
『トヨタの自工程完結』新刊超速レビュー
『トヨタの自工程完結』というタイトルを見ただけでは、なんのことだかさっぱりわからないと思う。この本を本屋で最初に見たとき、トヨタ・工程というところを見ただけで、なんとなく生産管理やカイゼン関連の本なんだろうなと思い、自分には関係ないからと、本を手にとることはなかった。きっと多くの人も同じように感じているのではないかと思う。 でも待ってほしい。この本は生産管理
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『トヨタの自工程完結』というタイトルを見ただけでは、なんのことだかさっぱりわからないと思う。この本を本屋で最初に見たとき、トヨタ・工程というところを見ただけで、なんとなく生産管理やカイゼン関連の本なんだろうなと思い、自分には関係ないからと、本を手にとることはなかった。きっと多くの人も同じように感じているのではないかと思う。 でも待ってほしい。この本は生産管理

「ゲームばっかりやってたらダメでしょ!」そう子供の頃に言われた経験を持つ方も多いだろう。多くの人に愛されながらも、長らくゲームというものは日陰者の存在であった。 しかし、VR元年とよばれる2016年を目前に控え、このようなゲームの位置づけが大きく変わってきているという。一つはテクノロジーの進化によって、バーチャル領域の精度が飛躍的に向上してきていること、そし

虫とミステリ。なんと素晴らしい組み合わせであろうか。今回ご紹介するのは東化研株式会社会長、兵藤有生氏(監修・林晃史氏)による害虫事件簿だ。東化研は、環境衛生管理を施工、コンサルタントする企業で、特に害虫防除に実績のある企業だ。本書は、長年食品製造などの害虫防除に携わった著者の、害虫混入事件体験記である。 事件は決まって、事務所の電話のベルが鳴るところから始ま

ここ数年、買い手としての自分と売り手としての自分との間に、上手く折り合いをつけられずにいる。一消費者としての立場から考えると、様々なコンテンツが安く、便利に手が入るようになったことは間違いなく喜ぶべき状況である。だが、広告屋としての売り手の立場から考えるとコンテンツが安くなる状況というのは、決して喜ぶべき状況ではない。 ただ喜ぶべき、もしくはただ憂うべきだけ

著者のピーター・H・ディアマンディスは、シンギュラリティ大学の共同創設者であり、グーグル・ルナー・Xプライズと呼ばれる、民間初の月面無人探査を競うコンテストを企画した人物でもある。そのコンテストに日本から唯一参加しているのが、HAKUTOチームを率いる袴田 武史氏。本書の骨子でもある「エクスポネンシャル」というキーワードについて、袴田氏に解説していただきまし

まずは下の写真を見て欲しい。これは「人物を撮る」ように言われた二人の被験者が撮影した写真だ。撮影した二人のうち、一人はアメリカ人、もう一人は日本人である。どちらの写真がどちらによって撮られたものか、お分かりだろうか。 多くの人が正解を予想できたのではないかと思うが、左がアメリカ人、右が日本人によって撮影された写真である。複数の被験者に対して行われたこの実験に

私たちは一線を引いたのではなかった。私たちは怖れを知らないのではなく、力がなかったのだ。壊滅的な破綻を防ごうとして失敗したのだ。 アメリカ史上最大規模となったリーマン・ブラザーズの破産申請を、当時の米国財務長官である本書の著者ティモシー・ガイトナーは、このように振り返る。しかしながら、当時のマスコミの多く、左派の《ニューヨーク・タイムス》から右派の《ウォール

読みどころ豊富なビジネス書である。ひとつのメッセージだけをパッケージにした軽い読後感のビジネス書とは、一線を画している。その読みどころはどれも質が高く、どれから紹介するか迷ってしまうほどである。でも、それを統べるのが「ドラマ思考」というキーワードだし、おそらく皆様もそれが何かを知りたいと思うので、まずは、そこから説明したい。 少し前に「プラス思考」が流行した

編集者3年生の吉田倫哉がお勧めする、クリエイティブになりたい人のための一冊・・・ 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 (クロスメディア・パブリッシング)の誕生秘話をちょっとだけお話しします。 「なんかおもしろいこと考えてよ〜」「君、新規事業担当ね!」などと、ノリとイキオイで上司に言われたことがある人は少なくないのではないでしょうか。 そんなとき

