
虎屋が駆け抜けた日本史 『和菓子を愛した人たち』
「虎屋」。ほとんどの人が聞いたことがある……どころか、食べたこともらったこと贈ったこと、なにかしらお世話になっているに違いない。室町時代後期の創業以来、500年以上にわたって日本の和菓子業界をリードしてきた老舗だ。その虎屋には、和菓子を研究する部門「虎屋文庫」がある。 創業以来、約500年の歴史を持つ虎屋は、現在の黒川光博社長で17代目、売り上げは約186億
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「虎屋」。ほとんどの人が聞いたことがある……どころか、食べたこともらったこと贈ったこと、なにかしらお世話になっているに違いない。室町時代後期の創業以来、500年以上にわたって日本の和菓子業界をリードしてきた老舗だ。その虎屋には、和菓子を研究する部門「虎屋文庫」がある。 創業以来、約500年の歴史を持つ虎屋は、現在の黒川光博社長で17代目、売り上げは約186億

グローバリズムが加速度的に世界を覆っていくにつれ、世界各地で文明の衝突が激しさを増している。イスラム過激派によるテロ活動は収束する気配を見せず、北朝鮮の孤立化はより深刻なものとなり、アメリカのトランプ政権は他文化との壁をより高いものにしようとしている。多文化が平穏に共存する道を、人類は見つけることができるだろうか。それとも、文明の衝突は歴史の必然なのだろうか

2016年12月26日を境に、東芝の株価は暴落した。443円をつけていた株価はつづく3日間で259円まで下げたのだ。 それまで東芝株の上昇率は年間で70%を超え、日経平均銘柄で第2位を誇るほどだった。その日本が誇る優良企業が一気に奈落へと転落したのだ。見得を切る暇もなかった。 この株価暴落はNHKによる巨額損失計上の報道がきっかけだったが、じつは2008年か

今週は新宿オペラシティの 『片山正通的百科全書』 に行ってきました。インテリアデザイナーの 片山正通 氏が収集した500点を超える書籍やCD、アート作品の展示をしています。自宅やオフィスにお邪魔しているような、片山氏の頭の中を覗いているような感覚を覚えます。 私の1番のお気に入りはこれです。ホッキョクグマ。 156cmの私が横に並ぶと大きさがわかりますね。こ

人をどのように評価するかは難しい。人間とは常に多面的かつ多層的な存在だからだ。しかし、私たちが他者を評価する際には、常に人の一面にスポットを当てることで単純な評価を行おうとする。他者にレッテルを貼る事により、一方的でわかりやすい物語を形成するのだ。このような物語を組み立てる事により、人は他者を理解した気になる事ができる。 だが、それで本当に人間と言うものを正

装丁には、切り裂かれたキャンバスの写真。 内藤順によるレビューは こちら レビューは こちら レビューは こちら レビューは こちら レビューは こちら

幼い頃、母親からTシャツは下着であると教えられた。当時、下着は断然、白のランニング派だったので、Tシャツには見向きもしなかった。だから学生時代にアメカジブームに遭遇した時は面食らった。白いTシャツを着た男たちが街にあふれたからである。 そんなTシャツがいまや欠かせないファッションアイテムである。ならばさわやかに着こなしてやろうと意気込んでも、時すでに遅し。ぶ

凄い本を読んでしまった。信じていた司法への信頼がガラガラと崩れていく。私はなんという国に暮らしているのだろう。 本書は「文庫X」として大ヒットとなった 『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』 (新潮文庫)の著者、清水潔が、元裁判官で 『絶望の裁判所』 『ニッポンの裁判』 (ともに講談社現代新書)の著者、瀬木比呂志との対談を希望したことで

「モバイルボヘミアン」という言葉を聞いて、最初はきっと、モバイルフォンを駆使してノマド的な生活をしている人のことなのだろうと思っていた。私の食べ友達が本書の共著者の一人である本田直之氏と世界を食べ歩いているfoodie仲間で、facebookを通じて本田氏の生き方を拝見していて、勝手にそのような想像をしていた。 ところが、著者の二人は既にノマドというフェーズ

