
『ウナギ 大回遊の謎』 ウナギ王に!俺はなるっ!!
多くの人を惹きつける謎、答には辿り着けなかったものの手がかりを残した先人たちの苦闘、新たな発見から導かれる刺激的な仮説、目を見張る美しい図版(しかもカラー!!)、自然の神秘に近づくための大航海、共に謎を追い求める仲間、そして、数え切れない失敗の先に待ち受けるクライマックス。本書にはその全てが揃っている。これでワクワクしなけりゃ、これで燃えなけりゃ、どんな本で
531記事

多くの人を惹きつける謎、答には辿り着けなかったものの手がかりを残した先人たちの苦闘、新たな発見から導かれる刺激的な仮説、目を見張る美しい図版(しかもカラー!!)、自然の神秘に近づくための大航海、共に謎を追い求める仲間、そして、数え切れない失敗の先に待ち受けるクライマックス。本書にはその全てが揃っている。これでワクワクしなけりゃ、これで燃えなけりゃ、どんな本で

イエティ、ついにロシアで捕獲! - そんな ニュース が飛びこんできたのは、年明け早々のことだった。しかも地元の動物園に運ばれており、公開予定もありと報道されていたように思う。さすがにこのニュースには胸が高鳴ったことを、昨日のことのように憶えている。 あくる日の動物園には、隣国のチェチェン共和国からも大量の人々が押し寄せたという。そこで観客たちが目にしたのは
お宝発掘! ナンシー関 ナンシー関が亡くなって10年になるという。正直、もうそんなに経つのかと少し驚いた。人が本当に亡くなるのはその人のことを誰も思い出さなくなった時だ、と何かの本で読んだことがあるが、もしそうならナンシーは未だに現役で私の心に生きている。年に何回かは、ワイドショウや週刊誌のタイトルを見て「ナンシーならなんていうだろう?」と考えてみる。そう
先日、外国人の経営者にインタビューをした時、「最近、アインシュタインの言っていた狂気の意味がよくわかるよ。何回も同じことを試みながら、その度に違う結果を期待する。これこそ狂気だよ」と熱く語られた。彼は日本の電機産業について言及したのだろうが、取材の帰り道、私は深く考え込んでしまった。もしかしたら顔面蒼白だったかもしれない。「私のHONZ夜会での振る舞いこそ、

本書は月刊誌「新潮45」に連載されていた4本の記事を改稿したものだ。元記事のタイトルは「石油はどこから来たのか」「石炭が輝いていた昭和」などで、本書はそれらを改編して11章建ての科学エッセイ集のような趣に仕上がっている。章が独立しているため読みやすく、トリビアにも満ちていて、期待通りおおいに楽しめる一冊だ。 第1章ではエネルギーと生物界を概観する。エネルギー

175センチで60キロ台半ばの私がダイエットに関する本を取り上げるのは出すぎた真似かもしれない。だが、私は怖いのである。油断すると70キロをらくにこえ、増量がとまらなくなる自分が。日常的に運動をしている身でもないので、筋力が増すわけでもなく、腹の周りにだらしなくつきまとう肉の重みが増すだけである。風呂の鏡をみて「これが俺か」と愕然として節制に励むが、このぎり

栗下が言った。 「テクいですよね…」 「読み易ければ、いいんだけどね、」 と、カフェラテ片手に東が言う。 ミッドタウンのオープンカフェは、初夏のいい天気だ。 「六本木にもスズメがいるんだねぇ」 「僕、今日はそろそろ失礼します。帰ったら、ちょっと高村さんにメールしてみますね」 「テク」とはもちろん「テクニック」のことであるが、著者の宮沢さんによれば「テク」と「

内村鑑三の著作に「デンマルク国の話」という短いエッセイがある。ドイツ・オーストリアとの戦いに敗れ、肥沃な土地の割譲を強いられた小国デンマークは、植林によって荒野を沃野に変え、自国を平和的な国家として再建することに成功する。善き宗教、善き道徳、善き精神により、国が戦争に負けてもいかに衰えなかったか、という趣旨で語り継がれている感動的な話である。 デンマークの国

先日、東京MXテレビの『装丁ジャンケン』という、編集者が担当した本の装丁について、バトルするという番組に出演しました。青林工藝舎の手塚社長と対戦して、負けてしまいましたが『エロ語呂世界史年号』も大変好評でした。この本のカバーは編集者である私が造りました。もしかしたらこの『装丁ジャンケン』、今まで出演した編集者の中で、自ら装丁を手がけたという人はいなかったかも

