
これから出る本 2021年5月
またもコロナの波が大きくなってきました。昨年の春のような状態になるのか戦々恐々とするなか、新刊は着々と発売されていきます。 今月もノンフィクションの予約ランキングから見ていきます。2021年4月21日時点の予約受注実績から5月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があ
301記事

またもコロナの波が大きくなってきました。昨年の春のような状態になるのか戦々恐々とするなか、新刊は着々と発売されていきます。 今月もノンフィクションの予約ランキングから見ていきます。2021年4月21日時点の予約受注実績から5月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があ

日本酒の新時代を牽引する酒蔵がある。新政酒造だ。秋田にある酒蔵で「No.6」「ラピス-瑠璃-」「亜麻猫」などの日本酒を醸している。ネーミングセンスが独特で、変わったところでは、宮沢賢治の作品名から採った「農民芸術概論」や、ギヨーム・アポリネールの作品から採った「異端教祖株式会社」といったお酒も造っている。新政は熱狂的な人気を誇る酒蔵だ。人気すぎて需要と供給が

科学者は何を考え、どのように仕事をしているのか?それを一般向けに解説したのが本書である。 私は地球科学を専門にして40年ほど経つが、これまで研究と教育で色々な工夫をしてきた。特に地球を研究する際、フィールドワークから新しい知見を効率よく生み出すことは、研究者としての至上命題である。 世界の学問水準に照らして本質を追究し、その成果を学術雑誌に発表する。実は、そ

何か不測の事態を前にすると、本読みの習性でつい本に手が伸びてしまう。 中国・武漢で発生した原因不明の肺炎に世間が注目し始めた頃、読み直さねばと書棚からひっぱり出したのは、 『パンデミックとたたかう』 という本だった。 この本は、SF作家の瀬名秀明氏が東北大学医学系研究科教授(当時)の押谷仁氏と新型インフルエンザについて議論を交わしたものだ。2009年に出た本

そろそろふきのとうの旬が終わる頃ですが、ばっけみそ(ふきのとうみそ)を作ってみたら大変おいしかったので、ご紹介します。と、言ってもすごく簡単で、ふきのとうをさっと湯通ししてアク抜きし、刻んでみそ、みりん、砂糖と和えるだけ。ご飯が止まらなくなります。 また、アク抜きしたふきのとうとバターを和えてつくる、ふきのとうバターもおすすめです。こちらは、魚や肉のソテー、

本書を数ページめくっただけで、2つの驚きがあった。1つは、火葬が当たり前とされる今日でも、まだ土葬というスタイルが残っていたこと、2つ目は、その土葬がここ数年急激に減少しており、今まさに消えようとしていることだ。 意外なことに、国の定める墓地埋葬法では、土葬が禁じられているわけではない。しかし、ここ半世紀ほどの間に、全国で火葬場が整備され火葬が一気に広まった

日本語翻訳版が待ち遠しい一冊だ。 ESG意識の高まりから、CO2を排出する従来型エネルギーへの風当たりはつよく、石油や石炭といったエネルギー資源は苦境にたたされている。そんな悪環境下でも最高益をたたき出しているエネルギー関連企業群がいる。今はやりの再エネ企業ではない。コモディティ商社という業種だ。 ウォールマートやアマゾンが消費材を人びとに届けると同じように

こんな本を待っていた! そんな一冊に挙げられそうな、あの超絶ベストセラー『嫌われる勇気』の古賀史健さんの新刊だ。3年間かかりっきりだったとも聞く内容は、タイトル通りの「取材」「執筆」「推敲」という対象に、真正面から取り組んでいて、圧倒される。 現物を手にすると、書籍でよくある四六版のサイズよりも大ぶりだ。カバーには、シンプルにタイトルや著者名がポンと載せてあ

久しぶりに江戸前寿司について、アップデートされた情報満載の本が出版された。 江戸前寿司に関しては、その昔は北大路魯山人の『握り寿司の名人』(1952年)、最近では川路明の『江戸前にぎりこだわり日記―鮨職人の系譜(御馴走読本)』(1993年)が極めつけだった。その後は、寿司ブームに乗って似たり寄ったりの本がたくさん出版されたが、どれも物足りなかった。有名な店を

