
古典的名著の再編集『コーヒーのすべて』
「自家焙煎はやっぱり違う」「豆はエチオピアでね……」なんぞと最近、コーヒーをめぐる話は細かいことになっている。そもそも「こんなに苦いものをなぜ?」と最初に飲んだ時に思った人も多いのではなかろうか。コーヒーがこれほど愛されるようになった背景を知りたい――そんな人は、この文庫から入ると良いかもしれない。アメリカで1935年に出版された『All About Cof
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「自家焙煎はやっぱり違う」「豆はエチオピアでね……」なんぞと最近、コーヒーをめぐる話は細かいことになっている。そもそも「こんなに苦いものをなぜ?」と最初に飲んだ時に思った人も多いのではなかろうか。コーヒーがこれほど愛されるようになった背景を知りたい――そんな人は、この文庫から入ると良いかもしれない。アメリカで1935年に出版された『All About Cof

ほんの十数年前に登場したばかりのスマートフォンがそうしたように、新たなテクノロジーは私たちの生活を一変させる。AI、仮想通貨、ブロックチェーンのような新たなテクノロジーが誕生する速度は加速度的に増し、1つのテクノロジーが与える影響もより大きなものとなっている。グローバル化の進展によって小さくなった世界では、破壊的テクノロジーの影響は一瞬にして世界中を駆け巡り

裏木戸に立てかけさせし衣食住。ビジネスマンなら、一度は聞いたことがあるだろう。初対面の人との話のキッカケにしやすい話題の頭文字である。「裏」は裏話、「木」は気候、「戸」は道楽・・・と続く。なかでも、天気の話題は鉄板だ。差しさわりがなく、相手も乗ってきやすい。でも、そこからどう会話を膨らせるかは、その人の腕次第である。 本書は、天気図を使ったクイズを30問収録


2015年、米カリフォルニア州サンバーナーディーノで銃乱射事件が発生した。パキスタン系アメリカ人でありイスラム教徒だった犯人の名前が報じられるやいなや、ネット上はイスラム教徒を殺害せよという書き込みで溢れかえる。 事件の4日後、オバマ大統領(当時)は国民向け演説で「差別を拒むことは、宗派を問わずすべての米国人の責務」と語り、「自由は恐怖に勝ることを忘れないよ

本書の主題は、レピュテーションである。原書のタイトルは「The Reputation Game The art of Changing How People See You」で、評判をゲームとしてモデル化し、そのゲームを勝ち抜くためのお作法をまとめている。流し読みするだけでも、周囲からの評価を得ようと躍起になり、他者からの評価に振り回される日常を冷静に俯瞰す

数字、ファクト、ロジック。立命館アジアパシフィック大学の学長にしてHONZ客員レビュアーでもある出口治明さんは、この三つで物事を決定するべきだと説かれている。これはサイエンスにおける研究の進め方でも同じである。なかでも最も重要なのは生の数字だ。相対値ではなくて、絶対的な数字。それがなければ話にならない。 日本国についてのそのような数字をこれでもかと惜しげもな

いまや国民食となったラーメン。多くの人が、一度は病みつきになったラーメンがあるだろう。なぜ我々はそのラーメにはまったのか。麺の食感か、スープのうま味か、匂いか。なんとなく好きなのかもしれないが、そこにはおそらく本人も自覚していない理由があるだろう そうなのだ。あのラーメン店に行列ができるのも、飲み会の帰りにラーメンを食べたくなるのも理由があるのだ。本書はその

物質と電気的・化学的反応の集合体にすぎない脳から、なぜ意識は生まれるのか。本書は、この謎に気鋭の脳神経科学者が迫った一冊だ。現代科学の最前線の知見を手がかりに、「人工知能」ならぬ「人工意識」の可能性に切り込む。「幼少期が終わり、大きな転換点を迎えている」この分野の現状をまとめ、これからを見通した非常にエキサイティングな本だ。 私は近ごろ、女性を見て、オンナを

