
より良き世界のために 『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下』
『プラトーン』、『7月4日に生まれて』、『JFK』をはじめ数々の名作を世に送り出し、2度のアカデミー賞に輝いた巨匠オリバー・ストーンが、ドキュメンタリー制作を通じてアメリカの現代史を問い直した成果がここに結実した。本シリーズは、最新資料による裏づけをもってアメリカの黒歴史を暴いた歴史大作である。 人類の歴史を振り返ってみても、現在のアメリカの軍事力は圧倒的で
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『プラトーン』、『7月4日に生まれて』、『JFK』をはじめ数々の名作を世に送り出し、2度のアカデミー賞に輝いた巨匠オリバー・ストーンが、ドキュメンタリー制作を通じてアメリカの現代史を問い直した成果がここに結実した。本シリーズは、最新資料による裏づけをもってアメリカの黒歴史を暴いた歴史大作である。 人類の歴史を振り返ってみても、現在のアメリカの軍事力は圧倒的で

ポジショントークというものがある。 何かについて意見を言うときに、客観的な視点からみて正しいと思うことではなく、自分自身の所属する業界や組織、役職といったポジション(立ち位置)にとって有利な主張をするのがポジショントークで、ビジネスの世界は勿論のこと、日常の至るところに溢れ返っている。意見の対立というのは、主義・信条の対立もあれば、感情的な諍いも、明確な優劣

みずほ銀行出身の経営コンサルタントがいた。 そして、彼が顧問を務める中小企業は、粉飾決算によって銀行融資を受けていた。 もちろん、彼もその事実を知っており、ある意味では、粉飾決算に関与していた。 その結果、彼は東京地検特捜部に狙われ、2012年3月、懲役2年4ヶ月の実刑判決を宣告される。 すべて事実だ。飾らず淡々と書いてしまえば。しかし、幾つかの補助線を引い

タイトルにあるとおり、お酒の話である。西原理恵子と吾妻ひでおの本であるし、表紙も楽しそうだから、エンターテインメント系かと思って買ったのであるが、ちがった。もちろん両氏のことであるから、サービス精神満点にすごい経験談がどんどんと繰り出される。しかし、この本の目的はそこにはない。西原がいうように、アルコール依存を正しく理解してもらい、少しでも減らそうという崇高

古書を購入するために1億円以上の借金を背負った。 出版社社屋で寝泊りしながら『 世界大博物図鑑 』を1人で書き上げた。 本の購入資金捻出のために、1日に1回しか食事せず、10年間同じスーツを着続けた。 愛書家 として上記のような 伝説 を多く持ち、「中学生のころから、読んで感激した本の著者に手紙を書いて、勝手に弟子入りを決め込」んでいたというアラマタさんが、

シリコンバレーにあるスタートアップ養成スクールの3ヶ月を、密着して追いかけたドキュメント。本書の面白さを知るためには、「はじめに」の章で書かれているわずか10ページほどの説明を読むだけで十分だ。 このスタートアップ養成スクールを運営しているのは、ベンチャーファンド「 Yコンビネーター(YC) 」。その中心人物が、元起業家でプログラマーのポール・グレアムだ。

ゴールデンウィーク(GW)に突入である。海に山に忙しい方も多いだろうが、HONZ読者ならば読書にも忙しいはずである。私もレビュー用にここぞとばかりに、アマゾンで『立身出世と下半身』という本をタイトル買いしたら、あらゆる意味で軽薄短小が売りのはずの私の元にタウンページのような厚みの本が届いたのが一週間ほど前。GWに入り、読み進めると、学生になぜセックスを推奨し

英雑誌The Economistが2012年Book of The Yearとして選定した本が翻訳された。本書は、2012年に出版されるやいなや、The Economistだけでなく、New York TimesやWashington Postなどの名だたる全国紙・雑誌により絶賛された本である。 ABC Newsの記者を30年以上務めた著者の挑戦から本書はス

直感に反するタイトル、「先送り」という言葉に、よい印象はない。 TVでは、「いつやるか?今でしょ!」と連呼され、受験生でもないのに、その瞬間だけ、心が掻き立てられる。だけども、3秒後にはまるで、聞いていなかったかのように、コタツを出ることなく、TVの前に居座り続け、時間を貪り、ふと時計を見ると、罪悪感に襲われる。今年の流行語大賞で、アベノミクスとの一騎打ちと

