
突き放した視点で見る宗教、発想が変わる『教養としての宗教入門』
フランスの風刺週刊紙「シャルリ・エブド」 の襲撃事件、1年あまりで国家に近い体制を築いた「イスラム国」、そして日本人2人が人質となった事件、2つの旬なイシューは国際政治や経済の問題であると同時に、宗教から見つめることができる。そのための浅く広い基礎知識と斬新な見方が本書にあると言っても過言ではない。 一神教と多神教、世界の主な宗教の解説はざっくりと本書でもチ
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フランスの風刺週刊紙「シャルリ・エブド」 の襲撃事件、1年あまりで国家に近い体制を築いた「イスラム国」、そして日本人2人が人質となった事件、2つの旬なイシューは国際政治や経済の問題であると同時に、宗教から見つめることができる。そのための浅く広い基礎知識と斬新な見方が本書にあると言っても過言ではない。 一神教と多神教、世界の主な宗教の解説はざっくりと本書でもチ

幸田露伴の名は、近代日本の文壇に燦然と輝いています。名前だけなら聴いたことがあるという人もたくさんいるでしょう。でもその作品を読んだことがあるという人は案外すくないと思います。尾崎紅葉、坪内逍遥、森鴎外らとともに往年の人気作家たちの名を冠して「紅露逍鴎時代」 なんて呼ばれた時代があったほど露伴の小説は読まれていたのですが、今回はそんな文学史的な関心ではなく、

ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。 ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。それこそアジの干物ほどの大きさに。しかも値段は高騰、居酒屋メニューのような庶民の味ではなく高級魚になってしまったというの

「青木薫のサイエンス通信」久々の番外編です。今回取り上げたのは、毎日新聞の科学記者・須田桃子さんによる『捏造の科学者 STAP細胞事件』。論文に欠陥が発覚した後、一部の科学者たちの反応に、青木さんは違和感を感じたという。科学史にも残るであろうこの事件、はたして問題の本質はどこにあったのか?(※本稿は、青木さんご自身のFacebookに書かれていた感想を、その

いろいろ思うところがあり、夜道でふと占い師に手相を観てもらったところ「部屋の掃除をしなさい」と言われました。 まあ確かに最近行き届いていませんが、2,000円払って言われることではない気が……。 それでは今週献本いただいた新刊本のご紹介です。版元のみなさま、毎度ありがとうございます!

著者は東京大学教養学部人文地理学科卒で、今も電鉄会社に勤めるサラリーマン。本書が初めての著書だという。東大卒の知り合いに、「教養学部人文地理学科」に進むのって、どんな人だろう? と聞いてみると、「こだわり派の変わり者かなぁ」という答えが返って来た。たしかに本書のテーマはマニアックだし、内容の細部へのこだわりはスゴイ。なにしろ、史料を徹底的に調べて、昭和11年

日本の国土面積は世界の陸地面積の0.3パーセント程度にすぎないのに対し、世界の火山の約7パーセントが日本に集中している。 国内には47の常時観測火山があり、規模は別としてひとつの火山が100年に1度噴火すると仮定すると、(中略)単純計算すれば、2年に1度はどこかの火山が噴火することになる。 2014年9月27日11時52分。御嶽山が突然の大噴火を起こすまで、

6,000円を超える価格、700ページに迫るボリューム、頻出する数式や化学反応式。この本の表面的な特徴だけに着目すれば、購入までのハードルは随分と高い。しかし、この本にはその価格以上の価値が間違いなくある。終盤まで読み進める頃には、「もっと読んでいたい」と思わずにはいられないストーリーがある。そして、この世界の成り立ちと仕組みを深いレベルで理解できる喜びがあ

一般的に「手段の目的化」という言葉が、良い意味で使われることはあまり多くない。まず目的ありきで、それを実現するために手段がある。逆になってしまうと目的が形骸化し、本質的ではなくなるという声もよく耳にすることだろう。 ところが、である。これが趣味の話となると、事情は異なるのだ。むしろ「手段の目的化」にこそ、マニアの真髄が隠されていると言えるだろう。何か特定の目

職業柄、企業内で「エース」、「次期社長候補」と言われながら、外部環境の思わぬ変化などで社長の椅子を逃してきた人を多く見てきた。能力があっても出世は運に大きく左右される。社長にのぼりつめるにはなおさらだ。もちろん、「ひたすら頑張って仕事して社長を目指す」という選択肢もあるのかもしれないが、おふざけ気味のタイトルや表紙と対照的に著者の指摘は冷静だ。

