
自分が楽しいから書くのが一番『読みたいことを、書けばいい』
田中泰延をご存知だろうか?知らない人は知らないが、知っている人は知っている人物だろう。(当たり前だ)田中泰延と書いて「たなかひろのぶ」と読む。私はこの人の文章がとても好きで、本が発売されたら、必ず読みたいと思っていた。彼のことは「非常によくおモテになる先輩」のツイートで知った。 非常によくおモテになる先輩に昔言われた。「彼女とよく喧嘩するんです」「彼女の話を
380記事

田中泰延をご存知だろうか?知らない人は知らないが、知っている人は知っている人物だろう。(当たり前だ)田中泰延と書いて「たなかひろのぶ」と読む。私はこの人の文章がとても好きで、本が発売されたら、必ず読みたいと思っていた。彼のことは「非常によくおモテになる先輩」のツイートで知った。 非常によくおモテになる先輩に昔言われた。「彼女とよく喧嘩するんです」「彼女の話を

交際8カ月で別れ話を切り出したら、スマートフォンの着信履歴が埋まり、LINEには恫喝のメッセージが届く。身の危険を感じ、警察に相談したら、交際相手は偽名で前科があることまで判明する。私が付き合っていたのは誰なのだろうか。もしかしたら凶悪犯なのか。これからどうなるのか──。 平成生まれの新たな犯罪の1つが「ストーカー」だ。昔からつきまといによる被害はあったもの

―発売3日で大増刷だそうですね。おめでとうございます。編集部から見せていただいた、書店員さんからの熱い反応はすごいですね 。 ブレイディみかこ(以下、ブレイディ) :ありがとうございます。皆さん熱心に読んでくださって嬉しいです。 ―この本を読み終わって思ったのは「こんな息子、欲しいなあ」でした。聡明で、ちょっとシャイで、彼の成長や事件を、近所のおばちゃんみた

2017年3月27日に発生した 那須雪崩事故 、といってもわからないかもしれない。しかし、栃木県立大田原高校の生徒7名と指導教員1名が死亡、40名が負傷した雪崩事故、というと記憶しておられる方も多いだろう。その事故の原因に鋭く切り込んだのがこの本だ。 春山での積雪直後、スキー場近くでの雪崩による8名もの死亡。少しだけれど雪山の経験がある。判断や指導は十分だっ

分かれ道に立ったとき、右か左かどちらに行こうか、立ち止まって考え、そして、悩む。最終的にはどちらかに決めて、歩を進め、また、次の分岐点にぶち当たる。人生とはそんな分かれ道の連続である。そして、その決断はときに物語を生み出す。もし、あのとき、左に行っていたら、AではなくBを選んでいれば、、、タラレバの妄想は物語の源泉である。 また、人生の重大な決断は、突然やっ

今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこの本を読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好

物語とは、いったいどれほどの力を持っているのか? ギルガメッシュ叙事詩や『イリアス』のように、時に偉大な物語は人々の文化の「基盤」となって、行動や思考に大きな影響を与えることがある。 本書では、そのような世界に対して強い影響力を持つ物語のことを 「基盤テキスト」 と呼称している。その格好の一例は聖書だ。たとえば、アポロ計画二度目の有人宇宙飛行ミッションにあた

歴史学者と探検家は同じ目をしている。といってもインディアナ・ジョーンズの話ではない。安楽椅子探偵とハードボイルド探偵ほど違う存在がともに事件の解決を追い求めるように、古文書を掘り起こして歴史の細部から埃を払う歴史学者と、命をかける大冒険で世界の辺境に旅をするノンフィクション作家とは、実は同じものを求め、同じところを見ている。彼らは異世界を見て、異世界に旅する

仏教誕生の地、インド。だが、みなさんはご存知だろうか? インドでは一時、仏教が存続の危機にあったことを。その激減した仏教徒を1億5000万人にまで増やす偉業を成し遂げた最高指導者が、日本人であることを。「仏教徒を増やす」ことは、ほかならぬ貧困や差別との闘い、「不可触民」と呼ばれる人たちを救うためであった、ということを。 本書で描かれるのは、今もそのインド仏教

「若鮎の 二手となりて 上がりけり」と詠んだのは正岡子規ですが、そろそろ鮎のおいしい季節ですね。魚偏に占と書くのは、神武天皇が治国を占い、瓶を川に沈めた時、浮き上がってきたのが鮎だった、という逸話があるから(諸説あり)。現在でも天皇の即位式で使われる万歳旗には鮎が描かれています。 取り扱いが難しそうな鮎ですが、コンフィにすると簡単においしく食べられますよ。ま

