
地を這う新型コロナウイルス禍メモワール、60職種77名による『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』
新型コロナウイルス、誰一人として影響がなかった人はいないだろう。しかし、その影響の受け方は、それぞれの人によって違う。いまさらながら、そのことがよくわかった。 緊急事態宣言が出された4月7日あたりから、ゴールデンウィークの頃まで。 総勢77名 の人たちによる日記である。どのように依頼されたのか、どのように編集されたのかは定かでない。ひとりあたりのページ数は似
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新型コロナウイルス、誰一人として影響がなかった人はいないだろう。しかし、その影響の受け方は、それぞれの人によって違う。いまさらながら、そのことがよくわかった。 緊急事態宣言が出された4月7日あたりから、ゴールデンウィークの頃まで。 総勢77名 の人たちによる日記である。どのように依頼されたのか、どのように編集されたのかは定かでない。ひとりあたりのページ数は似

スーパーパワーの1つであり、世界でも存在感を増していく中国。しかしこの国の輪郭をつかむことは難しい。中国国家が語る中国と、中国人が語る中国との間には、同じ国とは思えないくらいの大きな差異が存在するはずだ。 しかしその差異をあぶり出すには、さらなる困難が伴う。ほかの国であればインターネット上の声を拾っていけば容易なはずだが、そこにはグレートファイアウォールと呼

この『万物創生をはじめよう』は、最初期のVR技術の探求、起業者であり、VRの父と呼ばれる(バーチャルリアリティという言葉の発案者でもある)ジャロン・ラニアーによる自伝的な一冊である。幼少期からはじまり、VRとは何なのか、どこを目指すことが可能なのかというVRそれ自体への問をはさみながら、彼が設立したVR系企業VPLリサーチを去る92年までが描かれていく。 ジ

数年前のこと、ツイッターで奇妙な動画を見た。揃って白いシャツにジーンズを身につけた大勢の若者たちが、「リア充爆発しろっ!」と大声で叫んでいる動画だ。声を揃え息を合わせ、大声で唱和している。「なんだこりゃ?」。 どれどれと検索してみると、ある大学で行われている「ファシズムの体験学習」だという。どうやらその動画は、周りで見物していた学生が撮ったものらしいが… 甲

ハッサン・ダムルジは肝が据わっている。 本書(原題The Responsible Globalist)がイギリスで出版されたのは2019年秋。イギリスではEU離脱をめぐる国内対立が深まっており、アメリカのトランプ政権はメキシコからの移民取り締まりを強化し、米中は貿易戦争を繰り広げていた。 自国ファースト、反グローバリズムのうねりが高まるなか、本書の取材を続け

6月に入り閉店していた店舗も続々お店を再開しています。待ちわびていた読者も多いのか店頭の売上は好調です。学校の夏休みも短くなりそうななか、夏の書店店頭にはどんな本が並ぶのでしょうか。 まずはノンフィクションの予約ランキングから。2020年6月19日時点の予約受注実績から7月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販

発売日は先月5月8日。ひっそりと世に現れていた奇書だ。著者のジェフリー・ルイスは核不拡散と地政学の専門家だという。原題は「米国に対する北朝鮮の核攻撃に関する2020年委員会報告書」つまり2020年に勃発した北朝鮮の核攻撃を3年後に公式報告書にまとめたという体裁をとっているシミュレーション小説だ。 金正恩の核ミサイルで攻撃されたのはソウル、釜山、東京、ニューヨ

きゅうりをそのまま実らせておくと、どうなるか知っていますか?巨大になり、黄色くなっていきます。普段食べている緑色のきゅうりは、未熟なものなんです。インド北部、ヒマラヤ山麓原産で、日本では平安時代から栽培されています。 旬真っ盛りのきゅうりを使ったレシピを2つご紹介しましょう。 メロンときゅうりを一口大に切り、モッツァレラチーズをちぎり、オリーブオイル、

2019年ノーベル経済学賞受賞者が、移民、経済成長、気候変動、経済格差などの大きくて複雑な社会問題について切り込んでいく一冊だ。 経済学って小難しくてとっつきづらい。人の心理を単純化しすぎで、実感が湧かない。そもそも経済学って、どれほど世の中の役に立つのか? そんな疑問を持つ人も、一度手に取ってみてほしい。さわりを読むだけでも、よくある経済学の入門書とは様子