2014年のノーベル物理学賞は3人の日本人学者が受賞した。それぞれに強い個性があり、劇的な歴史があり、微笑ましい物語もあり、日本人の一人として誇りを感じるだけでなく、ある意味で大いに楽しませてもらった。天才たちは研究成果や創作物だけでなく、その存在そのものも偉大なのだとつくづく感じ入ってしまった。 まだ、この3人の日課について多くは語られてはいないが、過去の

「悪の枢軸」 誰もが耳にし、いろんな意味で今も記憶に残る言葉たち。実はこれらのフレーズの生みの親は、バラク・オバマ、ジョージ・W・ブッシュ、安倍晋三ではない。実際に考え出したのは、アダム・フランケル、デービッド・フラム、谷口智彦といったスピーチライターたちなのだ。 本書はこの知られざる職業の歴史や役割、実際の仕事内容、さらにはなりたい人へのアドバイスまでもが

ボサっとしていたら、あっという間に一月も半ばになってしまいました。 このままでは今年の目標を決める前に来年になってしまいそうです。 とりあえず、来年になる前に今年の目標を決めることを今年の目標にしようと思います。 それでは今週献本いただいた新刊本のご紹介です。版元のみなさま、毎度ありがとうございます!

山本朋史は朝日新聞記者として39年のキャリアを持つベテランだ。さまざまな部署を経験したが、事件取材が圧倒的に多かった。特ダネを抜いたり抜かれたりしたりしつつ、現場に拘って過ごしてきた。60歳で定年を迎え後も1年ごとの契約更新で記者の仕事を続けていた。 そんな山本が脳の異常を感じたのは61歳を過ぎた頃であった。記憶力には自信があったのに、少し前に聞いた人の名前

ノンフィクション専門の書評サイトHONZを開始する前の2008年、たまたま書店店頭で見つけた本書を手にとった。そして強い衝撃を受けた。日本人にこのような素晴らしい、出版史に残るような科学読み物が書ける日が来るとは思わなかった。このような本こそ世の中に紹介しなければならないという義務感を感じた。それまで個人ブログを利用して簡単な書評を書いていたのだが、組織化し

「ちょっと待って、俺が書くの?」。文庫本の解説など書いたことがない。ほかに適任者がいるはずである。しかし電話の向こうでは、あっけらかんと「だって、私が書いた2冊の本の両方に出てくるの笠井さんだけなんですよぉ」。電話口なのに、下からいたずらっぽい目でこっちを見上げたような物言いに負けてしまい、返す言葉が見つからない。こうして、局アナから弁護士になった初めての女

世界上位30カ国にひけをとらない財務力をもち、世界200カ国以上でエネルギービジネスを展開する石油最大手エクソンモービル(年間の売上高はタイやシンガポールのGDP以上!)。その強靭な財務力と圧倒的な技術力を駆使し、アメリカの一企業にもかかわらず、独自の外交・政治活動を展開するほどの巨大企業だ。本書は、このアメリカ最大最強企業が世界中で繰り広げる資源獲得競争の

社会 / HONZブックマーク
前作『 絶望の裁判所 』は発売されるやいなや、大反響を呼んだ。しかし、それはまだ序章に過ぎなかったのである。明日、発売される『ニッポンの裁判』は、冤罪連発の刑事訴訟、人権無視の国策捜査、政治家や権力におもねる名誉毀損訴訟、すべては予定調和の原発訴訟、住民や国民の権利など一顧だにしない住民訴訟など、裁判のリアルな実態を次々に描き出す。 裁判の「表裏」を知り抜い

自慢じゃないが、幸福の国ブータンについての本には造詣が深い。文献派なので、 2010 年の春にブータン旅行した前後に、手当たり次第にブータン本を読んだ。そのころは、まだそれほどのブータン本が出ていなかったので、手に入る本はほとんど読んだ。今は復刊されているが、当時は絶版であった、ブータン本の古典、中尾佐助の『 秘境ブータン 』も、高い古本を取り寄せて読んだ。

羊齧協会。ひつじかじりきょうかい、と読むらしい。年末の忘年会で、最近SNSが羊肉で満ちている友人に教えてもらったのだが、聞いた事のある人はいるだろうか? この羊肉LOVERの団体による羊レストラン71店のガイド本を紹介しよう。 「あの日あの時あの店で もしも羊を食べなかったら 僕らはいつまでも 食わず嫌いのまま だった」という、あの主題歌のサビに似た帯の文言

