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社会

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995記事

『本当に住んで幸せな街』官能的な街をはかる 書影

教養・雑学 / 社会

『本当に住んで幸せな街』官能的な街をはかる

「結局私たちは、どんなまちに住むのが幸せなのか」 センシャス・シティである。これが、本書の結論だ。 センシャスは日本語にすると「官能」、センシャス・シティは「官能都市」、艶やかな響きである。官能という言葉から、反射的にポルノチックなニュアンスが思い浮かんでしまう。しかし、官能の本来持つ意味を調べると、「感覚器官の動き」である。まず、センシャス・シティが夜遊び

『実験国家 アメリカの履歴書』 統合と多元化に揺れ動く大国 書影

社会 / 世界史

『実験国家 アメリカの履歴書』 統合と多元化に揺れ動く大国

過激な発言や過去のスキャンダルのために共和党候補にすらなれないと思われていたドナルド・トランプが、世界最強国家アメリカの次期大統領となることが決まった。リーマン・ショックに端を発する不況が、世界を不安で包み込もうとしていた中、若く聡明なマイノリティのバラク・オバマに希望を託した人々が、8年後の今は、対極とも思える人物をリーダーに選んだのである(その選挙制度の

『マラス』凶悪ギャングの心の底は 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『マラス』凶悪ギャングの心の底は

中米から米国へ不法入国する若者が急増している。それも、メキシコよりさらに南の中米諸国から。2014年夏、そんなニュースが著者の目に留まった。 2013年10月から2014年6月中旬までの間、単独で国境を超えようとして米・国境警備隊に拘束された未成年者の数は約52,000人に上る。そのうち75%が、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスの中米3ヵ国の出身だっ

『最後の資本主義』資本主義を脅かしているのは、信用の弱体化である 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『最後の資本主義』資本主義を脅かしているのは、信用の弱体化である

去る12月2日に日本財団で行われた「Bコーポレーションを知る会」に出席してきた。 Bコーポレーションという言葉 は聞き慣れないかも知れないが、アメリカの非営利団体B Labが運営する、社会的責任や持続可能性などを評価する認証制度で、「TransFair」がフェアトレード・コーヒーを認証するのと同じように、アカウンタビリティや透明性などB Labの掲げる基準を

『無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教』ニッポンの葬送の変化とは? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『無葬社会 彷徨う遺体 変わる仏教』ニッポンの葬送の変化とは?

2015年、地方寺院の困窮を詳細に調査した『寺院消滅』(日経BP)が大いに話題となった。その著者の次のテーマは「多死(大量死)時代の到来と葬送の変化」。社会の高齢化に伴い、今後25年ほど死亡者の数は増え続けると予想されている。 現在でも都会の火葬場は満杯の状態が続いている。待機期間は1週間から10日にもなり、遺体を保存するホテルのような施設もでき始めている。

『未来を築くデザインの思想』デザインは人を越えるか 書影

アート・スポーツ / 社会

『未来を築くデザインの思想』デザインは人を越えるか

コンピューターが人々の生活に浸透されたのをきっかけに、世界中のデザイナー達はその化学反応から起こりうる未来を予測してきた。本書はそこから生み出されたデザインの数々を紹介し纏められたものである。 それは「人間と非人間」をつなぐ新しい領域のデザインかもしれない。 本書に登場するのは、グラフィックデザイナー、MoMAキュレーター、書体デザイナー、インタラクションデ

『超監視社会 私たちのデータはどこまで見られているのか?』 書影

社会 / HONZブックマーク

『超監視社会 私たちのデータはどこまで見られているのか?』

私たちがSFの世界に生きていると言われてもピンと来ない人は、手元の携帯電話を見てほしい。オシャレで、カッコよくて、想像を絶するくらい高性能な携帯電話――それは生活に欠かせない道具、そこにあるのが当然の存在になっている。地球上のどこにいても、それをポケットから取り出せば、地球上のどこにいる人とも話せる。 これは、ごく自然な日常の光景に思えるかもしれない。 しか

『晴れたら空に骨まいて』人を弔うのは、こんなにも愛しく楽しいことなんだ! 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『晴れたら空に骨まいて』人を弔うのは、こんなにも愛しく楽しいことなんだ!