読み始めた途端、あの日の記憶が鮮明に甦った。 1995年3月20日、月曜日の朝だった。地下鉄で「異臭事件」が発生したとの一報を警視庁記者クラブで聞いた。当時の無線記録によれば、通信指令本部に八丁堀駅での乗客の異変を知らせる無線が入ったのは8時21分である。3分後、築地駅から「ガソリンがまかれた」との情報が入り、他の駅からも相次いで被害報告が入った。建物を飛び

毎日料理をしていると、ふと自分の作るものに飽きることがあるんですが、そんな時は新しいレシピ本を買うことにしています。最近私が買ったのは、オレンジページの 「究極シンプル、野菜料理」 。個人的に大ファンである 「マルサラ飲食店」 のレシピが載っているからです。 昨日、私が作ったのは、にんじんとツナのしりしり、キャベツのマリネ、なすの揚げ浸し、生ピーマン 肉みそ

「今の仕事をこのまま続けるつもり?」。妻のその一言で人生が思わぬ方向へと動いた男のエッセイだ。 なるほど、妻にここまで言わせるとは、この男、芽の出ないアーティストか何かだろうか。そう思う人も多いかもしれない。しかしそうではない。著者の吉田亮人は小学校の教諭だった。安定した人生が約束された公務員だ。 著者と同じく教師をしている妻は畳み掛けるように言う。「つまん

テクノロジーが社会に普及するには、何が必要なのだろうか。コロナ禍で話題になった電子署名やUber、Airbnb…世に広がるものと、そうでないものは何が違うのか。電気が社会に普及した歴史など数々の事例から見出した、成功する社会実装の手法とは?スタートアップ支援の経験と豊富な事例研究実績がある著者が書いた、新たな視野を提示する一冊だ。 本書の基点は、本書の母体と

すぐそこにある日常の中にこそ驚異がひそんでいる。材料科学という魔法の杖で著者が触れると、なじみ深い液体も、なんと魅惑的で不思議な姿を現すことだろう。 固体と気体のあいだにある「液体」という状態は、なるほど謎めいている。たとえば、スマホやテレビのディスプレイなどに使われる液晶。その名のように、液体と結晶(固体)の性質を併せ持つ。この奇妙さと電圧をかければ分子の

著者は放送作家であり、『永遠の0』(累計400万部)や『海賊と呼ばれた男』(累計450万部)などを手がける小説家だ。タイトルに相対性理論とあるように、本書では新たな時間の概念について考察している。 その特徴は「時間」を全ての基準に置き、社会を「時間の売買」で成り立っていると捉える点だ。人は赤ちゃんとして生まれた瞬間から時間を与えられ、時間を失った瞬間に死に

昨年の3月は突然の学校休校などの影響で、学参や児童書が大きく動いた他大人向けの本もまとめ買いが目立った月でした。今年はそういった顕著な動きはなかったものの、教養や自己啓発といった分野の本がよく動いています。気になる新刊も沢山発売されています。まずは先月出た本の売上ランキングから売場を見ていきましょう。 日販オープンネットワークWINから3月発売のタイトルとH

わたしたちは多くのことを頭で学ぶ。すなわち、わたしたちの学習はおもに脳が担っている。しからば、脳がいかにして学ぶかを知れば、わたしたちの学習と教育についても重要な示唆が得られるのではないか。本書は、そんな着想を具体的な形にまとめた一書である。 著者のスタニスラス・ドゥアンヌは、フランスの著名な認知神経科学者である。これまでに 『意識と脳』 や 『数覚とは何か

年中、旬のおいしいものを食べたいと思っている私ですが、春は特にその気持ちが強くなります。菜の花やアスパラガス、空豆、筍などを見ると、買わずにはいられません。今日は、この4つを使った、春野菜の春巻きをご紹介します。 アスパラガス菜の花、タケノコを一口大に切ります。ソラマメは湯通しし、薄皮を剥いておきましょう。春巻きの皮の真ん中より下に具材を置き、味噌をのせ、く

故・石牟礼道子氏の『苦海浄土』3部作は文学史上屈指の傑作である。わけても、第1部第3章「ゆき女きき書」は、読むたびに戦慄(せんりつ)と畏怖をおぼえる。水俣病患者が全身を痙攣(けいれん)させながら絞り出した言葉。語られたのは恨み言ではなく、不知火(しらぬい)海の豊饒さであり、生まれ変わったらまた愛する夫と漁に出たいという願いだ。絶望の底から発せられたはずの言葉

