ノンフィクションはこれを読め!

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455記事

『ヒトの遺伝子改変はどこまで許されるのか ゲノム編集の光と影』イノベーションに突きつけられた、大きな課題 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『ヒトの遺伝子改変はどこまで許されるのか ゲノム編集の光と影』イノベーションに突きつけられた、大きな課題

生殖医療技術と遺伝子改変技術の目覚しい進展により、人類はすでに、自分たちの遺伝子を改変する時代に入っている。 本書の「遺伝子改変は"どこまで"許されるのか」というタイトルは、いま議論すべき喫緊の課題である。本書では、生命倫理学の専門家である著者が、生殖医療技術と遺伝子改変技術の過去と現在を紹介しつつ、この課題の落としどころを冷静に探ってゆく。 ゲノム編集技術

『死にゆく患者と、どう話すか」医師・看護師のための超・実践的コミュニケーション論 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『死にゆく患者と、どう話すか」医師・看護師のための超・実践的コミュニケーション論

昨年の初夏、父が亡くなった。ある日、突然動けなくなり末期の肺がんだと診断された。担当医師は「夏を越えるくらいまで」という。告知をどうするか、私たち家族は悩んだ。 本書は日赤医療センターで、進行がん、特に肺がんの治療を専門とする國頭英夫医師が、日本赤十字看護大学の1年生に行ったコミュニケーション論の講義録である。 看護師を目指してこの大学に入ったとはいえ、つい

なぜ薬物依存が減らないのか『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造』 書影

サイエンス / 社会

なぜ薬物依存が減らないのか『ドラッグと分断社会アメリカ 神経科学者が語る「依存」の構造』

薬物依存には大変恐ろしいイメージがある。一度でも手を出せば最後、もはや依存から逃れることは叶わず万難を排して薬を手に入れることに邁進し、捕まってもやめることはできない──。 確かにコカインやマリファナといった薬物には"依存"はある。だが、世間一般に流布しているイメージは科学的に正確とは言い難いものだ。違法薬物による依存とはどのような種類の依存なのか? 依存に

今週のいただきもの:2017年1月29日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年1月29日週

大人になるとなかなか行く機会がないのですが、今度ディズニーランドに行くことになりそうです。ディズニーランドはエリアごとに様々なBGMが流れていますが、音が混ざらないように細かな工夫がなされているのを知っていますか? 音を遮るように木を植えたり、スピーカーの向きを調整して特定の方向にのみ音が聞こえるようにしているんです。また、エリアとエリアの間には流れる水や滝

『わたしはこうして執事になった』なぜ「使用人」になるのか? 何が楽しみなのか? 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『わたしはこうして執事になった』なぜ「使用人」になるのか? 何が楽しみなのか?

数年前にチャーチルの生家、ブレナムパレスに行ったことがある。オックスフォード近郊にあるその宮殿は、驚くことに渋谷区と港区と千代田区を合わせた面積に匹敵する広大なものだった。 その真ん中に屹立するのは200以上の部屋を持つまさにお城であり、その中では300年ほど前から貴族と使用人たちが暮らしていた。 いまでも階級制度が残るイギリスには、このような城が多数存在す

『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』失敗と、どのように向き合うのか? 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』失敗と、どのように向き合うのか?

本書の帯に、「英タイムズも絶賛!22ヵ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日本に上陸!」とあるので、その言葉に釣られて買ってみたが、確かにその通りの素晴らしい内容だった。 『失敗の科学』というタイトルからは、直ちに「失敗学」を連想する。これは、『失敗学のすすめ』 で有名な東京大学の畑村洋太郎名誉教授が提唱した新しい学問分野で、起きてしまった失敗に対し、責任追及

『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』 書影

日本史 / HONZ客員レビュー

『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』

冒頭、著者は「日本という国に、あのような平安京などいらなかった」と喝破する。「平安京は最初から無用の長物であり、その欠点は時とともに目立つばかりであった」と。「では、なぜ不要な平安京が造られ、なぜ1000年以上も存続したのか」と著者は畳み掛ける。そう挑発されたら、後はもう読むしかないではないか。とても刺激的な1冊だった。 日本は、大唐世界帝国の脅威に直面して

『ブスの本懐』盛り込みすぎて、何のことだか分からなくしてしまえ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ブスの本懐』盛り込みすぎて、何のことだか分からなくしてしまえ!

