
「深海生物テヅルモヅルの謎を追え!系統分類から進化を探る」 分類学に心酔した男の圧倒的成長に迫る
「テヅルモヅル」という生物をご存知だろうか。体の中心から五本の腕を伸ばし、その各々の腕を枝分かれさせ、まるで触手のようにうねうねと動かしながら海水中のプランクトンを捕獲し、それらを栄養源として生息している動物だ。腕を広げると、大きなものでは1メートルを超える圧倒的な存在感を持つモヅルもいるようだ.その様子にちなんで、一部の種は学名にギリシャ神話の「ゴルゴン」
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「テヅルモヅル」という生物をご存知だろうか。体の中心から五本の腕を伸ばし、その各々の腕を枝分かれさせ、まるで触手のようにうねうねと動かしながら海水中のプランクトンを捕獲し、それらを栄養源として生息している動物だ。腕を広げると、大きなものでは1メートルを超える圧倒的な存在感を持つモヅルもいるようだ.その様子にちなんで、一部の種は学名にギリシャ神話の「ゴルゴン」

ざんねんないきものとは一生けんめいなのに、 どこかざんねんないきものたちのことである。 世の中にはものすごく不便そうな体を持っている生き物や、どうしてそんな大変そうな生き方をしているの?って思う生き物。またそんな能力を持っていてどうするの?と思ってしまうような生き物が多数存在している。進化というのは一方通行であるがゆえに進化の過程において、かつては必要だった

サイエンスの面白さが存分に味わえる一冊だ。 タイトルに惹かれてつい手にとった一冊だったが、ホタルを題材にここまで科学の不思議さと面白さを紹介できるポピュラーサイエンス本の作者がいるとは想像だにしなかった。流麗で平易なことばで科学の謎を解き明かす著者の文章力は、『ワンダフル・ライフ』の著者でポピュラーサイエンスの巨匠スティーブン・グールドを彷彿とさせる。 白亜

中学2年生の頃に本屋で偶然出会ったのが、荘子だった。「人皆知有用之用 而莫知無用之用也」(荘子 内篇)そこには、人の役に立たないがゆえに天寿を全うする、樹木のことが書かれていた。高度成長の負の遺産や受験戦争に心を痛めていた私は、「かくありたい!」と膝を打ち、その道行きをはじめた。といっても、有用になるのを避け友人宅に入り浸って麻雀を始めただけだ。翻って本書は

さて、 足立のレビュー に触発されて小網代にやってきたHONZメンバー。 前編 では森から海へと遊歩道を下り、 中編 では干潟の観察を満喫しました。この後編は、いよいよ今日のクライマックス、ゲンジボタルの観察です! ホタル観察までは時間があったので、柳瀬さんの案内で、港に移動してみます。 さっきまでいた干潟が、奥に見えています。船をもやうロープには、いろいろ

さて、小網代の谷を源流から海辺まで歩いて下ったHONZ一行。ちょうど引き潮の時間帯に干潟にたどりついたので、まずは干潟の生き物観察。そして夜は、ゲンジボタルの観察会がひかえています――。 (足立のレビューは こちら 、前編は こちら ) ここで再び、NPO活動中の柳瀬さんにお会いしました。おや、足立が何か見つけたようですよ。 わかりますか? いっぱいいますよ

きっかけは、5月13日の 足立真穂のレビュー 『「奇跡の自然」の守り方――三浦半島・小網代の谷から』。本書は「地域の自然保護」という決して派手ではないテーマにもかかわらず、なんと刊行からわずか10日で重版!したそうなのです。 ビジネスとサイエンスが融合した新しい自然保護のあり方を示す内容も素晴らしいのですが、きっと小網代そのものの魅力も読者をひきつけたのでは

カッコウ、である。見たことがあるような気もするが、記憶は定かでない。しかし、「♪静かな湖畔の森の陰からもう起きちゃいかが」と鳴くという童謡のおかげで、その名前はよく知られている。なんとなく爽やかだが、そんなイメージとは裏腹に、カッコウは『托卵』という眉をひそめたくなるような方法によって繁殖することで有名な鳥でもある。 托卵というのは「鳥が他種の鳥の巣に産卵し

東京、品川駅から電車で1時間半、終点の三崎口駅から歩いて30分。小網代は、都心からおよそ60キロの三浦半島にある自然の楽園だ。コンクリートで固められていく首都圏にありながら自然がまるごと残っており、しかも、誰でも歩ける身近な場所として大人気だ。なぜそんな「奇跡」が起きているのだろう? 「奇跡の森」。首都圏でも可能な環境保全の好例として、そう評される小網代の森