生命とは何か? こう問われたら、多くの人は生物学というフレームワークを用いて解を導こうとするだろう。しかし、本書のアプローチは一味違う。徹底的に物理学からアプローチして、この問いに挑もうとするのだ。 著者は2018年に米国版ノーベル賞と言われるベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞した科学者。これだけ聞けば、本書には難解な数式が多く出てくると思うかもしれな

「難民」というと、ヨーロッパへと海を越えていく怒涛のごとき難民の写真や映像に驚いた記憶も生々しいが、実際は、9割がアフリカや中東など当事者の国の近隣国にいる。しかも、長期化が甚だしく、その年数の平均はなんと26年! 世界の難民の数は2500万人強、となると、どう考えればよいものか。その経済生活のリアルを、住みこみリサーチし、レポートしているのが本書だ。 とに

HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 鎌田 浩毅は言わずとしれた京大の人気教授にして、火山学者。専門の地球科学のみに留まらない読書量や、その深い教養から、”HONZのイニエスタ”の異名をとる。いや、見た目とかじゃなくて…。今後の彼の活躍にどうぞ、ご期待ください!(HONZ編集部) 新幹線の車窓から見る富士山は美しいが、これがいつ噴火してもおかしくない活

本書は、企業再生の専門家である経営共創基盤CEOの冨山和彦氏が、2003年の産業再生機構設立以来、長年に亘って取り組んできた日本企業の経営改革の集大成とも言うべき一冊である。 そして、本書の最大のポイントは、日本的経営の本丸である経団連トップの中西宏明会長(日立製作所会長)を対談相手として担ぎ出したことではないかと思う。なぜなら、経団連こそが日本企業が変わら

白人によって作り上げられた「ファストフード帝国」。画一化されていて正直面白みに欠ける反面、汎用性の高さゆえに世界中至るところへ浸透している。恥ずかしながら、本書を読む前に「アメリカの食文化」としてまず思い浮かぶのはこの印象だった。 しかしその原点にまで遡っていくと、まったく異なる景色が見えてくる。元をたどればそこには画一化とはほど遠い多様さがあり、また必ずし

これがノンフィクションであって、HONZの読者世代と重なっているのであろう重要な本である。ということは 吉村 博光の熱すぎる説明 (というか言い訳?)に譲りましょう。とにかく、発表されたときに「すごい本が出てくるな」と思った人は間違いなくジャンプ黄金期世代。その証拠に、書店店頭での予約も大盛り上がりで、当初想定を超える初版になったとか。 学研の図鑑シリーズに

私たちはまだ本当の宇沢弘文のことを何も知らない・・・これが本書を読了しての思いである。そして、宇沢とは何者で、どこから来て、どこへ行こうとしていたのか、その全てを詳らかにしてくれるのが本書である。これをきっかけに宇沢の功績の再評価が行われるに違いないと確信させる、経済学の歴史に残る名著である。 「ノーベル経済学賞に最も近かった日本人」であり、「社会的共通資本

2019年3月、杉並区の保母が自室に侵入されて殺害された。同僚男性が逮捕。 13年10月、三鷹の女子高校生がかつての交際相手にリベンジポルノをされた末、殺害される。 12年11月、逗子の女性が、6年前に交際しストーカー規制法による警告が出された男によって殺害される。 これらは被害者が殺されたことで明るみに出た事件だ。被害者である彼女たちの気持ちは今まで表に出

今年の夏はウズベキスタンへ行きたいと思っており、中央アジアの食文化について調べています。遊牧民にとって、乳製品は食生活の重要な糧です。興味深かったのが、「クルト」と呼ばれる乳製品でした。夏は牛のミルクがたくさん取れるので、冬の保存食用に作るそうです。作り方は、発酵させたミルク(つまりヨーグルト)に塩を混ぜて、水を切り、大きな袋に入れ、草原に一日中放置しておく

アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズの伝記が世界的なベストセラーとなり、一躍脚光を浴びた伝記作家、ウォルター・アイザックソンの新刊である。 なぜ今、レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記を書こうとしたのか。それは、科学と芸術、人文学と技術といった異なる領域を結びつける能力こそが真のイノベーションのカギとなるという、アイザックソンが一貫して追い求めたテーマを最も

