ノンフィクションはこれを読め!

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『コロナの時代のぼくら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『コロナの時代のぼくら』コロナ後の我々は、何を守り、何を捨て、どう生きていくべきなのか?

日本では4月24日発売予定の、イタリアの小説家パオロ・ジョルダーノ*によるエッセイ『コロナの時代の僕ら』の全文が期間限定で公開されていたので、早速、読んでみた。 このエッセイは、イタリアでコロナウイルスの感染が広がり、死者が急激に増えた2月下旬から3月下旬に綴られたものだという。著者は、この本の印税収入の一部を、医療研究と感染者の治療に従事する人々に寄付する

『紳士と淑女のコロシアム 「競技ダンス」へようこそ』青春とは心の奥底にしまった段ボール箱のようなものである 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『紳士と淑女のコロシアム 「競技ダンス」へようこそ』青春とは心の奥底にしまった段ボール箱のようなものである

競技ダンスの世界にまったく興味はなかったが、それでも本書を読んでみようと思ったのは、この著者の作品であったことが大きい。 著者の二宮敦人氏は『最後の秘境 東京藝大』や『世にも美しき数学者たちの日常』など、身近にある知られざる世界を紹介することに長けた作家である。 本作は著者の自伝的ドキュメントノベルという形式をとっているが、これはプライバシーへの配慮によるも

巣ごもりして探求の根を伸ばせ 『13歳からのアート思考』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

巣ごもりして探求の根を伸ばせ 『13歳からのアート思考』

子供がウチで過ごす時間が増えている。我が家もその例にもれない。異なっているのは、一家の大黒柱たる私も一緒にウチにいることである。会社を辞めた私は、テレワークをする必要もない。ただダラダラとした時間を過ごしている。様々なものにボンヤリとした興味を抱きながら、目的を見いだすことができずにいる。そんな日々だ。 基本的には一緒にサッカーゲームやトランプなどをして遊ん

自分だけの答えが見つかる『13歳からのアート思考』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

自分だけの答えが見つかる『13歳からのアート思考』

唐突ですが、少し芸術史の話をします。 かんたんなアートの歴史です。本書の要約でもありますが、私個人の見解を入れさらに圧縮しています。アートって苦手と思う人ほど、ためしに読んでみてください。 タイトルにある「13歳」というキーワードですが、これは学校の好きな教科アンケート※で美術の時間がワースト1位になるタイミングだそうです。 ポイントは3人の芸術家になります

『草原の制覇 大モンゴルまで』 書影

世界史 / HONZ客員レビュー

『草原の制覇 大モンゴルまで』

本書は、「シリーズ中国の歴史」の第3巻である。中国という巨大な隣人。国は個人と違って引っ越せないので、相手を知り理解したうえで上手に付き合っていくしかない。人を知るにはまず履歴書をみるように、国を知るにはその歴史を繙くのが一法だ。 このシリーズは、巨大な中国を「草原、中原(華北)、江南、海域」の4つの地域に分ける。中国は、「東南アジア(海域世界)の北部と内陸

『下級国民A』格差社会が生み落とすもの、美しい国の不都合な真実 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『下級国民A』格差社会が生み落とすもの、美しい国の不都合な真実

本書は62歳で「住所不定無職」の新人作家として鮮烈なデビューを果たした作家、赤松利市が経験した、東日本大震災の復興事業に関するルポルタージュだ。 著者、赤松は35歳で起業し、一時は年収2000万円を超えていた。しかし、ある事情により会社は倒産。以後、厳しい生活を強いられる。 そんな折、東日本大震災が発生。土建業を営む知人の社長から相談を受ける。震災後の復興バ

『宮沢賢治の真実』 書影

人物 / 「解説」から読む本

『宮沢賢治の真実』

きっかけはいつも不意に訪れる。人生とはどうやらそういうものらしい。 丈夫な体だけが取り柄だったのに、仕事中に倒れ、人生初の入院生活を経験した。精魂傾けていた仕事を放り出し、おとなしくベッドで横になっているなんて想像すらしなかったし、その後、医師に命じられたジム通いで、まさか筋肉をいじめるマゾヒスティックな喜びに目覚めようとは思わなかった。 人生はいつだって偶

『週刊文春 3/26日号』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

社会 / 併せて読まれたこの一冊

『週刊文春 3/26日号』を買ったのは、どういう人たちなのか?

