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世界史

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361記事

『国家はなぜ衰退するのか(上、下)』その僅かな差が何を変えたのか!? 書影

社会 / 世界史

『国家はなぜ衰退するのか(上、下)』その僅かな差が何を変えたのか!?

かつて梅棹忠夫は『文明の生態史観』の中で、世界を第一地域と第二地域に大別した。ユーラシアの中央部を占める専制的権力の発達した帝国が乱立した地域を第二地域、封建制を主体とした西ヨーロッパと日本を第一地域とし、その制度と文化の違いが近代の形成に大きな影響を与えたとする。繁栄と衰退とを巡る問題は梅棹忠夫に限らず多くの人々が答えを得ようと議論を重ねてきた。 貧富の格

『徳の政治 (小説フランス革命 11)』 by 出口 治明 書影

世界史 / HONZ客員レビュー

『徳の政治 (小説フランス革命 11)』 by 出口 治明

私たちは、日常、何気なく、右派や左派といった言葉を使っているが、これらの言葉が、実は、フランス革命に淵源をもっていることを知る人は少ない。フランス革命当初の憲法制定国民議会で、旧体制(アンシャン・レジーム、ブルボン王朝)の維持を支持する勢力が、議長席から見て右側の席を占めたという事実に由来するのである。フランス革命は、「自由、平等、友愛」のスローガンで知られ

『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」』 - 海を渡った十字軍 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」』 - 海を渡った十字軍

同じような時期に、同じようなレベルの偉業を達成したケースであっても、時の流れはいずれかの人物に軍配を上げる。「微積分」の神は、ライプニッツではなくニュートンを祝福し、「電話」の女神はイライシャ・グレイではなくグラハム・ベルに微笑みかけた。 近代の幕開けとなった大航海時代にも、幾人かの英雄たちが存在する。その中で誰しも真っ先に頭に思い浮かべるのは、コロンブスの

『マチュピチュ探検記 ― 天空都市の謎を解く 』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『マチュピチュ探検記 ― 天空都市の謎を解く 』

私が本書を読む前、マチュピチュは「アンデス山脈の頂きに建つ、精巧な石積みによるインカの遺跡」程度の知識しか持ち合わせていなかった。たしかインカ皇帝の財宝が隠されているとか……。現在この問いに対して、確かな答えは見つかっていない。あらゆる学者が独自の答えを持ち、証明しようと躍起になっている途中だ。あらゆる仮説が飛び交うなか、本書の著者が見つけた答えは美しい。

『日本兵を殺した父』血と泥と戦後 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『日本兵を殺した父』血と泥と戦後

スティーブ・マハリッジは良き父親であろうと努力を重ねていた。しかし彼の心の中には常に二人の男が存在した。良き父になろうとする平凡ではあるが愛情深い男と、心の奥に潜む野獣のように凶暴な男。父が見せる怒りの発作に著者の家族はたびたび苦しめられた。家庭の中には常に張りつめた空気が存在した。戦争に行く前の彼はこうではなかったとスティーブの姉は語る。戦争が彼を変えてし

『金融の世界史』 歴史はお金とともに 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『金融の世界史』 歴史はお金とともに

ファイナンスに関してはビジネススクールでいろいろ聞いたはずなのだけれど、私にとって「お金」は今でもお茶やお菓子を買うためのもので、世の中に存在している不思議な存在のままだ。まあ、生きていければ良い。しかし、本書を読んで改めてわかったのは、お金の話が予想以上におもしろい、ということだった。歴史オンチの私は、円とウォンと元と米ドルが、国際通貨だったメキシコ・ドル

『聖書考古学 - 遺跡が語る史実』by 出口 治明 書影

世界史 / HONZ客員レビュー

『聖書考古学 - 遺跡が語る史実』by 出口 治明

世界で最も読まれている書物は何か。それは、聖書において、他にはない。中でも、アブラハムの物語、モーゼの出エジプトや十戒、ダヴィデ王やソロモン王の栄華等は、果たしてどこまでが伝説で、どこまでが史実なのか、判然としない向きも多いだろう。 本書は、現地調査に従事する新進気鋭の著者が、こうした疑問に真正面から取り組んだ力作である。「1章:聖書はなぜ書かれたか」では、

『大いなる探求』近代経済学史の決定版登場 書影

教養・雑学 / 世界史

『大いなる探求』近代経済学史の決定版登場

今年は◯◯学史をテーマとした読み物の当たり年になるかもしれない。三月に量子力学史の『量子革命』が出版されたのに続き、近代経済学史の本書『大いなる探求』が発売になった。この二冊は長く手元に置いておく本になるだろう。自分にとって青年期だった20世紀を理解し、円熟するはずの21世紀を生きるために欠かすことのできない物理学と経済学について、丁寧に解説してくれながらも

