ノンフィクションはこれを読め!

教養・雑学

CATEGORY

894記事

『〆切本2』言い訳する二葉亭四迷、逆ギレするドストエフスキー 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『〆切本2』言い訳する二葉亭四迷、逆ギレするドストエフスキー

表紙の切迫感が凄い。赤色には気分を高揚させるだけでなく、時間を早く感じさせる心理効果があるらしいが。それを後押しするように文字が並ぶ。「猿に邪魔されても〆切はやってくる」、「とうとう新潮社社長の私邸に監禁」。意味がわからない。普通、日常生活を営んでいて、猿に邪魔されないし、監禁されない。せめて軟禁である。そういう問題ではないのか。いずれにしろ、相当にヤバい状

きっと本屋を開きたくなる 本ブームの謎に迫った『本の未来を探す旅 ソウル』 書影

教養・雑学 / 人物

きっと本屋を開きたくなる 本ブームの謎に迫った『本の未来を探す旅 ソウル』

韓国の首都ソウルでは、いま空前の本ブームが起きている。「独立書店」と呼ばれる個人開業の書店が週に1軒は生まれ、「独立出版物」と呼ばれる個人出版の本も、1日1冊のペースで出版されている。 一体なぜこんなムーブメントが起きているのか。学歴社会、就職難と非正規雇用、晩婚化と高齢化など、様々な共通した社会問題を抱える日本と韓国だからこそ、学べることがあるのではないか

『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』教育の旅紀行 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』教育の旅紀行

ロンドンの貧困地区の中等学校で数学を教えていたイギリス人教師が、学校をめぐる旅に出た。OECD(経済協力開発機構)が実施しているPISA(学力到達度調査)で高得点をあげた国々を選び、学校を訪問する。この旅を通じたフィールドワークはユニークなものだ。PISAの成績上位国の学校で働く教師たちのメールアドレスをネットで探し、彼ら・彼女らの学校での手伝いをしながら、

『兵士を救え! マル珍軍事研究』戦場での赤い下着に効果はあるのか? 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『兵士を救え! マル珍軍事研究』戦場での赤い下着に効果はあるのか?

長さ18メートルの砲身から時速650キロで放たれた砲弾がジェット機に撃ち込まれる。“砲弾”の重さは約1.8キロ。なにやら物騒だが、この砲弾の正体が「鶏肉」だと聞いたら、ほとんどの人がなにそれ?と首を傾げるに違いない。 アメリカ空軍のジェット機は年間3千回程度、バードストライクに見舞われるという。被害総額は年に5千万ドルから8千万ドルに及び、数年にいちどパイロ

『プーチンの国 ある地方都市に暮らす人々の記録』地方にこそ、国の姿がある 書影

教養・雑学 / 社会

『プーチンの国 ある地方都市に暮らす人々の記録』地方にこそ、国の姿がある

その国の首都のみを見ていては、その国の本当の姿を知ることはできない。これは世界中のどの国にも当てはまる事実であろう。ロシアでもこのように言われている。「モスクワは真のロシアではない」と。実際にこの言葉の意味を体現するような出来事もおきている。 それは、2011年末にロシアの下院議員選挙で不正疑惑が持ち上がった事件だ。これをうけモスクワでは大規模な反政府デモが

『よしもと血風録 吉本興業社長・大﨑洋物語』 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『よしもと血風録 吉本興業社長・大﨑洋物語』

2017年現在。僕はまだ吉本興業の社長をやらせてもらっている。 「吉本のやり方は読めない。いったいどうやって戦略を立てているんですか?」 最近は人からこんな風に聞かれることも増えた。 だが、この本を読んでもらえば分かるように、僕自身には戦略のようなものがあったわけではない。目の前に出てきた〝やらなければならないこと〟や、半ば行き当たりばったりのように思いつい

『月刊ムー』を読んでいるのは、どんな人たちなのか? 書影

教養・雑学 / 併せて読まれたこの一冊

『月刊ムー』を読んでいるのは、どんな人たちなのか?

子どもの頃、両親の本棚からこっそり取り出して読んだ本にはどうもいい思い出がありません。いい思い出どころかその後の悪夢に繋がった本の代表格が『悪魔の飽食』と『ノストラダムスの大予言』。 『ノストラダムスの大予言』については、200万部を突破する大ベストセラーであり、社会現象をも巻き起こし色々な方面に影響を及ぼしたと言われています。私の身の回りにも「どうせ199

『幻の黒船カレーを追え』酔狂な研究家はイギリスへ旅立った! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『幻の黒船カレーを追え』酔狂な研究家はイギリスへ旅立った!

