『深海の怪物ダイオウイカを追え!』新刊超速レビュー
カバーに描かれたダイオウイカが黄金に輝いている。幼い日から何度も見た、図鑑の中の「マッコウクジラ VS.ダイオウイカ(想像図)」ではこんな色ではなかった。本書がキラキラと輝いているのも、昨年、世界で初めて生きているダイオウイカの映像を捉えた著者の功績といえるだろう。 本書は児童書である。おそらくHONZで初めての児童書の書評だろう。たった64ページ。大人なら
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カバーに描かれたダイオウイカが黄金に輝いている。幼い日から何度も見た、図鑑の中の「マッコウクジラ VS.ダイオウイカ(想像図)」ではこんな色ではなかった。本書がキラキラと輝いているのも、昨年、世界で初めて生きているダイオウイカの映像を捉えた著者の功績といえるだろう。 本書は児童書である。おそらくHONZで初めての児童書の書評だろう。たった64ページ。大人なら

生き生きと輝く地衣類。コイル状のハリガネムシ。本書はそんな冬の日の観察から始まる。アメリカ、テネシー州の原生林に小さな拠点を設け、生態観察し続けた一年をつづるノンフィクションだ。 生物学教授である著者・ハスケルは地面に腹這いになりながら、ある時はルーペを使って極小の世界に寄り添い、ある時は地中の様子を目に見える地表の生物から想像し、ある時は残された痕跡から時

テレビはほとんど見ないのだが、NHKで日曜夜7時30分から放送中の「ダーウィンが来た!」だけは見てしまう。そのために受信料を払っているようなものかもしれない。ほのぼのとした気持ちになりたいなど老化のあらわれだろうが、ほぼ毎週見ている。昨日(9日)のタイトルは「アザラシ母さん、愛の猛特訓」。タイトルだけで涙腺が刺激されまくりである。テレビでこのような状態なのだ

鳥を知らない人に、鳥がどんな生き物であるかを簡潔に伝えるには、どうすればよいだろう? 「卵を産む動物」では、カエルやワニも鳥の仲間になってしまう。「クチバシを持つ動物」はいい所を突いているが、イカにもクチバシはある。当然、「空を飛ぶ動物」でもうまくはいかない。コウモリや蚊だって、空を飛べるのだから。 答えは、本書のタイトルでもある「羽」にある。羽こそ、鳥だけ

またしても、素晴らしい本に出会ってしまった。このコメ作りをめぐるささやかな一冊が、まさかこんなにも生きるヒントに満ちているとは、ぼく自身、思いもしなかった。もし今、自己啓発書やスキルアップ系ビジネス書を読んでいる方がいたら、今すぐそれを閉じ、何よりまず、この本を読むべきである。 まず読者にお願いしたいのは、「なんだ農業の本か」、とこのレビューを読むのを止めな

2002年に“人類の旅”をひとまず終えた関野が次に目指したものは、日本列島に人類はどうのようにやって来たのか、をたどる旅だった。そのルートは大きく分けて3つあると考えられた。 1.〈北方ルート〉ユーラシア大陸をヒマラヤの北部に進み、シベリアからサハリンを経由して北海道に至った。 2.〈南方ルート〉東南アジアから中国の海岸沿いに陸地を北上し、朝鮮半島を経由して

出版から少し時間が経ってしまったが、すばらしい写真集をご紹介したい。 シマウマのお腹の模様を見たことがあるだろうか。目の前10センチでワニの顔とにらめっこしたり、ライオンの子どもたちがじゃれ合ったりするのを、同じ目の高さで観察できるなんて、誰も考えていなかっただろう。 この写真集の原題は「 Serengeti SPY 」動物たちにカメラを気づかれないようにカ

本書によると、将来地球上から海が消え、人類が絶滅してしまう可能性があるそうだ。 地球の内部では、ウラン・トリウム・カリウムなどの放射性元素が崩壊を繰り返し、熱を放出し続けている。それによって地球は内部から温められ、地球が凍りつかない仕組みになっているのだ。しかし、地球誕生からおよそ約46億年経った今、地球内部にあるウランの量は半減しており地球を暖める熱源は徐

ゴルフ場と持続可能性、この意外な組み合わせにそそられて、本書を手にすることになった。アリにも、野球にも、これっぽっちも興味を示さない成毛眞が、3月の朝会で、がっつり食いついた。 そして、本を読み漁っているHONZメンバーの、誰も聞いたことがないビジネスモデルを話し始めたのだ。その折に、ゴルフ場の墓地への転用という、これまたそそられる組み合わせが話題にあがった