夏だ! 海だー! 海へ行こう! 最近、夏のにおいがむんむんする。こういう日は、海でバシャバシャしたい。共感する人も多いのではないか。そこで、今日はとっておきの一冊。海といったらあの人、宮田珠己。違いますね。海の変な生き物といったら、宮田珠己。まだ、彼の最強脱力系お笑いエッセイを読んだことない人、海! 海! と気持ちが先走っている人、旅に思いを馳せる人、必見で

ウイルスといえば、インフルエンザや口蹄疫ウイルスのように人や動物に関連する病原体というイメージが強い。しかし、細菌に善玉があるように、実はウイルスにも、哺乳動物・昆虫・植物などの生存を助けるものや、地球環境を維持する海洋ウイルスなど、いい奴がたくさんいるのである。そんなあまり人に知られていないウイルスの役割について、アカデミックかつトリビア的に紹介するのが本

著者のヴィルジニー・レッソンは国境なき医師団の理事も務めている地政学者だ。フランス人女性である。これまで著書は2007年に草思社から『地図で読む世界情勢』が、2009年に河出書房新社から『地図で読む世界情勢―衝撃の未来』が、それぞれ2部構成で出版されている。この4冊ともに世界地図をいろいろな方法で色分けをして世界情勢を説明するものである。 草思社版の第1部は

前日の書評がドイツ一色、そしてEURO2012でもオランダを破り、連勝中で絶好調のドイツ。験を担いで、僕もドイツからスタートしたい。世界最大の物流会社DHLを傘下に収めるドイツポストが来る2050年に向けて5つのシナリオを考えている。 シナリオ1: 暴走する経済‐迫り来る崩壊(1:37-) シナリオ2: 巨大都市における超効率化(2:10-) シナリオ3:

本日は土屋敦が『ナチスのキッチン』をレビューしている。仲間内ながら素晴らしい書評である。しかも本書で言及されている料理を手作りし、その写真を掲載するという前代未聞の所業である。他のHONZメンバーがこの実践主義に感化され、村上浩がマスクを被ってリングに上がったり、鈴木葉月が人生これ勉強の旅に出発したり、など無謀をしないことを祈るばかりである。栗下直也だけはま

商売柄、台所に立つことは多いが、こんなに深遠な場所であったとは知らなかった。 まず、台所は人間の「外部器官」である、と著者は言う。人間は他の生物を食べて生きているわけだが、そのまま生食できるものを除けば、基本的に切り刻んだり、火を通したりして食べる。すなわち台所は、この工程を担う、人間の体外にある最初の「消化器官」であるととらえるのだ。これは逆に言えば、台所

2012年5月27日レスリング女子ワールドカップ国別対抗戦決勝、ロシア相手に初戦から4連勝した日本は、絶対王者吉田沙保里の登場を前に6年ぶり6度目の優勝を決めていた。優勝を手中に収めた気の緩みがあったのだろうか、はたまたオリンピックを目前に控えたこの時期コンディションが谷底を迎えていたのだろうか。4年以上ただの一度も負けることなく、連勝を58にまで伸ばした最

2011年5月10日、日本国内に「新政府」が誕生した。とは言っても、民主党の話でもなければ、虚構新聞のネタでもない。どこのニュースにも報道されることのなかった この「新政府」は、ある男が勝手に決意し、勝手に作った思考上のものである。しかし、この国は確かに実在するのだ。 首都は銀座4丁目のとある土地。首相官邸は熊本市内のゼロセンター。国会議事堂は東京ミッドタウ

このジャンルで最高・最上の一冊の改訂版がやっと出版された。このジャンルとは図鑑である。子供のころ、桜の花が大きく描いてあって、花弁・おしべ・がくなどの名前を知ることができる図鑑に夢中になったことがある人も多いはずだ。本書はその大人版であり日本語と英語は併記されることで英和辞典の役も果たしている。 もともとこのジャンルは同朋舎の得意分野であった。本書の初版も1

日々、喜怒哀楽の中で、笑ったり泣いたりしながら生きているが、泣き笑いすることはめったにない。そのためだろうか、私だけかもしれないが、落語や演劇を見て、泣き笑い状態に陥るのがものすごく好きである。しかし、なかなかそのような芸を見せてくれる芸人さんはいない。東の立川志の輔、西の藤山直美、というのが私的にはイチオシなのであるが、本を読んで泣き笑いということは、相当