妹背山婦女庭訓は、浄瑠璃作者・近松半二による文楽や歌舞伎での大人気演目。そして、『渦』は、半二の生涯と妹背山婦女庭訓の成立を縦軸に、それをとりまく人々を横軸に描かれた物語。生き生きとした描写に、江戸時代の大坂、劇場街であった道頓堀かいわいの賑わいや、そこでうごめく人たちの姿が目に浮かんでくるようだ。 この世もあの世も渾然となった渦のなかで、この人の世の凄まじ

若い医師はあるとき、リウマチ性関節炎と診断されていた女性患者がうつ病をも患っていることに気づいた。そのささやかな発見に気をよくした彼は、上機嫌で先輩医師にその旨を伝える。だが、先輩医師から返ってきた反応はきわめて淡白なものであった。「うつ病? そりゃ、君だってそうなるだろうよ」。 以上は、本書の著者エドワード・ブルモアが内科の研修医時代に実際に経験したことで

「自分のやっていることは正しい」と信じて疑わない人が苦手です。 大学生の頃の話です。授業が始まるのを待っていると、見慣れない男女のグループが教室に入ってきてビラを配り始めました。何が書いてあったか細かい内容は忘れてしまいましたが、手元のビラに目を落としていると、パァンという高い音とともに「失礼だろこの野郎!」という怒鳴り声が響き渡ったのです。 声の主は明らか

「動かない鳥」として、大人から子どもまで人気があるハシビロコウ。しかし、意外にも、その本は世に少ない。本書は待ちに待った「一冊まるごとハシビロコウ本」である。日本の動物園で会える13羽の性格や名前の由来などを写真とともに紹介。『ざんねんないきもの事典』の今泉先生監修のもと、謎に満ちたその生態をイラストで徹底解説している。 ハシビロコウという鳥は、眺めているだ

最近、仕事がすこーし忙しく、食べるものがてきとうになりがちです。忙しい時は、甘いものを我慢しないのですが、そうは言ってもお腹のあたりも気になります。そこで、時間がある時に作り置きをしたら、随分楽になりました。家族と食事の時間がずれる場合も、さっと用意できるので便利ですね。 作り置きと言っても、時間を掛けたくないので、簡単なものです。その日の手頃な野菜を簡単に

スポーツの世界がいま大きく変わろうとしている。最新のテクノロジーを取り入れた「スポーツテック」の分野に熱い視線が注がれており、5Gのサービスによって新たな観戦のスタイルが生まれる可能性が生じている。政府も成長戦略の1つに「スポーツ市場の拡大」を掲げている。 だがスポーツを取り巻く環境がどんなに変わっても、その本質はけっして変わらない。それは「スポーツはドラマ

あのDr.ヤンデルの本である。と言われても「?」の人が多いかもしれない。ツイッターのフォロワー数10万人近く、間違いなく日本でいちばん有名な病理医だ。ツイッターもブログも、これまでに出された本も、ちょっと意外な角度から医学を眺めている感じ。けれど、とても納得いく説明をしてくれる(たぶん)とてもいいお医者さんである。 そのヤンデル先生がヤムリエを買ってでてくれ

もうタイトルからして「なんじゃこりゃ」だが、読み終わっても「なんじゃこりゃ」である。でも面白いんだから書評するより仕方ない。本書(通称・まいボコ)を一言で説明するならば、明治時代、夏目漱石や森鴎外といった純文学作家の作品よりも人気を博した忘れ去られしエンタメ作品(著者は「明治娯楽物語」と呼ぶ)が多数存在し、それらをツッコミ入れつつざっくばらんに紹介しまくる本

霞ヶ浦のレンコン農家に生まれ、社会学で博士号を取得し、民俗学の研究者となり、二刀流ではじめた超高級レンコンの商品開発に成功したアラフォーの物語だ。いまではニューヨークやパリのレストランでも使われているという。 しかし、けっして頭脳明晰な新世代農業経営者の成功物語ではない。研究者として民族学会に出席していた著者は、先輩研究者から「中国行ってレンコン1本1万円で

この本を読んでいると、目がくらくらします。 これにはいくつかの意味があります。まず、息を呑む展開でぐいぐいと話が進んでいくので、そのままの勢いで読み続けると目が回り始めます。ときどき立ち止まって深く息をして、ちょっと戻ってからあらためて読み始めないといけません。 次に、「あなた」と呼びかけられて、いきなり星の爆発に出くわされ、ブラックホールからジェットで噴き