今年の前半くらいのことだろうか、「世界の終わり」をテーマとしたノンフィクションが非常に目についた。人類は人工知能に負かされるというもの、絶滅期がすでに進行しているというもの、テクノロジーを扱う人間側の問題として滅亡を予測するもの。いずれにしても悲観的な論調が多かったことを記憶している。これは多くの人がテクノロジーに対して希望を抱かなくなったことの証左なのかも

次々と効果的な殺虫剤を開発し、農業化学分野では一目おかれる成果を出していた、とある30代後半の会社員。ある日、自宅でぼんやりテレビを見ながら酒を飲みつつ 考えていた。 自分が本当にやりたいことは、なんだったのだろうか ビジネスマンなら誰でも一度は思いなやむ悩みであろう。そしてこの日の悩み事が、その後、彼が所属する住友化学という大企業を突き動かしていくこととな

次のレビューどうしようか。そんなことを考えながら眠りについての翌朝、6時少し前に大きな地震で揺り起こされた。で、落ちてきたのがこの本。少し前に読もうと思って本棚の手前に出しておいたのだった。落ちてきたのはこの一冊だけ。そのまま二度寝もできず、ええいと読み始めたらあっという間に見知らぬガラスの世界へ……どの本を手に取るかは、いつもこんなところから始まる。 そも

「コンピューターの性能は18か月ごとに指数関数的に上昇する」。1965年にインテルの創業者の一人であるゴードン・ムーアが書いた論文の中にあったグラフは「ムーアの法則」として、今日までコンピュータ業界の指標となっている。そのインテルのインサイドストーリーを描いた『インテル 世界で最も重要な会社の産業史』が出版された。訳者で元日経ビジネス記者の土方奈美さんが、本

100年続く会社を作ること。100年続く老舗をめざすこと。100年続く事業を育てること。本書には100年という言葉が何回も出てくる。学ぶべき先輩企業は創業180年目を迎えようとしているエルメスや、室町時代からつづく和菓子の虎屋だという。この気宇壮大な目標を持つ会社の名前こそ、本書のタイトルにもなっている「 気仙沼ニッティング 」である。 ニッティングの広義は

本書は2014年10月に出版された「 Exponential Organizations 」の邦訳である。「Exponential」とは「指数関数的な」という意味の単語で、ちょうど指数関数のグラフが急上昇するカーブを描くように、飛躍的な発展を遂げる企業のメカニズムについて解説した一冊である。「Exponential Organizations」を直訳すると「

著作権仲介エージェントという職業をご存知だろうか? 海外の権利者と国内出版社との間で、翻訳出版権の仲介など行うプロフェッショナルである。その業界最大手となるのが、 タトル・モリエイジェンシー 。ビジネス書大賞を受賞した『 ゼロ・トゥ・ワン 』や、最近HONZで話題になった『 ホワット・イフ? 』や『 マスタリー 』等も同社の仲介であったという。 つい先日発売

直木賞・芥川賞の話題で持ちきり。ある本が驚異的なスピードで売れていく様を「本が溶けるようになくなっていく」と表すことがありますが、今回の『火花』の売れ方は「不況」と言われ続け、忘れられていたあの盛り上がりを再び思い出させるものになっています。様々な意見はあるでしょうが、この本は出版業界に希望を与えてくれました。 さて、本に関する賞は数多くありますが、ビジネス

そんな中、明治から現在までの日本の油田開発と資源外交に焦点をあてる本書は希有な一冊といえよう。これまで歴史に埋もれてきた数多くの物語を紡ぎだす良書である。しかも、歴史の表舞台に登場するプレイヤーの動向を紹介するだけでなく、そんな彼らを支えた人、場合によっては彼らにすら認知されていない現場の人たちにまでスポットライトをあて、日本のこれまでの資源外交と油田開発の

役に立たない本をこよなく愛しているのだが、役に立ちすぎて困惑させられるほどの一冊である。必要に迫られて読むビジネス書というのは吸収力が凄まじく、自分がスポンジにでもなったのかと錯覚したほどであった。 本書『アライアンス』は、ペイパルマフィアの一人、そしてLinkedin創業者としても知られるリード・ホフマンを始めとする面々によって手掛けられた一冊。端的に言う

著者のロバート・グリーンはアメリカの作家。現在56歳の熟年イケメンである。大学卒業後は建設労働者や雑誌編集者など80もの仕事を経験した。1998年に“The 48 laws of power”(邦訳『 権力に翻弄されないための48の法則 』)で作家デビュー。この処女作はアメリカ国内だけでも120万部のベストセラーになり、24ヶ国語に翻訳されている。 『マスタ

