
『パラドクスの教室』 論理の限界へチャレンジ!
これぞ逆説の魔術。どこかおかしい、でも、どこに間違いがあるのか、答えが出そうで出ないのがパラドクスの魅力だ。バラエティに富んだパラドクスが、12章にわたってこの一冊にギュッと濃縮されている。 まずは、予測のパラドクスの中で有名な「抜き打ち試験のパラドクス」にちなんだ、こちらのエピソードから。 ----------------- とある中学校でのお話。週末の休
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これぞ逆説の魔術。どこかおかしい、でも、どこに間違いがあるのか、答えが出そうで出ないのがパラドクスの魅力だ。バラエティに富んだパラドクスが、12章にわたってこの一冊にギュッと濃縮されている。 まずは、予測のパラドクスの中で有名な「抜き打ち試験のパラドクス」にちなんだ、こちらのエピソードから。 ----------------- とある中学校でのお話。週末の休
50とよばれたトキ (読売新聞から) 『50とよばれたトキー飼育員たちとの日々』は、奇跡のようなタイミングで出版された本である。著者は朝日新聞の記者。2007年に佐渡島駐在となり、トキ保護センターの取材を開始した。ちょうどそのころ、第1回目の放鳥の準備が進められており、放鳥候補生が選ばれたところだった。 所長の言葉に、鳥と飼育員との日々にフォーカスを当てて取

2012年上半期No.1の社会派ノンフィクションだ。一度読み始めると、ストーリーにグイグイ引き込まれ、更に目から鱗の新事実が次々と登場し、しまいにはUFO・エイリアンに関する著者のあっと驚く新仮説も飛び出してくるので、ページをめくる手を止めるのに一苦労である。さすが「NYタイムズ・ベストセラー・リスト」に11週連続でランクインしただけはある。日々忙しく働いて

話は飛んで東日本大震災。多賀城市と石巻市、著者が現地に足を運んだ復興の現場風景。石巻市の取り組みはメディアにも頻繁に取り上げられてきた。しかし、被害状況の差はあれど同じく被災した多賀城市の現状は語れることは多くはない。二つの都市の違いは端的に言ってしまうと、商店街の有無である。多賀城市は仙台市のベッドタウンであり,Wikipediaに「”市の中心部が存在しな

明後日5月25日、Hondaはフルモデルチェンジしたスーパーカブ50を発売する。生産は、中国の新大洲本田摩托有限公司。メイド・イン・ジャパンではないが、値段が48000円程度も安くなり、110km/Lという燃費にも、グッと来る。しかし、個人的に注目すべきはやはり、なんといっても、次の点だ。以下のニュースリリースより引用する(太字は筆者)。 ・低・中回転域を重

奥付では4月13日初版第1刷発行となっている本書が、Amazonから届いたのは金環食の5月21日だった。5月22日朝にはすでにAmazonで売り切れており、たった1冊の出品されている中古品は8106円という値付けになっている。判型はB5版。いわゆる週刊誌サイズだが、美しいカラー写真や紙質にもこだわって作られた平綴じの立派な本だ。価格も2500円とお高いのだが

定時制高校2年の久美は自らの体に起こる異変に気づいていないわけではなかった。深夜アルバイトの最中に倒れたことは1度や2度ではなかったし、ぜんそくと腹痛がやむこともなかった。それでも、病院へ行くことをためらったのには理由がある。父親の洋平が営む廃品回収行が赤字続きで、国民健康保険料を滞納していたため、無保険状態だったのだ。家計を支えるために働く久美は、病院へ行

じつは2004年から2年間ほどJAXAの宇宙オープンラボ・アドバイザ委員を務めていたことがある。当時JAXAは「見上げる宇宙から使う宇宙へ」をスローガンに、宇宙オープンラボの民間利用を促進していたのだ。ホリエモンにはじめて会ったのも、このアドバイザ会議の場だった。JAXAはアメリカではIT経営者たちが次々と宇宙ビジネスに旅立つのをみて、日本でも宇宙に興味をも

外見・性格、自分が周りからどう思われているのか。日頃ズバリと指摘されるような機会もナカナカないが、実際言われるとイラッと来てしまうのが人情というもの。そんなときは本書を取り出し、指差し確認も悪くない。自己啓発書も使い様、読んで楽しく使い手もあるこの一冊をご紹介したい。 おじさん臭く見えてしまう髪型と、若々しく見える髪型の違い、それは、 頭頂部(トップ)と横の