本書は、アリの巣に住み、アリと共生する昆虫(好蟻性昆虫)やその他の節足動物(クモやダニなど)に関する図鑑である。なんというか、読者対象狭すぎな本だが、好蟻性昆虫マニアやヘンな虫好きにとっては、よくぞ出してくれた! と狂喜乱舞するような、奇跡的な一冊なのだ。 著者は、HONZでも話題になった 『ツノゼミ ありえない虫』 や、好蟻性昆虫の魅力とその研究の苦労を活

これは、2013年度の私立麻布中学校の入試問題である。東大合格者を多数輩出する名門校が用意したこのユニークな、そして、科学の本質に迫る問いは ネットでも大きな話題 となった。実際の問題には答えを導きやすくするための補助が添えられているが、小学生のみならず、大人の知的好奇心もくすぐる良問だ。あなたなら、この問いにどう答えるだろう。 生物ではない理由を考えるため

本書はHONZで紹介され、ついついポチってしまったマニアックなサイエンス本が家に積まれている被害者におすすめの一冊、生物と環境の関係性をマクロで捉えており、全体感をつかめる。意外な事実や新発見が登場する本ではないが、生物進化、生物地理学、個体群生態学、群集生態学、生物多様性、行動生物学などを章ごとに体系的に理解できる。 また、HONZで御馴染みの 新刊 が待
梅﨑晴光はスポニチの競馬記者である。JRA中央競馬の担当になって20年以上のベテランだ。彼が家族旅行で出かけた沖縄でレンタカーを走らせていた時のことだ。「美ら海水族館」に隣接する備瀬の名所「フクギ並木」近くで道幅が突然広くなり、それが200メートルも続いている場所に出た。地元のおばあさんから無料の駐車場であること、そして戦前は競馬場であったことを教えられて驚

2冊とも動物の写真を79枚づつ選び出した写真集である。業界用語で「ありネガ」、すなわち過去に何らかの理由で撮影して保管庫やデータベースに保存していた写真を選び出したものだ。「まあ、お手軽な!」と侮るなかれ。『ぽつん』には動物が1頭だけ、『1,2,3』には3頭の動物が写っている写真を選び出している。その背後に膨大な「ありネガ」があることを想像すると恐ろしくなる

しかし、人類に先駆けること何百年も前に、同じような環境を手にしている生命体がいた。それがウイルスである。彼らは人間同士が相互に接続された世界を、まるでクラウド・コンピューティングのように利用し、自分自身をビットのように複製してきたのだ。 かつてパンデミックを引き起こしたスペイン風邪ウイルスや、HIV(ヒト免疫不全ウイルス=エイズウイルス)のような悪性のウイル

虫系の本を読むと、それまでに自分が抱いていたイメージが音を立てて崩れていくことも多いのだが、本書はその中でも群を抜いている。 サバクトビバッタ。その名の通り、サハラ砂漠などの砂漠や半砂漠地帯に生息しているバッタで、西アフリカから中東、東南アジアにかけて広く分布している。見た目は馴染みのあるトノサマバッタに似ているのだが色は黒く、しばしば大発生して次々と農作物
コケの自然誌 アメリカには「ネイチャー・ライティング」というノンフィクションのジャンルがあるそうだ。 その特徴は「自然科学系の客観的な観察とは異なり、個人的な思索や哲学的思考を含むということ」にあり、内容には ・博物誌に関する情報(natural history information) ・自然に対する作者のリアクション(personal reaction)

文庫を一回り大きくし、紙質をザラ紙にしたような装丁の本だ。出版社は『週刊朝日』で話題となった朝日新聞出版社ではなく朝日出版社。案外知られていないのだが、朝日出版社は朝日新聞とは一切関係がない。社名は創業者が岡山朝日高校の出身者であることに由来するという。三菱鉛筆が三菱グループとなんら関係ないのと同様である。橋下市長が逆上、混同してツイッターで朝日出版社を名指

======== HONZの『ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊』本日発売です。おかげさまでAmazonで販売開始即刻品切れ!街の書店で是非手にとってみてください。 ======== 本書を読み進めていると何歳か若返った気分になる。人気科学者である著者が生命のセンス・オブ・ワンダーを次々と紹介し、読んでいるとなんだかワクワクするのだ

写真集は人の個性を十二分に表す。写真家の個性はもちろんだが、それを手に取る読者の個性も赤裸々に映し出す。例えば、鰐部祥平は 『朽ちる鉄』 を手に取る。土屋敦は 『温泉川』 を手に取る。内藤順は 『パイスラッシュ』 を手に取る。それぞれどんな内面を写真集が代弁しているのか、読者の想像にお任せしよう。そして、私が手に取ったのはこの写真集である。 本書で紹介される

