
『悲劇的なデザイン』そのデザインが、命運を分けた
デザインのやり方一つで、人が死ぬこともある。まさかと思うかもしれないが、世の中を見渡せばそのような事実は多々見つかる。そして何より問題なのは近年「デザイン」というものの意味が拡張しており、もはや「世界はデザインで出来ている」といっても過言ではない状況にあるということだ。 本書『悲劇的なデザイン』は、このようなデザインにまつわる悲惨な出来事を事例としてまとめ、
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デザインのやり方一つで、人が死ぬこともある。まさかと思うかもしれないが、世の中を見渡せばそのような事実は多々見つかる。そして何より問題なのは近年「デザイン」というものの意味が拡張しており、もはや「世界はデザインで出来ている」といっても過言ではない状況にあるということだ。 本書『悲劇的なデザイン』は、このようなデザインにまつわる悲惨な出来事を事例としてまとめ、

退屈すれば脳はひらめく、というのはなんとなく、直感的に、そうだなぁと思えることである。例えば、皿洗いをしているとき、ベビーカーを押しているとき、シャワーをあびている時、車を運転しているときなどはよくちがった考えや新たな気づきが浮かぶ。 退屈で心がさまよっている状態を、心理学の用語でマインドワンダリングと言い、心がさまよっている状態の神経科学分野での研究ははじ

2017年10月末、ビットコインの時価総額は1000億ドルを突破。スマホなどでビットコインを管理するユーザーは全体として11兆円を超える潜在的な購買力を持っていることになる。 2009年10月にビットコインが法定通貨と交換開始されたときのレートは100ビットコインで9円だった。2011年には英字紙「TIME」がビットコイン特集を組んだ。この時点で1ビットコイ

今、『SHOE DOG』が売れています。なんと発売1ヶ月で13万部突破だとか。翻訳本としては珍しいくらいの売行きです。この本は、ナイキの創業者が自ら語る創業秘話…といっても実はこの「創業者自らが語る創業秘話」的な書籍はノンフィクション界には珍しくありません。その中でなぜこれが売れたのか、、データからその実態に迫りたいと思います。 まずは発売からこれまでの売行

お金って何だろう? この本を読み始める前に、君たちがお金についてどんなことを知っているか、少し考えてみてほしい。 おこづかいやお手伝いをしてお金をもらっていれば、そのお金で自分の欲しいものを買うことができることは知っているだろう。 でもそれだけじゃない。お金には、欲しいものを買う以外にも、いろんなことができる力があることを、この本を読んで発見してほしい。 お

ひさしぶりに読んでいてワクワクするビジネス書に出会った。その本の名は『SHOE DOG(シュー・ドッグ)』という。2017年のベストビジネス書はこの本で決まりだ!発売する前からこの本には注目していた。読んでみたら、これが期待のさらに斜め上をいくおもしろさだった。550ページ近くもあり、ボリュームのある本だが、まったく飽きさせることなく、一気に読めてしまい、後

「天才とは、蝶を追っていつのまにか山頂に登っている少年である」と語ったのは、アメリカの小説家ジョン・スタインベックである。ナイキの創業者フィル・ナイトの人生も、ある側面から眺めると、このように見えるのかもしれない。 フィル・ナイトとビル・バウワーマンによってブルーリボン社が設立されたのは1964年のこと。日本のオニツカ(現・アシックス)から輸入したシューズの

「雑誌が売れない」と慣用句のように語られていますが、そんな市況の中でも売上が伸びている雑誌があります。例えば、パズル雑誌。POSの売上を見ると、4年連続で100%超えが続く超優良ジャンルとなっています。不況ムードに隠れがちですが、いい話は色々あるのです。 そんな中、9月の売上ランキングを見ていて目にとまった雑誌がありました。下記は9月期の定期雑誌売上ランキン

本書は、マッキンゼーの日本支社長からカーライル・ジャパンの共同代表を経て、現在、早稲田大学ビジネススクールの教授を務める平野正雄氏の最新刊である。 平野氏がコンサルタントとプライベートエクイティファンド経営者としての経験を通じて学んだ、過去30年の間に日本企業の経営が世界からどう乖離してきたかという歴史と今後の処方箋が丁寧且つ論理的に語られている。 本書のポ

