
痩せたいならばこれを読め!『ダイエットをしたら太ります。 最新医学データが示す不都合な真実』
画期的な「ダイエット本」だ。なにしろタイトルがすごい。すべてのダイエット法を敵にまわしている。そして、内容はあまりに正しい。体重を減らすことに興味があるすべての人に読んでほしい。 ほとんのど場合、ダイエットは成功しません。どうしてって、ダイエットには「ダイエットすると太る」という、“不都合な真実”があるからです。 「はじめに」に書かれている文章だ。この本の内
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画期的な「ダイエット本」だ。なにしろタイトルがすごい。すべてのダイエット法を敵にまわしている。そして、内容はあまりに正しい。体重を減らすことに興味があるすべての人に読んでほしい。 ほとんのど場合、ダイエットは成功しません。どうしてって、ダイエットには「ダイエットすると太る」という、“不都合な真実”があるからです。 「はじめに」に書かれている文章だ。この本の内

情報の洪水の現在、私たちにとって何が正解でどれが間違いなのか。特に目に見えない「こころ」の問題はなおさらだ。 例えば1973年1月に『サイエンス』誌に掲載された米の心理学者デヴィッド・ローゼンハンの「狂気の場所で正気でいること」という現在でも版を重ね引用されている研究について。 これは実験者に偽の幻聴を訴えさせ精神病院に送り込み、統合失調症と診断させた実験で

『誰がために医師はいる クスリとヒトの現代論』(みすず書房)は、アディクション(嗜癖障害)治療を専門とされる松本俊彦医師による本だ。少なくとも私にとってはかなり衝撃的な内容だった。薬物依存に抱いていたイメージが大きく覆された。ほとんどの人も、読めばきっとそうなるだろう。 自伝的な語りを軸に、経験に基づいた考えが綴られていく。自ら進んだ道ではない、「左遷」かと

コロナ禍が契機となり、自宅からでも学ぶことができるオンライン動画学習やコーチングサービスが活況に沸いている。学びたいけれど、時間がない、高額で払えない、仲間がいない、という悩みが解消され、学び直す人が増えているようだ。 新しい知識や技術を手に入れ満足はしたし、アウトプットや小さな実践・副業もした。だけれど、仕事が忙しくなって、元の木阿弥になってしまった。もし

「スーパーバグ superbug」という言葉をご存じだろうか。日本語だと「超多剤耐性菌」とか「スーパー耐性菌」という訳なのでなんとなくわかる。ほとんどの抗生物質に反応しない病原性細菌のことだ。CDCによると、米国では毎年280万人が感染し、うち3万5000人が命を落とすとされている。 カリフォルニア大学サンディエゴ校で教授を務める夫婦、社会生物学・心理学のト

新型コロナウィルス感染症のパンデミックから1年以上が経過した。窮屈な生活にも慣れてきたが、流行初期の恐怖にかられた混乱の経験は多くの教訓と知恵を残している。 『世界を敵に回しても、命のために闘う』の副題は「ダイヤモンド・プリンセス号の真実」。大型クルーズ船内で起きた集団感染は日本が最初にコロナの危機に直面した事件だった。 多くの人は神戸大教授で感染症専門医の

昨年秋から、姑の介護生活がにわかに始まった。 89歳で乳癌発覚!それだけでも驚くのに、特殊な癌なのですぐに全摘出をせよ、とのこと。衰えたりとはいえ、頭も身体も元気で病気のなかった母にとっては青天の霹靂だ。神戸で一人住まいなので、毎週の検査に付き添うため、遠距離を通うことになった。 そんな日々が続くうち、少しずつ母の言動がおかしくなってきた。そして手術後、想像

北極圏は氷と雪と岩ばかりの地表である。季節ごとに雪が積もり、氷が溶け、景色は移ろいでいく。イヌイットはその中から場所を特定する手がかりを見つけ、獲物を探し、そして迷うことなく家に戻る。アボリジナルがオーストラリア大陸の広大な砂漠を横断するために実践するナビゲーションの技は、祖先たちの足跡を刻む曲がりくねった道を参照にすることだ。太平洋諸島のカヌー乗りたちは天

なるほど、医業というのは難しいものだ。この本を読んで、いちばんの感想はそれだ。「病気を治す」ことと、「患者を治す」ことの間には大きな隔たりがある。その間に横たわる最大のものは、医師と患者のコミュニケーションなのかもしれない。 「医学が技術的に進歩すればするほど、私たちはストーリーのはたす役割の重要性を再認識させられる」医師・患者のコミュニケーション、より正し