2007年、シリアの砂漠地帯で密かに建設されていたアルキバール原子炉を、イスラエルが空爆した。イスラエル政府がこの攻撃を公式に認めたのは18年になってからだ。本書は、秘密裏に行われ、その後もイスラエルが黙秘してきた原子炉攻撃の全貌と、その意思決定プロセスに迫ったノンフィクションだ。 遠い中東の話だが、私たちにも深く関わる問題だ。なぜなら、シリアの核開発に関与

20世紀後半に発達したデジタル技術は読書の形態を大きく変え、電子ブックを身近なものにした。では、紙の本から電子ブックへの転換は、人間の情報収集と脳の働きにどのような変化を生むのだろうか?そうした疑問に明快に答える啓発書が出た。 確かに電子ブックと紙の本の両方に長所・欠点がある。電子ブックはどこでも読めるし、蔵書のスペースも不要だ。だから一気に広まったが、紙の


2017年の東京都議選の前に「隠し球」として出版されたのが、小池百合子「ファースト」写真集『小池百合子写真集 YURiKO KOiKE 1992-2017』でした。 そのときのデータ からは、写真集としては異例のクラスタが見え、品格のあるステキな年の重ね方や生き方を求める方たちにとっての、ロールモデルとしての「小池百合子」という存在が強く見えてきました。 そ

人類は化石燃料に支えられた世界からの脱却を試みている。石炭や石油といった過去2度の産業革命を支えた燃料から、再生可能エネルギーへと舵を切っているのだ。ただ、この流れには落とし穴があるとフランスの新進気鋭ジャーナリストが警鐘を鳴らす。 地産地消型の再生可能エネルギーの普及は、化石燃料由来の温室効果ガスの抑制と中東など一部地域に偏重する資源から脱却できると信じら

鴨長明の『方丈記』には、有名な「ゆく川の流れは」の後に、次のようなことが書かれている。美しい都で競い合うように並んでいた建物も昔からあるものはまれだ。火事で新しくなったもの、没落して小さな家になったものなど、同じものはない、と。 鴨長明が見た中世の都よりも極端なのが現代の東京かもしれない。世界的に見ても驚くべき速度でスクラップ&ビルドが繰り返され、わずか数年


「世の中にこんなに面白い芝居があるのか」 初めてつかこうへいの芝居『ストリッパー物語・惜別編』を観た、紀伊國屋ホール支配人(当時)、金子和一郎氏の感想です。時は1975年暮れ、場所は青山のVAN99ホール。1960年代に「アイビー・ルック」で一世を風靡した服飾メーカー「ヴァンヂャケット」が、73年3月に、青山通りに面した同社別館一階にオープンしたのが、このホ

子供から「赤ちゃんはどこから産まれるの?」と訊かれたら、どう答えるだろうか。一般的には「コウノトリが運んでくるんだよ」と答えることになっている。本書のテーマである芸術的創造も神聖化されることが多い。しかし本書は、黙ってお母さんのお腹を指さすアプローチだ。「芸術的創造がどこから産まれるのか」について、最新研究に基き核心に迫っているのである。 様々なレビュアーが
これまで大きな病気をしたことがない。もちろん入院経験はゼロ。それどころか、風邪と下痢をたまにするくらいで、インフルエンザに罹った記憶もない。63歳にもなってこれではちょっとあかんのと違うか。 友人に聞いたら、なんやかやと薬を飲んでいるのが多い。そうか、薬を飲んだらひょっとして一人前になれるかもと、中性脂肪の値がボーダーくらいなので、高脂血症治療薬を処方しても

prime videoで 『築地ワンダーランド』 を観たのですが、素晴らしい映画でした。本作は、移転前の築地市場にて初めて1年4ヶ月に渡る長期ロケを敢行し、魚のプロフェッショナルたちの日々の営みと使命感に満ちた生き様に迫るドキュメンタリーです。 この映画に登場した魚屋が近所にあり、先週末行ってきました。鮮度や質は言うまでもなく、スーパーでは見かけない魚もたく

岐阜県揖斐郡徳山村のダム建設は1957年(昭和32年)に計画された。村は水没するため、住民は集団移転地と移転補償金を手にした。ダムが完成し注水が始まったのが2006年9月。計画から50年後だ。 著者が東京から徳山村まで通い始めたのは1993年。廃村のはずが数世帯のお年寄りが暮らしていた。なかでも村の最奥、門入(かどにゅう)に住む廣瀬司さんとゆきえさん夫妻を頻