男の料理の王様といえばカレーだ。市販のルーで簡単に作るところから始まり、ニンニクやショウガ、チョコレートやコーヒーを入れ始め、果てはスパイスの調合に凝り始める。 病膏肓に入ってしまった男がいる。“東京カリ~番長”というカレーの出張料理ユニットの料理主任で研究家として何冊も本を上梓している水野仁輔だ。彼は日本で普通に食べられているカレーのルーツを知りたいという

『性表現規制の文化史』えっちがいけないことなのは何故か 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『性表現規制の文化史』えっちがいけないことなのは何故か

本書、表紙が素敵なのだ。 裸の成人女性からうまい具合に乳首を隠したイラスト、線画の描写ゆえ生々しさはなく90年代に流行ったオシャレ系マンガの表紙のようである。 とは言えハダカはハダカ、サラリーマンばかりの通勤電車で読むのは平気だった私もさすがに目の前に小学生男子が立っている中では本書の続きを読むのをためらった。 こんな風に感じるのは何も私だけではないだろう。

『答えのない世界を生きる』 書影

教養・雑学 / HONZ客員レビュー

『答えのない世界を生きる』

いかなるビジネスであれ、ビジネスは人間と社会を相手に行うものである。そうであれば、僕は、人間と人間が創り出した社会の本質を理解することがビジネスにとっては何よりも大切だ、と思っている。その意味で、小坂井敏晶著『社会心理学講義』(筑摩書房)は、ここ数年の間に出版された本の中では、最高のビジネス書と呼んで差支えがあるまい。 『答えのない世界を生きる』は、その著者

『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表 書影

サイエンス / 教養・雑学

『科学が教える、子育て成功への道』21世紀の成績表

もし、子育ての成功を定義できるのであれば、成功への道があるのならば、それを知りたいと思う人はたくさんいるはずだ。そして本書は、子育てにおいて、科学でわかっていることは何か、何を成功として定義して、その成功のために何をすればいいのか、を学習科学・発達心理学の知見を見事に体系化した本である。 「子育て」と「成功」という2つの言葉は相性が微妙で共鳴しづらいが、学習

『大阪ソースダイバー』にソース文化の真髄を学べ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『大阪ソースダイバー』にソース文化の真髄を学べ!

あまり知られていないかもしれないが、大阪人はソース好きだ。東京では中濃ソースが一般的らしいが、大阪の家庭ではとんかつソースとウスターソースが常備されているのが普通である。 天ぷらにだってウスターソースをかける。少し古い、たぶん10年ほど前の データ だが、野菜と魚の天ぷらソースで食べる人は、関東では1%以下であるのに対して、近畿では 45 %もいる。アジとか

『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』地域型武装組織から国際テロ組織への変貌 書影

教養・雑学 / 事件・事故

『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』地域型武装組織から国際テロ組織への変貌

2014年、ナイジェリアで学校の寄宿舎が武装した男たちに襲われ、200人以上の少女が誘拐された事件を覚えている人も多いであろう。事件後、インターネットでイスラーム過激派組織「ボコ・ハラム」が犯行声明を出し、その動画の一部は日本のメディアでも取り上げられた。組織のリーダーを名のるアブバカル・シュカウという男が誘拐した少女たちを奴隷として売り飛ばすと宣言。 20

『発想法 改版 - 創造性開発のために』半世紀前を温ねて新しきを知る 書影

サイエンス / 教養・雑学

『発想法 改版 - 創造性開発のために』半世紀前を温ねて新しきを知る

国民総生産(GNP)が西ドイツを抜き、第2位になるのが1968年、その前年に本書は出版された。高度経済成長期の真っ只中であり、急速な成長の裏返しとして公害や環境破壊が世間の注目を集め、公害対策基本法が制定された。そこから版を80回以上重ね、現在までに80万部以上を売り上げている。 発想法とは、アイディアを創り出す方法である。問題提起から記録、分類、統合にいた

ダマされても憎めない『ananの嘘』 書影

教養・雑学 / 社会

ダマされても憎めない『ananの嘘』

雑誌はその時代のトレンド、社会の流れを掴むもの。だから1冊の雑誌の来歴をたどれば、自ずと、時代ごとの社会の変遷を読み取ることができる…。 そんな普段とは異なる「雑誌の楽しみ方」をみせてくれるのが本書『ananの嘘』。創刊から45年を迎えた雑誌『anan』(以下、アンアン)の2000号に及ぶ誌面を、『負け犬の遠吠え』他の著者である酒井順子氏が分析した一冊である