ある日、実家の母の家で夕食を食べていると、母の友人が、熱い串カツをハフハフしながら、こう言った。 「もうすぐネパールへ行くんだ。旦那の骨を撒きに! 度肝を抜かれた著者が事情を聞くと、8年前に亡くなった旦那さんの遺骨をクッキーの缶に保存し、少しずつ出張や旅行に持っていき、何年もかけて世界の川や海、例えばセーヌ川や万里の長城などに撒いているのだという。 だって、

『宇沢弘文 傑作論文全ファイル』経済学は人を幸せにしているのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『宇沢弘文 傑作論文全ファイル』経済学は人を幸せにしているのか?

本書は、故宇沢弘文先生の研究生活の後半40年にわたる代表的な論文をひとつの形にまとめたものである。宇沢先生のノートパソコンに入っていた2千以上もの論稿を、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授、京都大学の松下和夫名誉教授、国連大学の竹本和彦所長、帝京大学の小島寛之教授など、多くの関係者の協力を得て編集したという。 「知の巨人」宇沢先生の業績と、今日のグ

『そして、暮らしは共同体になる。』「ゆるゆる」という新スタンダード 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『そして、暮らしは共同体になる。』「ゆるゆる」という新スタンダード

佐々木俊尚さんといえば、これまでの著書において新しい潮流を描き出すとともに、旧態依然としたものを片っ端から斬ってきた遍歴を持つ。ターゲットは時に新聞・テレビであったり、日本のリベラルであったり、民主主義だったりと様々であった。そして本作ではその対象が「ジャーナリスト像」のようなものへ向かったのではないかと感じる。 とは言っても、本書は別にジャーナリズムについ

レイプはなぜ続くのか『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』 書影

社会 / 事件・事故

レイプはなぜ続くのか『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』

19.3%、実に5人に1人。 これだけの割合のアメリカ人女性が、年齢を問わず、これまでにレイプ被害を受けたことがあると、米国連邦機関・疾病予防管理センターによる2014年9月の報告書で明らかになった。これほどにも「ありふれた犯罪」である一方、被害者の64%〜96%は警察に被害を届け出ず、アメリカ国内でもっとも報告率の低い重大犯罪でもある。また、訴追されるのは

『バブル 日本迷走の原点』バブルを知らない我らが世代に送る 書影

社会 / HONZ客員レビュー

『バブル 日本迷走の原点』バブルを知らない我らが世代に送る

「岩瀬君のようにバブルを知らない世代に読んで欲しい本を書いている」 バブル時代に日経証券部のキャップとして大活躍したジャーナリスト、永野健二氏からそのように言われていた本が、ようやく上梓された。 あの時代をMOF担として渦中で過ごし、最近では読売新聞の書評委員として筆をふるう当社の出口会長をして、「あのバブルの時代は何だったのか、誰かにきちんと総括してほしい

『バブル 日本迷走の原点』社会全体としての歴史の記憶と知恵の蓄積が必要だ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『バブル 日本迷走の原点』社会全体としての歴史の記憶と知恵の蓄積が必要だ

「バブルとは何か?」ーーこれに答えようとするだけで本が何冊も書けてしまう壮大な問いである。 本書の中でも、「バブルとは…」という記述が何箇所か出てくる。 まず、 ”バブル経済とは好景気のことではない。特定の資産価格(株式や不動産)が実態から掛け離れて上昇することで、持続的な市場経済の運営が不可能になってしまう現象のことである。” と経済学的に説明したもの。

『住友銀行秘史』が大ヒット、経済ノンフィクションが今アツい! 書影

社会 / 併せて読まれたこの一冊

『住友銀行秘史』が大ヒット、経済ノンフィクションが今アツい!