『広辞苑』の10年ぶりの改訂は、今年の出版業界のニュースの冒頭を飾るニュースとなりました。いくつかの間違いが即日指摘され世の中を沸かせるところも、国民的辞書だからこそという気もします。 とはいえ、この電子化の時代。紙の辞書がどの程度売れるのかについては懐疑的な思いもないわけではありません。ただ、その懸念を吹き飛ばす売れ方が続いています。その『広辞苑』はどんな

この原稿を書いている最中に、想定外のニュースが飛び込んできた。Facebookが新しい時間の単位を発表したというものだ。人類(のほとんど)は秒を共通の使用しているが、Facebookが提案した新しい時間の単位「フリック」は、7億560万分の1秒で、映像コンテンツを制作する際に、有用な単位となるらしい。 確かに時計の技術的な進歩により、時間の単位は変わっていな

爆弾が降りしきる中、私と同じように生活を営む人がいる。そんな当たり前のことを、本書を読むまで忘れかけていた。銃撃戦がひどい地域の住民は全員避難して、住居のなかは空っぽになっているというのは自分勝手な思い込み。バナは爆撃と銃撃戦が日々繰り返される街で生活していた。 バナの家族は、お父さん、お母さん、弟のモハメッド、戦争の最中に生まれた弟のヌール(光という意味)

カレーライスを一から作る。そう聞けば「ふむふむ、市販のルーを使わずに、スパイスをアレンジするのかな」と、まずは思うのが普通のリアクション。で、隠し味とか一手間とか、なにか工夫やアイディアがあって、と。実際「カレーライスをつくる」「カレーライスを語る」という本は数多ある。なにしろ国民食。美味しく作るために、どれほど多くの人々が、どれほど多くの情熱を傾けてきたこ

金融業界にいたというのに、自分のカネ勘定となると恥ずかしいくらいにいい加減にやってきた。自分がドンブリ勘定なので、子供にも偉そうなことが言えない。私ほどひどくはなくても、子供とはおカネの話はしにくいし、おカネについて何をどう教えたらいいかわからないという親は多いのではないだろうか。 この本は、そんなダメ親でも、子供をおカネの天才にすることはできると教えてくれ

本書のタイトルだけ見るといわゆるJKビジネス的な何かを連想してしまう人もいるかもしれないがそれは全くの誤解だ。制服メーカーのマーケッターが「なんでこんなヘンテコな着こなしや改造を施すのだろう??」と現場に張り付いてこれでもかと聞き込んでたどり着いた、制服を着る中高生の実態である。様々な読み方ができるがとりわけ改造と着くずし視点からの観察と分析、そしてメーカー

周りのみんながやっているから、乗り遅れないように私もやる――誰しも一度はこうした経験をしたことがあるのではないか。仲間外れは怖いものだ。多少ヘンな流行であっても、ついつい乗ってしまうのが人間の性である。 だが、そうして広まったブームも、時間が経つにつれて一つの風習・行事として根付く場合がある。「伝統」だなんて言葉がついていれば、説得力倍増だ。「古くから伝わる

プリーモ・レーヴィはユダヤ系イタリア人。トリーノ大学を主席で卒業した科学者だ。彼は24才の時にパルチザンとして活動中に逮捕される。1943年の事だ。翌1944年にアウシュヴィッツに移送され、開放されるまで強制収容所で地獄のような日々を送った。彼が送られたのはアウシュヴィッツの中の第三強制収容所モノヴィッツである。この収容所は強制労働を主目的としており、囚人は

タレント本の位置づけというのは、どういうところなのだろう。大型書店には必ず「タレント」の棚があるけれど、なんとなく近寄るのは気恥ずかしいような感じがする。しかし、振り返ってみると、タレント本の書評を結構たくさん書いている。 最近もドラマ化された黒柳徹子の『窓際のトットちゃん』は、本邦ベストセラー史上1位の堂々たるタレント本だ。さらに ランキング を見てみると

退屈すれば脳はひらめく、というのはなんとなく、直感的に、そうだなぁと思えることである。例えば、皿洗いをしているとき、ベビーカーを押しているとき、シャワーをあびている時、車を運転しているときなどはよくちがった考えや新たな気づきが浮かぶ。 退屈で心がさまよっている状態を、心理学の用語でマインドワンダリングと言い、心がさまよっている状態の神経科学分野での研究ははじ