痛快!『女子プロレスラー 小畑千代』81歳にして現役 書影

教養・雑学 / 人物

痛快!『女子プロレスラー 小畑千代』81歳にして現役

昭和43年11月6日、IWWA(国際女子プロレス協会)世界選手権がおこなわれた。超満員の蔵前国技館で、32歳の 小畑千代 が対戦したのは米国の ファビュラス・ムーラ 。一本目は、いきなり反則攻撃をしかけたムーラがフォール勝ち。二本目は、必ずとると決めた小畑が攻めまくる。ドロップキックからキーロック、空手チョップから、跳び蹴り、ハンマー投げ。最後は、20キロほ

『文春にバレない密会の方法』サラリーマンの護身術 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『文春にバレない密会の方法』サラリーマンの護身術

大型書店のレジ前に本書が置かれており、不覚にも手に取ってしまった。児童書を買うのに並んでいたはずなのだが。 「文春にバレない」。政治家も芸能人もアスリートも、ことごとくバレてしまっている今、「文春にバレない」は「誰にも知られない」と同義だろう。知りたいではないか、そんな術。 「いや、あんた、一般人だから別に文春に狙われないだろ」と多くの人は突っ込むだろうが、

『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』本好きにしか判らないこの楽しさとおかしさ 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』本好きにしか判らないこの楽しさとおかしさ

もしあなたが軽度の活字中毒を自任しているとしたら、おススメの一冊だ。 内容はじつに他愛もない。カップ焼きそばの作り方、すなわちお湯をいれて3分待って湯切りし、ソースを混ぜて完成させるまでのことを書き起こしたものだ。 それをもし村上春樹や太宰治、ドストエフスキーやコナン・ドイルが書いたらどうなるかというパロディである。 登場するのは人物ばかりではない。『暮らし

まさに龍ブーム『百龍めぐり 関東編』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

まさに龍ブーム『百龍めぐり 関東編』

仏像や阿修羅ブームとは一線を画す、本書は龍に特化したガイドブックである。 龍の彫刻は、とくに江戸期の超絶技巧による寺社装飾でモチーフにされてきた。掲載される各寺社は、所在地、最寄り駅からのアクセス、宗派、祭神、御朱印、後利益など実用的なデータだ。全国の寺社の由緒とともに、フルカラーで龍の美しい造形と歴史を堪能できる。 どんな龍像でも良いわけではなく、本書では

『家計簿つけたら、ヤセました!!』 書影

教養・雑学 / 編集者の自腹ワンコイン広告

『家計簿つけたら、ヤセました!!』

『家計簿つけたら、ヤセました!!』――このタイトルを初めて聞くと、誰もが「プッ」と吹きだす。 日本人ばかりでない。このあいだソウルブックフェアに行ったときも、韓国人が吹きだしていた。かくいう私も、著者の川下 和彦さんからこの話を聞いたとき、「はぁ?」という感じであった。 本書は川下さんの実話がベースになっている。 人一倍意志が弱く、お酒が大好き。誘われたら「

『会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史』通勤電車は今も昔も地獄 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史』通勤電車は今も昔も地獄

父は国際スパイ、母はナポリの花売り娘。自称イタリア生まれの謎の論客「パオロ・マッツァリーノ」という設定で著者がデビューしたのは2004年の『反社会学講座』。以降、統計や過去の新聞記事から人びとが「常識」と信じ込んでいる慣習や振る舞いを徹底的に嗤ってきた。食傷気味の読者もいるかもしれないが、多くの人が無縁ではない「企業社会」が本書の題材とと知れば、読まずにはい

『おどろきの金沢 』伝統工芸と現代アートの狭間で 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『おどろきの金沢 』伝統工芸と現代アートの狭間で

本書を読んで、金沢21世紀美術館について長年抱いてきた素朴な疑問が氷解すると同時に、過去10年間にわたり、金沢という場を巡って、伝統工芸と現代アートの世界で稀に見る革新的なことが行われてきたのだというのを初めて知った。 これまでずっと疑問に思っていたのは、「なぜ金沢21世紀美術館が作られたのか?」「金沢の伝統工芸と現代アートの関係はどうなっているのか?」とい

『図書館100連発』さりげない緻密な工夫がいっぱい 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『図書館100連発』さりげない緻密な工夫がいっぱい

図書館の創意工夫を100種類紹介する書籍である。子供の頃から図書館につれられ、その工夫にひとり微笑んでいた私のような人間には面白おかしく読める本であるが、他に読者が存在するのだろうか。疑問に思って、本書を途中で閉じて、図書館に関する統計データを探ってみた。 2016年時点で公共図書館の数は3,300館弱、専任職員は1万人を超える程度である。他に私設の図書館も

『復刻版ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』小泉八雲のこだわりを堪能せよ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『復刻版ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』小泉八雲のこだわりを堪能せよ!

