
『本を売る技術』本屋における暗黙知がこの1冊に!
書店員の仕事にはマニュアルがなく、口伝や仕事を盗んで覚えるしかないと言われてきた。そんな中『本を売る技術』という本が売っていたので買ってみたところ、本書には自分が書店員になったときに口伝で教わったことや、誰からも教わることなく、働いていた間にトライ&エラーを繰り返して、最適解だと思ってやっていた技術が書かれていた。本書を読み終えたとき、書店員になったときに、
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書店員の仕事にはマニュアルがなく、口伝や仕事を盗んで覚えるしかないと言われてきた。そんな中『本を売る技術』という本が売っていたので買ってみたところ、本書には自分が書店員になったときに口伝で教わったことや、誰からも教わることなく、働いていた間にトライ&エラーを繰り返して、最適解だと思ってやっていた技術が書かれていた。本書を読み終えたとき、書店員になったときに、

年末、HONZメンバーの栗下直也から急なメッセージが飛んできた。 「新しい本を書きまして… ちなみに、酒の話は一切出てきません」 え、栗下さんから酒をとったら…(以下略)という気持ちに若干なりつつ、届いた包みを開けてみると出てきたタイトルが『得する、徳。』。 意外すぎるテーマに驚いた一方で、ちょっと啓発本っぽいタイトルに、天邪鬼な私は、少しあとずさってしまっ

片手袋問題に私が触れたのは、少し前のことだ。街道沿いに軍手が片方だけ落ちているのはなぜか?を検討していたバラエティのテレビ番組を見たのだ。その時、出演していたのが本書の著者かどうかは定かではないのだが、トラックの脇腹にある給油口のキャップに被せていたものが、走行中に落ちるのだ、という結論に驚いたのを覚えている。 その後、タモリ倶楽部で著者を知った。考現学にも

ゴジラをはじめ、怪獣たちを最新の生物科学で徹底的に考察する新書『怪獣生物学入門』。ヒットと重版の決定を記念して、著者・倉谷 滋さんと、本書へ推薦文を寄せた映画監督・樋口真嗣さんとのトークショーが三省堂書店池袋本店で開催されました。 初対面であることを感じさせない絶妙のシンクロ率で、リミッター解除のノンストップ怪獣談義が展開された模様を、ダイジェストでお届けい

そもそも、編集部からの無茶振りをよくも引き受けたものだ。100年前に『日本及日本人』という雑誌の臨時増刊号で前例があったといえども、100年後に思いを巡らせることなど、あまりに無謀だ。 100年後なら生きていないから、当たってもハズレても生きていないから結果は問われないと開き直るのは、上野千鶴子だ。そのまま現政権の批判に流れ込んでいく結論あは、読者の期待に答

2015年10月、池袋・某書店の人文書フロアで、私は立ち尽くしていた。棚に面出しで置かれた『あなたは、なぜ、つながれないのか』を前に、動けなくなっていたのだ。正直レジに持っていくには、少し勇気の要る本だった。実際、その日カゴに入れていた本は詩集ばかりで、本書は当時の自分が手に取る系統の本ではなかった。 それでも、刊行当初から否応なく気にかかる一冊だった。タイ

青山ゆみこは数多くの本の出版に携わってきた知る人ぞ知るライターだ。著者として出版した第一作、ホスピスでの「リクエスト食」をめぐるエピソードを綴った『人生最後のご馳走』を読めばその人柄がわかる。やさしくて聡明。誰もがそう思うだろう。 わたしが知る青山ゆみこもそうであるし、周りの皆にとってもそのはずだ。確かに今の青山ゆみこはそうである。しかし、どうやら昔の青山ゆ

大人になってから「美味しい」と感じたものの一つがようかんだ。子供の頃は和菓子、特にようかんには全く魅力を感じなかったが、ある日、濃いお茶とようかんに目覚めた。 『ようかん』は株式会社虎屋の資料室、 虎屋文庫 が編纂した類書なしの「ようかん全史」である。 おなじようかんでも、虎屋のものはありがたさが違う。カラーページには、ようかんの切り口に四季の景色や虎斑模様

動物とセックスをする人たち──そう聞けば、多くの人は激しい嫌悪感を覚えるだろう。しかし読み進めるにつれ、感情は目まぐるしく移り変わっていく。驚愕、好奇、悲哀、困惑、感嘆……。 本書は、ズーと呼ばれる動物性愛者たちの実像に迫った一冊だ。著者は、かつてパートナーからDV(ドメスティックバイオレンス)を受けていた過去を持つ人物。自らの身に降りかかった経験からセクシ

