ノンフィクションはこれを読め!

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336記事

『Gift-物語るケア』人はどう生きどう死ぬのか 看護・介護現場の貴重な証言集 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『Gift-物語るケア』人はどう生きどう死ぬのか 看護・介護現場の貴重な証言集

昨年、一人暮らしをする88歳の母の家を大きくリフォームした。足腰が弱くなり、生活に不安が出始めて、初めて今後の希望を聞くと、ヘルパーさんの手を借りて現状のまま家で暮らしたいと強く言う。 ならばと、ケアマネ、看護師、介護士、専門業者の知恵を借り、手すりをつけ段差を解消し、介護ベッドや高齢者用の台所を一気に導入してみた。 日常の動線を見直すだけで、こんなに変わる

『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『ウルトラセブンが「音楽」を教えてくれた』

1968年のまだ冬か春浅き頃のことだ。父が会社からシールのシートを一束持って帰ってきた。私は幼稚園の年少組から年中組に上がる頃。満4歳である。 シールは「ウルトラセブン」の番組宣伝用だった。父の勤める広告代理店は、TBS系列の日曜夜7時から30分間、大手製薬会社が単独でスポンサーをしていた番組枠を担当することを、大きな食い扶持ちにしていた。その枠で前年秋から

「知の巨人」立花隆のすべてがここに『知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

「知の巨人」立花隆のすべてがここに『知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと』

立花隆 といえば、誰がなんと言おうと言おうまいと『宇宙からの帰還』である。立花隆の最高傑作というだけでなく、日本のノンフィクションとして、他を全く寄せ付けない、世界に通用する空前絶後の作品だと断言できる。 1983年に出版されたその本以来、立花隆の本を何冊読んできたかわからない。それに、露出の多い人なので、ある程度のことは知っていると思っていた。しかし、この

再生可能エネルギーを前提としたインフラへと大転換するための道筋を示した一冊──『グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

再生可能エネルギーを前提としたインフラへと大転換するための道筋を示した一冊──『グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』

『第三次産業革命』、『限界費用ゼロ社会』などの著作でこれから先のエネルギー源、都市インフラについて一貫した提言を行ってきたジェレミー・リフキンによるこの最新作は、副題にも入っている通り、化石燃料文明の崩壊に備えて再生可能エネルギーを主軸にした新しいインフラを、今こそ整備するときであるという現状の紹介とこれからについての提言の書である。 現在、地球上では温室効

これから出る本 2020年3月 書影

併せて読まれたこの一冊

これから出る本 2020年3月

スタートダッシュで沸いていた出版業界も新型コロナウイルスの影響を大きく受け始めました。とはいえ、家でのんびり過ごす時は読書のチャンス。3月の書店店頭はどんな様相になるのでしょうか? まずはノンフィクションの予約ランキングから。2020年2月21日現在の予約受注から3月以降に発売になるタイトルを抽出し予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル等今後変更

『日本のアートマーケットが1兆円になる日』市場の夜明け 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『日本のアートマーケットが1兆円になる日』市場の夜明け

シェイクスピアの劇曲マクベスに "The night is long that never finds the day." 「明けない夜はない」という言葉がある。真意はどちらだろう。通常は「希望の朝は必ずやってくる」という例えだが、直訳すると「夜は永遠に明けない」という意味にもとれる。 いま世界の美術市場は7兆円、日本は150~200億円といわれる※。これは

今週のいただきもの:2020年2月16日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年2月16日週

弊社は今週からリモートワークとなりました。そうなるとつい朝ごはんが豪華になります。おとといは Marunouchi Happ. の丸の十勝パンを使い、スペシャルなトーストをつくりました。この食パンは表面をパリッと焼いても、中はもっちりとしていて最高なんです。 このトーストを4等分にし、レタスとトマトとクリームチーズ、ツナと水菜、塩豚と白髪葱と粒マスタード、せ

『イージス・アショアを追う』国の防衛政策を徹底検証、地方新聞の戦いの記録 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『イージス・アショアを追う』国の防衛政策を徹底検証、地方新聞の戦いの記録

発端は、読売新聞の記事だった。2017年11月11日の朝刊で「イージス・アショア」という新たなミサイル防衛システムを国が導入するにあたり、秋田と山口が配備先に挙がっていると報じた。 地元紙・秋田 魁(さきがけ) 新報の記者たちは当初、イージス・アショアがどのようなものか知らなかった。だが、自分たちの街がミサイル防衛の最前線に位置づけられそうになっていることだ