『妻と飛んだ特攻兵』 - 大空に舞った白いワンピース 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『妻と飛んだ特攻兵』 - 大空に舞った白いワンピース

ごく稀に、年に数回ほどだが、まるで導かれたかのように一冊の本と遭遇することがある。本書の強烈な磁力は、完成されたグラフィック広告のような表紙から発せられていた。 タイトルと写真を見た時の「この女性が!」という驚き。続いて副題の「8・19満州、最後の特攻」を眺める。「満州に特攻隊?」「8月19日って、終戦後のことなのか?」など、次々に湧き上がってくる疑問...

モナリザの微笑のヒミツ 書影

サイエンス / 世界史

モナリザの微笑のヒミツ

「ニューヨーカー」誌の3月18日号に、厨房の文化史といえそうな記事がありました。古代ギリシャの饗宴やローマの宴会から、現代アメリカの主婦たちの料理観を変えたという、いわゆる「フープロでガー」革命(フードプロセッサでblitz everything!)に至るまで、厨房の技術と文化は、なんと長い道のりを歩んできたのだろう……と、感慨にふけりながら引き込まれるよう

『太平洋の試練(上・下)』2013年No.1(3冊目) 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『太平洋の試練(上・下)』2013年No.1(3冊目)

太平洋戦争における日本軍の失敗を研究した『失敗の本質』は文庫版だけでも発行部数56万部を超える経営学(組織論)の名著だ。カバーされている戦闘はノモンハン事件、ミッドウェイ海戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ沖海戦、沖縄戦の6つ。太平洋戦争以前に発生し停戦協定をもって終結したノモンハン事件を除けば、すべてミッドウェイ以降の負け戦(いくさ)である。逆に

『西方電撃戦』と『Modernist Cuisine』重い本 書影

教養・雑学 / 世界史

『西方電撃戦』と『Modernist Cuisine』重い本

これまで買った本のなかでもっとも重かったのは、一昨年に出版された『Modernist Cuisine : The Art and Science of Cooking』だった。我が家で実測してみると重量はなんと19.3キログラムもあった。著者本人に聞いてみたところ、フルカラーのこの本に使われているインクの乾燥重量は4ポンドを超えているという。約2キログラムだ

『新・ローマ帝国衰亡史』新しい仮説の立て方 書影

教養・雑学 / 世界史

『新・ローマ帝国衰亡史』新しい仮説の立て方

仮説力を磨きたい人にはおススメの本。 いわゆる一流の人間とは、真理に近い仮説を立て、それをいち早く検証・実践した人間と言われている。確かにこのことは学問・政治・ビジネスなどあらゆる分野において普遍的であり、仮説力ある人が世の中をリードしていると言っても過言ではない、と言うと少し言い過ぎか。いずれにせよ、一朝一夕に仮説力を磨くのは難しく、よほどの才能がない限り

『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』 - 美術館は常設展示が狙い目! 書影

アート・スポーツ / 世界史

『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』 - 美術館は常設展示が狙い目!

自分にとって未知となる領域へ踏み出すためには、背中を押してくれる良いメッセージに巡りあえることが重要である。美術のことなど全く門外漢な僕にとっても、本書の冒頭に書かれた「美術館は常設展を見よ!」という主張にはピンとくるものがあった。 多くの人にとって興味を惹かれるであろう期間限定の企画展に比べると、一見マイナーな存在にも思える常設展。この一風変わったスコープ

『チャーチル』有事といえる日本に送るリーダー論 書影

人物 / 世界史

『チャーチル』有事といえる日本に送るリーダー論

ずんぐりとした体型に山高帽を目深にかぶり、葉巻をくわえながら鋭い眼光を投げかけている彼の写真を眺めていると、まるでピットブルのような闘争心旺盛な性格を連想させる。あるいは、往年のギャングを連想する人もいるかもしれない。そうかと思えば、Vサインを高らかに掲げ、満面の笑顔を見せている写真を見ると、キラキラと輝く瞳に自然と目が行く。それは大物政治家というより、どこ

