「HONZ客員レビュー」角幡唯介さんに寄稿していただきました。
森田真生さんのレビュー を機にスタートした「 HONZ客員レビュー 」。森田さんに続いて探検家でノンフィクション作家の 角幡唯介さんに寄稿 していただきました。取り上げているのは早大探検部の先輩でもある高野秀行さんの『謎の独立国家ソマリランド』。後輩ゆえ(かどうかはわかりませんが)の鋭い視点でこの傑作ノンフィクションに迫ります。 HONZ仲野徹のレビュー と
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森田真生さんのレビュー を機にスタートした「 HONZ客員レビュー 」。森田さんに続いて探検家でノンフィクション作家の 角幡唯介さんに寄稿 していただきました。取り上げているのは早大探検部の先輩でもある高野秀行さんの『謎の独立国家ソマリランド』。後輩ゆえ(かどうかはわかりませんが)の鋭い視点でこの傑作ノンフィクションに迫ります。 HONZ仲野徹のレビュー と

社会 / HONZ客員レビュー
高野秀行さんといえば東南アジアの西南シルクロード踏破やケシの栽培地域への潜入といった破天荒な探検でしられる作家だ。私の大学の探検部の先輩でもある。今度の旅の舞台はアフリカの一角に存在する小国ソマリランド。無法と暴力が蔓延るソマリア国内において、どういうわけか民主主義と治安を回復し、独立を謳った「謎の国家」だという。 ソマリランドは国際的には国家として認められ

版元のみなさま、毎度ありがとうございます!今週献本いただいた新刊本をご紹介いたします。 今回からは書影入りでお届けします! (↑さらっと書いておりますが、IT全般苦手な私にとって「書影入れ作業」は困難を極めました。 間に合って良かったです…。)

「正直シグナル」なんて、どこかの歌の題名のようだ。自分がどれくらい正直なのかをアピールする方法かと思ったが、違うらしい。まあ、そういう人は正直ではない。実際の意味は、全く逆だ。どんなに隠そうとしても無意識に表に出てしまう言語以外の表現を、「正直シグナル」というらしいのだ。もともとは、進化生物学の分野で使用されている用語とのことだ。本書の研究は、それを人間にあ

「もう、ひとりで闘いたくありません……」 「…………え?」 北原みのりさんから電話がかかってきたのは、去年の初夏のこと。北原さんは「韓流はエロである」という書名の本を執筆中で、編集担当の私はここ数ヶ月筆が進んでいないことはもちろん知っていた。理由は、本の中身そのまま「韓流は日本の女たちがはじめて手に入れた〈エロ〉。日本の男も嫉妬でデモなんかしてないで身体を磨

最近の小学生向け恐竜図鑑を読むと、カラフルな羽毛に包まれた、ニワトリやダチョウみたいな恐竜がいっぱい載っていることに驚く。 羽毛恐竜。1990年代に羽毛の痕跡の残っている恐竜(獣脚類)が次々と発見されたことで、鳥と恐竜の距離はぐっと近くなった。一方で、かつて「鳥の先祖」だと言われた始祖鳥と現生鳥類の距離は遠くなる(本書の帯には、始祖鳥の骨格標本が「オレ、鳥の

早くも2013年成毛眞のおすすめ本NO.1が登場してしまった。今年はこれ以上面白い本に巡りあうこともないであろうから、2013年の本読みは3月吉日にて終了である。あとは惰性でつまらん仕事をするなり、散歩代わりのゴルフに出かけるなりして、ヒマをつぶすしかないであろう。じつに残念なことである。ともかく本書はめったにお目にかかれない傑作なので買うべきです。以上です

この話が小説ならよかったのに。小説なら、おぞましいながらも美しい悲劇として描けるものを。 7歳の夏、著者のマーゴ・フラゴソは彼女が育ったニュージャージー州ユニオンシティのプールで51歳のピーター・カランに出会う。精神の病を抱える母と、その母と娘を養うために働く父、ルイ。しかし口を開けば罵倒しかできない父親から逃れるため、母娘は逃避先を探していた。偶然出会った

ペドファイル(児童性愛者)という言葉で私の頭の中で真っ先に思い浮ぶのは宮崎勤だ。しかし、Wikipediaによると彼は本質的な児童性愛者ではなく、成人女性と上手く関係を結べない為に、少女たちを代替物としていた。という精神鑑定が出ているそうだ。では、本来的な児童性愛者とはどのような人たちなのだろうか?本書の著者でもあるマーゴに性的な行為を行っていたピーターが本
サイモン・シンの著作をはじめ、様々なサイエンス・ノンフィクションの名著を翻訳されている青木薫さんによる連載が、HONZで始まりました。 題して「青木薫のサイエンス通信」。海外の科学記事から日本ではあまり知られていないような興味深いトピックを取り上げ、語っていただきます。 第1回の話題は、ヒトゲノム・プロジェクトヒトならぬ「ヒト・マイクロバイオム・プロジェクト