ラフカディオ・ハーンと聞いてピンと来なくても、『怪談』を書いた小泉八雲という外国人だと言えば分かる人は多いだろう。 1890年(明治23年)に来日し、日本の文化に魅入られ亡くなるまでの14年間、英語教師をしながら日本の物語を欧米に紹介し続け、晩年には帰化して日本人となった。 来日する以前、ハーンはアメリカで新聞記者として活躍する傍ら、物語やエッセイなども精力

『アルカイダから古文書を守った図書館員』 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『アルカイダから古文書を守った図書館員』

2013年1月、アルジェリア東部の天然ガス精製プラントで、日本人を含む大勢の外国人がイスラム過激派に拘束される事件が起きた。アルジェリア軍と過激派の交戦により結果的に少なくとも37人の外国人が死亡し、内10人はプラント大手「日揮」社員などの日本人だった。このニュースが駆けめぐったときの衝撃は、今も記憶に新しい。 では、このとき犯行

虎屋が駆け抜けた日本史 『和菓子を愛した人たち』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

虎屋が駆け抜けた日本史 『和菓子を愛した人たち』

「虎屋」。ほとんどの人が聞いたことがある……どころか、食べたこともらったこと贈ったこと、なにかしらお世話になっているに違いない。室町時代後期の創業以来、500年以上にわたって日本の和菓子業界をリードしてきた老舗だ。その虎屋には、和菓子を研究する部門「虎屋文庫」がある。 創業以来、約500年の歴史を持つ虎屋は、現在の黒川光博社長で17代目、売り上げは約186億

『『捨てられないTシャツ』Tシャツには、物語が溢れている 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『『捨てられないTシャツ』Tシャツには、物語が溢れている

幼い頃、母親からTシャツは下着であると教えられた。当時、下着は断然、白のランニング派だったので、Tシャツには見向きもしなかった。だから学生時代にアメカジブームに遭遇した時は面食らった。白いTシャツを着た男たちが街にあふれたからである。 そんなTシャツがいまや欠かせないファッションアイテムである。ならばさわやかに着こなしてやろうと意気込んでも、時すでに遅し。ぶ

『みんなの朝ドラ』もっとみんなで朝ドラについて語り合いたい! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『みんなの朝ドラ』もっとみんなで朝ドラについて語り合いたい!

朝の過ごし方に自分なりのルーティンがあるという人は多いだろう。「起き抜けに必ずトイレに行く」とか、「朝食には納豆が欠かせない」とか、人それぞれいろんなルーティンがあるだろうが、かなりの確率で「朝ドラを観る」と答える人もいるのではないだろうか。 みなさんにとって初めての朝ドラ体験といえば、どの作品になるだろう? 古い話で恐縮だが、ぼくの場合は『まあ姉ちゃん』(

『平均思考は捨てなさい』 みんなちがって、みんないい 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『平均思考は捨てなさい』 みんなちがって、みんないい

2017年5月に経済産業省が若手・次官レポートとして発表した「不安な個人、立ちすくむ国家」は、「結婚して、出産して、添い遂げる」、「正社員になり定年まで勤めあげる」という「昭和の標準的人生」が21世紀には一般的ではなくなったため、この標準に基づいて設計された日本の制度や価値観が現代社会のあちこちに大きなひずみをもたらしているのだとしている。しかしながら、19

『週刊文春 』や『 週刊新潮』の読者は、どんな本を読んでいるのか? 書影

教養・雑学 / 併せて読まれたこの一冊

『週刊文春 』や『 週刊新潮』の読者は、どんな本を読んでいるのか?

「文春砲」という言葉が世の中に広く認知されてからまだ1年足らず。今年はどんなスクープを?と思っていた矢先、週刊新潮が週刊文春についてのスクープ記事を出すという、思いもしない展開に突入。出版業界を戸惑わせています。 相変わらず雑誌の売れ行きは厳しく、再生までの道のりは長そうです。しかし、一方で、雑誌というのは書店店頭にお客様を定期的に呼び込む大事な商品でもあり

『ダ・ヴィンチ絵画の謎』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『ダ・ヴィンチ絵画の謎』

面白い。まるで推理小説を読むようだ。しかも、嬉しいことにカラー版、美術好きには堪らない1冊だ。本書は、史上最高の画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの最も有名な作品「モナリザ」にまつわるいくつかの謎について、当意即妙の文章で縦横に論じたものである。 著者は、膨大に残されたレオナルドの手稿研究の第一人者であり、レオナルド自身の頭と目になったつもりで謎解きにチャレンジ