最近、静かな猫ブームである。私は元々、猫派で、知る人ぞ知るNHK BSプレミアムの『 岩合光昭の世界ネコ歩き 』も密かに楽しんでいるのだが、飼育のしやすさもあってか、特に都会では猫の人気が急上昇のようだ。「なめネコ」や「ネコ鍋」のように、これまで何度か猫ブームというのはあったが、今回は”This Time Is Different”のような気がする。 ところ

大きいことは、いいことだ。 高度経済成長期、チョコレートのCMでこのフレーズが流行ったの を年配の人は覚えているかもしれない。20世紀は大きいものが正 義の時代だったのだ。なんせ、野球は巨人、 プロレスはジャイアント馬場である。名前からして、デカい。 ビジネスの世界を見渡しても、米ゼネラルエレクトリ ックのようなコングロマリット(複合的多角化企業) が成功事

「久しぶりに本を書いた」冒頭の文に、いきなり驚愕だ。なんでも、あの超ベストセラー『バカの壁』以来、ずっと「語り下ろし」だったらしい。ちらっと聞いたことはあったが、噂だけではなかったのだ。そして十年以上ぶりで書き下ろされたのが、この『遺言。』である。はたして何が書かれているのか、いやます期待。 「はじめに」で、早くもその意図は明かされる。「いまの時代は、皆さん

書店の店頭を「今年のベストセラー」が飾る時期となっています。この1年を彩った本の紹介は他所に譲るとして、今回は恒例(?)となった「今年一番売れた日はいつだった?」というテーマを取り上げたいと思います。 日販POS店のデータをもとに、2016年12月1日〜2017年11月30日まで1年間の日々の売上冊数(金額ではなく冊数です)を抽出しました。対象は書籍・雑誌全

忘年会シーズンである。振り返れば近年、焼肉忘年会をした記憶がない。参加者の懐具合に配慮し、幹事さん達は焼肉店を選択肢からはずしているのだろうか。折からのひとり焼肉ブームである。そこで私は、ひそかに決めていた。今年は「ひとり焼肉忘年会」を開催することを(爆)。それを100倍楽しもうと考えていた矢先、本屋さんの店頭でズラリと並んだこの本を見つけたのだ。 著者は、

先日「笑点」の演芸コーナーに神田松之丞が登場した。わずかな時間の中で講談という芸を説明し、そのさわりを読みたて、大喜利へ笑いを繋いだ。途中くすぐりを入れたにもかかわらず収録会場は一瞬静まりかえる。演者の迫力に押されて、観客は息を飲んでしまったのだ。 神田松之丞は弱冠34歳の二ツ目にして、昨今もっともチケットが取れない芸人のひとりだ。 いまや人気絶頂の落語にく

老いは避けられない。どうせ老いるなら若い人に「素敵なおじさん」と呼ばれたいものだ。おじさんが何歳からなのか、はっきりした定義はないだろうが、30歳からをおじさんと呼ぶのなら、私はおじさん歴9年になる。そろそろ、おじさんも板についてきた頃だろう。しかし未だに素敵なおじさんが、どんなものなのかトンとわからない。おじさんのサンプル集でもあればと思っていたら、出てき

戦闘前哨(COP)キーティングはアフガニスタン北東部に位置するヌーリスタン州の山岳地帯に作られた。パキスタンの国境から、わずか22.5キロメートル。9.11以降アフガニスタンに派兵した米軍はアフガニスタン東部での反乱に悩まされていた。アルカイダとタリバンの戦士達はこの急峻な山岳地帯の網の目のような隠れ谷をうまく利用し、戦士や武器をパキスタンから補給していた。

現代の世界は数え切れないほどのイノベーションが連鎖することでかたちづくられた。本書の著者スティーブン・ジョンソンが前著『 世界をつくった6つの革命の物語 』で示したように、ある分野のイノベーションは全く別領域でのイノベーションを誘発し、ときに想像すらできない変化をもたらしうる。印刷機の発明はインターネットを、衛生観念の発達はマイクロプロセッサを生み出した。著

