
『イスラエル情報戦史』汝の敵を知りたくば、汝の敵の詩を読め
書店で見かけた本書の帯にはこう書かれている「イスラエル政府公認の初の資料!」と。 建国以来、常に近隣の国々と緊張関係にあり続けたイスラエルは、特異な歴史性から、その国家規模に比して驚異的な能力を持つ諜報機関を持つにいたった。 IDI (イスラエル国防軍諜報機関アマン)、 IDA (イスラエル治安機関シャバック)、そして対外諜報担う モサド 。これらの組織は映
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書店で見かけた本書の帯にはこう書かれている「イスラエル政府公認の初の資料!」と。 建国以来、常に近隣の国々と緊張関係にあり続けたイスラエルは、特異な歴史性から、その国家規模に比して驚異的な能力を持つ諜報機関を持つにいたった。 IDI (イスラエル国防軍諜報機関アマン)、 IDA (イスラエル治安機関シャバック)、そして対外諜報担う モサド 。これらの組織は映

男の人生は、十字路の連続である。 右へ行くか左をとるか、それとも真っ直ぐに進むか。君はいま、十字路に立っているかね。つらいものと楽なものが見えたら、つらい方を選べ。それが、ほんとうはつらくない。長く生きた人間からの、ちょっとした忠告さ。 くーっ、しびれる。久しぶりの北方節だ。漢と書いて“おとこ”と読ませる、男をえがく男の作家・北方謙三。しかし意外にも彼の肉声

ページを夢中でめくっていくうちに、理屈だけでなく体験で理解させてくれる。「読むこと」についてのテーマパークのような本だ。

ウソのようなホントの話が好物なのだが、本書はその逆。つまりホントのようなウソの話。それゆえ厳密にノンフィクションなのかと問われると苦しいところだが、そこは見逃してほしい。 紹介されているのは、日用品やビジネスツールといった道具の数々。だがこれら全てが「パラレルワールドからの御土産品」という設定なのである。現実世界のものと一見同じに見えるのだが、よくよく見ると

本書はドイツ在住30年、 『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』(講談社+α新書) などのベストセラーを持つ著者が日独の教育を比較した意欲作である。 多作な著者だが、教育について語るのは2007年発刊の 『母親に向かない人の子育て術』(文春新書) に次いで2冊目。 その当時10代だった娘さん方はみな成人し、親元を離れた。一区切りついた今、子育て経験を振り

世論調査を目にする機会が増えたように思う。「賛成○割、反対○割」など、大文字で押し出された結果の部分を見ては、とりあえず「ふーん」とか言っている回数が多くなったような気がする。もちろんこれは感覚的な話に過ぎないが、議論の分かれる話がたくさん持ち上がっては報じられている今、あながち間違っているとも言えないのではないだろうか。 だが触れる場面が多い割に、調査の結

忘れられない決め台詞がある。何度も何度も読み返す、あの漫画のワンシーン。そのワンシーンの背後にある、物語、演出、技法、テーマ、著者は一体どのようにしてそこにたどり着いたのだろうか。 アップやロング、カットバックやフラッシュバックなど多用し、コマのなかの絵を三次元的な構図にすることで奥行きをだすこと、これを「映画的手法」という。映画的手法を取り入れた先駆者は、

出口 治明 ライフネット生命保険 CEO兼代表取締役会長。詳しくは こちら 。 *なお、出口会長の書評には古典や小説なども含まれる場合があります。稀代の読書家がお読みになってる本を知るだけでも価値があると判断しました。

「若い人は、本当の貧しさを知らない」「会うといい人だよ」「うちの会社としては」「誤解を恐れずに言えば」……う、言っちゃってるよ。使っちゃってるよ。そう自らを反省してしまうあなたこそ読むべき一冊。さて、「言葉で固まる現代を解きほぐす」とはどういうこと? 決まりきったフレーズがいかに思考を硬直化させているか。よくあるフレーズを例に挙げて、それぞれの言葉の背景にあ

著者はお笑いコンビ「米粒写経」のツッコミ役、サンキュータツオさん。なぜお笑いの人が論文?と思われそうだが、じつはサンキュータツオさん、一橋大学の非常勤講師もつとめる学者芸人。国語辞典に関する著書も出している。珍論文コレクターとしても知られ、ラジオで紹介するコーナーも持っていた。 本書では選りすぐりの珍論文が登場する。その一部をあげると、たとえばこんな感じ。