『そのとき、本が生まれた』本の都、ヴェネツィア 書影

教養・雑学 / 人物

『そのとき、本が生まれた』本の都、ヴェネツィア

アルド・マヌーツィオ。出版界が生んだ天才で、革命家、そして本の歴史を変えた男である。彼の存在なくして、出版界は今日ほど大きな発展を遂げることはなかっただろう。 いつも鞄に本を一冊忍ばせている人は多いはず。私もそんな一人で、電車やトイレの中など少しでも時間が出来れば、鞄から文庫本を取り出す。私にとってはとても日常的な動作であるが、こんなことができるのも500年

より良き世界のために 『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

より良き世界のために 『オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 1 二つの世界大戦と原爆投下』

『プラトーン』、『7月4日に生まれて』、『JFK』をはじめ数々の名作を世に送り出し、2度のアカデミー賞に輝いた巨匠オリバー・ストーンが、ドキュメンタリー制作を通じてアメリカの現代史を問い直した成果がここに結実した。本シリーズは、最新資料による裏づけをもってアメリカの黒歴史を暴いた歴史大作である。 人類の歴史を振り返ってみても、現在のアメリカの軍事力は圧倒的で

『戦闘技術の歴史 ナポレオンの時代編』 新刊超速レビュー 書影

世界史 / 新刊超速レビュー

『戦闘技術の歴史 ナポレオンの時代編』 新刊超速レビュー

創元社『戦闘技術の歴史』シリーズの第4巻である。第1巻は2008年8月に発行された『古代編』。2009年10月第2巻『中世編』、2010年10月『近世編』ときて、2013年4月に『ナポレオンの時代編』が出版された。このシリーズが完結する第5巻は『東洋編』で、この調子では来年か再来年であろう。 原書はThomas Dunne Booksから出版されている『Fi

『中国という大難』− 文庫版解説 書影

世界史 / 「解説」から読む本

『中国という大難』− 文庫版解説

富坂聰氏の『中国という大難』文庫版(2013年4月27日発売)の解説を書いたので、編集部の承諾を得て全文を掲載する。単行本の発売は2007年4月27日だが、本書で語られている中国問題はまったく古くなっていない。それどころかさらに深刻になっているように見える。ある意味で中国は先進諸国から半世紀遅れたテーマパークであり、最新ピカピカのお化け屋敷だ。こわごわと内実

『ヴェルサイユの女たち』美女たちの饗宴 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『ヴェルサイユの女たち』美女たちの饗宴

ヴェルサイユに初めて館を建てたのはルイ13世だ。それはつましい小さな狩りのための館だった。ルイ13世は劣等感の強い人物だったようだ。王としての器ではないと母から嫌われていた。ヴェルサイユの館は母からの逃避の場所として造られた。王はそことで男性側近とだけの時間を過ごした。女好きである父アンリ4世には似ることなく女性に対し消極的で、妻ともあまりまともに性交渉を行

スペインであってスペインでない、かもしれない 『カタルーニャを知る事典』 書影

教養・雑学 / 民俗・風俗

スペインであってスペインでない、かもしれない 『カタルーニャを知る事典』

ガウディー、サグラダ・ファミリア教会、サッカーのバルサ……。「それってみんなスペインのものじゃないの」と思った人や、ヨーロッパ観光旅行でバルセロナを訪れただけなのに「スペインを旅行した」と思い込んでいる人は要注意。それは100パーセント正確な認識とは言えないようなのだ。 スペインであって、スペインでない(かもしれない)独自の文化が花開く「奇跡の土地」カタルー

『歴史を変えた外交交渉』と『戦争学原論』 争わないための知恵 書影

社会 / 世界史

『歴史を変えた外交交渉』と『戦争学原論』 争わないための知恵

1904年2月8日、旅順港外での日本海軍によるロシア艦隊への奇襲攻撃によって、日露戦争が開戦した。多くの犠牲者を出しながらも終わる気配を見せない戦闘は、次第に激しさを増していく。ロシア相手に勝利を続ける日本であったが、大国相手に長期戦を戦い抜くほどの力は備わっていなかった。また、国力で優りながらも連敗を続けるロシアも、戦闘が長引けば、既に失ってしまった面目以

『海はどうしてできたのか』海が消滅して人類滅亡!? 書影

サイエンス / 生物・自然

『海はどうしてできたのか』海が消滅して人類滅亡!?