またしても、素晴らしい本に出会ってしまった。このコメ作りをめぐるささやかな一冊が、まさかこんなにも生きるヒントに満ちているとは、ぼく自身、思いもしなかった。もし今、自己啓発書やスキルアップ系ビジネス書を読んでいる方がいたら、今すぐそれを閉じ、何よりまず、この本を読むべきである。 まず読者にお願いしたいのは、「なんだ農業の本か」、とこのレビューを読むのを止めな

フランスの哲学者・自然科学者パスカルの有名な言葉である。人間が「考える」葦であるということは、葦は「考えない」ということなのだろう。確かに、脳を持たない植物である葦が、人間のような思考を持たないことは疑いの余地がない。 それでは、考えを持たない植物は、世界をどのように見て、感じているのだろうか。そもそも植物に視覚や嗅覚などの、ヒトの五感のような感覚は存在する

最近では、自分自身の過去と向き合うことを「巡礼」と呼ぶらしいが、こちらは正真正銘の巡礼の話である。ときは江戸の時代、ところは伊勢神宮。だが、ここでお参りを行ったのが犬であったというから、只事ではない。 最初に犬の伊勢参りが行われたのは、明和8年(1771年)4月16日の昼頃のこと。突然、犬が手洗い場で水を飲んでから本宮の方へとやって来て、お宮の前の広場で平伏

ヴェルサイユに初めて館を建てたのはルイ13世だ。それはつましい小さな狩りのための館だった。ルイ13世は劣等感の強い人物だったようだ。王としての器ではないと母から嫌われていた。ヴェルサイユの館は母からの逃避の場所として造られた。王はそことで男性側近とだけの時間を過ごした。女好きである父アンリ4世には似ることなく女性に対し消極的で、妻ともあまりまともに性交渉を行

アマンリゾートに行ったことがある人も、きっと多いのではないか。私にとっては、いつか訪れてみたい場所の一つだ。1988年にタイのプーケット島にオープンした「アマンプリ」に始まり、インドネシアのバリ、スリランカ、フィリピン、ブータン等に展開されているラグジュアリーリゾートホテルは、今や押しも押されぬブランドとなった。本書は、そんなアマンリゾートと創業者のエイドリ

「概説を書くことが、学者の最大の義務である」という、著者があとがきで掲げた日本建築史の泰斗・太田博太郎先生の言葉がかなえられた、すばらしい一冊だ。日本彫刻史の研究に携わることおよそ40年という著者の山本氏。長年にわたる仏像研究の成果がまとめられている。説明も平易な記述で読みやすく、長年培われた仏教芸術や日本美術史への深い考察も随所にうかがえる。 ぜひ一度、本

闇夜を駆け、密かに忍び、大金をせしめて逃げる。 普段、私達は空き巣の稼業など想像もしないだろう。タイトルがあまにりにポップなので侮っていたが、事実は小説よりも奇なり。本書は空き巣家業50年余の著者による体験録である。 著者が犯行におよんだ場所は、滋賀、奈良、三重など実際の現場が登場している。パトカーから逃走した国道42号線、ナンバーを控えられた津市など具体的

2002年に“人類の旅”をひとまず終えた関野が次に目指したものは、日本列島に人類はどうのようにやって来たのか、をたどる旅だった。そのルートは大きく分けて3つあると考えられた。 1.〈北方ルート〉ユーラシア大陸をヒマラヤの北部に進み、シベリアからサハリンを経由して北海道に至った。 2.〈南方ルート〉東南アジアから中国の海岸沿いに陸地を北上し、朝鮮半島を経由して

インターネット。とても身近な単語だが漠然としており、具体的に何を指しているのかはよく分からない。テクノロジー雑誌『Wired』の記者である著者でさえも、とある事件が起こる前まではその単語が何を差すのかを正確に把握できていなかったほどである。 「お宅のインターネットが接続できなくなったのは、リスが裏庭にあるケーブルをかじってしまったからです」、修理員にそう告げ

はたして任侠道とは武士道の末裔なのだろうか。武士とヤクザは映画、ドラマ、小説からアニメまで様々なメディアで幅広く描かれている。両者は歌舞伎などの古典芸能に限らず、現代の国民にも絶大な人気を誇る「男」の形であることは間違いないだろう。どこか似た精神性を感じさせる。しかし根本的に何かが違う気もする。武士とヤクザの関係性とはどのよなものなのか。そこにはどんな歴史的

ナイジェリアの貧困地区で生まれ育ったアンドリュー・サボルは、家計を支えるために、16歳で廃品回収を始めた。炎天下でゴミ山を漁る過酷な仕事を、アンドリューは1日12時間、16年間に渡ってやり抜いた。そして、その下積み生活で貯めた資金をもとに、リサイクル用廃棄物のディーラーとして独立することに成功した。独立後の彼は、小奇麗なワンルームマンションに住んでいる。今頭