美人について書かれた書物は、数多く存在する。一方ブスに焦点を当てた本は、実に少ない。皆が触れてはいけないと思っているからだ。ブスーーそれは響きだけで人を殺すパワーをもった言葉。人道的な理由から、禁止令が出されてもおかしくないほどだ。 私もタイトルを見たとき、強く惹きつけられるのと同時に、目を背けたくなるような感情に襲われた。レジへ持っていくまでに要したのは、

『ブレイクスルーへの思考』と『つながる脳科学』で知の広大さと深遠さを堪能する 書影

サイエンス / 教養・雑学

『ブレイクスルーへの思考』と『つながる脳科学』で知の広大さと深遠さを堪能する

東大の異端児的存在である東京大学先端科学技術研究センター(先端研)に所属する11名の研究者へのインタビュー集だ。「これまでの大学の殻を破るまったく新しい研究機関」として設立された先端研だけあって、インタビュイーの研究分野は多岐にわたる。ある者は情報と社会の関わり方のあるべき姿を語り、ある者は産学連携を推し進めるために必要となる科学者の姿を説き、またある者は障

『発掘狂騒史 「岩宿」から「神の手」まで』 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『発掘狂騒史 「岩宿」から「神の手」まで』

あと2月足らずで21世紀にならんとするまさに世紀末、2000年(平成12)に、日本中を驚かせた毎日新聞の大スクープがあった。旧石器捏造事件である。本書はこの事件にまで至る日本の考古学史を追ったノンフィクションだ。 題材を聞いたとき、私は嫌な気がした。あの事件に関わって人生を棒にふった人たちの傷口に塩を塗るような内容を予想したからである。歴史的事件で大失態をお

『オスとメスはどちらが得か?』モテるためには命をかけて戦う 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

『オスとメスはどちらが得か?』モテるためには命をかけて戦う

「どうして、男の子と女の子がいるの?」ラジオ番組に投げかけられた子供の素朴な質問から本書は始まる。 この他愛ないが本質的な質問に専門家は困惑しながら、「X染色体とY染色体」の話を持ち出すしかなかった。一生懸命、質問者の幼稚園児に説明を試みるが、到底理解できるはずもない。 気まずい雰囲気で終わるかと思ったその時、アシスタントのお姉さんが「○○君は、男の子だけで

『方言萌え』SNSで加速する、方言コスプレとは何か? 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『方言萌え』SNSで加速する、方言コスプレとは何か?

えっ、方言コスプレ? 本書を手にしてまず目に飛び込んで来たのが、この言葉。コスプレと言えばコスチュームプレイの略語のアレですよね、そうですよね? 言葉ですよね、コスチュームじゃないですよね、方言って言葉ですよね? ですよね?? 混乱する中、岩波ジュニア新書から出された本書は私に語りかける。ジュニアとつくだけあって口調がなんだかとっても優しいのだ。優しくされる

『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か 』本当に恐れるべきなのは失望感 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ポピュリズムとは何か 民主主義の敵か、改革の希望か 』本当に恐れるべきなのは失望感

ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが共演した名作『ギルバート・グレイプ』(1993年)で印象に残るのは、なんといっても給水塔だ。 生まれ育ったアイオワの田舎町からいちども出たことがないギルバート(ジョニー・デップ)には、知的ハンディキャップをもつ弟アーニー(レオナルド・ディカプリオ)がいる。アーニーは高いところが大好きで、ちょっとでも目を離すとすぐに