『住友銀行秘史』が売れています。ノンフィクションジャンルでは発売たちまち大重版という言葉はなかなか聞かれないものなのですが、これはその希有な作品となりました。 HONZレビューが掲載された 10/12段階ではすでに売上率が50%程度になっていましたから、品切れ店も続出していたと思われます。すごい売れ行きです。 発売後、もっとも早い動きは10/7にありました。

『シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『シリア難民 人類に突きつけられた21世紀最悪の難問』

2015年夏、ヨーロッパに数十万人の難民がやってきました。最初はアフリカ系難民がイタリアに、次は主にシリア難民がギリシャに。いまにも沈みそうなボートで、運よく南ヨーロッパの海岸にたどり着いた人たちは、今度はドイツやスウェーデンを目指して、大移動を始めました。バルカン半島の田舎道に人があふれ、ターミナル駅では通勤客の横で難民が寝起きする姿が日常になりました。ヨ

『バブル 日本迷走の原点』邪悪なる善は甘い蜜に潜む 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『バブル 日本迷走の原点』邪悪なる善は甘い蜜に潜む

本書は「始動」「膨張」「狂乱」「精算」の4章、全21節で構成された好漢譚として楽しむことができる今年一番のおすすめ本だ。各節ごとにそれぞれ10人ほどの好漢たちが登場し、各々の役割を演じては舞台を去ってゆく。その好漢たちとは時の首相であり、日銀総裁であり、証券会社の経営者であり、銀行の頭取たちだ。もちろんバブル紳士も高級官僚も登場する。 広辞苑によれば、好漢と

『「移動」の未来』はわたしたちの未来そのものだ 書影

社会 / ビジネス

『「移動」の未来』はわたしたちの未来そのものだ

小雨降る冬の日、空腹を満たすために凍える外気にその身をさらす必要はない。ネットでピザをオーダーすれば、数十分で熱々のチーズがあなたの口元にやってくる。ピザが届くまでの数十分も、お気に入りのコーヒー豆で淹れた一杯があれば苦痛ではない。世界中のあらゆる動画や脳を刺激するゲームを与えてくれるスマートフォンが手元にあるのだから、暇を持て余すことなどない。ネットで買え

適切な移民政策とは何か──『移民の経済学』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

適切な移民政策とは何か──『移民の経済学』

トランプ次期大統領が不法移民のうち犯罪歴のあるものを強制送還する、メキシコとの間には壁をつくると発言していることもあって、今移民をめぐる問題が熱い。しかし、実際のところ「移民はどのような影響を国(の政治や治安、労働環境)に与えている」のだろうか。アメリカの不法移民は1100万人にものぼるとされているが、仮に彼らを全員強制送還したとしてアメリカ経済にはどのよう

『バブル 日本迷走の原点』 書影

社会 / HONZブックマーク

『バブル 日本迷走の原点』

「失われた20年」が続き、今なお抜けられぬデフレ状況。本書『バブル 日本迷走の原点』は、その起点となったバブル時代の正体を様々な角度から捉えた一冊である。特筆すべきは経済モノとしての確かさだけではなく、物語としての面白さも群を抜いている点だ。時代の狭間に蠢く、男たちの野心と欲望。30年の時を超えた今だからこそ書ける事実を積み重ね、バブルの再到来へ警鐘を鳴らす

『キラーストレス 心と体をどう守るか』そのストレスがあなたを殺す! 書影

サイエンス / 医学・心理学

『キラーストレス 心と体をどう守るか』そのストレスがあなたを殺す!

キラーストレスという言葉は造語であり、学術的に特別なストレスが存在するわけではない。しかし、近年の目覚しい科学の発展によって、いくつものストレス要因が重なると、ただのストレスでも命に関わるような病気の原因になる事が明らかになってきた。本書は最新のストレス研究を扱ったNHKのテレビ番組『 NHKスペシャルシリーズ「キラーストレス」 』の書籍化である。 テレビシ

『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』あの事件の真相が語られる?! 書影

人物 / 社会

『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』あの事件の真相が語られる?!