我々日本人にとって、中東という地域は直視することが難しい存在である。欧米的なフィルターを通して見ることも多いため、馴染み深い価値観との違いにばかり目が向い、不可解で危険な存在と断定してしまうことも多いだろう。 本書のテーマとなっている「イスラム国」という存在についても、数多くの残虐な振る舞いがニュースやソーシャルメディアを通して喧伝され、その本当の姿を我々は

かつて「コンスタンティヌスの寄進状」と呼ばれた世紀の偽書があった。その内容は「ローマ司教(ローマ教皇)に自分(ローマ皇帝)と等しい権力を与え、全西方世界を委ねて、自分はコンスタンティノープルに隠居する」というものであった。もちろん、ガリア(フランス)を根拠地としたローマ皇帝たるコンスタンティヌス大帝がそのような文書を残すはずもなく、これは8世紀ごろにローマ教

年末年始はいかがお過ごしでしたか。 我が家では、21年間使っていた電子レンジからたびたび火花が上がるようになったため、年末、ついに買い換えました。 納品日、引き取られていく古いレンジにマジックペンで「21年間ありがとう。お疲れさま」と書いたらなんだか涙が止まらなくなってしまい、引き取りに来たビックカメラさんがドン引きしていました。 そんなこんなで迎えた201

動物に人間の心を映し、親しみを覚える。これは普段誰もが何気なくやっていることだろう。ペットの行動に癒されたり、近所の野良猫に話しかけたり、動物園で気怠そうなライオンに同情したり……。振る舞いを人間的に解釈することで、彼らを身近に感じている。 こうした擬人化は、動物だけでなく物質や自然現象にまで及ぶ。「空が泣いてる」なんて言い方も聞くほどだから、動物の行動を人

HONZ読者の皆さまには「HONZ客員レビュアー」としてお馴染みのライフネット生命会長・出口治明さんによる「世代別」仕事論です。 HONZ掲載の出口さんの書評は、歴史から科学、文学まで幅広いジャンルにまたがり、それらすべてが深い教養と鋭い洞察に裏打ちされています。簡にして要を得た文章からは明晰な知性がにじみ出ていますし、出口さんがただ者でないことは皆さまもす

先月も書きましたが 、年末に発売されたピケティの『21世紀の資本』は出版業界にとっては大きな話題のひとつになっています。内容以前に「5,500円もする!」「売れてる!」「品切れ続出!!」と、売り手にとってはにんまりするような話が飛び交いました。 景気の悪い話ばかりが聞こえてくる中で、この本の存在は本当に心強いものです。こうなると気になるのは「誰が買っているの

もし、あなたがタイムマシーンに乗って時間を旅する旅行者ならば、第二次世界終結目前の1945年5月5日、オーストリアのチロル地方にあるイッター城で奇妙な戦闘を目にすることが出来るだろう。この日、この時、こじんまりした城に籠る小さな混成部隊は、まるでフィクションの中の出来事にしか思えないメンバーで構成されていた。この城を陥落させるため、激しい攻撃を仕掛ける 武装

パリでいうならルーブルやオルセー、 ニューヨークであればメトロポリタンやMoMA、グッゲンハイム といった各都市にはこれだ!という代表的美術館がある。 対して日本には「これが日本の美術館だ!」と言えるようなものが無いような気もする。英国データ(The Art Nespapaer:2013.3.28)によると美術館の動員数世界1位は38万点以上のコレクションを

人は一生に平均200回の風邪をひくという。しかし予防薬もなければ特効薬だって現れない。もし一発で風邪が治る薬が発明されたら、それだけでノーベル賞ものなのだそうだ。風邪の一種だと思われていたインフルエンザはワクチンもでき、治療薬も数種類見つかっているのに、ポピュラーな風邪はどうして治せないの? そもそも風邪ってどんな病気で、もし罹ってしまったらどうするのが正し

ダイエットや資格の取得など、新たな1年を新たな目標とともにスターとした人も多いだろう。あなたの目標がどんなものでも、目標など設定していなくとも、本書が投げかけるメッセージ「Go Wild(ワイルドに行こう)」は人生をより良い方向へと導くためのヒントを与えてくれる。 本書の主張はシンプル。人類は600万年前の誕生から1万年前に農耕を発明するまで野生の生活を送っ

クラウド、ウェラブルデバイス、M2M、IoT、ドローン... 年を追うごとに世の中はどんどん便利になり、快適になっていく。今から30年後の2045年には、コンピュータが人間の知能を越えるという予測もあり、そのような技術的特異点の先には、今とはまったく違う世界が広がっているかもしれない。 タイトルからも一目瞭然であるように、本書はそんなオートメーション化してい