『紀州のドン・ファン』美女4000人に30億円を貢いだ男 書影

人物 / 事件・事故

『紀州のドン・ファン』美女4000人に30億円を貢いだ男

どんな目標でもいい、目標を持って本気でやれば年齢なんて関係ありませんし、いつかその目標は適うはずです 本書の結語である。ビジネス書では見慣れた台詞だ。夢を持て、できない理由を探すな、きっと適うのだから。その通りかも知れないが、本書の著者が十代から現代まで変わらず抱き続ける「目標」はシンプルだ。成功して、多くの女性と性交したい。 記憶に残っている方も多いかもし

『昆虫たちの世渡り術 』恋をしたら昆虫のことを思い出してください 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

『昆虫たちの世渡り術 』恋をしたら昆虫のことを思い出してください

私たちは常に装っている。同じ集団の人間とみなされるための制服を、愛されるための装飾を、自分はこういう人間であるとみられるための記号を。 装うことは最大の武器だ。身を守るためにも、何かを得るためにも。 装うことを初めた最初の生き物は昆虫ではないかと思う。私たちは知らず知らずのうちに小さな昆虫たちの真似をしているのかもしれない。 昆虫と人間が似ている点は、他にも

可笑しな、お菓子な、『おかしなパン』 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

可笑しな、お菓子な、『おかしなパン』

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない!」 マリー・アントワネットが言ったとされる、この言葉は誰もが一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。私はケーキを買ってきた翌日の朝に、この発言とともにケーキの写真をSNSに投稿している。ケーキを1個だけで買うのが恥ずかしく、見栄で2個買ってしまい、翌朝の朝食がケーキになるというパターンだ。 と雑談はさておき、

『三省堂国語辞典のひみつ 辞書を編む現場から』三省堂国語辞典の行間 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『三省堂国語辞典のひみつ 辞書を編む現場から』三省堂国語辞典の行間

本を読んで気になることのひとつに、その著者がどんなパーソナリティの人なのか、ということがあると思います。 飯間浩明先生は、テレビやラジオに出演されることも多いので、すでにご存じの方も多いかもしれませんが、ここでは私から見た飯間先生について述べたいと思います。 私は趣味で国語辞典を収集していることから、飯間浩明先生とは、国語辞典を扱ったテレビ番組やイベントを通

今週のいただきもの:2017年1月22日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年1月22日週

昨年、HONZで取り上げた 東京藝術大学 の卒業・修了作品展に行ってきました。図録ではわからない、乾き切っていない絵の具の匂いやスケールの大きさを体感できます。 会場スタッフとして、制作者本人が作品の側にいることがあります。美大では作品を制作後、教授陣を前にプレゼンをする講評の時間があるので、美大生は自分の作品について語ることに慣れています。気になる作品があ

どこまでを人に任せるべきか──『デジタルアポロ ―月を目指せ 人と機械の挑戦―』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

どこまでを人に任せるべきか──『デジタルアポロ ―月を目指せ 人と機械の挑戦―』

本書は「人と機械がアポロ計画においてどう役割分担をしたのか(そもそも人に役割はあるのか)」という観点から、計算機開発を中心に、人間と機械の協働を分析した一冊になる。アポロ計画に関する本は歴史を辿る物からマネジメントを分析する物まで山ほど存在するだけに、今更新しいものが読めるのかなあ? と疑問に思っていたのだが、これが滅茶苦茶おもしろい! アポロ計画の技術者は

『寿命図鑑 生き物から宇宙まで万物の寿命をあつめた図鑑』ブラジャーの寿命は、本当に13ヶ月なのか? 書影

生物・自然 / 教養・雑学

『寿命図鑑 生き物から宇宙まで万物の寿命をあつめた図鑑』ブラジャーの寿命は、本当に13ヶ月なのか?