現代は、家庭で一番料理が作られる時代ではないか、と思っている。外食は当たり前だし、コンビニで弁当だろうが惣菜だろうがなんでも手に入るようになったから、かえって料理に興味を持つ人が増えたのではないか。手軽に作れるように、レトルトなどの調味料の種類も豊富である。 クックパッドの普及のすごさを思い知るのは、夕方のスーパーでのことだ。タイムセールの野菜と魚と肉を手に

編集者が書いた本や、編集者が受けているインタビューが好きだ。 それはやっぱり「表にはあんまり出てこない部分」だからオモシロイのだろうと思う。本書も含めて我々読者は、最終的にパッケージとして提出されたものを完成品として受け取る。そうした本には大抵謝辞として編集者の名前が挙げられていたり、あるいは雑誌ならば最後に名前がクレジットされていたりするだけで、そこでどの

NHKでアニメ化もされた 大ヒット作『英国一家、日本を食べる』『英国一家、ますます日本を食べる』。その著者、マイケル・ブースの原点ともいえる作品が、待望の翻訳。英国で「ミシュランシェフの包丁よりキレッキレの書き味!」などと大絶賛された本作の、日本版あとがきを公開します。 最近引っ越しをした。棚や屋根裏の片づけをするときによくある話だが、昔の写真や書類に気をと

チベットから富士山、北極までもっと行けるんじゃないか 極地における死の不安、水虫疑惑、性欲の不思議…極限の青春ノンフィクション この帯文だけで買ってしまった。やめてほしい。心惹かれる帯文で読者を釣るのは。だがしかし、本書に関しては、もっと煽っても文句はない。ノンフィクションの裏側を覗くことのできるこのエッセイ、とんでもなく面白い。もっと早く読めばよかった。い

その根底にあるのは、「分かりそうで、分からないもの」、という独自のコンテンツの定義かもしれない。なぜ「分かりそうで、分からないもの」に人は惹かれるのだろうか。それを語りだすときに、生物の「進化」や「順応」にまで話は飛び、分からないものを分かろうとする機能は生存競争の中で人間が獲得した特性ではないかと仮説立てる。理解の限度を超えたものは関係がなくなるが、微妙な

本書は、ミリオンセラー絵本『ぐりとぐら』の作者、中川李枝子さんが書いた教育エッセイだ。著者は、17年間保母として勤務したのち、絵本作家になった。ここには、主にその17年間に著者が感じたことがまとめられている。子を持つ親たちにとって、子供たちが保育園でどのように過ごしているのかを思い浮かべるのは、文句なしに楽しいことだ。私も読みながら、思わずニヤニヤしてしまっ

「ハチ公」「センター街」「109」「スクランブル交差点」といったランドマークが多く、ファッション誌のストリートスナップや情報番組の街頭インタビューの名所である若者の街、渋谷。 衣類・書籍・楽器の販売額が都内でダントツの一位でもあり、 街全体が流行を発信する国内でもユニークなエリアだ。 そんな「若者の街」渋谷は、本書のタイトル通り「セレブ区」としても有名。区内

学会の書籍売り場で愕然とした。私としたことが完全に見落としていた。HONZの医学担当(そんなのないけど)として失格である。こんなおもろい本があったんや。それも、昨年11月発売以来、3ヶ月で三刷りと、専門書にしては爆発的な売れ行きだ。 発刊から半年なので、HONZで紹介するには時間がたちすぎているしなぁ、と思ってふと横を見ると、『前作「本当にあった医学論文」大

『舟を編む』 (三浦しをん著)が本屋大賞を受賞したのが2012年。そのころだろうか、「辞書ブーム」が来たのは。本書は、その立役者のひとり、 三省堂国語辞典 (「三国」[さんこく]とも呼ぶ)の編纂者が語る、人間関係をスムーズにすることばの作法集。ちょっとした一言で伝わり方が違う。絶妙だ。 NHKの「 どうも!にほんご講座です。 」や Twitter でもおなじ

まともに読んだことがない、未開拓のジャンルに手を出してみる。それはワクワクすると同時に、危険なことでもあると思う。選書を大きく間違えれば、その経験がトラウマになってしまうかもしれないからだ。無理矢理背伸びをして買ってはみたものの、結局面白さが分からず積読行き、という本が重なると、期待を膨らませていたぶん反動がきて、むしろそのジャンルを避けるようになることさえ