この秋、思いもよらない入院生活を体験することになった。幸いにも今後長期にわたる治療が必要になるような病気ではなかったが、それでも2週間ほどの入院が必要だと言われた。 それからが大変だった。ぼくの体調ではない。我が家の生活の話である。子どもはまだ小さいうえに妻も仕事がある。お互いの親は介護状態だったり遠方に住んでいたりで気軽に助けを求められるような状態にはない

(HONZ 東えりかとのクロスレビュー:東えりかの書評は こちら ) イルカとクジラの問題について日本人としてのアカウンタビリティ(説明責任)を問う一冊だ。 捕鯨問題に対して自分なりの意見を表明できるようにすることは、日本人のアカウンタビリティと著者はいう。捕鯨への反感は日本人が想像もつかないほど広く根深く世界に浸透しているからだ。 たしかに筆者も海外で経験

すし。 言葉にすると同じなのだけれど、こんなに違うのだね。 そうため息をつくばかりの、お腹が空いてくる、旅をしたくなる、この『すし』。 全国いろとりどり、工夫さまざまの写真が並ぶ様子は壮観だ。なにしろ企画・編集を担ったのは50周年を迎えるという日本調理科学会。こちらの会員(大学・企業・公共機関などの研究者1300名ほど)が47都道府県の聞き書き調査を行った上

振り返るのはまだ早いが、今年は 『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』 と 『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』 という本が、とにかく良く売れた。100歳まで生きるという前提で人生設計を組み直す必要があることや、少子高齢化を前提とした働き方に変えなければならないことは、良くわかった。 その他にも変化はいくつもあるが、ガソリン車から電気自

ゴルフのラウンドをする度に痛感するのが、脱力することの難しさである。ただ脱力すれば良いということであれば話は簡単だ。しかし少しでも遠くへ飛ばしたいという欲望を充足させながら、力を抜いていくという行為は案外難しい。 その点、 ゼロからトースターを作ったこと でも知られる本書の著書トーマス・トウェイツは、明確な目標へ向かいながら全力で脱力するということに関して、


本書は2016年9月に発表された、ジャーナリストのダン・アッカーマンによるノンフィクションThe Tetris Effect: The Game that Hypnotized the World(テトリス効果――世界を惑わせたゲーム)の邦訳である。「Hypnotize」は「魅了する」という意味もあるが、「催眠術をかける、洗脳する」という意味の言葉であり、世

町山智浩は〈今世紀最初の映画評論家〉である。 2002年に最初の映画評論集──本書の前作にあたる『〈映画の見方〉がわかる本─『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで』(洋泉社)を上梓し、このとき初めて町山さんは映画評論家を名乗った。映画について書く映画ライターは大量に輩出されても、映画評論家を新たに名乗る者など皆無だった時期に、である。そこにはどんな意

原書のタイトルは「Wanderlust」、旅への渇望という意味を持つ。著者レベッカ・ソルニットの代表作であり、著者自身が旅への渇望を持つ一人である。著者の名前が日本で知られるようになったのは、著作『災害ユートピア』が、2010年という運命的なタイミングで出版されたためである。 人生をかたちづくるのは、公式の出来事の隙間で起こる予期できない事件の数々だし、人生

秋の夜長、読書をするにはいい季節だ。1947年(昭和22)年、「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」と読書週間が作られた。出版社、取次会社、書店、公共図書館、そしてマスコミも参加したこの運動は今年、第71回を迎える。 例年通り今年もまた、10月27日~11月9日まで2週間「本を読もう」というキャンペーンが行われる。だが読書の周辺は明るくない。本が売れな


私事で恐縮だが、今、猛烈に椅子が欲しい。この原稿は床に座って、ベッドを背もたれにし、ローテーブルにPCを置いて書いている。短時間の作業なら何の問題もないのだが、長時間となると、体のあちこちが痛くなってくる。そんな時、座り心地のいい椅子があれば、すらすらと原稿が書けると思うのだ。欲を言えば、食事をする時にも、くつろぐ時にも使える椅子が欲しい。そんなわがままな要