ノンフィクションはこれを読め!

おすすめ本レビュー

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3,647記事

『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』 - 神の領域は無法地帯なのか? 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』 - 神の領域は無法地帯なのか?

「魔がさした」ーー世間を震撼させるほどの大事件を起こした人物が、このようにコメントしたことを聞けば「何を寝ぼけたことを」と思うのが普通だろう。だが、昨今のように専門や嗜好といった圏域が高度に細分化した世の中において、同質の集団による無菌状態、あるいは無法地帯を作り上げることなど容易なことである。たとえそのような状況下にあったとしても、人は清廉潔白で居続けられ

『意識をめぐる冒険』 我々はどこから来たのか 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『意識をめぐる冒険』 我々はどこから来たのか

本書は「主観的な感覚や意識はどこから生じてくるのか?」という問いに関する最新の研究成果が紹介された一冊だ。意識の研究ほど、広く根源的なテーマはない。私が死んだら、私の意識はどうなるのだろうか?犬には意識があるだろうか?コンピューターが人間と同じような意識を持つことはあり得るだろうか? 「コッホ博士、私にはサルに意識があるとはどうしても思えません!」 そこで私

『祖父はアーモン・ゲート』虐殺者と家族の葛藤 書影

人物 / 世界史

『祖父はアーモン・ゲート』虐殺者と家族の葛藤

映画『 シンドラーのリスト 』を見た人は覚えているだろう。 プワショフ の強制収容所でユダヤ人を無慈悲に殺す所長の姿を。彼はシンドラーの友人であり、またユダヤ人を庇おうとしていたシンドラーのライバルとしても描かれている。その男の名は、 アーモン・ゲート 。身長192センチ、体重120キロの巨漢の男はナチス親衛隊の中でも突出した残虐な男だ。 アーモン・ゲートは

動物殺処分ゼロへ―現状を訴える高校生のプロジェクト『いのちの花~捨てられた犬と猫の魂を花に変えた私たちの物語~』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

動物殺処分ゼロへ―現状を訴える高校生のプロジェクト『いのちの花~捨てられた犬と猫の魂を花に変えた私たちの物語~』

「この花の里親になってください。」 学生服の女の子がそう言っているようだ。鮮やかなオレンジ色の花が印象的な表紙のこの本は、 青森県立三本木農業高等学校 動物科学科が行っている動物殺処分ゼロを目指す「命の花プロジェクト」の誕生を描いたノンフィクションだ。美しい、生き生きと咲く花は、学生たちによる鎮魂の祈りと、決意の込められた花だ。彼女らは、この花を愛犬家の集ま

『革命キューバの民族誌』理想と現実の狭間から見える新しい生き方 書影

社会 / 民俗・風俗

『革命キューバの民族誌』理想と現実の狭間から見える新しい生き方

キューバを賞賛し理想的な未来を託す人たちは高度で無料な医療や教育、英雄チェ・ゲバラやフィデル・カストロを語る。一方で、キューバに怪訝な印象を持ったり、近代化の遅れを叱責する人たちは、旧ソ連及び社会主義陣営解体後の悲惨な経済状況、サトウキビの生産に頼った産業、左翼の理想郷として語る。中立的なところでは、オリンピックでメダル常連の野球、大リーグにも選手を数多く排

『詐欺の帝王』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『詐欺の帝王』

著者の溝口敦氏は過去に3回、暴力団からの被害にあっている。90年には事務所の玄関で本人が刺され、92年には「フライデー」の副編集長が特殊警棒で殴られた。そして06年には長男が自宅で背後から刺されている。 暴力団といえども世に名の知れたジャーナリストを襲うというのはただ事ではない。 出版を阻止するための脅しや、書かれたことに対する個人的な復讐などよりもはるかに

『マヤ・アンデス・琉球 環境考古学で読み解く「敗者の文明」』 失われた文明にみる人類の未来 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『マヤ・アンデス・琉球 環境考古学で読み解く「敗者の文明」』 失われた文明にみる人類の未来

「 四大文明 」という言葉、文明のとらえ方は日本独自のものだという。エジプト、メソポタミア、中国、インダスという旧大陸の大河流域に興った一次文明(何もないところから生まれた文明)をまとめて指すこの概念は、1952年に高校世界史の教科書に登場したことから普及し始めた。この奇妙で誤った「四大文明史観」では世界史を正しく理解することはできない、と本書は説く。なぜな

『似ていることば』 - 「林」と「森」はどう違う? 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『似ていることば』 - 「林」と「森」はどう違う?