文部科学省が道徳の教科化を決定したことで、喧々諤々の議論が巻き起こった事は記憶に新しい。マスコミなどで繰り返される道徳の教科化を巡る議論を聞いていると、賛成、反対派を問わず、どこか紋切り型な話が多い。 日本社会の根幹にどのようなシステムが存在し、それが日本社会の道徳形成にどう影響したかという、もっとも重要な思考的考察がこれらの議論には抜け落ちているのではない

1980年代、週間少年ジャンプは『ドラゴンボール』、『キャプテン翼』、『聖闘士星矢』、『キン肉マン』など黄金タイトルが並んでいた。その中で『ジョジョの奇妙な冒険』は異色の漫画に思えた。しかし十数年の時を経て、それは大きな間違いだと気づいた。著者の荒木飛呂彦は連載当時から王道漫画を描いていたのだ。 本書は全く人気が衰えることのない長期連載漫画『ジョジョの奇妙な

シズル感という言葉は、もともと広告代理店界隈の用語だったように思う。sizzle、すなわち肉がジュージューと焼けている音が語源で、「シズル感のある写真」とは、そんな臨場感の伝わってくる写真という意味。料理本業界では、シズル感のある写真は売れ行きを左右する、必須のものと言っていい。 料理の表面は乾かないようにし、できれば湯気なども写るようにする。光は料理の斜め

コンテンツとはそもそも何なのか、クリエイターはどのようにコンテンツを生み出しているのか、1億総クリエイター時代にコンテンツはいかにして差別化されるのか、そして天才クリエイターは通常のクリエイターと何が違うのか。スタジオジブリで「プロデューサー見習い」として過ごした著者が、「コンテンツとは何か」と問い続けた体験をもとに、これらの疑問に答えを出していく。 ジブリ

ずばりタイトルの通り、本書は視覚障害者が世界をどのように認識しているのかについて迫っていく本だ。目が見えない人とその関係者数名に対して行ったインタビュー、ともに行ったワークショップ、日々の何気ないおしゃべりなどを通して、晴眼者である著者が彼らをとりまく「見えない世界」について考えていく。 盲人の生活について書かれた本はこれまでにも色々出ている。パッと見それほ

自称「独立国家」、飛び地、消滅した国々、廃墟、立ち入り禁止区域……。世界の珍スポットを集めた本には、なんとも言えない面白さがある。マイナーな場所にまつわるマイナーな知識の数々に、知的好奇心がジワジワと刺激されるのだ。適当に開いた箇所からつまみ食いできるのも良いところ。 本書『オフ・ザ・マップ』もそうした本の1つである。「失われた」「地図にない」「誰もいない」

みなさん、こんにちは。内田樹です。 本書、『日本の反知性主義』は昨年の『街場の憂国会議』に続いて、私がその見識を高く評価する書き手の方々に寄稿を依頼して編んだアンソロジーです。本書の企図が何であるかは昨夏に発送した寄稿依頼の書面に明らかにされております。それを再掲して、本書編纂の意図を示しておきたいと思います。まずそれをお読みください。 私たちは先に晶文社か

木造二階建てアパートの二階にある4畳半の部屋に仕事場を移したところ、畳がすべて本で埋まってしまった。 この一文から本書は始まる。移した蔵書の数は「少なくとも1000冊以上、2000冊以下」とのこと。ちなみに築年数は50年で、下見の段階で押し入れの床からはメリメリと板が裂ける音が。引っ越し終了後、自宅へ帰るバンの中で「もっと慎重に物件を選べば良かった」と後悔す

―(生島ヒロシさん)おはようございます。今日のオススメ書籍コーナーは一日に2万アクセスそ誇るインターネット書評サイトHONZ副代表の東えりかさんに紹介していただきます。今日の本は何ですか? 卒業式のシーズンですね。華やかな袴姿の女子学生を見ると、自分が卒業した当時のことを思い出します。もう遠い昔になりました。卒業して新たに社会に羽ばたく人たちへはなむけの言葉