情報隠蔽。誰もが、「情報隠蔽=悪」であり、起きてはならないと認識している。情報隠蔽が悪いのは、なにも不正につながるからだけでない。必要な情報が共有されずに恐るべき大参事を招いてしまうからである。 本書は多くの歴史的大惨事を引き起こした主な原因が情報隠蔽でだったという新しい視点を提示する一冊だ。原発事故、大規模リコール問題、金融危機に至るまで情報隠蔽が問題を深

私はいま38歳。ちょうど私が産まれたときの、父親の年齢になった。私が物心ついたときには、すでに父は膠原病にかかっていた。膠原病はタチの悪い病気で、いわゆる難病である。父の場合は、手足の血流が悪くなり、すべての指が大きくソーセージのように丸くふくれ、関節はこわばり、すべての爪と指のあいだには潰瘍ができていた。 指先を常に深く怪我している状態だから、何をするにも

今年これまでで、もっとも面白かった本である。書評を書くと決めた本を読むときには、引用したいページに付箋を張りつけるのだが、今回は付箋を張りすぎて、読み終わった後にさらに厳選して別の付箋を張りつけるはめになったほどだ。今年の金融読み物ナンバーワンだろう。 リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機。これまで幾多もの書籍が出版されているが、そんな中でも必読

本書を一言で表現するなら、「21世紀のユーザーズ・マニュアル」である。 本書の内容紹介に、「ビジネスの「ゲームのルール」の激変ぶりに、イノベーションの恐るべきペースの速さに、むち打ち症(whiplash)にならずついていくために不可欠な、『9の原理(ナイン・プリンシプルズ)』」と書かれているように、我々は、今、世界を動かすオペレーティングシステム(OS)が一

筋が通った正論に対して、直観が納得しないときがある。 本書タイトルでいう美意識は、デザインや広告などクリエイティブに関する領域かと思われがちだが、ポイントはそこではない。 近年、英国ロイヤルカレッジオブアート(RCA)など世界有数の美術系大学は、フォードやビザ、製薬会社グラクソ・スミスクラインといったグローバル企業の幹部に対して美術プログラムを提供している。

今、第二次大戦後に世界が築き上げてきたありとあらゆる既成概念が崩壊し、これまでのルールが全く通用しなくなる中、それに代わる新しい秩序やルールが立ち上がって来ているかと言えば、それもない。 今後とも新しい秩序の姿は見えないようだという不透明で垂れ込めた感覚こそが、今の時代を覆う漠然とした不安の正体であり、その裏返しが、AIのシンギュラリティがもたらすユートピア

信念を曲げる、ブレる、一貫性がない。どれも否定的なニュアンスで使われることが多い言葉だ。政治家が変節しようものなら、多くのメディアや、敵対する政党がそのことを一斉に叩くだろう。アメリカでは政治家の過去の発言と、それとは食い違う最近の発言を交互に放映する番組が人気を博しているそうだ。日本の週刊誌や新聞でも、その類いの記事はよく見かける。 リーダーには確固たる信

「出勤日も、出勤・退勤時間も自由」 「欠勤の連絡をしなくてよい」 「嫌いな作業はやらなくてよい。好きな作業だけやればよい」 著者の武藤北斗さんが経営している水産加工会社のルールである。こんな職場、本当にあるの? のっけから驚かされる。理想主義も行き過ぎて、意識高い系の実験的な試みはいいけれども「生き生き働く笑顔」のうらになにか無理が潜んでいるんじゃ…。などと

国内の衣料品(アパレル)業界がかつてない不振にあえいでいる。バブル崩壊直後や、リーマンショック後ではなく、なぜ「今」なのか? アベノミクスは一定の成果を上げ、マクロ経済は比較的安定している。にもかかわらず、今になって突如、深刻な不振に見舞われているのはなぜなのか? ということを、川上(生地を生産している企業)から川下(小売店)までを縦断的に取材してその原因を

"If people aren't calling you crazy, you aren't thinking big enough." (もしまわりの人から「クレイジー」と言われていないのなら、あなたは"まだまだ大きく考えていない"ということだ。) この『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』(原題:Crazy is a Com

粉の飛散が少なく人の肌にやさしい「ダストレスチョーク」と、ガラスやホワイトボードなどつるつるした素材に発色良く書くことができ、濡れた布で簡単に消すことができる筆記具「キットパス」。活気的な2つの文房具を開発したのは、日本理化学工業という会社だ。 チョークは0.1mm単位の品質基準が求められる。JIS規格に適合するチョークの太さは11.2mmで、許されるのは±