「ねぇ、ブラジャーの寿命ってなんで13ヶ月なの?」 その時、子どもが夢中になって読んでいたのが、『寿命図鑑』 絵・やまぐちかおり 編著・いろは出版(いろは出版)である。 この『寿命図鑑』は、人間や動物、建築物、機械、天体など13カテゴリー、324アイテムの寿命とそれにまつわるエピソードをまとめた図鑑だ。 ユニークで楽しめるのはもちろんのこと、そこはかとない無

『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』 書影

民俗・風俗 / 「解説」から読む本

『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』

本書は、イギリスの湖水地方で農場を営むジェイムズ・リーバンクスの半生と、そこで生きる羊飼いの生き方や働き方をユーモアを交えて描いた手記The Shepherd’s Life: A Tale of the Lake District の全訳です。 2015年にイギリスで発売された本書は、英国内でたちまち話題となり、アマゾンのベストセラー・トップ 10入りを何度

『「本をつくる」という仕事』 書影

教養・雑学 / HONZ客員レビュー

『「本をつくる」という仕事』

自分で本を書くようになってから、1冊の本が世に出るまでには本当にたくさんの人のお世話になっていることがよく分かった。本書は、「書店は広大な読者の海と川とがつながる汽水域であり」、本づくりとは「源流の岩からしみ出た水が小さな流れとなって集まり、次第に1本の川に成長して海に流れ込む」ようなものだと考える著者が、8つの目的地を求めて川上へと遡っていく物語である。

『火あぶりにされたサンタクロース』12月25日の知的興奮 書影

社会 / 事件・事故

『火あぶりにされたサンタクロース』12月25日の知的興奮

サンタクロースが、昨日午後、ディジョン大聖堂の鉄格子に吊るされたあと、大聖堂前の広場において人々の見守るなか火刑に処された。この派手な処刑は、教区若者組に所属する多数の子供たちの門前でおこなわれたのである。この刑の執行は、サンタクロースを教会の横領者にして異端者として<有罪>の判決を下した聖職者の同意のもとに決定された。 サンタクロースはキリストの降誕祭を異

『異端カタリ派の歴史 十一世紀から十四世紀にいたる信仰、十字軍、審問』 書影

世界史 / HONZ客員レビュー

『異端カタリ派の歴史 十一世紀から十四世紀にいたる信仰、十字軍、審問』

読者の皆さんは、「異端」という言葉からどのようなイメージを連想されるだろうか。おそらく、おどろおどろしいイメージの類ではないか。しかし東欧で興り(ブルガリアのボゴミル派)、11世紀に西欧に伝播したキリスト教の一派、カタリ派は、聖職者(完徳者、完徳女)自らが額に汗して働き、力を否定し純粋な神への愛を共有する原始キリスト教共同体のような良き人たちの集団であった。

『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』人間の卑劣さと高潔さを徹底して描き出す 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』人間の卑劣さと高潔さを徹底して描き出す

2007年8月24日、名古屋市内に在住の31歳の女性会社員、磯谷利恵さんが帰宅途中に男三人に拉致されて殺害され、岐阜県の山中に捨てられるという事件が起きた。犯人の一人が直後に警察に電話をかけて自首し、女性の遺体が発見されたことで事件が発覚した。 後に「名古屋闇サイト殺人事件」と名付けられたこの事件の犯人たちは、犯罪を行う仲間を募集するインターネットサイト「闇

『ルポ 児童相談所 一時保護所から考える子ども支援』まずは知ること、当事者の声を知るための第一歩 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ルポ 児童相談所 一時保護所から考える子ども支援』まずは知ること、当事者の声を知るための第一歩

陰惨としか言いようのないような児童虐待事件が報道されるのをみるとき、なんとひどい親がいるものかと怒り呆れる。実の父に、母に、あるいは実父母のパートナーに、殴られ、閉じ込められ、飢えさせられ、亡くなる子どもたち。性的虐待に心身ともに深く深く傷つけられた子どもたち。なんとかならないものなのかと誰しもが思うだろう。 中には周囲の人々が子どもの危険を察知していたとい

『MUJI式 世界で愛されるマーケティング』時代や文化を超える、暮らしの普遍性とは何か? 書影

ビジネス / HONZ活動記

『MUJI式 世界で愛されるマーケティング』時代や文化を超える、暮らしの普遍性とは何か?