島尾敏雄『死の棘』を読んだのは、大学生のときだ。当時、虚実入り混じったスキャンダラスな私小説として評判になっており、興味本位で手に取ったのだと思う。濃密な描写に引きずられるように読みふけり、この作品から「男女の愛」について一つの定見を得たように思ったのだ。 ただ、そのときは“私”とはいえ、小説だと思っていた。事実は事実のままに、かなりの創作が入った美化された

男が父親になる日 『フランスはどう少子化を克服したか』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

男が父親になる日 『フランスはどう少子化を克服したか』

以前は日本と同じように少子化に悩んでいた、フランスの合計特殊出生率は2014年のOECDデータで1.98となっており日本の1.42と大きな開きがでている。本書は、現地で子育て中の日本人ライターが、少子化を克服したフランスの「5つの新発想」についてレポートしたものだ。この数値だけを指して問題視するつもりはないが、私も現在の子育て環境には窮屈さを感じており、見習

『日本の聖域 ザ・タブー 』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『日本の聖域 ザ・タブー 』

わが家でも、「選択」を定期購読しているが、シリーズ「日本のサンクチュアリ」を毎回読んでいるわけではない。そこでこの機会に、改めて聖域に足を踏み込んでみると、自らの経験と照らして、思い当たる節のある聖域がいくつか目についた。いずれもしばらく前に書かれた記事だが、最近になって、それらの聖域には新しい動きが出ている。それは、何年かたったくらいでは、賞味期限の切れな

『未来政府』と『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』で知る民主主義の理想と現実 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『未来政府』と『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』で知る民主主義の理想と現実

なぜ人と政府との関わりは希薄になったのか 元サンフランシスコ市長であり現カリフォルニア州副知事である著者 ギャビン・ニューサム は、ずっと疑問に感じていた。SNSで頻繁にメッセージを発信し、ポケモンGoで何百キロも歩いてモンスターを追いかけるアクティブな人々が、なぜこれほどまでに政治に関心を示さないのか。2011年にロサンゼルスで行われた重要な教育・環境に関

『子供の貧困が日本を滅ぼす』 書影

社会 / HONZ客員レビュー

『子供の貧困が日本を滅ぼす』

子どもの貧困がよく話題に上るが、その実態を知っている人は意外に少ない。本書は、日本財団子どもの貧困対策チームがまとめたものであるが、この問題の「鳥瞰図」がとてもよく分かる好著だ。ぜひ、一人でも多くの皆さんに読んでほしい。 まず、6人に1人と言われている子どもの貧困の実態と、貧困が世代を超えて連鎖することが数字・ファクトで明瞭に示される。次いで子どもの貧困を放

『都市と地方をかきまぜる 』 都市住民を閉じ込める、二つの「見えない檻」 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『都市と地方をかきまぜる 』 都市住民を閉じ込める、二つの「見えない檻」

「 食べる通信 」という情報誌をご存知だろうか? これは、農業や漁業など食の作り手の情報が書かれた冊子と、彼らが収穫した野菜や魚が定期的にセットで届く、生産者と消費者をつなぐ新しいタイプの「食べ物付き情報誌」である。それに加えて、ここには生産者と消費者が直接つながる様々な仕掛けも設けられている。 この情報誌を始めたのが、本書の著者で、岩手県花巻市のNPO法人

あなたも知りたくないですか? 『医者とはどういう職業か』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

あなたも知りたくないですか? 『医者とはどういう職業か』

医業を営んでいるわけではないけれど、医学部で教える身として、医者関係の本はけっこう手に取ることが多い。しかし、残念ながら、どう考えても内実を知らない人が書いていたり、特殊すぎる例があげられていたり、いまひとつ実感とそぐわない本も多い。そんな中、この本は納得の一冊である。 ただし、これには、少し注意すべき点があるかもしれない。筆者の里見清一先生が4~5歳年下で