『孤塁』初めて語られた双葉郡消防士たちの「あの日」 書影

社会 / 事件・事故

『孤塁』初めて語られた双葉郡消防士たちの「あの日」

あの日、あなたはどこで何をしていただろうか。 2011年3月11日、福島県双葉郡では、多くの学校で卒業式が執り行われた。子どもたちは通い慣れた校舎に名残惜しさを感じながら、未来への希望に胸を膨らませていたに違いない。だが14時46分、巨大地震がこの地を襲った。 本書は、双葉郡の消防士たちが初めて「あの日」について語ったノンフィクションである。震災について書か

伝説の編集者に会ってきた! ――出版に、希望を探して 書影

人物 / HONZ活動記

伝説の編集者に会ってきた! ――出版に、希望を探して

「とりあえず加藤さんに会うことかな」 右肩下がりの出版業界。同業他社の友人たちと話していても、明るい話題は聞こえてこない。器用でもなければ体力もない自分が仕事の質を落とさずにこの業界でやっていくのは、もう無理なんじゃないか……と落ち込んでいたとき、HONZの成毛代表がかけてくれた言葉が、上記のものだった。 加藤さん――加藤晴之さんは、講談社で数々の話題作を世

今週のいただきもの:2020年2月9日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年2月9日週

コロナウイルスを恐れひきこもっていましたが、どこかでノロウイルスをもらってしまったようで、この一週間胃腸炎に苦しんでおりました。食欲がない、おいしいものを食べられないというのは、食いしん坊にとって本当にツラく、健康のありがたみを改めて感じる今日この頃です。 台所に立てないというのもまたツラく、まともに料理をしたのは10日ほど前のこと。その時に作った金柑のサラ

『「その日」の前に』よく生きよ、死を思え 書影

医学・心理学 / 社会

『「その日」の前に』よく生きよ、死を思え

誰もが行きつく人生の終着点、死というゴールがすぐそこに見えている人は、何を考えているのだろう?ロサンゼルス在住の写真家、アンドルー・ジョージは「死ぬ前の自分にとって大事なことは何だろう」と考えた。 カリフォルニアにあるプロヴィデンス聖十字架医療センターに入院する緩和ケアを受ける患者たちひとりひとりに対峙し、写真とともに彼らの考えや歴史を語ってもらう試みは2年

『スクエア・アンド・タワー』ネットワークと階層制組織 2軸で読み解く世界の歴史 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『スクエア・アンド・タワー』ネットワークと階層制組織 2軸で読み解く世界の歴史

本書は『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれ、今、世界で最も優れた知性の一人といわれる歴史学者ニーアル・ファーガソンが、過去500年にわたる世界の歴史を、国家や企業など「垂直に伸びる階層制組織(タワー)」と、革命運動やSNS(交流サイト)など「ヨコに広がる草の根のネットワーク(スクエア)」という斬新な切り口で読み解いた画期的な本である。 フ

『熱源』を買ったのは、どういう人たちなのか? 書影

小説 / 併せて読まれたこの一冊

『熱源』を買ったのは、どういう人たちなのか?

第162回の直木賞を受賞した『熱源』。もちろん小説ですが、実在する人物を主人公に据えたことでノンフィクション読者にも興味を持たれているようです。特に北海道での人気はすさまじく、都道府県別の売上シェアは14%に上り東京に次ぎ第2位に。(今、もっとも売れている『鬼滅の刃』の北海道の売上シェアは4%程度ですのでこの特異性は明らかです) 実在する人物をとりあげた小説

『最期の言葉の村へ──消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』 言語とともに消え去っていくものたち 書影

民俗・風俗 / 世界史

『最期の言葉の村へ──消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』 言語とともに消え去っていくものたち

タヤップ語。それは、パプアニューギニアの熱帯雨林の奥深くにある小さな村で話されている言語である。そして、その言語はいままさにこの世界から消え去ろうとしている。 「言語はなぜ消滅してしまうのか」。1980年代、当時大学院生だった本書の著者は、その謎を明らかにしたいと切望し、単身で熱帯雨林の奥地に潜り込む。当時、どんな地図にも載っておらず、そこを訪れた白人もほと

皆ひとしく、その時に向かっている 『エンド・オブ・ライフ』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

皆ひとしく、その時に向かっている 『エンド・オブ・ライフ』

何もない土曜日。我が家で最初に「行ってきます」を言ったのは、84歳の母だった。朝8時、迎えに来たデイサービスの車に車椅子のまま乗り込んでいった。そしてさっき、「お年玉でオモチャを買いたい」という息子と「友達の誕生日プレゼントを買いたい」という娘を連れて、妻が出ていった。そして、私は一人リビングに残された。 早速、昨日泣きながら読んだ本書『エンド・オブ・ライフ