都市のアイコンとして、電波塔の役目を終えてからも人気のある東京タワー。赤白に塗り分けられているのは、航空法で定められているからなんです。現在の東京タワーは、大展望台よりも上の部分が7等分に塗り分けられていますが、昭和61年までは、これが11等分でした。大展望台の色が赤→白となるため、かなり印象が異なります。 ちなみに、スカイツリーが赤白の塗装でないのは、高光

朝の過ごし方に自分なりのルーティンがあるという人は多いだろう。「起き抜けに必ずトイレに行く」とか、「朝食には納豆が欠かせない」とか、人それぞれいろんなルーティンがあるだろうが、かなりの確率で「朝ドラを観る」と答える人もいるのではないだろうか。 みなさんにとって初めての朝ドラ体験といえば、どの作品になるだろう? 古い話で恐縮だが、ぼくの場合は『まあ姉ちゃん』(

2017年5月に経済産業省が若手・次官レポートとして発表した「不安な個人、立ちすくむ国家」は、「結婚して、出産して、添い遂げる」、「正社員になり定年まで勤めあげる」という「昭和の標準的人生」が21世紀には一般的ではなくなったため、この標準に基づいて設計された日本の制度や価値観が現代社会のあちこちに大きなひずみをもたらしているのだとしている。しかしながら、19

ひとつの「謎」から話を始めよう。1970年代まで、アメリカにおける自閉症の推定有病率は数千人に1人であった。ところが、1980年代以降にその数は急増し、2010年のアメリカではおよそ68人に1人が自閉症(正確には自閉症スペクトラム障害)だと推計されている。この40年でその数は数十倍に膨らんでいるが、では、その「増加」はいったい何を意味するのだろうか。 じつは


「文春砲」という言葉が世の中に広く認知されてからまだ1年足らず。今年はどんなスクープを?と思っていた矢先、週刊新潮が週刊文春についてのスクープ記事を出すという、思いもしない展開に突入。出版業界を戸惑わせています。 相変わらず雑誌の売れ行きは厳しく、再生までの道のりは長そうです。しかし、一方で、雑誌というのは書店店頭にお客様を定期的に呼び込む大事な商品でもあり

HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 西野智紀は24歳の若きレビュアーだ。産経新聞、週刊読書人などで執筆をしつつ、将来的には書評家一本でやっていきたいという夢を持っている。 デビュー書評がいきなりカブる という悲劇に見舞われたが、これが吉とでるのか、凶とでるのか。今後の彼の活躍に、どうぞご期待ください! (HONZ編集部) 売れる小説を書きたい――作家

TED(Technology Entertainment Design)はどんなテレビ番組より面白いので(但し、NHK『BS世界のドキュメンタリー』は除く)、iPadでテレビ代わりによく見ている。テレビドラマや映画だと英語が分からないことが多くて字幕がないと辛いが、TEDトークはプレゼンテーターの思考が冴えていて、話もロジカルなので、英語がすごく分かりやすく

不意に「赤穂城の明け渡し」が出てくる。主人公がまだ不動産業でバリバリ仕事をしていたころのこと。倒産して夜逃げした社長の住宅の調査に出かけた。家に入ると衣服が散乱している。タンスは開けっ放し。子供部屋の壁に友だちといっしょの幼い女の子の写真。通信簿が床に落ちていた。そのとき思った。自分は絶対にこんなことはしない。「もし倒産することがあっても、忠臣蔵の赤穂城の明

人文書のコーナーを歩いていたら、いきなりウルトラマンにでてくる怪獣のような格好をした人の写真が目に飛び込んできた。本を手に取ると中にさらにインパクトの大きいユニークな写真がたくさんあったので、つい本書を衝動買いしてしまった。 本書は写真集ではない。ハインという失われた祭典のことを書いた民俗学の本である。ハインという行事のことも興味深いが、それだけでなく50点

面白い。まるで推理小説を読むようだ。しかも、嬉しいことにカラー版、美術好きには堪らない1冊だ。本書は、史上最高の画家、レオナルド・ダ・ヴィンチの最も有名な作品「モナリザ」にまつわるいくつかの謎について、当意即妙の文章で縦横に論じたものである。 著者は、膨大に残されたレオナルドの手稿研究の第一人者であり、レオナルド自身の頭と目になったつもりで謎解きにチャレンジ