本書は「事業再生のプロ」冨山和彦のビジネスマン人生の集大成ともいうべきものである。 産業再生機構COO(最高執行責任者)として八面六臂の活躍をした著者だが、彼が去り、跡を継いだ産業革新機構や政府の経済運営は、すべてを金融政策に押しつけて現実から目を背けてしまった。 そうして水面下に潜ってしまった日本経済の病理を鮮やかにあぶり出したのが、今回のコロナショックが

高度に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない。英国のSF作家アーサー・C・クラークの言葉である。身の回り、本当に魔法だらけだ。 魔法中の魔法といえば人工知能だろう。色々なタイプの人工知能の基本的な原理と、それらがどのように開発されてきたかについての本が、『スマートマシンはこうして思考する』である。 トップは、米国の国防高等研究計画局が主催した自動運転のコン

本屋さんに行っても絶対に手に取りそうもない本が送られてきた。それも、人生論やのに、タイトルが『あなたは酢ダコが好きか嫌いか』とは、どういうこっちゃねん。と、訝りながらパラパラッとめくり始めたが最後、あまりに面白くて、文字通り一気に読み切ってしまった。 佐藤愛子さんと小島慶子さんの往復書簡だ。佐藤愛子さんのご本は読んだことがある。しかし、小島慶子さんは名前も存

世界が激動・混迷するこの時代、「おっさん」たちは何かと悪役にされていた。 トランプ大統領が誕生したのはおっさんのせいで、EU離脱もおっさんのせい。(中略)セクハラもパワハラもおっさんのせいだし、政治腐敗や既得権益が蔓延るのもおっさんたちのせい。 どこの国でもそうなのか、諸悪の根源のように言われている巷のおっさんは本当にそんなにひどいのか。 中学生の息子の見た

この2ヶ月間、彼女を見かけない日があっただろうか。テレビや新聞、ネットで私たちは毎日のように彼女の姿を目にし、彼女が語る言葉に耳を傾けてきた。誰もが彼女の顔と名前を知っている。そこには見慣れたリーダーの姿があった。 だが本書を読んだ後は、奇妙な感覚にとらわれるに違いない。彼女のことを確かに知っていたはずなのに、急に見知らぬ人間のように思えるからだ。そして次の

夏の甲子園中止が決まり、今年は戦後初めて「甲子園のない年」になることが決定した。誰がどんな言葉をかけようと、選手たちの無念、悔しさが晴れるはずがないのは言うまでもない。野球に限らず、さまざまなスポーツで集大成の場が失われてしまった。 県単位で夏の大会の開催を模索する動きは出てきている。緊急事態宣言解除を受け、当面は無観客試合ながらプロ野球の開幕日も発表された

先日、毎年恒例となる上半期ベストセラーが発表されました。『鬼滅の刃』の勢いに目が行きがちですが、ビジネス書では『FACTFULNESS』が昨年の年間ランキングに続き1位を獲得し、その人気を見せつけました。『FACTFULNESS』は2019年1月発売の作品ですので、「まだ売れてるのか!」という感想を持った方も多いのではないでしょうか。売れ方を見たところ面白い

最近、自宅のベランダでハーブを育て始めました。雨が強いと倒れてしまったり、なめくじに葉をかじられたりと、なかなか手がかかりますが、日々の成長が楽しみです。間引きのためバジルの葉を収穫したので、マルゲリータにのせました。 自宅で簡単にできるピザ生地のレシピを紹介します(4枚分、冷凍可)。強力粉と薄力粉(合わせて3カップ)、ドライイート大さじ3、塩小さじ1/2に

プロ棋士への道は、険しい。かつて米長邦雄・永世棋聖が「兄たちは頭が悪いから東大に行った。私はよかったから棋士になった」と話したように、プロ棋士を目指す奨励会は日本有数の「頭脳集団」ともいわれる。だが、ひたすら将棋に打ち込むエリートたちの中でも、中学生にしてプロ入りした「天才」は長い歴史の中でわずか5人にすぎない。加藤一二三、谷川浩司、羽生善治、渡辺明、そして