食卓を語り、農業を語り、漁業を語り、そして林業を語る。この本は解剖学者である養老孟司が「本当の仕事」をしていると考える4人と対談した、対談集である。 4人とは岩村暢子。岩澤信夫。畠山重篤。鋸谷茂。それぞれ日本の1次産業で日本の今に接し、そのあり方に大きな疑問や提唱をおこなってきているスペシャリストだ。ひとまず目次を見てみよう。 第一章 現代人の日常には、日常

ディスカバリー・チャンネル、ナショナルジオグラフィック・チャンネルなど、海外のドキュメンタリー好きなら、オオカミの群れと一緒に暮らすこの男のこと知っているかも知れない。日本のテレビでも何度も取り上げられているので、彼の顔に見覚えのある人も多いだろう。 オオカミの群れとともに暮らし、服を何ヵ月も着替えず、羊の死体から直接生肉をむさぼり食い、唸り、遠吠えをする。

絶望的な困難にも挫けることのない現場、ぶれることのない決断を下すリーダー、プロジェクトを土壇場で成功に導くこととなる意外なきっかけ。「プロジェクトX」のような奇跡の物語には、こんなテンションの上がるプロセスが欠かせない。確かに、本書で描かれる奇跡にもそんな胸が熱くなる場面は登場する。しかし、本書で最も“奇跡的”なのは、過程ではなく、なによりもその結果である。

探検昆虫学者ーーなんと心惹かれる響きだろう。もう今すぐにでも仕事を辞し、自分もなりたいぐらいだ。 このかっこよすぎる肩書きは、別に著者が勝手に自分でつけたわけではない。英語で、Exploratory Entomologistといい、「生物的防除」(生き物を使って増えすぎた他の生き物を制御する)のために天敵となる昆虫を探す昆虫学者を、そう呼ぶのだそうだ。 著者

幼い頃にカブトムシやクワガタを捕まえてワクワクした経験なら、誰しも持っているものだろう。そんな昆虫界ではメジャーな両雄も、研究対象としては非常にマイナーな存在であるそうだ。理由は海外(特に西欧)で、全くと言っていいほど生息していないからである。 本書は、そんな知っているようで知らない昆虫たちの生態を、進化論的な見地から解き明かした一冊だ。 カブトムシが角をぶ

多くの人を惹きつける謎、答には辿り着けなかったものの手がかりを残した先人たちの苦闘、新たな発見から導かれる刺激的な仮説、目を見張る美しい図版(しかもカラー!!)、自然の神秘に近づくための大航海、共に謎を追い求める仲間、そして、数え切れない失敗の先に待ち受けるクライマックス。本書にはその全てが揃っている。これでワクワクしなけりゃ、これで燃えなけりゃ、どんな本で
50とよばれたトキ (読売新聞から) 『50とよばれたトキー飼育員たちとの日々』は、奇跡のようなタイミングで出版された本である。著者は朝日新聞の記者。2007年に佐渡島駐在となり、トキ保護センターの取材を開始した。ちょうどそのころ、第1回目の放鳥の準備が進められており、放鳥候補生が選ばれたところだった。 所長の言葉に、鳥と飼育員との日々にフォーカスを当てて取

ヒトをヒトたらしめていることの一つに、農業を営むということがあげられる。狩猟採集から農耕定住へと進化することで、食料の安定性を確保し、文明への新たな一歩を踏み出しのだ。 しかし動物の中にも農業を営むものがいるとは、知らなかった。しかも農業を始めたのが、人類よりも何千万年も早いのだというから驚く。それが本書で紹介されているハキリアリという生物だ。 もしも生物学

この世には二種類の男がいる、そうモテる男とモテない男だ。この世に男子として生を受けたものは、物心がつく頃までにヴァレンタインやクリスマス等の残酷な洗礼を通して自分がどちらに所属しているのかをいやでも思い知らされることになる。クリスマスを友人と男同士夜まで馬鹿騒ぎしながら飲み明かすのを恒例としてきた私は言うまでもなく後者に属している。「女なんて星の数ほどいるさ

ともかく「ぞわぞわ」しているのである。足が無数に生えていて、ぞわぞわしているのである。ほぼ全ページにそのぞわぞわした生き物のイラストが掲載されているのである。そのすべてがすでに絶滅しているとはいえ、本当に気持ち悪い。 人間は人種や民族を超えて、2つの種族に分類できると言っていたひとがいた。すなわち「ヘビ嫌い」か「ムカデ嫌い」かである。自分たちが4本の手足を持