「たけしの誰でもピカソ」の北野武さんは、以前アーティストについて「芸がよければ王様ですら言うことを聞く」と言っていた。ヨーロッパの宮廷には王の側近に道化がいた(宮廷道化師)。城の中にはイエスマンしかいないので、道化はその組織と制度に属さず、一歩離れた視点から国や王の行動を観察し、冗談を装いながら批判し、時には王をいさめていた。これは豊臣秀吉に対する千利休と同

「科学」という言葉は明治初期の啓蒙家である西周(にしあまね)によって発明されそうだ。発明されたと言っても何も無いところから西がその概念まで含めて考え付いたわけではなく、scienceの訳語として発明されたのだ( Wikipediaによると 、「哲学」「技術」「芸術」なども西の手による訳語のようだ)。この「科学」という訳語こそが、“日本の科学”と“欧米のsci

石原裕次郎 52 美空ひばり 52 向田邦子 53 有吉佐和子 53 越路吹雪 56。 これは、私が今でも見たいし聞きたい、読みたいと思っている人たちの享年である。並べるととても若くて自分が彼らの年を越したことが信じられない。彼らが居ないのは惜しい。しかし亡くなった人は仕方がないと諦めが付く。だけどふっと居なくなってしまった人への思いはどうやってけじめを付け

徒然草ではないが「すこしの事にも先達はあらまほしきこと」なのである。日々の生活、最後は自分で納得して決断していかなければならないけれど、迷ったり悩んだりした時は、つい誰かに教えてもらいたくなる。誰にたずねることができるか、で、その人の人生は大きくかわっていくだろう。かつて、開高健は『風に訊け』という連載で、多くの若者の人生に見事な指南を与えていた。三戸サツヱ

商店街といえば、どこのエリアでもまず第一に「シャッター街」と呼称されるようになった空き店舗の問題が浮かび上がってくる。もちろん、その光景は目に焼きつきつつも、すでにシャッターすら珍しく、商売を諦めた店舗が多く、玄関や車庫に様変わりしていた。 理解不能な現象が起こっていたので、早速、本書「口辞苑」を引いてみると…「しもうた屋」というキーワードが見つかった。「し

ようやく学生メンバーのキャラも立ってきた。レビューも一生懸命書いている。では彼らのオススメ本から。 急な小樽行きで欠席の 一色麻衣 。 就活戦線が苦戦に次ぐ苦戦らしく、腐女子もいよいよビジネス書に手を伸ばしたか。 大学院続行か、就職かで悩んでいる 井上卓磨 。 日本に留学している中国人へ日本人ジャーナリストが取材したもの。概ね日本が好きらしい。じゃなきゃ、来

あなたはどんな街に住んでいるだろう。その街に住むことを決めたのはあなただろうか、それとも、あなたの家族だろうか。立地、間取り、価格、様々な要素を比べて、その街に住むことを決めたことだろう。少なくとも、あなたはその街に住むことを決めた理由を述べることができるはずだ。しかし、その街へ住むことを決めたのはあなたの意識の及ばない何かかもしれない。心理学者ブレット・ペ

世界で最初の壺は日本でつくられた。1万4千年以上前、縄文人たちがつくりはじめたのである。地中海世界などでみつかる最古の壺は早期縄文時代から数千年後につくられたものだ。これらの地域では農耕が定着してから、穀物の保存などの目的でつくられはじめた。農耕以前の移動する狩猟生活では壺は持ち運びにくいため、つくられることはなかった。 いっぽう縄文人たちは定住型だが狩猟採

かつて、「月曜夜9時は街からOLが消える」と言われる時代があった。トレンディドラマと呼ばれるものが全盛であった、つい20年ほど前のことである。 しかし、もっと時代を遡れば、街頭テレビに民衆が群がり、プロレスラーに声援を送っていた時代もあった。この時代は逆に、放映時間に家から人が消えたという時代であったことだろう。 今を起点に過去数十年を振り返るだけで、私たち

先日、好評を博したHONZ内藤の活動期をぼけーと読んでいたら「栗下直也が真面目な本ばかり取り上げていたら、病気の可能性も否定はできない」と書かれていた。考えてみれば、最近、変な意味でなく、びんびんに元気なので直近の自分のレビューを振り返ってみたら「家のみ」、「ゴキブリ」である。そして今回も、びんびんは続くのかもしれない。「毒婦」である。 「えっ、この本、どこ