『週刊文春』3月26日号。森友問題で自殺した職員の手記はコロナ渦で揺れる市民の心を大きく揺さぶるものでした。大きな話題を呼んだこの1冊の週刊誌は発売2日目で「完売」となっています。 この『週刊文春』はどんな方に読まれたのでしょう。 そもそも『週刊文春』の読者はどういった層なのでしょうか?2020年1月以降の『週刊文春』読者を合算したものがこちらのグラフになり

『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』鎮痛薬が人々の命を奪う、恐るべき薬物汚染の実態 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』鎮痛薬が人々の命を奪う、恐るべき薬物汚染の実態

2019年4月、プロゴルファーのタイガー・ウッズがマスターズ・トーナメントで5度目の優勝を飾った。この優勝は、オピオイド(鎮痛薬)依存を克服しての勝利だったため「奇跡の復活」と称賛された。長く腰痛に悩まされ、鎮痛薬が手放せなくなっていたウッズは、17年に「薬物影響下での自動車運転」の容疑で逮捕されている。逮捕時の虚(うつ)ろな目をした写真を覚えている人も多い

今週のいただきもの:2020年3月22日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年3月22日週

真牡蠣の旬がそろそろ終わってしまいますね。生でも蒸しても焼いてもおいしい牡蠣ですが、先日、オイル漬けに目覚めました。作り方はビックリするほど簡単です。 90℃の塩水(水500cc、塩15g)に牡蠣を5分入れ(温度は下がってOK)、オリーブオイル、ローズマリー(orタイム)、唐辛子、にんにくに漬けるだけ。レモンを絞ってもおいしいです。冷蔵庫で保存する場合は、ひ

『巧拙無二 近代職人の道徳と美意識』武術家と刃物研究家との”真剣”対談 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『巧拙無二 近代職人の道徳と美意識』武術家と刃物研究家との”真剣”対談

※ ネットでは hontoで取り扱っています。 真剣での立ち合いを見るような、ヒリヒリと緊張感漂う対談である。 一人は武術家甲野善紀。日本古来の武術を伝書と技の両面から独自に研究している。もう一人は土田昇。東京の三軒茶屋にある土田刃物店三代目店主で、明治から昭和にかけて活躍した不世出の道具鍛冶、千代鶴是秀作品の研究家。父、一郎が遺した多くの手道具を所持し研究

『着せる女』は男のファッションバイブルだ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『着せる女』は男のファッションバイブルだ!

おおよそ世の中の中高年男性というのは、衣服を買いに行くのが苦手とちゃうんか。自分がそうだから、そう思うだけかもしれない。しかし、いつも買いに行くお店、たいがいが奥さん、あるいは、奥さんとおぼしき人と買いに来てるおっちゃんが多い。もちろん、わたしも妻についてきてもらう。 スーツやブレザー、パンツ、シャツ、思えば、ほとんどがその店である。特に似合うからとかいうよ

『餃子のおんがえし』何でも包んでしまう小宇宙 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『餃子のおんがえし』何でも包んでしまう小宇宙

私が料理なるものをやり始めたのは高校生の時だった。ずっと専業主婦だった母が、離婚を見据えて働き始めた頃で、弟や妹の食事の支度は私の仕事になったのだ。といっても別に料理好きでも何でもなく、とにかく食べ盛りの弟妹の空腹を満たすものを作るのだ。 年中作っていたのが炊き込みご飯。残り物の野菜だのツナ缶だの適当に放り込んでしょうゆ入れて炊く。ほぼ毎日作っていた。炊き込

『野球と暴力』「暴力なし」でも強くなれる! 書影

アート・スポーツ / 社会

『野球と暴力』「暴力なし」でも強くなれる!