本書によると、将来地球上から海が消え、人類が絶滅してしまう可能性があるそうだ。 地球の内部では、ウラン・トリウム・カリウムなどの放射性元素が崩壊を繰り返し、熱を放出し続けている。それによって地球は内部から温められ、地球が凍りつかない仕組みになっているのだ。しかし、地球誕生からおよそ約46億年経った今、地球内部にあるウランの量は半減しており地球を暖める熱源は徐

『古代ローマ帝国 1万5000キロの旅』2000年前の世界旅行 書影

教養・雑学 / 世界史

『古代ローマ帝国 1万5000キロの旅』2000年前の世界旅行

旅行好きにはたまらない本だ。本書を通して南北はスコットランドからエジプトまで、東西はポルトガルからアルメニアまでの広大な土地を旅した気分になれる。それも時代は今から遡ること2000年、古代ローマ帝国時代である。 ああ、こういう本に巡りあえるから読書はやめられない。読了後は数ヶ月に亘る世界旅行をして帰ってきたような気分なのに掛かった費用は書籍代たった3,200

『勇気ある決断』大胆な投資を決断するリーダーたち 書影

人物 / 世界史

『勇気ある決断』大胆な投資を決断するリーダーたち

フェリックス・ロハティン。投資銀行家で、1970年代後半のニューヨーク市財政破綻の危機を救ったことで有名な人物である。幼少時にナチスから逃れてアメリカに移民、その後、ウォールストリートの投資銀行家としての名声を勝ち取り、ニューヨーク市の財政援助公社総裁としてニューヨークを財政危機から救い出した。後々、幼少時に住んでいたフランスで米国大使を務め、故郷に錦を飾る

至福の読書体験 『幻の楽器ヴィオラ・アルタ物語』 書影

アート・スポーツ / 世界史

至福の読書体験 『幻の楽器ヴィオラ・アルタ物語』

突然、「この本めちゃくちゃ面白かったです。ジャケ買いして一気読みしました」というメールがHONZ宛てに届いた。送付元は、以前にもメールのやりとりをしたことのある、大変な読書家でHONZを応援して下さっている心臓血管外科医の望月先生である。確かにソソるカバー。面白い本ならではの「匂い」が、表紙からすでに漂っている。しかも望月先生のご推薦とあらば、読まねばなるま

『モサド・ファイル』ー中東は対岸の火事なのか 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『モサド・ファイル』ー中東は対岸の火事なのか

モサドとはイスラエルの対外諜報活動と特務工作と担当する組織だ。佐藤優氏は「客観的に見て、世界で最も強力な対外インテリジェンス機関はCIAだ。しかし、個々のインテリジェンス・オフィサーの能力においては、イギリスのMI6、イスラエルのモサドのほうがはるかに高い」と評価している。つまり、モサドは現代スパイの総本山のようなものなのだ。 スパイ組織なのだから当然その実

『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』 なぜ、ルネサンスが起きたのか? 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』 なぜ、ルネサンスが起きたのか?

本書の主役である「すべてを変えた一冊」とは、地球が世界の中心ではないことを明らかにしたガリレオの『 天文対話 』でも、生命に進化という概念をもたらしたダーウィンの『 種の起源 』でもない。暗黒の中世に別れを告げ、大航海時代を迎えようとしていた1417年のヨーロッパで、その一冊は1人のブックハンターの手によって発見された。 その一冊とは、紀元前1世紀頃に著され

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世界史 / 新刊超速レビュー

『愛と欲望のナチズム』新刊超速レビュー

愛と欲望のナチズム (講談社選書メチエ) 女子プロゴルファーとの間に最近、第一子をもうけたかつてのトレンディー俳優が言ったかどうかは知らないが、今から約70年前のドイツでナチスの幹部たちはこう叫んでいたはずだ。 ナチズムと聞くと、抑圧的な政策を推進したことで広く知られる。伝統的な道徳観への回帰を説き、性に対する態度もそれは同じであったとの見方が支配的だった。

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人物 / 世界史

『スターリンのジェノサイド』のことを、知っておきたい。

スターリンのジェノサイド こういう著作を、良書というのかなと思う。 名著や傑作ではないかもしれない。HONZで紹介される多くのノンフィクションのように、キャッチーでもない。みすず書房らしい至ってシンプルな装丁は、版を重ねることを戦略的に狙っているとも思えない。原文で176ページとテキストも短く、ハードカバーにしては物足りないと感じる向きもあるかもしれない。

「ユダヤ」を知るならこの一冊 『ユダヤ人の歴史』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

「ユダヤ」を知るならこの一冊 『ユダヤ人の歴史』

ユダヤ人のことを知りたいけれど、いろいろとありすぎてわからない。 どの本を読んだら、よいのやら。 そんなあなたが読むべきはこの一冊だ。そもそも、翻訳者の入江規夫さんがこの本に興味を持ったのも、同様の素朴な疑問からだった。 海外の出版社と仕事をしていた入江さんは、フランクフルト国際ブックフェアに参加する。毎年秋に開かれる、世界最大の本の見本市である。フェア開催