はるか遠い記憶がある。 春うららかな小学校の教室で健康診断が行われている。順番に並んで身長、体重、座高などを測定し、最後に視力検査。さらにそのあと、変な絵を見せられた。 オレンジと緑で書き分けられた数字を読み取るという簡単なテストだ。それが分からない人がいるんだって、と帰宅してから親に言うと「色が分からない色盲っていう人がいるんだよ」と教えられた。同時に、決

本の紹介は1回だけと決めているのだが、今回の『医療現場は地獄の戦場だった!』は例外的に 読売新聞 に次いで2回目。ハーバード・メディカルスクール第2の教育病院、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の救急治療室、ERに勤務する大内啓医師の本である。 前半は新型コロナウイルス禍におけるERでの出来事の紹介で、信じられないほど凄まじい。文字どおり息をのむような緊迫感だ

『死を生きた人びと─訪問診療医と355人の患者』(みすず書房)、2年ほど前に本屋さんで購入した。著者の名前、小堀鷗一郎を見ると、わたしと同じく、ひょっとしたらと思われるかもしれない。ご明察、森鷗外の次女、小堀杏奴のご子息である。 食道がんを専門とする外科医であったが、定年後は在宅患者の訪問診療にたずさわっておられる。そして、サブタイトルにあるように355人の

読み始めて、すぐに気がついたことがある。これは、医療の本であると見せかけて、知識に大きな差がある人間関係におけるコミュニケーションの本である、ということだ。中高生に関わる仕事をしているためか、私自身は患者を生徒に、医師を先生に変換して読んだ。親と子、上司と部下、行政と市民など、他の形で変換することもできるだろう。このような関係性を振り返り、新しい関係性を構築

命の選別。重く響く言葉である。そして、その現実は暗くて深い。『ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?』では、「優生社会」のさまざまな問題点が明らかにされていく。 優生思想など過去の遺物と思われるかもしれないが、それは間違えている。国家が強制したトップダウンの優生学ではなく、リベラル優生学とも呼ばれる、個人が望むボトムアップの新しい優生学が横行し始めてい

本は買った時がいちばん楽しい。半分本気でそう思っている。「本末転倒」「著者に失礼」とお叱りを受けそうだが、そもそも買う楽しさと読む楽しさは別物だったりする。 装丁に目をひかれ、パラパラと目を通して「これは買いだ」と確信。それを何度か繰り返し、店を出て「こんどの休日に読もう」とニヤニヤするところまでがピークだ。慌ただしい日々の中で、「週末のたのしみ」は気づけば

2009年のノーベル生理学・医学賞を受賞したのは、エリザベス・ブラックバーン、キャロル・グライダー、そしてジャック・ショスタクの3氏だった。 細胞寿命の鍵を握る染色体の先端にある連続する塩基配列、テロメア、そしてテロメアを修復する酵素であるテロメラーゼの研究成果が受賞の理由であった。このテロメアがだんだん短縮していくとついに細胞は死亡する。細胞は永遠に分裂で

同性愛の「治療」を受ける男。娼婦を相手に性的興奮を得ることができれば成功だ。男の頭には電極が差し込まれており、後頭部から4本のコードが隣の部屋まで延びている。その部屋では、研究者たちが電極から送られてくる計測値を見ながら、男の快楽中枢に適切な電気刺激を与える。 まるでSFだ。しかし、未来の話としてはおかしいと思われないだろうか。現在の状況を考えると、LGBT

「全米が泣いた!」――ひと昔前のハリウッド映画の陳腐な宣伝のようだが、本書はアレックスの死によってまさに「全米が泣いた」場面から始まる。ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ、さまざまなメディアが彼の訃報を伝え、著者のもとには多くの悲しみの声や励ましの言葉が寄せられた。 本書は、科学者の著者と、彼女の30年来の研究パートナーであるアレックスとの回想録である。……と

2020年1月に中国武漢市で初めて確認された新型コロナウィルス感染症は、瞬く間に世界中に広がった。 20年1月末、武漢から帰国した在留邦人の患者を収容した都内の病院の一つが都立駒込病院だ。1879年に感染症の専門病院として開設された経緯から、新型コロナ治療でも最前線を担っている。 1975年には、「がんと感染症」に重点を置く総合病院に生まれ変わった。高度で専

妻の何気ない「自閉症の子どもって津軽弁しゃべんねっきゃ」というひとことに、私は10年ものあいだ「本当に?」「どうして、なぜ?」と問い続けました。そして同時に湧き上がった疑問。 「なぜ、他の人は目の前にあることを不思議に思わないでいるのだろう」 この研究を通して出会った保護者や支援者の多くは、この現象について「どうしてだろう?」と疑問に思ってくれました。ところ