新型コロナウイルス禍でスポーツイベントが次々と中止になっている。 春の選抜高校野球も残念ながら中止の憂き目にあった。甲子園でプレーするのを楽しみにしていた子どもたちは気の毒だが、その一方で、当たり前のようにあったものがなくなったことで、これまで放ったらかしにされてきた様々な問題を、あらためてゆっくりと考える時間ができたのではないだろうか。 たとえばそのひとつ

今週のいただきもの:2020年3月15日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年3月15日週

しらすがおいしい季節ですね。しらすとは、イワシ、ニシン、イカナゴなどの稚魚の総称で、一般に食されているのはカタクチイワシが多いです。茹でただけのものを「釜揚げしらす」、さらに天日干しすると「しらす干し」や「ちりめんじゃこ」と呼びます。しらす干しとちりめんじゃこの違いは乾燥度です。冷蔵技術がなかった時代は、傷みやすいしらすを都市部で食べることはできなかったため

『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』メガテクノロジーがもたらす世界の高速変化とは 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』メガテクノロジーがもたらす世界の高速変化とは

本書にも書かれているように、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は、これからの時代は「何をやっているかわからない人が強い」と言っている。 京都大学、東京大学修士、三菱UFJニューヨーク、米ハーバード大学理学修士、グーグルを経て、現在は日米にまたがるベンチャー投資のかたわら、ハーバード大学客員研究員やテレビコメンテーターなどを務める38歳。この世界では超有

これから出る本 2020年4月 書影

併せて読まれたこの一冊

これから出る本 2020年4月

新型コロナウイルスによる出版業界への影響は思わぬ方向に向かい、今店頭では児童書&子ども向けドリル&パズルのバブルが!また、コロナウイルス対策本も続々発売されてきています。4月の書店店頭はどんな様子になるのでしょうか。 まずはノンフィクションの予約ランキングから。2020年3月18日現在の予約受注から4月以降に発売になるタイトルを抽出し予約ランキングを作成しま

『ふくしま原発作業員日誌』原発作業員が安心して働ける社会を目指して 書影

社会 / 事件・事故

『ふくしま原発作業員日誌』原発作業員が安心して働ける社会を目指して

今年も3月を迎えた。2011年3月11日から9年が経ち、毎年震災本が出版され続けている。私も3月は震災ものを読むことを習慣としてきた。楽しみや興味本位からではない。「何も知らなくてごめんなさい。何もできなくてごめんなさい」といつも申し訳なく手に取る。 9年経った今、世の中は変わったのだろうか。現場の第一線で働く人の命と健康を守り、敬意を払う世の中になっている

舞妓さんの秘密――『花街と舞妓・芸妓の世界』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

舞妓さんの秘密――『花街と舞妓・芸妓の世界』

舞妓さん? 京都で歩いているのを見たことがあるかな。そう、多くの人にとっては、観光の景色のひとつか、映画の世界だろう。そこになんと、リアルな舞妓さんの世界を京都5ヶ所、東京7カ所、ほか全国各地を含め合計25カ所の花街で追究し、写真満載で紹介する豪華本が登場だ! 掲載された写真は、ざっと数えて630点は優にある(地図と図版を入れるともう少し増える)。しかも、大

『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』「貨幣とは何か?」というシンプルで極めて難解な問い 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』「貨幣とは何か?」というシンプルで極めて難解な問い

「貨幣とは何か?」「その価値の根拠はどこにあるのか?」 これは誰でも一度は考えてみたことがあり、古代ギリシアの哲人アリストテレス以来、多くの哲学者や経済学者によって考察がなされてきた、シンプルでありながら実は極めて難解な問いである。マルクスの言葉を借りれば、貨幣とは「形而上学的な不思議さに満ち満ちた存在」なのである。 本書は、日本を代表する経済学者で、稀代の