『MUJI式 世界で愛されるマーケティング』は、無印良品の商品開発やブランドを理論と実践の二つの側面から解説した一冊だ。ブランドのエッセンスが非常に容易な言葉で描かれており、MUJIの世界観を分かりやすく伝えてくれている。 私が初めて無印良品と出会ったのは、コンビニで文房具を買った時のことだったと思う。コンビニなのに明らかに洗練されたノートやペンが揃っており

『あなたの人生の意味 先人に学ぶ「惜しまれる生き方」 』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『あなたの人生の意味 先人に学ぶ「惜しまれる生き方」 』

夏目漱石に「私の個人主義」という作品がある。これは小説ではなく、大正3年(1914年)11月25日、学習院で行なわれた講演の記録である。代表作というわけでもなく、日頃あまり脚光を浴びることもないが、私は日本人全員が読むべき作品と思っている。少なくとも中学か高校の国語の教科書には載せるべきだ。『こころ』よりは絶対に教科書にふさわしい。個人主義というとすぐ、「自

今週のいただきもの:2017年1月15日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年1月15日週

映画『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た』を観ました。ノーマは「世界ベストレストラン50」で1位を4回も獲得した、コペンハーゲンにあるレストランです。5週間限定でお店のスタッフ全員が日本にやってきて、マンダリンオリエンタル東京にて営業しました。 映画の原題は『Ants on a Shrimp』。メニューには蟻塩がかかったエビの料理があります。一

『仁義の報復』腹心を惨殺された元ヤクザの親分が語る、埼玉愛犬家殺人事件の真実 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『仁義の報復』腹心を惨殺された元ヤクザの親分が語る、埼玉愛犬家殺人事件の真実

1993年、埼玉県大里郡で起きた「埼玉県愛犬家殺人事件」。若い人は記憶がないかも知れないが、ペットショップを営む関根元と風間博子の夫妻(姓が異なるのは偽装離婚済み)が判明しているだけで客など4人を殺した事件は当時、世間を震撼させた。この事件を下敷きに、鬼才・園子温が映画『冷たい熱帯魚』を制作しているが実際の事件の残忍さはかなり抑えられている。 80年代後半の

読み物としても味わえる教科書『質的社会調査の方法』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

読み物としても味わえる教科書『質的社会調査の方法』

タイトルや副題を見ると、やや小難しそうな雰囲気だ。有斐閣の本ということで堅めな教科書のような内容を想像していた。しかしひとたびページをめくると、こんな一文が目に飛び込んでくる。 質的調査の教科書を書いてください、という依頼を受けたとき、最初に頭に浮かんだのは、マニュアルのような教科書よりも、読み物として読んで面白い本を作りたい、ということでした。 「分析や解

『再起動 リブート 波瀾万丈のベンチャー経営を描き尽くした真実の物語』起業でもっとも大切な、たった一つのこと 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『再起動 リブート 波瀾万丈のベンチャー経営を描き尽くした真実の物語』起業でもっとも大切な、たった一つのこと

久し振りに本を読んで感動した。 本を読む理由というのは人によって、また場合によってまちまちだと思うが、自分の場合は知識欲に駆られて読むことが多い。自分が知らなかったことが分かること、世界の広さと深さを知ることがたまらなく楽しいのだ。 だから、小説は殆ど読まない。本当か本当でないか分からないような文章に興味がないから。学生時代から、先生に指定された課題図書を読