本書『ワンダーブック 図解 奇想小説創作全書』は、『全滅領域』(これを原作とした映画もnetflixで公開されている)から始まる《サザーンリーチ》三部作で知られる作家・ジェフ・ヴァンダミアによる執筆ガイド本である。本書には他の執筆ガイドと異なる特徴が主に2つある。ひとつは、あらゆるページに挿入されている多彩なイラストレーションが、ガイドの内容を補完し、時にま

「オギャー」と産声をあげて母乳を求めたことなどとんと思い出せないように、わ たしたちは自分が哺乳類であることも日頃すっかり忘れている。でも、紛れもなく 哺乳類の一員で、だからこそ人生は“哺乳類生”でもあるのだ。わたしたちの生命 の大きなサイクルは、そのまま哺乳類のスタイルに深く根ざしている。 それなのに、わたしたちは哺乳類が「どこから来て、どのように今の姿に

「あまりに面白くて一晩で一気に読み終えました。この広大なテーマでエッセイを書ける人は他にいません」。池澤夏樹・著『科学する心』の帯に書かれた吉川浩満さんの推薦文です。文学者のことばで科学を語るエッセイ集として話題になっている『科学する心』。この本の刊行記念として、三省堂書店池袋本店の主催で行われた池澤夏樹さんと吉川浩満さんの対談イベント(4月25日)の模様を

著者キャスリーン・フリンと夫のマイクと待ち合わせをしたのは、読者ミーティングが開催された目黒セントラルスクエア内のスターバックスコーヒーだった。二人が私を見つけやすいように、私は窓際の席を選んで座っていた。 五分ほど経過した頃だろうか、ひときわ背の高い、恰幅の良いマイクの姿が見えた。マイクの少し後ろをキャスリーンが歩いていたが、気が急いているのか、それとも小

最近、キャンプにハマっています。週末になればキャンプ用品を郊外の店まで買いに行くか、実際にキャンプに出掛けています。まだまだ凝ったキャンプ飯には挑戦していないのですが、先日、感動的においしかったのは、しらすのアヒージョです。しらすは様々な稚魚の総称ですが、鰯がほとんどです。ただ、しらす網と呼ばれる網を打って捕獲するため、たこやいか、かになどの赤ちゃんも混入し

本書は、ベストセラーになった共同通信社の橋本卓典記者による、『捨てられる銀行』シリーズの続編である。また日本版「金融排除」の問題点を鋭く指摘した著者の『金融排除 地銀・信金信組が口を閉ざす不都合な真実』と同じ問題意識に立脚している。 バブルの崩壊と「金融処分庁」による圧政の時代を経て、企業の実態を見る力を失ったことが、銀行というビジネスモデルを根幹から揺るが

桜の開花のほんの数日前、「銀座吉兆」個室にて。 それぞれの席の前には卓上ミニ七輪。七輪の上には、出汁が張られた紙の鍋が置かれ、出汁はフツフツと煮えていい匂いを漂わせている。傍らの皿に盛られているのは、淡路の新玉ねぎと若布、そして、桜鯛のお造り。 「旬の出会いです」 と、店のご主人が説明した。 「さっとシャブシャブして、お召し上がりください」 小泉武夫センセイ

発売した瞬間にHONZメンバーがどよめく、というか「おおっ!」と沸くことが最近頻発しています。面白いノンフィクションが次々と世に送り出されている事の証左でしょう。この『世にも危険な医療の世界史』もそんな1冊でした。 エビデンス、エビデンス!と耳にタコができるくらい聞かされている世の中に、目をむくような医療、治療法が語り尽くされています。さて、これを読んでいる

書店員時代から「リッツ・カールトン本にハズレなし」という経験則が私の中である。ビジネス書には名作を生み出す鉄板ジャンルというものがいくつかあるのだが、リッツ・カールトン本もその一つだ。サービス・ホスピタリティ関連ではスターバックス本にもハズレがない。その中でも、経営者が自らの経験を書いた本には良書が多い。 例えば、スターバックスの創業者、ハワード・シュルツの

確かあれはホワイトデーの頃だっただろうか。インターネットのニュースサイトを見ていて、こんな見出しに目がとまった。「ミカン買いに行き、海岸の石蹴ったら恐竜の歯が出た」 和歌山県の地層から肉食恐竜、スピノサウルスの歯の化石が見つかったニュースを伝える記事で、朝日新聞が2019年3月14日に配信したものだった。ほかの報道もあわせて情報をまとめてみると、西日本でスピ