第1部「宇宙の誕生」。宇宙は3種類しかない。僕たちの住む宇宙は「人間に都合よく調節された宇宙」だ。大部分は「調節されていない、人間のいない宇宙」だろう。「調整されているが人間はいない宇宙」もあるかもしれない。ビッグバンが138億年前に起こり太陽系が46億年前に形成された。 第2部「地球の形成」。地球が45.5億年前、月が45億年前、遅くとも38億年前までに海

ヒトにもっとも近縁な類人猿はチンパンジーだ、ヒトとネアンデルタール人は交配していた、ヒトが出アフリカを果たしたのは5万年前ではなく10万年前にもさかのぼる。最先端の分子生物学は、ヒトの起源について驚くほど多くのことを教えてくれる。「ゲノム時代」と呼ばれる現代では、新事実が発見されるスピードは加速度的に増している。つい先日も、「 ネアンデルタール人絶滅は人類の

人類はいつ、どこで、どのようにして誕生したのか? はじめて二足歩行して言葉をしゃべり出し たのはいつか? 太古の人類はどのような姿をしていたのか? われわれはチンパンジーやゴリラな どの類人猿とどのような関係にあるのか? 人間はどのようにして高い知性を獲得したのか? かつ てわれわれとは別種の人類が生きていたのか? 彼らとどのよう

野生動物の世界は弱肉強食の世界でもあり、時には一口の食べ物も見つけられない場合もあり、身を寄せ合っても耐えれない寒い冬だってある。動物たちは大変厳しい環境を精一杯生き抜いているが、それでも緊張や恐怖から解き放たれて優しい表情を見せる瞬間がある。 本書は世界中の動物たちのしあわせな瞬間を集めた写真集だ。著者が求めたのは弱肉強食の世界に生きる動物ではなく、見てい

「メカ屋のための」とあるように、本書はエンジニアに向けた脳科学本である。 「なぜわざわざ特別にエンジニア向けに脳科学入門が書かれなくてはならないのか? 一般人向けに書けばいいではないか」と疑問を抱くかもしれないが、なるほどもっともな話ではある。 それはまず第一に、著者が東京大学工学部の機械系、情報理工学研究科、工学研究科で講義を受け持っている、機械系かつ生物

あらためて進化というのは面白いものだと感動した。なにをいまさらではあるが、百聞は一見にしかず。巨大生物の解剖と生理を目の当たりにすると、誰もがそう思わずにいられないだろう。 動物の大型化には、たとえば、キリンの首が長くなるとより多くの餌を食べることができるようになるというように、メリットがあるはずだ。しかし、大型化にはメリットだけではなく、何らかの不都合が生

本書は、アメリカのジャーナリスト、マッケンジー・ファンクが6年の月日をかけ、24か国とアメリカの十数州を回って書きあげた力作ルポルタージュ、『Windfall』の全訳だ。 巻頭のカラー写真を見るだけでも、著者の取材がいかに多岐広範に及ぶかがうかがわれよう。本書は気候変動(地球温暖化)を取りあげるが、それ自体が主役ではない。気候変動が起こっているという確信が深

本書は、シーボルトが長崎滞在の土産として持ち帰り、今やヨーロッパなどで侵略植物の代名詞となっている「イタドリ」という日本の在来植物の数奇で皮肉な運命を、10年の歳月をかけてまとめた異色の写真集である。この本を手にとるまで私は、この植物の存在も、それが世界に広がった経緯も、その忌まわしい現状も知らなかった。イタドリ。どこにでもある雑草である。表紙のハート型の葉

タイトルの『1493』とは、コロンブスが新大陸から黄金の装身具やカラフルな鳥、先住民捕虜を携えてスペインへ帰国した年である。この年を境に、超大陸パンゲアが分裂してから2億年以上もの長きにわたって独自の生態系を育んだきた各大陸が、人類の手を介して再び出会うことになったのだ。コロンブス以前には、どのような生物にも大陸間を結びつけることは不可能であり、それぞれの大