『完全なる証明』 『フェルマーの最終定理』 『バースト!』 『宇宙創成』『暗号解読』『ビッグバン宇宙論』『世界でもっとも美しい10の科学実験』『代替医療のトリック』「不思議宇宙のトムキンス』『悪霊にさいなまれる世界』『DNA』……。挙げればきりがないほどの名著の翻訳を手がけている、サイエンス・ノンフィクションにおける日本一の翻訳者、あの青木薫さんの連載が、い

プロ野球が、本当の意味で国民的スポーツだった頃の記録だ。 1994年10月8日。セ・リーグのペナントレース最終戦、巨人vs中日。この日までに129試合を消化した両軍の戦績は、共に69勝60敗。勝敗数が全く一緒の同率首位でピタリと並んでいた。そして、残された最終戦。リーグ優勝の行方を決める運命のカードは、ナゴヤ球場での直接対決となったのだ。最終戦で、同率首位の
版元のみなさま、毎度ありがとうございます!HONZ事務担当になりました遠藤です。 今週から献本いただいた新刊本をご紹介いたします。 HONZのメンバーは日夜書店を巡回しているのですが、献本をいただいて初めて気づく新刊もかなりありますので、ありがたく頂戴しております。 来週からは書影も登場いたしますのでご期待ください! 『世界の神話伝説図鑑』 フィリップ・ウィ

ツール・ド・モンブランという、山好きにはよく知られたトレッキングルートがある。シャモニーからシャモニーまで、約100マイル(168キロ)、累積標高差9400メートルという、いささか厳しいが、すばらしい景色のコースである。通常なら一週間ほどかけて一周するルートであるが、なんと、それを一気に駆け抜ける『 ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB) 』という、

この男ほど、長く闘い続けたボクサーは他にはいない。 この男ほど、多くの国民に愛されたボクサーは他にはいない。 そして、この男ほど、罵声を浴びせられたボクサーは他にはいない。 WBCウェルター級王座を賭けた シュガー・レイ・レナード との闘いを終え、祖国に帰ってきたロベルト・デュランに向けられた感情は、ねぎらいや感謝ではなく、怒りと憎しみだった。人々は彼を「弱

「何か」がおかしいのは分かっている。でも、その「何か」がよく分からないからもどかしい。売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスに貧困ビジネス。自由で平和な現代日本の周縁に位置する「あってはならぬもの」たち。それらは今、かつて周縁が保持していた猥雑さを「漂白」され、その色を失いつつあるのだという。 著者は、 『「フクシマ」論』 でおなじみの社会学者・開

物事は、なぜ立ち直るのか。 ハイチ地震の発生後、数千人規模の「ミッション4636」を数日で立ち上げた若い学生達は何をしたか。ホロコーストで残酷な光景を目にした孤児たちは、なぜ、その後の人生を幸せにコントロールできたのか。アルカイダや米軍が研究する「ネットウォー」とは何か。それは、どのように「結核菌」に似ているのか。都市を活性化させているものは何か。人が人を信

健康のために気をつけたい食生活。毎日手作りでバランスのよい食事が食べられれば理想的だが、忙しさのあまりついついコンビニ食が続いてしまう、もしくは、バラエティに富んだ外食の誘惑には勝てないという方も多いだろう。 しかし、もう罪悪感を感じることはない。コンビニ食や外食だって、ちょっとしたコツやノウハウがあればカラダを健康に保つことはできる。本書は栄養士による「一

まずがお詫びから。朝会が終わったその週末には、このコーナーをUPするようにしていたんですが、今回1週間延びてしまいました。ごめんなさい。今後はできるだけこんなことがないよう、鋭意努力いたします。 恒例の朝会欠席者のオススメ本から。 オーストラリア(メルボルンで学会4日間、タスマニア周遊6日間)帰りで時差ぼけか、 10日のレビュー を6日に上げてしまった 仲野