病気、それも大きな病気を経験した人の多くは「食べることの喜び」をしみじみと感じる瞬間を経験したはずだ。手術をすれば何日も食事が許されないことがある。慢性の病なら様々な食事制限もある。カロリー制限、塩分制限、糖分制限、脂肪制限、たんぱく質制限云々。がんで抗がん剤治療を受けると、吐き気や食欲不振などに苦しんで「食べていい」と言われても食べられないということもある

突如あらわれた新型コロナウィルス伝染病に対し、医師たちは最初、徒手空拳で挑まなければならなかった。徐々に解明される高齢者のリスクや三密回避、伝染経路や防御方法などを人々が守ることによって、第二波も収まりつつあるようだ。根本的な治療方法はわからなくても、顕著な死亡率の低下となって現れている。 医療関係者だけでなく、想像もできない事態のなかで、突然最前線に立たさ

睡眠――。人生における多くの時間が費やされているにもかかわらず、それにはいまだ多くの謎が残されている。本書は、奇怪とも言える睡眠障害の症例を足掛かりとしながら、それらの謎に迫らんとする快著である。 著者のガイ・レシュジナーは、睡眠を専門とする高名な神経科医である。彼が勤務するロンドンの睡眠障害クリニックには、種々の問題を抱えた患者がイギリス中から集まってくる

こんにちは、仲野徹です。大阪大学医学部で病理学を教えています。病理学といってもなじみがないかもしれませんが、病気の理すなわち、どんなメカニズムで病気になるかを研究する学問です。 若い人って、あまり病気に興味がないように思います。この本を手に取ってくれた人はそんなことないはずですが、考えてみればあたりまえかもしれません。もちろん子どもにも病気はありますが、おお

高橋瑞(たかはし みず)、嘉永5年(1852年)生まれ。その名を知っている人はどれくらいいるだろう。日本で三番目に医師国家資格を取得した女性である。『明治を生きた男装の女医』は、その人生を丹念に綴った伝記小説だ。 24歳にして家出、旅芸人の賄い、女中、短く不幸な結婚の後、産婆に弟子入りする。28歳の時、跡継ぎになれと誘われるが、女医になりたいと固辞する。しか

「待ってましたっ!」思わず声を掛けたくなる1冊だ。ウイルス学の泰斗中の泰斗、東京大学医科学研究所教授の河岡義裕教授による新型コロナウイルスの解説書である。ただし、最初に書いておく。この本は、新型コロナウイルス感染症がどう制圧されていくかを示す預言の書などではないということを。 新型コロナウイルスとはどういうウイルスなのか、現状で何がわかっていて何がわかってい

「中医学」とは中国伝統医学のこと。 著者 は日本人で初めて中医師の医学博士号(中医内科学)を取り、外国人として初めての中医内科主治医師資格を取得した。中国へ渡って25年、現在も上海で臨床に当たっている。 日本人にとって漢方薬や鍼灸治療は身近な存在だ。健康志向から薬膳に興味を持つ人が増えつつある。 中医学の治療思想の根本は「未病を治す」ことだと著者は語る。これ

2015年7月、アメリカはテキサス州プレーリー・ビューでの出来事。車を運転していたサンドラ・ブランドという若い女性が、ひとりの警察官から停車を命じられた。彼女が車線変更をする際に方向指示器を出していなかったというのだ。──そう、たったそれだけのこと。でも、たったそれだけのことが、それから思いもよらない展開を引き起こす。ブランドはその場で逮捕され、3日後に独房
これまで大きな病気をしたことがない。もちろん入院経験はゼロ。それどころか、風邪と下痢をたまにするくらいで、インフルエンザに罹った記憶もない。63歳にもなってこれではちょっとあかんのと違うか。 友人に聞いたら、なんやかやと薬を飲んでいるのが多い。そうか、薬を飲んだらひょっとして一人前になれるかもと、中性脂肪の値がボーダーくらいなので、高脂血症治療薬を処方しても