爆弾低気圧だ!竜巻だ!パチンコ大の霰が降った!と天候不順の今日この頃、ゴールデンウィークも終わって、本業に戻りつつある中でのHONZ朝会。 今日の欠席は オーストラリア単身赴任中のうえ出張が重なって、スカイプ出演もできなくなった 久保洋介 と、こちらも海外出張中らしい 仲野徹 。センセイ、学会かしら?朝会までにオススメ本をメールする、と仰っていたのも届かず。

敢えてたとえて言うなら、壁際に追いつめられた状態から、脚だけ横向きにして、さらに顔も同じ方向にしてみる、それが私にとっての古代エジプト(美術)だ。さらに言うなれば、ふと気づいたら狭い通路にいて、上から大きな丸い石が落ちてきて逃げる、というのが私にとっての古代エジプト(映画)である。 そんな妄想・オリエンテッドな私だが、古代エジプト3000年の歴史を紹介してい

著者の 遠藤雅伸 氏はゲームクリエイター。代表作には 「ゼビウス」 「ドルアーガの塔」 「ファミリーサーキット」 など、ファミコン世代の我々が幼少の砌(みぎり)お世話になった往年の名作が、ズラリと顔を揃える。 その遠藤氏、最近ではモバイルゲームも手がけている。東京大学大学院や宮城大学ではゲームデザインについての講義を担当し、本書は好評を博したその集中講義録。

「アート」とか「味」という類の言葉は結構便利で、世の中の大部分はそれでどうにかなってしまう。それらを口にさえすれば、え?と思うようなものも、え?と思う側の人を無粋にしてしまう、なんとも魔法のような言葉でもある。 本書は以前、芸術新潮に掲載されていた「股間若衆」と「新股間若衆」の連載と、追加で書き下ろされた「股間漏洩集」が纏められ単行本となったもので、日本の近

ヒトをヒトたらしめていることの一つに、農業を営むということがあげられる。狩猟採集から農耕定住へと進化することで、食料の安定性を確保し、文明への新たな一歩を踏み出しのだ。 しかし動物の中にも農業を営むものがいるとは、知らなかった。しかも農業を始めたのが、人類よりも何千万年も早いのだというから驚く。それが本書で紹介されているハキリアリという生物だ。 もしも生物学

「毒にも薬にもならないやつ」とは目立った短所も長所もない退屈な人を揶揄した言葉だ。ときに毒は薬にもなり、短所は長所にもなる。 薬剤開発において毒が薬になるためはLD50とED50が大きく離れている必要がある。LD50とは毒を与えた動物が50%死亡してしまう量(letan dose)のことだ。いっぽうED50とは薬を与えた動物の50%に薬効があった量(effe

プロ野球のエースといえば、誰を思い浮かべられるだろう。古くは沢村、そして、金田、村山、江川、鈴木、佐々木、野茂、ごく最近ではダルビッシュ。年齢と時代によってそれぞれに自分のエースがいるに違いない。わたしにとってのエースはなんといっても江夏である。オールスターゲームでの9連続奪三振、延長11回を投げきって自らのサヨナラホームランで仕上げたノーヒットノーラン、そ

2012年3月末、アマゾン・ドット・コムがある会社の買収を 発表した 。アマゾンにとってはザッポス以来の大型買収となる650億円が、 キバ・システムズ という聞き慣れない会社のために使われたのだ。キバ・システムズは物流ロボットメーカーであり、 リンク先の動画 のようなサービスを提供している。こんなところまでロボットによる自動化が進んでいることに驚かされる。今
誰だって物事が上手く進まなかったり、失敗したりすることで、回り道を強いられることがある。しかし、その時はショックであったことでも、後から振り返ると「なんであんなことで落ち込んでいたんだろう」と思うようになることもある。 僕にとってHONZというのは、まさにそういう存在だ。何を隠そう、僕は現・HONZメンバーで唯一の「HONZに落ちた男」なのである。そんな僕

Facebookなどを眺めていると、定期的にスパムアプリらしきものを見かけることがある。今でこそ簡単に引っかかる人も少なくなってきたが、最初のころは友人達が軒並み引っかかっているのを見て戦慄に近いものを覚えた。人間関係を利用した手法がいかに強力であるか、視覚的に確認することが出来たからである。 そんな人間関係を悪用したソーシャル型犯罪、そのはしりとなったのが

長かった冬もようやく終わり、東北にも春が訪れたようだ。この冬は、いつにも増して寒く雪が多かったと聞く。東日本大震災から1年以上経過しても、多くの仮設住宅に住んでいる方は、ほっと胸を撫で下ろしているのではないか。しかし今度はまた暑い夏がやってくる。 2004年から2007年にかけて、水害や中越地震、中越沖地震に見舞われた新潟県では多くの人々が仮設住まいを余儀な

