
社会 / HONZ客員レビュー
『移民が導く日本の未来 ポストコロナと人口激減時代の処方箋』
日本は移民がつくった国である。約3.8万年前の対馬ルートを皮切りに、3.7万年前の沖縄ルート、2.5万年前の北海道ルートなどいろんな人々が渡ってきて日本列島に住み着いた。それが我々の祖先である。移民がつくった国なのに、なぜ、現在の日本の人々は移民という言葉に過剰反応するのだろう。本書は、少子高齢化に伴う人口減少を日本の最大の危機と捉え、既に外国人なしでは日本
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社会 / HONZ客員レビュー
日本は移民がつくった国である。約3.8万年前の対馬ルートを皮切りに、3.7万年前の沖縄ルート、2.5万年前の北海道ルートなどいろんな人々が渡ってきて日本列島に住み着いた。それが我々の祖先である。移民がつくった国なのに、なぜ、現在の日本の人々は移民という言葉に過剰反応するのだろう。本書は、少子高齢化に伴う人口減少を日本の最大の危機と捉え、既に外国人なしでは日本

この本の帯は傑作だ。そこにはこう書かれている。 「京都で人が殺されていないところはない」 1200年の歴史を繙けば、戦乱で都が荒廃した時代もあるし、いかにもそこら中で人が死んでいそうだが、これは小説の話だ。 京都に住み、京都を舞台にしたミステリーを書き続けた作家といえば、山村美紗である。22年間の作家生活の中で200冊以上の本を出し、売り上げは3200万部を

タイトルが結論である。装丁は黒を背景に白文字、力強いフォント、白と黒を反転させた帯。脱線のない文章で、余計な虚飾もなく、淡々と展開される。表題の結論の骨格に、4人の経営者の物語で肉付けしていく。安藤百福、小倉昌男、本田宗一郎、西山彌太郎、それぞれチキンラーメン、宅急便、二輪車、銑鋼一貫の製鉄所を作り上げた名経営者である。 直感で発想し、論理で検証し、哲学で跳

誰しも一度くらいは、スポーツで胸を熱くしたことがあるだろう。しかし、その理由を問われても、明確な答えにたどり着くことは難しいのではないか。例えばイチロー選手なら、技術とか、記録とか、勝負強さとか、語るべきことはたくさんあるに違いない。 だが、その核心をきれいに取り出すことなど、誰にもできはしない。多くのメディアは、最大公約数の受け取り手に向かって記事を作る。

『思考の整理学』で一躍有名となった外山滋比古さんが逝去されました。文庫版は250万部を超える大ベストセラーになり、今でも毎年毎年版を重ね続けています。今回はこちらについて見ていきます。 『思考の整理学』の刊行は1983年。1986年に文庫化されていらい長い間読み継がれてきた本でした。そんな動きが変わったのが2007年のこと、岩手県のさわや書店に「もっと若いと

著者は編集者、ノンフィクション作家として多くの有名人を取材する中で、一つの仮説を立てるようになる。人の性格はスポーツ歴に影響を受けているのではないか。個人スポーツか集団スポーツか、そして、集団スポーツならばどのポジションを担ったか。本書では、多くの取材をもとに、マラソンに野球、サッカー、格闘技にラグビー、ゴルフ、水泳など、各競技の選手や経験者に共通する性格を

人物 / HONZ客員レビュー
僕はスパイ小説には目がなくて、若いころはイアン・フレミングやジョン・ル・カレに耽溺したものだった。このジャンルは、なぜか、連合王国(uk、イギリス)のお家芸だが、本書も例外ではない。しかもフィクションではなく、これは実話なのだ。まさに「事実は小説より奇なり」を地で行く物語で、心臓をドキドキさせながら2日で一気に読み込んだ。あまりにも面白くて途中で止めることが

南極大陸。平均標高は2020メートルと高く、95パーセント以上が雪と氷に覆われた大地。内陸に行けば行くほど気温が低くなり、常時マイナス30℃を下回る。冬場には驚異のマイナス80℃を記録することもある。 そんな南極大陸内陸部、人間がいなければどんな生物もいない場所で、風すら吹かない時は、あまりの静寂ゆえに、己の心臓の脈打つ音や、血管を血が流れる音が聞こえてくる

言語はいつ生まれたのか。 この問いに何万何千年前のある瞬間──というわかりやすい答えがあるわけではない。そのうえ、音声記録など残っているはずもないから、遺跡や痕跡からその地点を確定させることも難しい。いまだに、人類史のどのタイミングで言語が生まれたのか、そこではどのような言語を使ったのか、様々な説があり、確かにこうだ! といえることはあまり多くはない。 ただ