『探偵の現場』依頼の77%は不倫調査! 奇々怪々な日本の不倫現場ノンフィクション 書影

教養・雑学 / 社会

『探偵の現場』依頼の77%は不倫調査! 奇々怪々な日本の不倫現場ノンフィクション

探偵と聞くと、即座にユニークな名探偵たちの姿が思い浮かぶ。明晰な頭脳と驚異の観察眼を持ち、ヘビースモーカーで薬物中毒でもある世界一有名なあの顧問探偵。同じく英国発で灰色の脳細胞が自慢の小男。日本発ならボサボサの蓬髪に形の崩れた帽子を被りよれよれの着物を着た清潔感のない中年男、等々。 だが、悲しいことに彼らは架空の人物だ。実際のところ、街角で探偵社のポスターや

『震災と行方不明』喪われたつながりを求めて 書影

社会 / 事件・事故

『震災と行方不明』喪われたつながりを求めて

新型コロナウィルス禍によって東日本大震災3.11の政府主催の追悼式は中止となり、総理官邸での献花式が行われた。被災した各地方での追悼式も規模の縮小などを余儀なくされ、震災から9年目のこの日は、それぞれの胸の中であの日を思い出していた。 東北学院大学教養学部地域構想学科、金菱清ゼミナールによる震災の記録ブロジェクトから出版された震災関係の本はこれで10冊目にな

今週のいただきもの:2020年3月8日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年3月8日週

最近、家で過ごす時間が増え、以前より料理をするようになった方も多いのではないでしょうか。企業もそんな方のために、料理に役立つサービスを提供しています。 cakes では400以上のレシピが無料公開され、 クックパッド では有料だった人気順検索が無料できます。 自宅で料理をする際、何をつくるかに頭を使いがちですが、食材の管理も大事です。せっかく買った食材を、余

『昔は面白かったな 回想の文壇交友録』文壇を回顧する超高齢対談、見え隠れする死の影 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『昔は面白かったな 回想の文壇交友録』文壇を回顧する超高齢対談、見え隠れする死の影

「昔よ、もう一度」とノスタルジーに浸っていては、革新は生まれない。過去よりも未来を知りたいという意見も、もっともだ。だが、1930年代生まれ、卒寿に近い方々に「思い出に浸るな」というのは酷だろう。むしろ、人生100年時代が現実になりつつある今、回顧に回顧を重ねる本書は「超高齢者による高齢者向けの書籍」という新たなジャンルを拓(ひら)く一冊になるかもしれない。

『だれもが<科学者>になれる!』って嘗めとんのかっ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『だれもが<科学者>になれる!』って嘗めとんのかっ!

大学入試改革についての議論がにぎやかだ。現行の制度に多くの問題があることは間違いない。それ以前に、そもそも大学入試が目的化している教育の現状こそが問題ではないのか。 『だれもが<科学者>になれる』という書名を見た時には驚いた。科学者という生業はそんなに甘くないぞ。しかし、内容は、職業としての科学者ではなく、米国の小学校でおこなわれている「探究理科」教育につい

そうだったのか!『ウォーキングの科学』で健康に 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

そうだったのか!『ウォーキングの科学』で健康に

生活習慣病だけじゃなくて、がんや認知症の予防にまで適度な運動が望ましいとされてるらしいけど、適度な運動っていったいどれくらいやのん?よく受ける質問だが、どう答えたらいいかわからない。 ウォーキングがいいという噂なので、個人的には、3~4年前から1日1万歩を心がけている。雨の日や家に引きこもりの日もあるが、年間平均で1日あたり1万歩を超えていて、まぁ、ええ感じ

枕、本題、オチの奥深さ 『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

枕、本題、オチの奥深さ 『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』

オギャーと産まれ、人は学校や家庭や世の中などから色々なことを学んでいきます。若いってことは美しいもので「君たちはどう生きるか」なんてことを懸命に考えながら、成長していきます。それはまるで、地球に就職しているような時期です。 やがて企業に就職すると、視野は一気に狭くなり、経済的な価値が頭の中心を占めるようになります。そんな時期を長らく過ごして定年退職すると、ほ

『生き物の死にざま』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

サイエンス / 併せて読まれたこの一冊

『生き物の死にざま』を買ったのは、どういう人たちなのか?