人間ではない者との結婚である異類婚姻譚は世界中に存在する。日本でも『鶴女房』や安倍晴明の母親、狐の「葛の葉」などが有名だ。多くは動物が人の形となって現れるが 『遠野物語』 で紹介された「オシラサマ」という民話は異質である。 東北地方の貧しい農家の娘が、飼っている馬に恋をして夫婦となる。だが父親はそれを許さず、馬を殺してしまうのだ。悲恋というより気味の悪い物語

30年間毎日欠かさずに酒を飲み続けてきた作家、町田康の断酒エッセーである。こう書くと酒をやめて健康になった暮らしぶりを健やかにつづったエッセーを想像してしまうが、決してそんな生易しいものではない。 その証左としてまずは目次からいくつかの見出しを引用してみよう。〈飲酒とは人生の負債である〉〈私たちに幸福になる権利はない〉〈「私は普通の人間だ」と認識しよう〉〈「

私たちは東京のことを知っているようで、実は何も知らないのかもしれない。吉祥寺に住む著者がそのことを実感したのは、ある新聞記事を目にしたときだった。井の頭公園の入り口に「いせや」という有名な焼き鳥店がある。2012年、建て替えのため店を取り壊したところ、跡地からなんと約1万5000年前の「焼き場」が見つかった。どうやら旧石器時代の人々も、同じ場所でこんがり焼け

今年度の開高健ノンフィクション賞を受賞した傑作だ。京都大学大学院で「文化人類学におけるセクシュアリティ研究」に取り組む女性が、単身ドイツに渡り、複数の動物性愛者(ズー)の家を泊まり歩いて丹念に取材している。最初私は「動物性愛」ときいて腰が引けたが、興味が打ち勝って本書を開いた。すると、こんな書き出しが待っていた。 私には愛がわからない。 ひと口に愛といっても

コーヒーを日常的に飲む国が増えたこともあって、世界のコーヒー需要は年々あがっている。 一方で、大量生産と安価な供給を目指し大規模に工業化されたコーヒーの栽培、育成が大地に与える悪影響。また、全世界的な気候変動が伴って㉚年後には今のようにコーヒーを楽しむことはできないという研究者もいる。『世界からコーヒーがなくなるまえに』は、そんなコーヒー終了のお知らせの最中

はーい、こんにちは。好評だった 箱根本箱 に続く、2回目のブラHONZは、本の街・神保町です! 神保町といえば、世界最大の古書街で、たくさんの出版社が集まる、まさに本好きの聖地。第1回の箱根本箱に続き、私・塩田春香と足立真穂が、神保町散策&マンガアートホテル宿泊をレポートします! ――というわけで、やってきました、神保町(私、会社が神保町にあるので、 わざわ

日頃からなじみのある食べ物でも、進化のレンズをとおして見ると、思いがけない事実が浮かび上がってくる。たとえば、パンケーキ(ホットケーキ)……おもな材料は、卵・小麦粉・ミルクだ。これらの共通点はなんだろう? その答えはすべて生命進化の大いなる分岐点にあることだ。 「卵」は、もともと海から陸へと移った両生類が発明したものだが、ぷにゅぷにゅしたゼリー状で、これでは

本書は、海外における日本アニメ研究の第一人者による「宮崎駿論」決定版とも言うべき一冊である(原書はMiyazakiworld: A Life in Art, Yale University Press, 2018)。通読してまず実感するのは、著者スーザン・ネイピアの「ミヤザキワールド」に対する並々ならぬ愛情の深さだ。自身も優れたストーリーテラーであるネイピア

先日、現代アートのコレクター会に参加した。特に予備知識も無く参加してみたら、これがとにかく面白い。 例えば多摩美術大学の先輩(50代)であるアートコレクターに、何故この作品を購入したのですか?と聞くと、「これは一見、絵の構成に思えるけど写真なんですよ。見たことない画面でしょう」と言う。なるほど、一見それは抽象画のようだが、近づいて見ると実はNASAの建物であ

「教養」がブームになってひさしい。2010年代の前半から『教養としての○○』というタイトルの本も数えきれないほど発売されている。そんな中、『教養としてのヤクザ』というタイトルの本を書店で目にして、つい手に取ってしまった。完全にタイトル勝ちである。ヤクザの話がいったい教養になるのかどうか?はなはだ疑問ではあるが、著者の名前を見て、これは買いだと確信した。 なぜ