こ、この本のレビューを書きたい。 先日クマムシ博士が めちゃくちゃ面白いレビュー をアップしていたので、私立文系かつファーブル昆虫記を1巻で挫折した私ごときがレビューする意義は見いだせなかった。HONZには虫担当の塩田もいる。生物偏差値100超(!)の学生メンバー篠原だっている。浪速大学医学部教授だってレビュアーだ。とにかく虫に相応しいのは私ではない。 しか

もうすぐ5月も終わりですね。この時期旬の鰹はもう食べましたか?太平洋沿岸を回遊している鰹には、旬が年に2回あります。4~6月頃に黒潮に乗って北上する鰹を「初鰹」、10〜11月に親潮にぶつかって南下するものを「戻り鰹」と呼びます。 低い海水温の影響を受け、初鰹より戻り鰹の方が脂が乗っています。江戸では「初物」を珍重したため、「目には青葉、山ほととぎす、初鰹」と

先般HONZで紹介した冨山和彦氏の『 AI経営で会社は甦る 』では、AI(人工知能)がこれからのビジネスに与える影響が分かりやすく示されていたが、この『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』は、AIの研究者自身によるAIの解説本である。 チェスと将棋と囲碁を例に取り上げ、AIにおいて最も重要な技術である「機械学習」「強化学習」「ディープラーニング(

アーティストは決まりきった体系や枠組みにはめられて、語られることを好まない。説明されること自体を嫌うこともあり、自ら進んで枠組みから逸脱する。自分で作った枠組みさえも捨て去ることもある。 一方でアートを鑑賞する側にとって、アートは感情が触発させ、見る人それぞれに異なる意味をもたらす。そして、見たものを咀嚼するために、新たな知を探索する欲望をもたらす。しかし、

子どものいない者、あるいは遠い昔に子育てを終えた人からすると、PTAは秘密結社のように見える。子を人質にとられた親が、学校と教育委員会に労働力を捧げるようなものだ、と思っていた。 杉江松恋はフリーランスのライターで主にミステリ小説の評論を書いている。身の丈は180センチを超し、体重は100キロオーバー。トレードマークは金髪に髭にサングラス。それなのに話し方は

2010年代後半に入って、AI(人工知能)ブームの過熱ぶりは凄まじい。とりわけ、 その中核にあるシンギュラリティ(技術的特異点)仮説は、現代のグロテスクな神話と言ってもよいだろう。本書『そろそろ、人工知能の真実を話そう』(原題は Le mythe de la Singularité、 2017)は、シンギュラリティが実際に到来するかどうか

本書は、「ベストセラー小説に普遍的な法則は存在するのか?」という問いかけを、独自の判定モデルをつくりあげ検証した著者らによる一冊である。小説がヒットするかどうかは時の運という人も多いし、実際運が関与しない事象などこの世に存在しないともいえる。そうなってくると次に出てくる問いかけは運の割合はどの程度のものか? である。本書はそれを分析してみせる。 手法のひとつ

「いまも忘れられない美術展は?」ともし問われたら、答えは決まっている。1993年に世田谷美術館で開催された『パラレル・ヴィジョン』展だ。 ロサンゼルスを皮切りに、マドリード、バーゼル、東京を巡回したこの美術展は、「アウトサイダー・アート」と20世紀美術を並べて展示するという世界初の試みで話題となった。美術作品を観てあれほど衝撃を受けたことはない。どの作品も過

こちらはバッタへの情熱で突き進む男の話。クマムシ博士によるレビューは こちら 。 ビックバンから生命誕生まで、宇宙はどのように変化してきたのか。高価で読み通すのにはかなりの体力を要する大部だが、科学がどのように宇宙の謎を解き明かしてきたかの全体像を知るためのベストな一冊。レビューは こちら 。 アメリカ政府、その中でも特にペンタゴンは科学の力を大いに利用し、

一見、読心術の本のような体裁である。だが、タイトルをよく読むと、人の心を「どう読むか」ではなく、そもそも「読めるのか?」という視点だということに気がつく。 「他人を理解する上で大事なのは、相手の気持ちを推し量る能力の”穴”を把握することだ」。まえがきで著者はそう語る。相手の心を推測するための手がかりを取りにいくのではなく、自らを省みて、誤解を引き起こす落とし