「センスがいいね」と言われたら、私はとても嬉しい気分になる。「センスがいい」というのは、生き方そのものを肯定されているような気がするし、最高の褒め言葉だと思うのだ。でも「センスがいい」ってどういうこと?と聞かれても、その定義を明確に答えることができない。 なんとなくイメージはできても、センスというものはうまく言語化ができないものだ。私は大のファッション好きな
ラジオ出演のお知らせです。 まず、明日早朝4時30分オンエアの、演歌歌手の川中美幸さんがパーソナリティを務める文化放送『川中美幸 人・うた・心』に副代表・東えりかが登場、川中さんに、いかにノンフィクションが面白く、魅力的かを語ります。 そして、同じく明日3月17日(日)の深夜25時半、FM東京の『東京ガベージコレクション』に成毛眞と東えりかが登場。パーソナリ

この言葉の由来は諸説あるようだが、昔は男性が家庭の台所に立つのはよくないことだと思われていた。しかし月日は流れ、昨今では 弁当男子 がもてはやされる時代。フェイスブックやブログでも男性のお手製ディナーの写真が並んでいる。男性料理研究家もたくさんいて、かくなるHONZメンバーにも、Allaboutで大人気、5冊も著作を持つ 土屋敦 がいる。その本職の腕を生かし

本書によると、将来地球上から海が消え、人類が絶滅してしまう可能性があるそうだ。 地球の内部では、ウラン・トリウム・カリウムなどの放射性元素が崩壊を繰り返し、熱を放出し続けている。それによって地球は内部から温められ、地球が凍りつかない仕組みになっているのだ。しかし、地球誕生からおよそ約46億年経った今、地球内部にあるウランの量は半減しており地球を暖める熱源は徐

『ノンフォクションはこれを読め!−HONZが選んだ150冊』、『面白い本』と立て続けに「本の本」を出版してきたHONZだが、この「本の本」には驚いた。なんと本文650ページ、うちグラビア写真188ページ、厚さ5.2センチ、重さ875グラムで3000円なのである。1グラム3.43円。1ページ4.6円だ。これで「知の巨人」立花隆の本棚をじっくり見せて貰えるのだか

ゴルフ場と持続可能性、この意外な組み合わせにそそられて、本書を手にすることになった。アリにも、野球にも、これっぽっちも興味を示さない成毛眞が、3月の朝会で、がっつり食いついた。 そして、本を読み漁っているHONZメンバーの、誰も聞いたことがないビジネスモデルを話し始めたのだ。その折に、ゴルフ場の墓地への転用という、これまたそそられる組み合わせが話題にあがった

いま話題のスーパー高校生Tehu君をご存じでしょうか? 現在、灘校に通う高校2年生。3歳の時からコンピュータに触れ始め、中学生の時に作ったiOSアプリ「健康計算機」ダウンロード数が無料アプリで世界第3位となり話題に。またアップルのカンファレンスが行われるたびに、その英語の内容を日本語に同時通訳しながら解説するUstreamの番組を続けており深夜に20万人を動

本書は、アリの巣に住み、アリと共生する昆虫(好蟻性昆虫)やその他の節足動物(クモやダニなど)に関する図鑑である。なんというか、読者対象狭すぎな本だが、好蟻性昆虫マニアやヘンな虫好きにとっては、よくぞ出してくれた! と狂喜乱舞するような、奇跡的な一冊なのだ。 著者は、HONZでも話題になった 『ツノゼミ ありえない虫』 や、好蟻性昆虫の魅力とその研究の苦労を活

あの日から2年が経過した。もう2年、まだ2年だ。毎年この時期になると東日本大震災を忘れまいとするように、多数の書籍が出版される。本書もその中の一冊である。著者は『イントゥルーダー』でサントリーミステリー大賞を受賞した小説家の高島哲夫だ。ふだんは小説を読まないのだが、高島哲夫のパニック小説だけは別格である。『M8』と『TSUNAMI津波』は繰り返し読んだ。 『

本書の副題にもその名前が使われているように、著者であるプリンストン大学コンピュータサイエンス学科教授のブライアン・カーニハンは、ディジタル界隈では大変有名な先生だ。デニス・リッチーとの共著『 プログラミング言語C 』は、長い間多くのプログラマーに参照され続けているという。しかし本書は、「カーニハンって誰?」と思った人のために書かれている。これは、非技術系であ

自由に働くノマドと、奴隷のように働く社畜。これだけを聞くと、社畜よりもノマドのほうが魅力的に見えるのは間違いない。しかしノマドは収入面や福利厚生といったことで社畜に劣る。こういったことを考えずに安易にノマドになろうという人が増えている。本著では安直にノマドになろうとする人に警鐘を促し、ノマドの実態を紹介している。 ノマドは2011年の後半からブームの兆しをみ

