱い反応はすごいですね 。 ブレイディみかこ(以下、ブレイディ) :ありがとうございます。皆さん熱心に読んでくださって嬉しいです。 ―この本を読み終わって思ったのは「こんな息子、欲しいなあ」でした。聡明で、ちょっとシャイで、彼の成長や事件を、近所のおばちゃんみた

今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこの本を読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好

歴史学者と探検家は同じ目をしている。といってもインディアナ・ジョーンズの話ではない。安楽椅子探偵とハードボイルド探偵ほど違う存在がともに事件の解決を追い求めるように、古文書を掘り起こして歴史の細部から埃を払う歴史学者と、命をかける大冒険で世界の辺境に旅をするノンフィクション作家とは、実は同じものを求め、同じところを見ている。彼らは異世界を見て、異世界に旅する

「難民」というと、ヨーロッパへと海を越えていく怒涛のごとき難民の写真や映像に驚いた記憶も生々しいが、実際は、9割がアフリカや中東など当事者の国の近隣国にいる。しかも、長期化が甚だしく、その年数の平均はなんと26年! 世界の難民の数は2500万人強、となると、どう考えればよいものか。その経済生活のリアルを、住みこみリサーチし、レポートしているのが本書だ。 とに

「自分のやっていることは正しい」と信じて疑わない人が苦手です。 大学生の頃の話です。授業が始まるのを待っていると、見慣れない男女のグループが教室に入ってきてビラを配り始めました。何が書いてあったか細かい内容は忘れてしまいましたが、手元のビラに目を落としていると、パァンという高い音とともに「失礼だろこの野郎!」という怒鳴り声が響き渡ったのです。 声の主は明らか

21世紀の戦争は、戦車や大砲による物理的な戦闘よりも、主にソーシャルネットワーク(SNS)を使った情報戦が重要になった。SNSによって劇的に様変わりした新しい戦争の姿を描いたのが本書である。 ここでいう情報戦とは、相手の情報を奪い取る戦いではなく、いかに自分たちに有利な印象を信じ込ませることができるかといういわゆるプロパガンダ合戦のことだが、従来は国家権力や

ここ10年あまり、一人暮らしの老母を誘い、年に一度は温泉旅行に出かけている。毎年楽しみにしているが80歳を超えたころから足腰が弱くなり、バリアフリーの旅館を選んでも不満が残ることが多くなった。 そんなときに見つけたのが本書である。世界32か国もの温泉を巡って取材し、温泉専門のライターとして活躍する山崎まゆみが、高齢者や障がい者の旅行に同行して実地を検分、自ら

読者を選ぶ本だろう。タイトルからは内容を想像できず、目次を眺めたら困惑してしまうはずだ。第1章「どすこい貧乏、どすこいセックス─女力士はエイリアン」から始まり、この調子で第12章「ババア一擲─なにがわたしをこうさせたか」まで続く。あえて書評らしく紹介すれば、「アナキズム(無政府主義)を専門とする著者が現代の課題を先人の生き様と結びつけ、型にはまらない文体でそ

「爆買いから爆セックスへ」。手に取るのを敬遠してしまいそうな帯だが、先日、『八九六四』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した書き手の作品と聞けば買いの一手だ。とはいえ、「爆セックス」が受賞後第一作とは幸なのか不幸なのか。 「はじめに」で著者が指摘するように、カネや食のように人間の欲望を反映する営みで社会を読み解くのは非常に有効である。エロも然りである。いや、

「Facebookがあなたについて知っていること」。そう検索してみると、似たような趣旨のタイトルがいくつもヒットする。「あなたのすべてを知っている」、「隠しているはずのことまで知っている」、「気づかないうちに追跡されている」。確かに気味の悪い話だが、では実際のところ、私たちは「どれほど」アルゴリズムに支配されているのか? 数学者である著者は、さまざまな研究に

平成が終わった。元号なんて日本でしか通用しない、世界は西暦だ、などと言われてしまえばその通りなのだが、大学入学で上京したのが平成元年だったこともあって、個人的にはやはり平成の終焉は感慨深いものがある。 平成とはどういう時代だったのだろうか。 平成元年、1989年12月29日に日経平均は史上最高値の3万8915円87銭をつけた。ところが翌年1月から株価の下落が

本書の題名は『ネオナチの少女』となっているが、著者のハイディ・ベネケンシュタインは自らを「ネオナチ」とは定義していない。「ネオナチの人々とは、思想も生い立ちもまったく違う」と言い切る。彼女はかつての自分を「ナチそのもの」だと定義する。 現代の若い女性が「ナチ」を名乗るのは少し奇異に感じるが、本書を読み進めるとすぐに合点がいく。 彼女の祖母はヒトラーユーゲント

永野さんに初めてお会いしたのは1982年頃だった。彼は既に名を馳せたバリバリの兜町担当の日本経済新聞記者で、私は人事異動で初めて証券局勤務となった新米の課長補佐。当時の日本は第一次石油ショックの教訓を生かし、先進国の中では比較的うまく第二次石油ショックを乗り切ったころで、世界における日本のプレゼンスが高まりつつある時代であった。行政上の課題として二つの「コク

まず本の表紙をよーく見ていただきたい。 きれいな女性だが、どこか人工的な印象を抱かないだろうか? 肌の質感はなんだかプラスチックを思わせるし、髪も地毛だけじゃなさそうだ。なによりも「目」が明らかにナチュラルではない。こんなに目の大きい人物がいるだろうか。しかも黒目にも細工が施されているみたいだ…… あなたが抱いた印象は間違いではない。この女性の顔は加工されて

本書(The Great Economists, 2018)は、経済学説史上の巨人たちならば、現在私たちが直面している問題についてどう答えるか、想像をめぐらした書だ。経済学の古典を読んだ人なら、誰もが興味の湧くテーマではある。ところがそれを実現した研究者は稀だ。というのも時代は移り、国内外の政治も二転三転して、巨人たちが生きた過去と現代とでは市場環境は激変し

コンビニのレジの人、どこの国の人だろう? 技能実習生が失踪って、なぜそんなことに? 移民に関する政策ってどうなっている? 日本に「暮らす」在留外国人はすでに263万人、日本の人口の約2%だ。ただ、その内訳は思った以上に複雑だ。周りに外国人は増えていくのに、自分は対応できていないような。この、大きすぎてわからない問題をクリアに「見える」化してくれる、しなやかな

世界ナンバーワンの超大国の米国で、なぜトランプ大統領が誕生したのか。 本書は、新世界を信じた夢想家たちとその末裔が創り上げた米国という「ファンタジーランド(おとぎの国)」の今日に至る500年の長い道のりを、他に類を見ない説得力をもって論じた、全米話題のベストセラーである。 本書で示されている米国の実態は衝撃的である。 例えば、米国人の3分の2が「天使や悪魔が