本好きなら必ず一度は通る雑誌「本の雑誌」は創刊から43年が経つ。私にとって、最初は本を探す指針であり憧れだったから、後にこの編集部から仕事の依頼があったときには、天にも昇るほど幸せな気持ちになったのをよく覚えている。 現在でも連載中の「この作家この10冊」は、お気に入りの作家のお気に入りの10冊を、書評家、編集者、書店員、ファン、作家などなどが、それぞれ10

なるほど、これが教育というものなのか。 Education is what remains after one has forgotten what one has learned in school. 教育とは、学校で学んだことを忘れた後に残るものをいう 大学の医学部で教えているが、講義の最終回に伝える言葉のひとつだ。アルバート・アインシュタインの名言であ

第161回の直木賞候補作は全員女性であった。賞創設84年の歴史で初のことだと話題になったが文学の世界で性差を論じることは陳腐なことだと私は感じていた。 『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』は一般向けフェミニズム評論だ。著者の北村紗衣の専門はシェイクスピアのフェミニスト批評。東京大学で学士、修士を、キングズ・カレッジ・ロンドンで博士号を取得している。 北村は年に

知る人ぞ知るサイエンス系ノンフィクションの名手、サイモン・ウィンチェスターの新作ということで、すぐ手にとった。 2004年に邦訳が出た『クラカトアの大噴火』は450ページを超える大部だったが、貪るように読んだ記憶がある。19世紀末スマトラ島近くのクラカトア火山が大爆発を起こし吹き飛んだ事件だ。巨大な津波が3万人を超える人々を飲み込んだ。衝撃波は地球を4周する

たかのてるこ、『生きる』シリーズ第二作である。たかのてること言われてもピンとくる人は少ないだろう。しかし、『ガンジス河でバタフライ』の原作者といえば、一定以上の年齢の人にはイメージがわくかもしれない。長澤まさみ主演のテレビドラマになったノンフィクション旅行記である。 大阪の超名門・北野高校から日大芸術学部へ進学。「人にどう見られるかばかりを気にしてしまう、『

著者の出口治明さんは不思議な人である。何が不思議って、分厚い歴史書を何冊も出しているにも関わらず、真の正体はビジネスマンなのだ。今は、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長をされている。どうして出口さんは何冊も歴史についての分厚い本を出版するのだろうか。趣味なのか、それとも哲学や宗教に疎い人が増えすぎた日本を危惧して、使命感を持って書かれているのだろうか。

帝国書院の本だ。そう、あの地図帳の出版社である。ほとんどの教科書は捨ててしまったが、歴史の資料集や星座の早見盤などと一緒に「地図帳」は手元に残しておいた、という方も多いのではないだろうか。本書は、そんな方にピッタリの本である。 捨てずにとっておいたのは、表向きには「ニュースの時に確認用に使えるから」かもしれない。しかし、実はそれ以上に「黙って眺めているだけで

ものすごい本だ。まずはページ数。索引と原注だけで141ページ。本文582ページ。重い。 次は帯。「核戦争なき平等化はありえるか?」という文章が美しい縦書きで書かれている。不意をつかれてギョッとする。横書きには第二次世界大戦、毛沢東の「大躍進」、欧州のペストという千万人単位が死亡した事件の結果として起こった平等化、生活向上、賃金上昇などの例を上げている。さらに

発売前のゲラを読んだ読み手がこぞって絶賛し、話題になった『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(長いタイトルなので、『ぼくイエ』なんて愛称で呼ばれています)。この『ぼくイエ』は6月の発売以降、毎週毎週「1週間の売上記録過去最高!」を塗り替え続けており、勢いの衰える気配がありません。 ノンフィクションが、それもエッセイに近い内容のノンフィクションが、こ

TBS系テレビ番組「クレイジージャーニー」に出演しているジャーナリスト、丸山ゴンザレスの著書だ。番組をご覧になった方ならばご存じかもしれないが、著者はさまざまな国の裏社会を取材してきた人物だ。 本書は著者が取材した殺し屋や売春婦、ドラッグディーラーやジャンキーなどといった裏社会に生きる人々が、何を考えて犯罪という道を選び、行動するのかを考察した1冊である。著

『仲野教授のそろそろ大阪の話をしよう』は、仲野徹が身の回り5m以内の近さの人と大阪について語り尽くした一冊です。そんな訳でレビューについても、仲野徹の5m以内の人を探してみました。すると、さすがは大阪大学。オートファジーの世界的な研究者でありながら変人でもあられる、吉森 保教授の投稿が見つかりましたので、早速公開させていただきます。本人曰く「仲野先生には内緒