『夫のちんぽが入らない』不通の私と、みんなの普通 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『夫のちんぽが入らない』不通の私と、みんなの普通

このタイトルだけに色物系かと思われるかもしれないが、奥深いメッセージが込められた、笑いあり涙ありの痛快エッセイである。 冒頭、このような一節から始まる。 いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて20余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。

『伝えることから始めよう』新刊超速レビュー 書影

ビジネス / 新刊超速レビュー

『伝えることから始めよう』新刊超速レビュー

とにかくこの本の存在をはやく多くの人に知ってほしい!その想いと勢いだけでこのレビューを書いている。こんなに読んでいてワクワクする経営者の本を読んだのはスティーブ・ジョブズの自伝以来はじめてかもしれない。この本を読んだとき、松下幸之助の『道をひらく』を思い浮かべた。この本はそれと同じくらい、後世まで名著として語り継がれるべき本だと思う。とにかく心を揺さぶられる

『東大VS京大 入試文芸頂上決戦』国語の入試問題から、時代の流れが見えてくる 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『東大VS京大 入試文芸頂上決戦』国語の入試問題から、時代の流れが見えてくる

入試の季節が巡ってくるたびに高校時代を思い出す。もう少し努力していれば違う未来があり得たかもしれないあの時代。 もしタイムマシンであの頃に戻れたら、今より30キロ以上もスリムな自分に、成毛眞の『AI時代の人生戦略』でも渡して、「未来の合言葉はSTEAMだぜっ!」と全力でアドバイスを送ってやるのに……。女の子のことばかり考えているうちに(「つきあっているうちに

今週のいただきもの:2017年1月8日週 書影

今週のいただきもの

今週のいただきもの:2017年1月8日週

実は私、千里眼の能力があり、行ったことのない部屋でも中の状態がわかるんです。例えば、あなたの部屋は入ってすぐに照明のスイッチがあり、その下にはコンセントがありませんか?そして、そのコンセントの対角線状にはもう一つコンセントがあると思います。…冗談はさておき、もし上記の通りなら、コンセントの位置の設計はセオリーがあるんです。 コンセントは電源を供給するためにあ

『ヒットの崩壊』聴取から体験へという大変化 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『ヒットの崩壊』聴取から体験へという大変化

ラジオ局のプログラムには音楽番組が欠かせない。「電リク」という言葉を最近は知らない人も増えたが、電話でリクエストを受け付ける番組が各局で当たり前のようにオンエアされていた時代があったし、ヒットチャートを紹介する番組はいまも健在だ。 僕自身もそういった音楽番組の制作に携わったことがある。あれはたぶん2000年前後くらいだったと思うが、ちょっとした異変を感じるよ

凡人、天才に学ぶ 『世界天才紀行 ソクラテスからスティーブ・ジョブズまで』 書影

教養・雑学 / 世界史

凡人、天才に学ぶ 『世界天才紀行 ソクラテスからスティーブ・ジョブズまで』

天才とは何だろう? 一般的には「とくに創造的活動において発揮される、すぐれた知的才能」と定義されている。『優生学』を打ち立てたフランシス・ゴルトンのように「世界中がその功績に対して大きな恩義を感じるような人物」としたほうがより実際的かもしれない。 ダーウィンのいとこであったゴルトンは「天才とは遺伝の産物」と考えていたが、はたしてそうだろうか。いみじくもそのゴ

南極で家を建てるには 『南極建築 1957-2016』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

南極で家を建てるには 『南極建築 1957-2016』

地球上で、家を建てるのが大変な場所はどこだろう? ジャングル? 砂漠? ツンドラ? 南極や北極? 極地観測のために建てられた南極基地の建築物を、写真と丹念な解説で見せてくれるこの一冊。昭和基地をはじめとする、極限環境での建築の数々は、こんな技術や人に支えられていた! こんなにすごいことをしていたなんて、知らなかった。 この本の感想はこの一言に尽きるかもしれな