東日本大震災から10年。10歳から20歳になるのと50歳から60歳になるのとでは体感時間の長さや意味が違うかもしれないが、それでも誰もが等しく10歳歳を取った。 「あの日のわたしへ手紙をつづる」と副題が付された本書は、SFやファンタジー小説のようなタイムワープができたら、という設定がなされている。あの大地震と原発事故の被災者であり、年齢も性別も違う31人が、

今回は4月1日に発売される私自身の著書『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊』を紹介させて頂きます。 いまだ収まらない新型コロナ禍の中で、今はほとんど軽井沢にこもってオンラインで仕事をこなしています。実は一昨年から新著の執筆を依頼されていたのですが、東京と軽井沢を往復しながら多くの仕事に従事していたため、とても執筆の時間

「人材」という言葉がちょっと苦手だ。社会に広く根付いた言葉だし、自分だって使うこともあるが、どうもこの言葉には人をスペックだけでとらえているようなニュアンスを感じてしまう。使えるか使えないか、そんな限られた側面だけでしか人間をとらえていないような。 だから「高度外国人材」という言葉を目にした時はドン引きしてしまった。高度外国人材とは、簡単に言えば、「学歴や年

昨年、新型コロナで急逝した「笑いの王様」志村けん。本書は、1994年から7年に渡ってその付き人を務め、朝から晩、海外ロケまで同行した著者が師匠の姿を振り返ったものである。運良くドライバーとして採用された若き日。「笑いは正解のない世界だから、俺から教えることは何もないぞ」という師匠に出会い、二人はどう交わっていったのか。 本書を読んだのは発売直後。今から1か月

本書はさまざまな読み方ができる多面的なビジネス書である。江副浩正という希代の経営者の波乱に富んだ人生をつづった伝記として、戦後のわが国の企業がたどってきた経営史として、そしてリクルートという会社の特異なビジネスモデルの研究書として読むことができる。 江副は非常に人見知りをする性格で、創業社長にありがちないわゆる「親分肌」ではなかった。それが逆に功を奏し、自分

埋葬には宗教による違いがある。イスラム経は土葬のみだし、キリスト教でも死者の復活という教えがあるので土葬が望まれる。国、地域別の火葬率は、米国52%、イギリス77%、ドイツ62%、フランス40%、イタリア24%、カナダ71%、ロシア10%、台湾97%、香港93%、韓国84%、タイ80%( 2016年、2017年の資料 )である。日本では、いまやほとんどが火葬

本書『怒りの時代││世界を覆う憤怒の近現代史』は、インドの評論家で作家のパンカジ・ミシュラのAge of Anger: A History of the Present を全訳したものである。原書は2017年1月、イギリスのアレン・レーンから刊行された。刊行直後からイギリスやアメリカを中心に話題となり、「ニューヨーク・タイムズ」や「ガーディアン」などの有力紙

3月に入り、緊急事態宣言期間も終了しましたが、未だ新型コロナウイルス感染がおさまる気配はありません。出版業界は『鬼滅の刃』ブームに続き、コミックで『呪術廻戦』が大ブレイク中です。陰陽師や呪術に関してのノンフィクションにも目がいくと良いのですが。 今月もノンフィクションの予約ランキングから見ていきます。2021年3月19日時点の予約受注実績から4月以降に発売に

なんやかんやで25年間も大学教授をやってきました。定年までカウントダウンになって、あらためて、大学って何をするところなのかと考えることがよくあります。ひとことで言うと、学問をする場、でしょうか。あるいは、昨今の大学をとりまく状況を考えると、「そうあるべき場」と言ったほうが正しいかもしれません。 大学の二大ミッションは教育と研究です。ならば、学問=研究+教育か

なるほど、医業というのは難しいものだ。この本を読んで、いちばんの感想はそれだ。「病気を治す」ことと、「患者を治す」ことの間には大きな隔たりがある。その間に横たわる最大のものは、医師と患者のコミュニケーションなのかもしれない。 「医学が技術的に進歩すればするほど、私たちはストーリーのはたす役割の重要性を再認識させられる」医師・患者のコミュニケーション、より正し

寝る前に読む本、通勤時に読む本と状況に合わせて本を読み分けている人は少なくないだろう。私もそのひとりだが、意外に難しいのがトイレで読む本の選択だ。 トイレと聞いて馬鹿にしてはいけない。選書の難しさでは最高峰にある。トイレタイムには長短がある。拾い読みが可能で、間をあけても腐らないものでありながら、時には続けて読むに値する、そんな質の高さが求められる。真剣に選