毒のある戦略論!『戦争にチャンスを与えよ』思考が振り子のように揺れる。 書影

教養・雑学 / 社会

毒のある戦略論!『戦争にチャンスを与えよ』思考が振り子のように揺れる。

毒のある本だ。本書を読み始めてすぐにそう感じた。毒のある題名を付けて購読者の気を引き、中身は平凡でつまらない本も多数存在するのだが、この本はそうではない。 本書の著者エドワード・ルトワックはワシントンにある大手シンクタンク、米国戦略国際問題研究所の上級顧問であり、戦略家、歴史家、経済学者などの肩書きを持っている。しかし、日本の読者には『中国4.0』の著者であ

『猿神のロスト・シティ』 書影

生物・自然 / 教養・雑学

『猿神のロスト・シティ』

4年前に読んだ『マチュピチュ探検記』が面白くて、その後は本屋さんに行く度に冒険記を手に取るようになった。この本のなかで、遺跡探検の背後では、歴史や文化、権力闘争や学界論争などが何重にも折り重なって物語が形成されていることを知った。さらに夢中になったのは、遺跡探求には決してゴールがないことだ。例えばマチュピチュでは、後に発見される資料から以前に発見されていたこ

オモシロ本を求めて42年「本の雑誌厄よけ展」に行ってきた(東えりかのオススメ本付き) 書影

教養・雑学 / HONZ活動記

オモシロ本を求めて42年「本の雑誌厄よけ展」に行ってきた(東えりかのオススメ本付き)

大げさな話でなく「本の雑誌」が無かったら、今の私も無かっただろう。 本の虫だった高校時代、何人かの本好き友人はいたものの新しい情報に飢えていた時、週に数回通っていた書店で新しい雑誌を見つけた。「本の雑誌」というシンプルなネーミングで中を開いてみると、新しい本の情報や本にまつわるモロモロの話が書かれているではないか。とりあえずと買い求め、読んですぐファンになっ

『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』失われる光景を求めて 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』失われる光景を求めて

ガソリン携行缶10リットルを2缶、救急セット(傷薬、消毒薬、包帯、ガーゼ、絆創膏など)、非常用食料(カロリーメイト、乾パン、栄養ゼリー、アルファ米など)、非常用飲料水(2リットルを4本)、結束バンド、ダクトテープなど車両トラブルの際の応急修理用品。 まるで被災地に救援に向かうような持参品だ。その他にも簡易トイレやトイレットペーパーや乾電池などなど。実際、著者

『科学者の網膜 身体をめぐる映像技術論』「ありのまま」に挑んだ5人の科学者たち 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『科学者の網膜 身体をめぐる映像技術論』「ありのまま」に挑んだ5人の科学者たち

人は機械に取り込まれているのよ!!(注:若干意訳) なんと言うことだろう、昔の人は写真に魂を吸い取られると信じて撮られるのを本気で恐れたという話があるが、まさか真実だったのか。思わず震え声になってしまう。人間が気付いていないだけで人類は機械の掌で転がされているだけの存在だということなのか…。実は読み終えた今でも、機械の中で生きる人類を想像してちょっと怖い気持

自分であるということ 『成駿伝 孤独の◎は永遠に──』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

自分であるということ 『成駿伝 孤独の◎は永遠に──』

狩りの素人が山に入っても、獲物の存在に、なかなか気づかないそうだ。その一方で、猟師は山を見ただけで獲物がどこにいるかわかるという。私は小学校の頃から競馬をみてきたが、JRAにお金を預けっぱなしである。しかし、出馬表を見ただけで獲物がわかる予想家はいるものだ。本書は、昨年の夏に他界した、清水成駿という大物予想家の人物像に迫った本だ。 ダービーなどのG1レース前

『人はなぜ物語を求めるのか』物語との、虫のいい付き合い方 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『人はなぜ物語を求めるのか』物語との、虫のいい付き合い方

本書は物語論(ナラトロジー)と呼ばれる研究分野の視点から、人はいかに物語によって世界を理解しようとしているのかを説く一冊だ。 物語論の一部門である「筋(プロット)」研究には、「それなりに人間学的な背景があります」と著者は言う。本書では旧約聖書から桃太郎に至るまで、古今東西の様々な物語とその分析が引用され、さらには認知心理学や神経科学などの知見にも触れながら、