似て非なる言葉というのは、世の中に数多く存在する。だが、どこが似ていて、どこが違うかを正確に説明するとなれば、言葉の定義をきちんと理解していることが必要だ。 とはいっても諸説あるのが、言葉の由来。それらのルーツを吟味しながら現場へと足を運び、さらには言葉の違いの決定的瞬間を写真に収める。そんなチャレンジに果敢に挑んだのが、本書『似ていることば』である。 2枚

抱腹絶倒!ただの変人か、南方熊楠の再来か?『裏山の奇人』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

抱腹絶倒!ただの変人か、南方熊楠の再来か?『裏山の奇人』

生き物に魅せられた怪しい男が、近所の裏山から地球の裏側までを徘徊する 変質者に対する注意喚起の看板ではない。れっきとした大学出版会が出した本の帯に記載された宣伝文である。 しかもタイトルが『裏山の奇人』。「怪しい男」であり「奇人」でもあるその人こそ、本書の著者・小松貴氏。アリと共生する生物・好蟻性生物の研究者で、『 アリの巣の生きもの図鑑 』の著者の一人でも

それでも潜る理由がある『素潜り世界一』 書影

生物・自然 / アート・スポーツ

それでも潜る理由がある『素潜り世界一』

夏、真っ盛り。テレビを点ければ、映るのは白球を追いかける球児たちの姿。夏の風物詩の一つに数えられるその存在感はまさに、メジャースポーツと呼ぶに相応しい。 ただ、メジャーがあれば当然、マイナーもある。本書で語られるスポーツ、フリーダイビングは、間違いなく後者に当てはまるだろう。しかし、マイナーであることと、その競技の魅力の大きさというのは、全くの別物なのだ。な

生まれ変われ、そして人生を掴め。『脳科学は人格を変えられるのか?』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

生まれ変われ、そして人生を掴め。『脳科学は人格を変えられるのか?』

あなたは楽観的な性格だろうか?それとも悲観的な性格だろうか?自覚してはいるのだが、私はかなり悲観的性格である。本書に掲載されている「改訂版楽観性尺度-LOT-R」でも、その数値は悲観的性格を表す9点という結果であった。平均的な人たちは15点前後で、緩やかな楽観主義に分類されるらしい。最大点は24点で最小は0点だ。点数が高いほど楽観的で低いほど悲観的な性格であ

『泡沫候補 彼らはなぜ立候補するのか』現代のドン・キホーテたち 書影

人物 / 社会

『泡沫候補 彼らはなぜ立候補するのか』現代のドン・キホーテたち

マック赤坂、羽柴誠三秀吉、外山恒一など、いわゆる泡沫候補と呼ばれるような人たちは、300万円もの供託金を支払って、敗北がほぼ確実な選挙に何回も立候補する。当選する見込みがほとんどないにもかかわらず、なぜ彼らは立候補するのか?その派手なパフォーマンスに何の意味があるのか? 本書は、多くの人々が疑問に思いながらも、これまで見過ごしていた現代日本選挙の謎に迫る一冊

わたしたちは星の材料でできている『あなたのなかの宇宙』 書影

サイエンス / 生物・自然

わたしたちは星の材料でできている『あなたのなかの宇宙』

宇宙を知るには、望遠鏡をのぞき、古生物を知るには、顕微鏡をのぞく。プレートテクニクス、または地球温暖化について知るには、私は何を理解すれば良いのだろう。自然科学は、理解に達すればロマンチックだが、それまでの過程が難しくて、なかなか進まない。特に、宇宙は物理や化学が大の苦手な私には手の届かない場所だった。 でも本書を読んで、宇宙のビッグバンについて、はじめて理