「スタバ本にハズレなし。」と、ビジネス書界隈では昔からよく言われている。スターバックスの実質的な創業者であるハワード・シュルツが書いた『 スターバックス成功物語 』、『 スターバックス再生物語 』はどちらも名著と呼んでいいものだし、文庫化されたハワード・ビーハー(元スターバックスインターナショナル社長)の『 スターバックスを世界一にするために守り続けてきた大

発売を心待ちにしていた本がとうとう発売された。LINEのCEOだった森川亮さんの『シンプルに考える』である。期待していた通りおもしろい経営書だったので、ぜひ紹介したい。この本は森川さんがLINEをどのように経営してきたのかを綴った本である。 森川さんの経営手法はないないづくしでとても異質だ。 「戦わない」 「ビジョンはいらない」 「計画はいらない」 「情報共

2020年以降の日本が、どのような世の中になっていくのか、気になっている方も多いことだろう。市場全体がシュリンクし、指標となる様々な数値が低下していくことに間違いはないのだが、ピークを迎えるものも少なからず存在する。その一つが死者数だ。 2013年の死者数、約126万人。これが2027年以降には、団塊の世代が80歳代になるため「大量死」の時代が到来すると言わ

西部開拓時代のアメリカの酒場には、ケンカ騒ぎの殺し合いからピアニストを守るために、「ピアニストを撃たないでください」と貼り紙がしてあったという。経済戦争などという言葉がある現代にも、同じことが言えると私は感じている。経済優先の社会から、芸術やスポーツなど、祝祭の能力をもった人を守らなければならない。本書は、長らく銀行員として働いたあと、現在は武蔵野音楽大学の

昨年からライブやフェスへよく行くようになり、そこで知り合った一回りくらい下の世代(20代前半)の人たちと接する機会が増えている。いまどきの若者たちは……などとおじさんじみたことを言いはじめる気はないけれど、彼らは自分たちの世代とはまったく違った価値観を持っているなと会話をしていて感じることが多々あった。 そんな中でみつけた『つくし世代』という本には、若者たち

私はきっと孤独死する。 書店に行って、経済や社会問題の棚へ向かう途中に、ふと目についた本があった。『遺品整理士という仕事』、と題された新書だ。その題名を見て、あ、そうだ、私はきっと孤独死する、そのことについて考えておかなくてはいけないではないか、と思った。 子どもたちが大学に行き、就職し、結婚するとしたら、子どもが生まれるとしたら、ないかもしれないけど、ある

副題にある「団塊シニアと子育てママ」は、ご存知の通り、消費の大票田である。その実態を見誤ってしまったら、ビジネスの成功などおぼつかない。定量的マーケティングで一般的にいわれている「若い母親(ヤンママ)の料理は手抜きだらけ」とか、「シニア層の散歩は健康目的」という情報を鵜呑みにしていないだろうか。本書は、その嘘を明らかにしながら、たった一人のサンプル調査で絶大

「やさしそう」 この5文字がどれだけの男女を傷つけてきただろうか。 初対面なのに、値踏みされ、コメントに窮した相手に、ひねりだされるこの5文字。 私自身の人生を振り返っても、小さい頃は親の知人、最近になっても彼女や妻の知人に言われ続けてきた。 そもそも、やさしくないしと言う言葉を飲み込み、愛想笑いでかわし続け、愛想笑いがこびり付いて35年。そんな非イケメン、

現代社会において、親の年収、生まれ持っての美貌、また育つ環境など本人の努力では埋められない格差は確実に存在する。 それでも生き方の自由は保持されており、美貌を持つ人がさらに戦略を持って生きるのも自由だし、反対に美貌を持たざる人が徒手空拳的に人生に臨もうが、生き方自体は(程度によるが)否定はされず自由に選択できるといえる。 よく「ブサイクは意外と性格が悪いよ」

週刊新潮で好評連載中の成毛眞「逆張りの思考」、2015年3月5日号(2月26日売り)は特別拡大版。今回は『メガ! 巨大技術の現場へ、ゴー』の発売を記念し、特別にHONZ上にて全文を掲載いたします。北は苫小牧から南は長崎まで、さらにはフランスとスイスの国境にまで。現場へ足を運んだからこそ見えてきた、桁違いを見ることの意義とは何だったのか? 本屋巡りをしていると