今週のいただきもの:2020年2月2日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年2月2日週

八百屋に空豆が並び始めました。地中海や西南アジアが原産とされる空豆は、日本へは8世紀ごろに渡来しました。インド僧の菩提仙那が渡日し、行基に贈ったのが始まりという説もあるそうです。 春になったら一度は作りたくなる、空豆とアボカドのリゾットを紹介しましょう。鍋に水とコンソメを入れて火にかけ、スープをつくります。別鍋で玉ねぎとにんにくをオリーブオイルで炒め、米を足

『息子たちよ』週1日「五時間の父親」が2人の息子に寄せた思い 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『息子たちよ』週1日「五時間の父親」が2人の息子に寄せた思い

平成の終わりに、「子を持つ男子たる者、イクメンにあらずんば人にあらず」のような空気が一時流れたが、男性の育児休業の取得率は依然低調だ。厚生労働省の調べでは6%にとどまり、取得期間も5日未満が約6割を占める。「それでは有給休暇と変わらないのでは」という突っ込みはもっともだ。 とはいえ、世の父親は子を思っていないわけではない。時代が変わり始めたとはいえ、同調圧力

『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは?

本書の著者であるコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、非対称情報下での市場経済理論への貢献により、2001年にジョージ・アカロフ、マイケル・スペンスと共にノーベル経済学賞を受賞した経済学の泰斗である。 研究面において優れた論文を多数発表し、米国の経済政策に大きな影響を与えたのみならず、クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、世界銀行で上級副総裁

『得する、徳。』徳を積む恩恵 書影

教養・雑学 / 社会

『得する、徳。』徳を積む恩恵

ペンシルベニア大学教授のアダム・グラントは、人間を「ギバー(人に惜しみなく与える人)」「テイカー(自分の利益を優先させる人)」「マッチャー(状況によってギバーにもテイカーにもなる人)」と3種に分類した。そしてギバーこそが、成功者になれることを実験と調査で明らかにした。 本書は実際に徳を積むことで、どれだけ自分が得をするかを、渋沢栄一や土光敏夫など偉人から検証

『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論 書影

人物 / 社会

『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論

告白しよう。評者はずっと、なるべく他人と関わりたくないと祈りながら生きてきた。楽しいことも悲しいことも何も経験したいと思わない。誰かと揉めたり争ったりするなどもってのほかだ。人生の糧になる? 知るか。全部ストレスだ。願いは一つ、社会的接点を一切放棄して、永遠に寝床で布団にくるまっていたい……。 こんな暗い感情を披瀝したところで会話が盛り上がるはずがなく、賛同

『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』

私たちは、いま「読む脳」の歴史的な大転換期に生きている。それは文字の発明や、グーテンベルクの印刷革命にも比肩しうる出来事だ。こうした変容を目の当たりにするには、電車に乗るだけで十分だろう。多くの人が(きっとあなたも)、読んでいる(見ている)のは、スマホやタブレットなどのデジタル機器に違いない。実際、さまざまな統計でも、パソコンを含めたデジタル機器への接触時間

年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』

幸福とはほとんどの人にとっての人生の目標なのではないだろうか。「いや、自分は幸福なんかどうでもいいですね。不幸になる権利が欲しいんです」という『すばらしい新世界』的な人もいなくはないだろうが、少なくとも僕は幸福でありたいと思う。自分の幸福ももちろんだが、近くにいる手の届く人たちも幸福でいてくれたらそれ以上はいうことはない。 だが、そもそも幸福とは何なのだろう

『ちくわぶの世界』を読んで悔い改めよ!喰い改めよ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ちくわぶの世界』を読んで悔い改めよ!喰い改めよ!