スパコン「京(ケイ)」はカイコ蛾脳の夢を見るか 『サイボーグ昆虫、フェロモンを追う』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

スパコン「京(ケイ)」はカイコ蛾脳の夢を見るか 『サイボーグ昆虫、フェロモンを追う』

素直に驚いた。こんなことができるのか。こんなおもろい研究があるのか。若い頃に戻れたら、こういう研究をしてみたい。いずれ役にたつ、と書かれているが、そんなことはどうでもいい。純粋におもろい研究だ。 絹産業の歴史があるので、いまはかなり廃れているとはいえ、カイコ蛾を用いた研究は日本のお家芸だ。産業的な利用だけではない、絹糸の主成分である フィブロイン というタン

行ってきました、日本製紙石巻工場! 『紙つなげ!』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

行ってきました、日本製紙石巻工場! 『紙つなげ!』

話題の『紙つなげ!』がついに7万部突破とのニュースが入ってまいりました。おめでとうございます。そこで、勝手に応援団を名乗るHONZも石巻工場におじゃますることに。ついに、あのマシンに会える――まずは東北新幹線で仙台へ! 胸アツ取材のはじまりです。 すでにHONZでもレビューが何本かあがっているので、事情はご存知かもしれません。 日本製紙の石巻工場が、あの震災

『ブレークポイント』 ネットワークの成長を支配する法則 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『ブレークポイント』 ネットワークの成長を支配する法則

ネットワークはどのように成長し、崩壊するのか。脳科学者であり、複数の企業を経営する起業家でもある 著者 は、脳科学と生物学、インターネットテクノロジーの領域を縦横無尽に行き来しながら、ネットワークを支配する理論を明らかにしていく。本書でネットワークの仕組みを知れば、SNSやインターネットだけでなく、人工知能の行く末までもが見えてくる。 アリのコロニー、人間の

『千年企業の大逆転』 - 老舗企業の華麗なるピボット 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『千年企業の大逆転』 - 老舗企業の華麗なるピボット

今や世界的な有名になった企業でも、立ちあげ時には苦境に喘ぎ、方向転換を余儀なくされたというケースが多々ある。YouTubeが、設立当初はデート相手を検索するためのデート・サイトに過ぎなかったことはよく知られているし、PayPalも当時人気があった特定デバイス間による送金可能なサービスから始まった。 このように、スタート時における事業や製品の根本的な仮説を見直

『反骨の公務員、町をみがく』故きを温ね新しきを知る 書影

人物 / 社会

『反骨の公務員、町をみがく』故きを温ね新しきを知る

どの分野にも領域にも、先人の積み重ねた努力や科学的な発見がある。決して華やかではない公務員の仕事にも、いぶし銀のように輝くストーリーが存在する。愛媛県内子町にも過疎化や高齢化が盛んに叫ばれる前から、現場で熱く奮闘し、冷静な目で地元の未来を考えてきた1人の公務員、岡田文淑がいた。 1940年生まれ、内子町にある子どもに恵まれなかった一家に養子として出された。高

その気になれば、できるのか?『あしたから出版社』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

その気になれば、できるのか?『あしたから出版社』

電子書籍が普及しても、「本を愛でる」という表現がしっくりくるのは、やっぱり紙の本だろう。装幀などのデザイン、手に取ったときのあたたかみ、ページをめくるときの音や質感、書体やレイアウト。「モノとしての本」にこだわりぬいた本づくりは、出版を生業とする人ならきっと誰もがあこがれる。が、コスト云々という大人の事情で、実現できないことが多い……一般論的に。 しかし、そ

いま話題の"新しい魔女"のルーツを探る『魔女の世界史』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

いま話題の"新しい魔女"のルーツを探る『魔女の世界史』

女性には神秘的な力がある…、そう考えている人は驚くほど多いですね。単に女性だというだけで神秘的な力が誰にでも宿るのだとしたら、この世は非常に安易な世界で、そんなのちっとも神秘的じゃないと思うのですが。それはさておき、でもやっぱり「女性は神秘的」と考える根強い傾向が存在していることはまぎれもない事実。 本書はそんな「神秘的な女性」を「魔女」というキーワードに読