この『今日のわたしは、だれ?』は、2014年に58歳で若年性の認知症の診断を受けた女性が綴ったブログ記事を中心にまとめたエッセイ/体験記である。 認知症といえばしだいに記憶が失われていき、簡単な単語が思い出せない、見えているはずのものが見えなくなる、「わたし」そのものが壊れていくような病気として知られている。本書の著者ウェンディ・ミッチェルは、認知症を発症す
コロナ禍で、改めて社会からの注目と敬意を集めている医療現場。近年は、テレビドラマでも毎クール必ずといっていいほど医療現場を舞台にした作品が放送されている。 人の命に密接に関わる医療の世界と医師という存在に対して、私たちはどこか、特別な感情を抱きやすい。だが、医師たちも同じ人間。彼らにも病は等しく降りかかる。 本書『患者になった名医たちの選択』は、病にかかり「

HONZの基本は「ノンフィクション本」だ。だがこの小説だけはどうしても紹介したい。 いま、この文章を書いているのは2020年3月末。世界中が新型コロナウィルスによる感染症のパンデミックと戦っている真っ最中である。 この病気は、最初は普通の風邪の顔をしている。だからみな油断していた、見くびっていた。それゆえ対応が遅れた。 日々増えていく感染者の数。制限される生

2006年にちくまプリマー新書で出た本が再刊された。Kindleでも読めるし、新刊書店で簡単に手に入るようになったのは喜ばしい。感染症を解説した本はいろいろあるが、本書はちょっと特殊だ。メアリーを我が身に置き換えると震え上がるほど恐ろしい。 約100年前のニューヨークで、腸チフスの無症候性キャリアであった女性が、離島に合計で25年余り隔離された事実を追った物

「女性は数字に弱い」「高齢者は記憶力がわるい」「日本人はアフリカ系の人に比べて身体能力で劣っている」。わたしたちはしばしば過度の一般化を行い、特定のステレオタイプをとおして周囲の人を眺めてしまう。そして、そうしたステレオタイプがときとして深刻な偏見や差別を生み出してしまうことは、多くの人が知っているとおりである。 だが、ステレオタイプがもたらす悪影響はどうや

生活習慣病だけじゃなくて、がんや認知症の予防にまで適度な運動が望ましいとされてるらしいけど、適度な運動っていったいどれくらいやのん?よく受ける質問だが、どう答えたらいいかわからない。 ウォーキングがいいという噂なので、個人的には、3~4年前から1日1万歩を心がけている。雨の日や家に引きこもりの日もあるが、年間平均で1日あたり1万歩を超えていて、まぁ、ええ感じ

「ブレイクスルー」は、いい言葉だ。日本語では「突破口」。「飛躍的進歩」とも表せよう。新しい技術の開発に携わる人は皆この言葉に憧れているし、その恩恵にあずかる人にとっても大変ありがたい言葉だ。がんの治療の世界で、今世紀に入ってから、まさにそのブレイクスルーが起こった。 2018年、ジム・アリソン氏と本庶佑氏が「がん免疫療法の開発」でノーベル生理学・医学賞を受賞

この本の発売時に、まさか世の中がパンデミックの恐怖にさらされているとは、製作者は誰も思ってなかっただろう。しかし、感染症の歴史のアウトラインを知りたいという人にはぴったり。かなり重いので持ち運びはできないけど。 日本は海に囲まれて、いわば離れ小島のような存在だから、かつて歴史上で世界的な流行をした伝染病も、外からの災いであるという受け止め方をしていた。毎年騒

昨年、一人暮らしをする88歳の母の家を大きくリフォームした。足腰が弱くなり、生活に不安が出始めて、初めて今後の希望を聞くと、ヘルパーさんの手を借りて現状のまま家で暮らしたいと強く言う。 ならばと、ケアマネ、看護師、介護士、専門業者の知恵を借り、手すりをつけ段差を解消し、介護ベッドや高齢者用の台所を一気に導入してみた。 日常の動線を見直すだけで、こんなに変わる

誰もが行きつく人生の終着点、死というゴールがすぐそこに見えている人は、何を考えているのだろう?ロサンゼルス在住の写真家、アンドルー・ジョージは「死ぬ前の自分にとって大事なことは何だろう」と考えた。 カリフォルニアにあるプロヴィデンス聖十字架医療センターに入院する緩和ケアを受ける患者たちひとりひとりに対峙し、写真とともに彼らの考えや歴史を語ってもらう試みは2年

幸福とはほとんどの人にとっての人生の目標なのではないだろうか。「いや、自分は幸福なんかどうでもいいですね。不幸になる権利が欲しいんです」という『すばらしい新世界』的な人もいなくはないだろうが、少なくとも僕は幸福でありたいと思う。自分の幸福ももちろんだが、近くにいる手の届く人たちも幸福でいてくれたらそれ以上はいうことはない。 だが、そもそも幸福とは何なのだろう