この数日、無性にチキン南蛮が食べたくて、チキン南蛮のことばかり考えています。ところで、チキン南蛮や南蛮漬け、鴨南蛮にカレー南蛮と、食べ物につく「南蛮」とは何のことでしょう。日本史の教科書に出てきた南蛮人と関係があるのでしょうか。 当時、南蛮人によってもたらされた、新しい料理や調理法には「南蛮」とつけられるようになりました。南蛮漬けはエスカベッシュやマリネがも

書店内でいやでも目を引く、虫取り網をかまえこちらを凝視する全身緑色のバッタ男の表紙。キワモノ臭全開の本書だが、この著者はれっきとした博士、それも、世界の第一線で活躍する「バッタ博士」である。本書はバッタ博士こと前野ウルド浩太郎博士が人生を賭けてバッタの本場アフリカに乗り込み、そこで繰り広げた死闘を余すことなく綴った渾身の一冊だ。 「死闘」と書くと「また大袈裟

毒のある本だ。本書を読み始めてすぐにそう感じた。毒のある題名を付けて購読者の気を引き、中身は平凡でつまらない本も多数存在するのだが、この本はそうではない。 本書の著者エドワード・ルトワックはワシントンにある大手シンクタンク、米国戦略国際問題研究所の上級顧問であり、戦略家、歴史家、経済学者などの肩書きを持っている。しかし、日本の読者には『中国4.0』の著者であ

4年前に読んだ『マチュピチュ探検記』が面白くて、その後は本屋さんに行く度に冒険記を手に取るようになった。この本のなかで、遺跡探検の背後では、歴史や文化、権力闘争や学界論争などが何重にも折り重なって物語が形成されていることを知った。さらに夢中になったのは、遺跡探求には決してゴールがないことだ。例えばマチュピチュでは、後に発見される資料から以前に発見されていたこ

大げさな話でなく「本の雑誌」が無かったら、今の私も無かっただろう。 本の虫だった高校時代、何人かの本好き友人はいたものの新しい情報に飢えていた時、週に数回通っていた書店で新しい雑誌を見つけた。「本の雑誌」というシンプルなネーミングで中を開いてみると、新しい本の情報や本にまつわるモロモロの話が書かれているではないか。とりあえずと買い求め、読んですぐファンになっ

シリコンバレーの起業プログラムに参加する若者たちを描いたノンフィクション。冒頭の「主な登場人物」を見るだけで本書の面白さをすぐに理解できる。荒唐無稽な人物たちのオンパレードだ。 2011年から2016年までの6年間、とある物議を醸した若者向け起業プログラムを密着取材したのが本書。プログラム名は「20 under 20」。20組の20歳以下の学生がシリコンバレ

あなたは植物にエロスを見出したことがおありだろうか?あるのなら、この本の魅力をすでにご存じなのだから、読めばますます植物官能の深みにはまり込んでいかれるに違いない。それよりも、そんなことは考えたこともないごく普通の人にこそ、ぜひ手にとってもらいたい一冊である。読み終わった時、もはや植物の官能から逃れられなくなっているはずだ。 いきなりだが、このサボテンはどう

著者は現役バリバリの鳥類研究者。森林総合研究所の主任研究員だ。鳥の生態などを研究するため、小笠原群島を拠点としてフィールドワークを重ねている。本書でも東京から1300キロほど南にある絶海の孤島、南硫黄島での壮絶な調査の様子などを垣間見ることができる。 この4月に噴火再開が確認された西之島にも過去何度も訪れている。上陸できなかった時期も無人機での調査だ。後日、

ゴールデンウィークは晴れの日が続きましたが、今日の東京はぐずついた天気ですね。「五月雨(さみだれ)」とは梅雨、旧暦五月(現在の六月)頃に降る長雨のことを言います。「さ」は皐月や早苗と同様に耕作を意味する古語「さ」で、「みだれ(水垂れ)」は雨を意味します。現在の五月に降る雨のことを五月雨と言うわけではないんです。 また、「五月晴れ」はこちらも本来旧暦五月の梅雨

ダイエットは現代人の最大の関心事の一つだ。多くの国で肥満が野火のように広がっていくに連れ、ありとあらゆるダイエット方法が世界中で発明されてきた。あまりにも大量のダイエットが開発されたため、その中から相反する2つを見つけるのは難しいことではない。脂肪の摂取を控えるべきだと訴えるダイエットもあれば、脂肪は好きなだけ摂ってよいというものもある。三食を規則正しく食べ