2019年8月に病のため47歳の若さで亡くなった瀧本哲史さん。彼はずっと若者世代である「君たち」にメッセージを送り続けてきた。『2020年6月30日にまたここで会おう』は、瀧本さんが2012年に東京大学伊藤謝恩ホールで行った講義を1冊にまとめたものだ。生徒の参加資格を29歳以下に限定し、全国から約300人の10代・20代が集結したという。2時間にわたる講義の

人類学者が各々のフィールドで獲得した情報を綴った本は不思議と驚きの源泉である。世界にはまだまだ知らないことがあることに喜びを感じることができ、人類が辿ってきた進化の道筋への想像力を豊かにする。暗黙の前提を明るみにし、常識だと信じていた基礎をぐらつかせる。 人類学者がいなければ、聞かれることもなく、知られることもなかったフィールドの人々の知恵を集めてきた。フィ

「性転師」とは、性別適合手術を受けるために海外に渡航する人を手助けする「アテンド業」に携わる人々を指す。もちろん正式な職業名ではない。本書の造語である。 「師」という字は、詐欺師や地面師といったなにやら怪しげな仕事を連想させるが、著者はこの言葉に、医療従事者でもないのにリスクを伴う手術に一民間人が関わらざるを得ない状況を込めたという。グレーな領域に関わる仕事

マル経=マルクス経済学が復活の兆しらしい。そんな話を、半年ほど前、内田樹先生から聞いた。なんでも、石川康宏氏との共著『若者よマルクスを読もう(略称:若マル)』シリーズがけっこう売れているというのだ。それだけだと、ふ~ん、という感じなのだが(ウチダ先生、ごめんなさい)、経済学がご専門の先生も同じことをおっしゃっていた。 マルクス主義に基づいた社会主義国家がこと

この『今日のわたしは、だれ?』は、2014年に58歳で若年性の認知症の診断を受けた女性が綴ったブログ記事を中心にまとめたエッセイ/体験記である。 認知症といえばしだいに記憶が失われていき、簡単な単語が思い出せない、見えているはずのものが見えなくなる、「わたし」そのものが壊れていくような病気として知られている。本書の著者ウェンディ・ミッチェルは、認知症を発症す
コロナ禍で、改めて社会からの注目と敬意を集めている医療現場。近年は、テレビドラマでも毎クール必ずといっていいほど医療現場を舞台にした作品が放送されている。 人の命に密接に関わる医療の世界と医師という存在に対して、私たちはどこか、特別な感情を抱きやすい。だが、医師たちも同じ人間。彼らにも病は等しく降りかかる。 本書『患者になった名医たちの選択』は、病にかかり「

先日、豆苗を育てはじめました。と、言っても、スーパーで売っている豆苗の根を水につけているだけです。毎日水を変える必要があるので、容器は2Lのペットボトルをくり抜いたものを使っています(蓋を開閉して水を交換できるので手がぬれない)。 豆苗はサラダやスープ、炒め物など、幅広く使えますが、オーブン料理の付け合わせにもオススメです。豚肉ときのこのザーサイマリネには豆

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである──よく耳にする言葉である。しかし、組み合わせの新しさにも程があるだろう。本書は新約聖書の物語を、なぜか広島ヤクザ風に語り直して紹介し、それらを題材とした美術作品の読み解き方を教えてくれる一冊なのだ。 かの有名な「最後の晩餐」のシーン。イエスは周囲の面々にこう告げる。「言うとくがの。この中にわしのことを密告(チン

HONZの基本は「ノンフィクション本」だ。だがこの小説だけはどうしても紹介したい。 いま、この文章を書いているのは2020年3月末。世界中が新型コロナウィルスによる感染症のパンデミックと戦っている真っ最中である。 この病気は、最初は普通の風邪の顔をしている。だからみな油断していた、見くびっていた。それゆえ対応が遅れた。 日々増えていく感染者の数。制限される生

二週間前はまだ連休だったことが信じられない。どこにも出かけないGWはあまりにも一瞬すぎて、何をしていたのか早くも記憶がなくなっている。巣ごもり生活にもすっかり慣れ、むしろ快適に感じるくらいだ。これから自粛が解かれていったとしても、しばらくは遠出なしで平気だとけっこう本気で思っている。 本書を読んで、そんな気持ちが変わってきた。日頃の外出は減るとしても、やっぱ