『トランプ』氏の圧勝か!? ただし評伝の面白さで比べるなら… 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『トランプ』氏の圧勝か!? ただし評伝の面白さで比べるなら…

本書が発売されるにあたり、本人はこう言ったそうだ。 買うな! 退屈な本だ! しかしこの発言こそが、より一層の好奇心をかき立て、最強の宣伝文句になってしまう。今、世界で最も耳目を集め、あらゆる面で逆説的な男、それがドナルド・トランプだ。 先日行われた、大統領選の2回目のテレビ討論をご覧になられた方も多いことだろう。人の質問にきちんと答えない、 変なところに立つ

『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』

今年(2016年)のアカデミー賞授賞式で、レディー・ガガが「Til It Happens To You」という曲を歌った。「自分の身に起こるまで、この気持ちはわからない」。そう繰り返されるこの歌は、米国の大学で多発するレイプの問題を取り上げたドキュメンタリー映画『ハンティング・グラウンド』の主題歌として、自身もレイプ被害者であるレディー・ガガが書き下ろしたも

『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』特ダネを連発できるワケ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』特ダネを連発できるワケ

週刊文春が年明け以降、特ダネを連発している。芸能人や政治家の不倫、現役大臣の金銭授受問題、イケメンハーフ顔のニュースコメンテーターの経歴詐称まで。文春の報道を新聞やテレビが後追いするのはもはや見慣れた光景だ。 なぜ文春がスクープで快走できるのか。週刊文春の元記者による20年の取材生活をまとめた本書を読むと、鮮やかなスクープは地べたを這いずり回る地道な努力の積

『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』比べず、執着せず、自分らしく 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』比べず、執着せず、自分らしく

パスコの食パン「超熟」のTVコマーシャルを覚えているだろうか。女優の小林聡美が湖畔で小さなサンドイッチ屋さんを開いていて、そばで遊んでいる子供たちにサンドイッチを作ってあげるという、どこか現実離れしていながら、それでいて懐かしさを感じさせるようなコマーシャルである。 これは、2006年に公開された、群ようこ原作、小林聡美主演の映画『 かもめ食堂 』の設定を再

『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』したたかさとなまぬるさの間の生き方 書影

社会 / 民俗・風俗

『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』したたかさとなまぬるさの間の生き方

「いま、ここ」に真剣に生きる。 そのような当たり前の事実をアドラー心理学やマインドフルネスで説かれる。わかっちゃいるけど、実践できないのは、ついつい過去を悔やんだり、不確実な未来に思い悩むからである。一方で、リスクを出来るだけ最小化するために予測可能性を高め、テクノロジーが予見する世界像を理解・共有しながら、未来の解像度を高めようとする。そうして、現在と未来

『武器としての人口減社会』本当に女性が活躍できる社会になれるのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『武器としての人口減社会』本当に女性が活躍できる社会になれるのか?

著者の村上由美子氏は、上智、スタンフォード、ハーバードで学び、国連、ゴールドマンサックスなどに勤務した後、2013年からOECD(経済協力開発機構)東京センター長を務めている。しかも、内外を飛び回りながら、国際結婚して三人のお子さんを子育て中というスーパーウーマンである。 本書の紹介に当たって最初に村上氏の経歴を取り上げたのは、後述するように、こうした村上氏

『ハンセン病療養所に生きた女たち』沈黙を破った証言者の慟哭を聞け! 書影

医学・心理学 / 社会

『ハンセン病療養所に生きた女たち』沈黙を破った証言者の慟哭を聞け!