4月13日、第2回将棋「 電王戦 」5番勝負の第4局が行われる。第3局までは4段・5段の棋士だったが、いよいよA級棋士の登場だ。A級棋士とは160名ほどのプロ棋士のうち1年間の順位戦を戦い、勝ち抜いてきたトップ10人のことをいう。対する電脳は第22回コンピュータ将棋選手権を勝ち抜いてきたプログラムたちだ。最終局に登場するのは東京大学にある800台近くのPCを

コレステロール、中性脂肪、高血圧... 毎日を健康的に過ごすための情報は、ネット上や書籍などでも溢れかえっている。そして身の回りの人間に相談すれば、様々なアドバイスを得ることだって出来るだろう。だが、そこで得た膨大な情報の中からどの選択肢を選ぶのがベストなのか、そこに最大の関門が待ち受けている。 かつて医師は権威そのものであった。医師は判断を下し、患者はそ

「絶望工場」と聞き、多くの人が思い浮かべるのは鎌田慧氏の『自動車絶望工場』だろう。愛知県のトヨタ自動車の工場に期間工として半年間潜入し、書かれたルポである。1973年の作品だ。当時、鎌田氏が描いたのは、工場内の自動化や合理化を進める企業とそこで疎外される労働者の姿だった。それから40年。今や世界の工場となった中国でも日本とは異なる形で「絶望」が生まれている。

熊本といえば、阿蘇山であり、熊本城であり、北里柴三郎であり、川上哲治であり、水前寺清子であり、辛子蓮根であり、馬刺だったはずである。しかし、今は違う。熊本といえば、ゆるキャラ界の人気を ひこにゃん と二分する くまモン なのである。『ゆるキャラ格』としては、ひこにゃんに一歩ゆずるような気はするが、関連商品売り上げはすでにひこにゃんを超えている。 ご存知くまモ

切断手術を受けた後、失ったはずの腕を鮮明に感じ続ける人がいる。幻の腕が痛むこともある。 特定の数字に、特定の色がついて見える人がいる。例えば、「7」には赤い色がついている。 本書は、名著『脳の中の幽霊』から14年、あのラマチャンドラン博士の新刊である。カリフォルニア大学サンディエゴ校の脳認知センター長であり、上記の「幻肢」や「共感覚」のような脳疾患を研究し、

ガウディー、サグラダ・ファミリア教会、サッカーのバルサ……。「それってみんなスペインのものじゃないの」と思った人や、ヨーロッパ観光旅行でバルセロナを訪れただけなのに「スペインを旅行した」と思い込んでいる人は要注意。それは100パーセント正確な認識とは言えないようなのだ。 スペインであって、スペインでない(かもしれない)独自の文化が花開く「奇跡の土地」カタルー

ストンと身体に入っていき、「腑に落ちる」という表現がしっくりくる…… 私には、そんな感覚がある。 三木さんの言葉の意味はひとそれぞれだろう。 音楽のようなリズムもそこに加わる。 さて、三木さんの処女作である本書は、あなたにどう響くだろうか。 生前の三木成夫を知るひとが、その出会いや人柄を語る場面に何度か遭遇したことがある。 文庫版解説を書かれている養老孟司さ

18番目に登場するアイザック・ニュートンは「なぜ、あなたはそれほどの先見性があるのですか?」と尋ねられた際の答えである。この一言に本書を読むべき理由が、凝縮されている。 とは言っても、登場する150人の科学者の小難しい業績が並んでいる事典ではない。イメージからは想像しがたいエピソードをフックに、科学者の人柄や恋愛関係、どういった経緯から社会から賞賛される研究

しつこいのは分かっているのだが、どうにもこうにも止められない。既にHONZで3度目の登場ともなる本書は、紹介されるや否や、たちまちAmazonでも在庫切れ。おかげで買うタイミングを逸した方も多かったのではないかと思い、忘れられないうちにトドメをさしておきたい。 代表・成毛眞、編集長・土屋敦。この二人が 揃い も 揃って はしゃぐ姿を眺めるのも、それはそれで

1904年2月8日、旅順港外での日本海軍によるロシア艦隊への奇襲攻撃によって、日露戦争が開戦した。多くの犠牲者を出しながらも終わる気配を見せない戦闘は、次第に激しさを増していく。ロシア相手に勝利を続ける日本であったが、大国相手に長期戦を戦い抜くほどの力は備わっていなかった。また、国力で優りながらも連敗を続けるロシアも、戦闘が長引けば、既に失ってしまった面目以