2016年12月26日を境に、東芝の株価は暴落した。443円をつけていた株価はつづく3日間で259円まで下げたのだ。 それまで東芝株の上昇率は年間で70%を超え、日経平均銘柄で第2位を誇るほどだった。その日本が誇る優良企業が一気に奈落へと転落したのだ。見得を切る暇もなかった。 この株価暴落はNHKによる巨額損失計上の報道がきっかけだったが、じつは2008年か

「モバイルボヘミアン」という言葉を聞いて、最初はきっと、モバイルフォンを駆使してノマド的な生活をしている人のことなのだろうと思っていた。私の食べ友達が本書の共著者の一人である本田直之氏と世界を食べ歩いているfoodie仲間で、facebookを通じて本田氏の生き方を拝見していて、勝手にそのような想像をしていた。 ところが、著者の二人は既にノマドというフェーズ

こちらはバッタへの情熱で突き進む男の話。クマムシ博士によるレビューは こちら 。 ビックバンから生命誕生まで、宇宙はどのように変化してきたのか。高価で読み通すのにはかなりの体力を要する大部だが、科学がどのように宇宙の謎を解き明かしてきたかの全体像を知るためのベストな一冊。レビューは こちら 。 アメリカ政府、その中でも特にペンタゴンは科学の力を大いに利用し、

シリコンバレーの起業プログラムに参加する若者たちを描いたノンフィクション。冒頭の「主な登場人物」を見るだけで本書の面白さをすぐに理解できる。荒唐無稽な人物たちのオンパレードだ。 2011年から2016年までの6年間、とある物議を醸した若者向け起業プログラムを密着取材したのが本書。プログラム名は「20 under 20」。20組の20歳以下の学生がシリコンバレ

意思決定のプロセスでいつも感情に左右されがちと嘆いている人にとっては朗報だ。本書によると必ずしも感情的になるのは悪い事ではないようだ。 仕事や日常生活の中で私たちは常に何らかの決定を迫られて日々生きている。そして、意思決定の際に理性と感情のせめぎ合いを経験し、感情を排して合理的に決断できない自分に少なからず自責の念を感じているのではないだろうか。しかし、本書

「日本の観光をヤバくする」 というのが星野リゾートのミッションだと知っているビジネスマンは少なくないだろう。観光カリスマである星野佳路社長率いる星野リゾートは、リゾート施設運営におけるイノベーションと独自性のある戦略が評価され、2014年度の ポーター賞 を受賞している。 本書で取り上げられる中川政七商店は、工芸分野における星野リゾートとも呼ぶべきユニークな

本書はコーネル大学の人気教授で、ニューヨーク・タイムズの人気コラムニストでもあるフランク教授の著書ということで、よくありがちなアメリカ的な成功指南書なのかと思って読み始めた。 特に、邦題が『成功する人は偶然を味方にする』となっているので、偶然さえも自分の力でコントロールできるという意味なのかと誤解しそうだが、実際には成功者に自分の成功をもっと謙虚に受け止める

創造は孤独な世界であり、歴史を変えるひらめきが天才に降臨する。そんな「孤高の天才」のイメージは、実は神話にすぎない。真のクリエイティビティとイノベーションは、親密な人間関係や社会のネットワークのなかで生まれ、育まれる。それがこの本の出発点だ。 では、天才たちはどのようにイノベーションを成し遂げるのだろうか。そのプロセスを分析するために、著者は人間関係の基本で

冨山和彦氏の本は殆ど読んでいるが、本書は単にAI(人工知能)が関わるビジネス領域に留まらず、教育から地方創生から働き方論まで、今我が国が取り組むべき社会問題を全て網羅した、これまでの著書の中で最も包括的な内容の、全ビジネスマン必読の書である。 コンサルタント→企業再生実務家→社会変革者へと進化を遂げる冨山氏の行きつく先は、ピーター・ドラッカーのような経営思想

PS4とSwitchが盛況な現代だけれども、かつてはセガと任天堂が覇権をめぐり争っていた日々があった。日本視点でみるとあまり印象が強いわけではないが、メガドライブ(北米版はジェネシス)がアメリカでは任天堂のシェアを上回るなど、互角の戦いを繰り広げていた時代があるのだ。 本書はそうしたハード戦争においてセガが任天堂に対抗できていた一時代を、主にアメリカ(セガ・