タイトルを一瞥しただけで、もうこれは読むしかないと観念させられるタイプの本がある。本書のサブタイトルに紅楼夢の文字を見出した瞬間に、紅迷の僕は観念した。本書は、中国の石伝説と、冒頭がいずれも石から始まる「紅楼夢(石頭記=石の物語)」「水滸伝」「西遊記」を論じたものである。 本書は6章からなる。第1章は「テクスト相関性と解釈」。先ず「他のテクストから完全に自由

「送別会で『へへやか』に生きて、『ほたえじにたい』と挨拶したら、一同『だあ』って感じでしたよ」 日本で生まれ育ち30年以上経つが、「へへやか」など使ったことがない。へへやかは「のんびりと時日をすごすさま」、「ほたえじに」とは「遊び暮らして死ぬこと。酔生夢死すること」。「だあ」は「あきれたりして二の句が継げないこと」や「死ぬときの叫び声。また死ぬこと」である。

今回ご紹介するのは、新進の宗教学者による「聖地巡礼」についての新書です。聖地巡礼と言われて、読者の皆さんは何を想像されるでしょうか。本書で扱っているのは、ある種の自分探しやパワースポット巡り、そしてサブタイトルにも触れられているアニメ作品に触発された「聖地巡礼」ムーブメントなどを含む、とても広い範囲の現象です。 著者は本書の中で、「宗教が変質してきている」と

最近、戦争を身近に感じる出来事が続いている。本書は、国家が“国民を戦争にかりたてるために”どんな嘘をついてきたかを、歴史上の事実を列挙してつまびらかにした本だ。ベースにあるのは、1928年にロンドンで出版された名著『戦時の嘘』。この比較的薄い文庫本は、私たち日本人が今まさに見つめ直すべきテーマについて、考えを深める契機をたくさん与えてくれる。ぜひ、ともに過ご

お弁当にまつわる親との思い出なら、誰しも少なからず持っているものだろう。昼休みに友達と見せ合いっこをして馬鹿にされたこと、持っていくのを忘れて学校に届けてもらったこと、喧嘩をした後にお弁当箱を渡しながら謝ってみたこと...。かくも、お弁当の持つコンテンツ力の高さは、様々なコミュニケーションを生み出す。 今どきの親子なら、LINEでやり取りをすることも多いかも

毎年、年末ぎりぎりに高校の同級生との忘年会がある。過去 10 年以上にわたっておこなわれているのであるが、デジャヴみたいに同じような話が繰り返される。しかし、自分のことが語られていても、自分では覚えていないこともあるし、自分の記憶と違っていることもよくある。 自分が正しいのか、友人たちが正しいのか。もちろん、自分が正しいと思いたいけれど、よってたかって間違え

「珍書」。それは、気がつけばいつのまにか成立していたよくわからないジャンル。「本好きが選んだ、思わず笑える怪書ガイド」とのうたい文句の通り、愛すべき奇書150冊を取り上げた本への偏愛ぎっしりの一冊だ。珍書時代がやって来た! のか? とにかくは本の海へダイブ! 毎年8万という点数の新刊が生み出される日本の出版ワールド。「巻頭言」で“珍書プロデューサー”ハマザキ


どうしてこの本を手に取ったのだろうか。それは塚本靑史の愛読者であったからだ。父君が超有名な歌人であることは知っていた。しかし僕は短歌や俳句にはほとんど興味がない。それにも関わらず、この本はとても面白かった。実の親子でしか語れない日常生活の卑近な部分が、素直にしかもクールに書かれていて読者の興趣をそそるのだ。 ところで、邦雄はどんな人だったのか。「一番嫌うのは

本書は、多くの人を勇気づける、まっすぐな力をもった生き方エッセイだ。堀江貴文氏の推薦文にあるように、私も本書を読んで元気になった。若いころ喧嘩に明け暮れアウトローだった著者が実体験をもとにまとめた迫力に富んだ言葉が、読む人の心を動かすのだろう。そもそも生き方エッセイは、自分と同じような人生を歩んでいる人のものを読んでも大抵つまらない。本書のように、破天荒な人

面白い。面白い。本当に心から面白い。 著者、北大路公子氏は過去フェミナ賞を受賞したこともあり、現在はエッセイストとして人気の文筆家。ウェブ日記「なにがなにやら」が評判となって2005年に寿郎社から出版された『 枕元に靴 ああ無情の泥酔日記 』(新潮文庫に 増補版 )、「全然売れてねー」にも関わらず、「だって俺の机のひきだしに、あの売れてねー本の残りの原稿が入