地球上には数多の動植物が存在しているが、およそ80%を超える種類が、西洋科学の範疇において未だ存在を知られていない。それらの種は特定の地域に集中しており、その多様性から生態学のホットスポットと呼ばれているが、同時に深刻な衰退にも陥っているという。 一方で、言語に関しても同じような事態が起きている。少なくとも80%が未だ記録に残されておらず、今現在、何が失われ

生命科学や医学の領域では、物理学や数学のように天才は多くない。しかし、遺伝の法則を見つけ出したグレゴール・ヨハン・メンデルや、進化論を唱えたチャールズ・ロバート・ダーウィンは、まぎれもない天才だ。メンデルとダーウィンは、19世紀の中盤から終盤にかけて、その天才的な洞察力を発揮した。 この二人とほぼ同時代に活躍したルイ・パスツール、それに少し遅れたロベルト・コ

「正直シグナル」なんて、どこかの歌の題名のようだ。自分がどれくらい正直なのかをアピールする方法かと思ったが、違うらしい。まあ、そういう人は正直ではない。実際の意味は、全く逆だ。どんなに隠そうとしても無意識に表に出てしまう言語以外の表現を、「正直シグナル」というらしいのだ。もともとは、進化生物学の分野で使用されている用語とのことだ。本書の研究は、それを人間にあ

最近の小学生向け恐竜図鑑を読むと、カラフルな羽毛に包まれた、ニワトリやダチョウみたいな恐竜がいっぱい載っていることに驚く。 羽毛恐竜。1990年代に羽毛の痕跡の残っている恐竜(獣脚類)が次々と発見されたことで、鳥と恐竜の距離はぐっと近くなった。一方で、かつて「鳥の先祖」だと言われた始祖鳥と現生鳥類の距離は遠くなる(本書の帯には、始祖鳥の骨格標本が「オレ、鳥の

早くも2013年成毛眞のおすすめ本NO.1が登場してしまった。今年はこれ以上面白い本に巡りあうこともないであろうから、2013年の本読みは3月吉日にて終了である。あとは惰性でつまらん仕事をするなり、散歩代わりのゴルフに出かけるなりして、ヒマをつぶすしかないであろう。じつに残念なことである。ともかく本書はめったにお目にかかれない傑作なので買うべきです。以上です

この話が小説ならよかったのに。小説なら、おぞましいながらも美しい悲劇として描けるものを。 7歳の夏、著者のマーゴ・フラゴソは彼女が育ったニュージャージー州ユニオンシティのプールで51歳のピーター・カランに出会う。精神の病を抱える母と、その母と娘を養うために働く父、ルイ。しかし口を開けば罵倒しかできない父親から逃れるため、母娘は逃避先を探していた。偶然出会った

ペドファイル(児童性愛者)という言葉で私の頭の中で真っ先に思い浮ぶのは宮崎勤だ。しかし、Wikipediaによると彼は本質的な児童性愛者ではなく、成人女性と上手く関係を結べない為に、少女たちを代替物としていた。という精神鑑定が出ているそうだ。では、本来的な児童性愛者とはどのような人たちなのだろうか?本書の著者でもあるマーゴに性的な行為を行っていたピーターが本

プロ野球が、本当の意味で国民的スポーツだった頃の記録だ。 1994年10月8日。セ・リーグのペナントレース最終戦、巨人vs中日。この日までに129試合を消化した両軍の戦績は、共に69勝60敗。勝敗数が全く一緒の同率首位でピタリと並んでいた。そして、残された最終戦。リーグ優勝の行方を決める運命のカードは、ナゴヤ球場での直接対決となったのだ。最終戦で、同率首位の

この男ほど、長く闘い続けたボクサーは他にはいない。 この男ほど、多くの国民に愛されたボクサーは他にはいない。 そして、この男ほど、罵声を浴びせられたボクサーは他にはいない。 WBCウェルター級王座を賭けた シュガー・レイ・レナード との闘いを終え、祖国に帰ってきたロベルト・デュランに向けられた感情は、ねぎらいや感謝ではなく、怒りと憎しみだった。人々は彼を「弱

「何か」がおかしいのは分かっている。でも、その「何か」がよく分からないからもどかしい。売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスに貧困ビジネス。自由で平和な現代日本の周縁に位置する「あってはならぬもの」たち。それらは今、かつて周縁が保持していた猥雑さを「漂白」され、その色を失いつつあるのだという。 著者は、 『「フクシマ」論』 でおなじみの社会学者・開