『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』

本文にも帯にも私が登場しているが、後輩的経営者の杉ちゃんの本。つい最近仕事でも絡むことになったのだけど、いつもは夜の街で会って遊ぶ関係だが、リーマン・ショックの煽りを食って上場していた彼の会社が潰れた時まではそんなに親しいわけでもなかった。 本文にもあるが、丁度同い年の経営者である野尻佳孝達と飲んでいた時に彼の会社が潰れたというニュースが流れてきた。酔った勢

『危険動物との戦い方マニュアル』オレはオニヒトデに勝てるのか 書影

生物・自然 / 教養・雑学

『危険動物との戦い方マニュアル』オレはオニヒトデに勝てるのか

夏休みに恋人や家族と出かけた先でクマに出くわしたら、どう対処するか。ヘビに遭遇したらどう振る舞うか。こうした、真木よう子にいきなり求愛されるくらい小さい確率を気にかけてしまう妄想力が逞しいあなたにおすすめなのが本書だ。いつもは家族の前では読めない本ばかり紹介している私だが、今回は世間が夏季休暇の直前と言うこともあり、家族と一緒に楽しめる一冊を紹介したい。 表

性格が戦略になる!? 『自分でつくるセーフティネット』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

性格が戦略になる!? 『自分でつくるセーフティネット』

先日、たまたま EXILEのドキュメント番組 を見ていたら、変化し続けるEXILEについて、秋元康が興味深い発言をしていた。 根っこがあってブレない部分を持っている人達だけが、変わることを許される。 この「変わることを許される」という発言に、思わず耳を奪われた。変わることが出来るかどうかというのは「意志」の問題ではなく、そのための素地が存在しうるかという「状

『東京大学の学術遺産 君拾帖』 幕末・明治・大正のスクラップ 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『東京大学の学術遺産 君拾帖』 幕末・明治・大正のスクラップ

東京大学総合図書館にある、96冊の『君拾帖』。普段は地下書庫に仕舞われており「貴重書閲覧室」でしか見られないこのシリーズを、画文家のモリナガ・ヨウさんが写真とイラスト・文章で紹介したのが本書だ。「君拾」(実際は「君」の漢字に手偏がついている)なんて人生で初めて聞く単語であったが、集めて拾うという意味だということで、「君拾帖」とは、要はスクラップブックというこ

やめられない、止まらない『フードトラップ』その甘い罠 書影

社会 / ビジネス

やめられない、止まらない『フードトラップ』その甘い罠

18歳以上のアメリカ国民の33パーセントが、BMI 30以上の肥満体だという。本書によれば、陸軍幹部が公式発表で首都ワシントンの18歳以上の男女が太り過ぎで採用できないと表明。また、カリフォルニア州ロサンゼルスでは、太り過ぎのため帝王切開が困難になり死亡する産婦が増えているという。また痛風患者は全米で800万人にも達するという。 なぜアメリカはかくも肥満大国

最強!福祉最前線『実録!熱血ケースワーカー物語』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

最強!福祉最前線『実録!熱血ケースワーカー物語』

首筋めがけてナイフを突き立てられそうになる。脱糞したアルコール依存症者を泥だらけになりながら背負って運ぶ。身元不明の遺体が出たと呼び出されることはしょっちゅう、ゴミ屋敷の清掃に6時間従事したりもする。 さて、こんなことをする仕事は何でしょう。答えは公務員です。 本書『実録!熱血ケースワーカー物語』は、関西の福祉事務所に勤務した元・ケースワーカーが記す、衝撃の

『無業社会 働くことができない若者たちの未来』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『無業社会 働くことができない若者たちの未来』