このたび東京大学出版会から刊行された、エイブラハム・フレクスナーとロベルト・ダイクラーフ著『「役に立たない」科学が役に立つ』を読み、期待していた以上に深く考えさせられ、また心を動かされました。 著者の二人は、プリンストン高等研究所を可能にした初代所長(フレクスナー)と、現所長(ダイクラーフ)です。 初代所長であるフレクスナーは、なにしろアインシュタインやフォ
今や巨人となったスタートアップ企業の成功譚ではあるのだが、不思議な読後感をもたらす一冊だ。世間知らずの大学生によるウェブサービスが世界中へ広がっていく爽快感もなければ、急成長に浮かれて失敗するお茶目さもない。例えるなら、人気ファンタジードラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の重厚なタイトルBGMが延々流れているような世界観。その通奏低音の中に、人を物語へ強く引き

「待ってましたっ!」思わず声を掛けたくなる1冊だ。ウイルス学の泰斗中の泰斗、東京大学医科学研究所教授の河岡義裕教授による新型コロナウイルスの解説書である。ただし、最初に書いておく。この本は、新型コロナウイルス感染症がどう制圧されていくかを示す預言の書などではないということを。 新型コロナウイルスとはどういうウイルスなのか、現状で何がわかっていて何がわかってい

「中医学」とは中国伝統医学のこと。 著者 は日本人で初めて中医師の医学博士号(中医内科学)を取り、外国人として初めての中医内科主治医師資格を取得した。中国へ渡って25年、現在も上海で臨床に当たっている。 日本人にとって漢方薬や鍼灸治療は身近な存在だ。健康志向から薬膳に興味を持つ人が増えつつある。 中医学の治療思想の根本は「未病を治す」ことだと著者は語る。これ

もしかすると本書は20年代を代表する企業の経営について書かれた初めての本になるかもしれない。まだ7月だが今年のベストビジネス書はこの本で決まり?と言ってもいいくらい素晴らしい本だった。小売業で働く人は必読の1冊である。いまや日本を代表する企業となったユニクロを追い抜くかもしれない企業が現れたのだ。その名はワークマン。作業服専門店で知られるあのワークマンである

カリフォルニア州矯正局は先日、8月末までに約8,000人の服役囚を釈放すると 発表した 。理由は言うまでもない。世界の囚人数のうち約4分の1を収容するアメリカでは、刑務所内での感染拡大が深刻な問題になっている。考えてみれば「密」を避けるうえでこれほどハードルが高い場所もないかもしれない。同州では2月以降すでに約10,000人が解放されている。 いくら手に負え

『つむじまがりの神経科学講義』、どこかで聞いたようなタイトルである。ベストセラーになった拙著『こわいもの知らずの病理学講義』のパクリとちゃうの、と思った人、正解です。出版社は同じく晶文社で担当の編集者さんも同じ。それに、もう定年になられたが、著者の小倉明彦先生はかつての同僚教授である。 あとがきで、魚の縞模様を専門とするストライプ・近藤こと近藤滋教授と私を科

アリー・ハッサン・サラメ。テログループ「黒い九月」のメンバーで、1972年にイスラエル選手団が殺害されたミュンヘンオリンピック事件の中心人物とされる。黒い九月の解散後はパレスチナ解放機構(PLO)の幹部として活動。米中央情報局(CIA)とPLO議長アラファートの情報交換ルートとして機能した人物だ。 79年、サラメがベイルートにある自宅から20メートルほどの地

昨年、国連の経済社会局は現在77億人の世界人口が2050年に97億人に達すると発表した。食糧も資源も底をつき現在の豊かな生活水準を維持することはとうてい不可能で、増えすぎた人類はさらに地球環境を破壊する恐れがある。 人間と地球環境の関係について、時をさかのぼってみよう。人が環境に対して影響を与え始めたのは、約1万年前からである。農耕と牧畜という新しい技術を得

渋谷の書店で著者を見かけたことがある。 出版社の人と一緒に新刊の宣伝にでも訪れていたのだろう。棚の前でお店の人になにやら熱心に説明しているのは担当編集者のようだった。 その時の著者の様子が強く印象に残っている。 通路を通るお客さんの邪魔にならないように、プレゼンに熱が入り、動きが大きくなっていた編集者の背中を、さりげなく押さえたりしていた。本のPRそっちのけ