HONZをごらんになっている多くの方は気づいているだろうが、メンバーには背番号がある。 1.内藤 2.村上 3.土屋 4.山本 5.久保 6.東 7.新井 8.鈴木 9.高村 0.栗下 成毛は指名打者で、代打要員に仲野と足立。そして学生メンバー。 そう、日にちの末尾で書く日が決まっているのだ。基本的に土日は書かなくてもいい(もちろん書いてもいい)。超速レビュ

テレビ・スポーツ紙はとにかく選挙一色の一週間だった。国民的行事とばかりにあらゆる媒体で、選挙結果に涙する姿が大写しで報じられていた。全身全霊をかけた勝負が数字という言い訳のできない具体性を伴って示される選挙には、いつの時代も涙がつきもなのか。ネットの一部で“完璧超人”とまで呼ばれるこの男でさえ、選挙後の涙から逃れることはできなかった。 異例の涙が見られたのは

就活生と話していると、面接で語るエピソードがないという人が多い。あったとしてもせいぜいサークルやアルバイトでのチョロッとした武勇伝で、これではほかの凡百とカブってしまうのだ。そこで極端な例として「日本百名山を麓から眺めた」などというエピソードを無理やり作ればいいじゃん、などとアドバイスしてきた。海外旅行より安上がり、発想はおもしろいが、どこかバカバカしく、と

その記念すべき初プロジェクトである「マジンガーZ」の地下格納庫建設など、本書では歴史記念碑的建造物のクフ王ピラミッドから空想世界にある正義の味方の秘密基地、未来の宇宙エレベーター建設まで、人類が思い描いた「夢プロジェクト」をガチで検証。日本を代表するゼネコン三社の本気の「技術力」と「遊び心」がぎっしり詰まった一冊だ。 「マジンガーZ」は1972年に発表された

最近読んだ月刊誌を何冊かセレクトして紹介する『月刊誌セレクト』お試し版である。お気に召すであろうか。 『芸術新潮』6月号の特集は「創刊750年号記念大特集―貴重永久保存版 古事記」である。150ページを超える特集の分厚さにいささかたじろぐ。まあ、おっしゃるとおり保存しておいて、いつか読もうかという態度で良かろう。以前はその月の特集に興味があれば買ったのだが、

今回は「かるた」を紹介しましょう。「かるた? なんのこっちゃ?」と思われた方も多いはず。医学書院の知り合い編集者のツイートで知ったこの一冊(いちおう書籍コードがついているのです)、私もまったく同じ感想でした。昨年末の刊行なので少々時間が経っていますが、「これを紹介していないなんて、HONZじゃない」とのことで、紹介いたします。おもしろいのでご容赦くださいまし

HONZの例会はほぼ定刻の7時に始まる。仕事や何かの事情で来られない場合は、きちんと連絡が来る。そしていつも一番乗りは代表の 成毛眞 だ。しかし、どうしたことか、今日の朝はいつまで待ってもやってこない。携帯もつながらないしメールにも出ない。 「寝坊かな?」 「いや、朝一番はフェイスブックが繋がってたよ」 「今は?」 「繋がってない」 「えっ、どっかで倒れてる

著者は朝日新聞国際部デスク。社会部、厦門大学客員研究員、イラク・アフガンでの戦場取材、台湾支局長などを歴任したいわば非ビジネス分野のエキスパートだ。そのような現役記者が著した本書は事実とインタビューにこだわった、読み物風に仕上がっているビジネス書だ。経営学特有の流行り言葉の乱発や無理なこじつけもなく清々しい。 かつて世界一の自転車輸出国であった日本が凋落し、

レンズもないのに、小さな穴を通った景色は、あわい色合いでほんのりと確実に像を結ぶ。でも、じっとしているものしか写せない。ピンホールカメラをはじめて知った時、不思議でたまりませんでした。この本は、中華料理、という、京都にとっては小さな針穴、そして、おそらくこれまでは誰も気にしなかった針穴、を上手に使って、優しくそして静謐に京都を描き出した本なのです。 とりあげ

本書の主役は、『 利己的な遺伝子 』のリチャード・ドーキンスと『 ワンダフル・ライフ 』のスティーブン・J・グールド。言わずと知れたサイエンス界における大ベストセラー作家であり、研究者でもある2人は互いの著作を巡って激しく議論を闘わせていた。そのものズバリのタイトル、『 ドーキンスVSグールド 』という本も出版されている程に白熱した論争である。本書はこの2人

本書は日本の鉄道史を「政治」という切り口から解説する良書である。私自身、鉄ちゃんではなく、どちらかというと飛行機派だったので、これまで鉄道史は全く興味なかったし知らなかったが、本書を読んで少しは詳しくなった気がする。しかも本書は歴史を述べて終わりではなく、最近の新幹線輸出ビジネスや東日本大震災で壊滅的な被害を受けた三陸鉄道についてもカバーしているので更に面白