書名にある利己的遺伝子とは、リチャード・ドーキンスの『 利己的な遺伝子 』のことである。500ページを超えるこの大著を通読した人がどのくらいいるかは分からないが、このタイトルは一度は耳にしたことがあるだろう。30年以上も前に出版された本だが、この本が与えた影響の大きさは計り知れない。 高村のレビューした『文明はなぜ崩壊するのか』 もドーキンスの提唱したミーム

今回紹介する本は、かなりロマンチックだ。 いつも本気でオススメ本を紹介しているが、HONZを閲覧していただいてる方(8割の男性)には、一見かなりのロマンチック風で違和感ある場合もあると思うので、あらかじめご了承願います。 著者の占いサイト「 筋トレ 」は口コミで広がり、今では3600万アクセス(2012年3月)を誇る超人気サイトとなった。サイト上ではホロスコ

人類誕生以来の夢であり、誰でも一度はそう願ったことがあるはずだ。 「願ったことがあるはずだ」とは書いたものの、本当に“鳥のように”飛んでみたいと思ったことがある人などいるのだろうか。少なくとも私はそんなことを願ったことはない。 レビュー冒頭から何を自問自答しているんだと思われるかもしれないが、懐疑的であることは科学的であるためには必須の条件だと聞いたことがあ

人間はもちろんのこと、ヒラメとカレイのように右型の種と左型の種の両方がいるような生物でも、脊椎動物なら必ず左側に心臓があると言えるそうだ。ところが無脊椎動物には、大胆にもそっくりそのまま左右を逆転してしまう仰天の進化を遂げた生物がいる。それが巻き貝である。 サザエ、タニシ、カタツムリなど、私たちの周りにいる巻き貝はほとんどが右巻きである。しかしカタツムリなど

今日はもう一本アップしたいと思っているので、少し軽めに。 1月の朝会で、栗下直也がこの本を紹介していた。 この本を読んで「妻に気持ち悪がられた」という栗下は、「要するに『子どもは虫を採れ!』ということなんですけどね」と本の内容をあっさりまとめたが、果たして虫採りが本当に教育にいいのか、本書を読むと、非常に不安になる。 昆虫採集を一番の遊びとして育った著者は、

今、世のビジネスマンが一番多く見聞きするキーワードは「ビッグデータ」というものではないだろうか。巨大なデータを収集・分析してパターンやルールを見つけ出す。その上で、今を描き出したり、異変を察知したり、近未来を予測するために活用されるものだ。世界中で生成されるデータの増加とともに、ビッグデータへの注目度は一気に上がってきた。 本書で描かれている内容も、ある意味

『動物感覚』はとても面白かった。彼女自身の経験から発せられる言葉の数々に引きつけられたのと同時に、私にとって常識をくつがえすような興味深い動物行動学や心理学の研究が多数引用され、また文章が非常にわかりやすかったからだ。私がもしオールタイムベスト10を挙げるならおそらくこの本は必ず入れるだろう。 そして本書。タイトルを見たとき、前著ほどの面白さはないような気も

書名に「いちばんやさしい」とある。「一番優しい」でも「一番易しい」でもない。「いちばんやさしい」とあるところがいかにも「やさしそう」ではないか。なにしろこの本は“地球の中にはドロドロに溶けたマグマがつまっている”と考えている人に地球の本当の姿を理解して貰うために書かれた本なのだ。「文系だから」とサイエンス本を敬遠しがちな人も楽しめるはずだ。 日本に住む我々が

「こんなに大量の本を紹介されたら破産してしまう」 昨年HONZによせられた苦情である。しかし、こんな苦情を聞くとメンバーは更に奮い立つ。レビューにはより熱がこもり、紹介する本は日を追うごとに増えていく。HONZ紹介本をいちいちムキになって買い続けていると、きっと色々なものを失ってしまうので、皆さんも新年のお酒とポチリはほどほどに。「新刊ちょい読み」で投稿しま
今日から「新刊ちょい読み」というコーナーを始めます。「今月読む本」よりは詳しく、「おすすめ本レビュー」よりカジュアルに。本購入のご参考までにどうぞ。 本文204ページなのに本体2600円という高額本。それもそのはず紙質も印刷も素晴らしい。図版も写真も素晴らしい。装丁・デザインも素晴らしい。本棚に置いておきたくなる本の筆頭だ。デズモンド・モリスといえば1967