まもなく梅雨もあけ、夏本番。気温が上がると、食品の足もはやくなります。「あ〜これもうだめだわ」ポイっ。「うーん、これも危ないからやめておこうかな」ポイっ。そうやって食品とサヨナラする機会も増えるかもしれません。 世界では毎年、 生産される食料の3分の1にあたる、約13億トンの食料が捨てられている と言います。これは、東京都民1300万人が1年間で食べている量

本書は、大人たちの「夢を持て」「大志を抱け」という温かなアドバイスが数多の若者たちを苦しめている事実を剔出する一冊である。なんだそりゃ、軟弱すぎる、大袈裟だ、そんなわけない……などと憤る方は多いだろう。だが、大学の事務職員として学生のキャリア支援と講演活動を精力的に行ってきた著者は、一万人以上の若者の生の声を聞き、もはや看過できない域に達していると痛感する。

7月も書店店頭の賑わいが続いています。特にビジネスや経済系の本の動きが良くなっているようです。世の中はそろそろ夏休みシーズンに突入。今年は短い夏休みになりそうですが、8月の書店店頭にはどんな本が並ぶのでしょうか。 まずはノンフィクションの予約ランキングから。2020年7月17日時点の予約受注実績から8月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ラ

弁当といえば、高校時代を思い出す。ある日、一心不乱に弁当をかっ込みながらふと顔をあげると、弁当箱のふたで手元を隠して食べる女の子が目にとまった。なぜあんな食べ方を? 気になって背後からそっとのぞくと、煮物の汁が茶色く染みたごはんが見えた。ミニトマトやブロッコリーのような彩りのない地味な弁当だった。 途端に動揺してしまった。自分の弁当も似たようなものだったから

プロスポーツの試合が再開され、スタジアムに観客も戻ってきた。 だが野球もサッカーもすっかり様変わりしてしまった。withコロナ云々を言いたいのではない。もちろんそれもあるが、実は今回のコロナ禍以前に、野球もサッカーも大きく変質していたのだ。いま私たちが目にしているのは、これまでとは違う別の競技であるとすら言えるかもしれない。本書はこれを「ポスト・スポーツ」と

嘘の夢 嘘の関係 嘘の酒 こんな源氏名 サヨナライツカ 歌舞伎町 夢と希望と 欲望に うずまく町、町、人、人、町、町 心から会いたい会いたい探してたやっと見つけた売掛はらえ 威張るなよホストが凄い訳じゃない 死ぬ気で稼ぐ女が凄い 姫からの死角を探し姫を呼び 口を拭って姫から姫へ 今や「悪の巣窟」のように言われる“夜の街” 歌舞伎町のホストクラブやガールズバー
出版社の皆さまへ いつもHONZ宛に多くの献本をいただいておりますこと、厚く御礼申し上げます。 昨今のコロナ禍の状況から、HONZ事務局側でも完全リモート体制を引いており、献本を管理することについて厳しい状況が続いております。 大変恐縮ではございますが、献本の受け取り中止をご案内させていただくとともに、お送りいただいた書籍につきまして返送させていただきますこ

ナスがおいしい季節ですね。ナスはインドの東部が原産地とされ、日本には1000年以上前にもたらされました。平城京の長屋王邸宅跡から出土した木簡には「進物 加須津毛瓜 加須津韓奈須比」と書かれ、高位の者への進物にナスの粕漬けがあったことが判明しています。 ナスを使ったレシピは数多くありますが、ミートグラタンをご紹介しましょう。 まずはミートソースから。 1.刻ん

本書の著者・渋澤健は、日本の「資本主義の父」渋沢栄一の玄孫(やしゃご)だ。彼は、外資系金融会社や投資ファンドを経て、現在は長期の積立型投資信託を主軸とするコモンズ投信のファウンダー兼会長を務めている。 栄一が、その代表的著作『論語と算盤(そろばん)』で説き、実践した経営哲学は、倫理と利潤の両立を目指す「道徳経済合一説」である。著者は、こうした栄一の経営思想を

偉い人がいたものである。江戸時代、文政年間から大正元年まで生きた医師・ 関寛斎 。あまり有名とはいえないが、その人生はすごいの一言だ。 上総の農家に生まれ、儒家に養子として入り、世の中の役にたちたいと、蘭方医学の塾兼診療所であった 佐倉順天堂 に学ぶ。とりわけ貧しい塾生であったが極めて優秀で、塾の創始者・ 佐藤泰然 の弟子として、手術などの記録を「 順天堂外

昨年、石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞した、毎日新聞の好評連載「公文書クライシス」。本書はその取材班が、取材の手の内を明かしながら、ふたたび公文書の闇を照らし出したレポートである。記者たちは今なお取材を続けており、その追及は凄みを増している。記事を読んだ方にも、間違いなく一読の価値がある本といえる。 またもう一つ、本書の大きな読みどころとなっている