『シャンパーニュの帝国』革命と戦争を乗り越えて 書影

教養・雑学 / 世界史

『シャンパーニュの帝国』革命と戦争を乗り越えて

世界中で愛飲されているシャンパン。パーティーや祝いの席には欠かせないワイン。この美しく輝く琥珀色で泡立つワインの歴史は、それほど古いものではない。そもそもワインに泡が立つということはワインの腐敗を意味し、歓迎されることのない現象なのだ。スパークリングワインの発祥や商品化については、どこで始まり誰が行ったのか諸説あり、いまひとつはっきりとしていないようだ。 シ

『なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか』 地獄を見た司令官 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか』 地獄を見た司令官

地獄というものがこの世に存在するのなら、著者が1994年にルワンダで見た光景こそ、そう呼ぶに相応しい。徹底的に破壊された都市、拷問の限りの果てに殺された人の山、その死体を食べて犬の大きさにまで成長したネズミ。そこには、正気を保っているほうが異常であると思われるような、圧倒的な現実が広がっていた。 本書の著者であるカナダ出身の軍人ロメオ・ダレールは、1993年

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世界史 / おすすめ本レビュー

『ネアンデルタール人 奇跡の再発見』 発見の歴史はさらに続く!

ネアンデルタール人 奇跡の再発見 (朝日選書) 19世紀半ば、イギリスから始まった産業革命はヨーロッパ全体に広まっていた。ドイツも工業化の波が押し寄せ、資源の獲得と製品までの工程が洗練され改良されていった。 1856年、デュッセルドルフから東へ約13キロにあるネアンデル渓谷(タール)は、石灰岩の採掘が盛んに成されていた。その一角、小フェルトホッファー洞窟で、

『文明と戦争』 宿命としての戦争 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『文明と戦争』 宿命としての戦争

人類200万年の「戦争の謎」のほとんどに答えを出そうとする野心的な本書は、上下巻合わせて996ページ、総重量1.2kg、翻訳者13名、そして7,560円という規格外のボリュームである。全17章から成る本書は3部構成となっており、それぞれが「戦争は人の本能か、それとも文明による発明か?」、「戦争と文明の発展はどのように相互作用したのか?」、そして「近代化は戦争

『台湾海峡一九四九』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『台湾海峡一九四九』

教科書の記述はこうだ。侵略、対立、反攻、維持……しかし、人々を襲った嵐はそんな言葉では表しきれないものであった。本書は、兵役によりまもなく入営しなくてはならない十九歳の息子・フィリップに「家族の歴史を知りたい」と求められた母・龍應台さんが、それに応えるべく、父母の漂泊の人生をたどり、父祖の地を訪ね、あるいはまた今は年老いたかつての少年たちなど数多くの人々に聞

『驚きの英国史』 Keep Calm and Carry On 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『驚きの英国史』 Keep Calm and Carry On

「はじめに」で「ぼくがこの本でやりたかったのは、歴史の魅力を少しでもとらえて伝えることだ」そして「もっと多くの(そしてもっと良質の)歴史の本を読んでみたいという(読者の)好奇心に火をつけることだ」と著者は言う。その目論見通り、本書を読みながらネットや蔵書の間とウロウロしてしまい、読み終わるまでにやたら時間がかかってしまった。好奇心の対象が増えてしまったようだ

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世界史 / おすすめ本レビュー

『からのゆりかご―大英帝国の迷い子たち―』英国最大のスキャンダル“児童移民”

最近ではちょっと下火になったが、一時期「自分探し」という言葉が流行った。「いまここにある私はあるべき姿ではなく、もっと素敵で知的で世の中に認められる自分がいるはずだ」という身勝手な主張を読むたび、いつも「ふふん」と鼻で笑ってきた。 しかし本当に自分が何者かわからない、ということはどんなに心細いものか想像がつかない。それも国家レベルの政策によって身分を剥奪され

作ってみました。『ナチスのキッチン』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

作ってみました。『ナチスのキッチン』

商売柄、台所に立つことは多いが、こんなに深遠な場所であったとは知らなかった。 まず、台所は人間の「外部器官」である、と著者は言う。人間は他の生物を食べて生きているわけだが、そのまま生食できるものを除けば、基本的に切り刻んだり、火を通したりして食べる。すなわち台所は、この工程を担う、人間の体外にある最初の「消化器官」であるととらえるのだ。これは逆に言えば、台所