大阪にいると、ほとんどちくわぶなるものを目にすることもなければ、耳にすることもない。もちろん、口にすることもない。基本的にチャレンジャーなので、一度は食べてみるべきだ。と思ったわたしがアホでした。 名前から、竹輪と麩の中間的なものかと塑像していた。普通、そう思いますわな。竹輪は全国的におでん種として使われているし、麩は地域限定的かもしれないが、金沢おでんの車

『2050年のメディア』メディアの栄枯盛衰を辿る記録 書影

社会 / ビジネス

『2050年のメディア』メディアの栄枯盛衰を辿る記録

最初にパソコンを買ったのは1997年のこと。Windows95の発売で一般家庭でもコンピュータを持つことが普通になった。インターネットもダイアルアップで繋ぎ、ジリジリという音を聞きながら画像が出てくるのを待った。 思えばわずか20年ほど前のことだ。今では当たり前に手の中にスマホがあり、気になることはググれば済む。むしろ携帯を忘れると心細くてたまらない。若い世

『12人の花形伝統芸能-覚悟と情熱』を読んで古典芸能を見に行こう 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『12人の花形伝統芸能-覚悟と情熱』を読んで古典芸能を見に行こう

日本の伝統芸能である歌舞伎、文楽、能・狂言、演芸、それぞれから3人ずつ、計12人の「若手」が語り尽くしたインタビュー集である。 若手といっても年齢はかなりばらついている。平均年齢は38歳だが、歌舞伎の八代目市川染五郎の14歳から、文楽人形遣いの吉田玉助の53歳まで。 歌舞伎界からは染五郎と共に、尾上松也、中村壱太郎で、それぞれ34歳と29歳である。他に比べて

『映画監督 神代辰巳』読者を圧倒する重量と熱量! 日本映画史を辿る貴重な一冊 書影

アート・スポーツ / 人物

『映画監督 神代辰巳』読者を圧倒する重量と熱量! 日本映画史を辿る貴重な一冊

縦26.5センチ 横20センチ 厚さ4.5センチ。700ページ強で重さは1620グラム。価格は税別1万2000円。年末に入手してから、机の左側にずっと置かれている。持ち歩くことも、ベッドに仰向けになって読むこともできないので、家事や仕事の合間に椅子に背筋を伸ばして座り、少しずつ読み進めるほかはない。だがこの重量に見合う熱量に終始圧倒された。 1995年2月2

今週のいただきもの:2020年1月26日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年1月26日週

先日、自宅で4種のカレー(チキンとトマト、キーマ、ほうれん草とひよこ豆、かぼちゃ)とコールスローを作り、バスマティライスを炊いてカレーパーティーをしました。4種と言ってもチキンとトマト、キーマは途中まで一緒に作ることができ、ほうれん草とひよこ豆、かぼちゃは、1種類の野菜を炒めるだけですから簡単です。 ・チキンとトマト 玉ねぎとクミン、コリアンダー、ターメリッ

アフリカのエイズをなくせ! 『撃ち落とされたエイズの巨星』 書影

医学・心理学 / 人物

アフリカのエイズをなくせ! 『撃ち落とされたエイズの巨星』

『エイズの起源』(みすず書房)や『完治』(岩波書店)など、エイズ関連の優れた図書はたくさんある。その多くは、現代医学がエイズという病気に一丸となって取り組み、克服してきたかの成功物語である。 抗HIV薬が開発され、感染してもエイズの発症を抑えることができるようになった。1981年に最初の症例がNEJM(ニューイングランド医学雑誌)に発表されてわずか40年たら

『時間とテクノロジー』時間と空間、主観と客観。アイデンティティーのこれから 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『時間とテクノロジー』時間と空間、主観と客観。アイデンティティーのこれから

ヒトはどこから来たのか? そしてどこへ行くのか? その答えを求めることは、人類にとって普遍的なテーマといえる。確かにわれわれは過去の歴史の中に答えを求め、そして行く末を夢想してきた。それは、時間感覚の中にこそ、われわれのアイデンティティーがあると固く信じてきたからだ。 しかし、この時間感覚というものは、時代によって移り変わるものである。室町時代のような中世に

『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する

地球上の自然環境がそこに住む人々の生き方を決定する、という考え方がある。「環境決定論」と呼ばれる思想で、四季が織りなす大自然に囲まれてきた日本人には比較的身近な見方でもある。 本書はこうした立場から、地球の誕生からさまざまな変遷を経て人間がどのように現在に至ったかを克明に論じる。副題に「人類を決定づけた地球の歴史」とあるように、地質学・地理学・地球物理学を駆

『評伝 石牟礼道子 渚に立つひと』 書影

人物 / 「解説」から読む本

『評伝 石牟礼道子 渚に立つひと』

伝記は文芸の分野の一つである。 一人の人物の生涯と事績を書くものだから、対象はそれに値する人でなくてはならない。 リットン・ストレイチーというイギリスの文人に『ヴィクトリア朝のエミネントな人々』という列伝の名著がある。取り上げられているのはマニング枢機卿、フローレンス・ナイチンゲール、教育家のトーマス・アーノルド、ゴードン将軍。 ここでぼくはエミネント(em

『本を売る技術』本屋における暗黙知がこの1冊に! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『本を売る技術』本屋における暗黙知がこの1冊に!