葛飾北斎は「為一」や「卍」など30以上画号を変え、90回以上も住居を変え(近所でぐるぐると回る説もあり)、描くテーマも浮世絵から漫画、さらに春画まであらゆるジャンルを描いてきた。私は北斎に強く影響を受けており、何より晩年作品の繊細さと完成度には、人の表現はここまで進化するのかと驚いた。 画家といえば、ピカソも長寿で多作である。その数は生涯14万点を超える。青

ポストコロナ、アフターコロナというタイトルや惹句がつく本が増えてきました。そんな中、コロナ時代を考える本として話題になっているのがこの『武器としての「資本論」』です。コロナ禍がここまでなっていなかった時期に書かれた本ながら、今の世の中を理解するために「資本論」がどう活躍するか、を易しく書いており、経済に詳しくない層にも高く評価されています。 この本の発売日は

政府の緊急事態宣言でSTAY HOMEを強いられた日々、楽しみは専ら食事だった。家で晩酌をする機会が多くなると美味しいお酒が欲しくなる。私は日本酒の魅力に嵌った。 著者も日本酒の魅力に取りつかれたひとり。17年前、アルバイト先の居酒屋で飲んだ一口が彼女の人生を一転させた。タイトル通り、いつも日本酒のことばかり、考えるようになってしまったのだ。 病膏肓に入り、

もうすっかり夏ですね。売り場に並ぶゴーヤを見たら、無性にゴーヤチャンプルーが食べたくなりました。ゴーヤは熱帯アジアが原産です。日本には16世紀頃に、中国経由で伝来しました。標準和名は「ツルレイシ」といいます。蔓性であり、ゴツゴツした果実の外観がレイシ(ライチ)に似ていることから名付けられました。 ちょっとの準備で格段においしくなる、ゴーヤチャンプルのレシピを

白いシャツにジーパン姿の約250人が室内で足を一斉に踏みならす。「ハイル、タノ」の大声とナチス式敬礼で指導者に忠誠を誓う。屋外に出れば、いちゃつくカップルを集団で取り囲み、「リア充、爆発しろ」と糾弾する。カップルを退散させた「田野帝国」の構成員は、拍手とともに目標達成を宣言する。 漫画のような光景だが、これは著者の田野大輔氏の授業の一コマだ。ファシズムを体験

遠い未来の地質学者が、私たちの生きる時代を調査したら、こんな結論に至るだろうーー「人類の影響による惑星規模の変化があった数々の痕跡が見つかる」。ノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェンらは、こうした大転換に、「人新世」という新たな地質年代を名づけることを提唱した。 本書は、人類の及ぼす惑星規模の変化を、テクノロジーの面から探究する。今や人類は、自然の仕組

職場のそばにわりと大きめの書店がある。いつの頃からか売れ筋の棚に「反日」や「愛国」を打ち出した本ばかり並ぶようになった。百田尚樹はその棚の常連である。一昨年出版された『日本国紀』もいまだに棚の一角を占めている。『日本国紀』は関連本をあわせ累計100万部を突破したというし、『永遠の0』や『海賊とよばれた男』のようなメガヒット作品もある。百田はいまもっとも売れる

2015年7月、アメリカはテキサス州プレーリー・ビューでの出来事。車を運転していたサンドラ・ブランドという若い女性が、ひとりの警察官から停車を命じられた。彼女が車線変更をする際に方向指示器を出していなかったというのだ。──そう、たったそれだけのこと。でも、たったそれだけのことが、それから思いもよらない展開を引き起こす。ブランドはその場で逮捕され、3日後に独房

著者の紹介から始めたい。デヴィッド・ロバート・グライムスは1985年アイルランド生まれの物理学者・ガン研究者で、BBCとアイルランド放送協会でコメンテーターとして活躍する傍ら、ガーディアン紙やアイリッシュ・タイムズ等で記事を執筆する科学ジャーナリストでもある。世論を正しい方向に導いた功績として2014年にジョン・マドックス賞を受賞した経歴も持つ、まさしく気鋭

桃がおいしい季節ですね。そのまま食べるのはもちろん、モッツアレラチーズと一緒にマリネしたり、クリームチーズを入れて白和えにしても最高です。しかし、桃を使ったレシピで一番のオススメは、桃のレモンクリームパスタです。先日、10分で作ったレシピがおいしかったのでご紹介します。 <材料> 桃、レモン、生クリーム、生ハム、チーズ、ニンニク (生ハムはなくてもOK。チー