世界初の人工雪の製作に成功し、低温科学の分野で大きな業績を残した中谷宇吉郎は、物理学者寺田寅彦の弟子であり、研究でも随筆においても強く影響を受けた。本書は著者の科学エッセイ14篇を収録しており、どの文章にも詩的な表現とユーモアがふんだんに散りばめられ、純粋な科学のおもしろさがじわじわと伝わってくる。 冷えきったガラス板を天にかざし、降り落ちる雪を受け取っては

生命がどのようにして誕生し、進化してきたのか?だれもが興味をいだくテーマだ。完全にわかるということはありえない。しかし、あたらしい技術が開発され、あらたな発見がなされ、次第に議論が収斂してきている。全地球凍結=スノーボールアース仮説の提唱者である地質生物学者著者ジョセフ・カーシュヴィンクと古生物学者ピーター・ウォードによるこの本は、最新データを網羅してまとめ

ダーウィン進化論は、信じられないほど少ない仮定で、驚くほど多くのことを説明してしまう。なにしろ、100万種以上といわれるほど多様で、かつその1つ1つが複雑な機能を備えている生命が、どのように実現されているかを誰もが理解できるように示してみせたのだから、驚異という他ない。またダーウィン進化論は、DNAがどのように遺伝情報を継承しているかというミクロな視点から、

リョコウバト、ドードー、何より有名なマンモスなどこの世界では絶滅が後を絶たない。 人間による乱獲や森林の伐採などによる環境変動によってみすみすと絶滅させてしまった場合などは、人間の愚かさの象徴として語られることも多いが、そうはいっても気候の変動なり生態系の変化なりで絶滅というのはいつだって起こりえるものだ。であればこそ──一度絶滅したはずの生き物を現代に復活

「なぜ私たちは老いて死ぬのか?」――本書はこの問いかけに進化論によって答える。そこから見えてくるのは、私たちの生―老い―死(寿命)が、矛盾、パラドックス、トレードオフに満ちあふれているという実態だ。 もともと老化や死は有性生殖に伴って登場し、多細胞生物において広まった。では、単細胞生物から複雑な多細胞生物へと進化したメリットは何なのか? 多細胞生物のメリット

この200年間における人類の平均寿命の伸長度合いには目を見張る。1840年を起点にとれば、我々の平均寿命は1時間あたり15分も伸び続けており、この200年で倍になった計算となる。しかしながら、最先端テクノロジーをもってしても不老不死の実現はおろか、150歳まで生きるこすら全く不可能に思える。なぜ、ヒトは老いから、死から逃れることができないのか。 人類が思考を

「文明を動かす究極のエネルギーとは何か?」 この問いへの答え方は、その人の考え方よりも置かれた状況に左右されるのかもしれない。 「文化」や「技術」という答えが場所を占めるようになったのは、何千年というスパンで見ればここ最近のことだろう。それらを謳歌できるのも、食うに困らなくなってからの話である。これまでも、そしてこれからも、文明を動かすエンジンは食べ物だ。

ペニスを勃起させた雄ガモたちが、一羽の雌ガモのまわりに群がってくる。どの雄も交尾しようと必死だ。ついに一羽がペニスを強引に挿入する。しかし── 。 「私の生殖器の構造は、ねじくれたトンネル。迷路よ。雄の生殖器をさえぎれる。相手を迷わせることができるの。だますことができる。でも好きな相手なら── 」 雌ガモは一羽の雄ガモに自ら膣口を差し出す。 「私の夫になって

本書はピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク著、A New History of Life: The Radical New Discoveries about the Origins and Evolution of Life on Earth(Bloomsbury, 2015)の全訳である。 著者の一人ウォードは地球科学および宇宙科学の研究のかた

本書は「なぜネアンデルタール人が絶滅し、初期現世人類は絶滅しなかったのかという人類学の大問題」に、最新の研究結果と巧みな想像力で迫っていく、知的興奮に満ちた一冊である。原書である『 The Invaders 』は2015年3月に出版されたばかりで、著者が引用している論文はここ数年で発表されたものも多く、古人類学の知識を大幅にアップデートできる。本書で描かれる

『絶対音感』、『セラピスト』、『星新一』など多彩なテーマの著作で知られる最相葉月さんが、東工大にて非常勤講師として前期の4ヶ月間行った講義の記録である。この講義は池上彰さんの誘いによって実現したそうだ。東工大生、色々とうらやましすぎる。 「生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか」というタイトルから、最相さんが毎回どのように著作のテーマを選ぶかを話すのかと予想する人