HONZ代表・成毛眞による技術探訪記『メガ! 巨大技術の現場へ、ゴー』の刊行記念として、この本のもととなった連載「 成毛眞の技術探検 」の担当編集者だった東洋経済オンライン山田俊浩編集長と成毛眞とのトークイベントが去る2月26日に開催されました。冷たい雨がしとしと降るあいにくの天候でしたが、多くの方にご参加いただき、会場は『メガ!』を支える技術に対する情熱で

第二次世界大戦後のイタリアで、フィアットを再建し、オリベッティ社の会長にをつとめたアウレリオ・ベッチェイは、人類と地球が置かれた危機的状況を憂い、ローマクラブを1970年に設立した。ローマクラブから調査の委託を受けたマサチューセッツ工科大(MIT)は研究成果を『成長の限界』というレポートにまとめ、1972年に発表した。その翌年に本の一部が現実化するかのように

現在、中国国内で働く日本人技術者はどれくらいいるのだろう。 「2,3000人はいる。数百人などという数字ではない」(女性ヘッドハンター) 「5000人くらい。これ、だいぶ堅い数字だ」(人材会社の中国人経営者) 中国に14年住む著者の耳にも、その数の多さは聞こえてきたが、実際は見当がつかなかった。日本より給料がいいとか、技術を渡せばすぐに首になるんじゃないか、

職業柄、企業内で「エース」、「次期社長候補」と言われながら、外部環境の思わぬ変化などで社長の椅子を逃してきた人を多く見てきた。能力があっても出世は運に大きく左右される。社長にのぼりつめるにはなおさらだ。もちろん、「ひたすら頑張って仕事して社長を目指す」という選択肢もあるのかもしれないが、おふざけ気味のタイトルや表紙と対照的に著者の指摘は冷静だ。

世界上位30カ国にひけをとらない財務力をもち、世界200カ国以上でエネルギービジネスを展開する石油最大手エクソンモービル(年間の売上高はタイやシンガポールのGDP以上!)。その強靭な財務力と圧倒的な技術力を駆使し、アメリカの一企業にもかかわらず、独自の外交・政治活動を展開するほどの巨大企業だ。本書は、このアメリカ最大最強企業が世界中で繰り広げる資源獲得競争の

2014年夏、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツは、自身のブログ「 gatesnotes 」で『Business Adventures』という1冊の本を紹介した。20年以上前にウォーレン・バフェットから推薦されたもので、以来「最高のビジネス書」として愛読し続けているという。世界的にも大きな注目を集めた本書の魅力と概要を、翻訳者の須川綾子氏に解説していた

周りは固いビジネス書。誰もが経営の神様や成功への秘訣を手にするための情報を求めて足を運ぶ書棚の平台に、一冊の本が異彩を放っていた。 茶色の帽子をかぶった白いクマと正体不明のヘンテコなぬいぐるみが2匹並んだ表紙には『お客さまはぬいぐるみ』というタイトルがある。児童書が紛れ込んでしまったのかと手に取って読みだせば、なんと実在の旅行会社の話でないか! ぬいぐるみ専

日銀の黒田東彦総裁がデフレマインドからの脱却を試み、異次元緩和の2弾目を唱えたせいで日経平均は17,000円代となった。2009年のリーマンショックから、再び驚くべき上昇を見せている。黒田氏は為替を意識したものではなく、国内経済のことだけを考えて緩和をした、と主張した。 日本の未来は非常に不透明と言われ続けたが、その結果、世の中にはファイナンスに関する本が無

人類がまだ火星に行っていないのは、 科学の敗北ではなくマーケティングの失敗なのだ。 ここ数週間、本書のオビに書かれていた言葉が頭から離れない。だが、こう言われて気を悪くするマーケティング関係者などいないだろう。叱咤されているようでもあり、持ち上げられているようでもあり... 1969年7月20日午後10時56分20秒。その時代に生きていた人なら誰もが、その時

マネーのない生活は想像すら難しい。電車に乗るためにも、ランチを食べるためにも、部屋に明かりを灯すためにも、マネーが重要な役割を果たしている。空気や水のように当たり前の存在だと思われるこのマネー、一体どのように生まれたのか。 マネーが生まれる前の社会から、マネーが発明される様子を想像してみよう。マネー以前の社会では、人々は自分が作ったモノと、自分が必要なモノを