2020年、東京オリンピックの開催の裏側で、大学入試センター試験の改革が着々と進んでいる。次の中学3年生が高校3年生になるタイミングであるから、もう間近である。高校も大学も塾も、その準備に追われてとても大変になることは想像に難くないが、その手前にも、大きな問題が来ることは随分前から囁かれていた。2018年問題である。 1992年に200万人を超えた18歳人口

おととし、初めて「ふるさと納税」をした。納税先は、岩手県陸前高田市。「お礼」に届いたのは、ホタテやアワビなどの海産物。その滋味あふれるおいしさに感激し、「この魚介を育んだ陸前高田の広田湾とは、どれほど豊かな海なのだろう」と、まだ訪れたことのないその地に思いを馳せた。 だが皮肉にも、その「豊かな海」からやってきた津波によって、陸前高田は壊滅的な被害を受けた。本

本書は映画化を視野に入れたストーリー性重視のノンフィクションで、ゲームの内容やテクノロジーよりも、企業の競争戦略や個性的な登場人物たちの葛藤や苦悩、生き様などに焦点を当てた点がユニークな作品となっている。著者はゲーム業界をビジネス的観点から描くことで、マーケティングや営業の現場が創造的プロセスにどんなインパクトを与えたかを、興味深

ため息が出た。大学人として、である。うまくいっている大学には、それだけの理由があるということがよくわかった。今をときめく近大、近畿大学の本である。関西圏以外で近大の知名度と評価はどれくらいなのだろう。しかし、いまや、いくつもの指標で、押しも押されもせぬ日本の私立大学の雄であることは間違いない。 少し前まで、近大のイメージといえば、ちょっと垢抜けしないバンカラ

ビジネスや起業で大成功をおさめるためには、「クレイジー・ジーニアス(クレイジーな天才)」でなければならない。 本書はそう説く。 起業は芸術であり、起業家は芸術家でなければならない。 本書はそうも説く。 ううむ、天才か。 でも、わたしは天才じゃないし、天才になろうとはしていない。そもそも、天才はなろうとしてなれるものではないのでは。 それにわたしは起業家ではな

今年で2回目を迎えた、ビジネス書グランプリ2017。このアワードのコンセプトは「ビジネス書を評価するべきは、ビジネスパーソンではないのか?」というものであり、あくまでも読者目線で本を評価していく点が最大の特長だ。 HONZとしては、そこへさらに「それがビジネス書かどうかを決めるのも、ビジネスパーソンでではないのか?」という疑問を投げかけたわけである。その結果

本書の帯に、「英タイムズも絶賛!22ヵ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日本に上陸!」とあるので、その言葉に釣られて買ってみたが、確かにその通りの素晴らしい内容だった。 『失敗の科学』というタイトルからは、直ちに「失敗学」を連想する。これは、『失敗学のすすめ』 で有名な東京大学の畑村洋太郎名誉教授が提唱した新しい学問分野で、起きてしまった失敗に対し、責任追及

『MUJI式 世界で愛されるマーケティング』は、無印良品の商品開発やブランドを理論と実践の二つの側面から解説した一冊だ。ブランドのエッセンスが非常に容易な言葉で描かれており、MUJIの世界観を分かりやすく伝えてくれている。 私が初めて無印良品と出会ったのは、コンビニで文房具を買った時のことだったと思う。コンビニなのに明らかに洗練されたノートやペンが揃っており

久し振りに本を読んで感動した。 本を読む理由というのは人によって、また場合によってまちまちだと思うが、自分の場合は知識欲に駆られて読むことが多い。自分が知らなかったことが分かること、世界の広さと深さを知ることがたまらなく楽しいのだ。 だから、小説は殆ど読まない。本当か本当でないか分からないような文章に興味がないから。学生時代から、先生に指定された課題図書を読

とにかくこの本の存在をはやく多くの人に知ってほしい!その想いと勢いだけでこのレビューを書いている。こんなに読んでいてワクワクする経営者の本を読んだのはスティーブ・ジョブズの自伝以来はじめてかもしれない。この本を読んだとき、松下幸之助の『道をひらく』を思い浮かべた。この本はそれと同じくらい、後世まで名著として語り継がれるべき本だと思う。とにかく心を揺さぶられる