生命の星、地球。都会のようなコンクリートジャングルにおいても雑草が茂り、アリたちが闊歩する。足下をふと見れば道路の片隅にコケが生育していて、そのコケの中にはクマムシがいる。朝晩の電車に乗り込めば、無数のホモ・サピエンスと接触する。生物はそこに居て当然。そんな風に私たちは感じてしまう。だが、地球以外の天体に由来する生命体は、現在までまだ見つかっていない。はたし

ラムチョップが一瞬にしてなくなった夏の夜のことだった。著者はその年、ロックフェラー一家から寄贈されたニューヨーク郊外の土地で、豊かな土壌を持つ場所で運営される実験農場に直結する、誰もがうらやむ環境で、レストランをオープンさせた。その4年前にニューヨーク市内で開業したレストランは「ファーム・トゥ・テーブル」の代表格として大繁盛し、オバマ大統領もお忍びで通う。

福井県若狭湾近くに水月湖という湖がある。周囲長は富士五湖の西湖とほぼ同じ10kmほど。深さ38mの汽水湖だ。このほとんどの日本人が知らない湖こそ、世界中の考古学者や地質学者にとって奇跡の湖なのである。 この湖のおかげで各分野の研究者たちは5万年前に起こった天変地異や人類の進化などについて、より正確な時間を知ることができるようになった。その精度は5万年前で誤差

量子力学が描き出す世界はあまりに奇妙だ。量子は波であると同時に粒子であり、壁をすり抜けることができ、いったんペアになった粒子同士はどれだけ遠く離れていても瞬時にコミュニケーションが取れるというのだから、すんなり納得することのほうが難しい。どれだけ信じ難くとも量子力学を支える科学的証拠はゆるぎなく、論理的にも強固である。DVDもMRIもスマホも量子力学がなけれ

読み始めると小学校の時、夢中になったドリトル先生を思い出し、時間を忘れてしまった。図鑑を見ながら憧れていた動物園の飼育員。この本の中には私の幼いころの夢がぎっしり詰まっている。 最近、結婚して子供が生まれ久しぶりに動物園に行ったという友人は、昔とずいぶん変わっていて驚いた、と話してくれた。 狭い檻の中に閉じ込められていたライオンや、長い鎖をつけられて杭に繋が

肥満の解決方法は、それほど複雑なものではない。食事の量を減らし、適切な運動を行えばよいのだ。しかしながら、世界中で多くの人々が肥満とそれがもたらす2型糖尿病などの病に苦しんでいる。解決方法が明らかなのにその実行が困難なのは、美味しく高カロリーな食事が街に溢れ、身体をほとんど動かすことなく一日を終えることができるほどにテクノロジーが発展したからだ。 なぜ、わた

本を読んでいる時の紙。家で、仕事場で、ショーケースで、どこにでも存在しているガラス窓。口に含むまでは固形物なのに口に入れるとすぐにとろけるチョコレート。構造物の基礎としてあらゆるところに存在している鉄筋コンクリート。身近で日々接しているというのに、あまりにも当たり前に存在しているのでその凄さや来歴を特段意識したりはしないものだ。 コンクリートとはいったいどの

著者の大河内直彦さんは 海洋研究開発機構 ・生物地球化学部門のリーダーであり、この分野では日本を代表する科学者の一人だ。そのかたわら気候変動や地球科学に関するポピュラーサイエンス、すなわち科学読み物の作家としても出版界では注目が集まっていた。気候変動の謎に迫った『 チェンジング・ブルー 』が硬派な大部であるにもかかわらず、非常に評価が高かったからだ。 現役の

そんなときでも、この本さえあれば、もう大丈夫。 ……って、「普通じゃ~ん」と思ったあなた、い~えいえ違うのです。これは互いの腰に負担をかけず、犬が暴れてもキックされにくく、万が一、落としても着地の危険が少ない、という、じつに考え尽くされた持ち方なのだ。 これで、通りかかった配達のお兄さんから台車を強奪する必要もなくなった。本当によかった、この本があって!!

サクラは、なぜ春になると花が咲くの?など、本書は、身近な7種の植物に潜む不思議について書かれた本だ。読み手は、その不思議の裏に潜む植物の知恵の深さに何度も驚かされる。そして読後には、道端の植物を敬意のまなざしで眺めるようになるに違いない。多少大げさな表現をお許しいただけるなら、読み手にとってその後の人生の景色を変える可能性を秘めた1冊なのである。本書は、ベス