内心被曝 ー 南相馬市に住む主婦が口にした言葉である。外部被曝でもなく内部被曝でもない。住民の一人ひとりが東日本大震災深く傷を負い、心の奥に何万シーベルトという放射能を貯めてきた。この言葉を聞くと、おどろおどろしく感じるかもしれないが、ふと自分の生活を省みると、コロナ禍において得体の知らないものに傷つけられてきた心と重なるのではないだろうか。 本書は決して暗

親を否定できない。 本書で考えたかったのは、この点です。 生き物である以上、親がいることを誰も否定できない。それだけではなく、父親と母親は、誰にとっても否定できない。否定しようとすればするほど、コンプレックスや負い目を、わたしたち自身が感じます。 わたしの場合、父親は、医者として成功し、古希を超えて筋力を鍛えつづける元体育会ラグビー部員で、母親は、子育てから

東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言、その後の辞任会見を見て、私は少し驚くほど怒りを感じていた。それと同時に、このような世の中を放置してきてしまった自分自身にも腹を立てていた。多分、同じように思った女性は多かっただろう。森元会長が実例として挙げられた日本ラグビー協会で、女性で初めて理事を務めた稲沢裕子・昭和女子大特命教授が 朝日新聞の

先日、撮影で立派な長芋をゲットしたので、とろろやお好み焼き、ソテーなどあらゆるものに使いました。我が家で一番のヒットになったのは、長芋と長ネギのクラムチャウダー。 長ネギをバターで炒め、ベーコン、長芋を加えてさらに加熱し、小麦粉を振って馴染ませ、牛乳を入れます。ふつふつしてきたら、あさりを入れて、殻が開いたら塩で味を整えてできあがりです。 それでは今週献本い

テーマがテーマだけに、気分が落ち込んでいるときに読むべき本ではないだろう。しかし、気持ちが落ち着いているときに、自殺というテーマに関する知識を得ておくことは、いつの日かあなた自身やあなたの周りの大切な人を救うことになるかもしれない。そんなワクチンのような役割を果たす一冊である。 著者のジェシー・べリングは、前作『性倒錯者』と同様に、自分自身の実体験をカミング

世代的に、リクルート事件のことを知らない。むしろ、就職氷河期世代の私にとってのリクルートといえば、「エリート学生を超青田買いしている会社」といった印象だ。「すごい成果主義なんでしょ?」「定年退職までいられなくて、入社したら必ず独立しなきゃいけないんでしょ?」と、私も、周りも大学生たちは思っていた。 しかし、読み始めてまず最初に思ったことはひとつだ。「この時代

「社会保険料の負担が重くなるから気をつけろ!」起業家の先輩に話をきくと、みな口を揃えてそう私に警告した。これまで会社が出してくれていた分を自分が払うのだから当然だ。もとより私もそれは織り込み済みなので、軽く「了解、了解」と聞き流していた。しかし、先日のニュースをみて愕然とした。 財務省によると、令和2年度の「国民負担率」(所得に占める税金や社会保険料などの負

だんだんと春らしい陽気になってきましたね。我が家の食卓も春を存分に楽しもうと、春野菜が多く登場します。今週は、ウドの生ハム巻き、菜の花のオイル蒸し、メカジキのソテー、ふきのとうのパスタです。 ・ウドの生ハム巻き 皮をむいたウドを酢水にさらす。水気を切ったあと、生ハムで巻き、オリーブオイルを少し垂らす。ウドの香りが春を感じさせます。 ・菜の花のオイル蒸し 鍋に

本書は『やわらかな遺伝子』や『繁栄』など多くのベストセラーを世に送り出してきたマット・リドレーが昨年発表した『 How Innovation Works』 の全訳である。 リドレーといえば、『利己的な遺伝子』などで知られるリチャード・ドーキンスと並び称される科学啓蒙家だ。一般読者向けに科学についてわかりやすく解き明かす名手である。しかも彼が語るのはいわゆる科

その人にしか語り得ない境地というものがある。人生は十人十色だが、特殊な技能が必要で、なおかつ特異な環境に我が身を起き続けた人の軌跡はとりわけ面白い。 本書は、若くして潜水の才能を発揮し、宮城の海から無数の遺体を引き上げてきた男・吉田浩文の激動の半生を綴る克明の記録である。 初めての遺体引き上げは1996年。死者は交番勤務の男性警察官で、車ごと海中に突っ込む入