テレビで取り上げられたものの売れ方というのは出版業界に限らない、大事なポイントでしょう。本についても「この人がテレビで薦めたら売れる」という方が何人かいます。ノンフィクション業界でのその筆頭格となっているのがカズレーザーさん。昨年9月に薦めた『ケーキの切れない非行少年たち』はこのオススメによって大ブレイクし、今に至っても高い売行きを見せています。 *グラフは

今週のいただきもの:2020年3月1日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年3月1日週

今年の春は、山菜をたくさん食べようと心に決めていました。うるい、こごみ、うど、せり、ふきのとうなどを天ぷらにしてよく食べています。山菜は下処理が面倒だと思うかもしれませんが、大した手間ではありません。うるいとこごみは水に、うどは酢水に10分ほどさらすだけでアク抜きができます。入手後すぐに下処理をすれば、冷蔵庫で数日保存可能です。せりやふきのとうはアク抜きなし

『戦争は女の顔をしていない 1』女たちの独ソ戦の記憶、決死の覚悟で求めたものとは 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『戦争は女の顔をしていない 1』女たちの独ソ戦の記憶、決死の覚悟で求めたものとは

発売直後から、私のSNSのタイムラインには「あの名作がついに」「まさかのコミック化」と、賛辞のコメントが相次いだ。独ソ戦という、日本ではあまり知られることのなかった出来事が、なぜこんなに多くの人の心を動かすのか? 思わず手に取らずにはいられなかった一冊だ。 原作は、2015年にノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのデビュー作である。独ソ

『2050年 世界人口大減少』と『人口で語る世界史』2050年以降の世界人口は減少に転じるのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『2050年 世界人口大減少』と『人口で語る世界史』2050年以降の世界人口は減少に転じるのか?

経営学者で未来学者のピーター・ドラッカーは、1985年の著書『イノベーションと起業家精神』の中で、未来予測における人口動態(demography)の有用性について、「人口、年齢、雇用、教育、所得など人口構造にかかわる変化ほど明白なものはない。見誤りようがない。予測が容易である。リードタイムまで明らかである」と語っている。 昨年6月に発表された国連報告書『世界

『ヒトの目、驚異の進化』「視覚の進化革命」がここから始まった 書影

生物・自然 / 「解説」から読む本

『ヒトの目、驚異の進化』「視覚の進化革命」がここから始まった

著者のマーク・チャンギージーは、1969年生まれの進化神経生物学者。カリフォルニア工科大学の特別研究員、レンスラー工科大学准教授などをへて現在はヒューマンファクトリー・ラボという研究所を主宰。認知と進化についての独創的な研究で世界的に知られ、数多くの論文を学術誌に発表している。その一方で、サイエンスライター、作家、さらにとくに本書第一章とも関係の

科学の歴史がこの一冊に!──『世界を変えた150の科学の本』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

科学の歴史がこの一冊に!──『世界を変えた150の科学の本』

この『世界を変えた150の科学の本』は、科学の歴史上重要とみられる科学ノンフィクションを150冊以上紹介した本になる。本は270ページだが、大判のフルカラーで、150冊の本の中身だったり図版だったり表紙だったりが所狭しと並んでいて、ずっしりと重厚で、中身が詰まっている。記述がおもしろいのはもちろんだが、図版などをぱらぱら見ているだけでも楽しい。 まだ本という

『がん免疫療法の突破口(ブレイクスルー)』ブレイクスルーに至る100年史 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『がん免疫療法の突破口(ブレイクスルー)』ブレイクスルーに至る100年史