タベアルキストとして食の世界で絶大な人気を誇り、日本ガストロノミー協会の副会長でもあるマッキー牧元さんが企画・構成した、精肉業界のカリスマ・新保吉伸(にいほよしのぶ)さんの新刊書『どんな肉でも旨くする サカエヤ新保吉伸の全仕事』を早速読んでみました。 新保さんは、1980年に19歳で精肉業界に入り、27歳で独立して滋賀県に「近江牛専門店さかえや」を開店し、そ

酒の上での失敗。私も含め身に覚えのある人が多いだろう。思い出すたび情けないが、そんな気持ちも栗下直也の『人生で大切なことは泥酔に学んだ』を読めば、自分はまだましなほうだと、間違いなくやわらいでくる。 各界有名人総勢27名のとんでもない泥酔エピソードが紹介されている。どれもすごいが、酒乱スケールの大きさでは、第二代内閣総理大臣・ 黒田清隆 の右に出る者はおるま

本書の3年前に出版された同じ作家の『翻訳できない世界のことば』は本当にステキな大人の絵本でした。世界中の言語から、その言語にしかない言葉を選び、その意味とイメージに合わせた絵が添えられているのです。たとえば 「PORONKUSEMA」 フィンランド語で「トナカイが休憩なしで、疲れずに移動できる距離」 「IKTSUARPOK」 イヌイット語で「だれか来ているの

1956年生まれの著者が思い入れのある雑誌や書籍の誕生秘話を探る旅だ。『冒険王』『少年画報』『平凡パンチ』から『古文研究法』『ノストラダムスの大予言』まで。緻密なマーケティングよりも、個人の熱意や勢いが世の中を動かしていた時代の出版物が並ぶ。 1942年に発売され、累計1700万部を超える「豆単」こと『英語基本単語熟語集』。編者で旺文社の創業者である赤尾好夫

誰もが少しは恥ずかしい経験あるであろう「おなら」。力を入れた時、油断した時、大事な時、突然とやってくる私たちの生理現象だ。まだ音が出るだけなら笑ってごまかせるが、クサい場合は本当に恥ずかしく、目も当てられない。 生理現象にもかかわらず、恥ずかしいものとしてある意味避けられている「おなら」。これまで、「おなら本」があったとしても、どちらかというと健康よりの本で

大阪という町、世間ではどんなイメージで見られてるんでしょう?「お笑い」、「こなもん」、「ヒョウ柄のおばちゃん」、「えげつない」、「ガラ悪い」、とかでしょうか。 たしかにテレビでは吉本の芸人さん達が大阪弁で笑いをとりまくってます。それに、どうしてかわかりませんが、と~きょ~もんであっても、アホなことを言うたり、エロいことを言うたり、あるいは、ケチ臭いことを言う

2019年7月17日、 第161回芥川・直木賞選考会が行われ、直木賞に文楽の浄瑠璃作家、近松半二を主人公に据えた『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』が選ばれた。(禁を破ってHONZに仲野徹が書いたレビューは こちら ちなみに仲野は浄瑠璃を習っており、著者の兄弟子に当たる) 私はこの15年ほど文楽に嵌りまくっている。関連本を読みあさっていたのだが、まさかこの知識が日

キャスリーン・フリンさん、日本へようこそ!著者のキャスリーン・フリンさんは、前作『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』で日本で熱烈な支持を受け、テレビ番組『世界一受けたい授業』にも出演している。本書は、邦訳された2冊目の本であり、期待を裏切らず、彼女ならではの感性をキュートな言葉にのせ、読者を楽しませてくれる。 前作の原題は、『The Kitchen C

はーい、こんにちは。ブラHONZ、はじめます~。 メンバーが“ブラブラ”と本世界を巡りながら、知られざる本の歴史や成り立ちに迫る「ブラHONZ」。迫る前に泥酔してしまうかもしれませんが、誰もやらないので、深い意味も展望もなくスタートしちゃうことにしました。今回は、地形もバラエティに富む箱根へ。なんと本がたくさん詰まったホテルが箱根にできたというのです。 さて

1922年(大正11年)11月17日アインシュタインは神戸港に到着した。この日は京都の都ホテルに宿泊。日記には「下の町はまるで光の海。強烈な印象」「日本人は簡素で上品、とても好ましい」と綴っている。 アインシュタインが特殊相対性理論と光量子仮説を発表したのは1905年。26歳のときだった。自身のノーベル物理学賞受賞を知ったのは日本への船上だった。さぞかし楽し