期せずして、同じ時、同じ場所に、同じレベルの才を持つ者が集まると、想像を絶する出来事が起こることもある。 1953年、3つの技術革命が始まった。熱核兵器、プログラム内蔵型コンピュータ、そして、生命体が自らの命令をDNAの鎖にどのように保存するかの解明である。これら3つの革命は相互に絡み合い、その後の世界を大きく変えることとなった。 とりわけそれ以前から密接に

陸海空の自衛官を描いた『兵士に聞け』から足掛け18年、本作で5作目となる兵士シリーズの最新刊である。自衛隊は国と国民と守ることを義務付けられた巨大組織であるにも関わらず、その発足から長い間「日陰者」として扱われ、顧みられることはなかった。杉山隆男はイデオロギーや観念論から決別し、ひとりひとりの自衛官に密着することで、自衛隊とは何者かを探り出そうとする現場の人

シリーズが進むにつれ、当初は日陰者であったはずの自衛隊がまるで硝煙に導かれるがごとく、より先鋭化していくようすがわかる。シリーズ第4弾『兵士に告ぐ』では数度の海外派遣などを経験し、さらに米軍と協力し高い戦闘力を身につけながら実戦的な軍事組織へと、本格的に舵を切り始めた自衛隊の姿がをうかがうことができる。 この「兵士シリーズ」は5作目の『「兵士」になれなかった

夢を語ればその動機を問われ、信念を論ずればその根拠を訊ねられる。病があれば病因を探りはじめ、事故があれば責任の所在が追及される。とかくに人の世は、結果と原因の究明に忙しい。 しかし世界は、原因と結果の連なりに回収できるほど単純にはできていない。いかにもはっきりとした原因と結果の連鎖も、それは辿っていくうちに、複雑に絡みあう世界のネットワークの中に消散してしま

私たちはどう付き合ってゆけばいいのか? オビに書かれた言葉と、毛沢東が掲げられている天安門広場の写真。これらが、本の内容を端的に表している。 本書は、2012年の新書大賞に輝いた『ふしぎなキリスト教』で大いに議論を巻き起こした橋爪さん・大澤さんコンビに大学時代からの友人の宮台さんが加わり、中国に関して対談した本だ。橋爪教授は中国研究のスペシャリストであり、ま

資源、食糧問題、企業の成長戦略、いずれもグローバルの政治経済を語る上での最重要課題である。アフリカは、そうした21世紀の国際政治経済の縮図そのものである。 本書のアプローチは特徴的だ。アフリカを語るのにアフリカ自体から説き起こすのではなく、外から視線を注いでその輪郭を描いていく。読者は現在のグローバルイッシューである資源、食糧問題、国際開発といった多角的な切

著者の息子オスカーの質問だ。子供は本物の哲学者だとよくいわれる。こんなことを実際に聞かれたら思考が一瞬、停止してしまうかもしれない。 本書は魅力的な哲学の本だ。哲学といっても、まったく固くならずに読める内容である。著者はドイツ人作家で哲学者のリヒャルト・ダーフィト・プレヒト。 原書 はドイツ語版『Warum gibt es alles und nicht n

装丁がヤバいと、担当編集ながら思う。「自分」がハミ出している(どうかアマゾンの書影を見てほしい)。流通を委託している講談社の審査が、最初は通らなかった。規格外だからだ。新宿の紀伊國屋書店の文庫売り場に行って、どの文庫よりも目立ってやろうと思った。いちばんカバーのフォントが大きかったのは、平野啓一郎の『決壊』(新潮文庫)だった。だから、それを超えてやろうと思っ

今日はとても温かい。一気に春になったような気分だ。3月のHONZ朝会は、ホームグラウンドの六本木ミッドタウン、d-Laboで。太陽がキラキラ輝いていて気持ちがいい。しかし“春眠暁を覚ず”、眠い目をして集まってくるメンバーたち。 今回の欠席は、学会とプライベートの旅行を兼ねてタスマニアに行ってきた 仲野徹 、お子さんが熱を出してしまった 新井文月 、猛烈に仕事

高橋秀実ははいくつもの意味で天才だと思う。 ん? だれも気づかないかとは思うが、高野秀行の 『謎ソマ』レビュー と同じような書き出しである。まず、天才エンタメノンフ作家と推定される高野秀行と名前が二文字しか違わないところが天才的である。かな? そして学歴がすごい。モンゴル語学科なのである。モンゴル語学科といえば、誰がなんと言おうと、司馬遼太郎なのである。これ