いつのまにか浮き世はギスギスし、何かと言えば自己責任、である。お互い様とかお陰様という「生温い」言葉は流行らないらしい。「努力するものが報われる社会を」というスローガンもよく聞いたものだが、その意も「報われない者は努力が足りないのである(だから自己責任ね)」とすり替わりつつあるようだ。そして「こんな時代に負け組になったりしたら大変だ」という恐れの気持ちは、「

カカポ奇跡の復活! 『ねずみに支配された島』のもうひとつのメインストーリー 書影

サイエンス / 生物・自然

カカポ奇跡の復活! 『ねずみに支配された島』のもうひとつのメインストーリー

ニュージーランド原産のオウムであるカカポは、体重は3〜4キロとオウムのなかでもっとも大きく、そして飛ばない。 哺乳類のいない世界で進化した彼らの敵は、上空から襲いかかる猛禽類だけだった。その攻撃を避けるためにカカポは夜間に活動し、危機に直面した際には、茂みのなかでじっと動かず、その美しい緑色の体を草木に紛らせて敵をやりすごす。 しかし、ネコ、イヌ、イタチなど

『エピジェネティクス』 現象論を超えたサイエンスの面白さ 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『エピジェネティクス』 現象論を超えたサイエンスの面白さ

あちこちを飛び回って花粉や蜜を集める働きバチと、じっと巣の中で卵を生み続ける女王バチ。同じ両親から生まれていながらも、全く異なる生涯を過ごすこととなるハチたちの運命を分けたものは何なのか。遺伝だろうか、それとも、与えられる栄養や環境の違いが彼らの運命を違えているのだろうか。 この謎を明らかにする鍵は、エピジェネティクスにある。著者は、エピジェネティクスは、ゲ

実録が現実を喰う!『映画の奈落』 北陸代理戦争の仁義なき場外戦 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

実録が現実を喰う!『映画の奈落』 北陸代理戦争の仁義なき場外戦

やくざ映画にドンパチはつきものである。だが、映画と全く同じシチュエーションで実際にモデルとなった組長が殺害されるーーそんなミステリーさながらの事件を引き起こした、前代未聞のやくざ映画があった。 映画『北陸代理戦争』は、”北陸の帝王”と呼ばれた福井川内組組長、川内弘をモデルにした「東映実録やくざ映画」である。映画と現実が連動し、シナリオが進行中のやくざの抗争に

『日本のヴァイオリン王』激動の時代を駆けた名職人 書影

人物 / 日本史

『日本のヴァイオリン王』激動の時代を駆けた名職人

ならば相対的に生活水準が低く、文化も未成熟だった100年前くらいの日本の場合は言わずもがな、と思うところだが、実は明治末期から大正、昭和初期にかけての日本では、ヴァイオリンが現代と比べて遥かに広く大衆に親しまれていた。しかもその多くはなんと国産品だったという。開国後、徐々に流入してきた西洋楽器は庶民の手にはなかなか届かない代物だったが、明治も終わりに近づくと

『本は死なない』キンドル開発者、読書についてかく語りけり! 書影

社会 / ビジネス

『本は死なない』キンドル開発者、読書についてかく語りけり!

アマゾンが 電子書籍読み放題サービスに参入するというニュース がある 。これは月額9.99ドルの契約を交わすと、約60万タイトルの電子書籍が読み放題になるというサービスだ。日本ではいまひとつ普及していない印象が拭えない電子書籍だが、アメリカでは事情が異なるようだ。本書の記載によると、アメリカの出版業界の市場調査を専門とした機関の報告で、2012年までに成人の

最もセクシーでクールな『ロボコン』 書影

サイエンス / 教養・雑学

最もセクシーでクールな『ロボコン』

本書を読み始める前は、「よくある先生と生徒の感動物語かな」くらいに、軽く考えていた。しかし、そこで繰り広げられているロボット選手権があまりにもレベルが高く、ただの感動物語では済ませられない何かがあった。 高校生ロボット世界選手権「FIRST」(For Inspiration and Recognition of Science and Technology)