「ブレイクスルー」は、いい言葉だ。日本語では「突破口」。「飛躍的進歩」とも表せよう。新しい技術の開発に携わる人は皆この言葉に憧れているし、その恩恵にあずかる人にとっても大変ありがたい言葉だ。がんの治療の世界で、今世紀に入ってから、まさにそのブレイクスルーが起こった。 2018年、ジム・アリソン氏と本庶佑氏が「がん免疫療法の開発」でノーベル生理学・医学賞を受賞

『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』あえて、幼い子どもがいる家庭にすすめたい 書影

アート・スポーツ / 人物

『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』あえて、幼い子どもがいる家庭にすすめたい

物心がつく頃になると、彼が世界のあちらこちらに散在する家族と電話で話すときに口にする様々な言語の響きを聴きながら、「一体この人にはどんな世界が見えているのだろう」と不思議に感じた 著者は、遺伝学上はアジア諸国の混血でありながら、東京でフランス国籍者として生まれた出自を持つ。さらに、子ども時代の言語獲得、濁音との共生、高校時代はパリでフランス語を、大学在学中は

新型コロナウィルスだけじゃない、伝染病のノンフィクションを読んでみよう! 書影

医学・心理学 / プレミアム・レビュー

新型コロナウィルスだけじゃない、伝染病のノンフィクションを読んでみよう!

この本の発売時に、まさか世の中がパンデミックの恐怖にさらされているとは、製作者は誰も思ってなかっただろう。しかし、感染症の歴史のアウトラインを知りたいという人にはぴったり。かなり重いので持ち運びはできないけど。 日本は海に囲まれて、いわば離れ小島のような存在だから、かつて歴史上で世界的な流行をした伝染病も、外からの災いであるという受け止め方をしていた。毎年騒

ドミニク・チェンって何者だ? 『未来をつくる言葉:わかりあえなさをつなぐために』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

ドミニク・チェンって何者だ? 『未来をつくる言葉:わかりあえなさをつなぐために』

この本、HONZの、そして新潮社の編集者でもある足立真穂から送られてきた。ドミニク・チェン、最近、ときどき目にする名前だが予備知識はまったくない。「ドミニク・チェンって何者なん?」とメッセージを送ったら、「それを聞かれるので書いてもらった一冊です」と返事が来た。さすが敏腕編集者、あざといことを言う。 そして読んだ。ドミニク・チェンが何者かがわかったかと尋ねら

今週のいただきもの:2020年2月23日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年2月23日週

先日、おいしそうな芝海老が安かったので唐揚げにしました。芝海老の名前の由来は、かつて東京湾の芝沖で沢山穫れたことから。現在の東京湾ではほとんど穫れず、主な産地は有明海や三河湾となっています。触角が赤いことから別名は「アカヒゲ」です。 長いひげのような角、剣、頭と尾の先を処理して、お酒を振って少し置き、水気を拭いて塩と片栗粉をまぶし、揚げるだけ。野菜と一緒にか

『クリーンミート 培養肉が世界を変える』若者たちは培養肉で新たな緑の革命を目指す 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『クリーンミート 培養肉が世界を変える』若者たちは培養肉で新たな緑の革命を目指す

2013年にマーク・ポストとピーター・フェアストラータというオランダ人研究者2人が、世界初の培養肉で作られたハンバーガーを発表した。培養肉でできたパテの値段は33万ドルという高額なものだった。 わざわざ動物の細胞を採取し試験管内で高価な肉を培養する必要があるのかと、いぶかる人もいるであろう。 そんな疑問に答えてくれるのが本書だ。本書は培養肉を「クリーンミート

『シン・ニホン』未来を予測するのに一番良い方法は、それを発明することである 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『シン・ニホン』未来を予測するのに一番良い方法は、それを発明することである

本書は10年前に発売された安宅和人氏の名著『イシューからはじめよ』の続編とも言える、ファクトベースの現状分析に基づいた、新たな時代に向けての日本社会への提言書である。 本書の主題は、冒頭にある以下の文章に集約されている。 「ほとんどの人は、あまりにも多くのことが変数として一気に動く目まぐるしさの中で、変化が落ち着く日を待っているようだ。でも、残念ながらそんな