書店員の仕事にはマニュアルがなく、口伝や仕事を盗んで覚えるしかないと言われてきた。そんな中『本を売る技術』という本が売っていたので買ってみたところ、本書には自分が書店員になったときに口伝で教わったことや、誰からも教わることなく、働いていた間にトライ&エラーを繰り返して、最適解だと思ってやっていた技術が書かれていた。本書を読み終えたとき、書店員になったときに、

『得する、徳』は令和の「論語と算盤」だ! ということにしておきたい 書影

社会 / ビジネス

『得する、徳』は令和の「論語と算盤」だ! ということにしておきたい

この本が送られてきた時、腰が抜けるほど驚いた。あの栗下直也が徳を説くというのだ。すでに レビュー を書いているアーヤ藍ならずとも、栗下を知っている人なら全員が驚愕反応を示すはずだ。もちろん、日本中で栗下を知っている人はそう多くないだろうが、知らない人も同じくらい驚いていただきたい。 なにしろ、栗下といえば酒である。それしかない。HONZで飲み会があると、その

今週のいただきもの:2020年1月19日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2020年1月19日週

先日、自宅でイタリア料理のコースをつくり、前菜の一品としてセッポレを出しました。ゼッポレは一般的に砂糖をまぶす揚げパンのようなお菓子ですが、ナポリでは塩味でつくります。以前、働いていたイタリアンレストランでは、ピザ生地を小さく丸めて揚げ、ゼッポリとして出していました。 作り方は、小麦粉50g、ドライイースト3g、塩、ぬるま湯50ccを混ぜ、青のりを加えて2時

『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』急速に変化する世界をどう生きる 知の巨人が語る現代の問題21章 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』急速に変化する世界をどう生きる 知の巨人が語る現代の問題21章

近年、急速に発展するテクノロジーと科学の進歩は、産業革命を超える社会的変化を私たちに強要しつつある。その変化は産業革命よりもはるかに大きく、そして速い。そのような現代の問題に警鐘を鳴らすのが、世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者、ユヴァル・ノア・ハラリだ。 今作『21 Lessons』では科学、テクノロジー、哲学などの最新研究を取り入れながら

『ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』ファイルを送るには 書影

サイエンス / HONZブックマーク

『ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』ファイルを送るには

大きなデータファイルを送るのは、場合によっては難しい。 ファイルを送る最も単純で、最もわかりやすい方法は、そのファイルが貯蔵されているデバイスを手に取り、意図した受け手のところに歩いていき、手渡すことだ。 コンピュータを運ぶのが難しいことがある──特に、丸々一部屋の大きさだった初期のコンピュータの場合はそうだ。だったらコンピュータ全体を運ぶのではなく、コンピ

『ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』

突拍子もない質問に科学で答える『ホワット・イフ?』、科学絵本『ホワット・イズ・ディス?』(ともに早川書房刊)に続く、元NASAエンジニアの人気ウェブ漫画家、ランドール・マンローの新しい本、『ハウ・トゥー』が登場した。『ハウ・トゥー』は、「川を渡る」、「ピアノを弾く」、「スマホを充電する」、など、一見日常的な課題を解決するために、あえて「とんでもない」方法を科

天邪鬼な人にもオススメできる、酔いどれ栗下直也が説く『得する、徳』 書影

教養・雑学 / 社会

天邪鬼な人にもオススメできる、酔いどれ栗下直也が説く『得する、徳』

年末、HONZメンバーの栗下直也から急なメッセージが飛んできた。 「新しい本を書きまして… ちなみに、酒の話は一切出てきません」 え、栗下さんから酒をとったら…(以下略)という気持ちに若干なりつつ、届いた包みを開けてみると出てきたタイトルが『得する、徳。』。 意外すぎるテーマに驚いた一方で、ちょっと啓発本っぽいタイトルに、天邪鬼な私は、少しあとずさってしまっ

これから出る本 2020年2月 書影

併せて読まれたこの一冊

これから出る本 2020年2月

2020年が始まりました。書店店頭は年末年始から好調が続いています。ノンフィクションジャンルでは『サピエンス全史』にはじまるユヴァル・ノア・ハラリの本、『哲学と宗教全史』などの哲学系、歴史系の本がよく読まれています。2月の書店店頭にはどんな本が出てくるでしょう? まずは予約ランキングから。2020年1月17日現在の予約リストから2月以降に発売になるタイトルを