「聖書? ホテルに置いてあるよね」それがほとんどの人の感想かもしれません。けれども――岩手のケセン地方に住むとある医師は、ひとりこつこつと「翻訳」をしてしまったのです、なんと、自分のふるさとの言葉に。その医師の名は、山浦玄嗣(はるつぐ)さん(1940年生まれ)。 と、その前にこれ、誰が書いているんでしょうね。自己紹介をしておきましょう。私は、HONZの新人、
イラン人は面白すぎる! (光文社新書) 著者はイラン人の吉本芸人だという。テレビで見たことはない。ググってみるとラジオでも放送できないほどのイラン自虐ネタを持ち出すため、主にステージで活躍しているという。本書はそのステージを見た編集者が、こりゃあ売れるとまさにネタを膨らましてまとめたのであろう。たしかに大笑いできるのだがテレビでは放送できそうにもない。それど

この世には二種類の男がいる、そうモテる男とモテない男だ。この世に男子として生を受けたものは、物心がつく頃までにヴァレンタインやクリスマス等の残酷な洗礼を通して自分がどちらに所属しているのかをいやでも思い知らされることになる。クリスマスを友人と男同士夜まで馬鹿騒ぎしながら飲み明かすのを恒例としてきた私は言うまでもなく後者に属している。「女なんて星の数ほどいるさ

京極夏彦には一喝されそうである。奇妙だが魅力的な「妖怪手品」という言葉は、著者の研究仲間が作った造語だそうだ。知っている者は、日本に数人しかいないという。この言葉を 「幽霊の出現などの怪奇現象を、種や仕掛けによって真意的に作り出す娯楽」 と定義し、華やかな発展を遂げた江戸時代文化文政期を中心に、それ以前や江戸時代、果ては諸外国にまで手を広げて研究した結果がこ

本書は著者がブログの中の読書関連エッセイと、活字媒体に発表した文学と書物についてのエッセイをまとめたものであり、ウチダ思想がぎっしりつまっている。400ページあり、たった1680円。かなりお買い得であろう。「文芸棚」、「人文棚」、「ウチダ本棚」、「教育棚」、「著作権棚」、そして「表現とリテラシー」と、全部で5つの本棚と1つのウチダ論という構成である。本書は「

品川駅構内の書店で購入したのだが、店員に冷ややかな視線を浴びせられるのでは…とドキドキしたが、同時に購入した『 帝国ホテルの流儀 』で印象も薄まったのだろう。まだ、20代、何を気にしているのだ、突っ込まれそうだが、やっぱり湿度の高い電車で横の席に座った男性が臭くて耐えられないことは多くの人の悩みであり、その発信源にいつの日か自分もなるのだろうと心配してしまう

避けて通れない人生の通過点、育ててくれた祖父母や両親の介護もいつの日かやってくるのだろう、個人的には実家は地方にあり、両親、祖母も健康だと思っているため、本書を読むまで完全に介護の世界は他人事だった。友人の何人かは介護施設で働いているが、これまで興味を持てず詳しく話を聞くこともなかった。完全にこの分野に無知だった自分を恥じるとともに、人生の諸先輩方が通ってき

なにをかくそうブータン(漢字表記は「不丹」)のファンである、といってもたいしたことはない。2年前、ブータンがブームになる前に、「そうだ、ブータン行こう」と訪ブーし、すっかり魅せられてしまったのである。それでも縁あって、岩波書店の「科学」の「ブータン:<環境>と<幸福>の国」という特集では、なぜか「ブータニスト宣言」という、どう読んでも「科学」とはまったく関係
2011年7月15日のHONZサイトオープンから8ヶ月が経過しました。おかげさまで、順調にアクセス数も伸びており、TwitterやFacebookではHONZ読者の皆様から積読本による自宅スペースの圧迫、書籍代の増加に関する苦情を頂くことも多くなってきました。同じ悩みを抱えるレビュアーの1人としては、同士の増殖を心より嬉しく思っております。今後もおすすめ本レ

著者の職業は漫画家である。ドラマ化、映画化された著作、『ブラックジャックによろしく』、『海猿』の名前は、普段漫画を読まない人でも聞いたことがあるだろう。10万部に届けばドル箱と呼ばれるコミックス市場において、『ブラックジャックによろしく』は初版で100万部を超えることもあったそうだ。傍から見れば、大成功者、夢の印税生活、という姿を想像してしまうが、著者が感じ