日本人の記憶から、らい病(ハンセン病)の記憶は薄らぎつつある。50歳を超えた私でも実際の患者さんを直接見ることはなく、小泉内閣のときに 国家賠償が行われるというニュースで初めてその歴史をかいま見たぐらいだ。それは遠い物語のようだった。 1873(明治6)年、ノルウェーのハンセンがらい菌を発見し、1907(明治40)年、日本に「癩予防に関する件」が制定された。

『喰い尽くされるアフリカ』天然資源に群がる謎の企業たち 書影

社会 / 世界史

『喰い尽くされるアフリカ』天然資源に群がる謎の企業たち

2000年10月、中国政府は中国-アフリカ協力フォーラム第一回会議を北京で開催し、江沢民国家主席(当時)が中国のアフリカへの「対外進出」政策の推進を高々と宣言した。天然資源を軸とした中国とアフリカ諸国の蜜月関係のはじまりである。 以降、2000年代初頭から今日に至るまで、欧米企業が主導していたアフリカでの資源開発に中国企業が次々と参入することとなる。 後世の

読書会の楽しみが十全に詰まった一冊──『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

読書会の楽しみが十全に詰まった一冊──『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』

あなたは読書会に参加したことがあるだろうか? 読書会とは言ってみれば、本を読んで、集まって、語り合うというただそれだけの会のことだが、これがなかなか奥が深い。本はどうしたって読むのはひとりだが、3人いれば3通りの読み方があり、たとえ「この作品がおもしろい/つまらないのはなぜなのか?」ということであっても突き詰めて話し合うことで読みの違いが明確になる。友人同士

『ルポ ニッポン絶望工場』 メディアが報じない便利さの裏側 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ルポ ニッポン絶望工場』 メディアが報じない便利さの裏側

世の中には「知っておくべきだが、知らされていない事実」がたくさんある。本書が伝えるのは、日本で過酷な労働を強いられている「留学生」や「実習生」の実態である。出稼ぎベトナム人と、彼らを食い物にする日本語学校、低コストで彼らを雇う企業という三すくみの構図がメインだ。また、中国人や日系ブラジル人減少している理由や、外国人介護士が定着しない理由についても書かれている

『堤清二 罪と業 最後の「告白」』堤家の愛憎の深さに背筋が震える大宅賞受賞作 書影

人物 / 社会

『堤清二 罪と業 最後の「告白」』堤家の愛憎の深さに背筋が震える大宅賞受賞作

私は堤清二が作り上げたセゾン文化の恩恵にあずかった世代だ。音楽、ファッション、美術と、清二のおかげで知ったことは数知れない。だが同時にビジネス上での異母弟、義明との相克も報道で知ってはいた。 著者の児玉博は2000年の“セゾングル―プ”解体の折の記者会見で、淡々と答える清二に対峙していた。財界を退いて9年、清二は小説家、辻井喬として生きてきた。だがその5年後

『クラフツマン 作ることは考えることである』仕事への誇りを取り戻すための葛藤 書影

教養・雑学 / 社会

『クラフツマン 作ることは考えることである』仕事への誇りを取り戻すための葛藤

よい仕事とは何か、長らく考えられてきた問いである。本書ではクラフツマンとその精神性の歴史的背景を理解し、今の時代と文脈でどう再解釈できるかの議論を通じて、問いと対峙していく。シンプルな問いほど答えを出すのは難しい。本書も答えよりも、問いのまわりをクラフツマンの仕事と共に逡巡し続け、新たな問いを読者に投げかける。 近代の仕事は『絶望的に真面目』なのである。それ

『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』愛していたけど、殺してしまいました 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『「鬼畜」の家 わが子を殺す親たち』愛していたけど、殺してしまいました

タイトルだけを見れば、自分には理解できない種類の人たちが、目を覆いたくなるような行為ばかり繰り広げる内容と思われるかもしれない。だがその予想は、大きく裏切られることになるだろう。最初はよくある感情の行き違い程度なのだが、それが引き寄せられるようにいくつも重なり合い、気付けば取り返しのつかないことになっているーーそんな印象だ。 本書『「鬼畜」の家 わが子を殺す