HONZで紹介される本の登場人物は規定の概念を越え、既得権益を破壊するルールブレイカーが多いが、本書はルールメーカー側の話、グローバルでのルールの創られかた、創りかたのお話だ。タイトルと装丁はどう考えてもビジネス書なのだが、ビジネスがはじまる少し手前の国際的なルール交渉の世界が舞台である。著者はその舞台で活躍する官僚である。趣味はCSR。20代の頃は米国国務

2冊の書斎本がほぼ同時に発売された。 『書斎探訪』は月刊『男の隠れ家』に連載されている「男の書斎」という記事を収録した1冊だ。書き手はフランス料理本の第1人者である宇田川悟だから文章が流麗で、とろみながらゆったりと読める。まさに日曜の午後の書斎で読むのにうってつけの本なのだ。逢坂剛、村上龍、北杜夫などの作家たち、滝田栄、秋山裕徳太子、渡部昇一などのちょっとク

専門家の予測はサルにも劣る 地震の復興問題、エネルギー問題、少子化問題、金融危機などなど今の日本及び世界はたくさんの問題を抱えており、現代は先がまったく読めない時代だとよくいわれる。先が読めないのは不安だしなんとかして未来がどうなるか知りたいと思うのは人として当然の感情だろう、私だって知りたい。 未来がわからないとはいえせめてヒントだけでも得られないものだろ

本エントリーは、キュレーター勉強会の募集から合格発表までをお伝えした前回の続きです。まだお読みになっていない方はこちらも是非。 ・ HONZ活動記 -0冊目 キュレーター勉強会って何だ??- さて、キュレーター勉強会の合格発表でひとしきり狂喜乱舞した後、ふと我に返ると少し不安な気持ちが芽生え始めました。 そう、気分はまさに入学式を控えた新入生。とびっきりの期

チューリングテストというものをご存じだろうか?「機械には思考が可能か」という問いに答えを出すために、数学者のアラン・チューリングが1950年に提案した試験のことである。 審判がコンピュータ端末を使って、姿の見えない「2人」の相手と5分間づつチャットする。一方は本物の人間(サクラ)、一方はAI(人工知能)。チューリングは、2000年までにコンピュータが5分間の

最近仕事に忙殺されており、癒しを求めて手に取ったはずの一冊だったのだが、癒されるどころかギンギンに興奮してしまった。 主人公はボツワナの北西部にあるカラハリ砂漠で狩猟採集を営むクンの人々。このクンの成人の1/3以上が、薬物を使うことなしに、日常的に変性意識状態に入ることができるのだという。 変性意識状態とは、通常の日常的な意識状態とは別レイヤーに存在するもの

著者は英国Financial Times紙で Undercover Economist という人気コラムを担当している経済記者だ。このコラムと同名の書籍は邦訳され『まっとうな経済学』として2006年に発売されている。当時はスティーヴン・レヴィットの『ヤバい経済学』が世界的に売れていたため、日本の出版社はそれにあやかった邦題をつけて2匹目のドジョウを狙ったのだ

突然だが、「さかな、さかな、さかなー、さかなーを食べるとー」という歌詞が最近、頭から離れない。ウィキペディアで調べたところ、20年前に作られた曲だった。市販化されたのは10年前で私の記憶はこの時のものだろう。曲名はご存じの方も多いかもしれないが『おさかな天国』であり、オリコンで最高3位に位置したという。 歌詞からわかるように「魚をもっと食べようよ」という水産

世にマニュアルはあふれている。Amazonで「マニュアル」というキーワード検索をしたら、1万8千件近くもヒットした。世間の人たちはかくもマニュアルを欲しているのであり、あまたあるマニュアルたちも、その人達に役立とうとがんばっているのである。しかし、ここに画期的なマニュアル本が登場した。今の世にまったく役にたたないマニュアルなのである。武士が跋扈した時代、我々

こんなふうに言ったほうがいいな。『ご主人は1950年3月に亡くなられました』と。このほうがいくらか侘しくなく響く。春が近づいていて、『雪がほとんどとけていた』とも言えるだろう。 幸運を祈る… 1949年10月29日、4年近くに及ぶ強制労働の後の、3年2カ月に及ぶ脱出行の始まりだ。クレメンス・フォレル(仮名)は第二次大戦中、ソビエト連邦において捕虜となり、シベ