LGBT 自分らしくありのままで『夫夫円満』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

LGBT 自分らしくありのままで『夫夫円満』

はじまりはいつもこうだ。 米国総領事として, 夫のエマーソンと共に大阪や神戸、京都、広島など 各地で行事に参加していると、 社長、部長、課長クラスの年配の男性がやってきて、 「それで、どちらがご夫人ですか?」と尋ねられる。 「どちらが妻というわけではないんです… ゲイのカップルで…同性結婚ですから… 私が夫で、彼も夫。夫と…夫。夫がふたりなんです」 と答える

わがままいっぱいの理想の家『小さくてかわいい家づくり』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

わがままいっぱいの理想の家『小さくてかわいい家づくり』

あなたはもうすぐ40歳。いわゆるアラフォーと言われる年頃である。独身で、当然仕事も持っている。趣味は北欧雑貨を集めること。少しずつ増えていく可愛い雑貨を見ていて、あなたはちょっとした決意をする。 そうだ、これを売ろう! しかし、今のままでは頭の上にほわんと浮かんだ夢に過ぎない。普通なら夢は夢のままで終わってしまうもの。しかし、父親の突然の死と、今まで住んでい

『「科学者の楽園」をつくった男』いま話題の理研の歴史 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『「科学者の楽園」をつくった男』いま話題の理研の歴史

現在のドタバタ劇をみるに信じられないことかもしれないが、理化学研究所は、1917年の創立以来、「日本の科学界を牽引したのは理研」といわれるほど、数々の著名な日本人研究者を輩出している日本屈指の研究所である。 これまで、世界初のビタミン発見者といわれる 鈴木梅太郎 をはじめ、 寺田寅彦 、 長岡半太郎 、 仁科芳雄 、 湯川秀樹 、 朝永振一郎 などというそう

いずれ劣らぬ地獄絵図 『捕食者なき世界』と『ねずみに支配された島』 書影

サイエンス / 生物・自然

いずれ劣らぬ地獄絵図 『捕食者なき世界』と『ねずみに支配された島』

5億4千万年前の カンブリア爆発 以来、地球上には『捕食者』がはびこっている。ある意味では我々人類が地球上最強の捕食者なのであるが、そのことは棚上げにして、捕食者というと、どう猛で恐ろしいいうイメージを抱きがちだ。 捕食者のいない世界というのを考えてみてほしい。なんとなく、平穏でのどか、緑ゆたかで桃源郷のような景色が思い浮かばないだろうか。『捕食者なき世界』

ようやるわ。でも、よくやった! 『東京大学の学術遺産 捃拾帖』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

ようやるわ。でも、よくやった! 『東京大学の学術遺産 捃拾帖』

ようやるわ。もうこの一言に尽きるでしょう、この本は。東京大学図書館の貴重書耐火地下倉庫に眠っていたお宝資料を、ひたすらめくり続け読み込んでのセレクト面白資料集。集めた方も集めた方なら、拾った方も拾った方。で、それがカラーの新書で読めるのです。 幕末から明治・大正時代にかけて、当代きっての「なんでも蒐集家」が集めたチラシ、領収書、お菓子の包み紙、あとほかなんで

『テクニウム』 - 利己的なテクノロジー 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『テクニウム』 - 利己的なテクノロジー

もしも地団駄というものが踏めるものであるのなら、この一冊を読みながら踏んでみたいと思う。 原題は『 What Technology Wants 』=テクノロジーの望むもの。テクノロジーの歩みを『種の起源』のように捉え直すという束ね方に独創性があり、これまでに見聞きしてきた様々な知識が一本の線でつながるようなダイナミズムに満ち溢れている内容だ。おかげで、本が本

今こそ取り戻そう『男子の貞操』 書影

おすすめ本レビュー

今こそ取り戻そう『男子の貞操』

中身に触れる前に、まずタイトルが凄い。「貞操」である。平成の世に、21世紀の日本で「貞操」である。久しく耳にしてない言葉である。貞操を飾る言葉が、「男子の」。「女子の」ではなく、「男子の」。「女子の」ならば「週刊SPA風味の肉食女子についてですか」ってオチも透けて見えて泰然と構えられるが、残念ながら「男子の」。中身が全くわからない。ガチンコに貞操について語る